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発明の名称 デンプン麺及びその製造法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−68533(P2007−68533A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2006−95160(P2006−95160)
出願日 平成18年3月30日(2006.3.30)
代理人 【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
発明者 横山 公一 / 丸岡 正和 / 菅野 祥三
要約 課題
デンプンを主体として製造されるデンプン麺において、利用に際して、デンプン麺の独特の食感を保持しつつ、湯戻りの良好なデンプン麺を提供すること、及び、該デンプン麺を効率的かつ容易に製造する方法を提供すること。

解決手段
ベータデンプン80〜95重量部とアルファーデンプン20〜5重量部からなるデンプン原料に水を加えてドウを調製する工程、得られたドウを真空下混捏し、成形する工程、成形した麺をアルファー化する工程、及び、アルファー化した麺を乾燥する工程とを含むデンプン麺の製造法により、湯戻り良好なデンプン麺を製造する。アルファーデンプンとしては、架橋デンプン及び/又は穀物由来デンプン、或いは該デンプンを主体とするデンプンを原料として調製されたものが用いられる。乾燥工程は、アルファー化した麺を熱風乾燥及び/又は油揚げによって行なわれる。
特許請求の範囲
【請求項1】
ベータデンプン80〜95重量部とアルファーデンプン20〜5重量部からなるデンプン原料に水を加えてドウを調製する工程、得られたドウを混捏し、真空で成形する工程、成形した麺をアルファー化する工程、及び、アルファー化した麺を乾燥する工程とを含む湯戻り良好なデンプン麺の製造法。
【請求項2】
得られたドウを混捏し、真空で成形する工程を、得られたドウを真空麺帯機を用いて麺帯とし、得られた麺帯を切断して麺線化することにより行うことを特徴とする請求項1記載の湯戻り良好なデンプン麺の製造法。
【請求項3】
成形した麺をアルファー化する工程を、成形した麺を蒸煮及び/又は茹でにより行うことを特徴とする請求項1又は2記載の湯戻り良好なデンプン麺の製造法。
【請求項4】
アルファー化した麺を乾燥する工程を、アルファー化した麺を熱風乾燥及び/又は油揚げによって行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の湯戻り良好なデンプン麺の製造法。
【請求項5】
アルファーデンプンが、架橋デンプン及び/又は穀物由来デンプン、或いは該デンプンを主体とするデンプンを原料として調製されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の湯戻り良好なデンプン麺の製造法。
【請求項6】
アルファーデンプンの換算沈降積Srが、5.5〜9mLの、アルファーデンプン単独又は複数のアルファーデンプンの混合物であることを特徴とする請求項5記載の湯戻り良好なデンプン麺の製造法。
【請求項7】
アルファー化工程までの麺の乾燥を防止するために、デンプン原料100重量部に対して、デンプン分解物及び/又は還元デンプン分解物を2〜10重量部添加することを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の湯戻り良好なデンプン麺の製造法。
【請求項8】
アルファー化した麺の乾燥後の麺のくっ付きを防止するために、デンプン原料100重量部に対して、増粘多糖類を0.01〜2重量部添加することを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の湯戻り良好なデンプン麺の製造法。
【請求項9】
デンプン麺の調理時における茹で溶け及び焼成時のくっつきを防止するために、デンプン原料100重量部に対して、卵白、大豆タンパク、乳タンパク、又は小麦グルテンを0.1〜5重量部添加することを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の湯戻り良好なデンプン麺の製造法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか記載のデンプン麺の製造法により製造された湯戻り良好なデンプン麺。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯戻り良好なデンプン麺及びその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
小麦粉を主体とした中華麺、うどん、パスタは、小麦粉中に存在する小麦蛋白いわゆるグルテンの結着性や弾力性を利用した麺である。一方、春雨、くずきり、ビーフン等のデンプン麺は、デンプンを主体とした麺で、蛋白質の含有量が少なく、小麦粉を主体とした麺とは異なる食感をもち、味的に中庸なので、色々な料理に使用できる食材の一つである。
【0003】
デンプン麺の一般的な製造法としては、春雨の場合は、デンプンペーストを湯ごねし、押し出し成型した生地を茹で、更に冷却・冷凍・解凍処理を経て低温条件で乾燥させる。くずきりの場合は、湯ごねしたデンプンペーストをシート成型し、蒸煮して麺に保形性を持たせ、一部乾燥してから切り出し、再乾燥する。ビーフンの場合は、湯ごねした米粉ペーストを、蒸煮後押し出し成型し、再度蒸煮してから乾燥し、製品化されている。一般に、春雨、くずきりやビーフンの製造に際して、乾燥は、低温〜天日干し乾燥で行われる。この乾燥によりデンプンの老化がおこり、料理に使われる際の湯伸びを遅らせることができる反面、麺を戻すに際し、湯をかける程度では、簡単に戻すことが出来ない状態となる。
【0004】
最近、健康イメージや食のバラエティ化に伴い、デンプンを主体としてつくった即席デンプン麺が上市されている。しかし、春雨等の従来の製法でつくったデンプン麺を使った場合には、簡単に湯戻りが出来ないため、「湯をかけて食する」という即席のコンセプトを満たすのに、結果として必ずしも満足の行く方法ではないが、デンプン麺を細くするなどの方法が採られており、現状では、このような方法しか見い出せていない。
【0005】
前記のように、小麦粉を主体とした中華麺、うどん、パスタ等は、小麦粉中に存在する小麦蛋白いわゆるグルテンの結着性や弾力性を利用して麺が製造されているのに対して、春雨、くずきり、ビーフン等のデンプン麺は、デンプンを主体とした麺で、蛋白質の含有量が少なく、小麦粉を主体とした麺類のようにつなぎが存在していないことから、デンプン麺の製造に際しては、工夫がなされている。すなわち、例えば、春雨のようなデンプン麺の製造は、一般的には、原料デンプンの一部を、予め、糊化し、これをつなぎとして、温湯を加えて、残りのデンプンと混合して、デンプン生地を作製し、麺線状に成形しつつ熱湯中通過させて糊化させた後、冷却、乾燥を行って製造されている。
【0006】
しかしながら、このようなデンプン麺の製造方法においては、予め原料デンプンの一部を糊化しておくことが必要であるため、デンプン麺の製造上、手間のかかる工程となり、また、糊化デンプンを一度に大量に製造しておくと、放置中に固化が起こって、粘度が低下し、デンプン麺の製造に供し得ないものとなる問題がある。そこで、従来法のこのような煩雑さや問題点を回避するために、デンプン麺の製造法の改良法が提案されている。例えば、春雨、くずきり等の製造法に関しては、特開平9−51774号公報、特開昭57−122763号公報の製造法が開示されている。
【0007】
特開平9−51774号公報には、デンプンに、熱湯を混合したドウを真空度650Torr以上で脱気しながら押し出し成型する春雨の製造法が示されている。このものは、脱気しながら麺帯を製造することにより、均一で固くしまった麺帯を製造し、その後の押し出し成形や圧延によるシート成形を容易にし、従来法のように別個にデンプン糊を製造することなく、春雨の製造を可能とする方法である。しかし、この方法は、春雨の製造法ということから、できた麺を低温で乾燥する工程で麺の老化を促進し、煮崩れ防止を狙ったもので、湯戻りの速いデンプン麺を目指したものではない。
【0008】
また、特開昭57−122763号公報には、澱粉100重量部に対して、α化澱粉を2〜5重量部と水および温湯水を加えて攪拌し、クリーム状デンプンを得、これを麺線状に成形した後、熱湯槽に通して、糊化麺線を得、これを冷却、凍結、解氷後乾燥して、従来法のようにデンプン糊の製造を必要としない春雨の製造法が開示されている。この方法では、α化デンプンが使用されているものの、その他の点では、従来法と同じであり、製造される麺も、湯戻りの速いデンプン麺というものではない。
【0009】
更に、小麦粉以外のデンプンを主原料とする麺類の製造法において、α化デンプンを使用している例として、特開2004−350559号公報の方法が開示されている。特開2004−350559号公報には、デンプンを主原料とする麺類の製造法が示されており、該製造法では、使用する原料デンプンの26から30部を、その1.75〜2.75倍量の水と混合し、加熱によりアルファー化し、粘状物を調製し、これを残りのデンプンと合わせ、麺生地を調製する麺類の製造法が記載されている。しかし、この方法もその他の点では、従来法と同じであり、製造される麺も、湯戻りの速いデンプン麺というものではない。また、この方法は、原料の一部をα化処理するのに、余分に時間がかかったり、工場内では、設備も必要となる。また、予め大量にアルファー化液をつくり保存することも可能であるが、腐敗による改悪にも充分注意が必要となり、実用化においては問題がある。
【0010】
以上のように、デンプン麺の製造において、従来法の煩雑さや問題点を回避するために、デンプン麺の製造法の改良法が提案されており、その中には、春雨、くずきり等のデンプン麺の製造に際して、アルファーデンプンを使用する例も開示されているが、いずれも、従来行われていたデンプン糊の製造工程を改良する程度のものであり、アルファーデンプンを製造されたデンプン麺の湯戻り等のデンプン麺自体の品質の改良に用いた例は知られていない。また、アルファーデンプンを使用した公知のデンプン麺の製造法は、いずれも、ドウを調製する際に、依然として、温湯工程が必要であり、温湯でドウを作った場合、ドウの温度が、室温より、高くなりこれにより、菌の繁殖の機会がまし衛生管理などでは、かなりシビアなものになるという問題も有している。
【0011】
デンプン麺等を、即席麺として製造する開示として、特開平10−108638号公報の方法が知られている。この方法は、米粉、デンプン、小麦粉及び/又はその他の穀類粉を主原料とし、これに水、調味料及び/又は具を添加して得られた混錬物を板状のコンベア上で、0.70〜2.00の厚みを有する生地とし、片面に加熱蒸気を吹き付けて蒸煮処理した後に冷却し、適当の大きさにカットしたものを乾燥処理するものである。この方法により製造される麺は、調理時に熱湯や熱いスープにつけることにより、パイプ状又はその他の形状に変形するもので、通常のデンプン麺とは相違した特殊の麺である。したがって、これまで開示されたデンプン麺の製造法において、湯戻りを良好としたデンプン麺を製造するような例は見当たらない。
【0012】
【特許文献1】特開昭57−122763号公報。
【特許文献2】特開平9−51774号公報。
【特許文献3】特開平10−108638号公報。
【特許文献4】特開2004−350559号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、春雨、くずきり、ビーフン等のデンプンを主体として製造されるデンプン麺において、喫食や調理等への利用に際して、デンプン麺の独特の食感を保持しつつ、湯戻りの良好なデンプン麺を提供すること、及び、該デンプン麺を効率的かつ容易に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、喫食や調理等への利用に際して、デンプン麺の独特の食感を保持しつつ、湯戻りが速く、即席のデンプン麺として用いることができるデンプン麺の製造方法について、鋭意研究を重ねる中で、特定割合のベータデンプン及びアルファーデンプンを原料として配合してドウを調製する工程、及び、得られたドウを真空下で混捏し、成形する工程を組合わせ、該工程で得られた麺をアルファー化、乾燥することにより、利用に際して、デンプン麺の独特の食感を保持しつつ、湯戻りが速いデンプン麺を効率的かつ容易に製造することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、ベータデンプン80〜95重量部とアルファーデンプン20〜5重量部からなるデンプン原料に水を加えてドウを調製する工程、得られたドウを真空下混捏し、成形する工程、成形した麺をアルファー化する工程、及び、アルファー化した麺を乾燥する工程とを含む湯戻り良好なデンプン麺の製造法よりなる。本発明において、得られたドウを混捏し、真空で成形する工程は、好ましい態様としては、得られたドウを真空麺帯機を用いて麺帯とし、得られた麺帯を切断して麺線化することにより行うことができる。また、成形した麺をアルファー化する工程は、整形した麺を蒸煮及び/又は茹でにより行うことができる。更に、アルファー化した麺を乾燥する工程は、好ましくは、アルファー化した麺を熱風乾燥及び/又は油揚げによって行うことができる。
【0016】
本発明において、用いるアルファーデンプンとしては、架橋デンプン及び/又は穀物由来デンプン、或いは該デンプンを主体とするデンプンを原料として調製されたものであることが好ましい。特に、アルファーデンプンの換算沈降積Srが、5.5〜9mLの、アルファーデンプン単独又は複数のアルファーデンプンの混合物であることが好ましい。
【0017】
本発明のデンプン麺の製造法においては、アルファー化工程までの麺の乾燥を防止するために、デンプン原料100重量部に対して、デンプン分解物及び/又は還元デンプン分解物を2〜10重量部添加することができる。また、アルファー化した麺の乾燥後の麺のくっ付きを防止するために、デンプン原料100重量部に対して、増粘多糖類を0.01〜2重量部添加することができる。また、本発明のデンプン麺の製造法においては、デンプン麺の調理時における茹で溶け及び焼成時のくっつきを防止するために、デンプン原料100重量部に対して、卵白、大豆タンパク、乳タンパク、小麦グルテン等のタンパク質を0.1〜5重量部添加することができる。
【0018】
本発明のデンプン麺の製造法は、従来法のように、原料デンプンの一部糊化工程を省略することができ、しかも、本発明のデンプン麺の製造法において、調製されるドウは、特定割合のアルフアーデンプンの配合及びドウ調製工程における真空下混捏により、麺類の成形、アルファー化、乾燥に際して、必要とされる物性を保持して、目的とするデンプン麺を効率的かつ容易に製造することができる。しかも、本発明の製造法によって製造されるデンプン麺は、利用に際して、湯戻しした場合に湯戻りが速く、デンプン麺の独特の食感を保持するので、即席のデンプン麺としても優れた品質を有する。
【0019】
すなわち具体的には本発明は、(1)ベータデンプン80〜95重量部とアルファーデンプン20〜5重量部からなるデンプン原料に水を加えてドウを調製する工程、得られたドウを混捏し、真空で成形する工程、成形した麺をアルファー化する工程、及び、アルファー化した麺を乾燥する工程とを含む湯戻り良好なデンプン麺の製造法や、(2)得られたドウを混捏し、真空で成形する工程を、得られたドウを真空麺帯機を用いて麺帯とし、得られた麺帯を切断して麺線化することにより行うことを特徴とする前記(1)記載の湯戻り良好なデンプン麺の製造法や、(3)成形した麺をアルファー化する工程を、成形した麺を蒸煮及び/又は茹でにより行うことを特徴とする前記(1)又は(2)記載の湯戻り良好なデンプン麺の製造法や、(4)アルファー化した麺を乾燥する工程を、アルファー化した麺を熱風乾燥及び/又は油揚げによって行うことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか記載の湯戻り良好なデンプン麺の製造法や、(5)アルファーデンプンが、架橋デンプン及び/又は穀物由来デンプン、或いは該デンプンを主体とするデンプンを原料として調製されたものであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか記載の湯戻り良好なデンプン麺の製造法や、(6)アルファーデンプンの換算沈降積Srが、5.5〜9mLの、アルファーデンプン単独又は複数のアルファーデンプンの混合物であることを特徴とする前記(5)記載の湯戻り良好なデンプン麺の製造法や、(7)アルファー化工程までの麺の乾燥を防止するために、デンプン原料100重量部に対して、デンプン分解物及び/又は還元デンプン分解物を2〜10重量部添加することを特徴と前記(1)〜(6)のいずれか記載の湯戻り良好なデンプン麺の製造法や、(8)アルファー化した麺の乾燥後の麺のくっ付きを防止するために、デンプン原料100重量部に対して、増粘多糖類を0.01〜2重量部添加することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれか記載の湯戻り良好なデンプン麺の製造法や、(9)デンプン麺の調理時における茹で溶け及び焼成時のくっつきを防止するために、デンプン原料100重量部に対して、卵白、大豆タンパク、乳タンパク、又は小麦グルテンを0.1〜5重量部添加することを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれか記載の湯戻り良好なデンプン麺の製造法からなる。
【0020】
また本発明は、(10)前記(1)〜(9)のいずれか記載のデンプン麺の製造法により製造された湯戻り良好なデンプン麺からなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の製造方法によって製造されたデンプン麺は、喫食や調理等への利用に際して、湯戻りが速く、しかも、デンプン麺の独特の食感を保持することができるので、本発明により、即席デンプン麺として、優れた品質のデンプン麺を提供することができる。また、本発明のデンプン麺の製造方法は、その製造工程で調製されるドウが、麺類の成形、アルファー化、乾燥に際して、必要とされる物性を保持することができ、目的とするデンプン麺を効率的かつ容易に製造することができる。
【0022】
昨今、健康イメージや食のバラエティ化に伴い、デンプンを主体としてつくったデンプン麺への需要も増大しており、その際に、喫食や調理等への利用に際して、手軽に利用できる即席デンプン麺の需要も増大する。また、デンプン麺は、小麦粉等の蛋白質を含まないデンプン主体の麺であるため、アレルギー患者にとっても好都合であるというような、健康面からの要望もあり、本発明は、デンプン麺に対する種々の要望にこたえて、デンプン麺の手軽な利用を図る技術として貢献できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、ベータデンプン80〜95重量部とアルファーデンプン20〜5重量部からなるデンプン原料に水を加えてドウを調製する工程、得られたドウを真空下混捏し、成形する工程、成形した麺をアルファー化する工程、及び、アルファー化した麺を乾燥する工程とを含むデンプン麺の製造法からなり、湯戻り良好なデンプン麺を効率的かつ容易に製造する方法からなるものである。
【0024】
本発明の方法を実施するには、所定量のベータデンプンとアルファーデンプンを室温条件下で混合し、真空麺帯機等により押しだし成形した生地を圧延或は、切り出し、蒸煮或は、必要に応じて、茹で、ほぐし剤に浸漬後、熱風乾燥することによって行うことができる。よって、従来法で行われていたデンプンの湯ごね工程が省略できる。また、くずきりの場合、製造工程中、麺線をつくるのに、麺帯を一度蒸煮することにより加工可能な固さを持たせ、それを切り出すことによって麺線をつくっていたが、本発明の方法では、麺帯から麺線への工程が、蒸煮工程なしで行え、作業上効率的である。
【0025】
更に、本発明は、蒸煮及び茹で工程後の乾燥は、熱風乾燥で行われるので、従来の低温乾燥法によっておこるデンプンの老化を抑えることが出来、結果として、湯戻りを速める効果をもつ。従来法では、春雨の場合、熱風乾燥では、麺に、亀裂が生じやすく実用的ではなかった。本発明の熱風乾燥によって出来たデンプン麺の湯戻りは、そのままでも充分良いが、さらに油揚げ等を行っても良い。また、熱風乾燥の代わりに油揚げだけで乾燥を行っても良い。
【0026】
真空麺帯機は、デンプン麺の原料となる加水したデンプン原料を、脱気しながら、混練、押し出す装置で、ドウを緻密均一化する。この装置を使うことにより、切り出しによる麺線化を容易にする。この装置により、アルファーデンプンの少ない系での製麺化が可能となり、ベータデンプンの形状を残したまま蒸煮又は、茹で工程に進むことが出来、最終麺の状態でデンプン粒を保持できる。これにより、熱風乾燥、油揚げが可能となり、湯戻りが速くなる。
【0027】
本発明のデンプン麺の製造方法において、蒸煮時間は、状況により、変える事が出るが、通常、98〜100℃で30秒〜3分である。また、必要により、茹で工程を入れることができる。この場合、茹で時間は、通常、95〜100℃で、15〜60秒である。熱風乾燥は、デンプン麺の老化という観点から、速く行うほうがいいが、概ね80〜100℃で、30分〜2時間である。油揚げの場合は、140〜150℃で、1〜2分程度である。
【0028】
本発明において使用されるベータデンプンの調製原料としては、食品一般に使えるものが選ばれる。すなわち、馬鈴薯デンプン、ワキシー馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン、トウモロコシデンプン、ワキシートウモロコシデンプン、ワキシー米デンプン、ワキシー小麦デンプン、緑豆デンプン及びそれらのアルファ化処理以外の加工デンプンが選ばれる。また、2種以上のデンプンの混合物も使用できる。また、米粉のようなデンプン主体で、蛋白質の含有量の低い穀物粉も使用することができる。
【0029】
本発明において使用されるデンプン原料において、ベータデンプンとアルファーデンプンの比は、80〜95重量部:20〜5重量部が好ましい。アルファーデンプン5重量部未満では、麺のまとまりが悪く、20重量部を超えると、麺がべたつく傾向がある。
【0030】
本発明において、アルファーデンプンの調製原料としては、一般に食品に用いられるデンプン、又は、加工デンプンを使用することができる。該デンプンのアルファー化の方法としては、デンプン業者が一般に用いるドラムドライヤーやエクストルーダー等による方法を用いることができる。アルファーデンプンの調製原料としては、架橋デンプン又は、穀物由来デンプンが特に好ましい。更に、換算沈降積Srが、5.5〜9のアルファーデンプン又は、アルファーデンプン混合物であるのが好ましい。Srが5.5未満では、麺のつながりが悪くなり、9より大きくなると、麺にべとつきがでて、麺製造工程においてべとつきがでて、作業性が悪くなる。
【0031】
換算沈降積Srは、次のようにして求めることができる:
まず、単独デンプンの沈降積Sを求める。すなわち、サンプル(無水換算)0.3gをエタノール(95%)1.5gと混合後、15mLの試薬(塩化アンモニウム26重量部、塩化亜鉛10重量部、水重量64部)を入れ、3分攪拌し糊液をつくる。これを、10mLのメスシリンダーにいれ、糊液の上端が10mLになるように、調整し、25℃で20時間放置する。白濁層の上端を測定し沈降積(S)とする。一種類以上のアルファーデンプンの混合の時、アルファー化デンプンの成分A、B、C、D・・・についてのそれぞれの沈降積(mL)をSa、Sb、Sc・・・とし、含有率をXa、Xb、Xc・・・とすれば、換算沈降積Sr(mL)は、次のように表せる。
Sr=Sa・Xa+Sb・Xb+Sc・Xc+・・・
なお、Xa+Xb+Xc+・・・・=1 である。
【0032】
本発明において、アルファーデンプンは各種デンプン由来のものが使用可能であるため、混合されるベータデンプンと由来の違うアルファーデンプンを使用することができ、製造されるデンプン麺の食感等に多様性を持たせることができる。
【0033】
本発明のデンプン麺の製造工程において、蒸煮及び/又は茹で工程までの間で、乾燥が起こると、時として製麺工程に悪影響を及ぼすことがあり、これを防ぐ目的で、デンプン分解物及び/又は還元デンプン分解物を、デンプン原料100重量部に対して、2〜10重量部添加することができる。2重量部未満では、乾燥防止効果が薄れるし、10重量部以上では、麺質が柔らかくなりすぎる傾向がある。
【0034】
本発明において使用されるデンプン分解物とは、酵素又は、酸処理等によりデンプンを分解低分子化したものである。また、還元デンプン分解物とは、デンプン分解物を水素添加したものである。デンプン分解物の分解低分子化の程度はDEにより表される。本発明で使用されるデンプン分解物のDEは、5〜30が望ましい。また、DE10〜20のものが特に好ましい。DE(Dextrose Equivalent)とは、デンプンを酵素又は酸で加水分解したデンプン分解物の分解の程度を表した数値であり、次の式で表される:
DE=[(直接還元糖)/(固形分)]×100
ここで、直接還元糖の分析は、Willstatter-Schudel法により行うことができる。
【0035】
また、本発明において、乾燥後の麺のくっ付きを抑える目的で、増粘多糖類を、デンプン原料100重量部に対して、0.01〜2重量部添加することができる。増粘多糖類としては、キサンタンガム、グアガム、カラギーナン、等を選択できる。0.01重量部未満では、くっ付き防止効果が弱くなり、2重量部を超えるとべたつきが強くなる。更に、卵白、大豆タンパク、乳タンパク、小麦グルテン等のタンパク質を、デンプン原料100重量部に対して、0.1 〜5重量部添加することにより、調理時における、「茹で溶け」、「焼成時のくっつき」を防止することができる。
【0036】
本発明の方法によれば、「即席めん等の簡便に調理できるようなデンプン麺」を製造することができるが、本発明の製造工程を適用して、一般のデンプンを主体としたデンプン麺を効率的に製造することもできる。また、本発明の方法においては、デンプンの由来を選択することが可能であるため、該原料の選択により、麺質、食感にバラエティーを持たせることもできる。更に、デンプン麺は、蛋白質を含まない原料だけで作れるため、蛋白質に対するアレルギー患者向けの麺を提供できるという利点もある。
【0037】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【実施例1】
【0038】
原料デンプンをドラムドライヤーでアルファー化して、各種アルファーデンプンを試作し、その沈降積を測定した。
[測定方法]:サンプル(無水換算)0.3gをエタノール(95%)1.5gと混合後、15mLの試薬(塩化アンモニウム26重量部、塩化亜鉛10重量部、水64重量部)を入れ、3分間攪拌し糊液をつくる。これを、10mLのメスシリンダーにいれ、糊液の上端が10mLになるように、調整し、25℃で20時間放置する。白濁層の上端を測定し沈降積(S)とした。各種アルファーデンプンの沈降積を表1に示す。
【0039】
【表1】


【実施例2】
【0040】
ベ−タデンプンとして、馬鈴薯デンプンとトウモロコシデンプンの混合物を用い、アルファー化リン酸架橋馬鈴薯デンプン(実施例1の試作品8)を添加し、デンプン麺を評価した。製造工程を表2に示す。
【0041】
【表2】


出来た麺の評価の結果を表3に示した。出来た麺の評価は、表3−1、表3−2、表3−3、表3−4、表3−5、表3−6、及び表3−7の評価基準に従い評価した。結果、アルファーデンプン5部未満では、生地のつながりが悪く、20部より大きいと生地がべとつき製麺適性が悪くなった。20部より大きいと出来た麺も柔らかく湯のびが速かった。
【0042】
【表3】


【0043】
【表3−1】


【0044】
【表3−2】


【0045】
【表3−3】


【0046】
【表3−4】


【0047】
【表3−5】


【0048】
【表3−6】


【0049】
【表3−7】


【実施例3】
【0050】
実施例1で調製した各種アルファーデンプンを使い、実施例2の製造法でデンプン麺をつくり評価した。評価は、表3−1、表3−2、表3−3、表3−4、表3−5、表3−6、表3−7に従った。結果を表4に示した。換算沈降積(Sr)が5以下の場合、麺生地のまとまりが悪く、食感は粘りの低い麺になった。換算沈降積(Sr)が9.5の系では
、生地のべとつきが強く、製麺適性が悪くなった。
【0051】
【表4】


【実施例4】
【0052】
各種ベータデンプンを使い、実施例2の方法で麺をつくり、ベータデンプンの違いによるデンプン麺を検討した。アルファーデンプンとして、試作品8(Sr=S=8.6)を使用した。評価は、表3−1、表3−2、表3−3、表3−4、表3−5、表3−6、表3−7に従った。結果を表5に示した。製麺適性、湯戻り性については、特に問題になるところは、見られなかった。
【0053】
【表5】


【実施例5】
【0054】
麺成型時の生地の乾燥防止及び出来上がり麺のほぐれに対する、デンプン加水分解物及び増粘多糖類の効果を調べた。デンプン加水分解物として、松谷化学工業製:H−PDX(還元デンプン加水分解物)、増粘多糖類としてキサンタンガムを用いた。製麺適性及び、食感の評価は、表3−1、表3−2、表3−3、表3−4、表3−5、表3−6、表3−7に従った。結果を、表6に示す。製麺工程時の生地の乾燥、製麺後のほぐれについて、デンプン分解物及び増粘多糖類を添加したものに改善効果がみられた。
【0055】
【表6】


【実施例6】
【0056】
ベータデンプンとしてうるち米粉、うるち米デンプン及び馬鈴薯デンプンを使い、アルファーデンプンとして試作品8を使って、ビーフンを調製した。出来たビーフンは、湯戻りがよく、良好な食感を有していた。なお、製麺適性及び食感の評価は、表3−1、表3−2、表3−3、表3−4、表3−5、表3−6、表3−7に従った。結果を、表7に示す。
【0057】
【表7】


【実施例7】
【0058】
ベータデンプンとしてうるち米粉、うるち米デンプン及び馬鈴薯デンプンを使い、アルファーデンプンとして試作品8を使い、卵白を添加して、ビーフンを調製し、評価した。製麺適性及び、食感の評価は、表3−1、表3−2、表3−3、表3−4、表3−5、表3−6、表3−7に従った。また、焼成時のほぐれ(くっつき防止)については、2分間フライパンで炒め、表8のように評価した。評価の結果を、表9に示す。卵白添加により、焼成時のくっつきが防止されることが観察され、ほぐれが良好になった。
【0059】
【表8】


【0060】
【表9】






 

 


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