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発明の名称 水素生成装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−246376(P2007−246376A)
公開日 平成19年9月27日(2007.9.27)
出願番号 特願2006−76379(P2006−76379)
出願日 平成18年3月20日(2006.3.20)
代理人 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
発明者 青木 博史 / 志満津 孝
要約 課題
改質触媒の触媒活性を効率的に回復させることができる水素生成装置を得る。

解決手段
水素生成装置10は、
特許請求の範囲
【請求項1】
担持した改質触媒を用いて硫黄成分を含む改質原料から水素含有ガスを生成する改質反応が行われる改質部と、
前記改質部に隣接して配置され、供給された燃料を燃焼させることで前記改質部で前記改質反応が進行するように該改質部を加熱する加熱部と、
所定の場合に前記加熱部の燃焼排ガス中の水蒸気を前記改質部に供給することで、前記改質触媒の活性を回復するための再生工程を行う触媒再生手段と、
を備えた水素生成装置。
【請求項2】
前記触媒再生手段は、前記燃焼排ガス中の硫黄成分を除去するための硫黄除去部を備える請求項1記載の水素生成装置。
【請求項3】
前記触媒再生手段は、
前記改質触媒の硫黄被毒状況に応じた信号を出力する被毒検出手段と、
前記加熱部の燃焼排ガスを系外に排出する状態と前記改質部に導く状態とを切り替え得る再生切替装置と、
前記改質器に改質原料を供給するための供給路から該改質器への改質原料が供給される状態と該改質器への原料供給を停止する状態とを切り替え得る原料切替装置と、
前記被毒検出手段の出力信号に基づいて前記改質触媒の活性が設定値よりも低下したと判断した場合に、前記原料切替装置を前記改質器の原料供給の停止側に切り替えると共に、前記再生切替装置を前記燃焼排ガスの前記改質器への導入側に切り替える制御装置と、
を含んで構成されている請求項1又は請求項2記載の水素生成装置。
【請求項4】
前記被毒検出手段は、前記改質触媒の温度に応じた信号を出力する温度検出器を含む請求項3記載の水素生成装置。
【請求項5】
前記被毒検出手段は、前記改質部から排出されるガスの流量に応じた信号を出力する流量検出器を含む請求項3又は請求項4記載の水素生成装置。
【請求項6】
前記被毒検出手段は、前記改質部から排出されるガスの濃度に応じた信号を出力するガス濃度検出器を含む請求項3乃至請求項5の何れか1項記載の水素生成装置。
【請求項7】
前記再生切替装置は、前記燃焼排ガスを前記加熱部から系外に導く排出管から分岐し前記改質部に燃焼排ガスを導く再生用配管に設けられ、該再生用配管を開閉し得るバルブを含んで構成されている請求項3乃至請求項6の何れか1項記載の水素生成装置。
【請求項8】
前記原料切替装置を前記改質器の原料供給の停止側に切り替えると共に前記再生切替装置を前記燃焼排ガスの前記改質器への導入側に切り替えるように、強制的に前記制御装置を動作させる強制切替手段をさらに備えた請求項3乃至請求項7の何れか1項記載の水素生成装置。
【請求項9】
前記原料切替装置を前記改質器の原料供給側に切り替えると共に前記再生切替装置を前記燃焼排ガスの系外への排出側に切り替えるように、強制的に前記制御装置を動作させる強制切替手段をさらに備えた請求項3乃至請求項8の何れか1項記載の水素生成装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素等の改質原料を改質して水素を生成するための水素生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水蒸気改質によって硫黄化合物を含む炭化水素から水素リッチなガスを得る燃料改質装置において、硫黄被毒により改質触媒の触媒活性が低下した場合に、改質触媒を内蔵する改質部を加熱部で加熱すると共に該改質部に不活性ガス又は水蒸気ガスを所定時間供給することで、改質触媒の触媒活性を回復させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような触媒活性の回復作業は、燃料改質装置の立ち上げ操作、停止操作、通常運転操作以外の時間帯に行われる。
【特許文献1】特開2000−351606明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の如き従来の技術では、触媒活性の回復作業の際には、加熱部に対し改質部を加熱するための燃料、電力、熱量等のエネルギ、すなわち改質部の運転(水素リッチガスの生成)には直接的に寄与しないエネルギを供給する必要があり、エネルギロスが大きい問題があった。特に、触媒活性を回復させるために水蒸気ガスを用いる場合には、水を水蒸気にするための潜熱相当のエネルギがさらに要求されるので、エネルギロスの問題が顕著になり、エネルギ効率の観点から改善の余地がある。
【0004】
本発明は、上記事実を考慮して、改質触媒の触媒活性を効率的に回復させることができる水素生成装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る水素生成装置は、担持した改質触媒を用いて硫黄成分を含む改質原料から水素含有ガスを生成する改質反応が行われる改質部と、前記改質部に隣接して配置され、供給された燃料を燃焼させることで前記改質部で前記改質反応が進行するように該改質部を加熱する加熱部と、所定の場合に前記加熱部の燃焼排ガス中の水蒸気を前記改質部に供給することで、前記改質触媒の活性を回復するための再生工程を行う触媒再生手段と、を備えている。
【0006】
請求項1記載の水素生成装置では、改質部において改質触媒に改質原料が接触すると、加熱部から供給された熱を吸収しつつ改質反応が生じ、水素含有ガスが生成される。ところで、硫黄成分を含む改質原料を改質して水素含有ガスを生成させる改質部では、運転に伴って改質触媒が原料中の硫黄成分により被毒される。
【0007】
この硫黄被毒により活性が低下した改質触媒の触媒活性を回復するための再生工程を行う際に、触媒再生手段は、加熱部の燃焼排ガス中の水蒸気を改質部に供給する。この高温の水蒸気が供給されることで、改質触媒上の硫黄成分が除去され、触媒活性を回復することができる。ここで、加熱部の燃焼排ガス中の水蒸気を再生工程で用いるため、再生専用の水蒸気を用いる構成と比較してエネルギ効率が著しく向上する。すなわち、例えば再生工程で水素生成装置の外部から触媒活性回復用の水蒸気を導入する構成では、水タンク、水を蒸発させる蒸発器(潜熱相当のエネルギ)、加熱器(顕熱相当のエネルギ)等が必要になるが、本水素生成装置では、加熱部の燃焼排ガス中の成分(水分)、排気熱を有効利用して改質触媒の触媒活性の回復を図る再生工程を行うことができる。また、加熱部からの熱供給によっても、触媒活性の回復(再生工程)が促進される。
【0008】
このように、請求項1記載の水素生成装置では、改質触媒の触媒活性を効率的に回復させることができる。なお、触媒再生手段は、例えば、燃焼排ガス中の水蒸気を選択的に改質部に導入する構成としても良く、燃焼排ガス中の他の成分と共に水蒸気を改質部に導入する構成としても良い。特に、燃焼排ガス中にわずかに含まれる酸素を水蒸気と共に改質部に導入する構成では、触媒の活性回復に一層適した(硫黄除去を促進する)作動条件とすることができる。
【0009】
請求項2記載の発明に係る水素生成装置は、請求項1記載の水素生成装置において、前記触媒再生手段は、前記燃焼排ガス中の硫黄成分を除去するための硫黄除去部を備える。
【0010】
請求項2記載の水素生成装置では、燃焼排ガス中の硫黄成分が硫黄除去部にて除去されるため、再生工程において改質部に硫黄成分が導入されることが防止される。これにより、改質触媒の触媒活性を一層効率的に回復させることができる。
【0011】
請求項3記載の発明に係る水素生成装置は、請求項1又は請求項2記載の水素生成装置において、前記触媒再生手段は、前記改質触媒の硫黄被毒状況に応じた信号を出力する被毒検出手段と、前記加熱部の燃焼排ガスを系外に排出する状態と前記改質部に導く状態とを切り替え得る再生切替装置と、前記改質器に改質原料を供給するための供給路から該改質器への改質原料が供給される状態と該改質器への原料供給を停止する状態とを切り替え得る原料切替装置と、前記被毒検出手段の出力信号に基づいて前記改質触媒の活性が設定値よりも低下したと判断した場合に、前記原料切替装置を前記改質器の原料供給の停止側に切り替えると共に、前記再生切替装置を前記燃焼排ガスの前記改質器への導入側に切り替える制御装置と、を含んで構成されている。
【0012】
請求項3記載の水素生成装置では、被毒検出手段の出力信号に基づいて触媒活性の低下を検知した場合に制御装置は、原料切替装置を切り替えて改質器への改質原料の供給を停止させると共に、再生切替装置を切り替えて加熱部の燃焼排ガス(の水蒸気を含む一部)を改質器に導入させる。これにより、改質器では、自動的に再生工程に切り替えられ、上記の如くして改質触媒の触媒活性が回復する。触媒活性の回復後は、改質部にて改質反応(水素生成)を行う通常運転に復帰する。
【0013】
このように、改質触媒の被毒状況すなわち触媒活性を監視しながら改質反応を行って水素を生成するため、常に水素を高濃度で含む水素含有ガスを生成(供給)することができる。
【0014】
請求項4記載の発明に係る水素生成装置は、請求項3記載の水素生成装置において、前記被毒検出手段は、前記改質触媒の温度に応じた信号を出力する温度検出器を含む。
【0015】
請求項4記載の水素生成装置では、改質触媒の硫黄被毒によって改質(吸熱)反応が停滞することに伴う改質触媒の温度上昇を温度検出器で検出することで、改質触媒の被毒状況を検知することができる。なお、温度検出器は、改質触媒の温度を直接的に検出するものには限られず、例えば、改質部の外郭(容器)の温度を検出するものであっても良く、改質ガスの温度を検出するものであっても良い。
【0016】
請求項5記載の発明に係る水素生成装置は、請求項3又は請求項4記載の水素生成装置において、前記被毒検出手段は、前記改質部から排出されるガスの流量に応じた信号を出力する流量検出器を含む。
【0017】
請求項5記載の水素生成装置では、改質触媒の硫黄被毒によって改質(吸熱)反応が停滞することに伴う改質量(ガス生成量)の低下を流量検出器にて検出することで、改質触媒の被毒状況を検知することができる。
【0018】
請求項6記載の発明に係る水素生成装置は、請求項3乃至請求項5の何れか1項記載の水素生成装置において、前記被毒検出手段は、前記改質部から排出されるガスの濃度に応じた信号を出力するガス濃度検出器を含む。
【0019】
請求項6記載の水素生成装置では、改質触媒の硫黄被毒によって改質(吸熱)反応が停滞することに伴うガス濃度の変化(例えば、水素濃度の低下や未反応改質原料ガス濃度の上昇)をガス濃度検出器にて検出することで、改質触媒の被毒状況を検知することができる。
【0020】
請求項7記載の発明に係る水素生成装置は、請求項3乃至請求項6の何れか1項記載の水素生成装置において、前記再生切替装置は、前記燃焼排ガスを前記加熱部から系外に導く排出管から分岐し前記改質部に燃焼排ガスを導く再生用配管に設けられ、該再生用配管を開閉し得るバルブを含んで構成されている。
【0021】
請求項7記載の水素生成装置では、被毒検出手段の出力信号に基づいて触媒活性の低下を検知した場合に制御装置は、バルブを開動作させることで、再生切替装置を改質器への燃焼排ガス導入側に切り替える。このように、単なるバルブの開閉で通常運転から再生工程に切り替えることができる。なお、バルブは、燃焼排ガスを系外に導く排出管と再生用配管との分岐部に設けられた三方弁としても良く、排出管における再生用配管の分岐部よりも下流に設けられた開閉弁と組み合わされて燃焼排ガスを全て改質器側流通させるようにしても良い。
【0022】
請求項8記載の発明に係る水素生成装置は、請求項3乃至請求項7の何れか1項記載の水素生成装置において、前記原料切替装置を前記改質器の原料供給の停止側に切り替えると共に前記再生切替装置を前記燃焼排ガスの前記改質器への導入側に切り替えるように、強制的に前記制御装置を動作させる強制切替手段をさらに備えた。
【0023】
請求項8記載の水素生成装置では、強制切替手段によって、運転状態から強制的に再生工程に切り替えることができる。これにより、例えば要求される水素生成量が少ない場合等に、強制的に再生工程行っておくことで、運転中の再生工程への切替回数や累積切替時間を減少することができる。
【0024】
請求項9記載の発明に係る水素生成装置は、請求項3乃至請求項8の何れか1項記載の水素生成装置において、前記原料切替装置を前記改質器の原料供給側に切り替えると共に前記再生切替装置を前記燃焼排ガスの系外への排出側に切り替えるように、強制的に前記制御装置を動作させる強制切替手段をさらに備えた。
【0025】
請求項9記載の水素生成装置では、強制切替手段によって、再生状態から強制的に運転状態に切り替え、或いは強制的に運転状態を維持する(運転状態から再生状態への移行を禁止する)ことができる。これにより、例えば水素生成が必要になった場合や、始動時など改質部が所定温度に達ししていない場合に、再生工程に移行しない状態に強制的に保っておくことで、改質燃料の水素生成への効率的な活用や始動特性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明に係る水素生成装置は、改質触媒の触媒活性を効率的に回復させることができるという優れた効果を有する。また、例えば改質原料として炭化水素を用いる場合には、改質触媒の被毒による改質性能低下には、本技術で取り上げた硫黄被毒の他に炭化水素燃料に含まれる炭素の触媒上への析出等による炭素被毒(コーキング)があるが、本技術の触媒再生は、この炭素被毒による触媒活性低下の再生にも有効に働く。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の実施形態に係る水素生成装置10について、図1乃至図5に基づいて説明する。
【0028】
図1には、水素生成装置10のシステム構成図(プロセスフローシート)が示されている。この図に示される如く、水素生成装置10は、例えば燃料電池や水素エンジン(内燃機関)等の水素消費装置12に供給するための水素含有の改質ガスを生成する改質部(反応器)14と、改質部14が改質反応を行うための熱を供給するための加熱部16とを主要構成要素として構成されている。改質部14は、内部に改質触媒18を担持しており、供給される炭化水素ガス(ガソリン、メタノール、天然ガス等)と改質用ガス(水蒸気)を触媒反応させることで、水素ガスを含む改質ガスを生成する(改質反応を行う)ようになっている。
【0029】
改質部14における改質反応には、以下の式(1)乃至(4)で表されるように、式(1)で示す水蒸気改質反応を含む各反応が含まれる。したがって、改質工程で得た改質ガスには、水素(H)、一酸化炭素(CO)、メタン(CH)、分解炭化水素や未反応の原料炭化水素(C)等の可燃性ガス、及び二酸化炭素(CO)、水(HO)等の不燃性ガスを含むようになっている。
【0030】
+nHO → nCO +(n+m/2)H … (1)
+n/2O → nCO + m/2H … (2)
CO+HO ⇔ CO+H … (3)
CO+3H ⇔ CH+HO … (4)
この改質反応の中で主となる式(1)の水蒸気改質反応は吸熱反応であるので、改質部14は、加熱部16からの熱供給を受けて所定温度以上の温度で運転されるようになっている。加熱部16は、図示しない酸化触媒を内蔵して改質部14に隣接して設けられており、供給された燃料を酸素と共に酸化触媒に接触させて触媒燃焼を生じさせる構成とされている。これにより、加熱部16は、触媒燃焼に伴って生じた熱を、改質部14における改質反応、運転温度を維持するための熱として供給する構成とされている。
【0031】
水素生成装置10は、加熱部16で燃料を触媒燃焼させて得た燃焼熱を隔壁部15を介して改質部14に供給するようになっている。このため、燃焼ガス等の熱媒(流体)を介して改質部14を加熱する構成のように熱量を温度に変換することなく、改質部14に熱量を直接的に付与することができる構成とされている。
【0032】
そして、水素生成装置10は、改質部14に炭化水素原料を供給するための原料供給ライン20を備えている。原料供給ライン20は、その上流端が図示しない原料ポンプの吐出部に接続されると共に下流端が改質部14の原料入口14Aに接続されている。炭化水素原料は、上記した改質反応には寄与しない硫黄成分(硫黄化合物)をわずかに含んでいる。また、原料供給ライン20には、図示しない水蒸気供給ラインが合流しており、上記した改質反応に用いる水蒸気、酸素が炭化水素原料と共に改質部14に供給されるようになっている。この炭化水素原料は、例えば蒸発器やインジェクション等の図示しない気化手段等によって気相又は微粒化とされると共に水蒸気等と混合された状態で改質部14に供給されるようになっている。
【0033】
さらに、改質部14の改質ガス出口14Bは、下流端が水素消費装置12に接続された水素供給ライン22の上流端に接続されている。これにより、改質部14で生成された水素を高濃度で含有する改質ガスが水素消費装置12に供給されるようになっている。
【0034】
また、水素生成装置10は、加熱部16に燃料を供給するための燃料供給ライン24を備えている。燃料供給ライン24は、その上流端が図示しない燃料ポンプの吐出部に接続されると共に下流端が加熱部16の燃料入口16Aに接続されている。この実施形態では、加熱部16で燃焼される燃料は、炭化水素とされ、改質原料と共通化(共通の燃料タンクに貯留)されている。燃料ポンプを原料ポンプと共通化しても良い。この燃料供給ライン又は燃料入口16Aでは、燃焼支燃ガス(酸素)を含む空気を供給するための図示しない支燃ガスラインが合流しており、改質原料と同様に気相又は微粒化された燃料と支燃ガスとが混合された混合ガスが加熱部16に供給されるようになっている。
【0035】
加熱部16の排ガス出口16Bには、燃焼排ガスを系外である大気排出部25に排出するための排出管としての燃焼排ガスライン26が接続されている。燃焼排ガスライン26には、例えば燃焼排ガスを浄化するための触媒コンバータ等を設けても良い。
【0036】
そして、水素生成装置10は、改質触媒18が硫黄被毒された場合に該改質触媒18から硫黄成分を除去して触媒活性を回復させるための触媒再生手段が設けられている。以下、具体的に説明する。図1に示される如く、水素生成装置10は、燃焼排ガスライン26から分岐して原料供給ライン20に合流する再生用配管としての再生ガス供給ライン28を備えている。再生ガス供給ライン28には、燃焼排ガス中の硫黄成分を除去するための硫黄除去部としての硫黄トラップ30が設けられている。硫黄トラップ30は、燃焼排ガス中の硫黄を吸着によって除去する吸着材を内蔵して構成されている。この吸着材としては、例えば、酸化亜鉛、酸化銅、チタン酸亜鉛等の金属酸化物を用いることができる。
【0037】
また、原料供給ライン20における再生ガス供給ライン28の合流部20Aと、該合流部20Aよりも上流側に位置する上記した水蒸気供給ラインの合流部との間には、原料切替装置を構成するバルブV1が配設されている。また、再生ガス供給ライン28における該合流部20Aの近傍(硫黄トラップ30の下流側)には、原料切替装置を構成するバルブV2が配設されている。バルブV1、V2はそれぞれ開閉弁とされており、後述する触媒再生コントローラ34の指令によって、原料供給ライン20、再生ガス供給ライン28を開閉するようになっている。
【0038】
さらに、燃焼排ガスライン26における再生ガス供給ライン28の分岐部26Aの下流側には、再生切替装置を構成するバルブV3が配設されており、再生ガス供給ライン28における該分岐部26Aの近傍(硫黄トラップ30の上流側)には、再生切替装置を構成するバルブV4が配設されている。バルブV3、V4はそれぞれ開閉弁とされており、後述する触媒再生コントローラ34の指令によって、燃焼排ガスライン26、再生ガス供給ライン28を開閉するようになっている。バルブV4が本発明におけるバルブに相当し、再生ガス供給ライン28、バルブV3、V4が再生切替装置に相当し、これらが原料切替装置としてのバルブV1と共に本発明における触媒再生手段を構成する。
【0039】
さらにまた、この実施形態では、水素供給ライン22から分岐すると共に燃焼排ガスライン26におけるバルブV3の下流側に合流した再生ガス排出ライン32が設けられている。水素供給ライン22における再生ガス排出ライン32の分岐部22Aの下流側にはバルブV5が配設されており、再生ガス排出ライン32にはバルブV6が配設されている。バルブV5、V6はそれぞれ開閉弁とされており、後述する触媒再生コントローラ34の指令によって、水素供給ライン22、再生ガス排出ライン32を開閉するようになっている。
【0040】
水素生成装置10は、改質部14で水素含有の改質ガスの生成を行う運転モードと、改質触媒18の触媒活性の回復を行う再生モードとを切り替えるための制御装置としての触媒再生コントローラ34を備えている。触媒再生コントローラ34は、上記した各バルブV1、V2、V3、V4、V5、V6に電気的に接続されており、これらの開閉を制御するようになっている。また、触媒再生コントローラ34は、被毒検出手段(温度検出器)としての温度センサ36、強制切替手段としての手動再生スイッチ38にそれぞれ電気的に接続されている。
【0041】
温度センサ36は、改質触媒18の温度に応じた信号を出力するようになっている。手動再生スイッチ38は、操作者によってON操作された場合にON信号を出力し他の場合はOFF信号(0信号)を出力するようになっている。そして、触媒再生コントローラ34は、通常は運転モードを選択するようになっており、温度センサ36の出力信号に基づいて、改質触媒18の温度が所定の閾値を超えると判断した場合に、運転モードから再生モードに切り替えるように構成されている。また、触媒再生コントローラ34は、手動再生スイッチ38がON操作された場合に運転モードから再生モードに切り替えるように構成されている。触媒再生コントローラ34の制御については、本実施形態の作用と共に後述する。
【0042】
以上説明した水素生成装置10は、自動車駆動用のモータに電力を供給するための燃料電池、又は自動車用の水素エンジンに高濃度の水素を供給するようになっている。手動再生スイッチ38は、この自動車の乗員(運転者)が操作するように車室内の適宜位置に配置されている。
【0043】
次に、実施形態の作用について、図2のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0044】
上記構成の水素生成装置10では、通常は触媒再生コントローラ34が運転モードを選択しており、図3に示される如くバルブV1、V3、V5が開放されると共に、バルブV2、V4、V6が閉止されている。これにより、改質部14では、原料供給ライン20から炭化水素原料、水蒸気、酸素が導入される。一方、加熱部16では、燃料供給ライン24から燃料と空気との混合ガスが導入され、これらが酸化触媒に接触して触媒燃焼が生じる。
【0045】
この加熱部16における触媒燃焼に伴って生じた熱が隔壁部15を介して改質部14に供給され、改質部14では、供給された炭化水素原料、水蒸気、酸素が水蒸気改質反応を含む式(1)〜式(4)で示す改質反応を生じ、水素を高濃度で含有する改質ガスが生成される。この改質ガスは、水素供給ライン22を通じて水素消費装置12に供給される。一方、加熱部16の燃焼排ガスは、燃焼排ガスライン26から大気排出部25に排出される。
【0046】
このとき、触媒再生コントローラ34は、温度センサ36の出力信号すなわち改質触媒18の被毒状況を監視(モニタ)している。具体的には、図2に示される如く、触媒再生コントローラ34は、ステップS10にて、温度センサ36の出力信号に基づいて再生条件が不成立であるか否かを判断している。図5(A)に示される如く、改質触媒18の硫黄被毒量が増すと、吸熱反応を主反応とする改質反応が停滞する一方、加熱部16からの熱供給が維持されることから、改質触媒18の温度Tcが上昇することがわかっている。そして、触媒再生コントローラ34は、温度Tcが閾値T0以下である場合に再生条件が不成立であると判断し、温度Tcが閾値T0を超える場合に再生条件が成立したと判断する。
【0047】
ステップS10で再生条件が成立した(不成立に対しN)と判断した触媒再生コントローラ34は、ステップS12に進み、運転モードから再生モードに切り替える。具体的には、図4に示される如く、開放されていたバルブV1、V3、V5を閉止すると共に、閉止されていたバルブV2、V4、V6を開放する。これにより、改質部14への改質原料(すなわち硫黄)、水蒸気、酸素の供給は停止され、かつ該改質部14には硫黄トラップ30にて硫黄成分が除去された燃焼排ガスが導入される。すなわち、再生モードでは、燃焼排ガス中の高温の水蒸気、微量の酸素が改質部14の改質触媒18に供給される。また、加熱部16から改質部14への熱供給は維持されている。
【0048】
そして、加熱部16の燃焼排ガスには、多量の高温水蒸気が含まれているため、短時間で効率的に改質触媒18の再生が行われる。すなわち、改質触媒18上の硫黄成分が除去され、改質触媒18の触媒活性が回復する。改質触媒18の再生後の排ガスは、水素供給ライン22、再生ガス排出ライン32を経由して燃焼排ガスライン26から大気排出部25に排出される。
【0049】
ステップS12の実行後、触媒再生コントローラ34は、ステップS14に進み、再生モードへの切り替えから所定時間が経過したか否かを判断する。再生モードへの切り替えから所定時間(十分な触媒活性の回復が図られる時間として設定された時間)が経過すると、触媒再生コントローラ34はステップS16に進み、再生モードから運転モードに切り替える。すなわち、図3に示される如く、開放されていたバルブV2、V4、V6を閉止すると共に、閉止されていたバルブV1、V3、V5を開放する。
【0050】
また、ステップS10で触媒再生条件が不成立(触媒被毒量が少ない)と判断した場合に触媒再生コントローラ34は、ステップS18に進み、手動再生スイッチ38がOFF信号を出力しているか否かを判断する。手動再生スイッチ38がOFF信号を出力している場合には、ステップS16に進み、運転モードを維持する。一方、手動再生スイッチ38がON信号を出力している場合には、ステップS12に進み、運転モードから再生モードに切り替える。この後の動作については、上記した通りである。水素生成装置10が適用された自動車の運転者は、例えば信号待ちで停車している場合等(燃料電池の電力付加、水素エンジンの負荷が小さい場合)に手動再生スイッチ38をON操作する。
【0051】
ここで、水素生成装置10では、加熱部16の燃焼排ガス中の水蒸気を再生工程で用いるため、再生専用の水蒸気を用いる構成と比較してエネルギ効率が著しく向上する。すなわち、例えば再生工程で水素生成装置の外部から触媒活性回復用の水蒸気を導入する構成では、水タンク、水を蒸発させる蒸発器(潜熱相当のエネルギ)、加熱器(顕熱相当のエネルギ)等が必要になるが、本水素生成装置10では、加熱部16の燃焼排ガス中の水蒸気成分、排気熱(潜熱及び顕熱)を有効利用して改質触媒の触媒活性の回復を図る再生工程を行うことができる。しかも、再生工程において加熱部16からの熱供給が維持されるので、触媒活性の回復が促進される。
【0052】
このように、実施形態に係る水素生成装置10では、改質触媒18の触媒活性を効率的に回復させることができる。さらに、加熱部16の燃焼排ガスに含まれる微量の酸素は、改質触媒18の触媒活性の回復に寄与することが実験的に確かめられており、単に水蒸気のみを改質部14に供給する構成と比較して、一層短時間で改質触媒18の触媒活性を回復させることができる。
【0053】
また、水素生成装置10では、再生ガス供給ライン28に硫黄トラップ30が設けられているため、燃焼排ガス中の硫黄成分が除去され、再生工程において改質部14に硫黄成分が導入されることが防止される。これにより、改質触媒の触媒活性を一層効率的に(短時間)回復させることができる。
【0054】
さらに、水素生成装置10では、触媒再生コントローラ34が温度センサ36の出力信号に基づいて自動的に運転モードから再生モードに切り替えるため、常に触媒活性が高い状態で運転モードでの水素生成(改質反応)が行われ、常に水素を高濃度で含む水素含有ガスを生成して水素消費装置12に供給することができる。
【0055】
さらにまた、水素生成装置10では、運転モードと再生モードとを切り替えるための触媒再生コントローラ34による制御対象が、それぞれ開閉弁であるバルブV1〜V6であるため、簡単な構造・制御で再生工程を行い得る構成が実現された。
【0056】
また、水素生成装置10では、運転者等の車両乗員による手動再生スイッチ38のON操作によって再生モードに切り替わるため、自動車の走行時における自動的な再生モードの切り替え回数、再生モードの実行時間を短縮することができる。これにより、例えば、燃料電池に水素を供給する構成では、車両走行中にバッテリの電力に頼る回数、時間が減少し、バッテリ負荷の低減が可能となる。また、水素エンジンに水素を供給する構成では、予備の水素を消費する量が減少する。
【0057】
次に、被毒検出手段の変形例を説明する。
【0058】
上記実施形態では、被毒検出手段として温度センサ36を用いたが、これに代えて、改質部14の改質ガス出口14Bから排出されるガスの流量を検出する流量センサ(図示省略)を用いることができる。すなわち、図5(B)に示される如く、改質触媒18の硫黄被毒量が増すと、式(1)、(2)で示す生成ガスのモル数が原料ガスのモル数に対し増える改質反応が停滞することから、改質ガス出口14Bから排出されるガスの流量Fが減少することがわかっている。したがって、触媒再生コントローラ34は、流量Fが閾値F0以上である場合にステップS10の再生条件が不成立であると判断し、流量Fが閾値F0を下回る場合に再生条件が成立したと判断する。
【0059】
なお、水素生成装置10の運転条件(改質部14に対する改質原料の供給量や加熱部16からの供給熱量)が変動する構成では、改質部14に導入される改質原料(と水蒸気等との混合ガス)の流量を検出する流量センサを併せて設け、改質原料の流量に対する改質ガス出口14Bからの排出ガスの流量の比を制御パラメータとすることが好ましい。また、改質部14からの排出ガスの流量センサは水素供給ライン22に設けることが好ましく、改質部14への導入ガスの流量センサは原料供給ライン20に設けることが好ましい。
【0060】
また、温度センサ36に代えて、改質部14の改質ガス出口14Bから排出されるガスの流量を検出するガス濃度センサ(図示省略)を用いることができる。すなわち、図5(C)に示される如く、改質触媒18の硫黄被毒量が増すと、改質反応が停滞することから、改質ガス出口14Bから排出されるガス中の改質生成物である水素や一酸化炭素の濃度は減少し、改質原料である炭化水素の濃度は上昇することがわかっている。改質ガス出口14Bから排出されるガス中の特定成分の濃度を検出するガス濃度センサ設けることで、改質触媒18の被毒状況に応じた信号を得ることができる。
【0061】
例えば、水素又は一酸化炭素の濃度を検出するガス濃度センサを用いた場合には、触媒再生コントローラ34は、ガス濃度Cが閾値C0以上である場合にステップS10の再生条件が不成立であると判断し、ガス濃度Cが閾値C0を下回る場合に再生条件が成立したと判断する。なお、改質部14からの出口ガスの濃度を検出するガス濃度センサは、水素供給ライン22に設けることが好ましい。
【0062】
このように、水素生成装置10では、改質触媒18の被毒状況を検知(監視)するために各種センサを用いることができる。また、複数種類のセンサを設け、これらの出力信号に基づいて改質触媒18の被毒状況を検知するようにしても良い。
【0063】
なお、上記実施形態では、再生切替装置、原料切替装置が主に再生ガス供給ライン28、及びバルブV1〜V4にて構成された例を示したが、本発明はこれに限定されず、各種構成の再生切替装置、原料切替装置を用いることができる。また、水素消費装置12が硫黄成分の導入を許容する構成である場合には、再生ガス排出ライン32、及びバルブV5、V6を不要とすることも可能である。
【0064】
また、上記実施形態では、手動再生スイッチ38のON操作で強制的に再生モードに切り替わる例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、強制的なモード切り替えをなくしても良く、他の条件による自動切り替え(例えば、アイドリングストップとの連動)を行うようにしても良い。また逆に、手動再生スイッチ38等による手動操作のみによって再生モードが選択される構成としても良い。
【0065】
さらに、上記実施形態では、水素生成装置10が運転モードから再生モードに強制的に切り替えるための手動再生スイッチ38を備えた例を示したが、本発明にはこれに限定されず。例えば、手動再生スイッチ38に代えて又は手動再生スイッチ38と共に、再生モードから運転モードに強制的に切り替え又は運転モードを強制的に維持するための手動スイッチ(強制切替手段)を設けた構成とすることができる。この構成によれば、例えば改質部14での水素生成が必要になった場合や、水素生成装置10の始動時など改質部14が所定温度に達ししていない場合に、再生モードに移行しない状態に強制的に保っておくことができるので、改質燃料の水素生成への効率的な活用や始動特性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施形態に係る燃料電池システムの概略全体構成を示すシステムフロー図である。
【図2】本発明の実施形態に係る燃料電池システムを構成する触媒再生コントローラによる運転・再生のモード切り替え制御フローを示すフローチャートである。の燃料電池の模式図である。
【図3】本発明の実施形態に係る燃料電池システムの運転モード選択状態のシステムフロー図である。
【図4】本発明の実施形態に係る燃料電池システムの再生モード選択状態のシステムフロー図である。
【図5】本発明の実施形態に係る燃料電池システムにおける運転・再生のモード切り替えの閾値を説明するための図であって、(A)は温度検出センサを用いた場合の線図、(B)は流量センサを用いた場合の線図、(C)はガス濃度センサを用いた場合の線図である。
【符号の説明】
【0067】
10 水素生成装置
14 改質部
16 加熱部
18 改質触媒
26 燃焼排ガスライン(排出管)
28 再生ガス供給ライン(再生用配管)
30 硫黄トラップ(硫黄除去部)
34 触媒再生コントローラ(制御装置)
36 温度センサ(被毒検出手段)
38 手動再生スイッチ(強制切替手段)
V4 バルブ




 

 


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