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発明の名称 粒子の製造方法、粒子および焼結体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−70211(P2007−70211A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2005−266628(P2005−266628)
出願日 平成17年9月14日(2005.9.14)
代理人 【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
発明者 小林 伸太郎 / 湯蓋 一博
要約 課題
結晶質のリン酸カルシウム系化合物の微小な球状粒子を、効率よく安価に製造可能な粒子の製造方法、かかる粒子の製造方法で製造された微小で流動性に優れた球状粒子、および、かかる粒子を成形して成形体とし、この成形体を焼成することにより得られる高品質な焼結体を提供すること。

解決手段
リンを含有する第1の物質と、カルシウムを含有する第2の物質とを、これらが含むリンとカルシウムが所定のモル比となるように混合し、これらを反応させて得られた非晶質の反応物を含むスラリーを液滴として加熱雰囲気中に供給し、前記反応物を気相状態とする第1の工程と、前記気相状態の前記反応物の結晶化がなされて、リンとカルシウムが所定のモル比で含有するリン酸カルシウム系化合物を主材料として構成される粒子を得る第2の工程とを有する。加熱雰囲気としては、雰囲気ガスを電離したプラズマを含むものが好ましい。
特許請求の範囲
【請求項1】
リンを含有する第1の物質と、カルシウムを含有する第2の物質とを混合し、これらを反応させて得られた非晶質の反応物を含む液体を、液滴として加熱雰囲気中に供給し、前記反応物を気相状態とする第1の工程と、
前記気相状態の前記反応物の結晶化がなされて、リン酸カルシウム系化合物を主材料として構成される粒子を得る第2の工程とを有することを特徴とする粒子の製造方法。
【請求項2】
前記第1の物質は、酸化リンおよびリン酸エステルのうちの少なくとも一方を主成分とするものである請求項1に記載の粒子の製造方法。
【請求項3】
前記第2の物質は、カルシウムアルコキシドおよびカルシウム塩のうちの少なくとも一方を主成分とするものである請求項1または2に記載の粒子の製造方法。
【請求項4】
前記リン酸カルシウム系化合物における不純物の含有率が5wt%以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の粒子の製造方法。
【請求項5】
前記不純物は、前記反応物の未変化物および前記リン酸カルシウム系化合物の分解生成物のうちの少なくとも一方を主とするものである請求項4に記載の粒子の製造方法。
【請求項6】
前記加熱雰囲気は、雰囲気ガスを電離したプラズマを含む請求項1ないし5のいずれかに記載の粒子の製造方法。
【請求項7】
前記プラズマは、そのプラズマ温度が2000〜15000℃である請求項1ないし6のいずれかに記載の粒子の製造方法。
【請求項8】
前記第2の工程において、加熱雰囲気中に供給された前記液滴を強制的に冷却する処理を行う請求項1ないし7のいずれかに記載の粒子の製造方法。
【請求項9】
前記粒子は、ほぼ球状をなす請求項1ないし8のいずれかに記載の粒子の製造方法。
【請求項10】
前記球状の粒子は、その平均粒径が5〜150nmである請求項9に記載の粒子の製造方法。
【請求項11】
前記リン酸カルシウム系化合物は、ハイドロキシアパタイトまたはリン酸三カルシウムである請求項1ないし10のいずれかに記載の粒子の製造方法。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の粒子の製造方法により製造されたことを特徴とする粒子。
【請求項13】
結晶質のリン酸カルシウム系化合物を主材料として構成され、
平均粒径が5〜300nmであり、かつ、下記式(I)で表される円形度係数Cの平均値が0.8〜0.99であることを特徴とする粒子。
C=4πS/L ・・・(I)
(ただし、式中、S[nm]は、測定対象の粒子の投影像の面積、L[nm]は、測定対象の粒子の投影像の周囲長を表す。)
【請求項14】
当該粒子は、中空状の粒子を5〜40%含んでいる請求項12または13に記載の粒子。
【請求項15】
請求項12ないし14のいずれかに記載の粒子を成形して成形体を得た後、前記成形体を焼成することにより得られたことを特徴とする焼結体。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子の製造方法、粒子および焼結体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セラミックス材料の一種であるリン酸カルシウム系化合物は、例えば、生体材料や、クロマトグラフィーの固定相用材料等として、広く使用されている。
【0003】
生体材料として使用する場合、リン酸カルシウム系化合物は、液体(スラリー)等から粒子を得、この粒子を所望の形状に成形して成形体とし、さらに、この成形体を焼成(焼結)することにより焼結体とされる。そして、かかる焼結体を、人工骨や人工歯根等として、臨床的に使用している。
【0004】
また、クロマトグラフィーの固定相用材料として使用する場合、リン酸カルシウム系化合物は、前記生体材料として使用する場合と同様にして粒子を得、この粒子を焼成(焼結)することにより、焼結された焼結微粒子とされる。そして、かかる焼結微粒子を、カラム等に充填して使用している。
【0005】
このような粒子を得る方法として、エマルジョン法によりハイドロキシアパタイトの粒子を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、上記方法では、デカンテーションや遠心分離等の煩雑な処理が必須であり、かつ大量生産が困難なことから、生産効率および製造コストにおいて問題がある。
【0007】
また、上記方法で得られる粒子は、その形態が不定形状となり易い。このため、例えば、成形体を形成した際に、その密度がばらつき易く、この成形体を焼成して得られる焼結体の強度や空孔率が不安定になるという問題もある。
【0008】
【特許文献1】特開2002−137910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、結晶質のリン酸カルシウム系化合物の微小な球状粒子を、効率よく安価に製造可能な粒子の製造方法、かかる粒子の製造方法で製造された微小で流動性に優れた球状粒子、および、かかる粒子を成形して成形体とし、この成形体を焼成することにより得られる高品質な焼結体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的は、下記(1)〜(15)の本発明により達成される。
(1) リンを含有する第1の物質と、カルシウムを含有する第2の物質とを混合し、これらを反応させて得られた非晶質の反応物を含む液体を、液滴として加熱雰囲気中に供給し、前記反応物を気相状態とする第1の工程と、
前記気相状態の前記反応物の結晶化がなされて、リン酸カルシウム系化合物を主材料として構成される粒子を得る第2の工程とを有することを特徴とする粒子の製造方法。
【0011】
これにより、結晶質のリン酸カルシウム系化合物の微小な球状粒子を、効率よく安価に製造することができる。
【0012】
(2) 前記第1の物質は、酸化リンおよびリン酸エステルのうちの少なくとも一方を主成分とするものである上記(1)に記載の粒子の製造方法。
【0013】
これらのものは、溶媒中で第2の物質と容易に反応して、非晶質の反応物をより効率よく生成する。
【0014】
(3) 前記第2の物質は、カルシウムアルコキシドおよびカルシウム塩のうちの少なくとも一方を主成分とするものである上記(1)または(2)に記載の粒子の製造方法。
【0015】
これらのものは、溶媒中で第1の物質と容易に反応して、非晶質の反応物をより効率よく生成する。
【0016】
(4) 前記リン酸カルシウム系化合物における不純物の含有率が5wt%以下である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の粒子の製造方法。
【0017】
これにより、優れた特性(特に、強度)のリン酸カルシウム系化合物を主材料として構成された粒子を得ることができる。
【0018】
(5) 前記不純物は、前記反応物の未変化物および前記リン酸カルシウム系化合物の分解生成物のうちの少なくとも一方を主とするものである上記(4)に記載の粒子の製造方法。
【0019】
これらの不純物の含有量が低下することにより、特に強度の高い粒子を得ることができる。
【0020】
(6) 前記加熱雰囲気は、雰囲気ガスを電離したプラズマを含む上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の粒子の製造方法。
【0021】
プラズマは、非晶質の反応物に対して、非常に高いエネルギーをより均一に付与することができるため、液滴の加熱を効率よく均一に行うことができる。
【0022】
(7) 前記プラズマは、そのプラズマ温度が2000〜15000℃である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の粒子の製造方法。
【0023】
これにより、前記液滴は急速に蒸発し、前記反応物が気相状態の混合物になるため、前記気相状態の混合物を急冷することにより、効率よく微粒子を得ることができる。
【0024】
(8) 前記第2の工程において、加熱雰囲気中に供給された前記液滴を強制的に冷却する処理を行う上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の粒子の製造方法。
【0025】
これにより、反応物の冷却・結晶化を効率よく短時間に行うことができるため、単位時間あたりにより多量の液体・スラリーを処理することができ、粒子の収量を増大させることができる。その結果、粒子の製造コストの低減を図ることができる。
【0026】
(9) 前記粒子は、ほぼ球状をなす上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の粒子の製造方法。
【0027】
これにより、粒子の流動性が向上するため、粒子を成形する際に、粒子の充填性や成形体の密度の向上を図ることができる。
【0028】
(10) 前記球状の粒子は、その平均粒径が5〜150nmである上記(9)に記載の粒子の製造方法。
【0029】
これにより、粒子の充填性が特に向上し、成形体や、成形体を焼成することにより得られる焼結体の密度を特に高めることができる。
【0030】
(11) 前記リン酸カルシウム系化合物は、ハイドロキシアパタイトまたはリン酸三カルシウムである上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の粒子の製造方法。
これらは、化学量論比の関係から、安定した結晶質の粒子を得易い材料である。
【0031】
(12) 上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の粒子の製造方法により製造されたことを特徴とする粒子。
これにより、微小で流動性に優れた球状粒子を得ることができる。
【0032】
(13) 結晶質のリン酸カルシウム系化合物を主材料として構成され、
平均粒径が5〜300nmであり、かつ、下記式(I)で表される円形度係数Cの平均値が0.8〜0.99であることを特徴とする粒子。
C=4πS/L ・・・(I)
(ただし、式中、S[nm]は、測定対象の粒子の投影像の面積、L[nm]は、測定対象の粒子の投影像の周囲長を表す。)
【0033】
これにより、例えば、この粒子を、捕捉対象物を効率よく吸着(捕捉)し得る担体等として用いることができる。
【0034】
(14) 当該粒子は、中空状の粒子を5〜40%含んでいる上記(12)または(13)に記載の粒子。
【0035】
これにより、例えば、中空状粒子の中空部に薬剤等を導入して、この中空状粒子を標識臓器に到達させた後、標識臓器で薬剤等を放出するような形態(ドラッグ・デリバリー・システム)等に、本発明の粒子を適用することができる。
【0036】
(15) 上記(12)ないし(14)のいずれかに記載の粒子を成形して成形体を得た後、前記成形体を焼成することにより得られたことを特徴とする焼結体。
これにより、寸法精度に優れた高強度で高品質な焼結体を得ることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、結晶質のリン酸カルシウム系化合物の微小な球状粒子を、効率よく安価に製造することができる。
【0038】
本発明によれば、スラリー中の反応物の非晶質から結晶への変化(結晶質のリン酸カルシウム系化合物への変化)が均一にムラなく行われるため、結晶成長の度合いのバラツキが抑制され、ほぼ均一なサイズの結晶粒が生成される。その結果、高密度・高強度の粒子が得られる。
【0039】
本発明によれば、反応物の結晶化を効率よく短時間に行うことができるため、単位時間あたりにより多量のスラリーを処理することができ、粒子の収量を増大させることができる。その結果、粒子の製造コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の粒子の製造方法、粒子および焼結体を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0041】
本発明の粒子の製造方法は、リンを含有する第1の物質と、カルシウムを含有する第2の物質とを、これらが含むリンとカルシウムが所定のモル比となるように混合し、これらを反応させて得られた非晶質の反応物を含むスラリー(ゲル状の液体)を液滴として加熱雰囲気中に供給し、前記反応物を気相状態とする第1の工程と、前記気相状態の前記反応物の結晶化がなされて、リンとカルシウムが所定のモル比で含有されるリン酸カルシウム系化合物(結晶質のリン酸カルシウム系化合物)を主材料として構成される粒子を得る第2の工程とを有する。以下、各工程について説明する。
【0042】
[第1の工程]
まず、例えば、溶媒に、リンを含有する第1の物質とカルシウムを含有する第2の物質とを、これらが含むリンとカルシウムが所定のモル比となるように混合して混合液(ゾル液)を得、この混合液中において第1の物質と第2の物質とを反応させる。これにより、非晶質の反応物を生成させ、該反応物を含むスラリー(ゲル状の液体)を得る。
【0043】
ここで、第1の物質としては、例えば、酸化リンおよびリン酸エステルのうちの少なくとも一方を主成分とするものが好適に用いられる。これらのものは、溶媒中で第2の物質と容易に反応して、非晶質の反応物をより効率よく生成する。
【0044】
このうち、酸化リンとしては、例えば、亜酸化リン、三酸化ニリン、四酸化ニリン、五酸化ニリン等が、リン酸エステルとしては、例えば、トリエチルホスフェート等がそれぞれ挙げられる。
【0045】
一方、第2の物質としては、特に限定されないが、カルシウムアルコキシドおよびカルシウム塩のうちの少なくとも一方を主とするものが好適に用いられる。これらのものは、溶媒中で第1の物質と容易に反応して、非晶質の反応物をより効率よく生成する。
【0046】
カルシウムアルコキシドとしては、例えば、カルシウムメトキシド、カルシウムエトキシド等が、カルシウム塩としては、例えば、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウムや、これらの水和物等がそれぞれ挙げられる。
【0047】
また、用いる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールのような各種アルコール類を主成分とし、蒸留水、純水、超純水、イオン交換水、RO水のような各種水を適量(少量)混合したものを用いることができる。
【0048】
この場合、混合液に対するアルコール類の含有率としては、70vol%以上であるのが好ましく、90vol%以上であるのがより好ましい。これにより、より効率よく確実に第1の物質と第2の物質の反応を行わせることができる。
【0049】
第1の物質と第2の物質とを反応させる際の温度は、特に限定されないが、0〜50℃程度であるのが好ましく、10〜40℃程度であるのがより好ましい。
【0050】
第1の物質と第2の物質とを反応させる際の時間も、特に限定されないが、10分〜5時間程度であるのが好ましく、20分〜2時間程度であるのがより好ましい。
【0051】
また、第1の物質と第2の物質との反応の際には、混合液に対して、例えば、撹拌、振動や超音波を付与しつつ行わせるようにしてもよい。
【0052】
なお、第1の物質と第2の物質とを含む混合液は、例えば、第1の物質と第2の物質とを混合した混合物に、溶媒を加えて調製するようにしてもよいし、第1の物質を溶媒に溶解した溶液と、第2の物質を溶媒に溶解した溶液とを混合して調製するようにしてもよい。
【0053】
ここで、第1の物質と第2の物質との混合比は、目的とするリン酸カルシウム系化合物のリンとカルシウムのモル比(Ca/P比)に応じて、適宜設定される。
【0054】
具体的には、このCa/P比は、1〜2程度であるのが好ましく、1.3〜1.7程度であるのがより好ましい。このようなCa/P比となるように第1の物質と第2の物質とを混合することにより、後述する第2の工程において、カルシウムとリンとが容易に結晶化することができる。
【0055】
次に、得られたスラリーを、液滴として加熱雰囲気中に供給(噴霧)する。これにより、スラリーからなる微小な液滴を形成するとともに、この液滴を加熱雰囲気中で加熱することができる。
【0056】
このとき、液滴中の反応物が気相状態へと変化するとともに、この気相状態の反応物が加熱雰囲気中で加熱されることにより、反応物中の原子同士の結合が変化し易い状態となる。これにより、前記反応物は、より安定した原子状態(結晶)へと移行することが可能となる。
【0057】
また、それとともに、加熱により液滴中の溶媒を揮発乾燥させ、前記反応物を蒸発させることができる。
【0058】
このような加熱雰囲気としては、特に限定されないが、雰囲気ガスを電離したプラズマを含むものが好ましい。プラズマは、非晶質の反応物に対して、非常に高いエネルギーをより均一に付与することができるため、液滴の加熱を効率よく均一に行うことができる。
【0059】
これにより、液滴が効率良く蒸発して、反応物が気相状態の混合物になり、前記気相状態の混合物を急冷することによって、粒径の小さい粒子を確実に得ることができる。
【0060】
このようなことから、スラリーの乾燥および反応物の蒸発・生成方法(粒子化)として、各種微粒子生成方法の中でも、特に、熱プラズマ法を用いるのが好ましい。
【0061】
また、ガスをプラズマ化する方法も、特に限定されないが、例えば、高周波誘導熱プラズマ、アーク放電、グロー放電のような放電による方法、レーザ光、ランプ光のような光照射による方法、化学反応熱のような熱の付与による方法等の各種プラズマ化法を用いることができる。
【0062】
高周波誘導熱プラズマ法とは、高周波電流の流れるコイルによる電磁誘導作用によって雰囲気ガスを高温化し、電離してプラズマ化する方法である。
【0063】
一方、アーク放電およびグロー放電は、減圧雰囲気における直流放電により生じる熱でプラズマ化する方法である。減圧雰囲気の圧力としては、1〜1500Pa程度であるのが好ましく、1.3〜1300Pa程度であるのがより好ましい。
【0064】
レーザ光としては、例えば、ヘリウムネオンレーザ、アルゴンイオンレーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマーレーザ、窒素レーザのようなガスレーザ、ルビーレーザ、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザ、ガラスレーザ、ネオジウムレーザのような固体レーザ、ヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザのような金属レーザ、半導体レーザ等を用いることができる。
【0065】
ランプ光としては、例えば、フラッシュランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプのような放電灯、ハロゲンランプ、タングステンランプのような発熱灯等を用いることができる。
【0066】
化学反応熱としては、例えば、火薬の燃焼、爆発等を用いることができる。
プラズマ化法としては、以上のような方法の中でも、放電による方法を用いるのが好ましく、特に、高周波誘導熱プラズマによる方法を用いるのがより好ましい。放電による方法(特に高周波誘導熱プラズマによる方法)によれば、雰囲気ガスをより効率よくプラズマ化させることができるとともに、雰囲気温度を高い温度に設定するのが容易である。このため、粒子をより容易、確実かつ安価に製造することができる。
【0067】
また、高周波誘導熱プラズマによれば、比較的大きな空間にムラの少ないプラズマを発生させることができるため、形状や粒径のばらつきが小さい粒子を製造することができるという利点もある。
【0068】
このようなプラズマのプラズマ温度としては、2000〜15000℃程度であるのが好ましく、7000〜15000℃程度であるのがより好ましく、10000〜15000℃程度であるのがさらに好ましい。これにより、スラリーの液滴が急速に乾燥して反応物が蒸発し、蒸発した気相状態の混合物を急冷することにより、より粒径の小さい粒子を効率よく得ることができる。
【0069】
また、プラズマ温度が前記温度範囲であれば、非晶質の反応物の結晶化(結晶質のリン酸カルシウム系化合物への変化)をより効率よく行うことができる。なお、プラズマ温度が前記上限値を超えてもリン酸カルシウム系化合物の生成には問題ないが、プラズマの発生に高価な装置や大量の電力を必要とするため、製造コストの増大を招き好ましくない。
【0070】
なお、上記のプラズマ温度とは、実際の雰囲気の温度ではなく、プラズマが有する運動エネルギーを温度の単位に換算した理論上の温度のことを言う。
【0071】
[第2の工程]
次に、前記気相状態の混合物の急冷により得られた非晶質の反応物を結晶化させる。これにより、前記第1の工程において、第1の物質と第2の物質とを混合する際のCa/P比でリンとカルシウムとを含有する結晶質のリン酸カルシウム系化合物を主材料として構成される微小な粒子が得られる。すなわち、前記第1の工程の原料調製におけるCa/P比を反映した結晶質のリン酸カルシウム系化合物の微小粒子が得られる。
【0072】
非晶質の反応物を結晶化させる方法としては、第1の工程で加熱され、原子同士の結合が変化し易い状態となっている反応物に対して、加熱を終了して放置する等の方法が挙げられる。加熱を終了することにより、反応物中の原子同士の結合は、より安定的な結合に選択的に移行し、結晶質のリン酸カルシウム系化合物を得ることができる。
【0073】
また、本発明では、反応物の非晶質から結晶への変化(結晶質のリン酸カルシウム系化合物への変化)が均一にムラなく行われるため、結晶成長の度合いのばらつきが抑制され、ほぼ均一なサイズの結晶粒が生成される。その結果、高密度・高強度の粒子が得られる。
【0074】
このような第2の工程では、さらに、前記気相状態の混合物を強制的に冷却するのが好ましい。これにより、反応物の冷却・結晶化を効率よく短時間に行うことができるため、単位時間あたりにより多量の液体・スラリーを処理することができ、粒子の収量を増大させることができる。その結果、粒子の製造コストの低減を図ることができる。
【0075】
また、かかる方法によれば、前記気相状態の混合物が急冷されることで生成した非晶質の反応物が結晶質のリン酸カルシウム系化合物に変化する際、液滴の表面において表面張力が増大し、液滴の球形化が進み、結果として、ほぼ球状の粒子を得ることができる。換言すれば、本発明は、微小かつ球形に近い粒子の製造に適している。
【0076】
ここで、このようなリン酸カルシウム系化合物を主材料として構成された粒子は、その平均粒径が、5〜300nm程度であり、かつ、下記式(I)で表される円形度係数Cの平均値が、0.8〜0.99程度であるものが好ましい。
【0077】
C=4πS/L ・・・(I)
(ただし、式中、S[nm]は、測定対象の粒子の投影像の面積、L[nm]は、測定対象の粒子の投影像の周囲長を表す。)
【0078】
なお、円形度係数Cは、測定対象の粒子の投影像が真円である場合が最大値1となり、数値が最大値1に近いほど粒子が真球に近いことを示す。
【0079】
上記数値範囲を満たす粒子は、比較的微小で、かつ、真球に近い球状をなしているため、例えば、分散媒に対して優れた分散性を示すことができる。その結果、例えば、タンパク質や核酸、細胞等の捕捉対象物を含有する液体試料中に、粒子を均一に分散させることができるため、この粒子を、捕捉対象物を効率よく吸着(捕捉)し得る担体等として用いることができる。
【0080】
また、円形度係数Cの平均値は、0.8〜0.99程度であるのが好ましく、0.85〜0.99程度であるのがより好ましい。
【0081】
このように、粒子が真球に近い球状をなしていることにより、粒子の流動性が向上するため、粒子を成形する際に、粒子の充填性や成形体の密度の向上を図ることができる。これにより、緻密で高強度の成形体の原料粒子を得ることができる。また、この成形体を焼成することにより、寸法精度に優れた高強度の焼結体を得ることができる。
【0082】
なお、平均粒径は、5〜300nm程度であるのが好ましいが、5〜150nm程度であるのがより好ましく、10〜100nm程度であるのがさらに好ましい。このような微小な粒子の製造に、本発明が好適に適用される。
【0083】
平均粒径が前記範囲内であれば、粒子の充填性が特に向上し、成形体や、成形体を焼成することにより得られる焼結体の密度を特に高めることができる。
【0084】
また、この粒子をカラムの固定相用材料(充填材)に適用する場合、カラムへの充填量や、試料(サンプル)との接触面積が増大して、より精度の高い試料の処理を行うことができる。
【0085】
また、本発明によれば、非晶質の反応物を結晶質のリン酸カルシウム系化合物に変化させ、このリン酸カルシウム系化合物を結晶成長させつつ粒子を得るため、高純度のリン酸カルシウム系化合物を主材料として構成された粒子を得ることができる。
【0086】
具体的には、本発明の粒子の製造方法で得られる粒子中の不純物の含有量は、5wt%以下であるのが好ましく、3wt%以下であるのがより好ましい。これにより、優れた特性(特に、強度)のリン酸カルシウム系化合物を主材料として構成された粒子を得ることができる。なお、本発明によれば、このように極めて高純度のリン酸カルシウム系化合物の粒子を容易かつ確実に製造することができる。
【0087】
ここで、この不純物としては、例えば、CaOのようなスラリー中の反応物の未変化物や、目的とするCa/P比と異なるCa/P比のリン酸カルシウム系化合物(2次反応生成物)が挙げられる。これらの不純物の含有量が低下することにより、特に強度の高い粒子を得ることができる。
【0088】
こうして生成されたリン酸カルシウム系化合物は、前述のように、Ca/P比が1〜2程度のものであるのが好ましく、1.3〜1.7程度のものであるのがより好ましい。
【0089】
このようなCa/P比のリン酸カルシウム系化合物の中でも、ハイドロキシアパタイト(Ca/P比:1.67)またはリン酸三カルシウム(Ca/P比:1.5)であるのが好ましい。ハイドロキシアパタイトおよびリン酸三カルシウムは、化学量論比の関係から、安定した結晶質の粒子を得易い材料である。
【0090】
また、ハイドロキシアパタイトおよびリン酸三カルシウムは、その組成や構造が人骨の無機成分に近く、生体親和性が高い材料である。したがって、生成された粒子は、生体由来成分に対して高い親和性を示すため、人工骨、骨補填材のような生体材料、クロマトグラフィーの固定相用材料等に好適に適用できる。
【0091】
また、このような粒子は、中空状の粒子を5〜40%程度含んでいるものが好ましく、10〜30%程度含んでいるものがより好ましい。これにより、例えば、中空状粒子の中空部に薬剤等を導入して、この中空状粒子を標識臓器に到達させた後、標識臓器で薬剤等を放出するような形態(ドラッグ・デリバリー・システム)等に、本発明の粒子を適用することができる。
【0092】
以上、本発明の粒子の製造方法について説明したが、この方法は、例えば、図1に示すような装置によって好適に実施される。
【0093】
図1は、高周波誘導熱プラズマ法によりプラズマを発生させ、結晶質のリン酸カルシウム系化合物球状微粒子を製造することができる熱プラズマ装置の模式図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、図1では、図が煩雑となるのを避けるため、一部の部材を省略している。
【0094】
リン酸カルシウム系化合物球状微粒子の製造装置(熱プラズマ装置)1は、熱プラズマを発生させるプラズマトーチ2と、原材料をプラズマトーチ2内へ供給する原材料供給装置3と、リン酸カルシウム系化合物球状微粒子8を生成するチャンバー4と、生成されたリン酸カルシウム系化合物球状微粒子8を回収する回収部5と、を含んで構成される。
【0095】
プラズマトーチ2は、石英管2aと、その外側を取り巻く高周波発振用コイル2bとで構成される。プラズマトーチ2の上部には、原材料と噴霧ガス(キャリアガス)とをプラズマトーチ2内に導入するための導入管2dがその中央部に設けられており、プラズマガス(雰囲気ガス)はプラズマガス導入口2cより、石英管2aの内管に沿って垂直方向に導入される。
【0096】
プラズマガスは、プラズマガス供給源6からプラズマガス導入口2cへ送り込まれる。プラズマガスとしては、例えばアルゴン、窒素、水素、酸素等、またはこれらの混合ガスが用いられる。プラズマガス供給源6には、例えば2種類のプラズマガスが準備されている。プラズマガスは、プラズマガス供給源6からプラズマ導入口2cを介して、石英管2aの内管に沿って垂直方向に送り込まれる。そして、高周波発振用コイル2bに高周波電流が印加されて、プラズマ炎7が発生する。
【0097】
なお、石英管2aの外側は、同心円上に形成された管(図示せず)で囲まれており、この管と石英管2aとの間に冷却水(図示せず)が循環して、石英管2aを水冷し、プラズマトーチ2内で発生したプラズマ炎7により石英管2aが高温になりすぎるのを防いでいる。
【0098】
原材料である非晶質の反応物のスラリー3aをプラズマトーチ2内へ供給する原材料供給装置3は、プラズマトーチ2の上部に設けられた導入管2dへ管9を介して繋げられている。スラリーとは、細かい固体の粒子が液体の中に混ざっている、固体と液体の混合物のことである。
【0099】
原材料供給装置3には、スラリー3aを入れる容器3bと、容器3b中のスラリー3aを攪拌する攪拌機3cと、導入管2dを介してスラリー3aに圧力をかけプラズマトーチ2内に供給するためのポンプ3dと、噴霧ガス供給源3eと、が備えられている。噴霧ガスは、噴霧ガス供給源3eからスラリー3aと共に、導入管2dを介してプラズマトーチ2内へ供給される。これにより、スラリー3aをプラズマトーチ2内に噴霧する。要するにスラリー3aを液滴化させることができる。噴霧ガスにはアルゴン、窒素、水素、酸素、空気等が用いられる。
【0100】
一方、プラズマトーチ2の下方に隣接して設けられたチャンバー4では、リン酸カルシウム系化合物球状微粒子8が生成される。つまり、原料供給装置3からプラズマトーチ2内に噴霧された(液滴化された)スラリーは、プラズマ炎7中で反応してスラリーを蒸発させた気相状態の混合物となり、チャンバー4内で急冷され、リン酸カルシウム系化合物球状微粒子8となる。
【0101】
チャンバー4の上部には、冷却手段10が設けられている。
冷却手段10の冷却方法としては、特に限定されないが、図1に示すように冷却ガス11に接触させる方法、チャンバー4内のガスを冷却する方法等が挙げられる。
【0102】
冷却ガス11としては、例えば、大気、酸素のような酸化性ガス、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンのような不活性ガス、水素、一酸化炭素のような還元性ガス等が挙げられるが、不活性ガスを用いるのが好ましい。これにより、生成されたリン酸カルシウム系化合物の酸化または還元による変性を防止することができる。
【0103】
また、チャンバー4内のガスを冷却する方法としては、冷媒等でチャンバー4を冷却することにより、熱伝達でガスを冷却する方法等が挙げられる。
なお、この冷却手段10は、必要に応じて設ければよく、省略することもできる。
【0104】
チャンバー4の側方下部には、生成されたリン酸カルシウム系化合物球状微粒子8を回収する回収部5が設けられている。回収部5は、回収室5aと、回収室5a内に設けられたフィルター5bと、回収室5a上部に設けられた管5cを介して繋げられた真空ポンプ(図示せず)と、を備える。生成された微粒子は、真空ポンプ(図示せず)で吸引されることにより、回収室5a内に引き込まれ、フィルター5b表面で留まった状態にされて回収される。
【0105】
また、本発明の粒子の製造方法で得られた粒子は、前述したような人工骨、骨補填材のような生体材料、クロマトグラフィーの固定相用材料等の他、ウイルス吸着機能性マスク、消臭スプレー、抗菌性石鹸のようなヘルスケア商品の吸着剤等にも適用することができる。
【0106】
ここで、生体材料として用いる焼結体を製造する場合には、例えば、次のようにして製造することができる。
【0107】
まず、前述のようにして、結晶質のリン酸カルシウム系化合物の粒子を得る。
次に、このリン酸カルシウム系化合物の粒子を所望の形状に成形して、成形体を得る。
【0108】
この成形方法としては、例えば、I:リン酸カルシウム系化合物の粒子を含むスラリーを、所望の型内に充填して、成形する方法、II:前記スラリーに対して、沈殿または遠心分離により固形分を偏在させる方法、III:前記スラリーを所望の型内に入れ、脱水処理し、固形分を型内に残す方法、IV:圧縮成形法、V:リン酸カルシウム系化合物の粒子と水状の糊とを混ぜ、これを型に入れ乾燥させる方法等、種々の方法により製造することができる。
【0109】
このようにして得られた成形体に対しては、例えば、自然乾燥、温風乾燥、フリーズドライ、真空乾燥等の方法により、乾燥がなされる。
【0110】
また、得られた成形体に対しては、成形後、例えば、切断、切削、研削、研磨等の機械加工を施してもよい。
【0111】
次に、乾燥後の成形体を、例えば炉等で焼成することにより、焼結体を得る。
焼成の際の温度としては、リン酸カルシウム系化合物が焼結する温度であればよく、具体的には700〜1300℃程度であるのが好ましく、900〜1250℃程度であるのがより好ましい。
【0112】
また、焼成の際の時間としては、前記焼成温度等によっても若干異なり、特に限定されないが、0.1〜10時間程度であるのが好ましく、1〜5時間程度であるのがより好ましい。
【0113】
また、焼成の際の雰囲気としては、特に限定されないが、例えば、大気、酸素等の酸化性雰囲気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の不活性雰囲気、水素、一酸化炭素等の還元性雰囲気、減圧雰囲気等が挙げられる。
【0114】
なお、焼成は、必要に応じて、複数回繰り返し行うようにしてもよい。
このようにして、焼結体を得ることができる。
【0115】
以上、本発明の粒子の製造方法、粒子および焼結体について図示の実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0116】
例えば、本発明の粒子の製造方法は、必要に応じて、任意の目的の工程を追加することもできる。
【実施例】
【0117】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.微小粒子の製造
(実施例1)
[1] まず、95vol%エタノール水溶液(溶媒)900mLに、Ca/P比が1.67となるように、0.18molの五酸化ニリン(第1の物質)と、0.6molの硝酸カルシウム四水和物(第2の物質)とを加え、室温(25℃)で4時間撹拌してゲル化させ、反応物を含むスラリーを得た。
【0118】
ここで、スラリー中のエタノール水溶液を除去し、残った反応物の結晶構造をX線回折分析法(XRD)により分析した。分析結果(X線回折スペクトル)を図2に示す。
【0119】
その結果、前記反応物のX線回折スペクトルでは、いくつかのピークが見られるものの全体的にブロードなスペクトルとなっており、前記反応物は非晶質のものが支配的になっていると考えられる。
【0120】
[2] 次に、得られたスラリーを、図1に示す熱プラズマ(微粒子製造)装置1のプラズマ炎7中に噴霧し、球状の微小粒子を得た。なお、冷却ガスとしては、空気を用いた。
以下に熱プラズマ(微粒子製造)装置1の設定条件を示す。
【0121】
・高周波電流の周波数 :4MHz
・高周波電流の出力 :70kW
・プラズマ温度 :10000℃
・プラズマ化ガスの種類:アルゴン+酸素
【0122】
(実施例2)
Ca/P比が1.67となるように、第2の物質として、カルシウムエトキシド(0.6mol)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして微小粒子を得た。
【0123】
(実施例3)
Ca/P比が1.67となるように、第2の物質として、硝酸カルシウム四水和物(0.3mol)とカルシウムエトキシド(0.3mol)の混合物を用いた以外は、前記実施例1と同様にして微小粒子を得た。
【0124】
(実施例4)
Ca/P比が1.67となるように、第1の物質として、トリエチルホスフェート(0.36mol)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして微小粒子を得た。
【0125】
(実施例5)
Ca/P比が1.67となるように、第1の物質として、五酸化ニリン(0.09mol)とトリエチルホスフェート(0.18mol)の混合物を用いた以外は、前記実施例1と同様にして微小粒子を得た。
【0126】
(実施例6)
スラリーを電気ヒーターで加熱した雰囲気中に噴霧するように変更した以外は、前記実施例1と同様にして微小粒子を得た。
なお、加熱温度は、1800℃とした。
【0127】
(実施例7)
Ca/P比が1.0となるように、第2の物質として、硝酸カルシウム四水和物(0.36mol)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして微小粒子を得た。
【0128】
(実施例8)
Ca/P比が1.2となるように、第2の物質として、硝酸カルシウム四水和物(0.43mol)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして微小粒子を得た。
【0129】
(実施例9)
Ca/P比が1.4となるように、第2の物質として、硝酸カルシウム四水和物(0.50mol)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして微小粒子を得た。
【0130】
(実施例10)
Ca/P比が1.5となるように、第2の物質として、硝酸カルシウム四水和物(0.54mol)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして微小粒子を得た。
【0131】
(比較例1)
[1] まず、一般的な湿式合成法で、水酸化カルシウムとリン酸を反応させることにより、平均粒径150nmのハイドロキシアパタイト粒子(Ca/P比:1.67)を生成した。次いで、95vol%エタノール水溶液900mLに、ハイドロキシアパタイト粒子を加え、撹拌して、スラリーを得た。
【0132】
ここで、ハイドロキシアパタイト粒子の結晶構造をX線回折分析法により分析した。分析結果を図3に示す。
【0133】
その結果、ハイドロキシアパタイト粒子のX線回折スペクトルには、ハイドロキシアパタイトの結晶構造に起因する鋭いピークが見られた。
【0134】
[2] 次に、得られたスラリーを、前記実施例1と同様にして、図1に示す熱プラズマ(微粒子製造)装置1のプラズマ炎7中に噴霧し、微小粒子を得た。
【0135】
(比較例2)
スラリーを電気ヒーターで加熱した雰囲気中に噴霧するように変更した以外は、前記比較例1と同様にして微小粒子を得た。
【0136】
2.評価
2.1 粒径の評価
各実施例および各比較例で得られた微小粒子の平均粒径を測定した。
【0137】
平均粒径は、10個の微小粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、観察像から求めた微小粒子10個の粒径の平均値とした。
平均粒径の評価結果を表1に示す。
【0138】
なお、代表として、実施例1の観察像を図4、比較例1の観察像を図5に示す。
また、顕微鏡による観察の結果、各実施例および各比較例で得られた微小粒子は、ほぼ球状をなしていることが確認できた。
【0139】
さらに、観察像の詳細な評価の結果、各実施例で得られた微小粒子には、それぞれ、中空状の粒子が含まれていることが明らかとなった。この中空状の粒子の含有率は、各実施例で、いずれも16〜24%の範囲内であった。
【0140】
2.2 粒子形状(円形度係数)の評価
各実施例および各比較例で得られた微小粒子の形状を評価した。
【0141】
まず、2.1で得た観察像に対して、画像解析ソフトウェア(住友金属テクノロジー社製、「粒子解析 Ver.2.0」)を用い、下記式(I)で表される円形度係数Cを求めた。そして、粒子10個の円形度係数Cの平均値を算出した。
【0142】
C=4πS/L ・・・(I)
(ただし、式中、S[nm]は、測定対象の粒子の投影像の面積、L[nm]は、測定対象の粒子の投影像の周囲長を表す。)
粒子形状の評価結果を表1に示す。
【0143】
2.3 結晶性および不純物含有率の評価
まず、実施例1および比較例1で得られた微小粒子に対して、フーリエ変換赤外分光法による分析を行った。そして、微小粒子中の原子の結合状態を評価した。
【0144】
実施例1で得られた微小粒子の赤外吸収スペクトルを図6、比較例1で得られた微小粒子の赤外吸収スペクトルを図7に示す。
【0145】
評価の結果、図6の波数640cm−1付近に見られる水酸基に起因した吸収による特徴が、図7には確認されなかった。このことは、比較例1の微小粒子中には、ハイドロキシアパタイト[Ca10(PO(OH)]が実質的に存在しないことを示している。
【0146】
次に、各実施例および各比較例で得られた微小粒子のX線回折分析を行った。そして、分析で得られた各X線回折スペクトルに現れたハイドロキシアパタイト以外のピークの有無を評価した。
【0147】
なお、代表として、実施例1で得られた微小粒子のX線回折スペクトルを図8に、実施例7〜10で得られた微小粒子のX線回折スペクトルをそれぞれ図9〜12に、比較例1で得られた微小粒子のX線回折スペクトルを図13に、それぞれ示す。
【0148】
図8のX線回折スペクトルには、複数のピークが確認されたが、そのほとんどのピークがハイドロキシアパタイト(Ca/P比:1.67)に帰属するピークであり、良好なハイドロキシアパタイトの結晶が得られていることが確認できた。
【0149】
図9〜12のX線回折スペクトルにも、それぞれ、複数のピークが確認された。具体的には、図9のスペクトルには、Ca/P比が1.0のリン酸カルシウム系化合物に、図10のスペクトルには、Ca/P比が1.2のリン酸カルシウム系化合物に、図11のスペクトルには、Ca/P比が1.4のリン酸カルシウム系化合物に、図12のスペクトルには、Ca/P比が1.5のリン酸三カルシウムに、それぞれ帰属するピークが確認できた。これらは、実施例7、8、9および10では、それぞれ、Ca/P比が1.0、1.2、1.4および1.5の結晶質のリン酸カルシウム系化合物が生成されたことを示している。
【0150】
一方、図13のX線回折スペクトルには、明確なピークが確認できず、比較例1で得られた微小粒子は非晶質であることが確認された。
【0151】
また、図8〜13のX線回折スペクトルに対して、それぞれ定量分析を行い、不純物含有率を評価した。
【0152】
なお、定量分析に必要な標準試料として、ハイドロキシアパタイト、酸化カルシウムおよびリン酸三カルシウムの各高純度試料を用いた。
定量分析から得られた不純物含有率の評価結果を表1に示す。
【0153】
【表1】


【0154】
表1からも明らかなように、各実施例で得られた微小粒子は、いずれも平均粒径が100nm以下の極めて微小な粒子であった。
【0155】
一方、比較例1で得られた微小粒子は、その平均粒径が100nm以下であったものの、比較例2で得られた微小粒子は、その平均粒径は200nm以上あることが確認できた。
【0156】
また、各実施例で得られた微小粒子では、いずれも円形度係数Cが0.85以上であり、投影像が真円により近い、すなわち微小粒子の形状が真球により近いものであることが確認された。
【0157】
一方、各比較例で得られた微小粒子は、いずれも円形度係数Cが0.8未満であり、真球には程遠い形状であった。
【0158】
また、図8〜12のX線回折スペクトルの解析の結果、実施例1および実施例7〜10で得られた微小粒子は、不純物含有率が非常に低く、高純度のハイドロキシアパタイトで構成されていることが明らかとなった。
【0159】
一方、図13のX線回折スペクトルは、明確なピークがないため、定量分析を行うことができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】熱プラズマ(微粒子製造)装置の模式図(縦断面図)である。
【図2】実施例1のスラリー中の反応物のX線回折スペクトルである。
【図3】比較例1のスラリー中のハイドロキシアパタイト粒子のX線回折スペクトルである。
【図4】実施例1で得られた微小粒子の透過型電子顕微鏡による観察像である。
【図5】比較例1で得られた微小粒子の透過型電子顕微鏡による観察像である。
【図6】実施例1で得られた微小粒子の赤外吸収スペクトルである。
【図7】比較例1で得られた微小粒子の赤外吸収スペクトルである。
【図8】実施例1で得られた微小粒子のX線回折スペクトルである。
【図9】実施例7で得られた微小粒子のX線回折スペクトルである。
【図10】実施例8で得られた微小粒子のX線回折スペクトルである。
【図11】実施例9で得られた微小粒子のX線回折スペクトルである。
【図12】実施例10で得られた微小粒子のX線回折スペクトルである。
【図13】比較例1で得られた微小粒子のX線回折スペクトルである。
【符号の説明】
【0161】
1 熱プラズマ(微粒子製造)装置
2 プラズマトーチ
2a 石英管
2b 高周波発振用コイル
2c プラズマガス導入口
2d 導入管
3 原料供給装置
3a スラリー
3b 容器
3c 攪拌機
3d ポンプ
3e 噴霧ガス供給源
4 チャンバー
5 回収部
5a 回収室
5b フィルター
5c 管
6 プラズマガス供給源
7 プラズマ炎
8 リン酸カルシウム系化合物球状微粒子
9 管
10 冷却手段
11 冷却ガス




 

 


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