米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 農業 -> 住友大阪セメント株式会社

発明の名称 低誘電率フィラーと、これを用いた低誘電率組成物および低誘電率膜
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−161518(P2007−161518A)
公開日 平成19年6月28日(2007.6.28)
出願番号 特願2005−358610(P2005−358610)
出願日 平成17年12月13日(2005.12.13)
代理人 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
発明者 岸本 淳 / 広門 孝雄
要約 課題
誘電率特性に優れ、表面粗さおよび熱膨張係数が低く、破断強度が高い低誘電率膜を形成するための低誘電率フィラーと、これを用いた低誘電率組成物および低誘電率膜を提供する。

解決手段
本発明の低誘電率フィラーは、細孔を有し、平均一次粒子径が10nm以上かつ100nm以下の多孔質球状シリカ微粒子からなることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
細孔を有し、平均一次粒子径が10nm以上かつ100nm以下の多孔質球状シリカ微粒子からなることを特徴とする低誘電率フィラー。
【請求項2】
前記多孔質球状シリカ微粒子は、平均細孔径が2nm以上かつ5nm以下、比表面積が600m/g以上かつ1500m/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の低誘電率フィラー。
【請求項3】
前記多孔質球状シリカ微粒子は、二酸化ケイ素の含有率が95重量%以上であることを特徴とする請求項1または2記載の低誘電率フィラー。
【請求項4】
前記多孔質球状シリカ微粒子は、空隙率が20体積%以上かつ80体積%以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の低誘電率フィラー。
【請求項5】
前記多孔質球状シリカ微粒子は、疎水性有機化合物により疎水化されてなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の低誘電率フィラー。
【請求項6】
前記多孔質球状シリカ微粒子の外周に表面修飾層または被覆層が形成されてなることを特徴とする請求項5に記載の低誘電率フィラー。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項記載の低誘電率フィラーと、硬化性樹脂とを含有してなることを特徴とする低誘電率組成物。
【請求項8】
請求項7記載の低誘電率組成物を塗布、乾燥してなることを特徴とする低誘電率膜。


発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数1GHz以上の高周波信号にも対応した高周波用配線基板の絶縁膜を形成するための低誘電率フィラーと、これを用いた低誘電率組成物および低誘電率膜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の電子機器や移動体通信機器に使用されるプリント配線基板においては、軽薄短小化や多機能化の流れの中で、多層化、配線パターンの高密度化とともに、電気信号速度伝播の高速化の要求が高まっている。電気信号速度伝播の高速化を実現するためには、配線基板材料の低誘電率化が必要とされるため、配線基板構成材料の1つである絶縁膜形成材料を、従来よりもさらに低誘電率化することが求められている。
【0003】
このような絶縁膜形成材料としては、例えば、エポキシ樹脂、中空プラスチック粒子およびエポキシ硬化剤を含有する低誘電性エポキシ樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、樹脂多孔質層の少なくとも片面に接着層が形成され、樹脂多孔質層の空孔率を調整することにより、樹脂多孔質層の10GHzにおける誘電率と、接着層の10GHzにおける誘電率との差を0.4以下とした高周波配線基板用絶縁材が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、フッ素樹脂と、細孔容積が0.5〜3.5cm/g、かつ、平均粒径が2〜100μmの多孔質真球状シリカゲルからなる低誘電率材料が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2003−147166号公報
【特許文献2】特開2004−82372号公報
【特許文献3】特開2001−176329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の低誘電性エポキシ樹脂組成物は、熱膨張係数が大きく、プリント配線基板の銅配線の熱膨張係数との差も大きいため、熱膨張によって、銅配線が断線しやすいという問題があった。
また、上述した従来の高周波配線基板用絶縁材のように、直接、細孔(気泡)を有する樹脂多孔質層を形成すると、得られた樹脂多孔質層の熱膨張係数が大きく、熱膨張によって、プリント配線基板の配線が断線しやすいという問題があった。また、この高周波配線基板用絶縁材は、熱を伴う加工時に収縮しやすい上に、硬度も低いため、ホール加工性や精度が低いという問題があった。
また、上述した従来の低誘電率材料は、プリント配線基板の配線の密着強度を得るために、平均粒径が2〜100μmの多孔質真球状シリカゲルを使用しているものの、この低誘電率材料で形成された低誘電率層の表面は平滑性が低く、GHz周波数域における要求精度を満たすことはできなかった。また、フッ素樹脂は、低誘電率という点では優れているものの、樹脂形態がパウダー(固体)であるため、加工温度が350℃以上と比較的高く、フッ素樹脂を用いて多層配線基板を形成した場合、銅配線が受ける負荷が大きいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、誘電率特性に優れ、表面粗さおよび熱膨張係数が低く、破断強度が高い低誘電率膜を形成するための低誘電率フィラーと、これを用いた低誘電率組成物および低誘電率膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、配線基板構成材料の1つである絶縁膜形成材料を低誘電率化するために、絶縁膜形成材料に添加するシリカ微粒子について鋭意検討を重ねた結果、細孔を有し、平均一次粒子径が10nm以上かつ100nm以下の多孔質球状シリカ微粒子を疎水化処理し、さらに、その外周に表面修飾層または被覆層を形成することにより、誘電率特性に優れ、表面粗さおよび熱膨張係数が低く、破断強度が高い低誘電率膜を形成することが可能な低誘電率フィラーが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の低誘電率フィラーは、細孔を有し、平均一次粒子径が10nm以上かつ100nm以下の多孔質球状シリカ微粒子からなることを特徴とする。
【0008】
前記多孔質球状シリカ微粒子は、平均細孔径が2nm以上かつ5nm以下、比表面積が600m/g以上かつ1500m/g以下であることが好ましい。
前記多孔質球状シリカ微粒子は、二酸化ケイ素の含有率が95重量%以上であることが好ましい。
前記多孔質球状シリカ微粒子は、空隙率が20体積%以上かつ80体積%以下であることが好ましい。
【0009】
前記多孔質球状シリカ微粒子は、疎水性有機化合物により疎水化されてなることが好ましい。
前記多孔質球状シリカ微粒子の外周に表面修飾層または被覆層が形成されてなることが好ましい。
【0010】
本発明の低誘電率組成物は、本発明の低誘電率フィラーと、硬化性樹脂とを含有してなることを特徴とする。
本発明の低誘電率膜は、本発明の低誘電率組成物を塗布、乾燥してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の低誘電率フィラーによれば、細孔を有し、平均一次粒子径が10nm以上かつ100nm以下の多孔質球状シリカ微粒子からなるので、誘電率特性を向上させ、表面粗さおよび熱膨張係数を低下させ、破断強度を高めることができる。
また、本発明の低誘電率フィラーを用いれば、銅配線の断線を防止したプリント配線基板を作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の低誘電率フィラーと、これを用いた低誘電率組成物および低誘電率膜の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0013】
「低誘電率フィラー」
本実施形態の低誘電率フィラーは、細孔を有し、平均一次粒子径が10nm以上かつ100nm以下の多孔質球状シリカ微粒子からなるものである。
【0014】
多孔質球状シリカ微粒子の平均一次粒子径は、10nm以上かつ100nm以下であることが好ましく、30nm以上かつ70nm以下であることがより好ましい。
その理由は、多孔質球状シリカ微粒子の平均一次粒子径が10nm未満では、細孔を有しかつ所定の空隙率を有するシリカ微粒子を得ることが困難になるからである。一方、多孔質球状シリカ微粒子の平均一次粒子径が100nmを超えると、形成される低誘電率膜の表面は平滑性が低く、高周波対応の表面平滑性が得難いからである。
【0015】
多孔質球状シリカ微粒子の細孔の平均細孔径は、多孔質球状シリカ微粒子の平均一次粒子径によって異なるが、2nm以上かつ5nm以下であることが好ましく、2.5nm以上かつ4.0nm以下であることがより好ましい。
その理由は、多孔質球状シリカ微粒子の細孔の平均細孔径が2nm未満では、合成時および合成後におけるシリカ微粒子および細孔の安定性が損なわれ、空隙率の低い粒子になる。一方、多孔質球状シリカ微粒子の細孔の平均細孔径が5nmを超えると、本実施形態の低誘電率フィラーを用いて低誘電率膜を形成する際に、細孔内にバインダー成分などが浸入し易くなり、したがって空隙率が低くなり、低誘電率化できないからである。
【0016】
多孔質球状シリカ微粒子の細孔の断面の形状は、円、多角形など、特に限定されないが、それぞれの細孔が互いに平行に形成されていることが好ましく、例えば、断面六角形状の細孔がハニカム状(蜂の巣状)に配列されたものが好ましい。
また、この細孔は、両端が開放されかつ外部と連通していることが好ましい。
このように、複数の細孔が、多孔質球状シリカ微粒子を貫通するようにかつ互いに平行に形成されることにより、多孔質球状シリカ微粒子自体の強度を低下させることなく、最大の空隙率を得ることができる。
【0017】
図1は、本発明の低誘電率フィラーをなす多孔質球状シリカ微粒子の一実施形態を示す上面図である。図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。
この多孔質球状シリカ微粒子1は、平均一次粒子径が10nm以上かつ100nm以下のシリカからなる球形状の微粒子2に、断面六角形状の細管状の細孔3が多数、ハニカム状(蜂の巣状)に形成されてなるものである。各細孔3は、その両端部3a、3bが開放されることで外部と連通するようになっている。
【0018】
多孔質球状シリカ微粒子の比表面積は、600m/g以上かつ1500m/g以下であることが好ましく、800m/g以上かつ1300m/g以下であることがより好ましい。
その理由は、多孔質球状シリカ微粒子の比表面積が600m/g未満では、多孔質状シリカ微粒子自体の誘電率がそれほど低くならないからである。一方、多孔質球状シリカ微粒子の比表面積が1500m/gを超えると、多孔質状シリカ微粒子自体の強度が低下することで低誘電率膜の硬度が得られなくなるからである。
【0019】
また、多孔質球状シリカ微粒子は、二酸化ケイ素の含有率が95重量%以上であることが好ましく、二酸化ケイ素の含有率が99重量%以上であることがより好ましい。
その理由は、二酸化ケイ素の含有率が95重量%未満では、高度な自己組織化が得難く、高い空隙率が達成できないからである。また、LSIに近接して使用するので、純度が高い方が好ましいからである。
【0020】
多孔質球状シリカ微粒子の空隙率は、20体積%以上かつ80体積%以下であることが好ましく、40体積%以上かつ70体積%以下であることがより好ましい。
その理由は、空隙率が20体積%未満では、多孔質球状シリカ微粒子自体の誘電率がそれほど低くならないからである。一方、空隙率が80体積%を超えると、多孔質球状シリカ微粒子自体の強度が低下するからである。
【0021】
多孔質球状シリカ微粒子は、疎水性有機化合物により疎水化されていることが好ましい。
疎水性有機化合物としては、メチル基を1個以上有するシラン化合物、シラザン化合物またはシロキサン化合物、炭素数が10以下のフルオロアルキル基を1個以上有するシラン化合物、シラザン化合物、シロキサン化合物またはイソシアネート化合物、フェニル基を1個以上有するシラン化合物、シラザン化合物、シロキサン化合物またはイソシアネート化合物の群から選択された1種または2種以上が好適に用いられる。
【0022】
メチル基を1個以上有するシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリメチルシラン、トリメチルメトキシシラン、n−オクタデシルジメチルメトキシシラン、(N、N−ジメチルアミノ)メチルエトキシシランなどが挙げられる。
【0023】
メチル基を1個以上有するシラザン化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシラン、ノナメチルトリシラザンなどが挙げられる。
【0024】
メチル基を1個以上有するシロキサン化合物としては、例えば、(CHSiOSi(CH、CHCH(CHSiOSi(CHCHCH、(C)(CHSiOSi(CH(C)などが挙げられる。
【0025】
炭素数が10以下のフルオロアルキル基を1個以上有するシラン化合物としては、例えば、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル−1−トリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリクロロシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル−1−トリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、1,6−ビス−(トリメトキシシリルシル)ドデカフルオロヘキサンなどが挙げられる。
【0026】
炭素数が10以下のフルオロアルキル基を1個以上有するシラザン化合物としては、例えば、(CF(CFCHCHSi)NH、(CF(CFCHCHSi)NHなどが挙げられる。
【0027】
炭素数が10以下のフルオロアルキル基を1個以上有するシロキサン化合物としては、例えば、(CF(CFCHCHSi)O、(CF(CFCHCHSi)Oなどが挙げられる。
【0028】
炭素数が10以下のフルオロアルキル基を1個以上有するイソシアネート化合物としては、例えば、CFCHCHNCO、CF(CFCHCHCNO、CF(CFCHCHCNOなどが挙げられる。
【0029】
フェニル基を1個以上有するシラン化合物としては、例えば、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジクロロシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシランなどが挙げられる。
【0030】
フェニル基を1個以上有するシラザン化合物としては、例えば、(C(CHSi)NH、((CCHSi)NHなどが挙げられる。
【0031】
フェニル基を1個以上有するシロキサン化合物としては、例えば、(C(CHSi)O、((CCHSi)Oなどが挙げられる。
【0032】
フェニル基を1個以上有するイソシアネート化合物としては、例えば、フェニルイソシアネート、などが挙げられる。
【0033】
上記の疎水性有機化合物を用いて、多孔質球状シリカ微粒子を疎水化する方法としては、気相法、ウェット法などが挙げられる。
気相法とは、疎水性化合物を圧力と温度を調整することでガス化させ、多孔質球状シリカ微粒子のシラノール基と反応させる方法である。
ウェット法とは、OH基を含まない芳香族炭化水素、ケトンエステルなどの溶媒中に多孔質球状シリカ微粒子と疎水性化合物を共存させ反応させる方法である。
また、上記の反応時に、反応触媒、反応促進剤を併用してもよい。
【0034】
さらに、多孔質球状シリカ微粒子は、表面修飾剤または被覆剤により、その外周に表面修飾層または被覆層が形成されていることが好ましい。特に、多孔質球状シリカ微粒子を、上記の疎水性有機化合物により疎水化した後、表面修飾剤または被覆剤により、多孔質球状シリカ微粒子の外周に表面修飾層または被覆層が形成されていることが好ましい。
表面修飾剤または被覆剤としては、アルコキシシラン化合物、シロキサン化合物、界面活性剤の群から選択された1種または2種以上が好適に用いられる。
これらの表面修飾剤または被覆剤のうち特に好ましいのは、アルコキシシラン化合物としてはシランカップリング剤であり、シロキサン化合物としては変性シリコーンである。
【0035】
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0036】
変性シリコーンとしては、メトキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、メタクリレート変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーンなどが挙げられる。
また、ビニル基および/またはケイ素原子に結合した官能基を有する変性シリコーンを用いると、ビニル基および/またはケイ素原子に結合した官能基が樹脂を硬化させる際の化学反応に寄与するので、特に好ましい。
【0037】
界面活性剤としては、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性イオン界面活性剤などのイオン性界面活性剤、あるいは非イオン系界面活性剤が好適に用いられる。
陰イオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウムなどの脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸エステルスルフォン酸ナトリウムなどの脂肪酸系、アルキルリン酸エステルナトリウムなどのリン酸系、アルファオレインスルフォン酸ナトリウムなどのオレフィン系、アルキル硫酸ナトリウムなどのアルコール系、アルキルベンゼン系などが挙げられる。
陽イオン系界面活性剤としては、例えば、塩化アルキルメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウムなどが挙げられる。
【0038】
両性イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミノカルボン酸塩などのカルボン酸系、フォスフォベタインなどのリン酸エステル系が挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラノリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの脂肪酸系、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アルカノールアミドなどが挙げられる。
【0039】
上記の表面修飾剤または被覆剤を用いて、多孔質球状シリカ微粒子の外周に表面修飾層または被覆層を形成する方法としては、湿式法、乾式法などが挙げられる。
湿式法とは、表面修飾剤または被覆剤と、多孔質球状シリカ微粒子を溶媒に投入し混合することにより、多孔質球状シリカ微粒子の外周に表面修飾層または被覆層を形成する方法である。
乾式法とは、表面修飾剤または被覆剤と、乾燥した多孔質球状シリカ微粒子をミキサーなどの乾式混合機に投入し混合することにより、多孔質球状シリカ微粒子の外周に表面修飾層または被覆層を形成する方法である。
【0040】
本実施形態の低誘電率フィラーは、適当な溶媒に分散した分散液として得ることが望ましい。この低誘電率フィラーの分散液は、界面活性剤の適量存在下、公知技術のシリカゾルを合成する方法により、界面活性剤を鋳型にした低誘電率フィラーが分散した液を調製し、酸抽出などにより界面活性剤を除去することにより得られる。
必要であれば、限外濾過など、公知の方法により洗浄し、また、必要であれば、エバポレータなどを使用して溶媒置換してもよい。さらに、焼成により界面活性剤を分解除去し、細孔を有する多孔質球状シリカ微粒子を得た後、公知の方法により適当な溶媒に再分散させることも可能である。
【0041】
この界面活性剤を鋳型にした方法によれば、細孔がハニカム状に配列されかつその両端が開放されて外部と連通した多孔質球状シリカ微粒子からなる低誘電率フィラーが得られる。
鋳型に用いられる界面活性剤としては、カチオン性、ノニオン性、アニオン性のいずれのタイプでもよく、特に限定されるものではない。また、ハニカム構造を形成するための界面活性剤の最適量は、使用される界面活性剤の種類により異なるが、シリカ1モルに対して、概ね0.001〜0.5モルである。
【0042】
公知技術のシリカゾルを合成する方法としては、ケイ酸アルカリ塩を酸で中和する方法、ケイ酸アルカリ塩をイオン交換などで脱アルカリ処理して得られる活性ケイ酸を縮合する方法、アルコキシシランを有機溶媒中で塩基性触媒存在下、加水分解・重縮合を行う方法などが挙げられる。
【0043】
「低誘電率組成物」
本実施形態の低誘電率組成物は、本実施形態の低誘電率フィラーと、硬化性樹脂とを含有してなるものである。
硬化性樹脂としては、可視光線あるいは近赤外線などの所定の波長帯域の光に対して透明性を有する樹脂であればよく、熱可塑性、熱硬化性、可視光線や紫外線や赤外線などによる光(電磁波)硬化性、電子線照射による電子線硬化性などの硬化性樹脂が好適に用いられる。
【0044】
このような硬化性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリシクロヘキシルメタクリレートなどのアクリレート、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアクリル酸エステル、ポリアミド、フェノール−ホルムアルデヒド(フェノール樹脂)、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、メチルメタクリレート・スチレン共重合体(MS樹脂)、ポリ−4−メチルペンテン、ノルボルネン系ポリマー、ポリウレタン、エポキシ、ポリイミド、ポリエーテルイミド、縮合多環芳香族樹脂(COPNA樹脂)、ポリベンゾイミダゾール、非晶質ポリオレフィン、非極性ポリオレフィン、ポリフェニルエーテル、液晶ポリマー、ポリキノリン、フッ素樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリマリーレン、エーテルニトリル、ノルボルネン系樹脂、シリコーンなどが挙げられる。
【0045】
本実施形態の低誘電率組成物は、必要に応じて、溶媒を含有していてもよい。
溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、オクタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトンなどのエステル類、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類が好適に用いられ、これらの溶媒のうち1種または2種以上を用いることができる。
【0046】
この低誘電率組成物では、上記の多孔質球状シリカ微粒子の含有率は、10体積%以上かつ80体積%以下であることが好ましく、25体積%以上かつ60体積%以下であることがより好ましい。
その理由は、多孔質球状シリカ微粒子の含有率が10体積%未満では、誘電率および機械的特性が向上しない。一方、多孔質球状シリカ微粒子の含有率が80体積%を超えると、硬化性樹脂自体の特性(柔軟性、比重)を維持することができなくなる。
【0047】
「低誘電率膜」
本実施形態の低誘電率膜は、本実施形態の低誘電率組成物を塗布、乾燥してなるものである。
図3は、本発明の低誘電率膜の一実施形態を示す断面図である。図4は、本発明の低誘電率膜の一実施形態を示し、低誘電率膜の微細構造を示す模式図である。
この低誘電率膜11は、ガラス板や金属板などの基材12の表面に形成されており、その微細構造は、硬化性樹脂21中に本実施形態の多孔質球状シリカ微粒子1からなる低誘電率フィラー22が均一に分散されている。
【0048】
この低誘電率膜11は、本実施形態の低誘電率組成物を、バーコート法、ディップ法、スピンコート法などの通常用いられる塗布方法により基材12上に塗布し、その後、乾燥することによって得られる。
【0049】
このようにして得られた低誘電率膜11では、低誘電率フィラー22が、ハニカム構造の細孔、すなわち断面六角形状の細管状の細孔3がハニカム状に配列されている多孔質球状シリカ微粒子1の外周に、表面修飾層または被覆層が形成されているため、低誘電率組成物中の硬化性樹脂が細孔3中に入るおそれがない。さらに、細孔3中には低誘電率組成物中の溶媒が残存することもあるが、この溶媒は、低誘電率組成物を塗布した後、乾燥することによって蒸発揮散する。したがって、溶媒の蒸発揮散の点からも、細孔3の両端が開放され外部と連通していることが好ましい。
【0050】
この低誘電率膜11中の多孔質球状シリカ微粒子1の細孔3中には空気が存在しているので、多孔質球状シリカ微粒子1全体の誘電率が低くなり、誘電率の低い膜が得られる。
また、多孔質球状シリカ微粒子1の細孔3が互いに平行に形成されている場合、細孔3の連通している方向、すなわち細孔3の延在する方向に対しては、機械的強度が強くなる。
【0051】
本実施形態の低誘電率膜11では、膜中において多数の多孔質球状シリカ微粒子1からなる低誘電率フィラー22がランダム(無秩序)に配置されているので、各多孔質球状シリカ微粒子1の細孔3の延在方向もランダムとなり、膜中においては多数の細孔3がランダムに配置されることとなる。したがって、この低誘電率膜11の機械的強度が等方的となり、特定方向から外力が加わった場合においても機械的強度の低下を招くおそれがなくなり、機械的強度の強い低誘電率膜が得られる。
【0052】
また、多孔質球状シリカ微粒子1自体の誘電率が低いため、比較的少ない量で誘電率を下げることができ、膜の機械的強度に影響を及ぼさない。
特に、多孔質球状シリカ微粒子1の細孔3がハニカム状に形成されている場合、多孔質球状シリカ微粒子1自体が非常に機械的強度に優れた構造となる。したがって、この多孔質球状シリカ微粒子1からなる低誘電率フィラー22を低誘電率膜11中に分散させた場合、細孔3の延在する方向に対して機械的強度の強い低誘電率フィラー22が膜11中にランダムに配置されるので、膜としても機械的強度に優れており、好ましい。
【0053】
この低誘電率膜11における低誘電率フィラー22とバインダーの固形分との体積比(低誘電率フィラー/バインダー)は、5/95〜80/20が好ましく、より好ましくは10/90〜60/40、さらに好ましくは15/85〜40/60である。
その理由は、この体積比が5/95未満では、所望の低誘電率性能が得られず、また、80/20を越えると膜の機械的強度が不足するからである。
【0054】
このようにして得られた本実施形態の低誘電率膜11は、比誘電率(εr)が1.6〜3.0のもの、さらに好ましくは1.8〜2.5のものが得られる。また、誘電正接(tanδ)が0.0005〜0.01のもの、さらに好ましくは0.001〜0.005のものが得られる。また、中心線平均粗さRa(nm)が5〜100のもの、さらに好ましくは20〜50のものが得られる。また、熱膨張係数(ppm/℃)が12〜60のもの、さらに好ましくは15〜20のものが得られる。さらに、破断強度(MPa)が20〜100のもの、さらに好ましくは40〜70のものが得られる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0056】
「低誘電率フィラー、低誘電率組成物および低誘電率膜の作製」
「実施例1」
N−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(東京化成社製)64.0gを、純水1L(リットル)に溶解して、N−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液を調製した。
この水溶液を電解透析装置によりイオン交換して、0.2Mのn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を調製した。この水溶液のpHは13.0、塩素イオン濃度は0.005g/Lであった。
【0057】
次いで、酢酸アンモニウム(関東化学社製)77.0gを純水323.0gに溶解して、酢酸アンモニウム水溶液を調製した。
次いで、この酢酸アンモニウム水溶液500.0gを上記のn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に加えて、15分間攪拌し、混合溶液を調製した。この混合溶液のpHは9.4であった。
【0058】
次いで、この混合溶液に、チューブポンプを用いて、テトラエトキシシラン(関東化学社製)104.0gを、約30℃にて攪拌しながら、約5mL/secの流量で滴下した。滴下を終了した後、約30℃にて24時間、混合溶液を攪拌して、コロイド状の粒子が分散した分散液を調製した。
【0059】
次いで、この分散液を入れた容器を、遠心分離器を用いて、20000rpmにて2時間、回転させ、コロイド状スラリーを回収した。
次いで、このコロイド状スラリーを凍結乾燥させた後、乾燥させ、固形物を得た。
【0060】
次いで、この固形物を、電気炉を用いて、大気中、550℃にて5時間、焼成し、有機質を分解、除去して、多孔質球状シリカ微粒子を得た。
この多孔質球状シリカ微粒子を、透過型電子顕微鏡(倍率10万倍、日立製作所社製、H−800)を用いて観察したところ、平均一次粒子径は50nmであり、ほとんどの粒子の平均一次粒子径が揃っていた。
また、この多孔質球状シリカ微粒子を、粉末X線回折法により分析したとろ、多孔質球状シリカ微粒子の細孔が配向していることが確認された。
また、この多孔質球状シリカ微粒子について、定容量型ガス吸着装置(日本ベル社製、BELSORP−mini)を用いて比表面積を求めたところ、比表面積は1150m/gであった。
さらに、この多孔質球状シリカ微粒子について、Dollimore−Hel法(DH法)によるメソポア細孔分布曲線を用いて、平均細孔径および空隙率を求めたところ、平均細孔径は3nm、空隙率は60体積%であった。
【0061】
次いで、上記の多孔質球状シリカ微粒子を、真空炉にて乾燥窒素を流しながら、200℃にて2時間、乾燥させて、吸着水を除去した。
その後、真空炉内にトリメチルシランガスを導入して、多孔質球状シリカ微粒子を疎水化して、低誘電率フィラーを調製した。
その後、この疎水化処理した多孔質球状シリカ微粒子(低誘電率フィラー)を、フーリエ変換式赤外分光法(FT−IR)により分析したところ、3500cm−1の水酸基のピークがないことが確認された。
【0062】
次いで、この低誘電率フィラー20.0gを、メチルエチルケトン79.0g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.0g、および、粒径0.1mmのガラスビーズと共にサンドミル用容器に入れて、2500rpmにて2時間、分散させた後、ガラスビーズを分離して、固形分が19重量%の低誘電率フィラーの分散液を得た。
この分散液を、粒度分析計(日機装社製、マイクロトラック9340UPA)を用いて分析したところ、分散平均径は60nmであった。
【0063】
次いで、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパン・エポキシ・レジン社製、エピコート1009)70gと、フェノール・エボラック型エポキシ樹脂(ジャパン・エポキシ・レジン社製、エピコート152)25gと、硬化剤のジシアンジアミド5gとを、メチルエチルケトン100gに溶解して、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノール・エボラック型エポキシ樹脂およびジシアンジアミドの総量の含有率が50重量%の硬化性樹脂溶液を調製した。
【0064】
次いで、この硬化性樹脂溶液20gと、上記の低誘電率フィラーの分散液79gとを混合して、低誘電率組成物を調製した。
次いで、この低誘電率組成物を、アプリケーターを用いて、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)板上に塗布した後、160℃にて1時間、乾燥した後、剥離し、膜厚200μmの低誘電率膜を得た。
【0065】
「実施例2」
実施例1に準じて、多孔質球状シリカ微粒子を調製し、この多孔質球状シリカ微粒子を疎水化処理した。
次いで、疎水化処理した多孔質球状シリカ微粒子20.0gを、トルエン79.0g、フェニルトリメトキシシラン1.0g、および、粒径0.1mmのガラスビーズと共にサンドミル用容器に入れて、2500rpmにて2時間、分散させた後、ガラスビーズを分離して、固形分が19重量%の低誘電率フィラーの分散液を得た。
この分散液を、粒度分析計(日機装社製、マイクロトラック9340UPA)を用いて分析したところ、分散平均径は60nmであった。
【0066】
次いで、ポリフェニレンエーテル樹脂(日本ジーイープラスチック社製、ノリルPX9701)100gと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパン・エポキシ・レジン社製、エピコート1009)1gと、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート(日本油脂社製、パーブチルI)0.7gと、ナフテン酸コバルト1%トルエン溶液2gとを、トルエン250gに溶解して、90℃にて1時間、反応させてポリフェニレンエーテル樹脂の分子量を調整した。得られたポリフェニレンエーテル樹脂の溶液について、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用いて、ポリフェニレンエーテル樹脂の数平均分子量を測定したところ、数平均分子量は約10000であった。
このポリフェニレンエーテル樹脂の溶液に、TAIC(日本化成社製)80gと、ビニルベンジルエーテル系樹脂(樹脂固形分70重量%、昭和高分子社製、V−1000X)28gと、硬化剤のα、α´ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン2gとを溶解して、ポリフェニレンエーテル樹脂、TAIC、ビニルベンジルエーテル系樹脂およびα、α´ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼンの総量の含有率が50重量%の硬化性樹脂溶液を調製した。
【0067】
次いで、この硬化性樹脂溶液25gと、上記の低誘電率フィラーの分散液60gとを混合して、低誘電率組成物を調製した。
次いで、この低誘電率組成物を、アプリケーターを用いて、PTFE板上に塗布した後、180℃にて1時間、乾燥した後、剥離し、膜厚200μmの低誘電率膜を得た。
【0068】
「実施例3」
実施例1に準じて、低誘電率フィラーの分散液を調製した。
次いで、ビニルベンジルエーテル系樹脂(樹脂固形分70重量%、昭和高分子社製、V−1000X)57gと、可溶性ポリイミド樹脂(樹脂固形分20重量%、ピーアイ技術研究所社製、Q−VR−X0163)30gと、開始剤のt−ヘキシルパーオキシベンゾエート(日本油脂社製、パーヘキシルZ)1gとを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)とメチルエチルケトン(MEK)の混合溶剤(混合比:NMP/MEK=6/4)に溶解して、ビニルベンジルエーテル系樹脂、可溶性ポリイミド樹脂およびt−ヘキシルパーオキシベンゾエートの総量の含有率が50重量%の硬化性樹脂溶液を調製した。
【0069】
次いで、この硬化性樹脂溶液20gと、上記の低誘電率フィラーの分散液53gとを混合して、低誘電率組成物を調製した。
次いで、この低誘電率組成物を、アプリケーターを用いて、PTFE板上に塗布した後、180℃にて1時間、乾燥した後、剥離し、膜厚200μmの低誘電率膜を得た。
【0070】
「比較例1」
実施例1に準じて、硬化性樹脂溶液を調製した。
次いで、この硬化性樹脂溶液を、アプリケーターを用いて、PTFE板上に塗布した後、160℃にて1時間、乾燥した後、剥離し、膜厚200μmの樹脂膜を得た。
【0071】
「比較例2」
実施例2に準じて、硬化性樹脂溶液を調製した。
次いで、この硬化性樹脂溶液を、アプリケーターを用いて、PTFE板上に塗布した後、180℃にて1時間、乾燥した後、剥離し、膜厚200μmの樹脂膜を得た。
【0072】
「比較例3」
実施例3に準じて、硬化性樹脂溶液を調製した。
次いで、この硬化性樹脂溶液を、アプリケーターを用いて、PTFE板上に塗布した後、180℃にて1時間、乾燥した後、剥離し、膜厚200μmの樹脂膜を得た。
【0073】
「比較例4」
実施例1に準じて、多孔質球状シリカ微粒子を調製し、この多孔質球状シリカ微粒子を疎水化処理した。
次いで、疎水化処理した多孔質球状シリカ微粒子20.0gを、メチルエチルケトン79.0g、粒径0.1mmのガラスビーズと共にサンドミル用容器に入れて、2500rpmにて2時間、分散させた後、ガラスビーズを分離して、固形分が15重量%の疎水化処理多孔質球状シリカ微粒子の分散液を得た。
この分散液を、粒度分析計(日機装社製、マイクロトラック9340UPA)を用いて分析したところ、分散平均径は190nmであった。
【0074】
次いで、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパン・エポキシ・レジン社製、エピコート1009)70gと、フェノール・エボラック型エポキシ樹脂(ジャパン・エポキシ・レジン社製、エピコート152)25gと、硬化剤のジシアンジアミド5gとを、メチルエチルケトン100gに溶解して、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノール・エボラック型エポキシ樹脂およびジシアンジアミドの総量の含有率が50重量%の硬化性樹脂溶液を調製した。
【0075】
次いで、この硬化性樹脂溶液20gと、上記の疎水化処理多孔質球状シリカ微粒子の分散液53gとを混合して、樹脂組成物を調製した。
次いで、この樹脂組成物を、アプリケーターを用いて、PTFE板上に塗布した後、160℃にて1時間、乾燥した後、剥離し、膜厚200μmの樹脂膜を得た。
【0076】
「実施例5」
実施例1に準じて、硬化性樹脂溶液を調製した。
次いで、この硬化性樹脂溶液50gに、平均一次粒子径2μmの溶融シリカを配合した。
次いで、この溶融シリカを配合した硬化性樹脂溶液を、アプリケーターを用いて、PTFE板上に塗布した後、160℃にて1時間、乾燥し、膜厚200μmの樹脂膜を得た。
【0077】
「低誘電率膜の評価」
上記の実施例1〜3の低誘電率膜、および、比較例1〜5の樹脂膜について、比誘電率、誘電正接、表面粗さ、熱膨張係数および破断強度の5点について、下記の装置または方法により評価した。
(1)比誘電率
誘電率測定装置(関東電子応用開発社製、CP431)を用いた空洞共振摂動法により、共振周波数を1GHzとして、所定の大きさに加工した、上記の低誘電率膜または樹脂膜の比誘電率(εr)を測定した。
【0078】
(2)誘電正接
誘電率測定装置(関東電子応用開発社製、CP431)を用いた空洞共振摂動法により、共振周波数を1GHzとして、所定の大きさに加工した、上記の低誘電率膜または樹脂膜の誘電正接(tanδ)を測定した。
【0079】
(3)表面粗さ
三次元表面粗さ計(東京精密社製、SURFCOM575A−3DF)を用いて、上記の低誘電率膜または樹脂膜の中心線平均粗さRa(nm)を測定した。
【0080】
(4)熱膨張係数
熱分析システム(セイコーインスツルメンツ社製、ATM/SS)を用いて、25〜200℃において、上記の低誘電率膜または樹脂膜の熱膨張係数(ppm/℃)を測定した。
【0081】
(5)破断強度
引張強度試験機(島津製作所社製、AUTOGRAPHAG−5KNE)を用いて、引張速度を50mm/分とし、所定の大きさに加工した、上記の低誘電率膜または樹脂膜の破断強度(MPa)を測定した。
以上の測定結果を表1に示す。
【0082】
【表1】


【0083】
以下に、各測定結果について示す。
(1)比誘電率
実施例1の低誘電率膜は、比較例1の樹脂膜に低誘電率フィラーを含有させた構成である。これにより、比較例1の樹脂膜の比誘電率は3.4であるのに対して、実施例1の低誘電率膜の比誘電率は2.3に改善された。
同様に、比較例2の樹脂膜の比誘電率は2.3であるのに対して、実施例2の低誘電率膜の比誘電率は1.9に改善された。
また、比較例3の樹脂膜の比誘電率は2.5であるのに対して、実施例3の低誘電率膜の比誘電率は2.0に改善された。
このように、実施例1〜3では、「2005年度日本実装ロードマップ」に記載されている2010年のリジッド配線板の比誘電率2.6を下回る誘電率特性が得られた。
比較例5では、実施例1〜3の多孔質球状シリカ微粒子と組成が等しいSiOからなる溶融シリカを用いたものの、比誘電率を改善する効果が得られなかった。
【0084】
(2)誘電正接
比較例1の樹脂膜の誘電正接は0.01であるのに対して、実施例1の低誘電率膜の誘電正接は0.005に改善された。
同様に、比較例2の樹脂膜の誘電正接は0.001であるのに対して、実施例2の低誘電率膜の誘電正接は0.001であった。
また、比較例3の樹脂膜の誘電正接は0.04であるのに対して、実施例3の低誘電率膜の誘電正接は0.002に改善された。
このように、実施例1〜3では、「2005年度日本実装ロードマップ」に記載されている2010年のリジッド配線板の誘電正接0.005と同等かあるいは下回る誘電正接特性が得られた。
【0085】
(3)表面粗さ
電気信号の高周波数化が進み、1GHzになると、表皮効果の厚みは2.1μmとなり、信号伝播精度から、プリント配線基板を構成する絶縁層(絶縁膜)の中心線平均粗さRaは200nm以下である必要がある。表1に示すように、実施例1〜3の低誘電率膜は十分な値を示し、これらは10GHz域まで対応可能である。
また、比較例4のように疎水化処理多孔質球状シリカ微粒子の分散液の分散平均径が190nmの場合や、比較例5のように平均一次粒子径2μmの溶融シリカを用いた場合、樹脂膜の中心線平均粗さRaは200nmを超え、不適切であった。
【0086】
(4)熱膨張係数
実施例1〜3および比較例1〜5で用いられた硬化性樹脂の熱膨張係数は40〜200ppm/℃と大きいため、熱膨張係数が0.5ppm/℃と小さい多孔質球状シリカ微粒子と、硬化性樹脂を併用することは、熱膨張係数を下げる方法として最適である。特に、実施例1と比較例1を比べると、比較例1の樹脂膜の熱膨張係数は45ppm/℃であるのに対して、実施例1の低誘電率膜の熱膨張係数は18ppm/℃に改善された。
このように、実施例1では、「2005年度日本実装ロードマップ」に記載されている2010年のリジッド配線板の熱膨張係数20ppm/℃を下回る熱膨張特性が得られた。
【0087】
(5)破断強度
実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、実施例3と比較例3を比べると、低誘電率フィラーを加えても、硬化性樹脂のみの場合の破断強度をほぼ維持していることが確認された。これは、低誘電率フィラーと硬化性樹脂との界面における結合状態が良好であるからと考えられる。比較例4および5では、粒子の粒径が大き過ぎて、明らかに強度が低下することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の低誘電率フィラーと、これを用いた低誘電率組成物および低誘電率膜は、プリント配線基板、多層配線基板などはもちろんのこと、これ以外の様々な工業分野においても、その効果は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の低誘電率フィラーをなす多孔質球状シリカ微粒子の一実施形態を示す上面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】本発明の低誘電率膜の一実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明の低誘電率膜の一実施形態を示し、低誘電率膜の微細構造を示す模式図である。
【符号の説明】
【0090】
1 多孔質球状シリカ微粒子
2 微粒子
3 細孔
11 低誘電率膜
12 基材
21 硬化性樹脂
22 低誘電率フィラー




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013