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発明の名称 苗植機の苗植付爪
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−37444(P2007−37444A)
公開日 平成19年2月15日(2007.2.15)
出願番号 特願2005−224268(P2005−224268)
出願日 平成17年8月2日(2005.8.2)
代理人
発明者 神谷 寿 / 玉井 利男 / 加藤 哲 / 中西 康仁 / 草本 英之 / 福井 享 / 山口 信 / 林 靖浩 / 川田 誠
要約 課題
苗植付爪は、ダブルクランク機構形態の高速回転駆動によって略円弧状の昇降軌跡線を描いて、苗タンクから供給されるマット状苗の苗床を分離して、土壌面に植付ける。このため苗床部を分離するときの摩擦抵抗が大きいと、苗根や苗身部等を損傷し易く、苗植付姿勢も乱れ易くなる。又、植付爪の先端針部の形態によって大きく振動させたり、苗分離や、苗植付等の姿勢が乱れ易く、安定した苗植付姿勢を維持できないことが多い。

解決手段
先端部に二又平行状の針部(1)を形成すると共に、この各針部(1)は欠円断面形状にして平らな針腹面(2)を形成し、この針腹面(2)の外側縁に沿う針角縁(3)を、針先側から基部にわたって順次内側へ傾斜させて形成したことを特徴とする苗植機の苗植付爪の構成とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
先端部に二又平行状の針部(1)を形成すると共に、この各針部(1)は欠円断面形状にして平らな針腹面(2)を形成し、この針腹面(2)の外側縁に沿う針角縁(3)を、針先側から基部にわたって順次内側へ傾斜させて形成したことを特徴とする苗植機の苗植付爪。
【請求項2】
前記針腹面(2)の腹面幅を、針先側から基部にわたって順次狭くなるように形成したことを特徴とする請求項1に記載の苗植機の苗植付爪。
【請求項3】
前記左右針部(1)の針腹面(2)側基部間にわたって、苗身部を受ける苗受溝(4)を形成の連結部(5)を薄く一体成形したことを特徴とする請求項1、又は2に記載の苗植機の苗植付爪。
【請求項4】
前記針腹面(2)と反対側の針背面(6)側に沿って、基部側の取付基準面(7)に対して、針又部背面(8)、及び針先側の針先部背面(9)を、順次針腹面(2)側へ向うように順次傾斜乃至湾曲成形したことを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の苗植機の苗植付爪。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、苗植機の苗植付爪に関し、マット状育苗を用いて田植えする形態の苗植機において、その苗床分離、及び植付作用にあたり、苗床の分離性を良好にし、かつ、苗損傷を少くする植付爪の形状とするものである。
【背景技術】
【0002】
苗植付爪に二又平行状の針部をロストワックス(鋳型)成形する技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【特許文献1】特開平11ー32528号公報(第3頁、図1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
苗植付爪は、ダブルクランク機構形態の高速回転駆動によって略円弧状の昇降軌跡線を描いて、苗タンクから供給されるマット状苗の苗床を分離して、土壌面に植付ける。このため苗床部を分離するときの摩擦抵抗が大きいと、苗根や苗身部等を損傷し易く、苗植付姿勢も乱れ易くなる。又、植付爪の先端針部の形態によって大きく振動させたり、苗分離や、苗植付等の姿勢が乱れ易く、安定した苗植付姿勢を維持できないことが多い。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、先端部に二又平行状の針部(1)を形成すると共に、この各針部(1)は欠円断面形状にして平らな針腹面(2)を形成し、この針腹面(2)の外側縁に沿う針角縁(3)を、針先側から基部にわたって順次内側へ傾斜させて形成したことを特徴とする苗植機の苗植付爪の構成とする。この苗植付爪の昇降駆動によって、上部の苗タンク部では、この苗タンクから繰出される苗床部を上側から下側へ突き刺して分離し、下方の土壌面へ差込んで植付ける。この植付姿勢の苗床部から苗植付爪を上方へ抜き外して、苗床部を土壌面の植付姿勢に維持するように残すものである。この苗植付爪先端の針部(1)が苗床部に刺込まれるときは、針先部の外側縁に形成される針角縁(3)によって苗床部の切断分離が行われる。この切断分離される苗床部は針腹面(2)に受けられるようにして保持される。又、針角縁(3)による苗床部の切断作用は針先部において行われ、この上部の針角縁(3)は針幅の最外側縁部よりも内側に位置するように傾斜しているため、苗床切断作用は殆ど行われない。
【0005】
請求項2に記載の発明は、前記針腹面(2)の腹面幅を、針先側から基部にわたって順次狭くなるように形成したことを特徴とするとするものである。前記のように苗植付爪を苗床部に刺込むとき、針部(1)の厚さが増すため、苗床部の針腹面(2)による掻取分離作用が大きくなる。このとき針腹面(2)の幅は狭くなるが、この外側縁の針角縁(3)の尖りが少くなって、苗床や苗身部を切断することが少くなる。
【0006】
請求項3に記載の発明は、前記左右針部(1)の針腹面(2)側基部間にわたって、苗身部を受ける苗受溝(4)を形成の連結部(5)を薄く一体成形したことを特徴とするものである。前記のように二又平行状の針部(1)が苗床部を分離するとき、この分離苗床部の苗身部が苗受溝(4)に沿って支持されて、苗タンク側の苗床苗身部との分離が行われ易くなる。又、この苗受溝(4)の連結部(5)は薄く形成されているため、苗床との間の分離抵抗を小さくすることができる。
【0007】
請求項4に記載の発明は、前記針腹面(2)と反対側の針背面(6)側に沿って、基部側の取付基準面(7)に対して、針又部背面(8)、及び針先側の針先部背面(9)を、順次針腹面(2)側へ向うように順次傾斜乃至湾曲成形したことを特徴とする。苗植付爪は先端側に針部(1)が長く形成されて、この針先部に分離苗床部が保持されるが、針背面(6)が植付作動軌跡線の曲線に向うように傾斜、乃至湾曲するため、苗床分離や植付時の抵抗をうけても針部の歪みを少くするとともに、局部的摩耗や損傷を少くする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明は、針角縁(3)が針先部では針幅の最外側端に形成されるため、苗床部に対する刺込、苗床分離を良好に行わせる。又、針部(1)の基部側に至るに伴って針角縁(3)が針幅の内側に形成されて、針角縁(3)の尖りも鈍くなって苗身部等を損傷し難くなる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、針部(1)の断面形態が針先側で小さく基部側で大きく形成されるため、苗床部へ刺込みや、苗床分離を円滑に行わせると共に、剛性を高めて、安定した苗床分離作用を行わせる。又、針角縁(3)の尖りを基部側では鈍くして、苗身部の損傷を防止することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、左右針部(1)間の基部が連結部(5)で薄く一体成形されるため、針部(1)が細長くても剛性を高く、安定した苗床分離、植付を行わせることができ、分離苗の苗身部を苗受溝(4)に沿わせて支持することができ、苗床部分離の抵抗力を小さくして、苗損傷を少くすることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、苗植付爪の針背面(6)を、苗植付作動軌跡線の円弧状曲線側に向けて傾斜、乃至湾曲させることによって、苗床分離時や植付時等の作用抵抗を少くし、針部(1)の局部的摩耗、損傷を少くし、剛性を高めるこことができ、安定した苗床分離や、植付を行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明の実施例を示す図面に基づいて、苗植付爪11や、苗タンク12、センタフロート13、及びサイドフロート14等から構成される多条植形態の苗植装置15が、平行リンク形態の連結リンク16を介して四輪駆動走行形態のトラクタ車体17の後部に連結される。車体17は、ステアリングハンドル18によって操向の前輪19と、後輪20を有し、運転席21下のエンジン22の駆動で伝動して走行することができる。車体17の後部上には、施肥装置23を設けて、各苗植付条のフロート13、14による均平部に施肥する。又、前部には補助苗載枠24を設けて、苗タンク12へのマット苗補給を行わせることができる。
【0013】
前記苗植装置15は、多条植形態の苗タンク12が一定幅域を左右に往復移動しながら各タンク内に収容したマット状苗を後下部の苗分離口25へ繰出すことができる。この苗分離口25は苗タンク12の後下端口を摺動案内する案内枠26に配置されて、各植付条の苗植付爪11を作動させてマット状苗床の分離、植付作動を行わせる。この苗植付爪11は、苗植フレーム27の後端部において横方向の植付軸28の周りに回転される植付ケース29の回転部に設けられる。植付ケース29の前後両端部は植付爪軸30が設けられて、この植付爪軸30の周りに回動する苗植付爪11が設けられる。植付ケース29が回転されると、内部のギヤ機構によって各苗植付爪11が植付爪軸30の周りに回動されて、各苗植付爪11の針先31が、該苗タンク12の苗分離口25と下方の土壌面との間を略楕円形状の苗植付軌跡Dを描いて作動する構成としている。又、苗植付爪11は、爪ホルダ32に取付けらて、苗押出爪33と一体的に作動される構成である。爪ホルダ32はケース状形態で、植付爪軸30に固定の固定カム34や、この固定カムに摺接するカムレバー35、苗植付爪11の針腹面3に沿って作動する押出爪ロッド36、及びこの押出爪ロッド36を押出側へ弾発するスプリング37を配置する。植付ケース29の植付軸28周り回転によって、各爪ホルダ32が平行状態を維持した状態で、苗植付軌跡線Dを描いて作動回転する。このとき、苗植付爪11が苗分離口25を下降するときは、カムレバー35が固定カム34により押されて、押出爪ロッド36をスプリング37に抗して押し出して、先端の苗押出爪33を針先31から略苗床厚さほど上昇した位置に維持させる。苗植付爪11が土壌面に達すると、カムレバー35が固定カム34から外されて、スプリング37の弾発力で押出爪ロッド36が押下げられて、苗押出爪33の下側に保持している苗床を押出して土壌面適宜の深さに刺込んで植付ける。又、この状態から爪ホルダ32が上昇するときは、カムレバー35が固定カム34によって押されて、押出爪ロッド36をスプリング37に抗して押し戻す。そして苗分離作用行程に復帰する。
【0014】
前記苗植付爪11は、爪ホルダ32の前端部の爪取付座41にビス42、43止によって着脱可能に取付られる。この爪取付座41は、押出爪ロッド36と平行状に形成される。苗植付爪11は、精密鋳造製で、略上半部は、爪取付座41に対する取付部として、ビス42、43を差込む上下一対のビス44、45を形成し、この前面は平坦面として取付基準面7を形成する。この取付基準面7と後面との平行な延長線(又は、延長面)A、B間において、針部1等の苗植付爪11が形成される。又、略下半部は、苗床の分離、植付を行う左右一対の二又状の針部1として、前面は略円弧状断面に形成され、後面は略欠円断面状にして平面形態の針腹面2を形成している。この針腹面2は内縁側に対して外縁側が後退して開く平断面視で略八字形態に形成される。このように、略丸断面形態の一対の針部1の後側面に沿って平面状の針腹面2を略取付基準面7に平行状に形成すると、この各腹面2の内側縁と外側縁には、欠円断面形態の角縁が形成される。この内側縁は平行状に針内角縁46として形成されるが、外側縁は上基部側に至るに伴って内側へ傾斜する針角縁3として形成される。即ち、左右の針部1の外側幅を一定とすれば、針角縁3間の幅は針先側から上部の針又部47にわたって順次狭くなるように形成される。このため、この各針角縁3は、針先側では尖って鋭角に形成される。針又部47側では鈍角に形成される。このため、苗植付爪11が苗床を分離するときはこの針先側の針角縁3によってのみ切断分離作用が行われて、上部の針角縁3では殆ど行われない。又、各針腹面2の上端部には、針又部47の上下部域において針身部48の後側溝面に向けて傾斜する針腹斜面52を形成する。
【0015】
前記針又部8から上端側の後面には、針部1間の間隔部に沿って苗受溝4及び連結部5が形成される。この苗受溝4は前記ビス穴44、45等を含む上端縁にまで通して形成される。又、この連結部5は薄く形成されて、左右の針部1の基部間を一体的に連結する形態で、針身部48の前半部寄位置相互間を連結して、この針身部48間に苗受溝4が形成される形態である。前記ビス穴44、45の形成される取付基準面7は、外側へ幅広く形成されて、取付状態を安定させることができる。又、ビス穴44の穴径を下側のビス穴45の穴径よりも若干大きくして、苗植付爪11の突出方向をビス穴45のビス43周りに左右へ移動させて調整可能の構成としている。
【0016】
針部1の前面は各々円弧状断面形態に形成されているが、前記取付基準面7に対して、この下側の針又部47上下域の針又部背面8が後位側へ傾斜して形成される。更に、この針又部背面8に対して下側の針先部背面9が後位置側へ傾斜して形成される。この先端の針先31では、針先部背面9の下側部において円錐曲面の針先面49が形成される。この針先面49の先端の針先31は、各針部1の針幅の中心位置よりも外側寄りの位置に偏位していて、針腹置2との交差部に沿って鋭い針先縁50、51を形成して、苗床への突き刺しや、苗床分離を円滑に行わせることができる。前記針腹面2に対して針又部背面8や針先部背面9の傾斜によって、針部1は針先31にわたるに従って順次薄くして形成される。
【0017】
前記各針部1の針腹面2の上下部には、浅く窪ませた窪み53を形成して、この摩耗状態を見ることによって、苗植使用時の苗植付爪11の摩耗度を検出することができる。又、この針部1の針腹面2は鏡面仕上げに研磨して、泥土の付着を少くし、植付精度を高めるように構成している。
【0018】
苗植付爪11の植付軌跡Dに沿う作動において、苗分離口25部を下動するときは、左右一対の針部1の針先31部を苗床の上面から下方へ刺込みながら、苗床の分離面を針腹面2で受けると共に、苗床上面を苗押出爪33で係合する。この状態で苗植付爪11が苗分離口25を下方へ通過することによって、苗床の分離取出が行われて、植付軌跡線Dの下降行程に沿って植付下降される。このような苗植付爪11の苗床分離行程において、針部1によって分離抱持される苗床部の苗身部は苗押出爪33の間隔部や外側部から上方へ突出して、左右の針腹面2幅域にある苗身部は苗受溝4に案内される。このため、苗床部やこの苗身部等の針部1等による保持姿勢が、この針腹面2沿った直立状態となり易く、苗乱れや、損傷の少い、健苗植付を維持できる。又、この苗床分離作用において、針先31の各針先縁50、51が苗床上面に刺込まれて、これに続く外側の針角縁3と内側の針内角縁46が苗床部に作用して苗床の切断分離作用が行われる。特にこのうち針角縁3及び針内角縁46では、主として針先部に近い先端部分において切断分離作用が行われるが、外側の針角縁3は上部に至る伴って針身の内側へ偏位しているため、苗床の切断作用は少くなり、この針部1の厚さがくさび状に形成されていることによって、針腹面2により掻き取られるようにして分離される。このため、針角縁3の上部での苗床等の切断作用は殆んどない。又、前記苗受溝4を形成する連結部5は薄く構成されるから、苗分離口25の苗床上面を通過するときに、この苗床部に突き当っても大きい抵抗を受けることなく、苗床や苗身部等を損傷することが少い。又、苗植付爪11の植付駆動を軽快に行わせることができる。
【0019】
苗植付爪11が土壌面に接近すると、苗保持位置にあった苗押出爪33が、カムレバー35の作動によってスプリング37により弾発されて下動する。この苗押出爪33の下動によって針部1の苗床が土壌面に刺込まれて植付けられる。この植付後は、苗押出爪33と共に苗植付爪11が土壌面から上昇されて、次の苗床分離行程へ復帰する。
【0020】
このように苗植付爪11は、苗床分離行程では、針先31部を苗分離口25の苗床上面を下方に向けて突き刺し、苗植付行程では苗床を針腹面2に保持した状態で土壌面に突き刺したり、又、この土壌面から植付苗を残した状態で上方へ抜外すものである。このようなとき、針部1の前側面である針背面6が、苗植付軌跡線Dの湾曲方向に向けて傾斜、乃至湾曲形成されてため、苗床分離抵抗や、植付抵抗等による針部1の歪み少くすることができると共に、この針部1の歪みや振動等による苗床や土壌面等の跳ね飛しや、掻き乱しを少して、安定した苗の植付を行わせる。又、苗床分離時には針背面6が針先31部の突刺軌跡に沿うように追随するため、苗床部の切り口を滑面する。又、苗植付爪11の形状、構成簡単であり、局部的な摩耗、損傷を少くして、剛性を維持して、耐久性を増すことができる。
【0021】
針部1における針腹面2の幅が針先側から上部の針又部47にわたるに従って狭く形成されているため、苗床を刺して切断するときは、円滑に行われ、針部1上部においては、針腹面2と接触面積を小さくして、苗身部の苗受溝4への案内を行わせ易くするものである。針角縁3の位置が針身幅の内側に傾斜して形成されることにより、針部1の上部では針角縁3尖りを少くして苗損傷を少くする。又、針部1の針身断面は、針先部から針又部47にわたって断面積を大きくし、前後の厚さを大きくことができ、苗床分離性を良好に維持しながら、針剛性を高めて安定した苗床分離、及び植付作用を行わせる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】苗植付爪部の背面図と、その各部断面図。
【図2】苗植付爪部の正面図と、側面図、側断面図。
【図3】苗植装置部の側面図。
【図4】苗植機の側面図。
【図5】苗植機の平面図。
【符号の説明】
【0023】
1 針部
2 針腹面
3 針角縁
4 苗受溝
5 連結部
6 針背面
7 取付基準面
8 針又部背面
9 針先部背面




 

 


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