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発明の名称 作業車両
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−37462(P2007−37462A)
公開日 平成19年2月15日(2007.2.15)
出願番号 特願2005−225487(P2005−225487)
出願日 平成17年8月3日(2005.8.3)
代理人
発明者 加藤 哲
要約 課題
田植機の操作装置において、変速レバーのグリップ部の下げスイッチを操作して、上昇位置にある苗植付部を植付位置より少し上方で停止させ操作を容易化する。

解決手段
走行車両に対して昇降アクチュエータにより昇降する苗植付部を設け、この苗植付部を接地させた状態での作業時に、走行車両に対する苗植付部の昇降位置を検出する昇降位置検出手段を設け、上昇状態にある苗植付部を、昇降位置検出手段の検出結果に基づいて下降させ、地面から所定高さの位置で停止しその位置に保持する下降操作手段を設ける。
特許請求の範囲
【請求項1】
走行車両(2)に対して昇降アクチュエータ(22)により昇降する作業部(8)を設け、該作業部(8)を接地させた状態での作業時における前記走行車両(2)に対する作業部(8)の昇降位置を検出する昇降位置検出手段(36)を設け、上昇状態にある前記作業部(8)を、前記昇降位置検出手段(36)の検出結果に基づいて下降させ、地面から所定高さの位置で停止し保持する下降操作手段(33)を設けたことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
走行車両(2)に対して昇降アクチュエータ(22)により昇降する作業部(8)を設け、該作業部(8)を接地させた状態での作業時における前記走行車両(2)に対する作業部(8)の昇降位置を検出する昇降位置検出手段(36)を設け、上昇状態にある前記作業部(8)を前記昇降位置検出手段(36)の検出結果に基づいて下降させるにあたり、接地検出手段(35)により作業部(8)の接地を検出すると作業部(8)を対地浮上させる下降操作手段(33)を設けたことを特徴とする作業車両。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両の操作装置に関するもので、車速を変速する変速レバーに、作業装置を昇降する昇降スイッチや、作業伝動を司る作業スイッチを設けたもので、田植機、トラクタ、コンバイン等に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
作業車両の操作装置において、変速レバーのグリップ部に作業装置の昇降用の昇降スイッチと、作業装置の伝動クラッチを作動する作業スイッチを設けたものは公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−84636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来技術では、変速レバーのグリップ部の昇降スイッチを人為的に操作することにより、作業装置の連続昇降、及び、昇降と停止を繰り返しながらの小きざみな昇降をさせるものである。従って、作業装置の作業開始にあたり、作業装置を作業位置より少し上方で自動的に停止することができず操作が難しいという不具合があった。そこで、この発明はこのような不具合を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、走行車両(2)に対して昇降アクチュエータ(22)により昇降する作業部(8)を設け、該作業部(8)を接地させた状態での作業時における前記走行車両(2)に対する作業部(8)の昇降位置を検出する昇降位置検出手段(36)を設け、上昇状態にある前記作業部(8)を、前記昇降位置検出手段(36)の検出結果に基づいて下降させ、地面から所定高さの位置で停止し保持する下降操作手段(33)を設けたことを特徴とする作業車両とする。
【0005】
前記構成によると、下降操作手段(33)を操作すると、走行車両(2)に対して上昇状態にある作業部(8)は、昇降アクチュエータ(22)により下降されて作業位置から高い地面から所定高さの位置で停止し保持される。
【0006】
請求項2の発明は、走行車両(2)に対して昇降アクチュエータ(22)により昇降する作業部(8)を設け、該作業部(8)を接地させた状態での作業時における前記走行車両(2)に対する作業部(8)の昇降位置を検出する昇降位置検出手段(36)を設け、上昇状態にある前記作業部(8)を前記昇降位置検出手段(36)の検出結果に基づいて下降させるにあたり、接地検出手段(35)により作業部(8)の接地を検出すると作業部(8)を対地浮上させる下降操作手段(33)を設けたことを特徴とする作業車両とする。
【0007】
前記構成によると、下降操作手段(33)を操作すると、走行車両(2)に対して上昇状態にある作業部(8)は、昇降アクチュエータ(22)により下降され、接地検出手段(35)により作業部(8)の接地を検出すると、作業部(8)は対地浮上位置まで上昇して停止する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明は、作業部(8)を作業開始位置まで移動するときに、作業部(8)を対地浮上させた所望の位置に下降させて保持できるので、作業部(8)がオペレータの視界を遮るのを抑制し畔際での走行が容易になり、また、作業部(8)の作業開始位置への位置合せが容易となり、また、誤作動により作業部(8)を接地したままで走行するようなこともなく、作業部(8)の破損を防止することができる。
【0009】
請求項2の発明は、作業部(8)を作業開始位置まで移動するときに、車輪が凹部に嵌まり込む等の原因で作業部(8)が接地した場合にも対地浮上させた位置で待機させることができ、作業部(8)がオペレータの視界を遮るのを抑制して畔際での走行が容易になり、また、作業部(8)の作業開始位置への位置合せが容易となり、また、誤作動により作業部(8)を接地したままで走行するようなこともなく、作業部(8)の破損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態について以下図面に基づき説明する。
図1には本発明を具備する乗用田植機の全体側面図、図2にはその全体平面図が図示されている。乗用田植機1の走行車体2の前後部には四輪駆動可能な左右前輪3,3及び左右後輪4,4を設け、ステアリングハンドル5、座席6、エンジン7、苗植付部8及び各種機器を制御する制御部(図示省略)を備えている。
【0011】
苗植付部8は農作業装置の一実施例を示すもので、機体後部に昇降リンク機構11を介して苗植付部8を昇降可能に連結している。この苗植付部8は苗送り出し装置12、複数条の苗植付装置13,…、肥料や薬剤を散布する施肥部14、圃場を均平整地するフロート15、無段変速装置HST変速操作用の変速レバー17、副変速装置(図示省略)変速操作用の副変速レバー18等を備え、フロート15のセンターフロート15aは、苗植付部8に対して傾斜検出可能に設けられた平板状の浮き体であり、圃場面を均平整地すると共に植付面の高さを検出するものである。また、前記昇降リンク機構11は昇降シリンダ22の伸縮により昇降される。
【0012】
エンジン7の動力は主変速装置である無段変速装置HST、及び、ミッションケース9内の副変速装置(図示省略)を経て前輪3,3及び後輪4,4に伝達され、また、PTOクラッチケース21のPTOクラッチ(図示省略)を経て苗植付部8へ動力が伝達され、走行車体2の走行に合わせて多条の苗を植え付けるものである。
【0013】
また、無段変速装置HSTはミッションケース9の上部に配設されていて、変速レバー17により変速される。この変速レバー17を中立位置に操作すると走行停止状態となり、変速レバー17を中立位置から前側に操作すると前進走行状態となり、中立位置から後側に操作すると後進走行状態となり、変速レバー17の操作角度に応じて前後進速度を増減する構成である。
【0014】
また、前記昇降シリンダ22を伸縮する油圧回路の昇降制御弁46と、PTOクラッチケース21のPTOクラッチ(図示省略)とは電動モータあるいはステッピングモータ等で構成されるアクチュエータ23によって、操作駆動機構(図示省略)を介して連動されている。
【0015】
また、図3に示すように、前記変速レバー17のグリップ部17aには、上げスイッチ32、下げスイッチ33及び下降/作業スイッチ34が設けられていて、これらの上げスイッチ32、下げスイッチ33のON/OFF操作は制御部31を経由して昇降制御弁46のソレノイドに出力されて苗植付部8を昇降し、また、変速レバー17の下降/作業スイッチ34のON/OFF操作は制御部31を経由して昇降制御弁46のソレノイド及び前記アクチュエータ23に出力されて、苗植付部8の下降及びPTOクラッチ(図示省略)入作動をする構成である。
【0016】
また、図4に示すように、制御部41の入力側には、次のように操作装置となる各種スイッチ類及びセンサ類が接続されている。即ち、上げスイッチ32、下げスイッチ33、下降/作業スイッチ34、前記センターフロート15aの昇降状態を検出するフロートセンサ35、前記昇降リンク機構11の昇降状態を検出する昇降リンクセンサ36、前記変速レバー17の変速位置を検出する変速レバーセンサ37、圃場の硬軟を検出する硬軟センサ38、走行車体2の左右傾斜状態を検出する機体左右傾斜センサ39、昇降リンク機構11のローリング軸11aに対する苗植付部8の左右傾斜回動を検出する苗植付部ローリングセンサ40及び水流センサ41が、制御部31の入力側に接続されていて、各種信号が制御部31に入力される。
【0017】
なお、硬軟センサ38は、図1に示すように、センターフロート15aの後端部に上下回動自在に軸支されていて、その下端部はセンターフロート15aの下面よりも下方に突出して土壌面に接触しながら上下回動し土壌の硬軟を検出する構成である。
【0018】
また、制御部31の出力側には、昇降制御弁46、変速レバー駆動用のHSTモータ47、苗植付部ローリングモータ48が接続されていて、制御部31から各種機器に制御指令が出力される。
【0019】
次に、図5に基づき制御部31の制御内容を説明する。
制御を開始すると、下降/作業スイッチ34により苗植付部8の下降操作をしたか否かを判定し(ステップS1)、下降/作業スイッチ34を下降操作していると、硬軟センサ38が接地を検出するまで連続下降出力して苗植付部8を下降する(ステップS2)。硬軟センサ38の接地を検出すると連続下降を停止し、次いで、フロートセンサ35が作業状態を検出するまで下降パルス出力をして苗植付部8を下降させる(ステップS3)。
【0020】
このように、硬軟センサ38が接地するまでは連続下降出力により速く下降し、次いで、フロートセンサ35が作業状態を検出するまでは下降停止を繰り返しながら苗植付部8をゆっくり下降させるので、作業能率を高めながらフロート15の急激な着地を防止し耐久性を高めることができる。
【0021】
次いで、上げスイッチ32により苗植付部8の上昇操作をしたか否かの判定をし(ステップS4)、上昇操作をしていると、現在の昇降リンクセンサ36の検出値aを記憶し(ステップS5)、最上昇位置まで連続上昇出力をして苗植付部8を最上昇位置まで上昇させ(ステップS6)、次いで、下げスイッチ33を操作したか否かの判断をする(ステップS8)。
【0022】
また、下降/作業スイッチ34により苗植付部8の下降操作をしたか否かを判定し(ステップS1)、下降操作なしのときには、次いで、上げスイッチ32により苗植付部8の上昇操作ありか否かを判定し(ステップS7)、上げスイッチ32の上昇操作ありのときは前記ステップS6に移行し、また、上げスイッチ32による上昇操作なしのときには(ステップS7)、前記ステップS8に移行する。
【0023】
下げスイッチ33を操作したか否かの判断をし(ステップS8)、下げスイッチ33の操作なしのときにはステップS1に戻り、また、下げスイッチ33の操作ありのときには(ステップS8)、次いで、変速レバーセンサ37の検出値が後進位置か否かの判断をし(ステップS9)、変速レバーセンサ37の後進位置検出のときには、HSTモータ47に最低速出力をして無段変速装置HSTを最低速度で駆動する(ステップS10)。前記構成により、畔際では低速走行により植付作業をすることができ、容易に苗の植え始め位置を揃えることができる。
【0024】
次いで、変速レバーセンサ37の検出値に応じて下降出力をし苗植付部8を下降させる。即ち、走行速度が速いときには苗植付部8を速く下降し、走行速度が遅いときには苗植付部8を遅く下降させる(ステップS11)。従って、走行速度が変化しても苗の植付開始位置を揃えることができる。なお、図7は前後進速度に対する苗植付部8の下降速度の関係を示すグラフである。
【0025】
次いで、機体左右傾斜センサ39の検出値よりも苗植付部ローリングセンサ40の検出値の方が変化量が大きいか否かの判定をし(ステップS12)、苗植付部ローリングセンサ40の変化量が大きいときには、苗植付部ローリングセンサ40の検出値が所定基準値に戻るまで連続上昇出力をし苗植付部8を上昇させ(ステップS13)、また、苗植付部ローリングセンサ40の変化量が大きくないときには(ステップS12)、後述のステップS14に移行する。前記構成により、苗植付部8の左右の傾きを抑制し苗植付部8の畔への衝突を防止することができる。
【0026】
次いで、昇降リンクセンサ36の検出値が「前回の下作業降位置a+α」に到達したか否かを判定し(ステップS14)、「前回の下降作業位置a+α」に到達していると下降出力を停止して苗植付部8を停止し(ステップS15)、また、「前回の下降作業位置a+α」に到達していないときには前記ステップS11に戻る。このようにすることにより、苗植付部8を作業下降位置の少し手前で待機させることができ、苗植付部8の地面への突入を防止することができる。
【0027】
次いで、フロートセンサ35の検出値が接地状態か否かの判定をし(ステップS16)、検出値が接地状態になると、フロートセンサ35の検出値が非接触状態となるまで連続上昇出力し苗植付部8を上昇させ(ステップS17)、また、検出値が接地状態でないと、ステップS1に戻る。前記構成により、乗用田植機1の車輪が圃場の凹部に嵌まり込んだときにも、苗植付部8のセンターフロート15aの地面への突入を防止しながら苗植付位置の手前で待機させることができる。
【0028】
次に、図8に基づき苗植付部8の昇降制御装置の他の実施例について説明する。フロートセンサ35の検出値により苗植付部8の昇降制御をするにあたり、図8(A)に示すように、所定時間内に基準値に対して高/低の検出を複数回繰り返す場合には、図8(B)に示すように、繰り返し検出回数が多いほど昇降制御弁46作動用ソレノイドに対する上昇及び下降パルスの出力を鈍感側に補正する。前記構成により、苗植付部8の昇降制御のハンチングを防止し、昇降制御を安定させることができる。
【0029】
次に、図9及び図10に基づき乗用田植機1の走行制御について説明する。
左右フロート15b,15cの左右両側部には、図9に示すように、水流センサ41,41の前側端部を縦方向のピンで軸支し、左右方向への回動状態により水田走行時の水の流れの大小を検出し、前記制御部31に検出値を入力するように構成している。
【0030】
制御を開始すると、図10に示すように、水流センサ41の検出値が基準値より大きいか否かの判定をし(ステップS1)、検出値が基準値より大のときには、前記HSTモータ47に減速出力し無段変速装置HSTを所定速度まで減速し、また、検出値が基準値より大でないときには、前記HSTモータ47への前記減速出力を解除し、無段変速装置HSTの走行速度を通常速度に復帰させる。前記構成により、車輪による植付苗の押し倒しを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】乗用田植機の全体側面図
【図2】乗用田植機の全体平面図
【図3】変速レバーの側面図、背面図
【図4】制御ブロック図
【図5】フローチャート
【図6】フローチャート
【図7】走行車体の前後進速度に対する苗植付部の下降速度の関係を示すグラフ
【図8】(A)フロートセンサの検出値を示すグラフ (B)苗植付部の昇降感度を示すグラフ
【図9】フロート部の平面図
【図10】フローチャート
【符号の説明】
【0032】
1 乗用田植機
2 走行車両(走行車体)
22 昇降アクチュエータ(昇降シリンダ)
31 制御部
33 下降操作手段(下げスイッチ)
35 接地検出手段(フロートセンサ)
36 昇降位置検出手段(昇降リンクセンサ)




 

 


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