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発明の名称 γ−アミノ酪酸含有組成物の呈味改善方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−6860(P2007−6860A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−195054(P2005−195054)
出願日 平成17年7月4日(2005.7.4)
代理人
発明者 小野 貴博 / 中村 亮太 / 山元 英樹
要約 課題
アスパラガスより、呈味の改善されたGABA含有組成物を製造することを目的とし、ひいてはGABAを無理なく毎日摂ることができるような食品を提供する。

解決手段
アスパラガスからγ−アミノ酪酸を取り出し、得られたγ−アミノ酪酸含有組成物を製品化する工程の中のいずれかで、70℃〜150℃の温度条件下、1秒〜5時間加熱処理することを特徴とするγ−アミノ酪酸含有組成物の呈味改善方法であり、好ましくは、アスパラガスからγ−アミノ酪酸を取り出す処理を行う際に、処理物に対し70℃〜150℃の温度条件下、1秒〜5時間加熱処理することを特徴とする前記のγ−アミノ酪酸含有組成物の呈味改善方法。
特許請求の範囲
【請求項1】
アスパラガスからγ−アミノ酪酸を取り出し、得られたγ−アミノ酪酸含有組成物を製品化する工程の中のいずれかで、70℃〜150℃の温度条件下、1秒〜5時間加熱処理することを特徴とするγ−アミノ酪酸含有組成物の呈味改善方法。
【請求項2】
アスパラガスからγ−アミノ酪酸を取り出す処理を行う際に、処理物に対し70℃〜150℃の温度条件下、1秒〜5時間加熱処理することを特徴とする請求項1記載のγ−アミノ酪酸含有組成物の呈味改善方法。
【請求項3】
処理物が、アスパラガス及び/又はアスパラガス抽出物を10℃〜50℃の温度条件下、1分〜15日間処理することによりγ−アミノ酪酸を富化させたγ−アミノ酪酸含有組成物である請求項2記載のγ−アミノ酪酸含有組成物の呈味改善方法。
【請求項4】
アスパラガスを予め70℃〜150℃の温度条件下、1秒〜5時間加熱処理した後、該アスパラガスからγ−アミノ酪酸を取り出すことを特徴とするγ−アミノ酪酸含有組成物の呈味改善方法。
【請求項5】
生臭味、苦味又はえぐ味が低減されたことを特徴とするアスパラガス由来のγ−アミノ酪酸含有組成物。
【請求項6】
請求項5記載のγ−アミノ酪酸含有組成物を含有することを特徴とする飲食品。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスパラガスより得られるγ−アミノ酪酸含有組成物の呈味改善方法及び得られたγ−アミノ酪酸含有組成物を含有する飲食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
γ−アミノ酪酸(以下、GABAと略す。)は生物界に微量ながら広く存在する非タンパク質構成アミノ酸であり、ヒトにおいては脳内で神経伝達物質として働くことが知られている。食品素材としてのGABAは血圧降下作用、精神安定作用、脳機能改善作用、更年期障害症状緩和作用、中性脂肪増加抑制作用等の健康維持意識の高い現代人にとって有効な生理作用を有している。その上、GABAはヒトが多量に摂取しても副作用が無いので、安全性の面でも有利であり、食事療法が効果的な生活習慣病、特に高血圧症を予防する成分として食品に付加させる開発が多くなされている。
【0003】
そのようなものとして、米胚芽、米糠、小麦胚芽などの中に元来含まれる酵素の作用を利用してGABA富化穀物を製造する技術(例えば、特許文献1及び2参照)、トマト、カボチャ等の野菜などの中に含まれる酵素の作用を利用してGABA富化組成物を製造する技術(例えば、特許文献3〜5参照)、GABAを乳酸菌や麹菌などの微生物に生産させる技術(例えば、特許文献6〜8参照)、茶葉を嫌気処理することによってGABA含量の高い茶葉を製造する技術(例えば、特許文献9参照)などが報告されている。
【0004】
また、工業的にはγ−ハロゲノ酪酸のアミノ化やピロリドンの加水分解によって製造されている。その他、グルタミン酸を出発原料としてグルタミン酸デカルボキシラーゼによってGABAに変換する方法も開示されている。
【0005】
一方、アスパラガスは、繊維質が豊富でカロリーの低い野菜であり、全国で年間約28000tが収穫されている他、海外からの輸入も盛んである。国内で収穫量の多い都道府県としては、長野県、北海道、佐賀県、福島県、香川県、長崎県、秋田県などが挙げられる。これまで、アスパラガスには食物繊維の他、アスパラギン酸、ビタミンU(メチルメチオニン)、ルチン、葉酸、サポニン類などの有用成分が多く含まれていることが知られていた。
【0006】
このような中、アスパラガスにGABAが含まれているとの報告は無かったが、アスパラガスが他の野菜と比較しても非常に多量のGABAを含有することを見出し、本発明者らがアスパラガスから得られるGABAについて初めて報告した(特願2004−301557号)。
【0007】
また、アスパラガスの内在酵素を利用することによってグルタミン酸及び/又はグルタミン酸塩を効果的にGABAに変換できることも見出し、報告した(特願2005−164107号)。これらの技術により他の原料から得られるGABA含有組成物と比較して含量の多い組成物が得られるに至った。
【特許文献1】特許第2590423号公報
【特許文献2】特開2004−159617号公報
【特許文献3】特公平7−12296号公報
【特許文献4】特公平7−14333号公報
【特許文献5】特開2001−252091号公報
【特許文献6】特開2001−352940号公報
【特許文献7】特開2003−70462号公報
【特許文献8】特開平11−103825号公報
【特許文献9】特許第3038373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、生アスパラガスを搾汁して製造したGABA含有組成物及び生アスパラガスを原料としてGABA富化工程を経て製造したGABA含有組成物は、そのままではアスパラガス由来の生臭味、苦味、えぐ味が残っており、摂取しにくいという問題があった。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みなされたものであり、アスパラガスより、呈味の改善されたGABA含有組成物を製造することを目的とし、ひいてはGABAを無理なく毎日摂ることができるような食品の開発を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記した課題について鋭意検討した結果、アスパラガスよりγ−アミノ酪酸を製造する際に、一定条件下で加熱する工程を含むことで呈味が改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、アスパラガスからγ−アミノ酪酸を取り出し、得られたγ−アミノ酪酸含有組成物を製品化する工程の中のいずれかで、70℃〜150℃の温度条件下、1秒〜5時間加熱処理することを特徴とするγ−アミノ酪酸含有組成物の呈味改善方法を要旨とするものであり、好ましくは、アスパラガスからγ−アミノ酪酸を取り出す処理を行う際に、処理物に対し70℃〜150℃の温度条件下、1秒〜5時間加熱処理することを特徴とする前記のγ−アミノ酪酸含有組成物の呈味改善方法であり、また、好ましくは、処理物が、アスパラガス及び/又はアスパラガス抽出物を10℃〜50℃の温度条件下、1分〜15日間処理することによりγ−アミノ酪酸を富化させたγ−アミノ酪酸含有組成物である請求項2記載のγ−アミノ酪酸含有組成物の呈味改善方法である。
【0012】
また、本発明は、アスパラガスを予め70℃〜150℃の温度条件下、1秒〜5時間加熱処理した後、該アスパラガスからγ−アミノ酪酸を取り出すことを特徴とするγ−アミノ酪酸含有組成物の呈味改善方法を要旨とするものである。
【0013】
また、別の本発明は、生臭味、苦味又はえぐ味が低減されたことを特徴とするアスパラガス由来のγ−アミノ酪酸含有組成物を要旨とするものである。
【0014】
さらに、別の本発明は、前記のγ−アミノ酪酸含有組成物を含有することを特徴とする飲食品を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、呈味の改善されたGABA含有組成物を容易に得ることができる。また、本発明のGABA含有組成物を含有した飲食品は、呈味が改善され美味しく摂取できるのみならず、GABAの作用により、血圧降下、リラックス、ストレス緩和、更年期障害症状改善、不眠改善、利尿、腎機能改善、肝機能改善等の効果が期待できる。また、前記のような効果に加え、含まれるアミノ酸の作用により、疲労回復、脂肪燃焼、美肌等の効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明で用いられるアスパラガスは、本発明の効果を損なうものでない限りいかなるものでもよい。アスパラガスには日光に当てて栽培するグリーンアスパラガス、土などで遮光しながら栽培するホワイトアスパラガス、細く短いうちに刈り取りを行うミニアスパラガス、グリーンアスパラガスとは別種で紫色を呈するムラサキアスパラガスなどがある。これらの中ではグリーンアスパラガス、ムラサキアスパラガスが好ましく、グリーンアスパラガスが特に好ましい。産地は特に限定されず、国産でも海外からの輸入品でもよい。品種は多様であるが特に限定されず、例えば、ウェルカム、メリーワシントン、北海100、マラソン、ぜんゆう、UC157、グリーンタワー、バイトル、キャンドル、ナイアガラ、UC800、ポールトム、ハイデル、フルート、フランクリン、ガインリム、セトグリーン、ヒロシマグリーン、グリーンフレッチェ等が好ましく、ウェルカム、メリーワシントン、グリーンタワー、ナイアガラ、ガインリムが特に好ましい。使用する部位も特に限定されず、若茎、地上茎、貯蔵根が使用できるがこれらの中で若茎が好ましい。若茎は根元部分でも先端部分でもよいが、商品となるアスパラガスの長さを揃える時にカットされた根元部分は安価で入手できることから最も好ましい。
【0018】
本発明で用いられるアスパラガスは前記のようなアスパラガスを1種類単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、若茎の根元部分を使用することが好ましいが、他の部分を混合して使用しても良い。
【0019】
本発明のGABA含有組成物の呈味改善方法は、上記したアスパラガスから、水抽出、溶媒抽出、圧搾、酵素分解、超臨界抽出などの処理によりGABAを取り出し、GABA含有組成物として製品化する操作の中で、所定の温度条件下に所定時間曝すことを特徴とするものである。温度条件としては、70℃〜150℃が必要であり、好ましくは80℃〜125℃であり、さらに好ましくは90℃〜120℃である。また、この温度にさらす時間としては、1秒〜5時間が必要であり、好ましくは10秒〜3時間であり、さらに好ましくは15秒〜2時間である。これらのうち、低い温度に曝す場合には、時間を長くすることが好ましく、逆に高い温度に曝す場合には、時間が短くてよい傾向がある。例えば、70℃〜95℃の温度範囲では、1時間〜2時間程度が好ましく、また、95℃〜110℃の温度範囲では、20分〜1時間程度が好ましく、さらに110℃〜150℃の温度範囲では、1秒〜20分程度が好ましい。
【0020】
上記の加熱処理を行う方法としては、本発明の効果を損なわない限り公知のあらゆる装置、器具が使用できる。かかる装置、器具としては例えば、鍋及び火による加熱装置、蒸気吹き込み装置、オーブン、ニーダー、オートクレーブ、加熱型のライン殺菌装置、噴霧乾燥機、温風乾燥機などが挙げられる。これらの中で、鍋及び火による加熱装置、蒸気吹き込み装置、ニーダー、オートクレーブ、加熱型のライン殺菌装置が好ましく、鍋及び火による加熱装置、蒸気吹き込み装置、ニーダー、加熱型のライン殺菌装置がさらに好ましい。
【0021】
上記のような加熱処理によって、アスパラガスに由来する生臭味、えぐ味はほとんど感じなくなるまでに改善でき、苦味はかなり低減されていることを実感できるまでに改善できる。また、加熱処理により、甘味が増し、良好な味質を呈する為にいっそう摂取しやすくなる。これは生臭味、苦味、えぐ味等の美味しさを損なうもととなる成分が分解されたものと推測できる。
【0022】
上記の加熱処理の工程は、本発明の効果を損なわない限り、原料となるアスパラガスからGABAを取り出し、GABA含有組成物として製品を得る工程のどの段階で入れても良い。すなわち、内在酵素によるGABA富化処理を行わない場合は、いかなる工程で加熱処理を行ってもよく、例えば、アスパラガスからGABAを取り出す処理をする前に予め生のアスパラガスに対し上記の加熱処理を施したり、アスパラガス原料に水及び/又は適当な抽出溶媒を添加した後にそれらの溶媒と共に加熱処理を施すことができる。
【0023】
一方、アスパラガス内在酵素によるGABA富化処理を行う場合は、富化処理を行うより前に上記したような加熱処理を行うと、アスパラガス中に存在する内在酵素が失活するおそれがあるため、富化処理より後の工程で加熱処理を行うことが好ましい。かかる好ましい例としては、アスパラガスから富化処理を施した後にGABAを取り出し、その処理物に対し加熱処理する方法、アスパラガスから富化処理を施した後にGABAを取り出し、さらに残渣を濾別した濾液に対して加熱処理する方法、また、得られた濾液を濃縮した後に加熱処理する方法、さらには粉末化等の製品化工程の中で加熱処理する方法などが挙げられる。
【0024】
以下、各工程において加熱処理を施す方法について説明する。
【0025】
まず、原料となるアスパラガスに対し予め加熱処理を施す場合について説明する。生のアスパラガスに対しては、例えばそのまま100℃〜125℃の蒸気を20分〜1時間吹き込む加熱処理方法、1倍量〜5倍量の水と共に鍋やニーダーに導入し、10分〜1時間沸騰させる加熱処理方法などを使用することができる。
【0026】
また、原料となるアスパラガスは破砕、切断、凍結乾燥、脱水などの処理を行った後に用いることもできるため、このような処理を行った後に加熱処理を施してもよい。細断は、物理的にアスパラガスを細かく破砕する方法であり、使用する装置、機器、方法などは本発明の効果を損なわない限りいかなるものでもよい。アスパラガスの細断は包丁やカッターナイフ、ハサミなどを用いて手作業で行っても良いが、大量のアスパラガスを短時間で処理しようとする場合には装置を使用する。そのような装置としては、例えば、ミキサー、ブレンダー、ミル、ハンマー式粉砕機などが挙げられ、また野菜用の細断機を用いてもよい。細断に供するアスパラガスは室温に置かれていてもよいし、凍結したものでもよいが、冷却機能の無い装置を用いる場合は、有効成分の分解を防ぐため凍結あるいは冷却したものを用いることが好ましい。細断されたアスパラガスの大きさは特に限定されないが、2cm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。
【0027】
このような処理を行った後に加熱処理を行うには、上記と同様の方法も取ることができるし、連続的に配管を流せる流動性がある場合には、ライン殺菌装置の中を通して加熱処理する方法を取ることもできる。
【0028】
次に、アスパラガスからGABAを取り出す方法である水抽出、溶媒抽出、圧搾、酵素分解、超臨界抽出の処理について説明する。
【0029】
水抽出は、水を加えてそこに成分を溶出させる方法である。加える水の量は特に限定されないが、アスパラガス(水分を含む重量)に対して0.01〜100倍量が好ましく、0.5〜5倍量がより好ましい。水の量が0.01倍より少ないと抽出効率が落ち、100倍より多いと薄い抽出液しか得られず後に濃縮操作が必要になる場合がある。また、使用する水の温度は0℃〜100℃が好ましく、10℃〜80℃がより好ましい。水の温度が0℃より低い場合には抽出効率が低下する傾向があり、抽出温度が100℃より高い場合には有用成分が分解してしまうおそれが生じる。また、水は蒸留水、脱イオン水、上水などでもよいし、一定量の塩を溶解したもの、緩衝液でもよい。この時の塩の種類としては、食品に添加できるものであり本発明の効果を損なうもので無ければ特に限定されないが、好ましくは塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2アンモニウム、リン酸2水素アンモニウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸1カリウム、クエン酸3カリウム、クエン酸3ナトリウム、コハク酸1ナトリウム、コハク酸2ナトリウム、乳酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム、アスパラギン酸ナトリウム、リジン塩酸塩などが挙げられる。緩衝液としては、トリズマ塩基、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、コハク酸緩衝液などが好ましく、調整するpHは2.0〜11.0が好ましく、3.0〜8.0がより好ましい。また、塩、緩衝液の濃度は0.01%〜50%が好ましく、0.1%〜20%がより好ましい。この範囲より低い場合は塩、緩衝液の効果を期待できない可能性があり、この範囲より高い場合は抽出効率の低下、味の低下を招く可能性がある。
【0030】
溶媒抽出は、アルコール類、炭化水素類、脂質類等の有機溶媒を用いて抽出する方法であり、使用する有機溶媒は特に限定されず、単独で用いてもよいし、他の溶媒と混合して使用してもよいし、水と混合して使用してもよい。好ましい有機溶媒の例としては、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサン、アセトン、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチルエーテル、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)が挙げられ、さらに好ましくは、エタノール、ヘキサン、アセトン、DMSO、グリセリンが挙げられる。加える有機溶媒の量は有機溶媒の種類にもより特に限定されないが、アスパラガスに対して0.01〜100倍量が好ましく、0.5倍〜5倍がより好ましい。有機溶媒の量が0.01倍より少ないと抽出効率が落ち、100倍より多いと薄い抽出液しか得られず後に濃縮操作が必要になる場合がある。また、使用する有機溶媒の温度は−20℃〜200℃が好ましく、0℃〜120℃がより好ましい。有機溶媒の温度が−20℃より低い場合には抽出効率が低下する傾向があり、抽出温度が200℃より高い場合には有効成分が分解してしまうおそれが生じる。
【0031】
上記の水又は有機溶媒で抽出を行う時間は特に限定されず、1分〜48時間行うことが好ましく、5分〜4時間行うことがより好ましい。抽出を行う時間がこの範囲より短いと十分にGABAをはじめとする有効成分が抽出できない傾向があり、この範囲より長くしても抽出量の増加は期待できず、雑菌などの増殖のリスクが増えるだけである。
【0032】
圧搾とは、アスパラガスに物理的な圧力をかけて、液を搾り出し、GABAを搾汁に移行せしめる方法である。圧力は一方向のみにかけてもよいし、二以上の方向からかけてもよく、せん断力を伴わせることもできる。圧搾の操作は市販の圧搾機を用いれば容易であるが、手搾り、足踏み搾りなど機械を用いない方法で行ってもよい。このとき、アスパラガスに水や湯を加えて圧搾してもよい。水や湯を加える量としては、アスパラガスに対して0.01〜100倍量が好ましく、0.5〜5倍量がより好ましい。水の量が0.01倍より少ないと抽出効率が落ち、100倍より多いと薄い抽出液しか得られず後に濃縮操作が必要になる場合がある。また、湯の温度は30℃〜100℃が好ましく、40℃〜80℃がより好ましい。
【0033】
酵素分解は、アスパラガスに酵素を作用させた後、固液分離してGABAをろ液に移行せしめる方法である。ここで酵素としては、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されないが、食品用途として使用することを考慮すれば、食品用に使用できる酵素が好ましい。酵素の種類としては、特に限定されないが、アスパラガスの繊維質、ペクチン、多糖類などを分解し、効率良くGABAを取り出せるために、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、キシラナーゼ、アラビナーゼ、アラバナーゼ、アミラーゼ、グルカナーゼ、デキストラナーゼなどが、蛋白質を分解し、遊離アミノ酸を多く回収するために、プロテアーゼ、ペプチダーゼなどが、グルタミン酸をGABAに変換するために、グルタミン酸デカルボキシラーゼなどが、グルタミンをグルタミン酸に変換するために、グルタミナーゼなどが使用できる。本発明における酵素分解においては、上記した酵素を一種類だけ用いてもよいし、二種以上を同時に又は連続して用いてもよい。
【0034】
酵素分解を行うことによって、本来不溶性の繊維質が分解し、水溶性食物繊維として回収できる効果、繊維質を分解することで組織が破砕され、GABAやアミノ酸の回収率が高くなる効果、蛋白質を分解することによりアミノ酸の回収率が高くなる効果、グルタミン酸の回収率が高くなった結果、グルタミン酸から変換されるGABAの回収率が高くなる効果、グルタミナーゼやグルタミン酸デカルボキシラーゼなどの酵素を作用させることでGABAの回収率が高くなる効果などを得ることができる。
【0035】
セルラーゼとしては、例えば新日本化学工業(株)製のスミチームAC、スミチームAC−LIQUID、スミチームC、エイチ・ビイ・アイ(株)製のセルロシンAC50、セルロシンAL、セルロシンT2、天野製薬(株)製のセルラーゼA“アマノ”3、セルラーゼT“アマノ”4、ヤクルト薬品工業(株)製のセルラーゼ“オノズカ”R−10、セルラーゼ“オノズカ”RS、洛東化成工業(株)製のエンチロンCM、エンチロンMCHなどが挙げられ、これらの中でもスミチームAC、セルロシンT2、エンチロンMCHが好ましく、セルロシンT2、エンチロンMCHが特に好ましい。
【0036】
ヘミセルラーゼとしては、例えば新日本化学工業(株)製のスミチームACH、スミチームACH−LIQUID、スミチームX、天野製薬(株)製のヘミセルラーゼ“アマノ”90Gなどが挙げられる。
【0037】
ペクチナーゼとしては、例えば新日本化学工業(株)製のスミチームPX、スミチームAP2、スミチームAP2−LIQUID、スミチームPMAC、スミチームCXC、スミチームLC、スミチームMC、スミチームSPC、スミチームPTE、中性ペクチナーゼ、エイチ・ビイ・アイ(株)製のセルロシンPC5、セルロシンPE60、セルロシンPEL、セルロシンME、可溶性ペクチナーゼ、天野製薬(株)製のペクチナーゼA“アマノ”、ペクチナーゼG“アマノ”、ペクチナーゼGL“アマノ”、ペクチナーゼPL“アマノ”、ヤクルト薬品工業(株)製のマセロチームR−10、Novozyme製のPectinexUltraPC−Lなどが挙げられ、これらの中でもスミチームPX、セルロシンPC5、ペクチナーゼA“アマノ”が好ましく、スミチームPXが特に好ましい。
【0038】
アラビナーゼとしては、新日本化学工業(株)製のスミチームARS、Megazyme製のアラビナーゼが、キシラナーゼとしてはエイチ・ビイ・アイ(株)製のセルロシンTP25、セルロシンHC100、セルロシンHCが、アミラーゼとしては新日本化学工業(株)製のスミチームAS、スミチームL、スミチームL−L、スミチームA10、スミチームAH、エイチ・ビイ・アイ(株)製の液化酵素T、リクィファーゼL45、フクタミラーゼ50、オリエンターゼAO10、ハイマルトシンG、グルターゼ6000が、天野製薬(株)製のアミラーゼAD“アマノ”、ビオザイムA、ビオザイムF10SD、グルクザイムAF6、シルバラーゼ、ビオザイムM、大和化成(株)製のクライスターゼ、コクゲン、コクゲンTが、ナガセ生化学工業(株)製のスピターゼHS、スピターゼM、β−アミラーゼLなどが、グルカナーゼとしては大和化成(株)製のツニカーゼが、デキストラナーゼとしては三共(株)製のデキストラナーゼ2Fが挙げられる。
【0039】
プロテアーゼとしては、酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、塩基性プロテアーゼのいずれでもよく、例えば、プロテナーゼK、新日本化学工業(株)製のスミチームMMR、スミチームAP、スミチームRP、スミチームMP、スミチームLP50、スミチームLPL、スミチームP、スミチームCP、スミチームTP、エイチ・ビイ・アイ(株)製のオリエンターゼ20A、オリエンターゼ90N、オリエンターゼ10NL、ヌクレイシン、オリエンターゼONS、オリエンターゼ22BF、天野製薬(株)製のウマミザイム、ニューセラーゼF、パパインW−40、パンクレアチンF、プロテアーゼA“アマノ”G、プロテアーゼM“アマノ”、プロテアーゼN“アマノ”、プロテアーゼS“アマノ”、ブロメラインF、大和化成(株)のサモアーゼ、プロチンA、プロチンP、デスキンCが挙げられ、これらの中でもスミチームLPL、スミチームOP、オリエンターゼ20A、パパインW−40が好ましい。
【0040】
ペプチダーゼとしては、例えば新日本化学工業(株)のスミチームFP、天野製薬(株)製のペプチダーゼRが挙げられる。
【0041】
グルタミナーゼとしては、新日本化学工業(株)製のスミチームOP、天野製薬(株)製のグルタミナーゼF“アマノ”100、大和化成(株)製のグルタミナーゼダイワ300Sが挙げられる。グルタミン酸デカルボキシラーゼは、市販のものはほとんど無く、あっても遺伝子組み換え技術を使用していて食品用途に使用するのが困難なものか、高価なものであることから、グルタミン酸デカルボキシラーゼを高生産する乳酸菌、酵母、麹菌などの微生物から、分離精製して使用するか、米胚芽、米糠などから分離精製して使用する方法を取ることができる。
【0042】
本発明において酵素分解を行うために使用する酵素の量は、酵素の種類、力価にもよるが、アスパラガスに対して0.0001質量%〜20質量%が好ましく、0.001質量%〜5質量%がより好ましい。この範囲よりも少ない場合には十分な酵素分解が期待できない問題があり、この範囲よりも多い場合にはもはや酵素分解の増加は期待できず、製品中に酵素による味質の変化を及ぼす問題がある。
【0043】
酵素分解を行う際の温度は、0℃〜80℃が好ましく、10℃〜60℃がより好ましい。この範囲より低い場合には酵素反応の進行が遅く、有効成分を抽出するために長い時間を要する傾向があり、この範囲より高い場合には酵素が失活してしまうおそれがある。
【0044】
酵素分解を行う時間は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、10分間〜48時間が好ましく、30分間〜24時間が好ましい。この範囲より短い場合には十分に酵素分解が進行しない傾向があり、この範囲より長くしてももはや有効成分の抽出量が多くなることは無い。また、酵素分解をより効果的に行うために、攪拌、振とうなどを行ってもよい。
【0045】
超臨界抽出とは、二酸化炭素や水を気液臨界点以上の圧力、温度にし、分子運動の盛んな超臨界流体と接触せしめ、これを抽出溶媒として使用するものである。本発明においては、超臨界流体は二酸化炭素が好ましい。
【0046】
超臨界抽出を行う際の温度は、31℃〜150℃が好ましく、31℃〜100℃がより好ましい。温度がこの範囲より高い場合、有用成分が分解する可能性があり、この範囲より低い場合、抽出効率が低下する問題がある。
【0047】
また、超臨界抽出を行う際の圧力は、7MPa〜50MPaが好ましく、7MPa〜30MPaがより好ましい。圧力がこの範囲より高い場合、有用成分の分解やコスト高、安全性に問題があり、圧力がこの範囲より低い場合には抽出効率が低下する傾向がある。
【0048】
以上、説明したアスパラガスからGABAを取り出す水抽出、溶媒抽出、圧搾、酵素分解及び超臨界抽出の操作は、各々単独で行うこともできるし、二種以上の操作を組み合わせて行うこともできる。好ましい組み合わせとしては、水抽出及び又は圧搾と酵素分解の組み合わせが挙げられ、これらは同時に行っても、水抽出及び又は圧搾の後に酵素分解を行っても、酵素分解の後に水抽出及び又は圧搾を行っても良い。さらに、水抽出と酵素分解を同時に組み合わせる方法は、抽出効率の向上という観点から望ましい。
【0049】
以上の水抽出、溶媒抽出、圧搾、酵素分解及び超臨界抽出の操作を単独で、あるいは二種以上組み合わせてアスパラガスからGABAを取り出す場合、加熱処理は、別途行っても良いしGABAを取り出す過程で加熱処理を行う場合はそこで同時に行っても良い。例えば水抽出、溶媒抽出で加熱する場合、超臨界抽出において加熱する場合等には、その時点において生臭味、苦味、えぐ味等を除去することができることから、さらなる加熱処理を行わなくても本発明の目的を達成できる。
【0050】
また、本発明においてはアスパラガスに存在するグルタミン酸デカルボキシラーゼを作用させることによりGABAを富化させることもできる。そのための操作としては、アスパラガス及び/又はアスパラガス抽出物を内在酵素が作用することのできる環境に一定時間置く方法を取ることが必要となる。かかる環境における温度は10℃〜50℃が好ましく、20℃〜35℃がより好ましい。この範囲より温度が高いと内在酵素が失活する可能性があり、この範囲より低ければ内在酵素が効果的に働かない問題がある。
【0051】
また、pHは好ましくは2.0〜10.0であり、さらに好ましくは2.5〜8.5である。この範囲を外れる場合、内在酵素が効果的に働かない可能性がある。またpHを調整するために、緩衝液を用いることもできる。緩衝液としては、トリズマ塩基、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、コハク酸緩衝液などが好ましく、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液が特に好ましい。
【0052】
富化処理を行う時間は特に限定されないが、1時間〜10日間が好ましく、6時間〜5日間がさらに好ましい。これ以上の時間処理を行ってももはやGABAの増加は期待できず、これ以下の時間である場合には十分にGABAが増加しない問題がある。
【0053】
富化処理を行う環境は好気環境、嫌気環境いずれでも良いが、嫌気環境で行うことが好ましい。嫌気環境としては、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の気体が充満している状態が好ましく、これらの中でも窒素で充満している環境で行うことが特に好ましい。
【0054】
富化処理を行う場合、GABAの原料としてグルタミン酸又はその塩を添加することができる。グルタミン酸塩の中では特にナトリウム塩が好ましい。グルタミン酸又はその塩はグルタミン酸脱炭酸酵素の作用を受けてGABAに変換される為、グルタミン酸又はその塩を添加することでGABAの含量を著しく増加させることができる。加えるグルタミン酸又はその塩の量は特に限定されないが、原料アスパラアスに対して0.1質量%〜100質量%が好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましい。この範囲より少なければGABA含量は増加するが微量に留まり、この範囲より多ければGABAに変換されないグルタミン酸又はその塩が多量に残存する問題がある。
【0055】
富化処理を行う場合、グルタミン酸脱炭酸酵素の補酵素としてピリドキサルリン酸又はその塩、又は塩酸ピリドキシンを添加することができる。ピリドキサルリン酸塩の中では特にナトリウム塩が好ましい。ピリドキサルリン酸又はその塩、又は塩酸ピリドキシンはグルタミン酸脱炭酸酵素の補酵素として働くため、酵素反応を効果的に進めることができ、GABAの含量を増加させることができる。加えるピリドキサルリン酸又はその塩、又は塩酸ピリドキシンの量は特に限定されないが、原料アスパラガスに対して0.001質量%〜20質量%が好ましく、0.005質量%〜5質量%がさらに好ましい。この範囲より少なければ、補酵素を添加する効果がほとんど期待できず、この範囲より多くとももはやこれ以上のGABA含量増加は期待できない。
【0056】
富化処理を行う場合、酵素を添加することができる。酵素としては、ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、キシラナーゼ、アラバナーゼ、アミラーゼ、グルカナーゼ、デキストラナーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、グルタミナーゼ、グルタミン酸脱炭酸酵素等が使用できる。ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、キシラナーゼ、アラバナーゼ、アミラーゼ、グルカナーゼ、デキストラナーゼ等を用いれば可溶性オリゴ糖、単糖類が多く回収され、機能性糖質の増加、呈味の向上が達成できる。プロテアーゼ、ペプチダーゼ等を用いればアミノ酸量、ペプチド量が増加するとともに、原料となるグルタミン酸量が増加し、ひいてはGABA含量を増加させることができる。グルタミナーゼを用いればグルタミンがグルタミン酸に変換されるために、GABA含量を増加させることができる。グルタミン酸脱炭酸酵素を用いれば、内在酵素に含まれるものを補う形でさらに効果的にGABAの産生が期待でき、GABA含量を増加させることができる。本発明においては、上記した酵素を一種類だけ用いてもよいし、二種以上を同時に又は工程を分けて用いてもよい。使用する酵素の量は原料アスパラガスに対して0.001質量%〜10質量%であることが好ましく、0.01質量%〜5質量%であることがより好ましい。この範囲より少なければ酵素を添加する効果がほとんど期待できず、この範囲より多くとももはやこれ以上の効果は期待できない。
【0057】
本発明において、アスパラガスから富化処理を行ってGABAを取り出す場合、加熱処理は行われていないので、富化処理が終わりGABAを取り出した後に加熱処理を行うことが好ましい。この場合も上記と同様の方法で加熱処理を行えばよい。
【0058】
上記のようにしてGABAを取り出す操作を行った後は、固液分離を行わずにそのまま使用することもできるが、従来公知の分離方法で液を分離することができる。分離方法としては、例えばフィルターろ過、圧搾ろ過、遠心分離、デカンテーションなど従来公知のあらゆる方法が使用できる。清澄な組成物を得る場合には、珪藻土などのろ過助剤を使用したフィルターろ過を行うことが好ましい。また、さらに清澄な液を得る場合や微生物の除去を行う場合には、これをさらに1μm未満の孔径のメンブランフィルターろ過を行うことが好ましい。
【0059】
また、上述した方法により得られたGABA含有組成物は、使用目的に応じて、分子量の大きな多糖類、食物繊維、蛋白質等を取り除き、分子量の小さなアミノ酸類、GABA、L−テアニン、ペプチド、単糖類、オリゴ糖類に分画することもできる。そのためには、例えば生化学工業(株)製の樹脂、セルロファインシリーズを用いてゲル濾過で分離する方法や、限外濾過膜(UF膜)を用いて所定の分子量で分画する方法等を採用することができる。
【0060】
このようにして得られたGABA含有組成物は、そのまま使用してもよいし、さらに所定の濃度にまで希釈又は濃縮して使用することもできる。希釈するには水に限定されず、アルコール、油などを用いることもでき、このとき必要に応じて乳化剤や塩類を添加することができる。濃縮するには、減圧濃縮、加熱濃縮、濾過膜を用いた濃縮などいかなる方法で行ってもよいが、20℃〜60℃の範囲での減圧濃縮を行うことが好ましい。該減圧濃縮には、一般的なエバポレーター装置や(株)大川原製作所製の「エバポール」、関西化学機械製作(株)製の「ウォールウェッター」などを使用することができる。
【0061】
本発明においてはGABA含有組成物の形態としては、本発明の効果を損なわない限り限定されないが、例えば、水溶液、クリーム、懸濁液、ゲル、粉末、錠剤、カプセルなどが挙げられる。これらの中でも水溶液、粉末が特に好ましい。水溶液は、固形分を0.01〜70質量%含むことが好ましく、アスパラガスから製造されたそのものでも良いし、希釈、濃縮されていても良い。粉末はアスパラガスから製造された液状の組成物からそのまま粉末化されていても良いし、デキストリン、乳糖などの賦型剤を添加して粉末化されていても良い。粉末化方法は特に限定されず、凍結乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥等の方法で乾燥し、必要に応じて乳鉢、ブレンダー、ハンマーミル、フェザーミル、パワーミル、ミルミキサー等の粉砕機を用いて粉砕することができる。また、これらの水溶液、粉末から乳化、打錠、ゲル化などの操作により、クリーム、錠剤、ゲルなどを製造しても良い。また、本発明のGABA含有組成物は、砂糖、果糖、ブドウ糖、オリゴ糖、蜂蜜等の糖類、食塩、にがりなどの塩類、だし、味の素、アミノ酸などで調味されていても良い。
【0062】
本発明においては、上述したGABA含有組成物を製品化する工程においても、本発明の特徴である加熱処理を行ってもよい。その場合は、水の添加などが好ましくない場合があるため、そのまま70℃〜150℃のオーブンに1分〜2時間導入して加熱処理を行うこともできるし、製品に熱風を当てることによって加熱処理を行うことができる。水の添加、蒸気の導入が可能な場合は蒸気の吹き込みや水を加えた煮沸などの加熱方法も用いることができる。
【0063】
本発明においては、必要であればさらに高温での失活処理、滅菌処理を行うことができる。この時の温度は60℃〜121℃が好ましく、70℃〜110℃がさらに好ましい。この温度範囲より低ければ、失活、滅菌の効果が不十分になる問題があり、この温度範囲より高ければGABAをはじめ有効成分が分解する問題がある。
【0064】
上述した方法により得られたGABA含有組成物には、アスパラガスに含まれていたGABAが多量に含まれることとなり、またそれらに加えてアミノ酸や水溶性食物繊維を含むこととなる。アミノ酸としては、L−テアニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、バリン、ロイシン、イソロイシン、リジン、アラニン、セリン、プロリンなどが比較的多く含まれる。特にバリン、ロイシン、イソロイシンは分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれ、ヒトの筋肉中の必須アミノ酸の約35%を占めている。これらのアミノ酸は特に近年運動能力向上、疲労回復、筋力向上の効果が認められたために注目を浴びている。また、L−テアニンは緑茶の旨み成分として知られており、茶葉以外でL−テアニンを含有するものはこれまで報告されていなかった。L−テアニンは近年カフェインによる興奮抑制作用、リラックス作用、血圧降下作用、学習効果向上作用等の機能性があることがわかり注目されている。本発明により得られるGABA含有組成物はアスパラガスを原料としているために、上記のように機能性の高いアミノ酸を多く含むことを特徴としている。
【0065】
次に、本発明の飲食品について説明する。
【0066】
本発明の飲食品は、上記した本発明により得られたGABA含有組成物それ自体あるいは既存の飲料又は食品に含ませることにより得ることができる。また、味質の改善等のために、本発明の効果を損なわない範囲で糖類、糖アルコール類、塩類、油脂類、アミノ酸類、有機酸類、果汁、野菜汁、香料、アルコール類、グリセリン等を添加することができる。
【0067】
本発明の飲食品のベースとなる飲料又は食品としては、特に限定されず例えば飲料は清涼飲料水、アルコール類、果汁飲料、野菜汁飲料、乳飲料、炭酸飲料、コーヒー飲料、アルコール類等であることが好ましく、また食品はカプセル、グミ、キャンデー、錠剤、顆粒、ドリンク等の形状をしたサプリメントであってもよいし、通常の食事として摂る食品であってもよい。
【0068】
本発明の飲食品に含ませるGABA含有組成物としては、特に限定されないが、1日当たりに摂取する量がGABAとして10〜500mgになるように配合することが好ましい。この範囲より少ない場合は効果が望めない可能性があり、この範囲より多い場合はもはや効果の増大は見込めない可能性がある。本発明の飲食品に含ませるGABA含有組成物の形態は特に限定されず、飲料、グミ、キャンデーなどにおいては液体状の物を、錠剤、顆粒、カプセルなどにおいては粉末状の物を使用するなどすればよい。
【0069】
本発明において、GABA、アミノ酸の含有量は、以下の方法により求められた値である。すなわち、高速液体クロマトグラフィー法(HPLC法)により以下の条件で測定し、蛍光検出器を用いて検出した。
HPLC:島津製作所(株)製LC−9A
カラム:Shim−pack ISC−07/S1504
移動相:0.2規定クエン酸ナトリウム緩衝液(pH2.2)
流速:0.3ml/分
温度:55℃
反応液:オルト−フタルアルデヒド
検出波長:励起波長348nm、蛍光波長450nm
【実施例】
【0070】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本実施例中のGABA、アミノ酸の含有量は前記した方法で測定した。また、味質の試験は、25歳〜50歳の男性10名、女性10名にボランティアとして協力してもらい、各組成物を0.5g摂取してもらった後、甘味、辛味、苦味、生臭味、えぐ味、渋味の強さを0〜4の5段階で評価してもらった。
【0071】
実施例1
グリーンアスパラガス若茎1kgに水1Lを導入し、オートクレーブで100℃1時間加熱した。これをミキサーで破砕し、不織布を用いて手で搾汁した。得られた搾汁液は濾過助剤に珪藻土を用い、ろ紙(ADVANTEC東洋製No.5C)を用いて吸引濾過を行った。得られた抽出液は1880gで黄緑色であった。GABA、アミノ酸の含有量は表1に示したとおりであり、呈味に関するアンケート調査の結果は表1のとおり、良好な味質であった。
【0072】
実施例2
グリーンアスパラガス若茎1kgに水1Lを導入し、ミキサーで破砕し、不織布を用いて手で搾汁した。得られた搾汁液は濾過助剤に珪藻土を用い、ろ紙(ADVANTEC東洋製No.5C)を用いて吸引濾過を行った。これをエバポレーターで水浴温55℃で10倍に濃縮し、得られた濃縮液を沸騰水浴中で15分間加熱した。室温まで放冷後、再度珪藻土ろ過を行って、茶色で清澄な抽出液を178g得た。GABA、アミノ酸の含有量は表1に示したとおりであり、呈味に関するアンケート調査の結果は表1のとおり、甘みが強く良好な味質であった。
【0073】
実施例3
グリーンアスパラガス若茎1kgに水1Lを導入し、ミキサーで破砕した。GABA富化処理として、これを振とう式インキュベーターを用いて25℃、24時間振とうした。得られた処理液は濾過助剤に珪藻土を用い、ろ紙(ADVANTEC東洋製No.5C)を用いて吸引濾過を行った。これをエバポレーターで水浴温55℃で10倍に濃縮し、沸騰水浴中で15分間加熱した。室温まで冷却後、ろ過を行い、茶色で清澄なGABA含有組成物を179g得た。GABA、アミノ酸の含有量は表1に示したとおりであり、呈味に関するアンケート調査の結果は表1のとおり良好な味質であった。
【0074】
比較例1
実施例1において、オートクレーブで加熱する工程を省き、生アスパラガスを搾汁した以外は実施例1と同様にしてGABA含有組成物を1874g得た。GABA、アミノ酸の含有量は表1に示したとおりであり、呈味に関するアンケート調査の結果は表1のとおり生臭味、苦味、えぐ味があった。
【0075】
比較例2
実施例3において、沸騰水浴中で15分間加熱する工程を省いた以外は実施例3と同様にしてGABA含有組成物を185g得た。GABA、アミノ酸の含有量は表1に示したとおりであり、呈味に関するアンケート調査の結果は表1のとおり生臭味、苦味、えぐ味があった。
【0076】
【表1】


【0077】
実施例4
実施例3で得られたGABA含有組成物6gを(1)煎茶180ml、(2)ウーロン茶180ml、(3)伊藤園(株)製「緑の野菜 モロヘイヤ&果実ミックス」180g、(4)カゴメ(株)製トマトジュース180mlに混合し、添加した組成物6gに含まれる26.1mgのGABAを摂取できる各種飲料を得た。これら飲料のGABA含有組成物添加前後の味の変化について評価した。結果を表2に示す。いずれもほとんど味の変化は認められなかった。
【0078】
比較例3
比較例2で得られたGABA含有組成物6gを実施例4と同じく(1)〜(4)の飲料に添加し、24.8mgのGABAを摂取できる各種飲料を得た。これら飲料のGABA含有組成物添加前後の味の変化について評価した。結果を表2に示す。生臭味、えぐ味、渋味等が増加した。
【0079】
【表2】







 

 


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