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発明の名称 酸化ジルコニウム粉末の製造方法及び酸化ジルコニウム粉末
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15898(P2007−15898A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−200461(P2005−200461)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
代理人 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦
発明者 伊藤 智晴 / 池住 俊哉 / 菊池 貴彦
要約 課題
成形性、焼結性、及び焼結体特性に優れた酸化ジルコニウム粉末の製造方法、及び酸化ジルコニウム粉末を提供する。

解決手段
水溶性ジルコニウム化合物を水に溶解してジルコニウム化合物水溶液を得る工程と、ジルコニウム化合物水溶液にアルカリを添加して水酸化ジルコニウムを生成させる中和工程と、水酸化ジルコニウムを洗浄する洗浄工程と、洗浄後の水酸化ジルコニウムを乾燥後仮焼して酸化ジルコニウムとした後粉砕して酸化ジルコニウム粉末を得る工程を含む酸化ジルコニウム粉末の製造方法において、洗浄工程において、洗浄液としてカルボン酸溶液、アンモニア溶液、またはカルボン酸アンモニウム塩溶液を使用することを特徴とする酸化ジルコニウム粉末の製造方法、及びこの方法により製造された酸化ジルコニウム粉末。
特許請求の範囲
【請求項1】
水溶性ジルコニウム化合物を水に溶解してジルコニウム化合物水溶液を得る工程と、該ジルコニウム化合物水溶液にアルカリを添加して水酸化ジルコニウムを生成させる中和工程と、該水酸化ジルコニウムを洗浄する洗浄工程と、該洗浄後の水酸化ジルコニウムを乾燥後仮焼して酸化ジルコニウムとした後粉砕して酸化ジルコニウム粉末を得る工程を含む酸化ジルコニウム粉末の製造方法において、前記洗浄工程において、洗浄液としてカルボン酸溶液、アンモニア溶液、またはカルボン酸アンモニウム塩溶液を使用することを特徴とする酸化ジルコニウム粉末の製造方法。
【請求項2】
前記カルボン酸溶液及びアンモニア溶液を併用することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記カルボン酸溶液、アンモニア溶液、またはカルボン酸アンモニウム塩溶液の濃度が、ZrOに換算したジルコニウムに対して0.05〜30モル%の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記水溶性ジルコニウム化合物が、オキシ塩化ジルコニウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記中和工程の前、中和工程中、又は中和工程の後に、水溶性希土類化合物を添加することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の酸化ジルコニウム粉末の製造方法。
【請求項6】
前記希土類が、スカンジウム、イットリウム、及びプロメチウムを除くランタノイド元素から選ばれることを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記希土類化合物をZrOに換算したジルコニウムに対して5〜50重量%の割合で添加することを特徴とする請求項5または6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記仮焼を、400〜1300℃の温度で行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記酸化ジルコニウム粉末が、純水で15重量%スラリーとしたとき、50μS/cm以下の電気伝導度を示すことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記酸化ジルコニウム粉末が、純水で15重量%スラリーとしたとき、5〜7の範囲のpH値を示すことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載された方法によって製造された、純水で15重量%スラリーとしたとき、50μS/cm以下の電気伝導度を示すことを特徴とする酸化ジルコニウム粉末。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載された方法によって製造された酸化ジルコニウムであって、純水で15重量%スラリーとしたとき、5〜7の範囲のpH値を示すことを特徴とする酸化ジルコニウム粉末。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化ジルコニウム粉末の製造方法及び酸化ジルコニウム粉末に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化ジルコニウムは、蒸着材タブレット、構造用セラミックス、固体電解質燃料電池部材、電子セラミックスの原料等として幅広く用いられている。かかる酸化ジルコニウムは、必要により他の原料と混合された後に造粒される。この造粒酸化ジルコニウム粉末は、一般的に成形、焼結、仕上げ加工の各工程を経て最終製品へと導かれる。最終製品の特性は、焼結体の微細構造に支配され、焼結工程で起こり得る焼結体の空孔、割れ等の欠陥を取り除くことが重要である。焼結工程での欠陥の大部分は、成形工程で形成される欠陥と不純物による異常粒成長に起因するため、成形工程での構造欠陥の防止と高純度化が重要となる。
【0003】
例えば、特許文献1及び特許文献2は、酸化ジルコニウム粉末をスラリー化した時の電気伝導度を低くする(特許文献1では500μS/cm以下、特許文献2では300μS/cm以下)ことにより、余分なイオンを取り除いてスラリー内の粉末を弱く凝集した状態にし、成形性、焼結体特性に優れた造粒粉体を製造する方法を提案している。また、特許文献3は、ジルコニウム塩水溶液を加水分解した後に、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等のアルカリ水溶液でpHを11以上に調整して水和ジルコニアスラリーを得、ついで固液分離工程で水和ジルコニアスラリー中の陰イオンを大部分除去した後に乾燥、仮焼を行うことにより、成形性、焼結体特性にすぐれた酸化ジルコニウム粉末の製造方法を提案している。
【特許文献1】特開2001−89145
【特許文献2】特開2003−192452
【特許文献3】特開平6−171942
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、原料に元来含まれている不純物、及び酸化ジルコニウムを製造する過程で添加されるイオンを水洗では完全に取り除くことが出来ない傾向にある。特許文献2の製造方法では、純度の高い原料を必要とし経済的に有利ではなく、また酸化ジルコニウムを製造する過程で添加されるイオンを水洗で完全に取り除くことは難しい。また、特許文献3の製造方法では、陰イオンの低減は図られるものの、Na、Kなど液相焼結を誘発する陽イオンが、固液分離の工程における温水洗浄で完全に取り除かれない傾向にある。これら残留イオンは、液相焼結、不均一焼結を誘発し、その結果、偏析、反り、ゆがみの原因となるため、最終的な焼結体として均一なものを得ることが難しい。
【0005】
従って、本発明は、造粒時のイオン溶出が少なく、成形性、焼結性及び焼結体特性に優れた焼結体を与える酸化ジルコニウム粉末の製造方法、及びかかる酸化ジルコニウム粉末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、水溶性ジルコニウム化合物を水に溶解してジルコニウム化合物水溶液を得る工程と、該ジルコニウム化合物水溶液にアルカリを添加して水酸化ジルコニウムを生成させる中和工程と、該水酸化ジルコニウムを洗浄する洗浄工程と、該洗浄後の水酸化ジルコニウムを乾燥後仮焼して酸化ジルコニウムとした後粉砕して酸化ジルコニウム粉末を得る工程を含む酸化ジルコニウム粉末の製造方法において、前記洗浄工程において、洗浄液としてカルボン酸溶液、アンモニア溶液、またはカルボン酸アンモニウム塩溶液を使用することを特徴とする酸化ジルコニウム粉末の製造方法を提供する。
【0007】
また、本発明によると、本発明の製造方法により製造された酸化ジルコニウム粉末であって、純水で15重量%スラリーとしたとき、50μS/cm以下の電気伝導度を示し、5〜7の範囲のpH値を示す酸化ジルコニウム粉末が提供される。
【0008】
さらに、本発明によると、本発明の製造方法により製造された酸化ジルコニウム粉末であって、純水で15重量%スラリーとしたとき、5〜7の範囲のpH値を示すことを特徴とする酸化ジルコニウム粉末が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、成形性、焼結性、及び焼結体特性に優れた酸化ジルコニウム粉末が得られる。本発明による酸化ジルコニウム粉末は、造粒時のイオン溶出が少ないため、焼結後の製品不良率の低減に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0011】
本発明による酸化ジルコニウム粉末の製造方法は、ジルコニウム化合物水溶液を調製する工程と、ジルコニウム化合物水溶液にアルカリを添加して水酸化ジルコニウムを生成させる中和工程と、水酸化ジルコニウムを洗浄する洗浄工程と、洗浄後の水酸化ジルコニウムを乾燥後仮焼して酸化ジルコニウムとした後粉砕して酸化ジルコニウム粉末を得る工程を含む。
【0012】
酸化ジルコニウム(ZrO)を製造するための主な方法として、加水分解法、中和沈殿法がある。その基本的な工程はすでに公知であり、いずれの方法も水酸化ジルコニウムを経由するため本発明に適用できる。
【0013】
出発原料の水溶性ジルコニウム化合物としては、アルカリを用いた中和によって水酸化ジルコニウムを生成し得るものを広く利用することが出来る。なかでも、オキシ塩化ジルコニウムは比較的安価であり、また排水利用上の問題を生ずることが少ないので、本発明の出発物質として好適に利用できる。以下、出発物質としてオキシ塩化ジルコニウムを用いる中和沈殿法として一般的な、塩基性硫酸ジルコニウム(Zr(OH)(4−2x)(SO・nHO(但し0<x<2))を経由する酸化ジルコニウム粉末を製造する工程を具体的に説明する。なお、本明細書中において「水酸化ジルコニウム」とは、水和ジルコニア、結晶性水和ジルコニア、非結晶性水和ジルコニアなどと称されるものを言う。
【0014】
先ずオキシ塩化ジルコニウムを水に溶解させてその水溶液を調製する。オキシ塩化ジルコニウム水溶液の濃度は、生成効率、及び次工程で生成される塩基性硫酸ジルコニウムのスラリー粘度を考慮すると、ZrOに換算して約10〜約500g/リットル、好ましくは該換算値で約20〜約250g/リットルの範囲とすることが望ましい。
【0015】
ついで、オキシ塩化ジルコニウム水溶液に、硫酸イオンを含む物質を添加する。硫酸イオンを含む物質は固体、液体のいずれでもよく、硫酸イオンが水溶液中に安定に存在するものであれば特に制限されない。代表的には、硫酸、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどを用いることができる。
【0016】
これら硫酸イオン含有物質は、水溶液の形でオキシ塩化ジルコニウム水溶液に加えることができる。硫酸イオン含有物質の添加量は、塩基性硫酸ジルコニウムが生成するのに十分な量である。具体的には、ジルコニウム1モルに対し硫酸イオンとして0.3モル以上、好ましくは0.4モル以上とすることが望ましい。なお、硫酸イオン含有物質の添加量を化学量論的に過剰とすることは、経済的な観点から避けるほうが好ましい。
【0017】
このように硫酸イオン含有物質を添加したオキシ塩化ジルコニウム水溶液を加温して、塩基性硫酸ジルコニウムを生成させる。加温温度は50℃以上とすることが好ましい。温度が50℃未満であると、塩基性硫酸ジルコニウムの生成速度が小さく、工業的に不利となるからである。なお、塩基性硫酸ジルコニウムは、ジルコニウムイオンと硫酸イオンの存在下で50℃以上に加温されていれば十分に早く生成するので、加温手段については特に制限は無い。また、オキシ塩化ジルコニウム溶液、硫酸イオン含有物質溶液をそれぞれ加温した後に混合するなど適宜の手段を採ることもできる。
【0018】
次に、中和工程において、アルカリを添加することにより、水酸化ジルコニウムスラリーを得ることが出来る。塩基性硫酸ジルコニウムは、pH7以上でその大部分の硫酸イオンが置換され水酸化ジルコニウムになるので、中和操作はpHを7以上にするように行えばよい。アルカリとしては、工業的に通常使用されるアルカリ、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水などを使用できる。中和による硫酸イオンの水酸基イオンへの置換を完全に行うために、攪拌羽による攪拌やポンプによる循環など、工業的通常に行われる攪拌操作をあわせて行うことが好ましい。
【0019】
本発明において、酸化ジルコニウムには、安定剤として希土類元素を含有させることができる。これら希土類元素を添加することにより、通常、室温で単斜晶である酸化ジルコニウムの結晶を、正方晶が多数を占める安定な結晶構造にすることができる。このような希土類元素は、上記中和段階の前に、中和段階の際に、又は中和段階の後に希土類を含む適当な化合物、例えば塩化セリウム等を水溶液の形で加えることにより行うことができる。ここでいう希土類元素とは、スカンジウム、イットリウム、及びプロメチウムを除くランタノイド元素を言う。これら希土類化合物の添加量は、酸化ジルコニウムの用途に応じて定めることが好ましく、一般的にその含有量は、ZrOに換算したジルコニウムの5〜50重量%とすることが好ましい。希土類化合物の添加量が5重量%以下であると、酸化ジルコニウムの正方晶が安定化せず、室温において単斜晶で存在する割合が高くなり、高強度とならない傾向がある。50重量%以上であると、酸化ジルコニウムの正方晶が完全に安定化され、室温における応力誘起変態が起こりにくく、高強度とならない傾向がある。
【0020】
なお、酸化ジルコニウム粉末中の鉄、ニッケルなどの遷移金属を特に低減する必要があるときは、中和前に塩基性硫酸ジルコニウム沈殿をろ過することが好ましい。この操作により沈殿と母液を分離して遷移金属イオンのほとんどを母液中に残留させ、塩基性硫酸ジルコニウムをこれら遷移金属元素の含有量の低いものとすることが出来る。ろ過され、分離した塩基性硫酸ジルコニウムは再び水に分散させ、上記中和操作を加える。
【0021】
上記中和操作によって水酸化ジルコニウムを生成させた後、ろ過、水洗を行い、硫酸イオン、塩化物イオンなどの夾雑イオンを大部分除去した水酸化ジルコニウムケーキとする。ろ過、洗浄には通常工業的に使用されているフィルタープレス、遠心分離器などが使用できる。ろ過、洗浄は夾雑イオンがジルコニウムに対して3モル%以下になるまで繰り返すことが望ましい。
【0022】
次に、洗浄後なお残存する夾雑イオンを除去するために、元素記号H、C、N、Oで表される元素のみから構成されるカルボン酸溶液、アンモニア溶液、またはカルボン酸アンモニウム塩溶液を用い、先の洗浄工程と同様にろ過、洗浄を行う。カルボン酸溶液とアンモニア溶液は併用することもできる。一般式R−COOHで表されるカルボン酸としてはギ酸、酢酸、シュウ酸などが使用できる。また、カルボン酸アンモニウムとしてはギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウムなどが使用できる。カルボン酸溶液、アンモニア溶液、またはカルボン酸アンモニウム塩溶液の濃度は、夾雑イオンの濃度を勘案して決めればよいが、ZrOに換算したジルコニウムに対して0.05〜30モル%とすることが好ましい。濃度が0.05モル%以下であると、夾雑イオンが十分に除去されない傾向にある。また、濃度が30モル%以上であると、経済的な観点から好ましくない。
【0023】
カルボン酸溶液、アンモニア溶液、またはカルボン酸アンモニウム塩溶液を用いて水酸化ジルコニウムを洗浄することにより次の効果が得られる。すなわち、カルボン酸溶液またはカルボン酸アンモニウム塩溶液に含まれるカルボキシルイオンR−COOイオンが、夾雑イオン中の陰イオンを置換し、一方でアンモニア溶液またはカルボン酸アンモニウム塩溶液に含まれるアンモニウムイオンNH4+が、夾雑イオン中の陽イオンを置換する。このカルボキシルイオン及びアンモニウムイオンがNa、K、Cl、SO2−などの夾雑イオンを置換する機構は詳らかではないが、以下の理由によるものと推定している。
【0024】
夾雑イオンの原因となる塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びその塩などの強酸、強アルカリのイオンと比べて、カルボン酸、アンモニア及びその塩などの弱酸、弱アルカリのイオンの方が、水酸化ジルコニウム表面への親和力が高い。そのため、このような弱酸、弱アルカリのイオンにより強酸、強アルカリイオンの置換が進行する。
【0025】
ついで、このようにして得られた水酸化ジルコニウムを乾燥して、その付着水の脱水を行う。この乾燥は、工業的に通常使用される外燃式または内燃式乾燥装置を使用して、60〜200℃の温度に保持することによって行うことができるが、後の仮焼工程でさらに高い温度にさらされるため特に温度の上限はない。
【0026】
しかる後、得られた水酸化ジルコニウムを仮焼して、酸化ジルコニウムとする。仮焼温度は、得られる酸化ジルコニウムの用途に応じて適当に選ぶことが出来るが、夾雑イオンを置換したカルボキシルイオン、アンモニウムイオンを分解除去するためには、400℃以上の温度とすることが好ましい。また、1300℃を超える温度では酸化ジルコニウムが急速に粒子成長して粗大な粒子となるため、上限は1300℃とすることが好ましい。
【0027】
次に、仮焼して得られた酸化ジルコニウムを必要に応じて粉砕し、粒度の調整を行う。粉砕は、通常工業的に使用されるスタンプミル、ローラーミル、ジェットミル、媒体ミル、振動ミル、及びボールミル等を使用することができる。
【0028】
以上のようにして得られる酸化ジルコニウム粉末は、純水で15重量%スラリーとしたとき、50μS/cm以下の電気伝導度を示し、5〜7の範囲のpHを示す。かかる酸化ジルコニウム粉末は、成形性、焼結性及び焼結特性に優れ、造粒時のイオン溶出が少ないため、焼結後の製品不良率の低減に寄与する。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
なお、「電気伝導度」は、特に断らない限り、電気伝導度0.3μS/cmの純水170gに30gの酸化ジルコニウム粉末を投入し、攪拌機で5分間攪拌分散させた酸化ジルコニウム15重量%スラリーの電気伝導度を、導電率計SC−51(横河電機(株)製)で測定したものを言う。「pH」は、電気伝導度を測定する場合と同様に調製した15重量%のスラリーを、市販のpHメータで測定した値を言う。「平均粒子径」は、レーザー回折法による粒度分布測定装置(島津製作所製SALD2000A、屈折率2.4〜0.1i)を用いて測定した積算体積の50%に対応する粒径D50を言う。「比表面積」は、細孔分布測定装置(ユアサアイオニクス製、NOVA1000)を用いてBET1点法により算出した値を言う。「焼結密度」は、アルキメデス法で測定した密度を言う。「真円度」は、真円度測定装置((株)ミツトヨ製RA−116D)を用い、最小二乗中心法(LSC)で求めた値を言う。
【0031】
実施例1
ZrO換算濃度50g/リットルのオキシ塩化ジルコニウム水溶液2リットルを準備した。この溶液に、硫酸アンモニウムをZrOに対して0.50モル%添加した後、溶液を攪拌しながら95℃まで加熱して塩基性硫酸ジルコニウムスラリーを得た。このスラリーを60℃まで冷却したのち、ヌッチェで塩基性硫酸ジルコニウムを母液から分離した。得られた塩基性硫酸ジルコニウム固形分を水に分散させた後、アンモニア水を加えて中和し、水酸化ジルコニウムを含むスラリーを得た。得られたスラリーのろ過−洗浄を3回繰り返して水酸化ジルコニウムケーキを得た。2g/リットルのギ酸溶液1リットルと0.5g/リットルのアンモニア溶液1リットルとの混合溶液に、上記水酸化ジルコニウムケーキを攪拌機で分散させスラリーとした後、これをヌッチェでろ過し、得られた水酸化ジルコニウムケーキを120℃で乾燥して水酸化ジルコニウム粉末とした。この水酸化ジルコニウム粉末を外熱炉で800℃で仮焼した後、ジェットミルで粉砕して酸化ジルコニウム粉末を得た。得られた酸化ジルコニウム粉末の平均粒子径は1.3μm、BETは23m/gであった。さらに、この酸化ジルコニウムを純水でスラリーとして電気伝導度とpHを測定したところ、電気伝導度は1.37μS/cm、pHは6.4であった。
【0032】
実施例2
ZrO換算濃度50g/リットルのオキシ塩化ジルコニウム水溶液2リットルを準備した。この溶液に、硫酸アンモニウムをZrOに対して0.50モル%添加した後、溶液を攪拌しながら95℃まで加熱して塩基性硫酸ジルコニウムスラリーを得た。このスラリーを60℃まで冷却したのち、ヌッチェで塩基性硫酸ジルコニウムを母液から分離した。得られた塩基性硫酸ジルコニウム固形分を水に分散させた後、アンモニア水を加えて中和し、水酸化ジルコニウムを含むスラリーを得た。得られたスラリーのろ過−洗浄を3回繰り返して水酸化ジルコニウムケーキを得た。3g/リットルのギ酸アンモニウム溶液2リットルに先の水酸化ジルコニウムケーキを攪拌機で分散させスラリーとした後、ヌッチェでろ過し、得られた水酸化ジルコニウムケーキを120℃で乾燥して水酸化ジルコニウム粉末とした。この水酸化ジルコニウム粉末を外熱炉で1200℃で仮焼した後、ジェットミルで粉砕して酸化ジルコニウム粉末とした。得られた酸化ジルコニウム粉末の平均粒子径は1.8μm、BETは1.2m/gであった。さらに、この酸化ジルコニウムを純水でスラリーとして電気伝導度とpHを測定したところ、電気伝導度は2.7μS/cm、pHは6.2であった。
【0033】
実施例3
ZrO換算濃度50g/リットルのオキシ塩化ジルコニウム水溶液2リットルを準備した。この溶液に、硫酸アンモニウムをZrOに対して0.50モル%添加した後、溶液を攪拌しながら95℃まで加熱して塩基性硫酸ジルコニウムスラリーを得た。このスラリーを60℃まで冷却した後、アンモニア水を加えて中和し、水酸化ジルコニウムを含むスラリーを得た。得られたスラリーのろ過−洗浄を2回繰り返して水酸化ジルコニウムケーキを得た。5g/リットルのギ酸溶液1リットルと1g/リットルのアンモニア溶液1リットルとの混合溶液に、先の水酸化ジルコニウムケーキを攪拌機で分散させスラリーとした後、これをヌッチェでろ過し、この水酸化ジルコニウムケーキを120℃で乾燥して水酸化ジルコニウム粉末とした。この水酸化ジルコニウム粉末を外熱炉で800℃にて仮焼した後、ジェットミルで粉砕して酸化ジルコニウム粉末とした。得られた酸化ジルコニウム粉末の平均粒子径は1.4μm、BETは21m/gであった。さらに、この製品酸化ジルコニウムを純水でスラリーとして電気伝導度とpHを測定したところ、電気伝導度は8.8μS/cm、pHは6.4であった。
【0034】
実施例4
ZrO換算濃度60g/リットルのオキシ塩化ジルコニウム水溶液2リットルを準備した。この溶液に硫酸アンモニウムをZrOに対して0.60%モル添加した後、溶液を攪拌しながら95℃まで加熱し、塩基性硫酸ジルコニウムスラリーを得た。このスラリーを60℃まで冷却したのちアンモニア水を加えて中和し、水酸化ジルコニウムを含むスラリーを得た。得られたスラリーのろ過−清浄を1回行い、水酸化ジルコニウムケーキを得た。10g/リットルのギ酸溶液1リットルと5g/リットルのアンモニア溶液1リットルとの混合溶液に、先の水酸化ジルコニウムケーキを攪拌機で分散させスラリーとした後、これをヌッチェでろ過し、得られた水酸化ジルコニウムケーキを120℃で乾燥して水酸化ジルコニウム粉末とした。この水酸化ジルコニウム粉末を外熱炉で800℃で仮焼した後、ジェットミルで粉砕して酸化ジルコニウム粉末とした。得られた酸化ジルコニウム粉末の平均粒子径は3.8μm、BETは11m/gであった。さらに、この製品酸化ジルコニウムを純水でスラリーとして電気伝導度とpHを測定したところ、電気伝導度は9.8μS/cm、pHは6.5であった。
【0035】
実施例5
ZrO換算濃度60g/リットルのオキシ塩化ジルコニウム水溶液2リットルを準備した。この溶液に硫酸アンモニウムをZrOに対して0.60%モル添加した後、溶液を攪拌しながら95℃まで加熱し、塩基性硫酸ジルコニウムスラリーを得た。このスラリーを60℃まで冷却したのち、苛性ソーダ(NaOH)を加えて中和し、水酸化ジルコニウムを含むスラリーを得た。得られたスラリーのろ過−洗浄を2回繰り返して水酸化ジルコニウムケーキを得た。5g/リットルのシュウ酸溶液1リットルと3g/リットルのアンモニア溶液1リットルを混合したものに、先の水酸化ジルコニウムを攪拌機で分散させスラリーとした後、これをヌッチェでろ過し、この水酸化ジルコニウムケーキを120℃で乾燥して水酸化ジルコニウム粉末とした。得られた水酸化ジルコニウム粉末を外熱炉で800℃にて仮焼した後、ジェットミルで粉砕して酸化ジルコニウム粉末とした。得られた酸化ジルコニウム粉末の平均粒子径は4.0μm、BETは10m/gであった。さらに、この製品酸化ジルコニウムを純水でスラリーとして電気伝導度とpHを測定したところ、電気伝導度は7.7μS/cm、pHは6.4であった。
【0036】
実施例6
ZrO換算濃度120g/リットルのオキシ塩化ジルコニウム水溶液2リットルを準備した。この溶液に硫酸をZrOに対して0.70モル%添加した後、溶液を攪拌しながら95℃まで加熱し塩基性硫酸ジルコニウムスラリーを得た。このスラリーを60℃まで冷却したのち苛性ソーダを加えて中和し、水酸化ジルコニウムを含むスラリーを得た。得られたスラリーのろ過−洗浄を3回繰り返して水酸化ジルコニウムケーキを得た。2g/リットルの酢酸溶液1リットルと1.5g/リットルのアンモニア溶液1リットルを混合したものに、先の水酸化ジルコニウムを攪拌機で分散させスラリーとした後、これをヌッチェでろ過し、得られた水酸化ジルコニウムケーキを120℃で乾燥して水酸化ジルコニウム粉末とした。この水酸化ジルコニウム粉末を外熱炉で800℃にて仮焼した後、ジェットミルで粉砕して製品酸化ジルコニウム粉末とした。得られた酸化ジルコニウム粉末の平均粒子径は16μm、BETは7m/gであった。さらに、この製品酸化ジルコニウムを純水でスラリーとして電気伝導度とpHを測定したところ、電気伝導度は2.7μS/cm、pHは6.3であった。
【0037】
実施例7
ZrO換算濃度30g/リットルのオキシ塩化ジルコニウム水溶液2リットルを準備した。この溶液に硫酸アンモニウムをZrOに対して0.60モル%添加した後、溶液を攪拌しながら95℃まで加熱し塩基性硫酸ジルコニウムスラリーを得た。このスラリーのpHは1以下であった。このスラリーに塩化イットリウム(YCl)を0.05モル含む水溶液を添加した後、溶液を60℃まで冷却し苛性ソーダを加えて中和し、水酸化ジルコニウムを含むスラリーを得た。得られたスラリーのろ過−洗浄を3回繰り返して水酸化ジルコニウムケーキを得た。0.5g/リットルのギ酸溶液1リットルと0.1g/リットルのアンモニア溶液1リットルとの混合溶液に、先の水酸化ジルコニウムケーキを攪拌機で分散させスラリーとした後、これをヌッチェでろ過し、得られた水酸化ジルコニウムケーキを120℃で乾燥して水酸化ジルコニウム粉末とした。この水酸化ジルコニウムを外熱炉で800℃にて仮焼した後、ジェットミルで粉砕して酸化ジルコニウム粉末とした。得られた酸化ジルコニウム粉末の平均粒子径は0.7μm、BETは38m/gであった。さらにこの製品酸化ジルコニウムを純水でスラリーとして電気伝導度とpHを測定したところ、電気伝導度は0.8μS/cm、pHは6.2であった。
【0038】
比較例1
ZrO換算濃度50g/リットルのオキシ塩化ジルコニウム水溶液2リットルを準備した。この溶液に、硫酸アンモニウムをZrOに対して0.50モル%添加した後、溶液を攪拌しながら95℃まで加熱し、塩基性硫酸ジルコニウムスラリーを得た。このスラリーを60℃まで冷却したのち、ヌッチェで塩基性硫酸ジルコニウムを母液から分離した。得られた塩基性硫酸ジルコニウム固形分を水に分散させた後、アンモニア水を加えて中和し、水酸化ジルコニウムを含むスラリーを得た。得られたスラリーのろ過−洗浄を4回繰り返して水酸化ジルコニウムケーキを得た。この水酸化ジルコニウムケーキを120℃で乾燥して水酸化ジルコニウム粉末を得た。得られた水酸化ジルコニウム粉末を外熱炉で800℃にて仮焼した後、ジェットミルで粉砕して酸化ジルコニウム粉末を得た。得られた酸化ジルコニウム粉末の平均粒子径は1.3μm、BETが24m/gであった。さらに、この酸化ジルコニウムを純水でスラリーとして電気伝導度とpHを測定したところ、電気伝導度は58μS/cm、pHは4.5であった。
【0039】
比較例2
ZrO換算濃度50g/リットルのオキシ塩化ジルコニウム水溶液2リットルを準備した。この溶液に硫酸アンモニウムをZrOに対して0.50%モル添加した後、溶液を攪拌しながら95℃まで加熱し塩基性硫酸ジルコニウムスラリーを得た。このスラリーを60℃まで冷却した後アンモニア水を加えて中和し、水酸化ジルコニウムを含むスラリーを得た。得られたスラリーのろ過−洗浄を4回繰り返して水酸化ジルコニウムケーキを得た。この水酸化ジルコニウムケーキを120℃で乾燥して水酸化ジルコニウム粉末とした。得られた水酸化ジルコニウム粉末を外熱炉で800℃にて仮焼した後、ジェットミルで粉砕して酸化ジルコニウム粉末とした。得られた酸化ジルコニウム粉末の平均粒子径は1.4μm、BETは21m/gであった。さらに、この酸化ジルコニウムを純水でスラリーとして電気伝導度とpHを測定したところ、電気伝導度64μS/cm、pHは4.3であった。
【0040】
比較例3
ZrO換算濃度60g/リットルのオキシ塩化ジルコニウム水溶液2リットルを準備した。この溶液に硫酸アンモニウムをZrOに対して0.60%モル添加した後、溶液を攪拌しながら95℃まで加熱し塩基性硫酸ジルコニウムスラリーを得た。このスラリーを60℃まで冷却したのち苛性ソーダを加えて中和し、水酸化ジルコニウムを含むスラリーを得た。得られたスラリーのろ過−洗浄を3回繰り返して水酸化ジルコニウムケーキを得た。この水酸化ジルコニウムケーキを120℃で乾燥して水酸化ジルコニウム粉末とした。得られた水酸化ジルコニウム粉末を外熱炉で800℃にて仮焼した後、ジェットミルで粉砕して酸化ジルコニウム粉末とした。得られた酸化ジルコニウム粉末の平均粒子径は4.0μm、BETは10m/gであった。さらに、この酸化ジルコニウムを純水でスラリーとして電気伝導度とpHを測定したところ、電気伝導度は138μS/cm、pHは7.6であった。
【0041】
比較例4
ZrO換算濃度120g/リットルのオキシ塩化ジルコニウム水溶液2リットルを準備した。この溶液に硫酸をZrOに対して0.70モル%添加した後、溶液を攪拌しながら95℃まで加熱し塩基性硫酸ジルコニウムスラリーを得た。このスラリーを60℃まで冷却したのち苛性ソーダを加えて中和し、水酸化ジルコニウムを含むスラリーを得た。得られたスラリーのろ過−洗浄を3回繰り返し水酸化ジルコニウムケーキを得た。この水酸化ジルコニウムケーキを120℃で乾燥して水酸化ジルコニウム粉末とした。得られた水酸化ジルコニウム粉末を外熱炉で800℃にて仮焼した後、ジェットミルで粉砕して製品酸化ジルコニウム粉末とした。得られた酸化ジルコニウム粉末の平均粒子径は15μm、BETは7m/gであった。さらに、この製品酸化ジルコニウムを純水でスラリーとして電気伝導度とpHを測定したところ、電気伝導度は258μS/cm、pHは7.8であった。
【0042】
実施例及び比較例で得られた酸化ジルコニウム粉末を、製造工程で希土類を添加していないものは酸化ジルコニウムに対して5mol%のイットリア粉末を加えた後に、純水で15重量%スラリーとし、これを噴霧乾燥したのち、1000kgf/cmの圧力で直径20mmの円形金型を用いて一軸成形した。成形後1500℃で3時間焼成することにより焼結体を得た。得られた焼結体の密度をアルキメデス法により測定した。さらに平面研削盤で厚さ3mmとした後、均一に焼結が進んでいるか否かを評価するため、(株)ミツトヨ製真円度測定装置RA−116D型を用い、最小二乗中心法(LSC)で真円度を測定した。50試料の平均の結果を表1に示す。
【表1】






 

 


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