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発明の名称 釣竿
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−29052(P2007−29052A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−220568(P2005−220568)
出願日 平成17年7月29日(2005.7.29)
代理人 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦
発明者 江塚 尚之 / 加藤 好尚 / 小斎 秀範
要約 課題
本発明は、リールシート本体からグリップに至る範囲をしっかりと把持することができ、操作性に優れた釣竿を得ることにある。

解決手段
釣竿(1)は、グリップ(6)を有する元竿(2)と、グリップ(6)の前方に位置するように元竿(2)に固定され、リール脚(20)を受ける載置面(25)を有するリールシート本体(21)と、リールシート本体(21)に設けられ、リール脚(20)の後端を載置面(25)との間で保持する筒状の固定フード(35)と、リールシート本体(21)に設けられ、リール脚(20)の前端を載置面(25)との間で保持する可動フード(36)と、を備えている。固定フード(35)は、その外周面(35a)の少なくとも一部にリールシート本体(21)の側方を指向する平坦な係止面(45a, 45b)を有している。固定フ−ド(35)の係止面(45a, 45b)よりもグリップ(6)の方向に変位した位置に元竿(2)の周方向に沿う凹部(51)が設けられている。
特許請求の範囲
【請求項1】
グリップを有する元竿と、
上記グリップの前方に位置するように上記元竿に固定され、魚釣用リールのリール脚を受ける載置面を有するリールシート本体と、
上記リールシート本体に設けられ、上記リール脚の後端を上記載置面との間で保持する筒状の固定フードと、
上記固定フードと向かい合うように上記リールシート本体に設けられ、上記固定フードに近づく方向に移動させることで上記リール脚の前端を上記載置面との間で保持する可動フードと、を具備する釣竿であって、
上記固定フードは、その外周面の少なくとも一部に上記リールシート本体の側方を指向する平坦な係止面を有し、上記固定フ−ドの係止面よりも上記グリップの方向に変位した位置に上記元竿の周方向に沿う凹部を設けたことを特徴とする釣竿。
【請求項2】
請求項1の記載において、上記係止面は、上記固定フードの外周面の周方向に離間した二箇所に位置し、これら二つの係止面は、上記固定フードの外周面に二面幅を形成するように互いに平行であることを特徴とする釣竿。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の記載において、上記係止面の上に少なくとも一つの窪みが形成されていることを特徴とする釣竿。
【請求項4】
請求項1の記載において、上記凹部は、上記固定フードと上記グリップとの間に位置するとともに、上記グリップの周方向に連続することを特徴とする釣竿。
【請求項5】
請求項1の記載において、上記リールシート本体と上記グリップとの間に、上記グリップよりも硬質なリング部材が介在され、上記凹部は、上記リング部材の外周面に形成されて、このリング部材の周方向に連続する溝状をなしていることを特徴とする釣竿。
【請求項6】
請求項5の記載において、上記リング部材は、上記固定フードと向かい合う前面と、この前面と上記リング部材の外周面とで規定される外周縁と、上記前面と上記リング部材の内周面とで規定される内周縁とを有し、上記前面は、上記外周縁から上記内周縁の方向に進むに従い上記固定フードから遠ざかる方向に傾斜するとともに、上記外周縁が上記固定フードに接触することを特徴とする釣竿。
【請求項7】
請求項5の記載において、上記グリップの前端と上記リング部材の後端とは、互いに同軸状に嵌合されていることを特徴とする釣竿。
【請求項8】
請求項1の記載において、上記係止面および上記凹部は、上記グリップから上記リールシート本体に至る箇所を片手で握った時に、手の指が届く範囲内に位置することを特徴とする釣竿。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、元竿に魚釣用リールを固定するリールシート本体を取り付けた釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば船竿のような釣竿は、元竿に魚釣用リールを固定するためのリール固定装置を備えている。リール固定装置は、魚釣用リールのリール脚を受ける載置面が形成されたリールシート本体と、このリールシート本体の載置面との間でリール脚を保持する固定フードおよび可動フードとを有している。
【0003】
固定フードは、リールシート本体の後端部に固定されている。可動フードは、固定フードに近づいたり遠ざかる方向に移動可能にリールシート本体に支持されている。この可動フードを固定フードに近づく方向に移動させることで、リール脚が両フードの間で挟み込まれ、魚釣用リールが載置面の上に固定されるようになっている。
【0004】
ところで、元竿は、釣人が手で把持するグリップを有している。グリップは、リールシート本体の後端よりも釣竿の後方に位置している。実際に釣竿を操作して魚を釣る時、釣人は、グリップの前端部からリールシート本体の後端部に至る範囲を片手で把持することが多い。そのため、グリップおよびリールシート本体を把持した状態では、手の人差し指、中指が丁度リールシート本体および固定フードに巻き付くとともに、薬指、小指がグリップに巻き付くような形態となる。
【0005】
従来の釣竿によると、固定フードは中空の円筒状をなしており、その外周面が凹凸のないなだらかな曲面となっている。加えて、リールシート本体が元竿と同軸の円筒状をなしている場合、このリールシート本体の外周面も凹凸のないなだらかな曲面となっている。
【0006】
このため、例えば仕掛けを投擲したり、掛かった魚とのやり取りをする時に、リールシート本体や固定フードに添えた指が滑ることがあり得る。すると、釣竿が周方向に回転したり、軸方向に動いてしまい、釣竿の操作性が低下する。
【0007】
この対策として、従来、固定フードおよび可動フードの外周面に夫々複数の貫通孔を形成したリール固定装置が知られている。この構成によると、例えば可動フードの外周面に、水滴や魚のぬめりのような液状物質が付着しても、貫通孔が液状物質で満たされることはない。よって、可動フードを手の指先で掴んだ時に、手が滑り難くなる(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
さらに、円筒状をなすリールシート本体のうち、固定フードと可動フードとの間に位置する部分に凹部を形成したリール固定装置が知られている。この凹部は、リールシート本体の側方から下方に向けて開放するような形状を有し、リールシート本体を片手で握った時に、手の中指や人差し指が凹部に入り込むようになっている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−189010号公報
【特許文献2】実開平6−15466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示されたリール固定装置では、固定フードや可動フードの外周面に貫通孔が存在するものの、手の指先が接する両フードの外周面は、円弧状に彎曲する曲面のままである。そのため、例えば両フードに手の指先を添えて釣竿を操作している時に、掛かった魚から強い引きが釣竿に作用すると、指先が滑ってリールシート本体を強く押さえ込むことができなくなり、釣竿が周方向に回転し易くなる。
【0010】
さらに、特許文献2に開示されたリール固定装置では、リールシート本体の凹部に手の指を引っ掛けることは可能であるけれども、逆に凹部の存在によりリールシート本体が細くなり過ぎてしまい、手で握り難い形状となる。この結果、釣の最中に釣竿に大きな力が加わった時に、この力に対抗し得るようにリールシート本体をしっかりと把持することができなくなる。
【0011】
加えて、特許文献2によると、リールシート本体の直後にグリップが位置し、このグリップとリールシート本体の後端との境界部分は、段差のない滑らかに連続した形状となっている。このため、例えばグリップの前端からリールシート本体の後端に至る範囲を手で把持した場合に、この範囲内に指を掛けられるような部分が存在しない。
【0012】
よって、上記二つの特許文献の構成では、グリップやリールシート本体を把持する手の親指でリールを押さえ込んでいない限り、釣竿の周方向の回転および軸方向へのスライド移動を押さえ込むことができなくなる。したがって、釣竿の姿勢が不安定となり易く、この釣竿の操作性を高める上で今一歩改善の余地が残されている。
【0013】
本発明の目的は、リールシート本体からグリップに至る範囲をしっかりと把持することができ、操作性に優れた釣竿を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る釣竿は、
グリップを有する元竿と、
上記グリップの前方に位置するように上記元竿に固定され、魚釣用リールのリール脚を受ける載置面を有するリールシート本体と、
上記リールシート本体に設けられ、上記リール脚の後端を上記載置面との間で保持する固定フードと、
上記固定フードと向かい合うように上記リールシート本体に設けられ、上記固定フードに近づく方向に移動させることで上記リール脚の前端を上記載置面との間で保持する可動フードと、を備えている。
上記固定フードは、その外周面の少なくとも一部に上記リールシート本体の側方を指向する平坦な係止面を有し、上記固定フ−ドの係止面よりも上記グリップの方向に変位した位置に上記元竿の周方向に沿う凹部を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、リールシート本体からグリップに至る範囲を手で把持した時に、平坦な係止面に指先が掛かり、この係止面の後方に位置する凹部に他の指先が入り込む。このため、釣竿を操作する時にリールシート本体に添えた手が滑り難くなり、係止面に掛かる指先でリールシート本体の周方向への釣竿の回転を押さえ込むことができるとともに、凹部に入り込む手の指先でリールシート本体の軸方向への釣竿の移動を押さえ込むことができる。
【0016】
この結果、片方の手でリールシート本体からグリップに至る範囲をしっかりと把持することができる。よって、釣竿の姿勢が安定し、釣竿の操作性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、釣竿1の一例である2本継の船竿を開示している。この釣竿1は、元竿2、先側節3およびジョイント部材4を備えている。ジョイント部材4は、元竿2と先側節3とを継合している。
【0019】
図5に示すように、元竿2は、元竿管5を有している。元竿管5の外周面に後部グリップ6、補強管7および尻栓8が取り付けられている。後部グリップ6は、例えばEVA、ゴム状弾性体、コルクあるいは発泡性樹脂材料のような柔軟な材料で造られており、釣人が手で把持し易いような円筒状に形成されている。
【0020】
補強管7は、後部グリップ6の後方に位置する元竿管5の後半部を保護するためのものであり、この元竿管5の後半部を外側から覆っている。尻栓8は、元竿管5の後端に取り付けられている。さらに、後部グリップ6と補強管7との間に第1の装飾リング9が介在されているとともに、補強管7と尻栓8との間に第2の装飾リング10が介在されている。尻栓8の直前に位置する第2の装飾リング10に尻手金具11が取り付けられている。
【0021】
図1に示すように、上記先側節3は、先竿13と前部グリップ14とを有している。先竿13は、例えば繊維強化樹脂製であり、その外周面に釣糸をガイドする複数の釣糸ガイド15が固定されている。釣糸ガイド15は、先竿13の後部から穂先に向けて互いに間隔を存して一列に並んでいる。前部グリップ14は、先竿13の後端部の外周面に取り付けられている。前部グリップ14は、上記後部グリップ6と同様の柔軟な材料で造られており、釣人が手で把持し易いような円筒状に形成されている。
【0022】
本実施の形態の先竿13は、その先端が穂先となっているが、この穂先に限らず、例えば3本以上の継ぎ竿の構成としてもよい。この際、先竿13は、元竿2と継合される節のことを意味する。
【0023】
さらに、本実施の形態では、先竿13の外周面に釣糸ガイド15を固定しているが、例えば釣糸ガイド15を先竿13の軸方向に移動可能としたり、あるいは竿管の内側に釣糸を通す中通し竿を用いてもよい。
【0024】
図5に示すように、元竿管5は、後部グリップ6の前端から突出する先端部5aを有している。この元竿管5の先端部5aにリール固定装置18が取り付けられている。リール固定装置18は、釣竿1に魚釣用リール19を取り外し可能に固定するためのものであり、後部グリップ6の直前に位置している。魚釣用リール19は、釣竿1の軸方向に延びるリール脚20を有している。
【0025】
リール固定装置18は、中空円筒状のリールシート本体21を備えている。リールシート本体21は、例えばステンレス、アルミニウム合金、チタンあるいは真鍮のような金属材料又はABS樹脂やナイロンのような合成樹脂材料によって造られている。
【0026】
リールシート本体21の内部に仕切り壁22が設置されている。仕切り壁22は、リールシート本体21の軸方向に沿う略中央部に位置するとともに、このリールシート本体21の内面に接着等の手段により固定されている。仕切り壁22は、元竿管5とは反対側の前面に凸部23を有している。凸部23は、リールシート本体21の径方向に沿って延びている。
【0027】
リールシート本体21の後半部は、元竿管5の先端部5aの外側に同軸状に被せられている。言い換えると、元竿管5の先端部5aは、リールシート本体21の内部に後方から挿入されており、この先端部5aの挿入端が仕切り壁22に突き当たっている。さらに、元竿管5の先端部5aは、例えば接着等の手段によりリールシート本体21に固定されている。そのため、元竿管5とリールシート本体21とは、その周方向への相対的な回転および軸方向への相対的な移動が阻止された状態で強固に結合されている。
【0028】
図3ないし図6に示すように、リールシート本体21は、魚釣用リール19のリール脚20を受け止める載置面25を有している。載置面25は、例えば魚釣用リール19が釣竿1の上側に位置するようにリールシート本体21の外周面に形成されているとともに、このリールシート本体21の軸方向に延びている。さらに、載置面25は、リールシート本体21の外周面よりも沈み込んでいる。この結果、図6に示すように、リールシート本体21の肉厚tは、載置面25に対応する部分において薄くなっている。
【0029】
リールシート本体21は、その外周面に雄ねじ部26を有している。この雄ねじ部26は、リールシート本体21の前端から載置面25の前部に亘るように連続して形成されている。
【0030】
図5に示すように、元竿2と先側節3とを継合する上記ジョント部材4は、フェルール28を備えている。フェルール28は、例えばステンレス、アルミニウム合金、チタンあるいは真鍮のような金属材料又はABS樹脂やナイロンのような合成樹脂材料により中空の円筒状に形成されている。
【0031】
フェルール28は、上記リールシート本体21の内部に挿入可能な挿入部29と、この挿入部29の先端に同軸状に連続するガイド部30とを有している。挿入部29は、リールシート本体21の内面に摺動可能に接しており、この接触により、リールシート本体21に対するフェルール28のがたつきが阻止されている。
【0032】
挿入部29の挿入先端は、端壁31によって閉塞されている。端壁31の後面に嵌合溝32が形成されている。嵌合溝32は、挿入部29の径方向に延びるとともに、挿入部29をリールシート本体21の内部に挿入した時に、上記仕切り壁22の凸部23に嵌合するようになっている。この嵌合により、リールシート本体21に対するフェルール28の挿入長さが定まるとともに、リールシート本体21とフェルール28との相対的な回転が阻止される。
【0033】
ガイド部30は、挿入部29の嵌合溝32が凸部23に嵌合した時に、リールシート本体21の前端から突出するとともに、リールシート本体21の外周の雄ねじ部26に同軸状に連続する。
【0034】
図5に示すように、先竿13の後端部は、ガイド部30の先端開口からフェルール28の内側に挿入されている。この先竿13の後端部は、例えば接着等の手段によりフェルール28に固定されている。先竿13の後端部上に位置する前部グリップ14は、フェルール28の直前に位置している。
【0035】
リールシート本体21の雄ねじ部26の前端部にナット33がねじ込まれている。ナット33を雄ねじ部26にねじ込んでいくと、このナット33と仕切り壁22の凸部23との間でフェルール28の挿入部29が挟み込まれる。
【0036】
よって、フェルール28がリールシート本体21に固定されるとともに、このフェルール28に接着された先竿13がフェルール28を介してリールシート本体21に結合される。
【0037】
図2ないし図5に示すように、リールシート本体21に固定フード35および可動フード36が取り付けられている。両フード35,36は、例えばステンレス、アルミニウム合金、チタンあるいは真鍮のような金属材料又はABS樹脂やナイロンのような合成樹脂材料により中空の円筒状に形成されており、夫々円弧状に彎曲する外周面35a,36aを有している。
【0038】
固定フード35は、リールシート本体21の後端部に接着等の手段により強固に固定されている。固定フード36は、後部グリップ6とリールシート本体21の後端部との間に位置している。固定フード35は、リールシート本体21の先端部の方向にスリット状に開口する嵌合凹部37を備えている。嵌合凹部37は、載置面25の後端部と向かい合う押圧面37aを有している。押圧面37aは、固定フード35の後方に進むに従い載置面25に近づく方向に傾斜している。
【0039】
可動フード36は、固定フード35と向かい合うとともに、載置面25の上に位置している。可動フード35は、固定フード35に向けてスリット状に開口する嵌合凹部38を備えている。嵌合凹部38は、載置面25と向かい合う押圧面38aを有している。押圧面38aは、可動フード36の前方に進むに従い載置面25に近づく方向に傾斜している。
【0040】
可動フード36は、固定フード35に近づいたり遠ざかる方向に移動可能にリールシート本体21の外周面に保持されている。図6に示すように、可動フード36の内面に載置面25に向けて張り出す凸部40が形成されている。凸部40は、載置面25によって規定されるリールシート本体21の外周面上の凹み41に摺動可能に嵌まり込んでいる。これにより、リールシート本体21に対する可動フード36の周方向の回転が阻止されている。
【0041】
この可動フード36の回転を阻止するための構成は、上記実施の形態に特定されるものではない。例えば、リールシート本体21の外周面および可動フード36の内周面に夫々互いに向かい合うキー溝を設けるとともに、このキー溝にキーを嵌合させるようにしてもよい。
【0042】
リールシート本体21の雄ねじ部26に第1および第2のフード固定ナット42,43がねじ込まれている。第1および第2のフード固定ナット42,43は、載置面25に対する可動フード36の位置を定めるためのものである。これら第1および第2のフード固定ナット42,43を回転させることで、可動フード36が固定フード35に近づいたり遠ざかる方向に移動するようになっている。
【0043】
魚釣用リール19をリールシート本体21の載置面25に固定するには、まず、魚釣用リール19のリール脚20を載置面25の上に載置し、リール脚20の後端20aを固定フード35の嵌合凹部37に挿入する。次に、第1および第2のフード固定ナット42,43を手の指先で掴んで締め付け方向に回転させる。この回転により、可動フード36が載置面25の上を固定フード35に近づく方向に移動し、可動フード36の嵌合凹部38にリール脚20の前端20bが入り込む。
【0044】
この状態で第1および第2のフード固定ナット42,43をさらに締め付けると、リール脚20が固定フード35と可動フード36との間で挟み込まれる。それとともに、リール脚20の後端20aおよび前端20bが両フード35,36の押圧面37a,38aを介して載置面25に押し付けられる。
【0045】
この結果、魚釣用リール19が載置面25の上の定位置に固定される。
【0046】
図4および図7に示すように、固定フード35の外周面35aに一対の係止面45a,45bが形成されている。係止面45a,45bは、例えば手の中指の指先を十分に受け止めることができる面積を有する平坦な面で構成されている。これら係止面45a,45bは、固定フード35の周方向に離間した二箇所に位置しており、本実施の形態では、固定フード35の径方向に向かい合っている。
【0047】
このため、係止面45a,45bは、固定フード35の外周面35aに二面幅を形成するように互いに平行に配置されているとともに、夫々リールシート本体21の側方を指向している。
【0048】
本実施の形態では、可動フード36の外周面36aにも一対の係止面46(一方のみを図示)が形成されている。係止面46は、手の指先を十分に受け止めることができる面積を有する平坦な面で構成されている。係止面46は、可動フード36の径方向に向かい合っている。このため、係止面46は、可動フード36の外周面36aに二面幅を形成するように互いに平行に配置されているとともに、夫々リールシート本体21の側方を指向している。
【0049】
さらに、本実施の形態によると、固定フード35の係止面45a,45bおよび可動フード36の係止面46の上に夫々三つの円形の窪み47が形成されている。窪み47は、固定フード35および可動フード36の軸方向に間隔を存して一列に並んでいる。
【0050】
図3ないし図5に示すように、リールシート本体21の後端と後部グリップ6との間に第3の装飾リング50が介在されている。第3の装飾リング50は、リング部材の一例であり、上記元竿管5の外周面の上に保持されている。第3の装飾リング50は、例えばステンレス、アルミニウム合金、チタンあるいは真鍮のような金属材料又はABS樹脂やナイロンのような後部グリップ6よりも硬質な合成樹脂材料により形成されている。この第3の装飾リング50は、後部グリップ6と略同等の直径を有している。
【0051】
第3の装飾リング50の外周面50aに周方向に連続する溝状の凹部51が形成されている。凹部51は、固定フード35の係止面45a,45bよりも後部グリップ6の方向に変位した位置に設けられている。この凹部51の幅方向の中心から係止面45a,45bの後端までの距離Lは、20mm以下とすることが望ましい。この凹部51と係止面45a,45bとの位置関係を規定した根拠は、以下の通りである。
【0052】
図4に示すように、釣人が釣竿1を片手で操作する時、釣人の多くは後部グリップ6からリールシート本体21に至る範囲を把持する傾向にある。この際、釣人は、親指で魚釣用リール19を上から押さえるとともに、人差し指、中指および薬指でリールシート本体21の後部を下方から抱え込み、さらに小指で後部グリップ6を下方から抱え込むことになる。
【0053】
この状態において、手の大きさが標準であれば、中指の指先に対応する箇所に固定フード35の係止面45aが位置するとともに、薬指の内側に対応する箇所に凹部51が位置するようになる。そのため、上記距離Lを20mm以下と規定することで、後部グリップ6からリールシート本体21に至る範囲を片手で握った時に、手の指が届く範囲内に係止面45aと凹部51とを位置させることができる。
【0054】
図8および図9に示すように、第3の装飾リング50は、固定フード35の後端と向かい合う前面52と、この前面52と外周面50aとで規定される外周縁53と、上記前面52と第3の装飾リング50の内周面50bとで規定される内周縁54とを有している。前面52は、外周縁53から内周縁54の方向に進むに従い固定フード35から遠ざかる方向に傾斜している。
【0055】
この傾斜により、第3の装飾リング50の前面52と固定フード35との間に、接着剤を充填するための空間56が形成されている。この結果、十分な量の接着剤を第3の装飾リング50と固定フード35との間に留めることができ、第3の装飾リング50と固定フード35とを強固に固定できる。
【0056】
第3の装飾リング50の外周縁53は、エッジ状に尖っている。この外周縁53は、第3の装飾リング50と固定フード35とを接着した時に、固定フード35の後端に周方向に連続して接触する。言い換えると、第3の装飾リング50の外周縁53は、固定フード35の後端に対し線状に接することになり、第3の装飾リング50と固定フード35との間に隙間が発生し難くなる。
【0057】
さらに、第3の装飾リング50の前端の直径は、固定フード35の後端の直径よりも僅かに小さい。このため、第3の装飾リング50のエッジ状に尖る外周縁53が固定フード35の外側に露出することはなく、この外周縁53に釣人の手が触れずに済む。
【0058】
図8に示すように、第3の装飾リング50は、後部グリップ6と向かい合う後面60を有している。この後面60に環状の凹部61が同軸状に形成されている。凹部61は、第3の装飾リング50の内周面50bに連続して開放している。
【0059】
後部グリップ6は、その前端から突出する環状の凸部62を有している。凸部62は、後部グリップ6に対し同軸状に形成されて、凹部61に嵌まり込んでいる。この嵌合により、後部グリップ6と第3の装飾リング50とが同軸状に位置合わせされるとともに、後部グリップ6と第3の装飾リング50との境界部分に隙間が発生し難くなる。そのため、後部グリップ6から第3の装飾リング50に至る箇所を手で把持した場合でも、違和感を伴わないとともに、確実に把持することができる。
【0060】
このような本発明の実施の形態によると、実際に釣竿1を操作する時、釣人は一方の手で後部グリップ6からリールシート本体21に至る範囲を把持する。魚が掛かって魚とやり取りをする段階では、釣人は一方の手で後部グリップ6を把持するとともに、他方の手で前部グリップ14を把持して釣竿1を操作する。掛かった魚が大物の場合は、元竿2の後端に位置する尻栓8を、例えば釣人の腹に当てて釣竿1を操作することもある。
【0061】
図4に示すように、釣人が後部グリップ6からリールシート本体21に至る範囲を片手で把持する際、固定フード35の係止面45aに中指の指先がかかるとともに、第3の装飾リング50の凹部51に薬指の指先が入り込む。特に、第3の装飾リング50は金属材料又は後部グリップ6よりも硬質な樹脂材料で形成されているので、薬指の腹が凹部51に食い込み易くなる。
【0062】
しかも、固定フード35の係止面45a,45bは、固定フード35の外周面35aに二面幅を形成するように固定フード35の径方向に向かい合っている。そのため、中指の二箇所が固定フード35に引っ掛かり、中指と係止面45a,45bとの接触面積が増える。加えて、係止面45a,45bは、窪み47を有するので、窪み47の開口縁に指の腹が引っ掛かり易くなる。
【0063】
この結果、釣竿1を操作する時に、リールシート本体21に添えた手が滑り難くなり、係止面45aに掛かる中指の指先で釣竿1の周方向への回転を押さえ込むことができるとともに、凹部51に入り込む薬指の指先で釣竿1の軸方向への移動を押さえ
込むことができる。
【0064】
そのため、片方の手でリールシート本体21から後部グリップ6に至る範囲をしっかりと把持することができる。よって、例えば仕掛けの投擲から魚とのやり取りに至る全ての魚釣り操作において、釣竿1の姿勢が格段に安定し、釣竿1の操作性が向上するといった利点がある。
【0065】
なお、上記実施の形態では、第3の装飾リングの凹部を周方向に連続する溝状としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、複数の凹部を第3の装飾リングの周方向に間隔を存して配置してもよい。
【0066】
さらに、上記実施の形態では、係止面に窪みを形成したが、この窪みの代わりに凸部を形成したり、この凸部と窪みとを組み合わせてもよい。それとともに、係止面に例えば滑り止め用のローレット加工を施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】魚釣用リールを取り付けた本発明の実施の形態に係る釣竿の側面図。
【図2】本発明の実施の形態において、後部グリップを有する元竿とリール固定装置との位置関係を示す釣竿の側面図。
【図3】本発明の実施の形態において、後部グリップ、リール固定装置、ジョイント部材および前部グリップの位置関係を示す釣竿の側面図。
【図4】本発明の実施の形態において、後部グリップからリールシート本体に至る部分を片手で把持した状態を示す釣竿の側面図。
【図5】本発明の実施の形態において、後部グリップ、リール固定装置およびジョイント部材の位置関係を示す釣竿の断面図。
【図6】図4のF6 −F6線に沿う断面図。
【図7】図4のF7 −F7線に沿う断面図。
【図8】本発明の実施の形態において、後部グリップと第3の装飾リングとの位置関係を示す断面図。
【図9】本発明の実施の形態において、後部グリップと第3の装飾リングとを互いに嵌合させた状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0068】
2…元竿、6…グリップ(後部グリップ)、19…魚釣用リール、20…リール脚、20a…後端、20b…前端、21…リールシート本体、25…載置面、35…固定フード、36…可動フード、45a,45b…係止面、51…凹部。




 

 


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