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発明の名称 農業用トラクタのコントローラ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−29063(P2007−29063A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−221359(P2005−221359)
出願日 平成17年7月29日(2005.7.29)
代理人
発明者 吉邨 文夫 / 村上 達三
要約 課題
不揮発性メモリの内容を変更しようとしてもできるだけ安全性を確保しようとする。

解決手段
農業用トラクタ(T)各部の作動を司るコントローラ(10)には、制御定数や基準値を書き込む不揮発メモリ(70、71)を設け、該コントローラ(10)にこれら制御定数や基準値を書換え可能な外部接続書換手段(73)を接続し、これら制御定数や基準値には安全に関する項目であるか否かを認識するデータを付し、上記外部接続書換手段(73)によって制御定数又は基準値を書換えする際に安全に関する項目であると判定されたときには、予め登録処理したパスワードの入力を条件に制御定数又は基準値を書換え可能に構成した。
特許請求の範囲
【請求項1】
農業用トラクタ(T)各部の作動を司るコントローラ(10)には、制御定数や基準値を書き込む不揮発メモリ(70、71)を設け、該コントローラ(10)にこれら制御定数や基準値を書換え可能な外部接続書換手段(73)を接続し、これら制御定数や基準値には安全に関する項目であるか否かを認識するデータを付し、上記外部接続書換手段(73)によって制御定数又は基準値を書換えする際に安全に関する項目であると判定されたときには、予め登録処理したパスワードの入力を条件に制御定数又は基準値を書換え可能に構成した農業用トラクタのコントローラ。
【請求項2】
農業用トラクタ(T)各部の作動を司るコントローラ(10)には、制御定数や基準値を書き込む不揮発メモリ(70、71)を設け、該コントローラ(10)にこれら制御定数や基準値を書換え可能な外部接続書換手段(73)を接続し、これら変更入力値が予め設定した既定範囲を越えるか否かが判定し、既定範囲を越えると、予め登録処理したパスワードの入力を条件に制御定数又は基準値を書換え可能に構成した農業用トラクタのコントローラ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、農業用トラクタのコントローラに関し、該コントローラに記憶するセンサの基準値や制御定数の書換えを行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、農業用トラクタでは、その走行機体又は作業部の作業状態を自動制御する構成が採用されており、走行機体や作業部には、その作業状態を検出するセンサが多数設けられる。
【0003】
例えば、その走行機体の後部に昇降調節可能に配設した耕耘作業部を装着すると共に、耕耘作業部の対機体に対する左右傾斜状態を検出する対機体センサ、当該機体の対地高さを検出する傾斜センサを設け、これら各センサの検出信号に基づいて耕耘作業機が所定の左右傾斜状態となるように自動水平制御を実行していた。
【0004】
ところで、前記各センサの基準値や制御定数の書換えを行うに際しては、従来、専門の技術者が専用の外部接続装置を介して行っている。すなわちチェッカとしての携帯パソコンを作業機のコントローラに接続し、各センサの診断を行い各種制御定数や基準値を調整している。
【特許文献1】特開2005−14717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記先行技術の構成では、不揮発性メモリの内容を変更すると制御性能が変わってしまうため、特に安全性に関する内容が損なわれると危険であるという問題があった。そこで、本発明は、このような問題を解消した作業機のコントローラの制御定数や基準値の書換え装置を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このためこの発明は次の技術的手段を講じた。
請求項1に記載の発明は、農業用トラクタ(T)各部の作動を司るコントローラ(10)には、制御定数や基準値を書き込む不揮発メモリ(70、71)を設け、該コントローラ(10)にこれら制御定数や基準値を書換え可能な外部接続書換手段(73)を接続し、これら制御定数や基準値には安全に関する項目であるか否かを認識するデータを付し、上記外部接続書換手段(73)によって制御定数又は基準値を書換えする際に安全に関する項目であると判定されたときには、予め登録処理したパスワードの入力を条件に制御定数又は基準値を書換え可能に構成した農業用トラクタのコントローラの構成とする。
【0007】
このように構成すると、前記トラクタ(T)のコントローラ(10)には、通信インタフェースを介して外部接続書換手段としての携帯パソコン(73)を接続し、前記制御定数や基準値を書換るが、これら制御定数や基準値などの変更項目が安全に関わるものであるか否かチェックを行い、安全に関わる項目と判断されたときには、予め登録処理したパスワード入力の要求がなされ、このパスワード入力を条件に、上記制御定数や基準値を変更できる。また、安全を損なわない制御定数や基準値を書換えるときは、パスワード入力を待たずに迅速に変更処理できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、農業用トラクタ(T)各部の作動を司るコントローラ(10)には、制御定数や基準値を書き込む不揮発メモリ(70、71)を設け、該コントローラ(10)にこれら制御定数や基準値を書換え可能な外部接続書換手段(73)を接続し、これら変更入力値が予め設定した既定範囲を越えるか否かが判定し、既定範囲を越えると、予め登録処理したパスワードの入力を条件に制御定数又は基準値を書換え可能に構成した農業用トラクタのコントローラの構成とする。
【0009】
制御の基準値や制御定数の変更が入力された時点で、当該変更入力値が予め設定した既定範囲を越えるか否かが判定され、これを越えるときは予め登録処理したパスワード入力の要求がなされこのパスワード入力を条件に、上記制御定数や基準値を変更できる。
【0010】
したがって、所定範囲を越えての変更にあたっては、一旦チェックが入り、パスワードを持つ認定された人により制御定数や基準値の書換え変更がなされるため、不用意な変更による安全性低下や異常な動きを伴う制御を未然に防止できる。また、所定範囲内の書換えではパスワード入力が要求されないため、これらの変更は随意にでき迅速な故障対応を可能にする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によると、安全に関する場合に限っては、パスワードを持つ認定された人により制御定数や基準値の書換え変更がなされるため、不用意な変更による安全性低下を防止できる。また、パスワード入力を安全に関わる部分にのみ限定することにより、その他の変更は随意にできるため迅速な故障対応を可能にする。
【0012】
請求項2に記載の発明によると、所定範囲を越えての変更にあたっては、一旦チェックが入り、パスワードを持つ認定された人により制御定数や基準値の書換え変更がなされるため、不用意な変更による安全性低下や異常な動きを伴う制御を未然に防止できる。また、所定範囲内の書換えではパスワード入力が要求されないため、これらの変更は随意にでき迅速な故障対応を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づいて、この発明を作業車両となる農業用トラクタ(以下、トラクタT)に搭載した場合について説明する。最初にトラクタTの構成について説明する。
トラクタTは、ボンネット11内部にエンジンEを備え、このエンジンEの回転動力をクラッチハウジング12及びミッションケース13内の伝動機構へ伝達し後述する各種の変速装置で適宜減速した後、走行輪となる後輪2R、または前後輪2F,2Rへ伝達して走行する構成となっている。
【0014】
トラクタTの操縦席15の前方には、前記前輪2Fを操舵するステアリングハンドル16を設け、この下方に車両の前後進を切り替える前後進切替レバー17、及びエンジンEの回転数を調節するアクセルレバー18を設けている。そして前記アクセルレバー18の回動基部には、摩擦制動部材を有するレバー保持機構を設けると共に、ワイヤーを介して前記エンジン側部の調速機構(ガバナ機構)Gに接続する構成となっている。これにより、エンジンEのアクセル位置(スロットル位置)を設定された位置に保持する構成となっている。
【0015】
また、前記ステアリングハンドル16下方には、クラッチペダルや左右ブレーキペダル20,20、そしてアクセルペダル1を設け、前記アクセルペダル1の回動基部には、エンジン回転数を減速側へ戻すよう付勢したスプリングを設けると共に、この踏込操作を検出するアクセルペダル位置センサ1sを設ける構成となっている。また前記アクセルペダル1の回動基部には、前記アクセルレバー18と同様に、ワイヤーを介して前記エンジンEの調速機構Gへ接続する構成となっており、これにより、前記アクセルレバー18により設定保持されたアクセル設定位置を下限として、アクセルペダル1の踏み込み時にだけエンジン回転数を上昇させ、踏み込み解除時には、前記アクセルペダル18で設定された元の位置に復帰する構成となっている。
【0016】
尚、前記トラクタのような作業車両では、一般的にアクセルレバー18をエンジン回転を高回転位置(フルスロットル位置)に設定して定速で作業走行し、路上走行や圃場内移動時では、アクセルレバー18を低回転位置に設定し、アクセルペダル1を踏み込んでエンジン回転数、即ち車速を調節する。
【0017】
また、操縦席15側方には、y型シフト式の変速レバー20を設け、同レバー20の回動操作により後述する副変速装置21を3段階(H,L,M)に切り替える構成となっている。また変速レバー20の回動基部にはレバー操作位置を検出する変速レバー位置センサ20sを設けると共に、このレバー把持部には、主変速装置3を切り替える前後一対の変速スイッチ(変速アップスイッチ20A、変速ダウンスイッチ20B)を設け、オペレータのスイッチ操作によりコントローラ10の通電指令を介し主変速装置3の変速位置を1速ずつ切り替える構成となっている。
【0018】
また同じく操縦席15側方には、車体後部のリフトアーム32の回動角度、即ち、図中ではロータリ作業機Rの高さを変更する作業機昇降用レバー22を設け、このレバー22にも操作位置を検出するポテンショメータ22sを設けている。また更にこれらレバー20,22のレバーガイド後方には、前記ロータリ作業機Rの耕深を設定する耕深設定器24や、旋回制御装置の作動を入り切りする旋回制御入切スイッチ23を設けている。尚、前記旋回制御入切スイッチ23は、トラクタTの旋回操作に連動して作業機Rを上昇したり、前輪2Fの周速を後輪2Rの周速に対して増速したり、旋回内側の後輪ブレーキ制動させる制御を入切操作するものである。
【0019】
そして、これらの検出器20s,22s…や設定器23,24…は、この発明の制御手段10となる走行用コントローラ10a或いは作業機用コントローラ10bへ接続する構成となっている。
【0020】
またトラクタTの車体後部には、作業機昇降用油圧シリンダ30を内装するシリンダケース31を備え、前記シリンダ30のピストン伸縮によりケース31左右に支持するリフトアーム32を上下回動する構成となっている。また、車体後部にはリンク機構29を設け、同リンク機構29に前記作業機Rを連結する構成となっている。そして前記リフトアーム32の片側には、この回動基部にリフトアーム角センサ32sを設けている。
【0021】
これにより、前記作業機用コントローラ10bでは、ポジション制御、詳しくは、前記作業機昇降用レバー22の操作角度とリフトアーム32の設定角度とを一致させるように、作業機上昇用の比例圧力制御弁のソレノイド33、或いは作業機下降用制御弁のソレノイド34へ通電し作業機Rを昇降する構成となっている。
【0022】
次に、図1に基づきトラクタTの動力伝達経路について説明する。
前記エンジンEの回転動力は、クラッチハウジング13内の主クラッチ40にて断続操作され、同クラッチ40がつながれた状態では、前記動力をミッションケース13内に設けた第一主変速装置3a、前後進切替装置41、そして本願のギヤ式変速装置となる第二主変速装置3b、副変速装置21と順に伝達する構成となっている。
【0023】
また前記エンジンEには、前記調速装置Gにアクセル位置センサ35を設け、出力軸にエンジン回転センサ36を設け、両センサ35,36により車両のエンジン負荷状態を検出する構成となっている。また前記第一主変速装置3aは、高低二段のクラッチ(HiクラッチCh,LoクラッチCl)を有する油圧クラッチ式変速装置であり、クラッチ内部のピストンにて高低どちらか一方のクラッチ板を圧着することで回転動力を高低二段に切り替えられ、その動力を前後進切替装置41へ伝達する構成となっている。
【0024】
また前記前後進切替装置41も、2つのクラッチ(前進用クラッチCf,後進用クラッチCr)を有する油圧クラッチ式切替装置であり、前記前後進切替レバー17の操作位置に応じてどちらか一方のクラッチを選択して入りに連動する。そして、回転動力を第二主変速装置3bへ正転、若しくは逆回転で伝達する構成となっている。
【0025】
また、前記前後進切替装置41の各クラッチCf,Crは、主変速装置3の変速位置を切り替える際の昇圧クラッチを兼ねる構成となっており、比例圧力制御弁にてクラッチディスクの圧着力を調整し、切替制御弁により前後どちらか一方のクラッチCf(又はCr)へ連通する構成となっている。即ち、主変速装置3を切り替える際には、切替操作に先立って前記クラッチCf,Crを共に切りとし、前記切替操作完了後、前進用クラッチCf若しくは後進用クラッチCrを入りとする。
【0026】
また第二主変速装置3bは、ピストン式変速アクチュエータとなる「3−4速」変速用油圧シリンダ5A、「1−2速」変速用油圧シリンダ5Bを備えたシンクロメッシュギア式の変速装置であり、前記両油圧シリンダ5A,5Bの内、一つのシリンダ5A(5B)のピストンを伸長若しくは短縮し、先端部に係合されたシフタ4A(4B)を前後に移動することで4つのギヤ組の内の1つのギヤ組を通じて、回転動力を副変速装置21へ伝達する構成となっている。詳しくは前記「3−4速」変速用油圧シリンダ5Aのピストンが図中左側に伸長することで「4速」となり、同ピストンが図中右側に短縮することで「3速」となり、前記「1−2速」変速用油圧シリンダ5Bのピストンが図中左側に伸長することで「2速」となり、同ピストンが図中右側に短縮することで「1速」となる構成となっている。
【0027】
これにより、前記第一主変速装置3aと第二主変速装置3bの変速位置を組み合わせることにより、主変速装置3は、2×4=全8速の変速位置を有する構成となっている。そして、前記主変速装置3を変速する場合は、変速アップスイッチ20Aと変速ダウンスイッチ20Bの押すことで、同変速装置3の変速位置を1速ずつ順に増速若しくは減速させる。また、後述するようにアクセルペダル1の踏込操作と踏込解除操作で、増速、或いは減速する構成となっている。
【0028】
また前記副変速装置21は、前記変速レバー20の手動操作によりワイヤーやリンク機構等の機械的連動機構を介して切り替えるスライディングメッシュギヤ式の変速装置であり、前記第二主変速装置3bから伝達された回転動力を「H速」から「M速」「L速」の3つのギヤ組の1つを介して伝達し、出力軸45より出力する構成となっている。
【0029】
以上のように構成した主変速装置3と副変速装置21とを有するトラクタTは、夫々ギヤ組を組み合わせて前後進夫々24段の変速が可能となっている。尚、後進での変速位置は、例えば高速位置をカットして段数を削減する構成としても良い。
【0030】
また前記出力軸45に伝達された回転動力は、後輪デフ機構46を介して左右後輪2Rへ伝達すると共に、前輪動力分岐ギヤ47を介して、前輪増速装置48、前輪デフ機構49を介して前輪2Fへ伝達する構成となっている。
【0031】
また前記前輪動力分岐ギヤ47から動力を受けた前輪駆動軸7には、後輪回転センサ8を設け、同センサ8により前記主副変速装置から出力される回転を検出、或いは前記変速ギヤが何れの位置に入っていない時には走行輪側からの付き回り回転を検出する構成となっている。
【0032】
また前記後輪デフ機構46から出力される左右駆動軸には、夫れ夫れディスク式ブレーキ装置50を設け、前記左右のブレーキペダルの踏込操作、或いはブレーキ用油圧シリンダ9L,9Rの駆動により、夫々独立して或いは左右同時に圧着して後輪2R,2Rを制動する構成となっている。
【0033】
また前記前輪増速装置48は、前記旋回制御入切スイッチ23が入であるときに、トラクタTの旋回操作に連動して前輪2Fへ伝達する回転を等速から倍速に切り替える構成となっている。
【0034】
次に、トラクタTの制御系統について図5に基づいて説明する。
前記トラクタTの制御手段10は、走行用コントローラ10aと作業機操作用コントローラ10bとから成り、夫々の内部に各種センサや設定器の情報を処理するCPU、前記情報を一時記憶するRAM、この発明の変速制御の制御プログラム等を記憶するROM、更にはタイマー等を有する構成となっている。
【0035】
そして、走行用コントローラ10aには、この入力部に、変速アップスイッチ20A、変速ダウンスイッチ20B、変速レバー位置センサ20s、アクセル位置センサ35、エンジン回転センサ36、アクセルペダル位置センサ1s、後輪回転センサ8、前記変速用油圧シリンダ5A,5Bのシフタ位置を検出するポテンショメータ式の主変速位置センサ6A,6B、第一主変速装置3aの油路に設けたHiクラッチCh及びLoクラッチClの圧力センサ55,56を設けている。
【0036】
また出力部には、Hiクラッチへ圧油を連通させる切替制御弁のソレノイド66、及びLoクラッチへ圧油を連通させる切替制御弁のソレノイド67、前後進切替装置41の昇圧用比例圧力制御弁のソレノイド57、第二主変速装置3bを1速から4速位置に切り替えるべく前記変速用油圧シリンダ5A,5Bを駆動させる切替制御弁のソレノイド60,61,62,63、左後輪2L及び右後輪2Rにブレーキをかける比例圧力制御弁のソレノイド64,65を接続して設けている。
【0037】
また作業機用コントローラ10bには、この入力部に、旋回制御入切スイッチ23、耕深設定器24、ポジションレバー22基部のポテンショメータ22s、リフトアーム角センサ32s等を接続して設け、出力部に作業機昇降用の切替制御弁のソレノイド33,34、液晶モニタ68、警報ブザー69等を接続して設けている。
【0038】
以上のように構成したトラクタTでは、図6に示す制御の概要を示すフローチャートのように、アクセルペダルによる変速制御が行われる。
まず、最初にトラクタTにエンジンキースイッチをONとして電源を投入すると、前記走行用コントローラ10aでは、センサや操作スイッチ類の状態を読み込み、主・副変速装置の変速位置やエンジン回転数を記憶する。そして、前記アクセルペダル1が踏まれると、前記エンジン回転数や負荷状態により変速位置をアップ或いはダウン可能かどうかをマップ処理等の手段で判定する(ステップ101〜104)。
【0039】
そして、前記判定により自動変速出力がONである場合、変速用油圧シリンダ5A,5Bによる変速であるかどうか、即ち前記副変速装置21がL速に設定されている場合に変速装置をアップする場合では、第2速から第3速、第4速から第5速、第6速から第7速…へ変速する場合であり、変速装置をダウンする場合なら第7速から第6速、第5速から第4速、第3速から第2速へ変速する場合であるかどうかを判定する(ステップ106)。
【0040】
そして、前記ステップ106の判定がYESの判定であれば、続けて現在変速作動中かどうかの判定を行い(ステップ108)、これがYESの判定であれば、前記変速指示をキャンセルし、他の処理を行ってリターンとなる。
【0041】
これにより、1回の変速作動を完了して後に、新たな変速が行われることなり、複数の変速段が飛ばされて車速が急激に変更されることを防止することができる。
また、前記ステップ108の判定がNOの場合、即ち現在は変速作動が行われていないと判定されたときには、現在の変速位置を記憶すると共に、前記前後進切替装置41の制御弁への通電を停止し、クラッチCf,Crの圧着を切りとする。そして、コントローラ内のタイマーを作動させて、各変速位置に応じて前記油圧シリンダを駆動する。
【0042】
次いで、前記前後進切替装置41の昇圧用比例圧力制御弁のソレノイド57への通電出力と該切替装置41を構成する油圧クラッチ形態のクラッチ接続圧力曲線について説明する。図7はクラッチ接続圧の推移を表わすグラフで、比例圧力制御弁の制御電流Icの大小によってクラッチ接続圧は高低に制御され、前後進切替装置41の前進側又は後進側ソレノイドへの通電出力と同時に電流値の高い初期電流I0が流れ、初期圧P0が所定時間t0継続して油圧クラッチに掛けられる。所定時間t0経過後、直ちに制御電流Icは減少し以降は除々に昇圧すべく該制御電流Icは上昇される。
【0043】
上記のように、初期電流I0の掛かる時間t0で初期圧P0が掛けられるが、この初期圧P0は、油圧クラッチのクラッチパックが圧着直前まで一気に押し進められて、以後の制御電流Icによる昇圧に伴って遅れなくクラッチ接続を可能とさせるものである。従って、この初期電流I0の掛かる時間t0を変更することによって、クラッチの磨耗に対応できるものである。即ち、経年変化によって前後進切替装置41を構成する油圧クラッチのクラッチパックが磨耗すると、この時間t0を長くすることによって所期どおりのクラッチ作動状態を得られる。
【0044】
前記のように、第二主変速装置3bは、ピストン式変速アクチュエータとなる「3−4速」変速用油圧シリンダ5A、「1−2速」変速用油圧シリンダ5Bを備えたシンクロメッシュギア式の変速装置であり、前記両油圧シリンダ5A,5Bの内、一つのシリンダ5A(5B)のピストンを伸長若しくは短縮し、先端部に係合されたシフタ4A(4B)を前後に移動することで4つのギヤ組の内の1つのギヤ組を通じて、回転動力を副変速装置21へ伝達する構成であるが、図8において、2速から3速への切替連動について説明すると、第2速がONの油圧シリンダ5BはこれをOFFとし、所定時間後に第3速の油圧シリンダ5AをONするものである。即ち、第2速へのON信号、油圧シリンダ5Bのピストンが左側に移行すべく伸長する信号がOFF出力すると共に、第1速へのON信号によって油圧シリンダ5Bのピストンが右側移行すべく短縮する信号を出力することで迅速に第2速から脱するよう構成している。第1速へのON出力は、第2速の変速をつかさどる変速用油圧シリンダ5Bのシフタ位置を検出するポテンショメータ式の主変速位置センサ6Bでもって、第2速から脱したことを検出すると第1速はOFFする構成である。
【0045】
そしてこの第1速のOFF出力に伴い中立待機時間tn(例えば100m秒)を経過すると、第3速がON出力する。ここで、第3速は油圧シリンダ5Aのピストンが短縮して右側移行することによってONする。
【0046】
上記の第2速から第3速へのシフト動作に伴い、前記前後進切替装置41は前進側ONの状態が第2速OFF出力と同時にOFFし、第3速の主変速位置センサ6Aでもって当該速度段に入ったことを検出すると再びONになる構成である。上記の中立待機時間tnを長くすると変速時のギヤ鳴きを改善する効果がある。
【0047】
前記の制御電流Icは制御定数、初期電流I0,初期圧P0,所定時間t0,中立待機時間tnは基準値として、予め走行用コントローラ10aの不揮発メモリ70に書き込まれているものである。
【0048】
同様に、作業機コントローラ10b側においても、詳細は省略するが、作業機上下昇降用の圧力制御弁の制御電流は制御定数になり、耕深設定器24の不感帯幅や、ポジションレバー22sのポテンショメータ作動範囲に対応する出力電圧などが基準値として不揮発メモリ71に書き込まれている。
【0049】
前記トラクタTのコントローラ10のうち、走行用コントローラ10a側には、通信インタフェース72を介して外部接続書換手段としての携帯パソコン73を接続し、前記制御定数や基準値を書換え可能に構成する。ここで、図9のフローチャートに示すように、これら制御定数や基準値などの変更項目が安全に関わるものであるか否かチェックを行い、例えば走行用コントローラ10a側の不揮発メモリ70に書き込まれた内容を書き換えるときは安全に関わる項目と判断し(ステップ203)、予め登録処理したパスワード入力の要求がなされこのパスワード入力を条件に(ステップ204,205)、上記制御定数や基準値を変更できるように構成している(ステップ206〜208)。
【0050】
また、作業機用コントローラ10bの不揮発メモリ71に書き込まれた制御定数や基準値を書換えるときは、ステップ203でNOの選択がなされ、ステップ204,205の手順を省略できてステップ206に移行する。
【0051】
したがって、安全に関する場合に限っては、パスワードを持つ認定された人により制御定数や基準値の書換え変更がなされるため、不用意な変更による安全性低下を防止できる。また、パスワード入力を安全に関わる部分にのみ限定することにより、その他の変更は随意にできるため迅速な故障対応を可能にする。
【0052】
上記の例では、安全に関する項目として走行系を挙げたが、その他エンジンに関する各種制御定数や基準値も安全に関する項目として扱う。安全に関する項目であるか否かの判断は予め不揮発メモリ70、71に入力する時点で各定数あるいは基準値と共に安全項目であることを認識するデータを付しておき、携帯パソコン73からの呼出しの際にチェックができる仕様に設定するものである。
【0053】
図11における例は、パスワード入力の条件を上記の例とは異ならせたものである。即ち、制御の基準値や制御定数の変更が入力された時点で(ステップ301〜303)、当該変更入力値が予め設定した既定範囲を越えるか否かが判定され(ステップ304)、越えるときは予め登録処理したパスワード入力の要求がなされこのパスワード入力を条件に(ステップ305,306)、上記制御定数や基準値を変更できるように構成している(ステップ307,308)。
【0054】
したがって、所定範囲を越えての変更にあたっては、一旦チェックが入り、パスワードを持つ認定された人により制御定数や基準値の書換え変更がなされるため、不用意な変更による安全性低下や異常な動きを伴う制御を未然に防止できる。また、所定範囲内の書換えではパスワード入力が要求されないため、これらの変更は随意にでき迅速な故障対応を可能にする。
【0055】
上記実施例では、パスワードの入力を要求する構成としたが、上記基準値や制御定数を変更設定するときには、図9や図11のステップ201やステップ301の前に操作者毎に割り振られた識別コードを入力するよう構成し、この識別コードを当該基準値や制御定数の変更入力及びその日付けとともに記憶させるように構成することにより、変更履歴の確認が容易となって、異常等問題発生時の原因究明が容易となる効果がある(図12)。
【0056】

図13、14は、前記クラッチの接続圧を制御する図7の特性のうち、初期圧P0が所定時間t0継続したのち制御電流Icによってクラッチ接続がなされるが、この制御電流Icを作業機としてのプラウを牽引するときには、通常の昇圧カーブ(通常モード(図13中細線))に対して直ちに立ち上がるプラウモード(図13中太線)に設定する。具体的には、プラウ牽引状態であることをドラフトセンサ信号の有り入力でプラウモードを認識し、プラウモードの昇圧カーブが設定される。このように構成することによって、プラウ牽引時の変速操作でエンジンストップが起こることを少なくさせる。
【0057】
図15は、パーキングブレーキを引いたままで発進しようとする事態を回避しようとする。パーキングブレーキを引いたままで前後進切替レバー17を操作するも、該前後進切替レバー17の中立からいずれかへの操作に伴いスイッチ76がオンし、パーキングブレーキ制動操作に伴いスイッチ75がオンし、コントローラ10aはこれらの条件が同時に成立すると前後進切替装置41を構成する油圧クラッチCf又はCrの昇圧を制限する構成とし、表示部77にはパーキングブレーキONの旨を表示する構成としている。これによって、ブレーキの損傷をなくし、安全性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】トラクタの動力伝達機構線図。
【図2】トラクタの全体側面図。
【図3】トラクタの操縦席部を示す斜視図。
【図4】各変速位置とアクチュエータの作動位置の関係を示す図。
【図5】コントローラの接続状態を示す図。
【図6】フローチャート。
【図7】クラッチの昇圧特性を示すグラフ。
【図8】変速時のタイムチャート。
【図9】フローチャート。
【図10】携帯パソコン画面一例を示す図。
【図11】フローチャート。
【図12】携帯パソコン画面一例を示す図。
【図13】クラッチの昇圧特性を示すグラフ。
【図14】フローチャート。
【図15】ブロック図。
【符号の説明】
【0059】
E エンジン
T トラクタ
1 アクセルペダル
3 第二主変速装置
5A 「3−4速」変速用油圧シリンダ
5B 「1−2速」変速用油圧シリンダ
10 制御手段
10a 走行用コントローラ
10b 作業機用コントローラ
41 前後進切替装置
70 不揮発メモリ
71 不揮発メモリ
72 通信インタフェース
73 携帯パソコン(外部接続書換手段)




 

 


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