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発明の名称 磯根資源成育礁及び磯根資源の成育方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−6795(P2007−6795A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−192398(P2005−192398)
出願日 平成17年6月30日(2005.6.30)
代理人 【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
発明者 鈴木 裕明 / 今泉 幸男 / 坪田 晃誠
要約 課題
磯根資源の稚体を外敵から防護しつつ成育可能な磯根資源成育礁を提供する。

解決手段
成育領域P1に放流したアワビやウニ等の磯根資源の稚体Xを少なくとも所定期間成育させるための礁であって、前記成育領域P1と非成育領域Qとの間に設けられ、前記稚体Xが前記成育領域P1から前記非成育領域Qへ脱出することを防止する脱出防止手段を具備して成るようにした。
特許請求の範囲
【請求項1】
成育領域に放流したアワビやウニ等の磯根資源の稚体を少なくとも所定期間成育させるための礁であって、
前記成育領域と非成育領域との間に設けられ、前記稚体が前記成育領域から前記非成育領域へ脱出することを防止する脱出防止手段を具備して成ることを特徴とする磯根資源成育礁。
【請求項2】
前記脱出防止手段が、その少なくとも一部を、前記所定期間を経過した際に開放して、前記稚体の前記脱出を許容し得るものであることを特徴とする請求項1記載の磯根資源成育礁。
【請求項3】
前記脱出防止手段が、前記成育領域と非成育領域とを、略起立した状態で間仕切る起立網を具備して成ることを特徴とする請求項1または2記載の磯根資源成育礁。
【請求項4】
前記起立網の網糸に、シリコンを塗布していることを特徴とする請求項3記載の磯根資源成育礁。
【請求項5】
前記起立網の少なくとも下端側を、前記稚体の通過を妨げ得る網目寸法で形成していることを特徴とする請求項3または4記載の磯根資源成育礁。
【請求項6】
前記起立網を、上下2段を成す上側起立網部と下側起立網部とを備えるように構成するとともに、
前記下側起立網部を、前記稚体の通過を妨げ得る網目寸法で形成する一方、前記上側起立網部を、下側起立網部の網目寸法よりも拡開した網目寸法で形成していることを特徴とする請求項5記載の磯根資源成育礁。
【請求項7】
下側起立網部と上側起立網部との境界に、前記稚体が下側起立網部から上側起立網部へ進み入ることを防止する進入防止手段を具備して成ることを特徴とする請求項6記載の磯根資源成育礁。
【請求項8】
前記起立網を着脱可能に取り付けるための柱状部と、この柱状部を支持する台座とを具備し、
前記台座に、浅瀬に設置され波などによる海底の砂の侵食を防止するための人工リーフを用いたことを特徴とする請求項3乃至7いずれか記載の磯根資源成育礁。
【請求項9】
前記起立網の先端を、海面から上方に常に露出させていることを特徴とする請求項8記載の磯根資源成育礁。
【請求項10】
アワビやウニ等の磯根資源の稚体を、請求項1乃至9いずれか記載の磯根資源成育礁の成育領域に放流し、その成育領域で少なくとも所定期間成育する磯根資源の成育方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、海底において磯根資源の稚体を少なくとも所定期間生育させるために利用される磯根資源成育礁、並びに、当該磯根資源成育礁を利用して磯根資源の稚体を成育する磯根資源の成育方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、アワビ、トコブシ、サザエ、ウニ、イセエビ等の磯根資源を成育、増殖させて漁獲するための増殖礁が各種案出されている。このような増殖礁のうち、比較的単純な構造のものとしては、複数の板状コンクリート板をイセエビが身を隠すのに好適な寸法の間隙を設けて多段式に設置したイセエビ育成礁(特許文献1参照)が挙げられ、比較的複雑な構造のものとしては、広い設置面を有する台座上に、磯根資源が通過できる程度の環状の通路及び放射状の通路を組み合わせて形成したコンクリート板からなる磯根資源増殖礁を載置したもの(特許文献2参照)が挙げられる。特に後者のものは、台座上の磯根資源増殖礁の上方に、磯根資源の餌となるプランクトン等を培養できる餌料培養礁や藻類を増殖させるための藻類増殖礁等を積層して配置することで、礁全体として磯根資源のみならず餌料生物藻類、魚類を増殖させる多機能型増殖礁を構成することができるようになっている。
【特許文献1】特開昭59−213338号公報
【特許文献2】特開2002−335806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、一般に磯根資源の養殖の際には、磯根資源は幼生から体長数cmの稚体(アワビやトコブシやサザエの稚貝、稚ウニ、稚エビ等)まで成長した段階で海に放流されるが、放流された磯根資源の稚体は、それらを餌とするタコやヒトデ等の外敵が入り込めないような岩礁の小さな隙間に隠れており、その後の成長の段階に応じて自己の体の大きさに合う広い空間を求めて順次移動する。ところが、上述したようなイセエビ育成礁や多機能型増殖礁の構成要素である磯根資源増殖礁は、それらに形成された間隙ないし通路が全体に亘りほぼ均等な広さであるため、磯根資源の成体が身を隠すには好適であるものの、稚体が身を隠すには広すぎてヒトデやタコ等の肉食性海中動物である外敵に簡単に捕まってしまい、例えば、磯根資源の稚体がアワビの稚貝であれば、外敵に容易にひっくり返されて食べられてしまうおそれがある。すなわち、磯根資源の稚体を成育させるのには必ずしも適しているとは言い難い。
【0004】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、例えば、アワビの稚貝を、外敵に容易にひっくり返されない程度の大きさになるまでの間その外敵から防護するなど、磯根資源の稚体を外敵から防護しつつ成育可能な磯根資源成育礁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明の磯根資源成育礁は、成育領域に放流したアワビやウニ等の磯根資源の稚体を少なくとも所定期間成育させるための礁であって、前記成育領域と非成育領域との間に設けられ、前記稚体が前記成育領域から前記非成育領域へ脱出することを防止する脱出防止手段を具備して成ることを特徴とする。
【0006】
このようなものであれば、脱出防止手段が、磯根資源の稚体の非成育領域への脱出を少なくとも所定期間防止するので、例えば、アワビの稚貝を外敵に容易にひっくり返されない程度の大きさになるまで、稚体を好適に成育することができる。
【0007】
すなわち、磯根資源の稚体を少なくとも所定期間の間、外敵から防護しつつ成育可能な磯根資源成育礁を提供することができる。
【0008】
なお、前記脱出防止手段が、その少なくとも一部を前記所定期間を経過した際に開放して、前記稚体の前記脱出を許容し得るものであれば、所定期間を経過した際に脱出防止手段を開放して、稚体の非成育領域への脱出を許容できるので、大きく育った稚体の成育領域内における密度が、無用に高くなることを防止できる。
【0009】
本発明の脱出防止手段の望ましい態様としては、この脱出防止手段が、前記成育領域と非成育領域とを、略起立した状態で間仕切る起立網を具備して成るものが挙げられる。
【0010】
海水中の付着物が、起立網に付着することを防止することができ、起立網の長寿命化にも資するためには、前記起立網の網糸に、シリコンを塗布していることが望ましい。
【0011】
稚体の脱出を効果的に行うには、前記起立網の少なくとも下端側を、前記稚体の通過を妨げ得る網目寸法で形成していることが好ましい。
【0012】
前記起立網を、上下2段を成す上側起立網部と下側起立網部とを備えるように構成するとともに、前記下側起立網部を、前記稚体の通過を妨げ得る網目寸法で形成する一方、前記上側起立網部を、下側起立網部の網目寸法よりも拡開した網目寸法で形成しているのであれば、下側起立網部によって、稚体の非成育領域への脱出を好適に防止しつつ、上側起立網部によって、成育領域への潮流を促すなど成育に適した環境を提供することができる。
【0013】
下側起立網部と上側起立網部との境界に、前記稚体が下側起立網部から上側起立網部へ進み入ることを防止する進入防止手段を具備して成るのであれば、進入防止手段により稚体の上側起立網部への進入を防止して、上側起立網部の網目から稚体が非成育領域へ脱出することを防止できる。
【0014】
前記起立網を着脱可能に取り付けるための柱状部と、この柱状部を支持する台座とを具備し、前記台座に、浅瀬に設置され波などによる海底の砂の侵食を防止するための人工リーフを用いているのであれば、起立網を安定支持することができ、また、起立網の交換などを容易に行うことができる上、砂の侵食を防止しながら、稚体の脱出を有効に防止して稚体を成育させることができる。
【0015】
簡単な構成でありながらも、稚体が脱出することを確実に防止するには、前記起立網の先端を、海面から上方に常に露出させることが好ましい。
【0016】
上述した磯根資源成育礁を活用した望ましい磯根資源の成育方法としては、アワビやウニ等の磯根資源の稚体を、磯根資源成育礁の成育領域に放流し、その成育領域で少なくとも所定期間成育するものが挙げられる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明の磯根資源成育礁によれば、脱出防止手段が、磯根資源の稚体の非成育領域への脱出を少なくとも所定期間防止するので、例えば、アワビの稚貝を外敵に容易にひっくり返されない程度の大きさになるまで、稚体を好適に成育することができる。
【0018】
すなわち、磯根資源の稚体を少なくとも所定期間の間、外敵から防護しつつ成育可能な磯根資源成育礁を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
本発明の一実施形態に係る磯根資源成育礁Aは、海底に沈設して使用されるものであって、例えば、図1、図2に示すように、アワビ、トコブシ、サザエ、ウニ等の磯根資源を稚体Xから成体Yまで成育・増殖させることを主目的とする磯根資源増殖ブロック1(本発明の「成育用ブロック」に相当)と、アラメ、クロメ、カジメ、ホンダワラ等の藻類を生育・増殖させて藻場を形成することを主目的とする藻類増殖部材2と、海底に接地されてこれら磯根資源増殖ブロック1及び藻類増殖部材2を支持するコンクリートベース3と、磯根資源増殖ブロック1とコンクリートベース3との間に配する中間取付部材4と、磯根資源増殖ブロック1及び藻類増殖部材2を覆うことで覆った内部空間に稚体Xの成育・増殖に適した磯根資源成育領域(本発明の「成育領域」に相当。以下、成育領域P1と称する)及び藻類の生育・増殖に適した藻類生育領域P2を形成する防護ネット装置5と、コンクリートベース3に設けた後述する貫通孔31hに対して着脱可能な貫通孔用部材6とを具備して成る。以下、各部を具体的に説明する。
【0021】
磯根資源増殖ブロック1は、図3等に示すように、平面視ほぼ正方形の平板の下に、下面を上面よりも小さいほぼ正方形状とした正四角錐台を一体に連続させた形状をなすコンクリート製ブロックからなる本体部11を主体としている。そして、その上面に、藻類増殖部材2を取付可能に設定している。なお、当該上面に、さらに他の磯根資源増殖ブロック1を取り付けることもできる。また、この本体部11の下端部には、後述するブロック取付部34に挿入するアンカー筋12を下方へ鉛直に突出させて埋設してある。すなわち、このアンカー筋12がブロック取付部34内のバネワッシャに引っ掛かる構成により、磯根資源増殖ブロック1が中間取付部材4を介してコンクリートベース3に固定されることとなる。さらに、本体部11の上端部には、隣接する磯根資源増殖ブロック1に向けて突出する半球状の突起13が形成してあり、この突起13により隣接する本体部11同士が直接衝突して欠けたり割れたりすることを防止している。なお、この突起13は、ブロック取付部34に軸着された磯根資源増殖ブロック1が水平方向へ回転することを抑制する機能と、隣接する磯根資源増殖ブロック1の位置決め機能をも有している。また、本体部11の上面には、藻類増殖部材2を着脱可能に取り付けられるようにするために、複数(図示例では4本)のボルト14を起立姿勢で埋設してある。
【0022】
藻類増殖部材2は、図3に示す長方形型プレートと図示しない正方形型プレートの二種類のコンクリート板があり、いずれも中央部に形成した貫通孔2aにボルト14を挿通させた状態で樹脂製蝶型ナット23を用いて磯根資源増殖ブロック1の上面に着脱可能に固定される。なお、本実施形態では、長方形型プレートのみを使用している。また、藻類増殖部材2の上面にはいずれも天然砕石の形状を転写した逆勾配を有する凹凸がコンクリート板の本体部と一体に形成されており、アラメ等の海藻B0が根で凹凸を抱え込んで活着しやすいように構成されている。特に長方形型プレートの藻類増殖部材2は、アラメ等の海藻B0の胞子又は遊走子を付着させた種糸を表面の凹凸に巻き付けた状態で海中に吊り下げて海藻B0を育成する垂下式中間育成システムに用いるのに適したものである。従って本実施形態の場合、垂下式中間育成システムによりこの藻類増殖部材2において、海藻B0が海底でウニ、巻貝、ウミウシ等の植食生物による食害被害に遭いにくくなる大きさ、すなわちフロロタンニン等の苦み成分を分泌できる大きさである目視により海藻B0が3〜10cmとなるまで生長させ、その後当該藻類増殖部材2を海中から引き上げて作業船上で磯根資源増殖ブロック1のボルト14に取り付けることとしている。
【0023】
コンクリートベース3は、図4、図5等に示すように、海底において当該磯根資源成育礁Aを安定設置するためのアンカー機能を有する部材であって、コンクリートにより一体形成されたベース本体31(本発明の「台座」に相当)及び三本の支持脚32から構成されるものを基本構成としている。
【0024】
ベース本体31は、平面視概略不等辺六角形状をなすコンクリート製平板からなるものである。具体的にこの平面視形状について図5(a)を参照して説明すると、ベース本体31は、平面視正三角形のコンクリート平板の三つの角部をいずれも等しい大きさの正三角形で切除することにより残る残余部分からなる不等辺六角形に相当する形状をなしている。すなわち、ベース本体31の平面視形状である不等辺六角形は、ほぼ等寸の三辺(長辺31a)とほぼ等寸の三辺(短辺31b)を交互に配置した外縁を有することになる。ここで、仮想的に切除される正三角形の一辺(同図に想像線で示す符号31c(前記短辺31bとほぼ等寸であり、当該短辺31bはこの仮想的に切除される正三角形の一辺をなす)は、元の正三角形の一辺の1/3よりも短く、本実施形態では例えば約1/3.6としている。このような平面視形状を有しているため、ベース本体31は海底はいうまでもなく陸上や作業船上においても、非常に高いスペース効率で設置することができる。なお、ベース本体31の肉厚寸法は、必要とされるコンクリートベース3の重量に応じて適宜に設定できるが、本実施形態では前記短辺31bの長さの半分弱としている。さらにこのベース本体31の中央部には、肉厚を上下に貫通する貫通孔31hが形成してある。この貫通孔31hは、本実施形態においては並列した二本一対の長細い平面視長方形状をなすものであるが、図4(b)に示すようにいずれも下端側に広がるテーパ状の周壁を有している。貫通孔31hの斯かる形状は、コンクリートベース3を型成形時における抜きテーパに対応するものである。なお、貫通孔31hの平面視形状や数等の具体的態様はこのようなものには限定されず、ベース本体31の大きさやそれに載置する磯根資源増殖ブロック1の形状や数によっても種々変更することができる。また、ベース本体31の上面のうち短辺31b寄りの端部には、コンクリートベース3をクレーン等で吊るすためのU字型フック33を埋設している(図1参照)。さらに、磯根資源増殖ブロック1の取り付けに用いるブロック取付部34を、ベース本体31の貫通孔31hに沿って複数個(図示例では3つ)を三列に並べて合計9個設けている。このブロック取付部34は、ベース本体31の上面に開口するように埋設した複数のバネワッシャ(図示省略)を有する椀型の軸受部材である。
【0025】
一方、三本の支持脚32は、いずれもほぼ同大同形状であって、ベース本体31の外周縁のうち三つの短辺31bに沿っていずれもベース本体31の貫通孔31hと干渉しないように配置され、それぞれベース本体31と一体に形成されたものであり、外側に偏心した四角錐台形状をなしている。なお、各支持脚32の外側面は、ベース本体31の短辺31bに沿った鉛直な外側面と連続して面一とされている。また、各支持脚32の高さ寸法は適宜に設定することができるが、本実施形態ではベース本体31の肉厚寸法の約4/5としている。以上のような基本構成のコンクリートベース3は、海底におけるアンカー機能を奏する重量物であることが必要なため、本実施形態では体積約3.0m3弱、重量約7t弱としている。またコンクリートベース3は、以上のような構成を有しているため、三本の支持脚32の全てを同時に海底に接地させることで、海底における極めて高い安定性を有するものとなる。
【0026】
このようにして全ての磯根資源増殖ブロック1を中間取付部材4を利用してコンクリートベース3に取り付けると、図2に示すように、ベース本体31の貫通孔31hを挟んで隣接する磯根資源増殖ブロック1同士の間においては、それらの傾斜面(四角錐面)間に形成される隙間3sが貫通孔31hと連通することになる。
【0027】
中間取付部材4は、図6、図7等に示すように、平面視略矩形状を成す薄板状の基板部41と、この基板部41の上面に突設した4つの隙間調節用突起部42とを具備し、これら各部をコンクリートにより一体に形成したものである。
【0028】
基板部41は、両側端部41aをそれぞれ断面視略コ字状に形成することにより、当該側端部41aが、貫通孔用部材6の周縁部をスライド移動可能に支持する貫通孔用部材スライド支持部としての機能を発揮するようにしたものである。また、この基板部41の隣接する隙間調節用突起部42間をそれぞれ略2等分する位置には、磯根資源増殖ブロック1のアンカー筋12を挿通可能な挿通孔41zを形成している。
【0029】
4つの隙間調節用突起部42のうち、内側2つの隙間調節用突起部42(以下、「内側用隙間調節用突起部421」と称する)は、それぞれ同一形状を有し、また、両端2つの隙間調節用突起部42(以下、「端用隙間調節用突起部422」と称する)は、基板部41の中央部を幅方向に横断する中央線41mを対称軸として対称な形状を有するものである。
【0030】
内側用隙間調節用突起部421は、その長手方向に沿って各部等断面略台形状を成すものであって、上端の寸法421xを、磯根資源増殖ブロック1の突起13の突出寸法13xと略同一に設定している。
【0031】
端用隙間調節用突起部422は、その長手方向に沿って各部等断面略台形状を成すものである。そして、この端用隙間調節用突起部422の外側の起立面と基板部41の端面とが同一平面を成すようにしている。
【0032】
防護ネット装置5は、図1、図8、図9、図10に示すように、コンクリートベース3に立設した柱状部材51(本発明の「柱状部」に相当)と、これら柱状部材51を利用して取り付けられる防護ネット52と、この防護ネット52を柱状部材51に留める留め具53とを具備して成るものである。なお、同図における防護ネット52及び留め具53は作図の都合上一部を省略して図示している。以下、各部をより具体的に説明する。
【0033】
柱状部材51は、コンクリートベース3のベース本体31に立設され、本実施形態では、各柱状部材51をベース本体31上に配置される複数の磯根資源増殖ブロック1のうち端部に配置される磯根資源増殖ブロック1の位置決めを行い得る位置に計4つ設けている。各柱状部材51は、L型鋼材を内角側が内側を向くように起立させた状態でベース本体31に埋め込んだものである。各柱状部材51の両側縁部511近傍部位には、それぞれ肉厚方向に貫通させてなる貫通孔512を起立方向に沿って複数(本実施形態では6つ)形成してある。各貫通孔512は、留め具53のバンド部531が通過可能な大きさに設定されている。また、本実施形態においては、隣接する柱状部材51の上端部間同士及び下端部間同士を連結する桟513を溶接等により一体的に設けている。
【0034】
防護ネット52は、可撓性を有する化繊製のものであって、図8等に示すように、4つの柱状部材51の上端部間を結んでなる面と略同じ大きさを有する上面網521と、隣接する柱状部材51の側縁部511間にそれぞれ配される計4つの起立網522とを備えてなり、且つ、上面網521の各辺とこれら上面網521の各辺にそれぞれ隣接する起立網522の辺とを連続させた単一のものである。
【0035】
そして、上面網521の網目寸法を、アイゴ、イスズミ、ブダイ等の藻食性魚類が通過できない程度の大きさに設定している。また、起立網522を、上下2段を成す上側起立網部522aと下側起立網部522bとを備えるように構成するとともに、下側起立網部522bの網目寸法を、稚体Xの通過を妨げ得るとともにヒトデ、タコ等の肉食性海中動物の侵入を防ぎ得る程度に設定する一方、上側起立網部522aの網目寸法を、下側起立網部522bの網目寸法よりも拡開させつつ藻食性魚類が通過できない程度の大きさに設定している。また、下側起立網部522bと上側起立網部522aとの境界に、稚体Xが下側起立網部522bから上側起立網部522aへ進み入ることを防止する進入防止手段523を設けている。この進入防止手段523は、略環形状を有する複数の環状部材523aから成るものであって、例えば潮流によって各環状部材523aが揺動運動をし得るように、起立網522と同様可撓性を有する化繊製のものとしている。
【0036】
さらに本実施形態では、各起立網522の巾寸法が隣接する柱状部材51間の離間距離よりも小さくなるように、上面網521の各辺にそれぞれ連続する起立網522の辺を、当該起立網522の辺と連続する上面網521の辺よりも短く設定し、上面網521の各隅部近傍領域に、起立網522が連続していない部位を形成するようにしている(図8参照)。なお、防護ネット52のうち防護ネット52の外縁に位置する周縁部52Aを他の部位よりも太く設定している。本実施形態では、上面網521と起立網522とが連続する部位も他の部位より太く設定している(図8、図9、図10参照)。さらに、フジツボや貝等の付着物が防護ネット52に付着することを防止するために防護ネット52全体にシリコンを塗布している。
【0037】
また、本実施形態では、留め具53として、概略帯状をなし一方の面に連続するラッチを形成した長尺のバンド部531と、このバンド部531の基端部側に連設されるフック用孔部532とを備えたいわゆるインシュロックタイプの結束バンドを用いている。この留め具53は、フック用孔部532にバンド部531の先端部を挿し込むことによってバンド部531のラッチ(図示せず)とフック用孔部532に設けた係合爪(図示せず)とが係合するように設定されている一般的な合成樹脂製のものである。また、留め具53のバンド部531は、カッターナイフや鋏等刃部を有する道具を用いて切断できるように設定してある。
【0038】
貫通孔用部材6は、図1に示すように、剛性のある平面視略矩形状の枠体とこの枠体に周縁部を支持させた化繊製の網部とを備えるものである。そして、当該貫通孔用部材6の網目寸法を、下側起立網部522bと同様、稚体Xの通過を妨げ得る程度に設定している。また、当該貫通孔用部材6の幅寸法を、隣接する中間取付部材4の側端部同士間の寸法と略一致させている。これにより、隣接する中間取付部材4の各側端部41aにスライド移動可能に支持させることができる。また、当該貫通孔用部材6の長手寸法を、貫通孔31hの長手寸法よりも若干拡大させている。さらに、本実施形態では、フジツボや貝等の付着物が貫通孔用部材6に付着することを防止するために貫通孔用部材6全体にシリコンを塗布している。
【0039】
次に、本実施形態に係る磯根資源成育礁Aの磯根資源増殖ブロック1、貫通孔用部材6及び防護ネットの取付方法と、当該磯根資源成育礁Aを利用した磯根資源の成育方法とについて説明する。
【0040】
(1)磯根資源増殖ブロック1の取付方法。
【0041】
以下、磯根資源増殖ブロック1を、中間取付部材4を利用してコンクリートベース3に取り付ける方法について説明する。
【0042】
まず、中間取付部材4を、コンクリートベース3に載置する。このとき、中間取付部材4の挿通孔41zとコンクリートベース3のブロック取付部34とを一致させるようにする。次に、コンクリートベース3に載置した中間取付部材4に対して、磯根資源増殖ブロック1を載置する。このとき、磯根資源増殖ブロック1のアンカー筋12を、中間取付部材4の挿通孔41zを介してコンクリートベース3のブロック取付部34に差し込むようにする。このように、磯根資源増殖ブロック1を中間取付部材4を用いてコンクリートベース3に取り付けることは、中間取付部材4を用いない場合と比べ、磯根資源増殖ブロック1のいわゆる「座り」を良くすることができる上、隣り合う磯根資源増殖ブロック1間の隙間を一定にし易いといった効果を得られる。
【0043】
(2)貫通孔用部材6の取付方法。
【0044】
まず、隣り合う中間取付部材4の側端部41aに対して、貫通孔用部材6を挿入し、当該貫通孔用部材6を貫通孔31hを全て覆う位置にスライド移動させる。そして、当該貫通孔用部材6の端部と下端側の桟513とを、留め具53を用いて締結する。なお、留め具53の締結方法は、次に説明する防護ネット52の取付方法と略同様であるので説明を省略する。
【0045】
(3)防護ネット52の取付方法。
【0046】
以下、防護ネット52を、柱状部材51等に取り付ける方法について説明する。
【0047】
まず、隣接する柱状部材51の上端部間を結んでなる面を上面網521で覆うように防護ネット52を柱状部材51を利用して載置するとともに、上面網521の各辺から垂下した姿勢にある各起立網522を隣接する柱状部材51間に配する。この状態においては、上面網521は桟513及び柱状部材51に支持されており、また、図10に図示するように、各起立網522の外縁に位置する周縁部のうち柱状部材51の側縁部511に近接する部位である周縁部52Aと柱状部材51の側縁部511との間に若干の隙間が形成される(同図(a)参照)。次いで、留め具53を用いて各起立網522の周縁部52Aを柱状部材51に留める。具体的には、留め具53のバンド部531を、柱状部材51の側縁部511に形成した貫通孔512と、起立網522の周縁部52Aのうち貫通孔512と略同じ高さ位置にある網目とに続けて挿通させフック用孔部532に挿し込み(同図(b)参照)、この状態でバンド部531を絞り込むことによって起立網522の周縁部52Aを柱状部材51の側縁部511に当接または近接させた状態で結束して留めることができる(同図(c)参照)。このようにして前記起立網522の周縁部52Aを柱状部材51に留めた留め状態にある留め具53は、柱状部材51の貫通孔512に挿通させてから絞り込んでいるため、貫通孔512内における移動(少なくとも絞り込む方向と略直交する方向への移動)が規制される。このように、柱状部材51に形成した貫通孔512が、留め状態にある留め具53の移動を規制するものとして機能している。以上の手順で、柱状部材51の側縁部511に形成した貫通孔512全てにそれぞれ留め具53を挿し通して起立網522の周縁部52Aを柱状部材51に留めることにより、起立網522の周縁部52Aと柱状部材51の側縁部511とが密接した状態で連結される。なお、本実施形態では、この留め具53を用いて、上面網521と起立網522とが連続している部位を桟513に留めている。
【0048】
(4)稚体Xの成育領域P1への放流。
【0049】
稚体Xを放流する際には、以上のようにして柱状部材51等に取り付けた防護ネット52の少なくとも一部を、留め具53を切断して開放し、開放した箇所から、稚体Xを防護ネット52内に放流する。そして、放流が終われば、新たな留め具53用いて開放した部分を塞ぎ、稚体Xの脱出を防止する。なお、放流するタイミングは、これに限らず、例えば、磯根資源成育礁Aを新設する際には、防護ネット52を柱状部材51等に取り付ける前に放流するようにしてもよい。
【0050】
(5)脱出防止手段たる下側起立網部522b及び貫通孔用部材6の開放
稚体Xを放流してから所定期間を経過した際には、留め具53を切断して脱出防止手段としての下側起立網部522bを開放し、また、同手段としての貫通孔用部材6を移動させて貫通孔の少なくとも一部を開放する。これにより、稚体Xが非成育領域Qへ脱出できるようになるため、大きく育った稚体Xの成育領域P1内における密度が、無用に高くなることを防止できる。
【0051】
このように、本実施形態に係る磯根資源成育礁Aは、特に、脱出防止手段としての下側起立網部522bが、磯根資源の稚体Xの非成育領域Qへの脱出を少なくとも所定期間防止するので、例えば、アワビの稚貝を外敵に容易にひっくり返されない程度の大きさになるまで、稚貝を好適に成育することができる。
【0052】
すなわち、磯根資源の稚体Xを少なくとも所定期間の間、外敵から防護しつつ成育可能な磯根資源成育礁Aを提供することができる。
【0053】
また、所定期間を経過したときに留め具53を切断して下側起立網部522bを開放し、稚体Xが非成育領域Qへ脱出することを許容するため、大きく育った稚体Xの成育領域P1内における密度が、無用に高くなることを防止できる。
【0054】
また、起立網522の網糸に、シリコンを塗布しているため、海水中の付着物が、起立網に付着することを防止することができ、起立網522の長寿命化にも資する。
【0055】
また、起立網522を、上下2段を成す上側起立網部522aと下側起立網部522bとを備えるように構成するとともに、下側起立網部522bを、稚体Xの通過を妨げ得る網目寸法で形成する一方、上側起立網部522aを、下側起立網部522bの網目寸法よりも拡開した網目寸法で形成しているため、下側起立網部522bによって、稚体Xの非成育領域Qへの脱出を好適に防止しつつ、上側起立網部522aによって、成育領域P1への潮流を促すなど成育に適した環境を提供することができる。
【0056】
下側起立網部522bと上側起立網部522aとの境界に、稚体Xが下側起立網部522bから上側起立網部522aへ進み入ることを防止する進入防止手段523を設けているため、進入防止手段523により稚体Xの上側起立網部522aへの進入を防止して、上側起立網部522aの網目から稚体Xが非成育領域Qへ脱出することを防止できる。
【0057】
また、起立網522を着脱可能に取り付けるための柱状部材51と、この柱状部材51を支持するベース本体31とを具備しているため、起立網522を安定支持することができ、また、起立網522の交換などを容易に行うことができる。
【0058】
また、ベース本体31を、海底から離間した位置で支持脚32に支持されるように構成し、当該ベース本体31の上側に前記成育領域P1を、下側に前記非成育領域Qを形成するとともに、ベース本体31に前記成育領域P1と前記非成育領域Qとを連続させる貫通孔31hを設け、且つ、貫通孔31hに対してこれを塞止するための着脱可能な貫通孔用部材6を、前記脱出防止手段として含むようにしているため、成育した磯根資源を、貫通孔31hから脱出させて、成育領域P1の生息密度が無用に大きくなることを防止することができる。
【0059】
また、貫通孔用部材6を、前記稚体Xの通過を妨げ得る網目寸法で形成した網としているため、ベース本体31が下面側から受ける揚圧流を、当該貫通孔用部材6で妨げることなく貫通孔31hを通じて上面側に逃がすことができ、例えば、台風や大時化の際でも当該磯根資源成育礁Aを海底に安定的に接地することができる。
【0060】
また、貫通孔用部材6の網糸に、シリコンを塗布しているため、海水中の付着物が、貫通孔用部材6に付着することを防止することができ、貫通孔用部材6の長寿命化にも資する。
【0061】
また、稚体Xを成育させるための複数の磯根資源増殖ブロック1と、各磯根資源増殖ブロック1のベース本体31への取り付けに用いるとともに隣接する磯根資源増殖ブロック1間に形成される隙間を減少させる隙間調節用の隙間調節用突起部42を設けた中間取付部材4とを具備しているため、磯根資源増殖ブロック1の取付作業の容易化を図りつつ、稚体Xの成育に最適な環境を形成することができる。
【0062】
なお、本発明は上記した実施形態に限られるものではない。
【0063】
例えば、当該磯根資源成育礁を構成する各部材の形状や大きさ、数なども、それらが使用される海域の条件や造成する藻場の規模等に応じて適宜変更しても構わない。
【0064】
具体的には、磯根資源成育礁A´を、海底が砂地の浅瀬に設置する場合には、図11に示すように、台座31´を、浅瀬に設置され波などによる海底の砂Sの侵食を防止するための平面視略「井」字状の人工リーフとするといった実施態様が考えられる。この場合には、全面の網目寸法を稚体Xの通過を妨げ得る程度に設定した起立網52´の先端を、海面Wから上方に常に露出させれば、簡単な構成でありながらも、成育領域P1に放流した稚体Xが非成育領域Qへ脱出することを確実に防止して稚体Xを成育させることができる上、砂Sの侵食を防止することもできる。
【0065】
また、進入防止手段を、複数の環状部材523aから成るものとしているが、例えば、海流によって揺らぎ得る紐体を複数備えたものとする等、稚体Xの進入を防ぎ得る構成であれば本実施形態のものに限られない。
【0066】
また、留め具は、留める対象である対象物間に巻きつけて絞り込むことにより対象物同士を結束して留めることが可能なものであればよく、留め具として、結束バンドの他、紐状又は帯状をなすロープや紐等を適用しても構わない。
【0067】
また、藻類増殖部材2を、磯根資源増殖ブロック1を介してベース本体31に取り付けるようにしているが、磯根資源増殖ブロック1を介さずにベース本体31に直接載置することを妨げない。
【0068】
また、コンクリートベースを構成するベース本体や脚体の具体的形状や大きさ、ベース本体に形成される貫通孔の具体的態様、磯根資源増殖ブロックや藻類増殖部材の具体的形状や大きさ、ブロック取付部の数や配置位置等の各部の具体的構成については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0069】
また、ベース本体31と中間取付部材4とを別体のものとしているが、図12に示すように、これらベース本体31と中間取付部材4とを一体のものとすることを妨げない。
【0070】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施形態における磯根資源成育礁を示す全体斜視図。
【図2】同実施形態におけるコンクリートベース、磯根資源増殖ブロック及び藻類増殖部材の取付状態を示す構造断面図。
【図3】同実施形態における磯根資源増殖ブロック及び藻類増殖部材を示す斜視図。
【図4】同実施形態における磯根資源成育礁に適用されるコンクリートベースを示す斜視図。
【図5】同コンクリートベースを示す平面図及び断面図。
【図6】同実施形態における磯根資源成育礁に適用される中間取付部材を示す斜視図。
【図7】同中間取付部材を示す平面図及び側面図。
【図8】同実施形態における磯根資源成育礁に適用される防護ネットの展開図。
【図9】同防護ネットの要部を示す斜視図。
【図10】同防護ネットの取付方法を説明するための図。
【図11】本発明の他の実施形態における磯根資源成育礁を示す図。
【図12】本発明の他の実施形態におけるコンクリートベースを示す平面図及び断面図。
【符号の説明】
【0072】
A・・・・・・磯根資源成育礁
A´・・・・・磯根資源成育礁
P1・・・・・成育領域
Q・・・・・・非成育領域
S・・・・・・海底の砂
X・・・・・・稚体
W・・・・・・海面
1・・・・・・磯根資源増殖ブロック(成育用ブロック)
3s・・・・・隙間
4・・・・・・中間取付部材
6・・・・・・脱出防止手段(貫通孔用部材)
31・・・・・台座(ベース本体)
31´・・・・台座(人工リーフ)
31h・・・・貫通孔
32・・・・・支持脚
42・・・・・隙間調節用突起部
51・・・・・柱状部(柱状部材)
51´・・・・柱状部(柱状部材)
522・・・・起立網
522a・・・上側起立網部
522b・・・脱出防止手段(下側起立網部)
523・・・・進入防止手段




 

 


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