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発明の名称 ナノ炭素構造体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−238367(P2007−238367A)
公開日 平成19年9月20日(2007.9.20)
出願番号 特願2006−62167(P2006−62167)
出願日 平成18年3月8日(2006.3.8)
代理人 【識別番号】100104835
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 正人
発明者 首藤 尚丈
要約 課題
シュトーレンの関係式における、N=−12乃至14の範囲の多面体の集合体及び低次ナノ炭素構造体の複層構造体

解決手段
シュトーレンの関係式、E+2N=V+Fにおいて、Nに−12から+14までの数値を入れて作った多面体の頂点に炭素原子を付加したナノ炭素構造体。正12面体の頂点に炭素原子20個が置かれたナノ炭素C20のクラスタの空洞の内層に多面体の頂点に炭素原子30個が置かれたナノ炭素C30のクラスタを内蔵し、さらに内層に前記正12面体のC20のクラスタを内蔵した3層の炭素原子クラスタからなるたまねぎ状構造であるナノ炭素構造体。
特許請求の範囲
【請求項1】
多角形で空間を囲む多面体において、多角形の数をF、頂点の数をV、多角形の辺の数をEとするシュトーレンの関係式E+2N=V+Fにおいて、N=−12乃至14の範囲で形成した多面体の頂点に炭素原子を配設したクラスタ構造であることを特徴とするナノ炭素構造体。
【請求項2】
前記多面体の頂点に炭素原子を配設したクラスタ構造を2層以上のたまねぎ状構造としたことを特徴とする請求項1に記載のナノ炭素構造体。
【請求項3】
正12面体の頂点に炭素原子20個が置かれたナノ炭素C20のクラスタの空洞の内層に多面体の頂点に炭素原子30個が置かれたナノ炭素C30のクラスタを内蔵した2層の炭素原子クラスタからなるたまねぎ状構造であることを特徴とするナノ炭素構造体。
【請求項4】
前記正12面体の頂点に炭素原子20個が置かれたナノ炭素C20のクラスタの空洞の内層に多面体の頂点に炭素原子30個が置かれたナノ炭素C30のクラスタを内蔵し、さらに内層に前記正12面体のC20のクラスタを内蔵した3層の炭素原子クラスタからなるたまねぎ状構造であることを特徴とする請求項3に記載のナノ炭素構造体。
【請求項5】
前記多面体の頂点に炭素原子30個が置かれたナノ炭素C30のクラスタは30個の3角形と12個の5角形を組み合わせて空間を形成した多面体であることを特徴とする請求項3または4に記載のナノ炭素構造体。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、正多面体の頂点に炭素原子が置かれたフラーレンC60に疑似する多炭素原子からなるナノ炭素構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
正多面体の頂点に多数の炭素原子が置かれた構造のナノ炭素構造体としては、60個の炭素原子が置かれたバッキーボール構造のフラーレンC60が広く知られている。
該フラーレンは切頭正多面体の頂点に炭素原子が配設された中空のサッカーボール状をなしており、60個の炭素原子が配設されたフラーレンとそれ以上の個数の炭素原子が配設された高次フラーレンとがある。そして、このフラーレンは中空のサッカーボール状をなしているので、高次のフラーレンの中空の中に低次のフラーレンを内蔵した玉葱状のバッキーオニオンといわれるスーパーフラーレンや、該中空の中に金属元素などを内蔵した金属ヘテロフラーレンなどが知られている(非特許文献1)。
【非特許文献1】谷垣勝己他「フラーレン」産業図書社、2004年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
シュトーレンの関係式E+2N=V+Fにおいて、N=1に限って、E+2=V+Fのオイラ−の定理になるが、オイラーの定理に含まれない多面体をオイラーの定理に含まれる多面体の集合体で作ることができると考えられる。そこで、その多面体の頂点に炭素原子を付加したフラーレン体を作ることができることに着目した。
【0004】
また、炭素原子60以下の低次のバッキー構造の疑似フラーレンのようなナノ炭素構造体はまだ知られていない。しかし、このような構造体が可能であることは推測できる。
一方、前記のように、高次のフラーレンの中空の中に低次のフラーレンや金属元素を内蔵したバッキーオニオンの構造が知られている。
【0005】
そこで、本発明は、シュトーレンの幾何学による多面体と、炭素原子60個以上のフラーレンC60より低次のC30,C20のクラスタが複層に配設されたオニオン構造のナノ炭素構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
3次元正多面体には下記のシュトーレンのE+2N=V+Fの関係式が成立する。ここで、Eは辺、Vは頂点、Fは面の総数である。ここでN=1に限って、E+2=V+Fのオイラーの定理になる。このE+2=V+Fオイラーの式では、プラトンの5個の正多面体とアルキメデスの13個の準正多面体を作ることができる。
【0007】
プラトンの発見したオイラーの定理による5個の正多面体とは、正4面体、正6面体、正8面体、正12面体、正20面体を指す。正4面体は正三角形のみで構成され、正6面体は正方形のみで構成される。また、正8面体は正三角形のみで、正12面体は正5角形のみで、正20面体は正三角形のみで構成される。
【0008】
この他に、オイラーの定理によって解ける多面体にアルキメデスの発見した13個の準正多面体がある。準正多面体とは、1種類だけの正三角形や正方形だけでなく、これらを二種類以上使用した多面体をいう。このアルキメデスの13個の準正多面体には、切頭4面体、切頭6面体、切頭8面体、切頭12面体、切頭20面体、立方8面体、斜方立方8面体、斜方立方20面体、斜方立方12面体と、斜方20面体、斜方12面体がある他、斜方切頭立方8面体、変形立方体、斜方切頭20、斜方切頭12面体、変形12面体を示すことができる。
これら18個の正多面体及び準正多面体はオイラーの定理で解を求めることができる。しかし、このオイラーの定理では解を求めることができない多面体の集合体をシュトーレンの関係式で示すことができる。その代表的な多面体の集合体を図5に示す。
【0009】
図5において、シュトーレンのE+2N=V+FのE,V,Fはオイラーの定理と同じである。Nについては、この多面体の集合体を構成するN個の数列、N=−12,−3,0,1,2,5,及び14で示される。発明者は、このN項の7個の数列についての一般項の解を求める問題を日本数学会に提示しているが、今もってN項についての一般項については解が求められいない。
【0010】
例えば、N項の数列をA群のN=0,−3,−12、B群のN=1,2,5,14とし、A群のN、B群のNについて、それぞれの一般項を示すと数式1のようになる。
【数1】


【0011】
そこで、N=5の多面体を作り、その頂点に元素を付加して分子模型を作ることができる。しかし、これによって作られる分子は未だ地球上で発見されていない分子形態になる。したがって、この分子形態を玉葱構造のオニオンフラーレンに変換し、その構造を明らかにすることができる。すなわち、3つのフラーレン体が三重構造になった構造体のオニオンフラーレンを分子体一括で示すことができる。
【0012】
その他のN項によってできる分子体は、すべて炭素のみによるオニオンフラーレン体に変換することができる。
そこで発明者は、シュトーレンの集合体を作り、それを分子体に置き換え、さらにその分子体を炭素に置き換えることによって、オニオンフラーレン=シュトーレン炭素体を作ることが構造的に可能になることに着目した。
【0013】
本発明のナノ炭素構造体は、多角形で空間を囲む多面体において、多角形の数をF、頂点の数をV、多角形の辺の数をEとするシュトーレンの関係式E+2N=V+Fにおいて、N=−12乃至14の範囲で形成した多面体の頂点に炭素原子を配設したクラスタ構造であることを特徴とするものである。
【0014】
また本発明のナノ炭素構造体は、前記多面体の頂点に炭素原子を配設したクラスタ構造を2層以上のたまねぎ状構造とすることができる。
【0015】
さらに、本発明のナノ炭素構造体は、正12面体の頂点に炭素原子20個が置かれたナノ炭素C20のクラスタの空洞の内層に多面体の頂点に炭素原子30個が置かれたナノ炭素C30のクラスタを内蔵した2層の炭素原子クラスタからなるたまねぎ状構造であることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明のナノ炭素構造体は、正12面体の頂点に炭素原子20個が置かれたナノ炭素C20のクラスタの空洞の内層に多面体の頂点に炭素原子30個が置かれたナノ炭素C30のクラスタを内蔵し、さらに内層に前記正12面体のC20のクラスタを内蔵した3層の炭素原子クラスタからなるたまねぎ状構造であることを特徴とするものである。
【0017】
さらに前記多面体の頂点に炭素原子30個が置かれたナノ炭素C30のクラスタは30個の3角形と12個の5角形を組み合わせて空間を形成した多面体であることが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、特殊な炭素結晶構造体を作ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
上述したように、シュトーレンの集合体を作り、それを分子体に置き換え、さらにその分子体を炭素に置き換えることによって、オニオンフラーレン炭素体を作ることが構造的に可能であるが、本実施形態においては、シュトーレンの関係式のN=5のナノ炭素構造体について図を用いて具体的に説明する。
図1は本発明の請求項3のナノ炭素構造体の全体の構造を示す斜視図、図2は第1層の正12面体のC20の構造を示す斜視図、図3は第2層の多面体のC30の構造を示す斜視図、図4は第2層の多面体のC30の展開図である。
【0020】
図1は、最外側の第1層のC20のクラスタの空間内部に第2層のC30のクラスタを内蔵し、さらにその内部に第3層のC20のクラスタを内蔵した複層のナノ炭素の全体の構造を示す図である。判りやすいために、図2、3及び4を用いて、以下各層のクラスタの構造に分けて説明する。
【0021】
図2の最外側の第1層は、5角形で空間を囲む正12面体の頂点に20個の炭素原子が存在するC20の構造を示す。図の丸は炭素原子、線は結合を示す。すなわち、第1層は5員環の炭素の12面で構成されたクラスタ構造である。
【0022】
図3は、第1層の空間の内部に配設される第2層のクラスタの構造を示す。第2層は12個の5角形と20個の3角形で構成した多角形で空間を囲む多面体の頂点に30個の炭素原子が個存在するC30である。このクラスタの炭素原子間の距離は第1層より小さい、すなわち多面体の直径が第1層より小さく、第1層の内部空間に内蔵される。そして、各炭素原子は、図3に一部を図示した腕Mで第1層、第3層の炭素原子と弱い結合をしている。
【0023】
第3層のクラスタは、第1層と同じ構造の5角形で空間を囲む正12面体の頂点に20個の炭素原子が存在するC20の構造であるが、炭素原子間の距離が第2層より小さい、すなわち多面体の直径が第2層より小さく、第2層の内部空間に内蔵され、各炭素原子は第2層の炭素原子と結合している。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明により、従来にない構造のナノ炭素ができる可能性がありナノ炭素の産業上利用性が拡大する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の複層構造のナノ炭素構造体の構造を示す図である。
【図2】本発明の複層構造のナノ炭素構造体の第1層の構造を示す図である。
【図3】本発明の複層構造のナノ炭素構造体の第2層の構造を示す図である。
【図4】図3の構造体の面の展開図である。
【図5】本発明のシュトーレンの関係式において、N=−12乃至14の範囲の多面体の集合体の図である。


 

 


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