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発明の名称 表面処理用リン酸クロム溶液の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−204352(P2007−204352A)
公開日 平成19年8月16日(2007.8.16)
出願番号 特願2006−28816(P2006−28816)
出願日 平成18年2月6日(2006.2.6)
代理人 【識別番号】100108176
【弁理士】
【氏名又は名称】白木 大太郎
発明者 藤本 貴士 / 岡本 健二
要約 課題
表面処理用として好適に利用できるリン酸クロム溶液を経済的に提供する。

解決手段
化学量論的に、一般式Cr(H3−3/n)POで表されるリン酸クロムを生成するに足りる三酸化クロムとリン酸を含有する混合水溶液を準備する段階と、該三酸化クロムとリン酸の混合溶液にブドウ糖を加えてCr(VI)を粗還元する第1段階と、前記粗還元された溶液に過酸化水素を加えて仕上還元する第2段階と、を順次行うことからなり、これによって一般式Cr(H(3−3/n)POで表されるリン酸クロムを含有する表面処理用リン酸クロム溶液を製造する。ここに、2≦n≦3である。
特許請求の範囲
【請求項1】
化学量論的に、一般式Cr(H(3−3/n)POで表されるリン酸クロムを生成するに足りる三酸化クロムとリン酸を含有する混合水溶液を準備する段階と、
該三酸化クロムとリン酸の混合溶液にブドウ糖を加えてCr(VI)を粗還元する第1段階と、
前記粗還元された溶液に過酸化水素を加えて仕上還元する第2段階と、を順次行うことを特徴とする一般式Cr(H(3−3/n)POで表されるリン酸クロムを含有する表面処理用リン酸クロム溶液の製造方法。
ここに、2≦n≦3。
【請求項2】
第1段階におけるCr(VI)の還元率は、90〜95%であることを特徴とする請求項1記載のリン酸クロムを含有する表面処理用リン酸クロム溶液の製造方法。
【請求項3】
第1段階の反応温度が90〜105℃であることを特徴とする請求項1又は2記載のリン酸クロムを含有する表面処理用リン酸クロム溶液の製造方法。
【請求項4】
第2段階における過酸化水素の添加による仕上還元は、反応温度60℃以下で行なわれることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理用リン酸クロム溶液の製造方法。
【請求項5】
第2段階の仕上還元完了後、溶液を60℃以上で加熱して残留過酸化水素を分解することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理用リン酸クロム溶液の製造方法。
【請求項6】
化学量論的に、一般式Cr(H(3−3/n)POで表されるリン酸クロムを含み、全有機炭素(TOC)がクロムに対し質量比で0.2%以下である表面処理用リン酸クロム溶液。
ここに、2≦n≦3。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の方法によって製造された請求項6記載の表面処理用リン酸クロム溶液。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理用リン酸クロム溶液の製造方法に係り、特に金属などの表面処理用に用いるリン酸クロム溶液の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属の表面処理には永らくクロム(VI)あるいはその塩が利用されてきた。しかし、クロム(VI)は人体に有害であるため、表面処理鋼板等の最終製品にはクロム(VI)が残留することを避けなければならない。そのため、例えばクロムを使用しない表面処理鋼板などの提案が数多く行われている。その一方、クロム(III)が人体に無害であることに着目して、クロム(III)を含有する表面処理溶液、例えば塩化クロム、硝酸クロム、リン酸クロムなどが優れた表面処理被膜を形成するのに積極的に利用されている。
【0003】
リン酸クロムの製造方法としては、非特許文献1には、三酸化クロム(CrO)とリン酸(HPO)の混合液にヒドラジン(N・HO)水溶液を滴下し、反応物としてリン酸クロムの水和物(CrPO・3.5HO)を得、これをろ過、乾燥、さらに加熱して粉末状のリン酸クロム(CrPO)を製造する方法が記載されている。また、特許文献1には、クロム水溶液に、リン酸並びに一価アルコール及び二価アルコールから選ばれる少なくとも1種の有機還元剤を添加することを特徴とするリン酸クロム水溶液の製造方法が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−325384
【非特許文献1】社団法人日本化学会編 化学講座無機化合物の合成[II] 第832〜833頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1に開示されている手段により得られる粉末状のリン酸クロム(CrPO)は無水和物であり、水に不溶である。これを、例えば鋼板などの表面処理に利用するためは、一般式Cr(H(3−3/n)POで表されるリン酸クロムのうちn:2〜3の水溶性液として供給しなければならないが、それには別途の化学操作を必要とする。
【0006】
一方、特許文献1に開示のリン酸クロム溶液の製造方法は、Cr(VI)の還元のために一価アルコール及び二価アルコールから選ばれる有機還元剤が利用されるが、これらはいずれも可燃性であり、安全上その取扱に細心の注意を必要とする。また、これら有機還元剤の未反応生成物、あるいは中間生成物がTOC(全有機炭素)として相当量、実施例を参照すれば対クロムで0.5%(実施例1)、あるいは1.6%(実施例2)、残存するおそれがある。このTOC(全有機炭素)は、リン酸クロム溶液中において微細な不溶解物として存在し、処理された鋼板の光沢を損なう原因になるとされており、極力低いことが望まれている。
【0007】
本発明は、上記従来技術の有する問題点を解決することを目的とし、工業的に安価であり、その取扱が比較的容易であるぶどう糖を主たる還元剤としながら、最終生成物にはTOCが極めて低い表面処理用リン酸クロム溶液の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る表面処理用リン酸クロム溶液の製造方法は、化学量論的に、一般式Cr(H(3−3/n)POで表されるリン酸クロムを生成するに足りる三酸化クロムとリン酸を含有する混合水溶液を準備する段階と、該三酸化クロムとリン酸の混合溶液にブドウ糖を加えてCr(VI)を粗還元する第1段階と、前記粗還元された溶液に過酸化水素を加えて仕上還元する第2段階と、を順次行うことからなり、これによって一般式Cr(H(3−3/n)POで表されるリン酸クロムを含有する表面処理用リン酸クロム溶液を製造する。ここに、2≦n≦3である。
【0009】
上記発明において、第1段階におけるCr(VI)の還元率は、90〜96%であることとするのが好ましく、また、第1段階における反応温度を90〜105℃とするのが好ましい。
【0010】
また、前記第2段階における過酸化水素の添加による仕上還元は、反応温度60℃以下で行なわれることが好ましい。
【0011】
さらに、前記第2段階の仕上還元完了後、溶液を60℃以上で加熱して残留過酸化水素を分解することが好ましい。
【0012】
本発明により得られる表面処理用リン酸クロム溶液のTOC(全有機炭素)含有量は、対クロム比で0.2%以下(質量比)であり、鋼板等の表面処理用の用いたとき、実質的に鋼板の光沢を損なうことがないものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、クロム(VI)を含有せず、それによる健康障害などを引き起こすことがない鋼板などの表面処理用に適したリン酸クロム溶液を、工業的に安価であり、その取扱が比較的容易であるぶどう糖を主たる還元剤としながら製造することができる。また、本発明により製造される表面処理用リン酸クロム溶液は、TOC(全有機炭素)の含有量が対クロム比で0.2%(質量比)ときわめて低く、鋼板等の表面処理用の用いたとき、実質的に鋼板の光沢を損なうことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明によりリン酸クロムを含有する表面処理用リン酸クロム溶液を製造するに当たっては、まず、化学量論的に、一般式Cr(H(3−3/n)POで表されるリン酸クロムを生成するに足りる三酸化クロムとリン酸を含有する混合水溶液を準備する。
【0015】
ここにおいて、nは2〜3の範囲とする。nが2未満であると、次工程の還元反応段階において、反応液の粘度が急激に増加し、反応生成物がカラメル状となって水蒸気とともに反応容器外に溢れ出し固化する。この固化した反応生成物はもはや水、リン酸に溶解しない。これに対し、nが2以上のときには、反応過程において反応液の粘度、反応終了まで上昇することなく、液状の反応生成物を得ることができる。
【0016】
なお、混合水溶液の濃度は、三酸化クロムの濃度で、その水に対する溶解度限である60質量%以下とし、続く反応の効率性等を考慮すれば、35%以上とするのがよい。
リン酸は上記所望のリン酸クロムが生成されるように添加される。その調整に当たっては、まず、上記範囲内で極力高い濃度の三酸化クロム水溶液を調整し、これに必要量のリン酸(オルトリン酸、HPO)の水溶液を加えて所期の濃度の三酸化クロム−リン酸混合溶液を得る。
【0017】
このように準備された三酸化クロム酸(CrO)−リン酸(HPO)混合水溶液に対して還元剤としてぶどう糖を加える。三酸化クロムの還元剤としては、例えば、メタノール等のアルコール類も用い得るが、引火性があるため、避けるべきである。
【0018】
ぶどう糖の添加量は、化学量論的にCr(VI)をCr(III)に還元させるに足る量に対してモル比で90〜95%とするのがよい。ぶどう糖の添加量が90%未満のときには、後に未還元のCr(VI)を還元するための過酸化水素(H)の添加量を多くしなければならず、コスト高になる。一方、ぶどう糖の添加量が95%を超えるときには、添加されたぶどう糖がCr(VI)→Cr(III)の還元反応で消費され尽くされず、未反応のぶどう糖又は中間生成物として残留し、TOCを高める原因となる。
【0019】
図1は、60質量%の三酸化クロム水溶液109.528kgに対し85質量%のリン酸水溶液182.199kgを撹拌・混合し103℃に加温された三酸化クロム−リン酸混合溶液に25質量%のぶどう糖水溶液を滴下し、さらに反応系を96℃で4hr保持して粗還元反応を終了させたときのCr(VI)→Cr(III)のぶどう糖液滴下量と後に定義される還元率との関係を示すグラフである。
【0020】
ここに示すように、ぶどう糖水溶液の滴下量が、化学量論的にCr(VI)をCr(III)に還元させるに足る量に対してモル比で96%に達するまでは、Cr(VI)→Cr(III)の還元率は、ぶどう糖水溶液の滴下量にほぼ比例して増大し、かつ、その還元率がCr(VI)をCr(III)に還元させるために添加したぶどう糖の化学両論的な量とほぼ一致している。これに対して、ぶどう糖水溶液の滴下量が、化学量論的にCr(VI)をCr(III)に還元させるに足る量に対してモル比で96%を超えても、還元率は96%で飽和している。このことは、ぶどう糖の添加量が化学量論的にCr(VI)をCr(III)に還元させるに足る量に対してモル比で96%までの場合は、ぶどう糖が還元反応で完全に消費し尽くされ、したがって反応系内にTOCが残留しないのに対し、ぶどう糖の添加量が96%を超えるときには、添加されたぶどう糖がCr(VI)→Cr(III)の還元反応で消費され尽くされず、未反応のぶどう糖又は中間生成物として残留し、TOCを高める原因となることを示している。
【0021】
ここにおいて還元率とは、下記の式によって定義され、反応系に存在する全CrのうちのCr(VI)の還元割合を示す指数である。
還元率=(1−Cr(VI))/T−Cr))×100
ここにおいて、Cr(VI)、T−Crは、それぞれ反応系中のCr(VI)及びT−Crの含有率(質量%)である。T−Crは、反応系に存在する全Cr量を意味する。なお、Cr(VI)の含有率は、吸光光度法によって、全Cr含有量の測定は、酸化還元滴定法によって行った。
【0022】
このぶどう糖による粗還元を行う第1段階の反応温度は90〜105℃とするのがよい。反応温度が90℃未満では、還元反応の反応速度が著しく低下し、粗還元に要する時間が長くなりすぎるので効率的ではない。また、未反応の反応性生成物が残留し、TOC分の増加の原因ともなる。一方、反応温度が105℃を超えると、ぶどう糖による粗還元を行う第1段階)の終了点近傍で反応系が固化して反応が進行し難くなるとともに、液状のリン酸クロムを得ることが困難になる。
【0023】
上記第1段階の反応時間は、上記ぶどう糖の添加量及び反応温度の条件下で、ぶどう糖が還元剤とし完全に消費され尽くされる時間として設定すればよい。これは、例えば、ぶどう糖の添加量を化学量論的にCr(VI)をCr(III)に還元させるに足る量に対してモル比で93%とし、反応温度を105℃として、その温度で各2hr、4hr、6hr保持後の還元率を測定し、例えば、4hr後の還元率が93%であったときには、4hrでぶどう糖が完全に消費し尽くされたとして、この時間を保持時間と定めればよい。ぶどう糖による粗還元をこのようにぶどう糖が還元剤とし完全に消費され尽くされるまで行うことにより、製品である表面処理用リン酸クロム溶液中のTOC残留量を0.2質量%以下に抑制することができる。
【0024】
第1段階でのブドウ糖によるCr(VI)の還元率は、還元剤であるぶどう糖の添加量に決まり、最大でも還元率96%に留まる。したがって、本発明では、このような第1段階のぶどう糖による還元工程ではなお反応系中に残留するCr(VI)を過酸化水素により完全に還元する第2段階を行う。この過酸化水素(H)による仕上還元により反応系中のCr(VI)は完全に還元され、還元率が100%となる。この過酸化水素(H)による仕上還元と前記ぶどう糖による粗還元との割合は、還元に要する費用の問題として処理することができるが、一般に過酸化水素に比べてぶどう糖が安価であり、かつ、還元反応もぶどう糖による場合の方が、還元速度が小さく制御しやすいので、ぶどう糖による粗還元量を高めに設定し、92〜95%とするのがよい。
【0025】
上記過酸化水素を加えて行う仕上還元の条件は、前記第1段階で得られた溶液を室温まで冷却した後に行う。その添加量は、あらかじめ、第1段階の粗還元によるCr還元率に基づき、化学量論的に残留Cr(VI)を還元するのに必要な過酸化水素量を計算し、さらにこれに加えて経験に基づいて残留Cr(VI)を完全に還元するために必要な過酸化水素量を加えて定めればよい。また、過酸化水素の添加の終点は、ジフェニルカルバジッド試薬により反応系にクロム(VI)が検出されなくなる点とすればよい。
【0026】
このように過酸化水素による第2段階の還元を行うことにより、Cr(VI)は完全に還元されるが、その際加えた過剰の過酸化水素が残留する。この過酸化水素は、表面処理剤中では、例えば鋼板に対する酸化剤として作用するので、分解除去する必要がある。そのため、第2段階の還元終了後、溶液を60℃以上で加熱し、過酸化水素を分解・除去する。
【実施例】
【0027】
三酸化クロムを水に溶解して60質量%の三酸化クロム水溶液109.528kgを調整した。また、リン酸を水に溶解して85質量%のリン酸水溶液182.199kgを調整した。これらを撹拌・混合したのち103℃まで加温して三酸化クロム−リン酸混合溶液とした。一方、ぶどう糖14.858kgを水に溶解して25質量%のぶどう糖水溶液59.434kgを調整し、このぶどう糖水溶液を先に調整した三酸化クロム−リン酸混合溶液中に滴下してCr(VI)を粗還元する第1段階を行った。反応温度は103℃であり、ぶどう糖の滴下に要する時間は3hrであった。滴下終了後、反応系を96℃で4hr保持して粗還元反応を終了させた。上記反応におけるぶどう糖添加量は、化学量論的にCr(VI)をCr(III)に還元させるに足る量の93.4%であり、Cr(VI)からCr(III)への還元率は93.3%であった。
【0028】
粗還元の完了した反応液を1.5hrかけて30℃まで冷却した後、35質量%の過酸化水素水15.772kgを1.5hrに亘って滴下した。過酸化水素水の滴下中、反応系の温度は30℃に保持した。過酸化水素を添加し終えてからジフェニールカルバジドを試薬として反応液中にクロム(VI)が存在しないことを確認した(第2段階)。
【0029】
上記により得られたリン酸クロム水溶液を97℃に加熱し1hr保持して残存する過酸化水素を分解した。その後、30℃まで冷却した。得られた製品の分析値を表1に示す。
【0030】
【表1】


【0031】
表1に示すように、得られたリン酸クロム溶液は、TOC(全有機炭素)量が0.1質量%未満(対Cr比)と極めて低く、鋼板に対して常法でクロメート処理を行ったところ、浴安定性も良好であった。また、クロメート処理された鋼板の耐食性も優れており、Cr(VI)の溶出がなく、かつ、表面にTOCによる汚染も認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】三酸化クロム−リン酸混合溶液にぶどう糖水溶液を滴下して粗還元反応を終了させたときのCr(VI)→Cr(III)のぶどう糖滴下量と還元率との関係を示すグラフである。




 

 


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