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魚釣用電動リール - ダイワ精工株式会社
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発明の名称 魚釣用電動リール
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−20530(P2007−20530A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−210876(P2005−210876)
出願日 平成17年7月21日(2005.7.21)
代理人 【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
発明者 寺内 孝
要約 課題
本発明は魚釣用電動リールに関し、電気式変速装置と機械式変速装置とを備えた魚釣用電動リールに改良を加え、これら変速装置の交互使用を容易にして、釣場の状況変化に迅速に対応可能な魚釣用電動リールを提供することを目的とする。

解決手段
リール本体に回転自在に支持されたスプールを巻取り駆動するスプール駆動モータと、スプールの駆動系に装着され、変速モード切換え部材の操作でスプールへのスプール駆動モータの動力伝達状態を高速動力伝達状態と低速動力伝達状態とに切り換える機械式変速装置と、変速部材の操作でスプール駆動モータを制御して、釣糸の巻取り速度を変速させる電気式変速装置とを備えた魚釣用電動リールに於て、上記変速部材または当該変速部材近傍のリール本体に、上記変速モード切換え部材を設けたことを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
リール本体に回転自在に支持されたスプールを巻取り駆動するスプール駆動モータと、
スプールの駆動系に装着され、変速モード切換え部材の操作でスプールへのスプール駆動モータの動力伝達状態を高速動力伝達状態と低速動力伝達状態とに切り換える機械式変速装置と、
変速部材の操作でスプール駆動モータを制御して、釣糸の巻取り速度を変速させる電気式変速装置とを備えた魚釣用電動リールに於て、
上記変速部材または当該変速部材近傍のリール本体に、上記変速モード切換え部材を設けたことを特徴とする魚釣用電動リール。
【請求項2】
変速部材の操作方向と同方向に、変速モード切換え部材を操作可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の魚釣用電動リール。
【請求項3】
機械式変速装置に、釣糸巻取り操作時の負荷に基づき低速状態と高速状態とに自動変速する自動変速モードを設定し、
変速モード切換え部材の操作で、機械式変速装置を当該自動変速モードに切換え可能としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の魚釣用電動リール。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、リール本体に回転自在に取り付くスプールを巻取り駆動するスプール駆動モータを備えた魚釣用電動リールに関する。
【背景技術】
【0002】
船釣り等、深場の魚層を対象とした魚釣りを行う場合、魚釣用電動リールが広く使用されている。
従来周知のように魚釣用電動リールは、スプール駆動モータの駆動でスプールを回転させて釣糸の巻取りを行うもので、特許文献1に開示されるように昨今の魚釣用電動リールには、釣場の状況(例えば、対象魚の大きさや種類,魚とのファイトやヒット数)に応じて釣糸の巻取り速度を変更すべく、リール本体の側部に変位可能に装着したモータ出力調節体(変速部材)の操作でスプール駆動モータのモータ出力を増減調節して、釣糸の巻取り速度(スプール駆動モータの回転速度)を変速させる電気式変速装置を備えたものが知られている。
【0003】
また、特許文献2には上述の如き電気式変速装置に加え、釣場の状況変化に対応した電動での巻取り操作が行えるように、スプール駆動モータのモータ軸(モータ出力部)と、このモータ軸の回転(スプール駆動モータの駆動力)をスプールに伝達する複数枚のギヤからなる動力伝達機構との間に、ギヤ比の異なる高速用歯車伝達機構と低速用歯車伝達機構とを動力伝達可能に連結し、スプール駆動モータの回転方向によりいずれか一方を選択して、高,低速の動力伝達の切換えを可能とする機械式変速装置を備えた魚釣用電動リールが開示されている。
【0004】
そして、この魚釣用電動リールでは、リール本体上部の操作パネル上に押しボタン式の低速モードスイッチ(低速用変速モード切換え部材)と高速モードスイッチ(高速用変速モード切換え部材)を設け、これらのスイッチの押圧操作でスプール駆動モータの回転方向を正逆両方向へ切り換えて、機械式変速装置を高速状態と低速状態との2段階に選択的に切り換える構造となっている。
【特許文献1】特許第2977978号公報
【特許文献2】特許第3537363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし乍ら、特許文献2の魚釣用電動リールは、リール本体上部の操作パネル上に機械式変速装置の低速モードスイッチと高速モードスイッチを設けた構造上、これらのモードスイッチが、リール本体の側部に設けた電気式変速装置のモータ出力調節体から離間した構造となっている。
このため、魚釣用電動リールと釣竿を保持する手の指の操作で、スプール駆動モータのアクセルであるモータ出力調節体と、押しボタン式の低速モードスイッチや高速モードスイッチとを関連させての交互使用が容易にできず、変速操作性に劣り、釣場の状況変化に迅速に対応できない等の課題が残されていた。
【0006】
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、電気式変速装置と機械式変速装置とを備えた魚釣用電動リールに改良を加え、これら変速装置の交互使用を容易にして、釣場の状況変化に迅速に対応可能な魚釣用電動リールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
斯かる目的を達成するため、請求項1に係る発明は、リール本体に回転自在に支持されたスプールを巻取り駆動するスプール駆動モータと、スプールの駆動系に装着され、変速モード切換え部材の操作でスプールへのスプール駆動モータの動力伝達状態を高速動力伝達状態と低速動力伝達状態とに切り換える機械式変速装置と、変速部材の操作でスプール駆動モータを制御して、釣糸の巻取り速度を変速させる電気式変速装置とを備えた魚釣用電動リールに於て、上記変速部材または当該変速部材近傍のリール本体に、上記変速モード切換え部材を設けたことを特徴とする。
【0008】
そして、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の魚釣用電動リールに於て、変速部材の操作方向と同方向に、変速モード切換え部材を操作可能に設けたことを特徴とし、請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の魚釣用電動リールに於て、機械式変速装置に、釣糸巻取り操作時の負荷に基づき低速状態と高速状態とに自動変速する自動変速モードを設定し、変速モード切換え部材の操作で、機械式変速装置を当該自動変速モードに切換え可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、電気式変速装置の変速部材を操作する手の指を大きく移動させることなく機械式変速装置の変速モード切換え部材を操作することができるので、これらの交互使用が容易となって、従来の魚釣用電動リールに比し釣場の状況変化に迅速に対応できる利点を有する。
また、請求項2に係る発明によれば、変速モード切換え部材を変速部材の操作方向と同方向へ回転操作可能としたので、手の指の自然な動きを維持し乍ら、電気式及び機械式変速装置の変速及び切換え操作を違和感なく容易に行える利点を有する。
【0010】
そして、請求項3に係る発明によれば、自動変速モードを設定したため、実釣り状況及び熟練度(初心者,中級者,上級者)に応じて幅広い巻取り方法の選択が可能となり、状況に即したモータ駆動による巻取り操作が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1乃至図6は請求項1乃至請求項3に係る発明の一実施形態を示し、図1及び図2に於て、1はリール本体3のフレーム、5,7は当該フレーム1の左右に取り付く側板で、両側板5,7間にスプール軸9を介してスプール11が回転可能に支持されている。
スプール軸9はスプール11の軸心を貫通し、その側板5側の一端が、フレーム1に一体的に取り付く第1のセットプレート13に軸受15を介して回転可能に支持されている。そして、この一端側に、後述する動力伝達機構17のスプール軸駆動歯車19が回り止め嵌合されている。
【0012】
スプール11は、スプール駆動モータ21の駆動とハンドル23の巻取り操作で巻取り方向に回転して釣糸が巻回されるようになっており、スプール駆動モータ21は、スプール11前方のフレーム1に一体成形された筒状のモータケース25内に収納されている。
そして、側板5側のリール本体3内に、特許文献2に開示された従来例と同一構造の機械式変速装置27と第1の遊星歯車減速機構29、そして、前記スプール軸駆動歯車19を含む複数の歯車からなる動力伝達機構17が、スプール駆動モータ21のモータ軸31とスプール軸9との間に順次装着されており、スプール駆動モータ21の回転力が機械式変速装置27,遊星歯車減速機構29,動力伝達機構17で変速/減速されて、スプール軸9に伝達されるようになっている。
【0013】
図3は機械式変速装置27と遊星歯車減速機構29の拡大断面図、図4及び図5は機械式変速装置27と遊星歯車減速機構29,動力伝達機構17の歯車の回転方向を説明する模式図を示し、図中、33はモータ軸31に回り止め嵌合されたピニオンで、スプール駆動モータ21は正逆両方向へ回転可能に構成され、これに伴い、図4及び図5に示すようにピニオン33も正,逆両方向へ回転する。
【0014】
そして、上記ピニオン33に低速用減速歯車機構35の低速用歯車37と、高速用減速歯車機構39の高速用歯車41が個別に噛合しており、機械式変速装置27は、この低速用減速歯車機構35と高速用減速歯車機構39とで構成されている。
低速用歯車37と高速用歯車41は、その外径が同一でピニオン33とのギヤ比が同一に設定されており、図3及び図4に示すように低速用歯車37は、第1の回転軸43に一方向クラッチ45を介して回転可能に支持され、高速用歯車41は、第2の回転軸47に一方向クラッチ49を介して回転可能に支持されている。そして、第1の回転軸43は、フレーム1と遊星歯車減速機構29のキャリア51との間に軸受53,55を介して回転可能に支持され、第2の回転軸47は、セットプレート13の内側に配された第2のセットプレート57とフレーム1との間に軸受59,61を介して回転可能に支持されている。
【0015】
而して、上記一方向クラッチ45,49は、力を伝達するその回転方向が互いに逆向きに設定されており、低速用歯車37側の一方向クラッチ45は、低速用歯車37が逆転(図4に於ける反時計回りの回転;以下、同様)すると、その楔作用で低速用歯車37の回転力を回転軸43に伝達し、低速用歯車37が正転(図5に於ける時計回りの回転;以下、同様)すると、その回転力を回転軸43に伝達しないように構成されている。
【0016】
一方、これとは逆に高速用歯車41側の一方向クラッチ49は、高速用歯車41が正転すると、その楔作用で高速用歯車41の回転力を回転軸47に伝達し、高速用歯車41が逆転すると、その回転力を回転軸47に伝達させないように構成されている。
そして、第1の回転軸43に小歯車63が回り止め嵌合されると共に、第2の回転軸47に大歯車65が回り止め嵌合されて、これらは互いに噛合している。そして、回転軸43の突出端側に、遊星歯車減速機構29の太陽歯車67が回り止め嵌合されている。
【0017】
図4に示すように遊星歯車減速機構29は、上記太陽歯車67と、セットプレート57と太陽歯車67との間に配置されて、セットプレート57に形成された内歯69と太陽歯車67とに夫々噛合する複数の遊星歯車71とを備え、遊星歯車71は支軸73を介してキャリア51に回転可能に支持され、キャリア51は軸受75,77を介してセットプレート13,57との間で回転可能に支持されている。
【0018】
そして、キャリア51に、動力伝達機構17の駆動歯車79が回り止め嵌合されている。
図2及び図4に示すように動力伝達機構17は、前記スプール軸駆動歯車19と上記駆動歯車79、そして、スプール軸駆動歯車19と駆動歯車79との間に配置されてこれらに噛合する大歯車81とで構成されている。そして、図3に示すように大歯車81は、セットプレート13に設けた筒状の支持部83に軸受85を介して回転可能に支持されているが、大歯車81の中央に設けた筒状部87の内周には、セットプレート57に軸支された一方向クラッチ89の外輪91が回り止め嵌合されており、ハンドル23の巻取り操作時に当該一方向クラッチ89の楔作用で大歯車81の回転が阻止されて、その反力でハンドル23の駆動力が、後述する遊星歯車減速機構(動力伝達機構)93を介してスプール11に伝達されるようになっている。
【0019】
そして、図2に示すようにスプール軸9は、スプール11の中央を貫通してその他端側が側板7内に突出し、その突出端に、スプール駆動モータ21の駆動力とハンドル23操作の回転力をスプール11に伝達させる第2の遊星歯車減速機構93が装着されている。
従来と同様、この遊星歯車減速機構93は、スプール軸9の突出端に取り付けられた太陽歯車95とこれに噛合する複数の遊星歯車97、そして、スプール11の一端に刻設された内歯歯車99等からなり、内歯歯車99に遊星歯車97が噛合している。そして、遊星歯車97は支軸101を介してキャリア103に取り付けられており、キャリア103はスプール11に取り付けたブラケット105に嵌合し、軸受107を介してスプール軸9に回転可能に支持されている。
【0020】
また、図1中、23は既述した釣糸巻取り操作用のハンドルで、当該ハンドル23は、側板7に回動可能に挿着したハンドル軸109の側板外突出端に連結されており、ハンドル軸109にはラチェット111が側板7内で固着され、更にドライブギヤ113が回転可能に取り付けられている。そして、ドライブギヤ113とハンドル軸109は、ハンドル軸109に装着した周知のドラグ装置115で摩擦結合されており、ドラグ装置115はドラグ力調節レバー117の操作でドラグ力が調節できるようになっている。
【0021】
そして、既述したようにハンドル23の巻取り操作時に、一方向クラッチ89の楔作用でスプール軸駆動歯車19に噛合する大歯車81の回転が阻止されるため、ハンドル23の回転力が前記遊星歯車減速機構93からスプール11に伝達されて、スプール11が巻取り方向に回転するようになっている。
また、図示しないが上記ラチェット111には、周知の図示しないばねで付勢された係止爪が係止しており、斯様にラチェット111に係止爪が係止してスプール11の逆転止めが図られている。
【0022】
更に本実施形態に係る魚釣用電動リール119には、既述した機械式変速装置27に加え、特許文献2で開示された魚釣用電動リールと同様の電気式変速装置が装着されており、図1,図2及び図6に示すようにハンドル23側の側板7の側部前方に設けられた筒状部121に、変速部材123がリール本体3の前後方向(図6中、矢印A,B方向)へ所定の角度に亘って回転操作可能に取り付けられている。
【0023】
図1に示すように変速部材123は、リール全体を保持する手の指Fで押圧操作したり、指Fで摘んで回転操作できるように幅広な操作部124が先端に形成されたレバー形状からなり、図2に示すように変速部材(以下、「パワーレバー」という)123は、筒状部121に内蔵されたポテンショメータ125の操作軸127に連結されている。そして、パワーレバー123の回転操作によるポテンショメータ125の抵抗値の変化が、リール本体3上部の制御ボックス129内に装着したマイクロコンピュータに入力されている。
【0024】
そして、マイクロコンピュータのCPUは、パワーレバー123の変位量に応じたパルス信号のデューティ比として、モータ駆動電流通電時間率をモータ駆動回路中に接続したスィッチング素子で可変制御して、スプール駆動モータ21のモータ出力を増減調節するようになっている。
一方、図1及び図2に示すように側板7の側部後方には、側板7内に装着された周知のクラッチ機構131を操作するクラッチレバー133が下方向へ押圧操作可能に取り付けられており、当該クラッチレバー133の押圧操作で、クラッチ機構131がクラッチON状態からクラッチOFF状態に切り換わるようになっている。
【0025】
そして、このクラッチOFF状態でハンドル23を巻取り方向へ回転させると、図示しない周知の復帰機構を介してクラッチ機構131がクラッチON状態に復帰するように構成されており、このクラッチレバー133とハンドル23のクラッチON/OFFの切換え操作でスプール11が釣糸巻取り状態と釣糸繰出し状態とに切り換わって、スプール11へのスプール駆動モータ21やハンドル23の回転力が伝達/遮断されるようになっている。
【0026】
そして、本実施形態は、上述の如き従来と同様の構成に加え、図1及び図2に示すようにパワーレバー123の近傍、即ち、パワーレバー123が取り付く筒状部121に、スプール駆動モータ21の回転方向を切り換えて機械式変速装置27を低速用減速歯車機構35による低速動力伝達状態と、高速用減速歯車機構39による高速動力伝達状態とに切り換えるリング状の変速モード切換え部材(以下、「切換え部材」という)135を装着したことを特徴とする。
【0027】
図6に示すように切換え部材135は、筒状部121の中心軸を回転中心として、パワーレバー123の操作方向と同方向へ所定の角度(例えば、90°の範囲)に亘って回転操作可能に取り付けられている。
そして、切換え部材135の外周に1つの凸状操作部137が外方へ突設されると共に、1個のマーカー139が刻設され、また、筒状部121には、凸状操作部137による切換え部材135の前後方向への回転操作に対応して「HI」,「LOW」の文字が表示されており、図1に示すようにマーカー139を「HI」の文字に合わせると、マイクロコンピュータは、モータ駆動回路に指令を送出してスプール駆動モータ21を図5の如く逆転方向に駆動し、マーカー139を「LOW」に合わせると、マイクロコンピュータはスプール駆動モータ21へ流れる電流方向を切り換えて、スプール駆動モータ21を正転方向へ駆動させるようになっている。
【0028】
更に、本実施形態は、上述した手動による機械式変速装置27の変速操作に加え、釣糸巻取り操作時の負荷に基づき、マイクロコンピュータでスプール駆動モータ21の回転方向を制御して、機械式変速装置27を高速動力伝達状態から低速動力伝達状態に自動変速させる「自動変速モード」が設定されている。
そして、図1に示すように筒状部121には、「LOW」の表示側に更に「AUTO」の文字が刻設されており、マーカー139を「AUTO」の文字に合わせると、マイクロコンピュータは上述した手動による「HI」,「LOW」の変速操作から「自動変速モード」に移行して、スプール駆動モータ21の回転力を高速用減速歯車機構39を介して高速動力伝達状態でスプール11に伝達させるべく、先ず、図5の如くスプール駆動モータ21を逆転方向へ駆動させるようになっている。
【0029】
尚、スプール駆動モータ21は、パワーレバー123の操作量に応じたモータ出力で駆動するように構成されており、このため、パワーレバー123がモータ停止状態にあるとき、スプール駆動モータ21は駆動しない。
而して、斯様にスプール駆動モータ21が逆転方向に駆動すると、機械式変速装置27の構成から、ピニオン33に噛合する低速用歯車37と高速用歯車41が共に正転し、高速用減速歯車機構39側の一方向クラッチ49の楔作用で高速用歯車41の回転が回転軸47に伝わる。そして、低速用減速歯車機構35側の一方向クラッチ45は低速用歯車37の回転を回転軸43に伝えず、回転軸47が、モータ軸31の回転速度とピニオン33と高速用歯車41とのギヤ比に対応した回転速度で高速用歯車41と共に正転する。
【0030】
このように回転軸47が正転すると、図5に示すようにこれに回り止め嵌合された大歯車65が正転し、これと噛合する小歯車63が逆転するため、小歯車63が回り止め嵌合された回転軸43が逆転し、この時、回転軸47の回転速度は大歯車65と小歯車63とのギヤ比に対応した大きさだけ増幅されて小歯車63から回転軸43に伝えられる。
従って、回転軸43は低速動力伝達状態より速い速度で回転し、増幅されたスプール駆動モータ21の回転力が回転軸43から太陽歯車67へと伝達されて、遊星歯車減速機構29,動力伝達機構17,スプール軸9,遊星歯車減速機構93からスプール11に伝達される。
【0031】
このようにスプール駆動モータ21が逆転方向に駆動することで、パワーレバー123の操作量に応じたスプール駆動モータ21の駆動力が、高速用減速歯車機構39を介してスプール11へ伝達される。
一方、マイクロコンピュータのROMには、高速用減速歯車機構39による動力伝達状態で釣糸に大きな負荷がかかった場合に、機械式変速装置27を低速用減速歯車機構35による低速動力伝達状態に自動的に切り換える所定の電流値が予め設定,記憶され、また、スプール駆動モータ21のモータ駆動回路には、スプール駆動モータ21に流れる電流値を検出する電流値検出手段(図示せず)が装着されている。
【0032】
そして、マイクロコンピュータは、電流値検出手段の検出値を基に、スプール駆動モータ21への電流値がROMに記憶された所定の電流値に達すると、釣糸に大きな負荷がかかっていると判断して、大きなトルクで魚を巻き取るためにスプール駆動モータ21を正転方向へ駆動して、モータ軸31を図4の如く正転させるようになっている。
而して、斯様にモータ軸31が正転すると、ピニオン33に噛合する低速用歯車37と高速用歯車41が共に逆転するが、一方向クラッチ45のみが低速用歯車37の回転を回転軸43に伝えるため、回転軸43はモータ軸31の回転速度及びピニオン33と低速用歯車37とのギヤ比に対応して、低速用歯車37と共に図5の高速状態より遅い速度で回転し、スプール駆動モータ21の回転力が回転軸43から太陽歯車67へと伝達されて、遊星歯車減速機構29,動力伝達機構17,スプール軸9,遊星歯車減速機構93からスプール11に伝達される。
【0033】
このように、「自動変速モード」に於て、釣糸に大きな負荷がかかると、高速用減速歯車機構39から低速用減速歯車機構35に自動的に切り換わって、スプール駆動モータ21の駆動力が、低速用減速歯車機構35からスプール11へ伝達されるようになっている。
尚、ROMに記憶される負荷検出設定値は、上述した所定の電流値の他、色々な条件の設定が可能であり、更に、負荷の度合いにより高速状態から低速状態に、また、低速状態から高速状態に交互に自動変速するように制御してもよい。
【0034】
そして、図1に示すように制御ボックス129の操作パネル141上に装着した表示器143内に変速状態表示部145が設けられており、切換え部材135の「HI」,「LOW」,「AUTO」の切換え操作に応じ、当該変速状態表示部145に「HI」,「LOW」,「AUTO」の文字が表示されるようになっている。
本実施形態に係る魚釣用電動リール119はこのように構成されているから、魚釣用電動リール119を保持する手の指Fでのクラッチレバー133のクラッチOFF操作で釣糸がスプール11から繰り出され、また、パワーレバー123によるスプール駆動モータ21の巻取り駆動やハンドル23の巻取り操作で、スプール11に釣糸が巻回される。
【0035】
そして、パワーレバー123の操作時に、切換え部材135のマーカー139が「LOW」にセットされていると、既述したようにスプール駆動モータ21は正転し、既述した機械式変速装置27の構成から、図4の如くピニオン33に噛合する低速用歯車37と高速用歯車41が共に逆転するが、一方向クラッチ45のみが低速用歯車37の回転を回転軸43に伝えるため、回転軸43はモータ軸31の回転速度及びピニオン33と低速用歯車37とのギヤ比に対応して、低速用歯車37と共に図5の高速状態より遅い速度で回転し、このスプール駆動モータ21の回転力が回転軸43から遊星歯車減速機構29の太陽歯車67へと伝達されて、遊星歯車減速機構29から動力伝達機構17を介してスプール軸9へと伝達される。
【0036】
従って、この低速動力伝達状態では、パワーレバー123の操作で駆動制御されるスプール駆動モータ21の回転力が、低速用減速歯車機構35を介して遊星歯車減速機構29,動力伝達機構17,スプール軸9,遊星歯車減速機構93へと伝達されてスプール11が回転する。
そして、このパワーレバー123の操作時に、魚釣用電動リール119を保持する手の指Fを少しだけずらして、凸状操作部137により切換え部材135を回転操作してマーカー139を「HI」にセットすれば、スプール駆動モータ21が逆転し、この結果、スプール駆動モータ21の回転力が高速用歯車伝達機構39を介して遊星歯車減速機構29,動力伝達機構17,スプール軸9,遊星歯車減速機構93へと伝達されてスプール11が高速で回転する。
【0037】
更にまた、切換え部材135を回転操作してマーカー139を「AUTO」にセットすれば、既述したようにマイクロコンピュータが「自動変速モード」に移行し、釣糸に大きな負荷がかかると、高速用減速歯車機構39から低速用減速歯車機構35に自動的に切り換わって、スプール駆動モータ21の駆動力が低速用減速歯車機構35を介してスプール11へ伝達されることとなる。
【0038】
このように本実施形態は、電気式変速装置の変速部材たるパワーレバー123の近傍、即ち、パワーレバー123が取り付く筒状部121に機械式変速装置27の切換え部材135を装着したので、パワーレバー123を操作する手の指Fを大きく移動させることなく切換え部材135を操作することができ、この結果、これらの交互使用が容易となって、特許文献2の従来例に比し釣場の状況変化に迅速に対応できる利点を有する。
【0039】
而も、パワーレバー123の操作部124を除く領域たる筒状部121に切換え部材135を装着したため、パワーレバー123と切換え操作135の相互間の誤操作を防止することができ、また、切換え部材135をパワーレバー123の操作方向と同方向へ回転操作可能としたので、手の指Fの自然な動きを維持し乍ら、電気式及び機械式変速装置の変速及び切換え操作を違和感なく容易に行える利点を有する。
【0040】
また、既述したように本実施形態は、手動による機械式変速装置27の「HI」,「LOW」の変速操作に加えて「自動変速モード」を設定したため、実釣り状況及び熟練度(初心者,中級者,上級者)に応じて幅広い巻取り方法の選択が可能となり、状況に即したモータ駆動による巻取り操作が可能となる。
図7は請求項1に係る発明の第一実施形態を示し、本実施形態に係る魚釣用電動リール119-1は、誤操作を防止するため、パワーレバー123先端の幅広な操作部124を避けて筒状部121に取り付く基部147側表面に、機械式変速装置29の変速モード切換え部材としての押しボタン式の切換え部材149を装着したものである。
【0041】
そして、本実施形態では、斯かる切換え部材149の押圧操作に応じ、スプール駆動モータ21の回転方向が正逆両方向に交互に切り換わって、機械式変速装置29が高速用歯車伝達機構39による高速動力伝達状態と、低速用歯車伝達機構35による低速動力伝達状態に交互に切り換わるようになっており、切換え部材149の「HI」,「LOW」の切換え操作に応じ、表示器143の変速状態表示部145に「HI」,「LOW」の文字が表示されるようになっている。
【0042】
尚、その他の構成は図1の実施形態と同様であるので、同一のものには同一符号を付してそれらの説明は省略する。
このように本実施形態は、パワーレバー123先端の幅広な操作部124を避けてその基部147側表面に切換え部材149を装着したので、本実施形態によっても、パワーレバー123を操作する手の指を大きく移動させることなく切換え部材149を操作することができ、この結果、これらの交互使用が容易となって、特許文献2の従来例に比し釣場の状況変化に迅速に対応できる利点を有する。
【0043】
図8は請求項1に係る魚釣用電動リールの第二実施形態を示し、特許第3159637号公報には、パワーレバーによる電気式変速装置に加え、スプール駆動モータの回転力を減速する遊星歯車減速機構の駆動系統の一部を、手動による外部操作体の操作でON/OFFして噛み合うギヤ比を変化させることにより、スプールの回転速度を機械的に高速状態と低速状態に切り換える機械式変速装置を備えた魚釣用電動リールが開示されているが、本実施形態は、斯かる手動の切換え部材に代え、図8に示すように遊星歯車減速機構151の内歯歯車153の外周に設けたラチェット爪歯155に係合する変速切換ストッパ157を、マイクロコンピュータによるソレノイド159の駆動制御で作動させるようにして機械式変速装置161を構成したもので、変速切換ストッパ157は、トーションスプリング163のバネ力で常時ラチェット爪歯155に係合する方向に付勢されている。
【0044】
そして、スプール駆動モータ165の駆動力を低速状態でスプールに伝達させる場合、マイクロコンピュータはソレノイド159を作動し、当該ソレノイド159で変速切換ストッパ157を二点鎖線で示すようにバネ力に抗して反時計方向へ回転させて、ラチェット爪歯155から離間させることで内歯歯車153をフリー状態とするようになっている。
【0045】
一方、スプール駆動モータ165の回転力を高速状態でスプールに伝達させる場合、マイクロコンピュータはソレノイド159の作動を停止するもので、ソレノイド159が停止すると、トーションスプリング163のバネ力で変速切換ストッパ157がラチェット爪歯155に係合し、内歯歯車153の回転が停止して遊星歯車減速機構151が高速状態に切り換わるようになっている。
【0046】
そして、図示しないが、本実施形態に係る魚釣用電動リール167も、図7の実施形態と同様、パワーレバー先端の幅広な操作部を避けてその基部の表面に、機械式変速装置161の変速モード切換え部材としての押しボタン式の切換え部材を装着したもので、切換え部材の押圧操作に応じソレノイド159がON/OFFして、機械式変速装置161(遊星歯車減速機構151)が低速状態と高速状態とに切り換わるようになっている。
【0047】
尚、その他の機械的な構造は特許第3159637号公報の電動リールと同様であるためそれらの構造説明は省略する。
而して、本実施形態によっても、パワーレバーを操作する手の指を大きく移動させることなく切換え部材を操作することができ、この結果、電気式変速装置と機械式変速装置161の交互使用が容易となって、特許文献2の従来例に比し釣場の状況変化に迅速に対応できる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】請求項1乃至請求項3の一実施形態に係る魚釣用電動リールの平面図である。
【図2】図1に示す魚釣用電動リールの要部切欠き平面図である。
【図3】図1に示す魚釣用電動リールの要部拡大断面図である。
【図4】機械式変速装置と遊星歯車減速機構,動力伝達機構の歯車の回転方向を説明する模式図である。
【図5】機械式変速装置の歯車の回転方向を説明する模式図である。
【図6】パワーレバーと切換え部材の動きを説明するこれらの正面図である。
【図7】請求項1の第一実施形態に係る魚釣用電動リールの要部平面図である。
【図8】請求項1の第二実施形態に係る魚釣用電動リールの要部切欠き断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 フレーム
3 リール本体
5,7 側板
9 スプール軸
11 スプール
17 動力伝達機構
21,165 スプール駆動モータ
23 ハンドル
27,161 機械式変速装置
29,93,151 遊星歯車減速機構
33 ピニオン
35 低速用減速歯車機構
37 低速用歯車
39 高速用減速歯車機構
41 高速用歯車
43,47 回転軸
45,49,89 一方向クラッチ
63 小歯車
65 大歯車
109 ハンドル軸
119,119-1,167 魚釣用電動リール
121 筒状部
123 パワーレバー
124 操作部
125 ポテンショメータ
129 制御ボックス
131 クラッチ機構
133 クラッチレバー
135,149 切換え部材
137 凸状操作部
139 マーカー
141 操作パネル
143 表示器
145 変速状態表示部
155 ラチェット爪歯
157 変速切換ストッパ
159 ソレノイド
163 トーションスプリング





 

 


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