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発明の名称 血流改善作用を有する食品組成物
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−228963(P2007−228963A)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
出願番号 特願2007−22653(P2007−22653)
出願日 平成19年2月1日(2007.2.1)
代理人 【識別番号】100064687
【弁理士】
【氏名又は名称】霜越 正夫
発明者 野口 孝則 / 野沢 与志津 / 黒田 素央 / 本多 正史
要約 課題
血流改善作用を有し、かつ、通常の食生活において摂取しやすい形状をとりうる、食品組成物を提供する。

解決手段
回遊魚、特にスズキ目、サバ亜目の熱水抽出物に珪藻土を添加、限外濾過して得られる組成物、またはその類似組成物を有効成分として、抽出物の固形分を1食分あたり0.5g以上含有することを特徴とする食品組成物。該組成物は、粉末・顆粒・錠剤・カプセル・ゼリー状等の、各種形状とする事ができる。また、その固形分中遊離アミノ酸含量は10g/100g以上、特に遊離ヒスチジン含量は5〜30g/100gである。
特許請求の範囲
【請求項1】
回遊魚の抽出物を有効成分として含有することを特徴とする血流改善作用を有する食品組成物。
【請求項2】
該回遊魚の抽出物に加えて他の栄養成分、抗疲労成分、嬌味成分、賦形成分、静菌性成分及び色素からなる群から選ばれる1種以上の添加物を含有することを特徴とする請求項1記載の血流改善作用を有する食品組成物。
【請求項3】
該回遊魚が、スズキ目(Perciformes)サバ亜目(Scombrina)に属する魚であることを特徴とする請求項1または2記載の血流改善作用を有する食品組成物。
【請求項4】
該回遊魚が、鰹であることを特徴とする請求項1または2記載の血流改善作用を有する食品組成物。
【請求項5】
回遊魚の抽出物が、鰹の身から熱水抽出されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の血流改善作用を有する食品組成物。
【請求項6】
回遊魚の抽出物が、鰹の身の煮汁及び/又は蒸煮汁を加熱濃縮した後に、エキス固形分に対して2〜20%の珪藻土を添加、濾過して得られる抽出物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の血流改善作用を有する食品組成物。
【請求項7】
回遊魚の抽出物が、回遊魚から得られる節類を熱水抽出して得られる抽出物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の血流改善作用を有する食品組成物。
【請求項8】
回遊魚の抽出物が、請求項5〜7の方法で得られた抽出物を、公称分画分子量500〜5,000の限外濾過膜で処理して得られる透過液であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の食品組成物。
【請求項9】
回遊魚の抽出物が、請求項5〜7の方法で得られた抽出物を、公称塩分阻止率10%以下の逆浸透膜で処理して得られる透過液であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の食品組成物。
【請求項10】
回遊魚の抽出物を、その固形分換算で1食分あたり0.5g以上含有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の食品組成物。
【請求項11】
回遊魚の抽出物を、その固形分換算で1食分あたり0.5g以上含有するように、該抽出物の液体を溶存酸素濃度5ppm以下(25℃)になるように無菌充填することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の液体状食品組成物。
【請求項12】
回遊魚の抽出物を、その固形分換算で1食分あたり0.5g以上含有するように、賦形剤および矯味成分を添加して粉末化して得られることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の粉末状食品組成物。
【請求項13】
回遊魚の抽出物を、その固形分換算で1食分あたり0.5g以上含有するように、賦形剤および矯味成分を添加して顆粒化して得られることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の顆粒状食品組成物。
【請求項14】
回遊魚の抽出物を、その固形分換算で1食分あたり0.5g以上含有するように、賦形剤および矯味成分を添加して打錠して得られることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の錠剤状食品組成物。
【請求項15】
回遊魚の抽出物を、その固形分換算で1食分あたり0.5g以上含有するように、賦形剤を添加して粉末化した後にカプセルに充填して得られることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のカプセル状食品組成物。
【請求項16】
回遊魚の抽出物を、その固形分換算で1食分あたり0.5g以上含有するように、抽出物を濃縮して得られたペーストをカプセルに充填して得られることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のカプセル状食品組成物。
【請求項17】
回遊魚の抽出物を、その固形分換算で1食分あたり0.5g以上含有するように、寒天、ゼラチン、澱粉類、ガム類のいずれか1種類以上のゲル化剤を添加して得られることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のゼリー状食品組成物。
【請求項18】
該回遊魚抽出物が、その固形分に占める遊離アミノ酸合計量が10g/100g以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の血流改善作用を有する食品組成物。
【請求項19】
該回遊魚抽出物が、その固形分に占める遊離ヒスチジン含量が5g/100g〜30g/100gであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の血流改善作用を有する食品組成物。
【請求項20】
該回遊魚抽出物が、その全アミノ酸合計量に対する遊離アミノ酸合計量の比率が25%以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の血流改善作用を有する食品組成物。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、回遊魚の抽出物または類似の組成を有する栄養成分の混合物を有効成分とする、血流改善作用を有する食品組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、食生活の欧米化、生活環境の変化等により、血液循環に問題を抱える国民が増えている。循環器系の疾患では、微小血管の血流が低下しており、生体にさまざまな悪影響を及ぼす。
【0003】
一般に血液は、(1)赤血球の変形能低下、(2)白血球の粘着能上昇、(3)血小板の凝集能上昇などにより、流れが悪くなる。このような状態が長く続くと、血行循環障害をもたらす。また、末梢血管径が細い場合も、組織末端まで血液が流れず、微小血管の血流が低下する。血行循環障害、特に末梢血流障害が起きると、血液が組織末端まで流れにくくなるため、肩こり、冷え、手足のしびれ、肌荒れ等の諸症状が引き起こされる。このような背景においては、血流改善作用を有する安全な飲食品が望まれていた。
【0004】
これまでにも血流改善作用を有する素材が多数報告されている。例えば、テアニン含有物(下掲特許文献1)、プロアントシアニジン含有物(下掲特許文献2)、グルコサミン塩またはグルコサミン誘導体(下掲特許文献3)、イワシ由来ペプチド(下掲特許文献4)、海藻・植物・魚類由来タンパク質加水分解物(下掲特許文献5)などである。
【0005】
しかしながら、前記の素材は通常はカプセル状などのサプリメント剤として摂取する必要があるため、飲みにくいなどの課題を有していた。また、これらの既存食品は、概ね医薬品的な形状であり、既存の食品に混和して利用することはその官能特性や物理化学的特性などから困難であった。日常の食生活で恒常的に摂取を行い、末梢血流障害の予防と健康な生活の維持を図ることが目的であるならば、できればサプリメントの形状のみならず、一般の食品に美味しく混和できることが望ましく、かつ広範な食経験があれば尚好ましいと考えられる。そのような視点では既存の食品や医薬品、サプリメントの成分では、食品への応用には限界があることから、食品として汎用性が有り、かつ食経験を豊富に有し、さらに効果的な食品の開発が望まれてきた。
【0006】
さらに前記に示した食品タンパク質を酵素分解して得られる素材は、概して苦味などの好ましくない風味を呈しており、摂取する形態を制限する原因となっていた。このような視点からも、良好な風味を呈し、食品として汎用性が有り、かつ食経験を豊富に有し、効果的な血流改善作用を有する食品の開発が望まれてきた。
【0007】
【特許文献1】特開2001−316256号公報
【特許文献2】特開2005−47818号公報
【特許文献3】特開2002−97143号公報
【特許文献4】特許第2732056号公報
【特許文献5】特開2004−244359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前項記載の従来技術の背景下に、本発明は、血流改善作用を有し、かつ、通常の食生活において摂取しやすい形状をとりうる、食品組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前項記載の目的を達成すべく鋭意研究の結果、鰹などの回遊魚の抽出物や鰹などの回遊魚から得られる節類の抽出物が、血流改善作用を有することを見出し、このような知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、鰹などの回遊魚や回遊魚から得られる節類の抽出物を有効成分として含有することを特徴とする血流改善作用を有する食品組成物に関する。また、本発明は上記の組成物の有効量(抽出物の固形分換算重量0.5g以上/1食)を日常的に摂取しやすくするために、該抽出物の固形分重量が1食あたり0.5g以上になるように調製した食品組成物、例えば、回遊魚の抽出物を、その固形分換算で1食あたり0.5g以上含有するように、該抽出物の液体を溶存酸素濃度5ppm以下になるように無菌充填して得られる液状食品、該抽出物を、その固形分換算で1食あたり0.5g以上含有するように、賦形剤および矯味成分を添加して粉末化、顆粒化、カプセル化または錠剤化して得られる固体状食品組成物および該回遊魚の抽出物の固形物を1食あたり0.5g以上含有するように、寒天、ゼラチン、澱粉類、およびガム類のいずれか1種類以上のゲル化剤を添加して得られるゼリー状食品組成物、さらには前記回遊魚抽出物が、それに占めるアミノ酸量が特定のものであるものに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明に言う回遊魚とは、鰹、鮪、カジキマグロ、鯖、鰯、鮭、にしん、ぶりなどの、産卵などのため、また季節により定期的に大移動する魚類を言う。特に、好ましくは、その効能の見地からカツオ、サバ、ソウダガツオ、マナガツオ、ミナミマグロ、ホンマグロ、クロマグロ、ビンナガマグロ、メバチマグロ、カジキマグロなど、スズキ目(Perciformes)サバ亜目(Scombrina)に属する魚類を用いるのが望ましい。なお、この分類は、「原色魚類検索図鑑(改訂13版)」(北隆館1989年発行)による。
【0013】
本発明で使用する回遊魚の抽出物は、熱水抽出によって得られるものである。なお、ここで言う熱水抽出とは、80〜120℃で15〜180分で抽出されるものである。熱水抽出にて得られた抽出物に関しては、風味改良などを目的として、種々の処理を施してもよい。
【0014】
詳述すると、本発明で利用される鰹などの回遊魚の抽出物としては、例えば、鰹の肉について熱水抽出して得られた煮汁及び/又は蒸煮汁を常法により、Brix20〜40程度に濃縮後濾過した後、糖類(例えば、グルコースやフルクトースなど)を0.1〜10%の範囲で添加した後、60〜150℃で1分〜24時間の範囲で加熱褐変処理を施したものを挙げることができる。さらにまた、鰹の肉の煮汁及び/又は蒸煮汁を常法によりBrix20〜40程度に加熱濃縮したのちにエキス固形分に対して2〜20%の珪藻土を添加、混合した後に濾過したものを挙げることができる。
【0015】
また、鰹、鮪、鯖などの回遊魚から得られる節類から得られる抽出物についても本発明に用いることができる。より具体的には、回遊魚について生切り、煮熟、焙乾を行って得られた荒節および荒節についてカビ付けを行って得られた枯節など、いずれも本発明に用いることができる。原料の節類について熱水抽出を行って抽出液を得た後、そのまま、あるいは濃縮、乾燥を行って抽出物を得る。
【0016】
また、このような抽出物は、電気透析法や逆浸透ろ過法などにより塩分を除去したものであっても差し支えない。また、回遊魚または回遊魚の節類から得られた抽出物を飲食しやすくするために、減圧あるいは常圧下での水蒸気蒸留処理、活性炭処理あるいは珪藻土濾過などによって、脱臭・脱色を行った後に使用することも可能である。さらに、脱臭および脱色を目的として、公称分画分子量500〜5,000、望ましくは500〜4,000、さらに望ましくは1,000〜2,000の限外濾過膜あるいは公称塩分阻止率10%以下、望ましくは5%以下の逆浸透膜で処理して、抽出物を得ることも可能である。
【0017】
また、このような抽出物は、該回遊魚抽出物が、その固形分に占める遊離アミノ酸合計量が10g/100g以上、好ましくは15g/100g以上、さらに好ましくは20g/100g以上であること、その固形分に占める遊離ヒスチジン含量が5g/100g〜30g/100g、好ましくは10g/100g〜20g/100gであること、その全アミノ酸合計量に対する遊離アミノ酸合計量の比率が25%以上、好ましくは25%〜80%、さらに好ましくは30%〜75%であることを特徴とする。これら3つの条件のいずれかを満たす抽出物であることが必須であり、この範囲外では本効果を期待できない。
【0018】
回遊魚の抽出物もしくはそれに類似の組成を有する栄養成分の混合物に加え、本発明の血流改善作用を有する食品組成物には、本発明の効果を妨げない範囲内で適当な添加物を配合することができる。このような添加物としては、糖質(グルコース、スクロース、でん粉など)、脂質(植物油、魚油、動物脂など)、たん白質(大豆たん白、乳たん白など)、ミネラル(カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩などの無機塩類)、ビタミン類(チアミン、ナイシン、ビタミンC、カロテンなど)等の他の栄養成分;食品としての機能(味、食感、安全性など)を付与するのに適当なスクロース、アスパルテーム、アセスルファムK、グルタミン酸ナトリウム等の嬌味成分;顆粒化、粉末化、固体化して食べ易くする同様の目的での糖質、無機塩類等の賦形成分;同様の目的でのエチルアルコール、酢酸、酢酸ナトリウム、グリシンなどの静菌性成分;同様の目的でのカラメル色素、アナトー色素、ベニバナ色素、パプリカ色素、紅麹色素、ブドウ色素などの天然物由来色素、各種合成色素などの色素;を挙げることができる。また、本抽出物をより食べやすい食品形態として提供するために、液状食品については、醤油、味噌、みりん、砂糖、各種エキスなど、粉末食品については、粉末醤油、粉末味噌、粉末酒、砂糖、食塩、各種エキス粉末などの調味料素材と配合して提供することも可能である。これらに限らず、その他の、この分野で常用されている添加物や食品素材を配合することのできることももちろんである。
【0019】
上記の方法にて得られた抽出物を有効量(1食あたりの抽出物の固形分換算重量0.5g以上、好ましくは1.0〜10g)含有し、かつ、摂取しやすい形態の食品組成物にするために、上記で述べた矯味成分、他の栄養成分などと配合するとともに、下記のような加工を行うことができる。すなわち、該抽出物を液体状食品組成物の形態にて提供する際には、抽出物固形分換算重量が0.5g以上になるように、該抽出物の溶液を溶存酸素濃度10ppm以下(25℃)になるように無菌充填して目的の液体状食品組成物を得る。なお、この時に容器としてアルミパウチ、アルミ製缶、スチール製缶、内装に脱酸素処理を施した紙製パック、脱酸素性を有する包材、酸素バリア性を有する包材からなるものを用いることが好ましい。液体状食品組成物については、食塩、アルコールまたはこれらを含有する食品素材と混合することにより、常温流通可能な組成物を提供することができるが、該抽出物をより効果的に摂取するためには、食塩含量の低い抽出物溶液を殺菌後無菌充填することが好ましい。なお、この際に、該抽出物は溶存酸素による酸化による風味劣化が問題となるために、25℃における溶存酸素濃度が5ppm以下、好ましくは3ppm以下、さらに望ましくは2ppm以下になるように充填を行うことが必要である。該抽出物を固体状食品組成物の形態にて提供する際には、該抽出物を、その固形分重量が1食あたり0.5g以上になるように、該抽出物の固形物を1食あたり0.5g以上含有するように、賦形剤および矯味成分を添加して粉末化、顆粒化、または錠剤化して目的の固体状食品組成物を得る。この時に用いる賦形剤としては、グルコース、スクロース、トレハロース、マルトース、ラクトース、デキストリン、澱粉などの糖質やゼラチン、カゼイン、それらの部分分解物などのペプチド、タンパク質が挙げられる。また、食品としての機能(味、食感など)を付与するために適当なスクロース、アスパルテーム、アセスルファムK、グルタミン酸ナトリウム等の嬌味成分を配合することが望ましい。粉末化にするための手段としては、該抽出物を必要に応じて濃縮した後に、噴霧乾燥、凍結乾燥、減圧薄膜ドラム乾燥、常圧ドラム乾燥などがあげられる。また、該抽出物について、味の影響を受けずに摂取させるために、該抽出物を上記に示した手段によって粉末化した後にカプセルに充填して提供することも可能である。また、該抽出物を食べやすい状態で提供するための手段として、ゲル化作用を有する成分を添加してゼリー状の食品として提供することも可能である。この時に用いるゲル化剤としては、寒天、ゼラチン、澱粉類およびガム類のいずれか1種類以上を用いる。また、この時においても、より摂取しやすくするために、前述した、スクロース、アスパルテーム、アセスルファムK、グルタミン酸ナトリウム等の嬌味成分を配合することが好ましい。
【0020】
このようにして製造された本発明の食品組成物は、そのまま、すなわち、適宜、液体混合物、粉体混合物などの形態で流通に置くことができる。
【実施例】
【0021】
以下、実施例および実験例により本発明を更に説明する。
【0022】
実験例1:鰹抽出物および鰹節抽出物の作成
鰹抽出物を以下の方法にて作成した。すなわち、鰹の肉の煮汁を常法によりBrix30程度に加熱濃縮したのちに、珪藻土(ラジオライト#700;昭和化学工業社製)をエキス固形分に対して5.0%になるように添加、混合した後に、濾布を用いて濾過を行い、電気透析機(旭化成社製アシライザー)を用いて脱塩することにより作成した(鰹抽出物A)。また、上記に示した鰹抽出物Aについて、公称分画分子量1,000の限外濾過膜(MILLIPORE社製「Prep/Scale TFF6」)を用いて限外濾過を行い、透過液を得た(鰹抽出物B)。さらに、上記に示した鰹抽出物Aについて、公称塩分阻止率5%の逆浸透膜(日東電工社製「NTR−7410HG」)を用いて逆浸透膜処理を行い、鰹抽出物Bとほぼ同等の組成の透過液を得た。
【0023】
また、鰹節抽出物は以下の方法にて作成した。すなわち、常法によって製造された鰹荒本節250kgを粉砕後、95℃に熱した1,000kgのイオン交換水に投入し、90℃で45分間の抽出を行い、濾布濾過およびフィルター濾過を行って、抽出液(固形分5.0%)を得た。この抽出液について窒素パージを行った後に、130℃で60秒間加熱殺菌した後にアルミパウチに無菌充填した(鰹節抽出物)。なお、この時の溶存酸素濃度は1.0ppmであった。
【0024】
これらの鰹抽出物および鰹節抽出物の固形分あたりの成分分析値を下記表1に示した。表に示すように、いずれの抽出物も、類似した成分組成を示すことから、いずれの抽出物についても同様の効果が期待されると推定された。
【0025】
【表1】


【0026】
実験例2:末梢皮膚血流改善作用の確認
被験者29名(18.9±1.3歳、女性)に対して、対照食または試験食を2週間継続摂取させ、摂取前後の血流量を測定した。試験食として、実施例1にて調製した本発明の鰹節抽出物の溶液(液体状食品組成物)を1日125mLずつ摂取させた。対照食として、鰹節フレーバー、食塩、カラメル色素にて試験食との差異を識別できないように調製した溶液を1日125mLずつ摂取させた。血流量は、レーザードップラー血流画像化装置(Perimed社製「PeriScan PIMII」)を用いて、手の甲の皮膚血流量を測定した。結果を表2に示す。表の値は、平均値±標準偏差であり、本測定装置で得られた信号強度(mV)で示し、数値が大きいほど、血流量が多いことを意味する。なお、摂取前に比べて危険率0.001以下で差を示した値には***、対照食に比べて危険率0.001以下で差を示した値については+++を記した。
【0027】
表2に示したように、対照食摂取前後において、血流量の変化は見られなかったが、試験食摂取後においては、摂取前と比較して有意に血流量が増加することが示された。また、試験食摂取後の血流量は、対照食摂取後と比較しても有意に高い血流量を示した。このことから、本発明の血流改善組成物は、組織における血流量増加作用、すなわち血流改善効果を有することが示された。
【0028】
【表2】


【0029】
実験例3:血液流動性改善作用の確認
被験者12名(41±9.9歳、男性7名、女性5名)に対して、対照食または試験食を4週間継続摂取させ、摂取前後の血液通過時間を測定した。試験食として、後掲実施例1にて調製した本発明の鰹節抽出物の溶液(液体状食品組成物)を1日125mLずつ摂取させた。対照食として、鰹節フレーバー、食塩、カラメル色素にて試験食との差異を識別できないように調製した溶液を1日125mLずつ摂取させた。摂取前後に、採血を実施し(テルモ(株)製「ヘパリンナトリウム処理済真空採血管」)、直ちに血液通過時間の測定に供した。
【0030】
血液流動性改善作用には、MC−FAN(日立計測器サービス(株)製「KH−7」)を用いて行った。本装置は、血液を通過させる血管モデルの微細加工経路を持つシリコン単結晶基板に、血液100μlを流し、全血液通過時間を測定する。あわせて、CCDカメラ下でその流動性を記録し、血球の変形作用や血小板の凝集能を観察できる。すなわち、本評価方法を用いることで、血液成分の流動性を評価できる。
【0031】
結果を表3に示す。表の値は、平均値±標準誤差であり、血液100μlが流れるのに要した時間(秒)で示し、数値が小さいほど、血液通過時間が短い、すなわち血液流動性が改善されていることを意味する。なお、摂取前に比べて危険率0.05以下で差を示した値に*を記した。対照食に比べて危険率0.05以下で差を示した値については+を記した。
【0032】
表3に示したように、対照食摂取前後において、血流量の変化は見られなかったが、試験食摂取後においては、摂取前と比較して有意に血液通過時間が短縮することが示された。また、試験食摂取後の血液通過時間は、対照食摂取後と比較しても有意に高い血流量を示した。このことから、本発明の血流改善組成物は、血液成分の流動性を改善する、すなわち血流改善効果を有することが示された。
【表3】


【0033】
実験例4:脳卒中易発症高血圧ラットにおける鰹抽出物Aの脳卒中発症抑制作用
5週齢の雄性脳卒中易発症高血圧ラット(SHRSP: Spontaneously Hypertensive Rat Stroke-Prone)に、実験例1にて調整した本発明の鰹抽出物A(固形分重量/エキス重量が2%、4%、8%)を7週間、飲水投与で自由摂取させた。対照群には蒸留水(以下、DWと略記)を摂取させた。餌はSP用飼料(清水実験材料社製)を用いた。12週齢において中大脳動脈の血管幅および中大脳動脈領域の血流量を測定した。脳卒中の発症の様子を適宜観察した。
【0034】
結果を図1〜2に示す。いずれも平均値±標準誤差であり、DW群に対して対応のないt検定を実施した。なお、DW群に比べて危険率0.1以下で差を示した値に#、0.05以下で差を示した値に*、0.0005以下で差を示した値に***を記した。
【0035】
12週齢において、DW群8匹中、脳卒中発症8匹、うち2匹死亡、鰹抽出物2%群6匹中、脳卒中発症5匹、鰹抽出物4%群6匹中、脳卒中発症4匹、うち1匹死亡、そして鰹抽出物8%群6匹はいずれも脳卒中の症状は認められなかった。中大脳動脈血管幅の測定結果を図1に示す。中大脳動脈血管幅は、鰹抽出物群全てにおいてDW群に対して有意に高値を示した。中大脳動脈領域の血流量の測定結果を図2に示す。中大脳動脈領域の血流量は鰹抽出物8%群でDW群に対して高値を示した。
【0036】
鰹抽出物が、SHRSPラットの成長に伴う脳血管の収縮を抑制する作用、また脳卒中発症を予防する作用を有する可能性が、延いては人に関しても同様の作用を有する可能性が示唆された。
【0037】
実験例5:鰹抽出物Aの末梢皮膚血流量増加作用
実験例1にて調整した本発明の鰹抽出物A単回投与が過密ストレス負荷マウスの皮膚血流量に及ぼす影響について検討を行った。過密ストレス負荷飼育(20匹/ケージ、7〜14日間)または正常飼育(5匹/ケージ)した8〜9週齢雄性CD2F1マウスにペントバルビタール麻酔下で鰹抽出物0.43g/kgBWを経口投与し、足裏の血流量の変化をレーザードップラー血流画像化装置「PeriScanII」(PeriMed社製)で測定した。実験は個体差の影響を排除するためクロスオーバー法にて実施した。過密ストレス負荷飼育マウス10匹および正常飼育マウス6匹について検討を行った。過密ストレス負荷飼育マウス用および正常飼育マウス用のケージとして、それぞれ、「KN−60101」(夏目製作所社製)および「KN−600」(夏目製作所社製)を用いた。餌は精製飼料「AIN−93G」(日本チャールズリバー社製)を用いた。対照として蒸留水(以下、DWと略記)を用いた。
【0038】
結果を図3に示す。いずれも平均値±標準誤差であり、群間で対応のあるt検定を実施した。なお、群間で危険率0.1以下で差を示した値に#、0.05以下で差を示した値に*、0.005以下で差を示した値に**を記した。
【0039】
図から分かるように、過密ストレス負荷を与えたマウスに鰹抽出物を単回投与することにより、投与後10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60分でDW投与時に対して有意に高値を示した。10〜20分で血流量は最も高い値を示した。一方、正常飼育マウスでは有意な変化はみられなかった。
【0040】
鰹抽出物単回投与時の血流量増加作用は、正常飼育群ではみられず過密ストレス負荷群でみられた。以上の結果から鰹抽出物単回投与時の血流量増加作用にストレスが関与している可能性が示唆された。
【0041】
実施例1:鰹節抽出物の液体包装食品の作成(液体状食品組成物)
常法によって製造された鰹荒本節250kgを粉砕後、95℃に熱した1,000kgのイオン交換水に投入し、90℃で45分間の抽出を行い、濾布濾過およびフィルター濾過を行って、抽出液(固形分5.0%)を得た。この抽出液について、窒素パージを行った後に、130℃で60秒間加熱殺菌した。その後にアルミにて内部コーティングを施した紙パック容器に125mL充填した。なお、この時の溶存酸素濃度は1.2ppmであった。また、容器内の鰹節抽出物の固形分は5.0gであった。
【0042】
実施例2:鰹エキス粉末の調製(粉末状食品組成物)
実験例1で調製した鰹エキスAの液体(固形分30%)に対して、エキス固形分と同重量のデキストリン(三和澱粉工業(株)製「サンデック#100」)を添加、溶解した後に、噴霧乾燥により乾燥して、鰹エキス粉末を得た。本粉末3gをアルミパウチ袋に充填して、1食(1袋)あたりの鰹エキス固形分1.5gを含む包装品を得た。なお、実験例1で用いた原料鰹煮汁について、珪藻土の添加を行わずに、濾布濾過およびフィルター濾過を行い、電気透析機(旭化成社製アシライザー)を用いて脱塩を行うことにより作成したエキスについて、上記と同様にエキス固形分と同重量のデキストリンを添加、噴霧乾燥を行って、比較対照の鰹エキス粉末を得た。本発明の鰹エキス粉末と比較対照鰹エキス粉末について、2%温水溶液を調製して、味覚評価パネル20名による官能評価を行った。結果を表4に示す。表4に示すように、本発明の鰹エキスは比較対照の鰹エキスと比較して、生臭みが低減されており、呈味・風味が好ましいことが示された。この結果より、本発明により、より飲みやすい食品組成物を提供しうることが確認された。
【0043】
【表4】


【0044】
実施例3:鰹節抽出物粉末の調製(粉末状食品組成物)
実験例1で調製した鰹節抽出物Aの液体(固形分5%)に対して、抽出物固形分と同重量のデキストリン(三和澱粉工業(株)製「サンデック#100」)を添加、溶解した後に、凍結乾燥により乾燥して、鰹節抽出物粉末を得た。本粉末3gをアルミパウチ袋に充填して、1食(1袋)あたりの鰹節抽出物の固形分1.5gを含む包装品を得た。
【0045】
実施例4:鰹節抽出物顆粒の調製(顆粒状食品組成物)
実施例3で調製した鰹節抽出物粉末100重量部に対して、アスパルテーム(味の素社製)0.5重量部、グルタミン酸ナトリウム(味の素社製「MSG−RC」)10重量部および市水3.5重量部を添加、混合した後に、押出造粒機を用いて造粒を行い、鰹節抽出物顆粒を得た。本顆粒3gをアルミパウチ袋に充填して、1食(1袋)あたりの鰹節抽出物の固形分1.43gを含む包装品を得た。
【0046】
実施例5:鰹節抽出物錠剤の調製(錠剤状食品組成物)
実施例3で調製した鰹節抽出物粉末100重量部に対して、アスパルテーム(味の素社製)0.5重量部およびグルタミン酸ナトリウム(味の素社製「MSG−FC」)5重量部を添加、混合した後に、打錠機を用いて打錠操作を行い、鰹節抽出物からなる錠剤2.2g/個を得た。本錠剤1個あたりの鰹節抽出物固形物重量は1.05gであった。
【0047】
実施例6:鰹節抽出物カプセル品の調製(カプセル状食品組成物)
実施例3で調製した鰹節抽出物粉末100重量部をゼラチン製0号ハードカプセル(日本アリメント社製)に400mgずつ充填を行い、鰹節抽出物粉末を含有するカプセル剤を得た。本カプセル5個(1食あたりの摂取量)中の鰹節抽出物の固形分重量は1.0gであった。
【0048】
実施例7:ゼリー状鰹節抽出物食品の調製(ゼリー状食品組成物)
実験例1にて得られた鰹節抽出物の液体100重量部、水100重量部、アスパルテーム(味の素社製)0.2重量部およびグルタミン酸ナトリウム2.0重量部に、ゼラチン(新田ゼラチン社製)4.0重量部を添加、加熱溶解した後にアルミ製容器に100g充填した後、120℃で15分間の加圧殺菌を行い、冷却して、ゼリー状鰹節抽出物食品を得た。この食品組成物1食あたりに含まれる鰹節抽出物固形分の重量は2.42gであった。
【0049】
実施例8:吸いもの様食品組成物の調製(液体状食品組成物)
実験例1にて得られた鰹節抽出物の液体(殺菌前)10kg、濃口醤油6kg、およびグルタミン酸ナトリウム(味の素社製「MSG−RC」)0.1kgを混合、溶解した。このようにして得られた液体について、120℃で60秒間の加熱殺菌を行った後に窒素パージを行い、40gずつ、アルミパウチに無菌充填を行い、本発明の液体包装食品を得た。得られた食品の1食(1袋)あたりの鰹節抽出物固形分の重量は1.24gであった。なお、本液体組成物の溶存酸素濃度は0.9ppmであった。
【0050】
実施例9:粉末味噌汁様食品組成物の作成(粉末状食品組成物)
実施例3で得られた鰹節抽出物粉末6.0kgおよび粉末味噌(ハナマルキ社製)7.5kgを混合して粉末味噌汁様食品粉末を得た。この粉末を13.5gずつ、アルミパウチに充填して、粉末味噌汁様包装食品を得た。なお、この組成物1食分中に含まれる、鰹節抽出物固形分の重量は3.0gであった。
【0051】
実施例10:粉末つゆ様食品組成物の調製(粉末状食品組成物)
実施例3で得られた鰹節抽出物粉末1.0kg、粉末醤油(ヤマサ社製)2.4kg、食塩0.7kg、グラニュー糖0.3kgおよび粉末酒0.2kgを粉砕、混合して粉末つゆ様食品を得た。このようにして得られた粉末を23gずつアルミパウチ袋に充填して、粉末つゆ様食品組成物の包装品を得た。なお、この組成物1食(1袋)中に含まれる、鰹節抽出物固形分の重量は2.5gであった。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明によれば血流改善作用を有する食品組成物を容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の鰹抽出物のラット中大脳動脈の血管幅に及ぼす影響を示す(実験例4)。
【図2】本発明の鰹抽出物のラット中大脳動脈領域の血流量に及ぼす影響を示す(実験例4)。
【図3】本発明の鰹抽出物のラット末梢皮膚血流量増加作用を示す(実験例5)。




 

 


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