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発明の名称 コンバイン
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−151515(P2007−151515A)
公開日 平成19年6月21日(2007.6.21)
出願番号 特願2005−355297(P2005−355297)
出願日 平成17年12月8日(2005.12.8)
代理人 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
発明者 野村 浩久 / 中田 憲二 / 横田 耕栄 / 竹村 文男
要約 課題
扱胴先端部において、詰まりが起こりにくいソリッド歯や扱胴先端部付近の形状を提供する。

解決手段
穀稈を脱穀するための扱胴と、該扱胴の外周に配設する扱歯101とを備え、穀稈入口側に穀稈を整列させるための整疏歯を具備したコンバインにおいて、前記整梳歯をソリッド歯で構成し、大ソリッド歯104と小ソリッド歯105を交互に偶数個配置した。また、前記扱胴の前面を覆う前部カバー102の扱胴軸心に対する傾斜を、前記ソリッド歯104、105を取り付ける扱胴先端部の斜面の傾斜角よりも大きくした。
特許請求の範囲
【請求項1】
穀稈を脱穀するための扱胴と、該扱胴の外周に配設する扱歯とを備え、穀稈入口側に穀稈を整列させるための整梳歯を具備したコンバインにおいて、
前記整梳歯をソリッド歯で構成し、大ソリッド歯と小ソリッド歯を交互に偶数個配置したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記ソリッド歯を略らせん状に配置し、該ソリッド歯の始端部と隣接するソリッド歯の後部が扱胴回転軸方向から見て重複するように配置したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記扱胴の前面を覆う前部カバーの扱胴軸心に対する傾斜を、前記ソリッド歯を取り付ける扱胴先端部の斜面の傾斜角よりも大きくしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンバイン。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの脱穀装置に係り、詳しくは穀稈を扱胴へと送り込む扱胴始端部の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、扱胴先端の先窄まり部分には、移送されてくる茎稈の穂先部分を梳き延ばして脱穀されやすい姿勢にそろえることで、穀稈が絡まって穂切れや稈切れが生じるのを防止するための整梳歯が取り付けられている。
また、整梳歯の形状については、特許文献1や実用新案文献2、3のように板状部材によって構成されているものもある。
また、扱胴先端の扱胴駆動軸の前方には、扱胴駆動軸の軸受部に塵挨が入ってくるのを防ぐため脱穀前部カバーが機体側に装着されている。
【特許文献1】特開平6−253559号公報
【特許文献2】実開昭58−083248号公報
【特許文献3】実開昭56−003749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、近年、稲の倒伏刈り及び麦刈り作業において作業の高速化が進み、稈切れもしくは穂切れした枝梗などの残留物が扱胴先端の部分に堆積し、取り込み処理が追いつかなくなり、詰まり易くなっていた。
また、複数条刈りのコンバインなどでは、一度に大量の穀稈が送り込まれてくるため、厚みのある束になってしまい、脱穀前部カバーの形状によっては同じく扱胴先端で詰まりが発生する要因となっていた。すなわち、前部カバーに沿って供給された穀稈は、段差(平面部)がある場合は、穂先部分が扱胴入口部に突き当たり一瞬の間停滞する。一方、稈元はフィードチェンで一定の速度で送られており、そこで、穂先遅れが発生し扱歯で多量に切断されてしまい、扱口での詰まりや能率低下、枝梗等の残留物の発生等につながる。
そこで本発明では、かかる課題に鑑み、扱胴前端部において、詰まりが起こりにくい前カバーと扱歯を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、穀稈を脱穀するための扱胴と、該扱胴の外周に配設する扱歯とを備え、穀稈入口側に穀稈を整列させるための整梳歯を具備したコンバインにおいて、前記整梳歯をソリッド歯で構成し、大ソリッド歯と小ソリッド歯を交互に偶数個配置したものである。
【0006】
請求項2においては、前記ソリッド歯を略らせん状に配置し、該ソリッド歯の始端部と隣接するソリッド歯の後部が扱胴回転軸方向から見て重複するように配置したものである。
【0007】
請求項3においては、前記扱胴の前面を覆う前部カバーの扱胴軸心に対する傾斜を、前記ソリッド歯を取り付ける扱胴先端部の斜面の傾斜角よりも大きくしたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0009】
請求項1においては、扱胴先端部に大量に流入してくる穀稈との接触面積を変化させることにより、扱胴後部へ穀稈をスムースに送り出すことが可能となる。
【0010】
請求項2においては、重複させることにより、穀稈に対しソリッド歯が接触する面積が広くなり、穀稈の向きを揃えやすくなるため、扱胴後部へ穀稈をスムースに送り出すことが可能となる。
【0011】
請求項3においては、従来存在したカバーの突出部分を無くし、扱胴先端部の形状に沿う形状にしたことにより、扱胴先端部での穀稈の詰まりを減少し、扱胴後部へ穀稈をスムースに送り出すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係るコンバインの全体的な構成を示した左側面図、図2はコンバインの平面図、図3はコンバインの右側面図、図4は脱穀部の左側面断面図、図5は脱穀部後部及び排藁処理部の側面断面図、図6は脱穀部後部及び排藁処理部の平面断面図、図7は扱胴の左側面図、図8は扱胴の正面図、図9は扱胴および前部カバー付近の左側面図である。
【実施例1】
【0013】
以下では図1乃至図3を用いて本発明に係るコンバインの実施の一形態であるコンバイン1の概略構成について説明する。
コンバイン1は稲の収穫作業、より詳細には圃場(田圃)を走行しつつ圃場から稲の穀稈を刈り取り、穀粒(稲籾)を脱穀するものである。本実施例のコンバイン1は、刈り取られた穀稈のうち、稲籾の付いた穂先部のみを脱穀にかける自脱型のコンバインである。
コンバイン1の最下部の構造体を成すトラックフレーム2の左右には走行クローラ3L・3Rが設けられ、トラックフレーム2の上に機台4が設けられる。機台4上には脱穀部5が設けられる。脱穀部5は扱胴6、フィードチェン7等を具備する。機台4上における脱穀部5の前方には刈取部8が設けられ、機台4上における脱穀部5の後方には排藁処理部9が設けられる。排藁チェン10はその始端がフィードチェン7に臨み、かつ終端が排藁処理部9に臨む位置に配置され、フィードチェン7から排藁(稲籾が脱穀された後の穀稈)を受け取り、排藁処理部9に搬送する。
【0014】
刈取部8は圃場から稲の穀稈を刈り取り、脱穀部5に搬送するものである。
脱穀部5は刈取部7から搬送されてきた穀稈から稲籾を脱穀するものであり、フィードチェン7で穀稈の根元部を把持しつつ後方に搬送する間に穀稈の穂先部を扱胴6に接触させて稲籾を穀稈から分離(脱穀)する。
【0015】
脱穀部5にて脱穀された稲籾は、脱穀部5の下方に設けられた選別部にて風力選別や揺動選別により籾と藁屑や塵埃等と分離された後、精粒は揚穀筒11を経て脱穀部5の右側方に設けられたグレンタンク12に搬入され、貯溜される。また、グレンタンク12には排出オーガ13が連通接続されており、排出オーガ13を作動することによりグレンタンク12に貯溜された精粒をグレンタンク12の外部に搬出することが可能である。
【0016】
次に、脱穀部5について図4を用いて説明する。
図4に示すごとく、脱穀部5に形成された扱室20には機体の前後方向に軸架する扱胴6を内設させ、扱口21より該扱室20に穀稈を挿入するよう構成している。前記扱室20下方にクリンプ網31を張架させ、揺動選別板32は前記クリンプ網31下方に前端を臨ませて前後方向に揺動自在に支持されている。
前記クリンプ網31の下方に揺動選別板32の第一・第二フィード板33・34を上下二段に配設し、ストローラック40を前フィード板33の後端側に上下揺動自在に設け、チャフシーブ35を後フィード板34後端後方に連設し、また、グレンシーブ36をチャフシーブ35下方に配設している。また、チャフシーブ35の後部には、固定チャフ部37が配されている。
【0017】
また、図5および図6に示すように、扱胴6の機体進行方向(後面視)右側には、送塵口二番処理胴41を並設し、側面視において、その前部を扱胴6の後部にラップさせ、扱胴6で処理しきれなかった穂切粒・枝梗付着粒等を処理し、送塵口二番処理胴41の下部に配するクリンプ網41aより脱粒された穀粒をチャフシーブ35及び固定チャフ部37上に落下させるようにしている。
前記送塵口二番処理胴41の下部には、搬送体86が、送塵口二番処理胴41と平行に平面視で重複するように前後方向に横設されており、該搬送体86によって、送塵口二番処理胴41からクリンプ網41aを介して落下する穀粒等を受け、該穀粒等を前方、すなわち送塵口二番処理胴41による脱粒物の送り方向と反対方向に搬送して、揺動選別板32上に排出するように構成されている。
また、揺動選別板32後部下面は、クランク軸等の揺動駆動機構50によって揺動駆動可能に連結されている。
【0018】
また、両フィード板33・34の上下間に選別風を送給するプレファンである送塵ファン38と、チャフシーブ35とグレンシーブ36間及びグレンシーブ36下方に選別風を送給するメインの送風装置である唐箕22からの送風により、クリンプ網31・41aを漏下した穀粒の拡散が行なわれる。そして、穀粒と穀粒藁とが比重選別と風選別により一番物と二番物と藁屑等に選別が行なわれる。
尚、前フィード板33、後フィード板34の上側表面は、板体を波状に成型し、穀粒を後方に搬送しやすい形状をしている。
【0019】
前記グレンシーブ36下方に横設される一番コンベア23は、揚穀コンベア24に連通して前記グレンタンク12に穀粒を取り出す構成としている。
また、一番コンベア23の後方には、二番コンベア25が横設され、該二番コンベア25に回収される二番物を、二番還元コンベア26に搬送する。そして、該二番還元コンベア26により、二番物は、該二番還元コンベア26の前方側端部に連結した二番処理装置27まで搬送され、該二番処理装置27内の二番処理胴により枝梗を除去された後、揺動選別板32の選別開始部に再投入される構成となっている。
【0020】
このような構成において、前記フィードチェン7により挟持された穀稈は、後方へ搬送されながら前記脱穀部5の扱室20に備えられた扱胴6の回転によって脱粒され、排藁等は後方の排藁カッター52に送られて切断後に後方より圃場に放出される。
一方、クリンプ網31を漏下した穀粒・藁屑等は、揺動選別板32上に落ち、そこで揺動選別されながら後方へ送られる。そして、この穀粒・藁屑等は、前記チャフシーブ35やグレンシーブ36等を通過して流穀板等にガイドされながら一番樋上に落下し、その落下途中において、送塵ファン38及び唐箕22から供給された選別風によって風選別が施される。
【0021】
また、前記揺動選別板32の後端上方には、吸引ファン60が配設され、該吸引ファン60により、揺動選別板32上に浮遊する塵埃等を吸引し、吸引ファン排気口61より機体後部に排出している。
【0022】
グレンタンク12の前方には運転キャビン14が設けられ、運転キャビン14の内部には操向ハンドル等からなる運転操作部15や運転席16が設けられる。運転キャビン14の下方にはコンバイン1の駆動源たるエンジン17が設けられる。
【0023】
図7及び図8に示すように、前記扱胴6は先端(前部)の円錐台状の先窄まり部分102と、この先窄まり部分102の後部に連設される筒部103よりなり、該筒部103外周には適宜間隔をあけて多数の扱歯101が取り付けられている。そして前記先窄まり部分102から筒部103の前端に亘る外周に、穂先梳き伸ばし用の整梳歯として、第一ソリッド歯104及び第二ソリッド歯105が交互に複数取り付けてある。本実施例ではそれぞれ二組設けられ、180度毎に配置されている。
前記第一ソリッド歯104及び第二ソリッド歯105は正面視において板体を略三日月状に構成しており、第二ソリッド歯105は第一ソリッド歯104に比して大きく構成しており、第二(大)ソリッド歯105と第一(小)ソリッド歯104と交互に配置し、それぞれの両端部が正面視で重複するように配置している。すなわち、第一ソリッド歯104の扱胴回転方向下手側の端部後方に第二ソリッド歯105の扱胴回転方向上手側の端部が配置され、第二ソリッド歯105の扱胴回転方向下手側の端部後方に次の第一ソリッド歯104の扱胴回転方向上手側の端部が配置されるように螺旋状に配置されている。
【0024】
前記第一ソリッド歯104及び第二ソリッド歯105の基部(先窄まり部分102取付側)にはそれぞれ固定用のステーが折り曲げ形成されている。具体的には、第一ソリッド歯104は、前方及び後方にステー104a・104aを折り曲げて、扱胴6外周にボルトナット等により固設されている。前記第一ソリッド歯104は扱胴回転方向(図8の矢印A方向)上手側から下手側に向かうにつれて、扱胴軸方向前方に傾斜させている。
なお、第一ソリッド歯を扱胴に固設する方法としては、ボルトナットによる固設だけでなく、溶接などの方法を用いても良い。
【0025】
また、第二ソリッド歯105は、第一ソリッド歯104と略同一の構造であるが、本実施例では、扱胴回転方向上手側が前方に複数のステー105a・105a・105aを折り曲げ、後方に一つステー105aを折り曲げて形成している。なお、ステーの形状や数は限定するものではない。
【0026】
このように構成することにより、穀稈切れ、穂切れを起こした残留物に、第一ソリッド歯104及び第二ソリッド歯105を交互に作用させて変化を与え、取り込みやすくする。また、連続して配列することにより、穀稈に急激な衝撃を与えないようにすることが可能となり、扱胴先端部に大量に流入してくる穀稈との接触面積を変化させることにより、扱胴後部へ穀稈をスムースに送り出すことが可能となる。
【0027】
なお、第一ソリッド歯104及び第二ソリッド歯105は鋳造や鍛造によって薄肉状に形成されたものでも良く、これら鋳物材や板材を総称して「板状部材」と定義するものである。
【0028】
次に扱胴6先端の先窄まり部分102の前部付近について、図9用いて説明する。
扱胴6の先端部は、先端に近づくにつれ断面積が小さくなる円錐台状に形成されており、先が窄まった形状となっている。この先窄まり部分102の前方には、扱胴6の駆動軸部への塵埃や穀稈等の侵入や絡みつき等を防ぐための前部カバー110が装着されている。また前部カバー110の穂先側には穂先部分を扱胴6の周面に合わせるためのガイド板111が取り付けられている。
また、前部カバー110の前方には、供給板112が取り付けられており供給板112の下部には、穂先ガイドゴム113が取り付けられている。前記穂先ガイドゴム113の取り付け部113aは可動するように構成されており、供給板112と略一直線上に設けてある。
【0029】
前記前部カバー110は、後部に向けて扱胴6の軸心方向に対して傾斜をつけており、最後部で先窄まり部分102の先端部となだらかに連続する形状としている。すなわち、前記前部カバー110は扱胴6前部の駆動軸や軸受部に塵埃の侵入を防ぐ役割とともに、穀稈を扱胴6へと導くガイドの役割も果たしており、先窄まり部分102となだらかに連続させることによって、スムースに穀稈を扱胴6へと案内することが可能となるためである。
【0030】
本実施例では、前部カバー110の傾斜角度θ1と先窄まり部分102の傾斜角度θ2では、θ2の方がθ1よりも大きな傾斜をつけている。これによって、よりスムースに穀稈を扱胴6へと案内することが可能となる。
なお、本実施例では、前部カバーの形状は平面を組み合わせたものであり、該平面に傾斜を付けているが、前部カバー全体の形状を円錐形状にすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施例に係るコンバインの全体的な構成を示した右側面図。
【図2】コンバインの平面図。
【図3】コンバインの左側面図。
【図4】脱穀部の右側面断面図。
【図5】脱穀部後部及び排藁処理部の側面断面図。
【図6】脱穀部後部及び排藁処理部の平面断面図。
【図7】扱胴の側面図。
【図8】扱胴の正面図。
【図9】扱胴および前部カバー付近の側面図。
【符号の説明】
【0032】
1 コンバイン
5 脱穀部
6 扱胴
102 先窄まり部分
104 第一ソリッド歯
105 第二ソリッド歯
110 前部カバー
111 ガイド板
112 供給板
113 穂先ガイドゴム




 

 


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