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発明の名称 高純度苛性カリを製造するための容器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−45678(P2007−45678A)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
出願番号 特願2005−233677(P2005−233677)
出願日 平成17年8月11日(2005.8.11)
代理人
発明者 刑部 次功 / 今吉 聖 / 浜守 光晴
要約 課題

本発明の課題は、上記の様な苛性カリの高純度化要求に対し、比較的簡便な方法で高純度苛性カリを得ることができる製造方法に用いる容器を提供することである。

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
苛性カリ水溶液を高温状態で濃縮して苛性カリの一水塩結晶を析出させ、当該一水塩結晶を含むスラリーから結晶分と母液とを分離し、この結晶分を水または苛性カリ水溶液でリンスすることにをおいて、苛性カリの一水塩結晶を含むスラリーを析出させる容器の材質がニッケル材、銀材、金材、高ニッケル含有ステンレス、ポリスルフォンおよび/またはポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする高純度苛性カリの製造方法。
【請求項2】
高温状態が70℃超であり150℃以下であることを特徴とする請求項1記載の高純度苛性カリの製造方法。
【請求項3】
晶析器内の母液中の苛性カリ濃度が57〜70重量%であることを特徴とする請求項1または2にそれぞれ記載の高純度苛性カリの製造方法。
【請求項4】
結晶分の1/3〜1/200倍の液量でリンスすることを特徴とする請求項1〜3にそれぞれ記載の高純度苛性カリの製造方法。
【請求項5】
請求項1の母液および/またはリンス洗液の苛性カリ濃度を49〜65重量%に調整して、再度利用することを特徴とする請求項1〜4にそれぞれ記載の高純度苛性カリの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度の苛性カリ(水酸化カリウム)を得ることができる精製方法に用いる容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に苛性カリは、塩化カリウム水溶液のイオン交換膜法等による電気分解で、塩素や水素に伴い製造されている。これにより製造された水酸化カリウムは、純度が良く多方面で使用されている。この水酸化カリウムは、例えば、各種カリ塩の製造、医薬品、化粧品や分析試薬等の多方面にわたり日常不可欠の無機化学品材料として使用されている。中でも電池材料、電子材料や医療等の分野では、特に不純物除去された高純度品が必要である。近年、LSI等に用いるシリコン板の化学的機械研磨では、高集積化からシリコン板への不純物侵入や汚染を防ぐ意味でも含有されるナトリウム分や不純金属が極力少ない高純度苛性カリが必要とされている。
またアルカリ電池等では、苛性カリ中の重金属分や塩素イオンによる電圧等長期安定性の低下や液漏れを防止する必要がある。このようなことから、高純度の苛性カリ製品が要望されている。
このような苛性カリの高純度化要求に対して、電解室を工夫したものや晶出による水酸化カリウムの精製方法が開示されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。また、電気分解をおこなう前の塩化カリウムの精製を行い高純度の苛性カリを得る方法も開示されている(例えば、特許文献3)。しかし、電気分解で苛性カリを得る方法では、低ナトリウムの塩化カリウムを原料とすることにより低ナトリウム苛性カリが得られるが、低ナトリウムの塩化カリウムを大量に得る必要がある。このことから、電気分解で苛性カリを得る方法は、晶析での精製に比べコスト的に不利である。また、冷却による晶析では、母液の濃縮と冷却を考慮すると、高温状態での晶析に比べコスト的に不利である。
また、溶解度差等を利用した精製方法として、晶析器を直列に配置し多段で晶析操作を繰り返すことにより、塩化アルミニウムの純度を高める方法が開示されている(例えば、特許文献4)。この場合の精製コストは、精製方法の特性によるもの他、精製物の収率によっても大きく異なる。
【0003】
【特許文献1】特公平3−061605号公報
【特許文献2】特公平5−082328号公報
【特許文献3】特開2002−317286号公報
【特許文献4】特開2004−203713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、上記の様な苛性カリの高純度化要求に対し、比較的簡便な方法で高純度苛性カリを得ることができる製造方法に用いる容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、高純度の苛性カリを得る方法に用いる容器について鋭意検討した結果、苛性カリの一水塩結晶を含むスラリーを析出させる容器の材質がニッケル材、銀材、金材、高ニッケル含有ステンレス、ポリスルフォンおよび/またはポリテトラフルオロエチレンを用いることによりナトリウム、塩素、並びに鉄、クロムおよびニッケル等の重金属等の不純物をほとんど含まない高純度苛性カリが得られることを見出し本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、
(1)苛性カリ水溶液を高温状態で濃縮して苛性カリの一水塩結晶を析出させ、当該一水塩結晶を含むスラリーから結晶分と母液とを分離し、この結晶分を水または苛性カリ水溶液でリンスすることにをおいて、苛性カリの一水塩結晶を含むスラリーを析出させる容器の材質がニッケル材、銀材、金材、高ニッケル含有ステンレス、ポリスルフォンおよび/またはポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする高純度苛性カリの製造方法、
(2)高温状態が70℃超であり150℃以下であることを特徴とする上記(1)記載の高純度苛性カリの製造方法、
(3)晶析器内の母液中の苛性カリ濃度が57〜70重量%であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の高純度苛性カリの製造方法、
(4)結晶分の1/3〜1/200倍の液量でリンスすることを特徴とする上記(1)〜(3)にそれぞれ記載の高純度苛性カリの製造方法、
(5)母液および/またはリンス洗液の苛性カリ濃度を49〜65重量%に調整して、再度利用することを特徴とする上記(1)〜(4)にそれぞれ記載の高純度苛性カリの製造方法、
である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の製造容器を使用して得た高純度苛性カリを用いることにより、化学的機械研磨後の高集積化シリコン板の要求性能を満たすことができ、且つアルカリ電池等の液漏れを防止することなどができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の製造容器を用いる高純度苛性カリの製造方法について、図1を参照しながら説明する。しかし、本発明は、これらの説明に限定されるものではない。なお、%は、重量%を示す。
図1は、本発明の製造容器を用いる高純度苛性カリの製造方法の工程を示した模式図である。攪拌機付き晶析器4に苛性カリ水溶液(原料2)を導入するにあたり、市販で入手しやすい48%品を原料とする場合は、効率アップ等を目的にしてプレ濃縮器1を使用することが好ましい。即ち、48%品を原料2としてプレ濃縮器1に導入する。プレ濃縮器1は、スチーム3により加熱し、減圧ラインを通じて水を蒸発させる。ここで濃縮したもの(濃縮1)は、攪拌機付き晶析器4に導入する。攪拌機付き晶析器4は、スチーム3により加熱し、減圧ラインを通じて、当該濃縮1から水を蒸発させ、濃縮する。そして、晶析器4内で苛性カリの一水塩結晶(例えば、粒径1〜2mm程度)を析出させ、適当なスラリー濃度になるまで濃縮する。そして、当該スラリーは、遠心分離器5に抜き出す。この遠心分離器5により結晶7と母液8とに分離させる。当該遠心分離器5中の結晶は、リンス液6でリンスを行い、結晶周囲に付着した母液を洗浄する。この洗液は、母液とともに再利用することができる。リンス後の結晶7は、高純度苛性カリ結晶溶解槽9にて適宜必要な濃度に溶解しても良く、結晶品として使用しても良い。苛性カリの溶解濃度は、市場に流通している48〜49%に希釈する場合がほとんどであるが、用途によりこれより高濃度とする場合や、更なる精製を行うため49〜57%程度に溶解する場合がある。なお、更なる精製を行う場合は、特に結晶化防止の加温処置を行いさらに57〜65%の範囲で供給することも可能である。
図1の11〜18は、減圧を発生させる装置である。晶析器4より発生した水蒸気は、蒸気凝縮器12にて低温冷却水11と接触させ凝縮させる。この凝縮した水は、低温冷却水受槽13に入れ、そして冷凍機等を用いて低温冷水11として循環再利用を行うことができる。
【0008】
なお、上記の高純度化操作を繰り返すことにより、更なる高純度化を達成することができる。例えば、攪拌機付き晶析器を複数用意し、多段精製により高純度に精製した苛性カリを得ることができる。即ち、苛性カリ結晶溶解槽9で得た苛性カリ溶解液を、次の濃縮器や晶析器に送れば良い。またこの変形で、一旦晶析器4系内の液を除去後、1回精製した苛性カリ結晶溶解槽9溶解液を原料2として用いることにより、更なる精製を行うことことができる。
母液またはリンス液の不純物濃度が所定値以下であれば原料2に混入し、再利用することができる。
【0009】
高純度の苛性カリは、各種用途にて様々な不純物濃度の基準がある。また、高純度の苛性カリの取扱い濃度は、各種用途により異なる。このため、本発明の高純度苛性カリの製造方法において、苛性カリの濃度を48%に換算して記載した。また、不純物濃度もこの48%の苛性カリ濃度のものに換算して記載した。このことから、本発明の製造方法により得られる高純度苛性カリは、ナトリウムで10mg/kg以下で、塩素は塩化カリウム換算で1mg/kg以下のものである。
なお、ナトリウムはナトリウムイオン(即ち、NaOHやNaCl等の形態)として存在し、塩素は塩化物イオン(即ちKClやNaCl等の形態)として存在しているものと考えられる。このことから、本発明においてこれらは、ナトリウム(即ちナトリウム原子として換算)と塩化カリウムとに換算した値を用いた。即ち、Naが10mg/kg、KClが1mg/kg、苛性カリ濃度が48%のものと、Naが20mg/kg、KClが2mg/kg、苛性カリ濃度が96%のものとは、苛性カリの濃度が異なるが同じものである。
【0010】
苛性カリの濃度は、20〜99%の範囲で多く扱われており、40%〜57%の液状品と95〜98%の固形状品とが市況で多く流通している。このことから本発明の高純度苛性カリは、これら形態のもので提供することが特に好ましい。
【0011】
苛性カリを精製するにあたり、各種精製効率を比較したところ苛性カリを直接精製する方法が最も効率が良く、且つ、苛性カリ水溶液を高温状態として苛性カリの一水塩結晶を含むスラリーを析出させる方法が最も効率が良いことが判明した。なお、本発明の精製方法では、苛性カリ濃度48%水溶液を基準として、ナトリウム含有量が200mg/kg以下で、塩素含有量がKCl換算で15mg/kg以下の苛性カリ水溶液を用いることが好ましく、ナトリウム含有量が190mg/kg以下で塩素含有量がKCl換算で15mg/kg以下の苛性カリ水溶液を用いることが、精製効率が良くより好ましい。本発明において、ナトリウム含有量が200mg/kg超のもの、および/または塩素含有量がKCl換算で15mg/kg超のものの苛性カリ水溶液を原料として用いると、目的とする高純度苛性カリが得られなくなったり、更なる精製操作を行う必要があることがあり好ましくない。また、冷却による苛性カリの析出法があるが、不純物除去の効率が悪く目標とする品質が得られない。このため、高純度の苛性カリを得るためには更なる精製操作が必要になる。また、原料としては、ナトリウム含有量が10mg/kg超のもの、および/または塩素含有量がKCl換算で1mg/kg超のものである。
【0012】
本発明の高純度苛性カリ中の鉄含有量は、苛性カリ濃度を48%に換算した値に対して(以下、苛性カリ濃度を48%に換算したときの値である)50ppb以下が好ましく、より好ましくは20ppb以下であり、15ppb以下が更に好ましい。更に、本発明の高純度苛性カリ中のクロム含有量は、20ppb以下が好ましく、より好ましくは10ppb以下であり、5ppb以下が更に好ましい。また、本発明の高純度苛性カリ中のニッケル含有量は、10ppb以下が好ましく、より好ましくは5ppb以下であり、4ppb以下が更に好ましい。また、本発明の高純度苛性カリ中の銅含有量は、10ppb以下が好ましく、より好ましくは5ppb以下である。また、本発明の高純度苛性カリ中の亜鉛含有量は、20ppb以下が好ましく、より好ましくは15ppb以下である。
即ち、本発明の高純度苛性カリは、鉄含有量が50ppb以下でクロム含有量が20ppb以下であり;ニッケル含有量が10ppb以下、銅含有量が10ppb以下、および/または亜鉛含有量が20ppb以下が好ましいものである。
【0013】
高温状態を維持する装置(以下、晶析器)は、生成するスラリー同士の結合による母液の巻き込みを防止するため、攪拌機付きであることが好ましい。なお、前述プレ濃縮や晶析器は、取扱い温度を実用性のある範囲とするため減圧条件にて実施することが好ましい。
【0014】
プレ濃縮器と晶析器とを減圧する場合、同一減圧条件でも異なった減圧条件でも良い。なお、この減圧条件は、プレ濃縮器内の溶液温度と晶析器内の溶液温度とにより異なる。即ち、溶液温度、減圧度、および苛性カリ一水塩結晶の析出速度を考慮して決定するが、プレ濃縮器内では結晶が発生するする寸前まで濃縮することが望ましい。
【0015】
本発明では、晶析器内の苛性カリ水溶液の温度が70℃超が好ましく、90℃超がより好ましく、95℃超が更に好ましく、150℃以下であることが好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。70℃以下であると、苛性カリを晶析させるために苛性カリ水溶液を濃縮するための減圧度を高くする必要があり、装置コストが大きくなり不利となる。また、90℃以下であると突沸や真空ライン閉塞等のトラブルにより、ナトリウム等の不純物除去効果が悪くなることがある。150℃超では、加熱するためのコストおよび高価な装置を使用することがあるので好ましくない。
【0016】
本発明では、プレ濃縮した後の晶析器に供給する苛性カリ水溶液は、晶析器の温度とほぼ同等になっていることが好ましい。従って、プレ濃縮器と晶析器とがほぼ同一の圧力であれば、温度は同様の操作することにより達成される。
【0017】
本発明において、晶析器内の母液中の苛性カリ濃度は、57〜70%が好ましく、60〜70%がより好ましく、更に61〜70%が好ましく、62〜65%であることが最も好ましい精製条件である。母液中の苛性カリ濃度がこの範囲外では、ナトリウム等の不純物の除去が不十分であることがあり好ましくない。なお、晶析器内の液温により母液の好ましい苛性カリ濃度が異なるので、当該液温により好ましい苛性カリ濃度がある。
【0018】
プレ濃縮器内と晶析器内とは、適度な水の揮発状態を維持することが必要である。
プレ濃縮器の運転は、スラリーが発生しない条件で行うことが好ましい。即ち、プレ濃縮器内において、過度な揮発状態であると気相部分の内壁に不溶物が付着し、この付着物が溶液内に落下し、スラリーに混入することにより、得られる苛性カリの純度が低下することがあるので好ましくない。また同様に、減圧ライン内に物が付着して閉塞を招くことがあるので好ましくない。プレ濃縮器内において、揮発状態が弱いと、濃縮が遅くなることから、運転効率が低下するため好ましくない。また、晶析器の負荷が大きくないため、運転効率が低下することがあるため好ましくない。
【0019】
晶析器内において、過度な揮発状態であると気相部の内壁に不溶物が付着し、この付着物が溶液内に落下し、スラリーに混入することにより、得られる苛性カリの純度が低下することがあるので好ましくない。また、晶析器内において、過度な揮発状態であると、減圧ライン内に物が付着して閉塞を招くことがあるので好ましくない。晶析器内において、揮発状態が弱いと、濃縮が遅くなることから、運転効率が低下するため好ましくない。
【0020】
晶析器内のスラリー濃度としては、5〜40%が好ましく、10〜35%がより好ましく、15〜30%が更に好ましい。スラリー濃度が40%超であると、粘度が高くなりすぎて晶析器からのスラリー液の取り出しがスムーズに行かなくなることがあるため好ましくない。また、5%未満では結晶量が少なく効率が悪くなるため好ましくない。
【0021】
晶析器中の平均滞留時間としては、1時間以上が好ましく、より好ましくは2時間以上である。また、6時間未満が好ましく、より好ましくは5時間未満であり、更に好ましくは3時間未満である。晶析器中の平均滞留時間が1時間未満では、一水塩の結晶中に不純物を取り込むことがあるため好ましくない。晶析器中のSVが6Hr超では、製造効率が悪くなるため好ましくない。
【0022】
この減圧条件を発生させる場合、公知の真空発生装置を用いることができる。なお、真空発生装置の能力を高めるため、水蒸気凝縮器を用いても良い。
本発明の製造方法では、スチーム式のエゼクターや真空ポンプが適用でき、濃縮中の苛性カリミストによる装置へのダメージや長期使用蓄積によるミストでの配管閉塞等のトラブルをあまり受けない構造とすることができる。
【0023】
本発明の製造容器として用いる晶析器において用いる材質としては、苛性カリ水溶液で腐食されないものであれば如何様なものでも使用することができ、ニッケル材、銀材、金材、高ニッケル含有ステンレス、ポリスルフォンまたはポリテトラフルオロエチレン等を用いることが耐食性として好ましい。これら材料を組合わせて使用することもできる。なおポリテトラフルオロエチレンは、そのまま用いてもこのコーティング材として用いてもよく、好ましくはコーティング材としてである。ポリスルフォンは、そのまま用いてもこのコーティング材として用いてもよく、好ましくはそのまま用いるものである。当該晶析器において用いる材質としては、減圧における機械的強度、伝熱性や耐食性を考慮するとニッケル材が更に好ましい。なお、ニッケル材とはJIS規格の通り各種合金が存在するが、80%以上のニッケルを含有する合金および純ニッケル(例えば、JISH4551の規格に合致したもの)を示す。高ニッケル含有ステンレスとは、30%以上、80%未満のニッケルを含有するステンレス合金である。
【0024】
本発明に用いる晶析器は、プレ濃縮器を取り付けることが、晶析器の運転の負荷を軽減できると共にこの形状をシンプルにするために好ましい。プレ濃縮器の材質は、苛性カリ水溶液で腐食されないものであれば如何様なものでも使用することができ、好ましくはSUS310S等のニッケルを15%以上含有するステンレス合金、ニッケル材、ポリスルフォンまたはポリテトラフルオロエチレンなどであり、更に好ましくはニッケルを30%以上を含有するステンレス合金またはニッケル材などである。なおポリテトラフルオロエチレンは、そのまま用いてもこのコーティング材として用いてもよく、好ましくはコーティング材としてである。なお、晶析器と同一圧で制御する場合は晶析器と同材であることが好ましい。
溶解槽や母液受槽などの加熱しない物の材質は、上記記載のもの以外にポリエチレンやポリプロピレンなども使用することができる。これら合成樹脂は、コーティング材としても使用することができる。
【0025】
晶析器内で生じたスラリーは、固液分離操作を行い、結晶と母液とに分ける。そして、純度を上げるためには、この結晶周囲に付着した母液の離脱がきわめて重要である。これは、結晶と母液との不純物の濃度差があるほど、僅かな付着でも最終的に得られる精製物に与える影響が極めて大きくなるためである。当該分取した結晶は、水若しくは苛性カリ水溶液でリンスすることが好ましい。リンスに用いる水または苛性カリ水溶液としては、得られる高純度苛性カリの純度を低下させないものであれば如何様なものでも良い。当該水としては、イオン交換水、超純水、逆浸透膜水等が好適なものとして挙げることができる。当該苛性カリ水溶液としては、高純度苛性カリ水溶液を挙げることができる。
なお、リンスすることにより得られる苛性カリの品質は向上するが、リンスする液量が多すぎると収量が低下するため好ましくない。リンスする水の量は、得られた結晶の1/3〜1/200倍の量が好ましく、より好ましくは1/3〜1/100倍であり、更に好ましくは1/10〜1/30倍である。リンスする量が1/3倍超では、結晶の溶解によるロスが大きく好ましくない。リンスする量が1/200倍未満では、リンス効果が得られないことがあるので好ましくない。
【0026】
リンスした後の結晶は、乾燥させて結晶として使用することもできるが、水溶液として使用しても良い。本発明の製造方法では、水溶液として取出した方が好ましい。高純度苛性カリ水溶液として作製する場合の水は、純度を低下させないものであれば如何様なものでも良く、イオン交換水、超純水、逆浸透膜水等を挙げることができ、好ましくは超純水、逆浸透膜水である。
【0027】
母液は、原料として用いている苛性カリ水溶液に混入して使用しても良い。但し、母液をリサイクルした場合、原料中の不純物量が増加することになる。このため、母液中の不純物濃度を測定し、所定値を超えた時点で母液を原料への混入を止めることが好ましい。即ち、母液の一部を原料液として再利用するのであるから原料より不純物が少なければ良く、この操作は原料液よりも母液の方が苛性カリ濃度が高い場合、プレ濃縮のエネルギーを少なくできる効果と、原料の回収率をアップすることができる。また精製したい着目した不純物だけを対象に考え、例えば、母液中の鉄濃度が500ppbを超えた場合、母液のリサイクルを中止する様な取扱いでも良い。また、リサイクルの指標としては、ナトリウム濃度、塩素濃度、銅濃度、ニッケル濃度、亜鉛濃度等を用いても良く、複数の不純物を組合せて判断しても良い。
【0028】
結晶をリンスした液は、同様に原料として用いている苛性カリ水溶液に混入や晶析装置へ回収して使用しても良い。この場合も、上記母液のリサイクルと同様に操作すればよい。
【0029】
○実施態様
苛性カリ濃度48重量%を基準として、ナトリウム含有量が200mg/kg以下で塩素含有量が塩化カリウム換算で15mg/kg以下を含有する苛性カリ水溶液を、高温状態で濃縮して苛性カリの一水塩結晶を析出させ、当該一水塩結晶を含むスラリーから結晶分と母液とを分離し、この結晶分を水または苛性カリ水溶液でリンスすることにおいて、苛性カリの一水塩結晶を含むスラリーを析出させる容器の材質がニッケル材、銀材、金材、高ニッケル含有ステンレス、ポリスルフォンおよび/またはポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする高純度苛性カリの製造方法。
苛性カリ水溶液を、70℃超で150℃以下の状態で苛性カリ濃度を57〜70重量%に濃縮して苛性カリの一水塩結晶を含むスラリーを析出させ、当該スラリーから結晶分と母液とを分離し、この結晶分を水または苛性カリ水溶液でリンスすることにおいて、苛性カリの一水塩結晶を含むスラリーを析出させる容器の材質がニッケル材、銀材、金材、高ニッケル含有ステンレス、ポリスルフォンおよび/またはポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする高純度苛性カリの製造方法。
苛性カリ濃度48重量%を基準として、ナトリウム含有量が200mg/kg以下でそして塩素含有量が塩化カリウム換算で15mg/kg以下を含有する苛性カリ水溶液を、70℃超であり150℃以下の状態で濃縮して苛性カリの一水塩結晶を含むスラリーを析出させ、当該スラリーから結晶分と母液とを分離し、この結晶分を水または苛性カリ水溶液でリンスすることにおいて、苛性カリの一水塩結晶を含むスラリーを析出させる容器の材質がニッケル材、銀材、金材、高ニッケル含有ステンレス、ポリスルフォンおよび/またはポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする高純度苛性カリの製造方法。
苛性カリ濃度48重量%を基準として、ナトリウム含有量が200mg/kg以下でそして塩素含有量が塩化カリウム換算で15mg/kg以下を含有する苛性カリ水溶液を、高温状態で苛性カリ濃度を57〜70重量%に濃縮して苛性カリの一水塩結晶を含むスラリーを析出させ、当該スラリーから結晶分と母液とを分離し、この結晶分を水または苛性カリ水溶液でリンスすることにおいて、苛性カリの一水塩結晶を含むスラリーを析出させる容器の材質がニッケル材、銀材、金材、高ニッケル含有ステンレス、ポリスルフォンおよび/またはポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする高純度苛性カリの製造方法。
苛性カリ濃度48重量%を基準として、ナトリウム含有量が200mg/kg以下でそして塩素含有量が塩化カリウム換算で15mg/kg以下を含有する苛性カリ水溶液を、70℃超であり150℃以下の状態で苛性カリ濃度を57〜70重量%に濃縮して苛性カリの一水塩結晶を含むスラリーを析出させ、当該スラリーから結晶分と母液とを分離し、この結晶分を水または苛性カリ水溶液でリンスすることにおいて、苛性カリの一水塩結晶を含むスラリーを析出させる容器の材質がニッケル材、銀材、金材、高ニッケル含有ステンレス、ポリスルフォンおよび/またはポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする高純度苛性カリの製造方法。
【0030】
<実施例>
以下、実施例と比較例を挙げて更に詳しく本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、%は重量%、ppmはppm(w/w)、ppbはppb(w/w)である。
各分析は次の方法にて測定を実施した。塩素は、チオシアン酸水銀(II)との錯体形成後、吸光光度分析にて測定し、塩化カリウムに換算した。Na濃度は、超純水で希釈した後ICP発光分析により測定した。水酸化カリウム濃度は、塩酸を用いた中和滴定法(指示薬としてメチルレッド・メチルブルー混合指示薬を使用)で求た。クロム、ニッケル、銅、および亜鉛の濃度は、ジエチルジチオカルバミン酸にて各金属錯体形成後、酢酸nブチルエステルを用いてこれらを抽出し、ICP−MSにより測定した。また、鉄濃度は、バソフェナンスロリンとの錯体形成後、イソアミルアルコール抽出による吸光光度分析にて実施した。
【実施例1】
【0031】
ナトリウムを39.6ppm、及び塩素を塩化カリウム換算で1.0ppmを含有する、48.5%の苛性カリ水溶液(原料)1000gを濃縮して61%の苛性カリ水溶液とし、撹拌機付きのニッケル材(ニッケル含有量が99%以上のもの)で内張りしたタンクに入れた。そして、このタンク内に入れた苛性カリ水溶液が100℃で沸騰状態になるように圧力を調節して濃縮し、苛性カリの一水塩結晶を含むスラリーを得た。このスラリーは、遠心分離により不溶部を取り出し、この不溶部量の1/20量の超純水を用いて洗浄し、高純度苛性カリ一水塩結晶を得た。この高純度苛性カリ一水塩結晶を超純水に溶解して48.5%の濃度とした。
この結果、48.5%の高純度苛性カリ水溶液は、650g(収率65%)得た。この溶液についてナトリウムと塩素の分析を行い、これらの結果を表1に示した。また、鉄イオン量(Fe)、銅イオン量(Cu)、ニッケルイオン量(Ni)、クロムイオン量(Cr)、および亜鉛イオン量(Zn)の分析を行い、これらの結果を表2に示した。なお、表1、表2ともに、苛性カリ濃度を48.0%に換算した値で示した。
【実施例2】
【0032】
ナトリウムを196ppm及び塩素を塩化カリウム換算で1.0ppm含有する、48.5%の苛性カリ水溶液(原料)1000gを用いて、実施例1と同様に操作し、高純度苛性カリ一水塩結晶を得た。そして、この一水塩結晶を超純水に溶解した高純度苛性カリ水溶液について実施例1と同様に分析を行い、得られた結果を表1に示した。
【実施例3】
【0033】
リンスを行わない以外は実施例1と同様に操作して高純度苛性カリ一水塩結晶を得た。そして、この一水塩結晶を超純水に溶解した高純度苛性カリ水溶液について実施例1と同様に分析を行い、得られた結果を表1に示した。
【0034】
<比較例1>
ナトリウムを70ppm及び塩素を塩化カリウム換算で1.2ppmを含有する、48.5%の苛性カリ水溶液(原料)1000gを濃縮して56%の苛性カリ水溶液とした。この苛性カリ水溶液の温度が0℃になるまで冷却し、縦型二重冷却管内に苛性カリ結晶を析出させた。そして、母液を抜き出し後、二重冷却管を30℃になるまで加温し、発汗により溶出してきた苛性カリ水溶液を除去し結晶のリンスを実施した。残った結晶は、超純水を加えて48.5%の苛性カリ水溶液とした。この結果、48.5%の苛性カリ水溶液を504g(収率50%)得た。そして、この溶液について実施例1と同じ分析を行い、これらの結果を表1に示した。
【0035】
<比較例2>
ナトリウムを860ppmおよび塩素を塩化カリウム換算で29ppmを含有する、48.5%の苛性カリ水溶液(原料)1000gを60%に濃縮し、実施例1記載と同様のタンクに入れ、80℃で沸騰状態になるように圧力を調節して濃縮し、苛性カリの結晶を含むスラリーを析出させた。このスラリーは、遠心分離により不溶部を取り出し、この不溶部量の1/100量の超純水を用いて洗浄し、苛性カリを得た。この苛性カリの分析を行い、この結果を表1に記載した。
【0036】
【表1】


【0037】
【表2】


【0038】
表1から実施例1と2は、高収率で高度に精製された苛性カリを得ることができる。比較例1は、ほぼ類似する原料を異なる方法で処理したものであるが、実施例1のような精製度が得られなかった。更に実施例2よりも低レベルのNa含有量の原料を用いても十分な精製が得られていない。このことから分かる様に、高純度化、収量のいずれを比較しても本発明の製造方法が優れていることが分かる。また、本発明の製造方法は、同時に混在する塩素を更に高度に取除くことが出来ること、及び、表2にあるように重金属についても高度精製が出来ている。
【実施例4】
【0039】
実施例1と同様に操作して、母液およびリンス液を得た。この母液およびリンス液について、濃度および不純物の分析を行った。そして、母液およびリンス液を濃縮し、原料として晶析器に導入して、高純度苛性カリ一水塩結晶を得た。なお、不純物分析の結果から、母液およびリンス液を原料として用いないこともある。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の製造容器により得られる高純度苛性カリは、高純度が要求される電池材料、電子材料、医療薬品、各種カリ塩の製造、化粧品および分析試薬等に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の高純度苛性カリの製造方法を適用した装置の模式図である。
【符号の説明】
【0042】
1 プレ濃縮器
2 原料(苛性カリ水溶液)
3 スチーム
4 攪拌機付き晶析器
5 遠心分離機
6 リンス液
7 高純度苛性カリ結晶
8 母液
9 高純度苛性カリ結晶溶解槽
10 母液受槽
11 低温冷却水
12 蒸気凝縮器
13 低温冷却水受槽
14 スチーム
15 エジェクター
16 冷却水
17 エジェクター混合機
18 真空ポンプ




 

 


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