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発明の名称 魚釣用電動リール
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−43914(P2007−43914A)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
出願番号 特願2005−229337(P2005−229337)
出願日 平成17年8月8日(2005.8.8)
代理人 【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
発明者 寺内 孝
要約 課題
本発明は魚釣用電動リールに関し、不用意な仕掛け巻き込みによる竿先折損や、釣糸切断等のトラブル発生を防止した魚釣用電動リールを提供することを目的とする。

解決手段
リール本体に回転自在に支持されたスプールと、スプールを巻取り駆動するスプール駆動モータと、スプールに巻回された釣糸の繰出し量や巻取り量を計測する糸長計測装置と、糸長計測装置の計測値を表示する表示器と、釣糸の所定の繰出し量を所定値として記憶する記憶手段と、スプール駆動モータとスプールとの間の動力伝達状態を、高速動力伝達状態と低速動力伝達状態とに切り換える機械式変速装置とを備えた魚釣用電動リールに於て、スプール駆動モータとスプールとの間の動力伝達状態が高速動力伝達状態にあって、糸長計測装置の計測値が前記所定値であると認識したとき、機械式変速装置を切り換えて動力伝達状態を低速動力伝達状態へ自動的に切り換えることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
リール本体に回転自在に支持されたスプールと、
当該スプールを巻取り駆動するスプール駆動モータと、
スプールに巻回された釣糸の繰出し量や巻取り量を計測する糸長計測装置と、
当該糸長計測装置の計測値を表示する表示器と、
釣糸の所定の繰出し量を所定値として記憶する記憶手段と、
スプール駆動モータとスプールとの間の動力伝達状態を、高速動力伝達状態と低速動力伝達状態とに切り換える機械式変速装置とを備えた魚釣用電動リールに於て、
スプール駆動モータとスプールとの間の動力伝達状態が高速動力伝達状態にあって、糸長計測装置の計測値が前記所定値であると認識したとき、
機械式変速装置を切り換えて、スプール駆動モータとスプールとの間の動力伝達状態を、低速動力伝達状態へ自動的に切り換えることを特徴とする魚釣用電動リール。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、リール本体に回転自在に取り付くスプールを巻取り駆動するスプール駆動モータを備えた魚釣用電動リールに関する。
【背景技術】
【0002】
船釣り等、深場の魚層を対象とした魚釣りを行う場合、魚釣用電動リールが広く使用されている。
従来周知のように魚釣用電動リール(以下、「電動リール」という)は、スプール駆動モータの駆動でスプールを回転させて釣糸の巻取りを行うもので、従来、この種の電動リールでは、正確な棚取りを行って釣果の向上を図るため、回転検出手段で検出されたスプール等の回転数を基に釣糸の糸長(繰出し量や巻取り量)を計測して、これを表示器に表示する糸長計測装置が装着されており、釣人は斯かる表示を基に、仕掛けを所定の棚位置まで繰り出すことができるようになっている。
【0003】
そして、スプール駆動モータによる釣糸の空巻き時の竿先保護を考慮して、糸長計測装置の計測値を基に、竿先から所定量繰り出した値(仕掛け水面0リセット状態で、糸長計測装置の例えば、表示値0〜5m)で、スプール駆動モータを自動停止させる船べり停止装置を備えた電動リールが広く普及している。
また、これらの装置とは別に昨今の電動リールには、特許文献1に開示されるように、釣場の状況(例えば、対象魚の大きさや種類,魚とのファイトやヒット数)に応じて釣糸の巻取り速度を変更すべく、リール本体の側部に変位可能に装着した調節部材(モータ出力調節体)の操作でスプール駆動モータのモータ出力を増減調節して、釣糸の巻取り速度(スプール駆動モータの回転速度)を変速させる電気式変速装置を備えたものが知られている。
【0004】
更に、特許文献2には、斯かる電気式変速装置に加え、釣場の様々な状況変化に対応した電動での巻取り操作が行えるように、スプール駆動モータのモータ軸と、このモータ軸の回転(スプール駆動モータの回転力)をスプールに伝達する複数枚のギヤからなる動力伝達機構との間に、ギヤ比の異なる高速用歯車伝達機構と低速用歯車伝達機構とを動力伝達可能に連結し、スプール駆動モータの回転方向によりいずれか一方を選択して、高,低速の動力伝達の切換えを可能とする機械式変速装置を備えた電動リールが開示されている。
【0005】
同様に特許文献3には、上述した電気式変速装置に加え、スプール駆動モータの回転力を減速する遊星歯車伝達機構の駆動系統の一部を、切換え部材の操作でON/OFFして噛み合うギヤ比を変化させることにより、スプール駆動モータとスプールとの間の動力伝達状態を高速と低速とに切り換える機械式変速装置を備えた電動リールが開示されている。
【0006】
そして、これらの電動リールでは、例えば特許文献2に開示されるように、リール本体上部の操作パネル上に押しボタン式の高速モードスイッチと低速モードスイッチを装着し、これらのスイッチの押圧操作で高,低速の動力伝達を選択し乍ら、前記調節部材の操作で釣糸を巻き取るようになっている。
【特許文献1】特許第2977978号公報
【特許文献2】特許第3537363号公報
【特許文献3】特許第3159637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来、この種の電動リールでは、釣糸の空巻き時に高速で釣糸を巻き取ることが多い。
このため、例えば特許文献2の電動リールにあっては、スプール駆動モータとスプールとの間の動力伝達状態を高速状態に切り換えて釣糸を速やかに巻き取り、船べり停止位置でスプール駆動モータが自動停止する。
【0008】
しかし、斯様に動力伝達状態が高速状態に切り換えられていると、船べり停止後に釣人が誤って調節部材を操作した際に、電動リールが高速状態で巻取り駆動し、この結果、仕掛け巻き込みの危険性が増して竿先折損や釣糸切断等のトラブルが発生してしまう虞があった。
また、釣人は、船べり停止後、船べり停止位置から0.0m(水面)まで釣糸を巻き取ったり、魚の取り込み時に仕掛けが釣人の手元に来るように竿先から0.0m(水面)までの釣糸長さの微調整を行うために表示0リセットをやり直すことがあるが、斯様に船べり停止位置から0.0m(水面)まで釣糸を巻き取る場合や、表示0リセット処理後に更に微調整のために釣糸を巻き取る際に電動リールが高速動力伝達状態にあると、同じく仕掛け巻き込みの危険性が増して、竿先折損や釣糸切断等のトラブルが発生してしまう虞があった。
【0009】
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、高速動力伝達状態での不用意な仕掛け巻き込みによる竿先折損や、釣糸切断等のトラブル発生を防止した電動リールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
斯かる目的を達成するため、請求項1に係る発明は、リール本体に回転自在に支持されたスプールと、当該スプールを巻取り駆動するスプール駆動モータと、スプールに巻回された釣糸の繰出し量や巻取り量を計測する糸長計測装置と、当該糸長計測装置の計測値を表示する表示器と、釣糸の所定の繰出し量を所定値として記憶する記憶手段と、スプール駆動モータとスプールとの間の動力伝達状態を、高速動力伝達状態と低速動力伝達状態とに切り換える機械式変速装置とを備えた電動リールに於て、スプール駆動モータとスプールとの間の動力伝達状態が高速動力伝達状態にあって、糸長計測装置の計測値が前記所定値であると認識したとき、機械式変速装置を切り換えて、スプール駆動モータとスプールとの間の動力伝達状態を低速動力伝達状態へ自動的に切り換えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、スプール駆動モータとスプールとの間の動力伝達状態が高速動力伝達状態にあって、糸長計測装置の計測値が記憶手段に設定,記憶された所定値であると認識したとき、機械式変速装置の動力伝達状態を低速動力伝達状態へ自動的に切り換えるように構成したので、例えば船べり停止位置を所定値とすることで、船べり停止後に高速動力伝達状態での巻取り駆動が回避でき、この結果、仕掛け巻き込みによる竿先折損や釣糸切断等のトラブルが発生を防止することが可能となって、安全に釣りを行うことができる利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1乃至図5は請求項1に係る電動リールの第一実施形態を示し、図1に於て、1はリール本体3のフレーム、5,7は当該フレーム1の左右に取り付く側板で、両側板5,7間にスプール軸9を介してスプール11が回転可能に支持されている。
スプール軸9はスプール11の軸心を貫通して、その側板5側の一端が、フレーム1に一体的に取り付く第1のセットプレート13に軸受15を介して回転可能に支持されている。そして、この一端側に、後述する動力伝達機構17のスプール軸駆動歯車19が回り止め嵌合されている。
【0013】
スプール11は、スプール駆動モータ21の駆動とハンドル23の巻取り操作で巻取り方向に回転して釣糸が巻回されるようになっており、スプール駆動モータ21は正逆両方向へ回転可能で、スプール11前方のフレーム1に一体成形された筒状のモータケース25内に収納されている。
そして、側板5側のリール本体3内に、特許文献2に開示された従来例と同一構造の機械式変速装置27と第1の遊星歯車減速機構29、そして、前記スプール軸駆動歯車19を含む複数の歯車からなる動力伝達機構17が、スプール駆動モータ21のモータ軸31とスプール軸9との間に順次装着されており、スプール駆動モータ21の回転力が機械式変速装置27,遊星歯車減速機構29,動力伝達機構17で順次変速/減速されて、スプール軸9に伝達されるようになっている。
【0014】
図2は機械式変速装置27と遊星歯車減速機構29の拡大断面図、図3及び図4は機械式変速装置27と遊星歯車減速機構29,動力伝達機構17の歯車の回転方向を説明する模式図を示し、図中、33はモータ軸31に回り止め嵌合されたピニオンで、スプール駆動モータ21は正逆両方向へ回転可能に構成され、これに伴い、図3及び図4に示すようにピニオン33も正,逆両方向へ回転する。
【0015】
そして、上記ピニオン33に低速用減速歯車機構35の低速用歯車37と、高速用減速歯車機構39の高速用歯車41が個別に噛合しており、機械式変速装置27は、この低速用減速歯車機構35と高速用減速歯車機構39とで構成されている。
低速用歯車37と高速用歯車41は、その外径が同一でピニオン33とのギヤ比が同一に設定されており、図2及び図3に示すように低速用歯車37は、第1の回転軸43に一方向クラッチ45を介して回転可能に支持され、高速用歯車41は、第2の回転軸47に一方向クラッチ49を介して回転可能に支持されている。そして、第1の回転軸43は、遊星歯車減速機構29のキャリア51とフレーム1との間に軸受53,55を介して回転可能に支持され、第2の回転軸47は、前記セットプレート13の内側に配された第2のセットプレート57とフレーム1との間に軸受59,61を介して回転可能に支持されている。
【0016】
而して、上記一方向クラッチ45,49は、力を伝達するその回転方向が互いに逆向きに設定されており、低速用歯車37側の一方向クラッチ45は、低速用歯車37が逆転(図3に於ける反時計回りの回転;以下、同様)すると、その楔作用で低速用歯車37の回転力を回転軸43に伝達し、低速用歯車37が正転(図4に於ける時計回りの回転;以下、同様)すると、その回転力を回転軸43に伝達しないように構成されている。
【0017】
一方、これとは逆に高速用歯車41側の一方向クラッチ49は、図4の如く高速用歯車41が正転すると、その楔作用で高速用歯車41の回転力を回転軸47に伝達し、高速用歯車41が図3の如く逆転すると、その回転力を回転軸47に伝達させないように構成されている。
そして、第1の回転軸43に小歯車63が回り止め嵌合されると共に、第2の回転軸47に大歯車65が回り止め嵌合されて、これらは互いに噛合している。そして、回転軸43の突出端側に、遊星歯車減速機構29の太陽歯車67が回り止め嵌合されている。
【0018】
図2及び図3に示すように遊星歯車減速機構29は、上記太陽歯車67と、セットプレート57と太陽歯車67との間に配置されて、セットプレート57に形成された内歯69と太陽歯車67とに夫々噛合する複数の遊星歯車71とを備え、遊星歯車71は支軸73を介してキャリア51に回転可能に支持され、キャリア51は軸受75,77を介してセットプレート13,57との間で回転可能に支持されている。
【0019】
そして、キャリア51に、動力伝達機構17の駆動歯車79が回り止め嵌合されている。
図1及び図3に示すように動力伝達機構17は、前記スプール軸駆動歯車19と上記駆動歯車79、そして、スプール軸駆動歯車19と駆動歯車79との間に配置されてこれらに噛合する大歯車81とで構成されている。そして、図2に示すように大歯車81は、セットプレート13に設けた筒状の支持部83に軸受85を介して回転可能に支持されているが、大歯車81の中央に設けた筒状部87の内周には、セットプレート57に軸支された一方向クラッチ89の外輪91が回り止め嵌合されており、ハンドル23の巻取り操作時に当該一方向クラッチ89の楔作用で大歯車81の回転が阻止されて、その反力でハンドル23の駆動力が、後述する遊星歯車減速機構(動力伝達機構)93を介してスプール11に伝達されるようになっている。
【0020】
そして、図1に示すようにスプール軸9は、スプール11の中央を貫通してその他端側が側板7内に突出し、その突出端に、スプール駆動モータ21の駆動力とハンドル23操作の回転力をスプール11に伝達させる第2の遊星歯車減速機構93が装着されている。
従来と同様、この遊星歯車減速機構93は、スプール軸9の突出端に取り付けられた太陽歯車94とこれに噛合する複数の遊星歯車95、そして、スプール11の一端に刻設された内歯歯車97等からなり、内歯歯車97に遊星歯車95が噛合している。そして、遊星歯車95は支軸99を介してキャリア101に取り付けられており、キャリア101はスプール11に取り付けたブラケット103に嵌合し、軸受105を介してスプール軸9に回転可能に支持されている。
【0021】
また、図1中、23は既述した釣糸巻取り操作用のハンドルで、当該ハンドル23は、側板7に回動可能に挿着したハンドル軸107の側板外突出端に連結されており、ハンドル軸107にはラチェット109が側板7内で固着され、更にドライブギヤ111が回転可能に取り付けられている。そして、ドライブギヤ111とハンドル軸107は、ハンドル軸107に装着した周知のドラグ装置113で摩擦結合されており、ドラグ装置113はドラグ力調節レバー115の操作でドラグ力が調節できるようになっている。
【0022】
そして、既述したようにハンドル23の巻取り操作時に、一方向クラッチ89の楔作用でスプール軸駆動歯車19に噛合する大歯車81の回転が阻止されるため、ハンドル23の回転力が前記遊星歯車減速機構93からスプール11に伝達されて、スプール11が巻取り方向へ回転するようになっている。
また、図示しないが上記ラチェット109には、周知のばねで付勢された係止爪が係止しており、斯様にラチェット109に係止爪が係止してスプール11の逆転止めが図られている。
【0023】
更に本実施形態に係る電動リール117には、既述した機械式変速装置27に加え、特許文献2で開示された電動リールと同様の電気式変速装置が装着されており、図1に示すようにハンドル23側の側板7の側部前方に設けられた筒状部119に、調節部材121がリール本体3の前後方向へ所定の角度に亘って回転操作可能に取り付けられている。
調節部材121は、リール全体を保持する手の指で押圧操作したり、指で摘んで回転操作できるように幅広な操作部123が先端に形成されたレバー形状からなり、図1に示すように調節部材(以下、「パワーレバー」という)121は、筒状部119に内蔵されたポテンショメータ125の操作軸127に連結されている。そして、パワーレバー121の回転操作によるポテンショメータ125の抵抗値の変化が、リール本体3上部の制御ボックス129内に装着したマイクロコンピュータに入力されている。
【0024】
そして、マイクロコンピュータのCPUは、パワーレバー121の変位量に応じたパルス信号のデューティ比として、モータ駆動電流通電時間率をモータ駆動回路中に接続したスィッチング素子で可変制御して、スプール駆動モータ21のモータ出力を増減調節するようになっている。
一方、図1に示すように側板7の側部後方には、側板7内に装着された周知のクラッチ機構133を操作するクラッチレバー135が下方向へ押圧操作可能に取り付けられており、当該クラッチレバー135の押圧操作で、クラッチ機構133がクラッチON状態からクラッチOFF状態に切り換わるようになっている。
【0025】
そして、このクラッチOFF状態でハンドル23を巻取り方向へ回転させると、図示しない周知の復帰機構を介してクラッチ機構133がクラッチON状態に復帰するように構成されており、このクラッチレバー135とハンドル23のクラッチON/OFFの切換え操作でスプール11が釣糸巻取り状態とスプールフリー状態とに切り換わって、スプール11へのスプール駆動モータ21やハンドル23の回転力が伝達/遮断されるようになっている。
【0026】
また、図1中、137はスプール11の回転数とその回転方向を検出する回転検出手段で、当該回転検出手段137は、セットプレート13に装着されたホール素子やリードスイッチからなる回転検出センサ139と、これに対向してスプール11の一端側周縁部に固着された複数のマグネット141とで構成されており、回転検出センサ139はマイクロコンピュータのCPUに接続されている。
【0027】
而して、CPUは、特開平5−103567号公報で開示された糸長計測プログラムと同様、回転検出センサ139から出力されるスプール11の正転,逆転の判定信号を取り込んで釣糸の繰出しか巻取りかを判定すると共に、回転検出センサ139から取り込むスプール11の回転パルス信号をカウントして、この計数値を基にマイクロコンピュータのROMに記憶された糸長計算式を演算実行するようになっている。
【0028】
そして、CPUは、その計測値(演算結果)を制御ボックス129の操作パネル143上に設けた表示器145に糸長(釣糸の繰出し量や巻取り量)として表示させるようになっており、釣人は斯かる表示を確認し乍ら、所定の水深に仕掛けを繰り出したり、ハンドル23やパワーレバー121の操作で釣糸を巻き取ることが可能である。
更に、図5に示すように操作パネル143上には、表示器145に隣接してハンドル23側にリセットスイッチ147と棚メモスイッチ149が上下に装着され、また、反ハンドル23側に前記機械式変速装置27の変速HI/LOWスイッチ151が装着されており、これらのスイッチ147,149,151はマイクロコンピュータに接続されている。
【0029】
棚メモスイッチ149は棚位置の設定に使用するもので、既述したように釣糸の繰出しや巻取りに伴い、CPUは回転検出センサ139から取り込むスプール11の回転パルス信号を基に糸長を求めて表示器145に表示させるが、図5に示すように表示器145の上カラ表示部153に水面からの仕掛けの水深が、そして、棚カラ表示部155に棚からの仕掛けの距離が上下2段に並列して大きく表示されるようになっている。
【0030】
そして、実釣の開始時に、釣糸が竿先から水面まで繰り出された処で釣人がリセットスイッチ147を操作すると、上カラ表示部153の表示値が「0.0」にリセットされるようになっている(表示0リセット処理)。
この後、釣人が釣糸を繰り出していくと、スプール11の回転に伴い、CPUで演算,計測された糸長が上カラ表示部153に表示されるが、釣糸が例えば95.5m繰り出された処で釣人が棚メモスイッチ149を操作すると、棚カラ表示部155に「0.0」が表示されて棚位置が設定され、以後、図5に示すように棚位置から例えば15mの釣糸の巻取りに伴う仕掛けの距離と水面からの繰出し量(水深)が、棚カラ表示部155と上カラ表示部155に夫々表示されるようになっている。
【0031】
次に、変速HI/LOWスイッチ151の機能について説明すると、既述した機械式変速装置27は、変速HI/LOWスイッチ151の手動操作で、低速用減速歯車機構35による低速動力伝達状態(LOW)と、高速用減速歯車機構39による高速動力伝達状態(HI)とに交互に切り換わるようになっている。
即ち、マイクロコンピュータは、変速HI/LOWスイッチ151が操作されると、先ず、スプール駆動モータ21の回転力を高速用減速歯車機構39を介してスプール11に伝達させるべく、モータ駆動回路に指令を送出して、図4の如くスプール駆動モータ21を逆転方向へ回転可能とする。
【0032】
そして、スプール駆動モータ21は、パワーレバー121の操作量に応じたモータ出力で逆転方向へ回転し、パワーレバー121がモータ停止状態にあるとき、変速HI/LOWスイッチ151を操作してもスプール駆動モータ21は回転しない。
而して、斯様にスプール駆動モータ21が逆転すると、既述した変速装置27の構成から、図4に示すようにピニオン33に噛合する低速用歯車37と高速用歯車41が共に正転し、高速用減速歯車機構39側の一方向クラッチ49の楔作用で高速用歯車41の回転が回転軸47に伝わる。そして、低速用減速歯車機構35側の一方向クラッチ45は低速用歯車37の回転を回転軸43に伝えず、回転軸47が、モータ軸31の回転速度とピニオン31と高速用歯車41とのギヤ比に対応した回転速度で高速用歯車41と共に正転する。
【0033】
このように回転軸47が正転すると、これに回り止め嵌合された大歯車65が正転し、これと噛合する小歯車63が逆転するため、小歯車63が回り止め嵌合された回転軸43が逆転し、この時、回転軸47の回転速度は大歯車65と小歯車63とのギヤ比に対応した大きさだけ増幅されて小歯車63から回転軸43に伝えられる。
従って、回転軸43は低速動力伝達状態に比し速い速度で回転し、増幅されたスプール駆動モータ21の回転力が回転軸43から太陽歯車67へと伝達され、遊星歯車減速機構29,動力伝達機構17を介してスプール軸9へと伝達される。
【0034】
そして、パワーレバー121の操作でモータ出力が増減調節されて、スプール駆動モータ21の回転力が高速用減速歯車機構39を介してスプール11に伝達され、パワーレバー121をモータ停止状態に操作した後、パワーレバー121を再度操作しても、変速HI/LOWスイッチ151を操作しない限り、スプール駆動モータ21の回転力は高速用減速歯車機構39を介してスプール11に伝達されるようになっている。
【0035】
一方、この高速状態で変速HI/LOWスイッチ151を操作すると、マイクロコンピュータ129は、モータ駆動回路に指令を送出してスプール駆動モータ21を一旦停止させた後、図3の如く正転させるようになっている。
而して、斯様にスプール駆動モータ21が正転すると、ピニオン33に噛合する低速用歯車37と高速用歯車41が共に逆転するが、一方向クラッチ45のみが低速用歯車37の回転を回転軸43に伝えるため、回転軸43はモータ軸31の回転速度及びピニオン33と低速用歯車37とのギヤ比に対応して、低速用歯車37と共に図4の高速動力伝達状態に比し遅い速度で回転し、このスプール駆動モータ21の回転力が回転軸43から太陽歯車67へと伝達され、遊星歯車減速機構29,動力伝達機構17を介してスプール軸9へと伝達される。
【0036】
そして、この場合も、パワーレバー121の操作でモータ出力が増減調節されて、スプール駆動モータ21の回転力が低速用減速歯車機構35を介してスプール11に伝達され、パワーレバー121をモータ停止状態に操作した後、パワーレバー121を再度操作しても、変速HI/LOWスイッチ151を操作しない限り、スプール駆動モータ21の回転力が低速用減速歯車機構35を介してスプール11に伝達されるようになっている。
【0037】
このように本実施形態は、変速HI/LOWスイッチ151の操作で、スプール駆動モータ21とスプール11との間の動力伝達状態が、機械式変速装置27によって低速動力伝達状態と高速動力伝達状態とに交互に切り換わるようになっている。
また、図5に示すように表示器145の左下には、HI/LOW表示部157が設けられており、変速HI/LOWスイッチ151による機械式変速装置27の高速動力伝達状態と低速動力伝達状態の切換えが、HI/LOW表示部157に「HI」,「LOW」の文字で表示されるようになっている。
【0038】
更に、本実施形態に係る電動リール117は、スプール駆動モータ21による空巻き時の竿先保護を考慮して、マイクロコンピュータのROMに上カラ表示部153の表示値「0.0」を巻取り終端として、その手前の例えば水深5mの位置(上カラ表示部153の表示値「5.0m」)が、船べり停止位置(所定値)として工場の出荷段階で予め設定,記憶されている。
【0039】
このため、パワーレバー121の操作でスプール駆動モータ21が回転して、その回転力が低速用歯車伝達機構35または高速用歯車伝達機構39からスプール11に伝達されてスプール11に釣糸が巻き取られている際に、マイクロコンピュータのCPUは、回転検出センサ139から取り込むスプール11の回転パルス信号を基に糸長を計測して表示器145に表示するが、釣糸が水深5mまで巻き取られると、モータ駆動回路に指令を送出してスプール駆動モータ21を停止させるようになっている。
【0040】
このように本実施形態に係る電動リール117も、糸長計測装置の計測値を基に、スプール駆動モータ21を船べり停止位置で自動停止させる船べり停止装置を備えている。
しかし、高速で釣糸が巻き取られて船べり停止位置でスプール駆動モータ21が停止したとき、スプール駆動モータ21とスプール11との間の動力伝達状態は、高速用歯車伝達機構39による高速動力伝達状態にある。
【0041】
このため、既述したように、船べり停止後に釣人が誤ってパワーレバー121に触れてしまうと、スプール11が高速で回転して仕掛けを巻き込んでしまう虞があり、また、釣人は、船べり停止後、船べり停止位置から0.0m(水面)まで釣糸を巻き取ることがあり、電動リール117が高速動力伝達状態にあると、同じく仕掛け巻き込みの危険性が増して、竿先折損や釣糸切断等のトラブルが発生する虞がある。
【0042】
そこで、マイクロコンピュータは、予め設定された船べり停止位置を所定値として、この船べり停止位置でスプール駆動モータ21が停止した場合に、スプール駆動モータ21とスプール11との間の動力伝達状態が高速動力伝達状態にあるとき、換言すれば、船べり停止位置(所定値)まで釣糸を巻き取った際に、スプール駆動モータ21が逆転して、その回転力が高速用歯車伝達機構39を介してスプール11に伝達されていた場合に、以後、スプール駆動モータ21が正転するようにモータ駆動回路を自動的に切り換えるようになっている。
【0043】
そして、この自動切換えに伴い、HI/LOW表示部157の表示が「HI」から「LOW」に切り換わるようになっている。
このため、船べり停止後、釣人が船べり停止位置から0.0m(水面)まで釣糸を巻き取るためにパワーレバー121を操作すると、スプール駆動モータ21が正転して、その回転力が低速用歯車伝達機構35を介して遊星歯車伝達機構29,動力伝達機構17からスプール軸9へと伝達されることとなる。
【0044】
但し、斯様にスプール駆動モータ21とスプール11との間の動力伝達状態が高速動力伝達状態から低速動力伝達状態に自動的に切り換わっても、釣人が変速HI/LOWスイッチ151を操作すると、マイクロコンピュータは、高速用歯車伝達機構39による高速動力伝達状態に切り換えるようになっている。
本実施形態はこのように構成されているから、クラッチレバー135のクラッチOFF操作で釣糸がスプール11から繰り出され、また、ハンドル23の巻取り方向への回転操作や、クラッチレバー135のクラッチON操作でクラッチ機構133がクラッチON状態に復帰して、パワーレバー121によるスプール駆動モータ21の巻取り駆動やハンドル23の巻取り操作でスプール11に釣糸が巻回され、釣糸の繰出しや巻取りに伴い、回転検出手段137の検出値を基に糸長が計測されて表示器145に表示される。
【0045】
そして、変速HI/LOWスイッチ151の操作で、スプール駆動モータ21とスプール11との間の動力伝達状態が機械式変速装置27によって低速動力伝達状態と高速動力伝達状態とに交互に切り換わり、釣糸が船べり停止位置(所定値)まで巻き取られると、マイクロコンピュータのCPUは、モータ駆動回路に指令を送出してスプール駆動モータ21を停止させるが、斯様に船べり停止位置(所定値)まで釣糸を巻き取った際に、スプール駆動モータ21の回転力が高速用歯車伝達機構39を介してスプール11に伝達されていたと認識すると、CPUは、以後、スプール駆動モータ21が正転するようにモータ駆動回路を自動的に切り換える。
【0046】
このため、船べり停止後、釣人が誤ってパワーレバー121に触れてスプール駆動モータ21が駆動しても、また、釣人が船べり停止位置から0.0m(水面)まで釣糸を巻き取る際にパワーレバー121を操作しても、スプール駆動モータ21が正転して、その回転力が低速用歯車伝達機構35を介して遊星歯車伝達機構29,動力伝達機構17からスプール軸9へと伝達されることとなる。
【0047】
このように本実施形態は、船べり停止時に機械式変速装置27が高速用歯車伝達機構39による高速動力伝達状態にあると認識したとき、CPUが自動的に低速用歯車伝達機構35による低速動力伝達状態に切り換えるように構成したので、船べり停止後に高速動力伝達状態での巻取り駆動が回避でき、この結果、仕掛け巻き込みによる竿先折損や釣糸切断等のトラブルが発生を防止することが可能となって、安全に釣りを行うことができることとなった。
【0048】
尚、上記実施形態では、工場出荷段階で、所定値たる船べり停止位置をROMに予め設定,記憶させたが、釣人の入力操作で船べり停止位置を任意に設定できる電動リールに本発明を適用できることは勿論であり、また、昨今、例えば所定の水深(1〜5m)で所定時間(10〜15秒間)に亘って巻取りが停止した後、クラッチOFF状態をマイクロコンピュータが検知したときに、その位置を船べり停止位置としてRAMに記憶させる電動リールが知られているが、斯かる電動リールに本発明を適用できることは勿論である。
【0049】
また、既述したように、魚の取り込み時に仕掛けが釣人の手元に来るように竿先から0.0m(水面)までの釣糸長さの微調整を行うために表示0リセットをやり直すことがあるが、斯様に表示0リセット処理後に更に微調整のために釣糸を巻き取ることもある。
このため、このような時に電動リールが高速動力伝達状態にあると、同じく仕掛け巻き込みの危険性が増して、竿先折損や釣糸切断等のトラブルが発生する虞がある。
【0050】
このため、船べり停止位置を所定値とする上記実施形態の構成に加え、上カラ表示部153の表示値「0.0」を所定値として、リセットスイッチ147の表示0リセット処理時に、スプール駆動モータ21とスプール11との間の動力伝達状態が高速動力伝達状態にあるとき、機械式変速装置27を低速動力伝達状態へ自動的に切り換えるように構成してもよい。
【0051】
図6は請求項1に係る電動リールの第二実施形態を示し、既述した特許文献3には、パワーレバーによる電気式変速装置に加え、スプール駆動モータの回転力を減速する遊星歯車減速機構の駆動系統の一部を、手動による外部操作体の操作でON/OFFして噛み合うギヤ比を変化させることにより、スプールの回転速度を機械的に高速状態と低速状態に切り換える機械式変速装置を備えた電動リールが開示されている。
【0052】
そこで、本実施形態は、斯かる手動の切換え部材に代え、図6に示すように遊星歯車減速機構159の内歯歯車161の外周に設けたラチェット爪歯163に係合する変速切換ストッパ165を、マイクロコンピュータによるソレノイド167の駆動制御で作動させて機械式変速装置169を構成したもので、変速切換ストッパ165は、トーションスプリング171のバネ力で常時ラチェット爪歯163に係合する方向に付勢されている。
【0053】
そして、スプール駆動モータ173の回転力を低速状態でスプールに伝達させる場合、マイクロコンピュータはソレノイド167を作動し、当該ソレノイド167で変速切換ストッパ165を二点鎖線で示すようにバネ力に抗して反時計方向へ回転させて、ラチェット爪歯163から離間させることで内歯歯車161をフリー状態とするようになっている。
【0054】
一方、スプール駆動モータ173の回転力を高速状態でスプールに伝達させる場合、マイクロコンピュータはソレノイド167の作動を停止するもので、ソレノイド167が停止すると、トーションスプリング171のバネ力で変速切換ストッパ165がラチェット爪歯163に係合し、内歯歯車161の回転が停止して遊星歯車減速機構159が高速状態に切り換わるようになっている。
【0055】
そして、制御ボックス177上部の操作パネル179上に、機械式変速装置169の変速HI/LOWスイッチ181が装着されている。
更に、上述の如き構造からなる本実施形態の電動リール183にあっても、図1の実施形態と同様の船べり自動停止機能が組み込まれており、マイクロコンピュータは船べり停止位置(所定値)でスプール駆動モータ173を停止させると共に、船べり停止位置(所定値)まで釣糸を巻き取った際に、ソレノイド167が停止してスプール駆動モータ173の回転力が高速状態でスプールに伝達されていた、即ち、高速動力伝達状態にあったと認識すると、マイクロコンピュータはソレノイド167を作動し、当該ソレノイド167で変速切換ストッパ165をラチェット爪歯163から離間させることで内歯歯車161をフリー状態とするようになっている。
【0056】
従って、以後、スプール駆動モータ173の回転力が低速状態でスプールに伝達される。
尚、その他の機械的な構造は特許文献3の電動リールと同様であるためそれらの構造説明は省略する。
而して、本実施形態によっても、図1の電動リール117と同様、船べり停止後に高速状態での巻取り駆動が回避できるため、仕掛け巻き込みによる竿先折損や釣糸切断等のトラブルが発生を防止することが可能となって、安全に釣りを行うことができる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】請求項1の第一実施形態に係る電動リールの一部切欠き平面図である。
【図2】図1に示す電動リールの要部拡大断面図である。
【図3】機械式変速装置と遊星歯車減速機構,動力伝達機構の歯車の回転方向を説明する模式図である。
【図4】機械式変速装置の歯車の回転方向を説明する模式図である。
【図5】制御ボックス上の操作パネルの平面図である。
【図6】請求項1の第二実施形態に係る電動リールの要部切欠き断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 フレーム
3 リール本体
5,7 側板
9 スプール軸
11 スプール
17 動力伝達機構
19 スプール軸駆動歯車
21,173 スプール駆動モータ
23 ハンドル
27,169 機械式変速装置
29,93,159 遊星歯車減速機構
31 モータ軸
33 ピニオン
35 低速用減速歯車機構
37 低速用歯車
39 高速用減速歯車機構
41 高速用歯車
43,47 回転軸
45,49,89 一方向クラッチ
63 小歯車
65,81 大歯車
67,94 太陽歯車
79 駆動歯車
117,183 電動リール
121 パワーレバー
129,177 制御ボックス
133 クラッチ機構
135 クラッチレバー
137 回転検出手段
143,179 操作パネル
145 表示器
147 リセットスイッチ
149 棚メモスイッチ
151,181 変速HI/LOWスイッチ
153 上カラ表示部
155 棚カラ表示部
157 HI/LOW表示部
161 内歯歯車
163 ラチェット爪歯
165 変速切換ストッパ
167 ソレノイド
171 トーションスプリング





 

 


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