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発明の名称 リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−238434(P2007−238434A)
公開日 平成19年9月20日(2007.9.20)
出願番号 特願2007−111877(P2007−111877)
出願日 平成19年4月20日(2007.4.20)
代理人 【識別番号】100103997
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 曉司
発明者 宇都宮 明
要約 課題
充填密度の高いリチウムマンガン複合酸化物を安価に量産する方法を提供する。

解決手段
リチウム源と遷移金属源とを有するスラリーを噴霧乾燥し、これを焼成処理に供するリチウム遷移金属酸化物の製造方法において、
特許請求の範囲
【請求項1】
リチウム源と遷移金属源とを含有するスラリーを噴霧乾燥し、これを焼成処理に供するリチウム遷移金属酸化物の製造方法において、
前記噴霧乾燥を、(1)平滑面に沿って流動する気体流に交差するように前記スラリーを供給することによって、前記平滑面と前記気体流との間にスラリーの薄膜流を形成させ、(2)前記薄膜流を前記平滑面から離すことによって液滴を形成し、(3)前記液滴を乾燥することによって行うことを特徴とするリチウム遷移金属酸化物の製造方法。
【請求項2】
噴霧乾燥を、乾燥ガス温度50〜120℃の条件下で行う請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
気体流の噴射速度が、ガス線速100〜1000m/sである請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
スラリー中の固形物の平均粒子径が2μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
得られるリチウム遷移金属酸化物の平均粒径を4〜50μmとする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
液滴を環状に噴霧させる請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
液滴を略水平方向に向かって噴霧し、噴霧された液滴をダウンフローで乾燥ガスを導入する請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
スラリーが、Al、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属元素源を含む請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
金属元素源が、Al、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zrからなる群から選ばれる元素の、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、ジカルボン酸塩、脂肪酸塩及びアンモニウム塩から選ばれる少なくとも一種である請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
リチウム源が、Li2CO3、LiNO3、LiOH、LiOH・H2O、LiCl、LiI、CH3COOLi、Li2O、酢酸Li、ジカルボン酸Li、クエン酸Li、脂肪酸Li、アルキルリチウム、リチウムハロゲン化物からなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
遷移金属源が、Mn34、Mn23、MnO2、MnCO3、Mn(NO32 、MnSO4、酢酸マンガン、ジカルボン酸マンガン、クエン酸マンガン、脂肪酸マンガン、マンガンオキシ水酸化物、マンガン水酸化物、マンガンハロゲン化物からなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
リチウム遷移金属複合酸化物が、下記一般式(I)で表される請求項1〜11のいずれか1つに記載の製造方法。
【化1】


(ただし、xは−0.1〜0.1の数、yは0〜0.3の数、MはAl、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zrからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、δは−0.1〜0.1の数を表す)
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法で得られたリチウム遷移金属複合酸化物とバインダーとを有する合剤と溶媒とを含む塗料を、集電体上に塗布・乾燥することを特徴とする電極の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法で得られたリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として使用したリチウム二次電池。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法及びこれを活物質として用いたリチウムイオン二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては、層状複合酸化物であるLiCoO2系、LiNiO2系や、スピネル構造を有するLiMn2O4系化合物が、4V級の高電圧を得ることができ、且つ高いエネルギー密度を有することから、既に広く実用化されているか、若しくは実用化段階に入っている。
一方、正極活物質は通常、導電材、バインダーと混合して正極合剤とされるが、正極活物質の充填密度が高い方が単位容積当たりのエネルギー密度が向上するので、同じ大きさの電池を製造した場合、高容量の電池が得られ、又同じエネルギー容量の電池であれば、小型化が可能となる等の利点がある。
【0003】
そこで、これに対して、正極活物質粒子を球状に造粒し、充填性を向上させる手法等が提案されている。例えば、原料となるスラリーを噴霧乾燥する方法、原料となる溶液を噴霧熱分解する方法等が知られている。
一方、高い電流密度での充放電を要求されるような分野においては、正極合材層を極力薄くする方向が好ましく、この様な用途に用いる活物質粒子は、塗布膜の均一性の観点からより小さな粒子とすることが必要となってくる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、小粒径の粒子を噴霧にて形成するのは困難である。特に平均粒子径で10μm以下の領域となった場合、従来の噴霧乾燥における液滴の微細化手法(ロータリーアトマイザー法、二流体ノズル法)においては問題がある。即ち、ロータリーアトマイザー法では、固形分濃度を極めて低くする必要があり、また、二流体ノズル法では、ノズル1本当たりの生産性が低いためにノズルの系列増により装置が大型化する等工業的に安価に生産する点で必ずしも十分とは言えなかった。
【0005】
本発明は、リチウムイオン二次電池の正極活物質として好適な、リチウムマンガン複合酸化物を製造する方法、特に充填密度の高いリチウムマンガン複合酸化物を安価に量産する方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、リチウム遷移金属複合酸化物の嵩密度を高める、より安価な製造方法を鋭意検討を重ねた結果、噴霧乾燥のためのスラリー液滴の形成方法として、平滑面に沿って流動する気体流に交差するようにスラリー供給することによって、前記平滑面と前記気体流との間にスラリーの薄膜流を形成させた後、前記薄膜流を前記平滑面から離す方法を採用する方法が有効であることを見出し本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は、下記(1)〜(14)に存する。
(1)リチウム源と遷移金属源とを含有するスラリーを噴霧乾燥し、これを焼成処理に供するリチウム遷移金属酸化物の製造方法において、
前記噴霧乾燥を、
平滑面に沿って流動する気体流に交差するように前記スラリーを供給することによって、前記平滑面と前記気体流との間にスラリーの薄膜流を形成させ、
前記薄膜流を前記平滑面から離すことによって液滴を形成し、
前記液滴を乾燥する
ことによって行うことを特徴とするリチウム遷移金属酸化物の製造方法。
(2)噴霧乾燥を、乾燥ガス温度50〜120℃の条件下で行うことを特徴とする(1)に記載の製造方法。
(3)気体流の噴射速度が、ガス線速100〜1000m/sである(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)スラリー中の固形物の平均粒子径が2μm以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)得られるリチウム遷移金属酸化物の平均粒径を4〜50μmとする(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)液滴を環状に噴霧させる(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
(7)液滴を略水平方向に向かって噴霧し、噴霧された液滴をダウンフローで乾燥ガスを導入する(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法。
(8)スラリーが、Al、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属元素源を含む(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。
(9)金属元素源が、Al、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zrからなる群から選ばれる元素の、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、ジカルボン酸塩、脂肪酸塩及びアンモニウム塩から選ばれる少なくとも一種である(8)に記載の製造方法。
(10)リチウム源が、Li2CO3、LiNO3、LiOH、LiOH・H2O、LiCl、LiI、CH3COOLi、Li2O、酢酸Li、ジカルボン酸Li、クエン酸Li、脂肪酸Li、アルキルリチウム、リチウムハロゲン化物からなる群から選ばれた少なくとも一種である(1)〜(9)のいずれかに記載の製造方法。
(10)遷移金属源が、Mn34、Mn23、MnO2、MnCO3、Mn(NO32
MnSO4、酢酸マンガン、ジカルボン酸マンガン、クエン酸マンガン、脂肪酸マンガン
、マンガンオキシ水酸化物、マンガン水酸化物、マンガンハロゲン化物からなる群から選ばれた少なくとも一種である(1)〜(10)のいずれかに記載の製造方法。
(12)リチウム遷移金属複合酸化物が、下記一般式(I)で表される(1)〜(11)のいずれか1つに記載の製造方法。
【0008】
【化2】


【0009】
(ただし、xは−0.1〜0.1の数、yは0〜0.3の数、MはAl、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zrからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、δは−0.1〜0.1の数を表す)(13)(1)〜(12)のいずれか1つに記載の方法で得られたリチウム遷移金属複合酸化物とバインダーとを有する合剤と溶媒とを含む塗料を、集電体上に塗布・乾燥することを特徴とする電極の製造方法。
(14)(1)〜(12)のいずれか1つに記載の方法で得られたリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として使用したリチウム二次電池。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、充填密度が高く、電池性能的にも良好なリチウム遷移金属複合酸化物
を安価に、大量に生産することが可能である。また、このように充填密度が高められたリチウム遷移金属複合酸化物をリチウムイオン二次電池の正極活物質として使用することに
より、単位容積当たりのエネルギー密度が向上し、同じ大きさの電池の場合には高容量の電池が得られ、又同じエネルギー容量であれば、より小型化された電池を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
噴霧乾燥に供されるスラリーはリチウム源と遷移金属源とを有する。スラリーの分散媒としては、各種の有機溶媒、水性溶媒が使用できるが、好ましくは水を使用する。スラリー中の未溶解固形物の平均粒子径は通常2μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下とする。スラリー中の固形物の平均粒子径が大きすぎると、球状度が低下し、最終的な粉体充填密度が低くなる傾向にある。この傾向は、特に平均粒子径で50μm以下の造粒粒子を製造しようとした場合に顕著である。スラリー中の固形物の平均粒子径を制御する方法としては、原料粉末を予めボールミル、ジェットミル等により乾式粉砕し、これを分散媒に分散させる方法、原料粉末を分散媒に分散後、媒体攪拌型粉砕機等を使用して湿式粉砕する方法が挙げられる。なお、必要以上に小粒子化することは、粉砕のコストアップに繋がり好ましくないので、固形物の平均粒径は通常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上とする。
【0012】
リチウム遷移金属複合酸化物を形成するためのスラリーに含有させるリチウム源としては、Li2CO3、LiNO3、LiOH、LiOH・H2O、LiCl、LiI、CH3
OOLi、Li2O、酢酸Li、ジカルボン酸Li、クエン酸Li、脂肪酸Li、アルキ
ルリチウム、リチウムハロゲン化物等を用いることができる無論複数種を併用することもできる。
【0013】
リチウム遷移金属複合酸化物を形成するためのスラリーに含有させる遷移金属源は、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、銅等の各種の遷移金属を含有する。通常、遷移金属源としては、遷移金属の酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸等の有機酸塩、水酸化物、オキシ水酸化物、ハロゲン化物等を使用する。無論、これらを複数種を併用することができる。好ましい遷移金属源は、マンガン化合物、具体的には、Mn34、Mn23、MnO2、MnCO3、Mn(NO32 、MnSO4、酢酸マンガン、ジカルボン酸マンガン、クエン酸マンガン、脂肪酸マンガン、マンガンオキシ水酸化物、マンガン水酸化物、マンガンハロゲン化物からなる群から選ばれた少なくとも一種である。
【0014】
スラリー中には、さらに、リチウム源及び遷移金属源以外の他の元素を含む化合物を含有することもできる。例えば、リチウム遷移金属酸化物中の遷移金属サイトの一部を置換する等のために、Al、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr等の銀元素を含む金属元素源をスラリー中に含有させることができる。具体的には、金属元素源として、上記元素の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、ジカルボン酸塩、脂肪酸塩及びアンモニウム塩から選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。
【0015】
遷移金属としてマンガンを使用する、即ち、リチウムマンガン複合酸化物を製造する場合、リチウムマンガン複合酸化物のマンガンサイトの一部を上記他元素にて置換することにより、高温特性、安全性等を向上させることができる。
得られたスラリーは、噴霧乾燥に供される。本発明においては、この噴霧乾燥を、(1)平滑面に沿って流動する気体流に交差するように前記スラリー供給することによって、前記平滑面と前記気体流との間にスラリーの薄膜流を形成させ、(2)前記薄膜流を前記平滑面から離すことによって液滴を形成し、(3)前記液滴を乾燥することによって行う。
【0016】
図1は、本発明において噴霧乾燥に使用することができる噴霧乾燥機のノズル部分の模
式的側面図、図2は、図1のノズル先端を拡大して、気体流及びスラリーの流れと共に示す模式的断面図である。円筒状のノズル1には、平滑な傾斜面2を有するノズル先端3が円筒の周囲に環状に設けられる。ノズル先端3には、ガス供給管7を通じて、傾斜面2に沿って流動する高速の気体流を供給するガス出射口4が、傾斜面2に向けて設けられる。また、ノズル先端3には、スラリー供給管8を通じて、前記スラリーを供給するスラリー出射口5が、出射されたスラリーが傾斜面に沿って出射された気体流の流動方向と交差するように設けられている。
【0017】
気体流として供給する気体としては、空気、窒素等を用いることができるが、通常は空気が用いられる。これらは加圧して使用することが好ましい。気体流は、ガス線速として、通常100m/s以上、好ましくは200m/s以上、さらに好ましくは300m/s以上で噴射される。あまり小さすぎると適切な液滴が形成しにくくなる。ただし、あまりに大きな線速は得にくいので、通常噴射速度は1000m/s以下である。
【0018】
気体出射口4から出射された気体流Gは、傾斜面と平行に傾斜面に沿って高速流動する。一方、気体流Gの流動方向に交差するようにスラリー出射口5から出射されたスラリーは、高速流動する気体流によって傾斜面に押し付けられて薄膜流Sとされる。傾斜面に沿って流動する薄膜流Sは、通常超音速で流動し、ノズルエッジ6で傾斜面を離れると同時に、液滴となり所定の方向に噴霧される。この際、同様に形成されたもう一方の薄膜流と衝突して液滴とし噴霧するのがより小さな液滴を形成する上で好ましい。図1においては、ノズルエッジはノズル周囲に環状に設けられているので、液滴も同様に環状に噴霧される。環状に噴霧することによって、噴霧量を増加させる、即ち生産量を増加させることができる。噴霧の方向は、略水平方向とするのがノズル設計が容易であるので好ましい。なお、略水平方向とは、水平方向に対して±40°程度の幅を許容する。
【0019】
上記の方法においては、液滴の噴霧が1つのノズルで大量に行えるので、生産性を向上させることができる。また、形成される液滴は極めて微細なので、これを乾燥・焼成して得られるリチウム遷移金属複合酸化物の粒径を小さくすることができる。
なお、液滴微細化技術そのものに関しては、特許第2797080号に記載されており、液滴を形成すること自体は、上記公知文献を参照することによりより容易に実施することができる。
【0020】
液滴となったスラリーは、これを乾燥する。乾燥の際、好ましくは、乾燥塔上部から下部に向かいダウンフローで乾燥ガスを導入するのが好ましい。この様な構造とすることにより、乾燥塔単位容積当たりの処理量を大幅に向上させることができる。また、液滴を略水平方向に噴霧する場合、水平方向に噴霧された液滴をダウンフローガスで抑え込むことにより、乾燥塔の直径を大きく低減させることが可能となり、安価且つ大量に製造することが可能となる。乾燥ガス温度は、通常50以上、好ましくは70℃以上とし、一方通常120℃以下、好ましくは100℃以下とする。温度が高すぎると、得られた造粒粒子が中空構造の多いものとなり、粉体の充填密度が低下する傾向にあり、一方、低すぎると粉体出口部分での水分結露による粉体固着・閉塞等の問題が生じる可能性があある。
【0021】
この様にして噴霧乾燥することによって造粒粒子が得られるが、造粒粒子径としては、平均粒子径で好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下となるようにする。ただし、あまりに小さな粒径は得にくい傾向にあるので、通常は4μm以上、好ましくは5μm以上である。造粒粒子の粒子径は、噴霧形式、加圧気体流供給速度、スラリー供給速度、乾燥温度等を適宜選定することによって制御することができる。
【0022】
かかる処理により得られた造粒粒子は、次いで焼成される。焼成温度としては、原料として使用される遷移金属、置換元素の種類によって異なるものの、通常、500℃以上で
あり、また1000℃以下とするのが通常である。温度が低すぎると、結晶性の良いリチウム遷移金属複合酸化物を得るために長時間の焼成時間を要する傾向にある。また、温度が高すぎると、目的とするリチウム遷移金属複合酸化物以外の結晶相が生成するか、あるいは欠陥が多いリチウム遷移金属複合酸化物を生成する結果となり、二次電池とした際に容量の低下あるいは充放電による結晶構造の崩壊による劣化を招くことがある。
【0023】
一方、焼成の時間は温度によっても異なるが、通常前述の温度範囲であれば30分以上、50時間以下である。焼成時間が短すぎると結晶性の良いリチウム遷移金属複合酸化物が得られにくくなり、また長すぎるのは実用的ではない。
結晶欠陥が少ないリチウム遷移金属複合酸化物を得るためには、焼成反応後、ゆっくりと冷却することが好ましく、例えば5℃/min.以下の冷却速度で徐冷することが好ましい。
【0024】
焼成時の雰囲気は、製造する化合物の組成や構造に応じて、空気等の酸素含有ガス雰囲気や、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気とすることができる。例えば、層状構造のリチウムマンガン複合酸化物を製造する場合には真空中あるいは窒素やアルゴン等の不活性雰囲気中で行うことが好ましく、LiCoO2系、LiNiO2系、或いはスピネル型リチウムマンガン複合酸化物等を製造する際には、少なくとも徐冷過程においては、大気中あるいは酸素中等の酸素含有雰囲気中で行うことが好ましい。
【0025】
焼成に使用する加熱装置は、上記の温度、雰囲気を達成できるものであれば特に制限はなく、例えば箱形炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルン等を使用することができる。
かくして得られたリチウム遷移金属酸化物は、1次粒径としては0.1〜3μmであるのが好ましく、また、2次粒径は1〜50μmであるのが好ましく、さらに、窒素吸着による比表面積が0.1〜5m2/gであることが好ましい。1次粒子の大きさは、焼成温
度、焼成時間等により制御することが可能であり、これらの1つ以上を増加させることにより、1次粒子の粒子径を大きくすることができる。2次粒子の粒子径は、焼成前の粉砕または噴霧乾燥工程における気液比等の噴霧条件により制御することが可能である。比表面積は1次粒子の粒径および2次粒子の粒径により制御することが可能であり、1次粒子の粒径及び/又は2次粒子の粒径を大きくすることにより減少する。又、充填密度は、タップ密度(200回タップ後)で1.50g/cc以上であることが好ましい。
【0026】
製造されるリチウム遷移金属酸化物としては、例えば、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物等各種のものが挙げられる。
本発明の方法は、中でも、スピネル型の構造を有するリチウムマンガン複合酸化物を製造するのに好適である。上記スピネル型リチウムマンガン複合酸化物の具体的な基本組成は、LiMn24と表すことができるが、リチウムとマンガンと酸素との比は必ずしも厳密である必要はない。また、前述のように、リチウムマンガン複合酸化物を製造する際、マンガンサイトの一部を、Al、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr等の他の元素で置換することによって、特性を向上させることができる。この場合のスピネル型リチウムマンガン複合酸化物の基本組成は、下記一般式(I)で表すことができる。
【0027】
【化3】


【0028】
(ただし、xは−0.1〜0.1の数、yは0〜0.3の数、MはAl、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zrからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、−0.1〜0.1の数を表す)
得られたリチウム遷移金属複合酸化物を活物質として、電極さらには電池を作製することができる。例えば、電池の一例としては、正極、負極、電解質を有するリチウム二次電池が挙げられる。具体的には、正極と負極との間には電解質が存在し、かつ必要に応じてセパレーターが正極と負極が接触しないようにそれらの間に配置された二次電池を挙げることができる。
【0029】
正極は、本発明で得られたリチウム遷移金属複合酸化物(正極活物質)とバインダーと必要に応じて導電剤を有する合剤に、これらを均一に分散させる為の溶媒を一定量で混合して塗料とした後、集電体上に塗布・乾燥することのよって得ることができる。ここで用いられる導電材としては、天然黒鉛、人造黒鉛、アセチレンブラック等を挙げることができ、またバインダーとしてはポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロセルロース等が、分散用の溶媒としてはN−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。集電体の材質としてはアルミニウム、ステンレス等が挙げられる。正極は、通常、集電体上に正極合剤層を形成後、通常、ローラープレス、その他の手法により圧密する。
【0030】
一方、負極としては、カーボン系材料(天然黒鉛、熱分解炭素等)をCu等の集電体上に塗布したもの、或いはリチウム金属箔、リチウム−アルミニウム合金等が使用できる。
リチウム二次電池に使用する電解質は非水電解液であり、通常電解塩を非水系溶媒に溶解してなる。電解塩としてはLiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiBr、LiCF3SO3等のリチウム塩が挙げられる。また、非水系溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。これら電解塩や非水系溶媒は単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。
【0031】
電池に用いられるセパレーターとしては、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の高分子、又はガラス繊維等の不織布フィルター、或いはガラス繊維と高分子繊維の複合不織布フィルター等を挙げることができる。
【実施例】
【0032】
以下本発明方法を実施例を用いて更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
<実施例1>
Mn23、AlOOH、LiOH・H2Oを、それぞれ最終的なスピネル型リチウムマ
ンガン複合酸化物中の組成で、Li:Mn:Al=1.04:1.84:0.12(モル比)となるように秤量し、これに純水を加えて固形分濃度30重量%のスラリーを調製した。このスラリーを攪拌しながら、循環式媒体攪拌型湿式粉砕器を用いて、スラリー中の固形分の平均粒子径が0.5μmになる迄、粉砕した後、液滴微細化機構を有するノズルを設けたスプレードライヤー(藤崎電機株式会社製、マイクロミストドライヤーMDP−050、ノズルタイプはサークルエッジノズル、乾燥塔寸法は2500mmφ×4800mmH)を用いて、噴霧乾燥を行った。
【0033】
この時の乾燥ガス導入量は23m3/min、乾燥ガス入口温度は90℃とした。また
、噴霧ノズルとしては、直径30mmφで、360°(環状)方向に水平噴霧可能なタイプを使用し、ノズルのスラリー出口クリアランスを600μm、スラリーを微細化する為の加
圧気体流出口のクリアランスを350μmにセットした。スラリー供給速度は、700g/min、加圧気体流の供給速度は1300L/minとした(気体流のガス線速は330m/s)。この条件で噴霧乾燥した際の排気ガス温度は45℃であった。乾燥された造粒粒子はサイクロンで捕集した後、900℃で10時間焼成した。その結果、平均粒子径7.5μm、最大粒径18μmのほぼ球状の造粒粒子が得られた。X線回折を測定したところ、立方晶のスピネル型リチウムマンガン複合酸化物の構造を有していることが確認された。なお、粒度分布の測定は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(HORIBA製 LA910)を用いて行った。この粉末10gを25mlのガラス製メスシリンダーに入れ、200回タップした後の、粉体充填密度(タップ密度)を測定したところ、1.70g/ccであった。
【0034】
このようにして得られた正極活物質10gと、アセチレンブラック(AB)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として、固形分濃度40wt%となるように50ccポリエチレン容器に分取した。この時の各成分の配合比は、正極活物質:AB:PVDF=90:5:5(wt%)とした。更に1mmφのジルコニアビーズを20g加え、容器を密栓し、振とう機にセットして30分間混合を行った。混合の終了した正極剤塗液を、クリアランス350μmのアプリケーターを使用して、厚さ21μmのアルミニウム電極シート上に塗布し、120℃で乾燥後、ポンチで打ち抜いて、12mmφの正極ペレットを得た。この打ち抜いたペレットは、ハンドプレス機にて、24MPaの圧力で1分間の圧密処理を実施した。
【0035】
このペレットを用いて、コイン型電池を組み立て、電池評価を行った。この際、負極材にはリチウム金属を、電解液には、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの3:7混合溶媒に、1mol/Lの六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を溶解した溶液を
使用した。この電池を用いて、1mA/cm2の電流密度で充放電した際の充放電容量を
測定したところ、充電容量120mAh/g、放電容量117mAh/g、充放電効率97.5%の良好な特性を有することが確認された。
【0036】
液滴微細化技術については、特に比重の異なる固形物を含有するようなスラリー系での噴霧微細化に関して、加圧気体流並びにスラリー薄膜流の速度が超音速の領域であることから、得られる造粒粒子に関して、一部化合物の偏在化、組成変動等に起因する電池性能低下も懸念されたが、上記の実施例により、非常に良好な電池特性が得られることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】噴霧乾燥に用いることができる噴霧乾燥機のノズル部分を、一部断面を露出して示す模式的側面図。
【図2】図1のノズル先端を拡大して、気体流及びスラリーの流れと共に示す模式的断面図。
【符号の説明】
【0038】
1 ノズル
2 傾斜面
4 ガス出射口
5 スラリー出射口
7 ガス供給管
8 スラリー供給管




 

 


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