米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 車両 -> トヨタ自動車株式会社

発明の名称 車間距離制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2006−44326(P2006−44326A)
公開日 平成18年2月16日(2006.2.16)
出願番号 特願2004−224732(P2004−224732)
出願日 平成16年7月30日(2004.7.30)
代理人 【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
発明者 佐伯 穣
要約 課題
車間距離制御中の減速度について車両乗員に違和感を与えない車間距離制御装置を提供すること。

解決手段
自車両の走行を制御することにより自車両と先行車両との車間距離を制御する車間距離制御装置において、自車両が、先行車両との車間距離が比較的短い状況下で減速を行う第一の減速状態にある場合と、先行車両との車間距離が比較的長い状況下で減速を行う第二の減速状態にある場合とで目標減速度の値及び/又は該目標減速度に到達するまでの減速度勾配の大きさを変える。先行車両との車間距離が比較的短い状況下で先行車両に不必要に接近しないようにして車両乗員の安心感を向上させるために、第一の減速状態のときに、第二の減速状態のときに比して、目標減速度を増加させる、及び/又は、減速度勾配の大きさを増加させる。
特許請求の範囲
【請求項1】
自車両の走行を制御することにより自車両と先行車両との車間距離を制御する車間距離制御装置であって、
自車両が、先行車両との車間距離が比較的短い状況下で減速を行う第一の減速状態にある場合と、先行車両との車間距離が比較的長い状況下で減速を行う第二の減速状態にある場合とで目標減速度の値を変える、ことを特徴とする車間距離制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の車間距離制御装置であって、
前記第一の減速状態のときに、前記第二の減速状態のときに比して、前記目標減速度を増加させる、ことを特徴とする車間距離制御装置。
【請求項3】
自車両の走行を制御することにより自車両と先行車両との車間距離を制御する車間距離制御装置であって、
自車両が、先行車両との車間距離が比較的短い状況下で減速を行う第一の減速状態にある場合と、先行車両との車間距離が比較的長い状況下で減速を行う第二の減速状態にある場合とで目標減速度に到達するまでの減速度勾配の大きさを変える、ことを特徴とする車間距離制御装置。
【請求項4】
請求項3記載の車間距離制御装置であって、
前記第一の減速状態のときに、前記第二の減速状態のときに比して、前記減速度勾配の大きさを増加させる、ことを特徴とする車間距離制御装置。
【請求項5】
自車両の走行を制御することにより自車両と先行車両との車間距離を制御する車間距離制御装置であって、
自車両が、先行車両との車間距離が比較的短い状況下で減速を行う第一の減速状態にある場合と、先行車両との車間距離が比較的長い状況下で減速を行う第二の減速状態にある場合とで目標減速度の値及び該目標減速度に到達するまでの減速度勾配の大きさを変える、ことを特徴とする車間距離制御装置。
【請求項6】
請求項5記載の車間距離制御装置であって、
前記第一の減速状態のときに、前記第二の減速状態のときに比して、前記目標減速度を増加させると共に前記減速度勾配の大きさを増加させる、ことを特徴とする車間距離制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項記載の車間距離制御装置であって、
前記第一の減速状態は、追従減速時又は割り込み減速時に生じ、
前記第二の減速状態は、追いつき減速時に生じる、ことを特徴とする車間距離制御装置。
【請求項8】
自車両の走行を制御することにより自車両と先行車両との車間距離を制御する車間距離制御装置であって、
自車両が、先行車両との車間距離が比較的短い状況下で該先行車両の走行に応じて減速を行う第一の減速状態にある場合と、先行車両との車間距離が比較的短い状況下で第三の車両の走行に応じて減速を行う第二の減速状態にある場合と、先行車両との車間距離が比較的長い状況下で減速を行う第三の減速状態にある場合とで目標減速度の値及び該目標減速度に到達するまでの減速度勾配の大きさを変える、ことを特徴とする車間距離制御装置。
【請求項9】
請求項8記載の車間距離制御装置であって、
前記第一の減速状態のときに、前記第二及び第三の減速状態のときに比して、前記目標減速度を増加させ、
前記第一及び第二の減速状態のときに、前記第三の減速状態のときに比して、前記減速度勾配の大きさを増加させる、ことを特徴とする車間距離制御装置。
【請求項10】
請求項8又は9記載の車間距離制御装置であって、
前記第一の減速状態は、追従減速時に生じ、
前記第二の減速状態は、割り込み減速時に生じ、
前記第三の減速状態は、追いつき減速時に生じる、ことを特徴とする車間距離制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、自車両の走行を制御することにより自車両と先行車両との車間距離を制御する車間距離制御装置に係り、特に、車間距離制御中の減速度について車両乗員に違和感を与えない車間距離制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自車両の走行を制御することにより自車両と先行車両との車間距離を制御する車間距離制御装置が既に知られている。この車間距離制御装置は、一般に、(a)自車両に設けられて先行車両を検出するセンサと、(b)自車両を減速させる減速装置と、(c)上記センサの出力信号に基づいて減速装置を制御することにより、自車両の減速制御を行うコントローラとを含むように構成される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−79846
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の車間距離制御装置では、車間距離制御中の減速度について、いくつかの状況下で車両乗員(特に運転者)に違和感を与えるおそれがある。
【0004】
例えば、設定された車間距離が比較的短い場合にアンダーシュート量が必要以上に大きいと、減速度が小さ過ぎるのではないかという違和感を車両乗員に与え得る。逆に、設定された車間距離が比較的長い場合にアンダーシュート量が必要以上に小さいと、減速度が大き過ぎるのではないかという違和感を車両乗員に与え得る。
【0005】
また、例えば、車間距離に比較的余裕があるときに減速度が急激に目標減速度まで増加されと、減速度勾配が必要以上に大き過ぎるのではないかという違和感を車両乗員に与え得る。
【0006】
さらに、例えば、追従減速時や割り込み減速時などの車間距離に比較的余裕がない場合に追いつき減速時などの車間距離に比較的余裕がある場合と同様に緩やかな勾配で減速制御が実行されると、車間距離に比較的余裕がない場合に減速度が必要以上に小さ過ぎるのではないかという違和感を車両乗員に与え得る。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、車間距離制御中の減速度について車両乗員に違和感を与えない車間距離制御装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の第一の態様は、自車両の走行を制御することにより自車両と先行車両との車間距離を制御する車間距離制御装置であって、自車両が、先行車両との車間距離が比較的短い状況下で減速を行う第一の減速状態にある場合と、先行車両との車間距離が比較的長い状況下で減速を行う第二の減速状態にある場合とで目標減速度の値を変える車間距離制御装置である。
【0009】
この第一の態様において、上記第一の減速状態は例えば追従減速時又は割り込み減速時に生じ、上記第二の減速状態は例えば追いつき減速時に生じる。
【0010】
この第一の態様によれば、先行車両との車間距離の長短に応じて目標減速度が変えられるため、先行車両との車間距離に照らして不必要に強い/弱い減速が行われることが防止され、車間距離が適正に維持される。
【0011】
なお、この第一の態様においては、先行車両との車間距離が比較的短い状況下で先行車両に不必要に接近しないようにして車両乗員の安心感を向上させるために、上記第一の減速状態のときに、上記第二の減速状態のときに比して、上記目標減速度を増加させることが好ましい。
【0012】
上記目的を達成するための本発明の第二の態様は、自車両の走行を制御することにより自車両と先行車両との車間距離を制御する車間距離制御装置であって、自車両が、先行車両との車間距離が比較的短い状況下で減速を行う第一の減速状態にある場合と、先行車両との車間距離が比較的長い状況下で減速を行う第二の減速状態にある場合とで目標減速度に到達するまでの減速度勾配の大きさを変える車間距離制御装置である。
【0013】
この第二の態様において、上記第一の減速状態は例えば追従減速時又は割り込み減速時に生じ、上記第二の減速状態は例えば追いつき減速時に生じる。
【0014】
この第二の態様によれば、先行車両との車間距離の長短に応じて減速度勾配が変えられるため、先行車両との車間距離に照らして不必要に急激な/緩やかな減速が行われることが防止され、減速応答性が向上する。
【0015】
なお、この第二の態様においては、先行車両との車間距離が比較的短い状況下で先行車両に不必要に接近しないようにして車両乗員の安心感を向上させるために、上記第一の減速状態のときに、上記第二の減速状態のときに比して、上記減速度勾配の大きさを増加させることが好ましい。
【0016】
上記目的を達成するための本発明の第三の態様は、自車両の走行を制御することにより自車両と先行車両との車間距離を制御する車間距離制御装置であって、自車両が、先行車両との車間距離が比較的短い状況下で減速を行う第一の減速状態にある場合と、先行車両との車間距離が比較的長い状況下で減速を行う第二の減速状態にある場合とで目標減速度の値及び該目標減速度に到達するまでの減速度勾配の大きさを変える車間距離制御装置である。
【0017】
この第三の態様において、上記第一の減速状態は例えば追従減速時又は割り込み減速時に生じ、上記第二の減速状態は例えば追いつき減速時に生じる。
【0018】
この第三の態様によれば、先行車両との車間距離の長短に応じて目標減速度及び減速度勾配が変えられるため、先行車両との車間距離に照らして不必要に強い/弱い減速が行われ、車間距離が適正に維持されると共に、不必要に急激な/緩やかな減速が行われることが防止され、減速応答性が向上する。
【0019】
なお、この第三の態様においては、先行車両との車間距離が比較的短い状況下で先行車両に不必要に接近しないようにして車両乗員の安心感を向上させるために、上記第一の減速状態のときに、上記第二の減速状態のときに比して、上記目標減速度を増加させると共に上記減速度勾配の大きさを増加させることが好ましい。
【0020】
上記目的を達成するための本発明の第四の態様は、自車両の走行を制御することにより自車両と先行車両との車間距離を制御する車間距離制御装置であって、自車両が、先行車両との車間距離が比較的短い状況下で該先行車両の走行に応じて減速を行う第一の減速状態にある場合と、先行車両との車間距離が比較的短い状況下で第三の車両の走行に応じて減速を行う第二の減速状態にある場合と、先行車両との車間距離が比較的長い状況下で減速を行う第三の減速状態にある場合とで目標減速度の値及び該目標減速度に到達するまでの減速度勾配の大きさを変える車間距離制御装置である。
【0021】
この第四の態様において、上記第一の減速状態は例えば追従減速時に生じ、上記第二の減速状態は例えば割り込み減速時に生じ、上記第三の減速状態は例えば追いつき減速時に生じる。
【0022】
この第四の態様によれば、先行車両との車間距離の長短に応じて目標減速度及び減速度勾配が変えられるため、先行車両との車間距離に照らして不必要に強い/弱い減速が行われ、車間距離が適正に維持されると共に、不必要に急激な/緩やかな減速が行われることが防止され、減速応答性が向上する。
【0023】
また、先行車両の減速により必要となった減速と割り込みや割り込まれにより必要となった減速とを区別することによって、車間距離の維持と減速応答性の向上とを適切にバランスさせることができる。
【0024】
なお、この第四の態様においては、上記第一の減速状態のときに、上記第二及び第三の減速状態のときに比して、上記目標減速度を増加させ、上記第一及び第二の減速状態のときに、上記第三の減速状態のときに比して、上記減速度勾配の大きさを増加させることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、車間距離制御中の減速度について車両乗員に違和感を与えない車間距離制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。なお、車間距離制御装置の基本概念、主要なハードウェア構成、作動原理、及び基本的な制御手法等については当業者には既知であるため、詳しい説明を省略する。
【実施例】
【0027】
図1は、本発明の一実施例に係る車間距離制御装置100のハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。この車間距離制御装置100は、車両に搭載される。該車両は、動力源としてのエンジン(モータでも可)の駆動力がトランスミッション(有段式でも無段式でも可)を経て複数の駆動車輪に伝達されることによって駆動される。
【0028】
この車両は、それら複数の駆動車輪を含む複数の車輪をそれぞれ制動するブレーキ(例えば、摩擦式、回生制動式、など)101を備えている。それら複数の車輪は、左右の前輪と左右の後輪とを含むように構成されている。図1において「FL」は左前輪、「FR」は右前輪、「RL」は左後輪、「RR」は右後輪をそれぞれ意味している。車両は、各車輪のブレーキ101を電気的に制御するブレーキ・アクチュエータ102(例えば、モータ駆動式、電磁圧力制御式、など)を備えている。
【0029】
エンジンは、その吸気マニホールド内にスロットルを備えており、そのスロットルの開度に応じてエンジンの出力が変化させられる。スロットルの開度は、スロットル・アクチュエータ103(例えば、電動モータ)によって電気的に制御可能となっている。
【0030】
トランスミッションにおいては、その入力シャフトと出力シャフトとの変速比が変化させられる。その変速比を電気的に制御するために、トランスミッション・アクチュエータ104(例えば、ソレノイド)が設けられている。
【0031】
車両は、更に、ブレーキ・アクチュエータ102によってブレーキ101を制御するブレーキECU(Electronic Control Unit)105を備えるとともに、スロットル・アクチュエータ103及びトランスミッション・アクチュエータ104によってエンジン及びトランスミッションをそれぞれ制御するエンジンECU106を備えている。これらブレーキECU105及びエンジンECU106は、CPU、ROM、及びRAMを含むコンピュータを主体として構成される。これは、後述の他のECUについても同様である。
【0032】
図1に示すように、本実施例に係る車間距離制御装置は、自車両に先行する先行車両を検出するセンサとしてレーダ107を備えている。レーダ107は、電磁波(光、音などを含む)を放射し、その放射された電磁波のうち、レーダ107の検出ゾーン内の目標物によって反射した電磁波を受けることにより、目標物の自車両からの距離と、目標物の自車両に対する相対的な方向とを探知する装置である。レーダ107は、例えば、電磁波のビームをその進行方向と交差する方向に設定角度範囲内で往復揺動させてレーダ107の前方をスキャンすることにより、概して扇状をなす検出ゾーンの全域をカバーする。
【0033】
レーダ107により探知される目標物が先行車両である場合には、レーダ107は、先行車両の自車両からの距離である車間距離と、先行車両の自車両に対する相対的な方位とを探知することとなる。図2には、自車両のレーダ107の検出ゾーン内に1台の先行車両が存在する様子の一例が示されている。
【0034】
レーダ107が放射する電磁波としては、例えば、レーザ光(例えば、レーザビーム)やミリ波を選ぶことができる。ところで、あらゆる車両は、一般に、その後面に、左右に隔たった一対のリフレクタを有している。各車両における一対のリフレクタからの反射波を利用することにより、レーダ107は、その検出ゾーン内においても各車両を他の車両から識別することが可能である。
【0035】
このレーダ107の出力信号に基づき、自車両と先行車両との車間距離が目標距離に近づくように自車両の走行を制御する車間距離ECU108が、図1に示すように、車間距離制御装置100に設けられる。
【0036】
この車間距離ECU108は、自車両の減速のためには、基本的に、ブレーキECU105及びブレーキ・アクチュエータ102を介して、ブレーキ作動力を制御すると共に、自車両の加速のためには、エンジンECU106、スロットル・アクチュエータ103、及びトランスミッション・アクチュエータ104を介して、スロットル開度及び変速比を制御する。
【0037】
図1に示すように、本実施例に係る車間距離制御装置100は、更に、車速センサ109、ヨーレート・センサ110、及び、操舵角センサ111を備えている。
【0038】
車速センサ109は、自車両の車速を実測又は推定によって検出するセンサである。この車速センサ109は、例えば、各車輪ごとに車輪速度を検出する複数の車輪速度センサを設け、それらの出力信号を用いて自車両の車速を推定する。
【0039】
ヨーレート・センサ110は、自車両に実際に発生したヨーレートを検出するセンサである。このヨーレート・センサ110は、音叉型の振動子を有し、自車両のヨーモーメントに基づいて振動子に生じた歪みを検出することによって自車両のヨーレートを検出する。
【0040】
操舵角センサ111は、自車両の運転者により自車両のステアリング・ホイールが回動操作された角度を操舵角として検出するセンサである。
【0041】
図1に示すように、本実施例に係る車間距離制御装置100は、更に、制御許可スイッチ112と、モード選択スイッチ113とを備えている。
【0042】
制御許可スイッチ112は、車間距離制御を許可するか否かに関する運転者の意思表示を車間距離ECU108に入力するために運転者により操作されるスイッチである。
【0043】
モード選択スイッチ113は、車間距離を制御するために予め用意された複数の制御モードの中から、運転者が希望する制御モードを選択するために運転者により操作されるスイッチである。
【0044】
本実施例において、これら複数の制御モードとは、一例として、ある瞬間に先行車両が通過した位置と同じ位置を該瞬間から自車両が通過するまでに経過することが予想される時間である車間時間に関して用意される。さらに、本実施例では、これら複数の制御モードは、一例として、長い車間時間を実現すべく、先行車両との間に長い車間距離が維持されるように車間距離を制御する長時間制御モードと、短い車間時間を実現すべく、先行車両との間に短い車間距離が維持されるように車間距離を制御する短時間制御モードと、これら2つのモードで維持される車間距離の中間の距離が維持されるように車間距離を制御する中時間制御モードとを含むように定義される。
【0045】
次に、本実施例に係る車間距離制御装置100のソフトウェア構成を説明する。
【0046】
車間距離ECU108のコンピュータのROMには、上述の車間距離制御を実施するために各種のプログラムが予め格納されている。図3には、そのうちの1つである減速制御プログラムの内容が概念的にフローチャートで表されている。ただし、図3においては、本実施例の説明に不要な部分は省略されている。
【0047】
この減速制御プログラムにおいては、まず、自車両と先行車両の車間距離情報に基づいて自車両の目標減速度GT0が算出される(S301)。車間距離情報と目標減速度GT0との関係は、マップやテーブルなどの形式で予め上述のROMに記憶されており、該関係に従って、今回の車間距離情報に対応する目標減速度GT0が今回の目標減速度GT0として決定される。
【0048】
ここで、「車間距離情報」とは、例えば、自車両に対する先行車両の相対速度Vrと上述の車間時間Tとを双方含むように定義することが可能である。
【0049】
また、ここでいう「相対速度Vr」とは、その符号が正であれば、自車両が先行車両から離間して車間距離が増加する傾向にあることを示しており、その符号が負であれば、自車両が先行車両に接近して車間距離が減少する傾向にあることを示している。
【0050】
換言すれば、相対速度Vrは、自車両の先行車両に対する現在の相対位置が前回の相対位置に対して、自車両が先行車両に接近する向きにずれているか、或いは、先行車両から離間する向きにずれているのかを表す、すなわち自車両の先行車両に対する相対移動の向きを表すと共に、その相対移動の程度を表す物理量の一例である。
【0051】
他方、「車間時間T」は、同じ車速のもとに車間時間Tが長い場合と短い場合とを互いに比較すると、車間時間Tが長いほど車間距離が長いことを意味する。適正な車間距離は、一定値とせずに、むしろ車速に応じて決まる可変値とするのが望ましいが、そうすると、現在の車間距離が適正車間距離に比して長いか短いかを判断するのにその時点での車速を逐一参照しなければならない。これとは対照的に、車間時間Tを採用すれば、本パラメータ単独で、自車両が先行車両に追突しないようにするために自車両の運転者が払うべき注意の程度を表現することが可能となる。このように、車間時間Tは、運転者の感覚をより忠実に表現するパラメータであると言える。
【0052】
換言すれば、車間時間Tは、自車両の先行車両に対する実際の相対位置が目標の相対位置に対して、自車両が先行車両に接近する向きにずれているのか、或いは、先行車両から離間する向きにずれているのかを表す、すなわち自車両の先行車両に対する相対位置の偏差の向きを表すと共に、その相対位置の偏差の程度を表す物理量の一例である。
【0053】
このようにして目標減速度GT0が算出されると、次いで、自車両の減速制御のためにブレーキ制御を許可すべきか否かが判定される(S302)。この判定は、例えば、(a)レーダ107が先行車両を補足しており(すなわち、自車両が追従すべき先行車両が存在しており)、且つ、(b)レーダ107により補足された先行車両が自車両と同じ車線(レーン)上を走行している確率が所定値以上であり、且つ、(c)レーダ107により検出された車間距離が、ブレーキ制御を許可するために下回らなければならない所定のブレーキ制御許可距離未満である場合に、ブレーキ制御が許可される。
【0054】
目標減速度GT0が例えばスロットを閉じることによるいわゆるエンジン・ブレーキで実現できる程度のものである場合、ブレーキ制御が許可されない(S302の「NO」)。
【0055】
他方、ブレーキ制御が許可された場合(S302の「YES」)、次いで、S303〜S308において、自車両が目標とする減速度勾配dGが決定される。既に述べたように、先行車両との車間距離に比較的余裕がある場合に、目標とする減速度GT0が急激に実現されると、車両乗員に減速度が必要以上に大き過ぎるという違和感を与えるおそれがある。そこで、本実施例では、S303〜S308において目標減速度GT0に到達するまでの減速度勾配dGを決定し、先行車両との車間距離に比較的余裕がある場合には、目標減速度GT0が緩やかに(徐々に)実現されるように減速度勾配dGの上限を制限する。
【0056】
このS303〜S308における処理について最初に概略的に説明すると、減速度勾配dGは、相対速度Vrと最終車間時間偏差比GTdepとに基づき、図4にグラフで表されるような関係に従って、減速度勾配dGが決定される。該関係は、上述のROMに予め記憶されている。
【0057】
ただし、図4は、相対速度Vrのある値について、最終車間時間偏差比GTdepと減速度勾配dGとの関係を右下がりのグラフとして表している。相対速度Vrが増加して車間距離の離間傾向が増加すれば、このグラフは図4の座標面上において減速度勾配dGが減少する向きにシフトする。他方、相対速度Vrが減少して車間距離の接近傾向が増加すれば、このグラフは図4の座標面上において減速度勾配dGが増加する向きにシフトする。
【0058】
ここで、「最終車間時間偏差比GTdep」とは、元車間時間偏差比Tdepに偏差比シフト量Dlevelを加算することによって算出される。
【0059】
元車間時間偏差比Tdepは、実車間時間TRから目標車間時間TTを差し引いた値を目標車間時間TTで割り算して取得される。元車間時間偏差比Tdepは、Tdep=0のときに目標車間距離がちょうど達成されていることを意味し、Tdep<0のときに自車両が先行車両に対して目標車間距離が達成されるべき位置より接近していることを意味し、Tdep>0のときに自車両が先行車両に対して目標車間距離が達成されるべき位置より離間していることを意味する。
【0060】
さらに、ここで「実車間時間TR」とは、実車間距離Dを自車両の実車速Vnで割り算して取得される。他方、「目標車間時間TT」は、自車両の運転者によってモード選択スイッチ113を介して選択された制御モードに応じて決まる。結局、元車間時間偏差比Tdepは、実車間時間TRが目標車間時間TTを達成できていない割合(比率)を表していると言える。なお、偏差比シフト量Dlevelの機能については後述する。
【0061】
図5には、目標減速度GT0と減速度勾配dGとのそれぞれの意味がグラフで表されている。目標減速度GT0は、ブレーキ制御による減速度の定常値の目標値であるのに対して、減速度勾配dGは、実減速度GRが0から増加して目標減速度GT0に到達するまでの過渡期間における目標減速度GT、すなわち目標減速度GTの過渡値を規定するために使用される値である。
【0062】
図5には、減速度勾配dGが制限されない場合、すなわち目標減速度GT0が設定されたならば実減速度GRが直ちに増加することが許容される場合における目標減速度GTの時間的推移が二点鎖線で表されている。また、図5には、本実施例に従って減速度勾配dGが制限される場合、すなわち減速度勾配dGが上述のように相対速度Vrと車間時間偏差比Tdepとに依存して変化することが許容される場合における目標減速度GTの時間的推移が実線のグラフで表されている。
【0063】
図5からも明らかなように、本実施例によれば、自車両の減速制御中、減速度勾配dGが制限されない場合に比して、自車両の実減速度GRを滑らかに変化させることが可能となる。
【0064】
次に、偏差比シフト量Dlevelの意味を説明する。
【0065】
自車両の運転者によって選択された制御モードが短時間制御モ−ドである場合には、元車間時間偏差比Tdepの変化に対して敏感に応答するように減速度勾配dGを決定することが望ましい。このように減速度勾配dGを決定すると、車間距離Dがアンダーシュート(減速制御量の実際値が理想値を上回ることにより実車間距離が目標車間距離に対して不足する側すなわち接近側に行き過ぎる現象)を伴わずに制御される傾向が増す。
【0066】
図6の左側には、自車両Aの減速が先行車両との関係において、短時間制御モードで実施される様子が概念的に例示されている。この例においては、自車両Aと先行車両との車間距離がアンダーシュートを伴わずに制御される。
【0067】
これとは対照的に、自車両の運転者によって選択された制御モードが長時間制御モードである場合には、元車間時間偏差比Tdepの変化に対して鈍感に応答するように減速度勾配dGを決定することが望ましい。このように減速度勾配dGを決定すると、車間距離Dがアンダーシュートを伴って制御される傾向が増す。
【0068】
図6の右側には、自車両Bの減速が先行車両との関係において、長時間制御モードで実施される様子が概念的に例示されている。この例においては、自車両Bと先行車両との車間距離がアンダーシュートを伴って制御される。
【0069】
以上説明したように、車間距離の制御特性を制御モードの種類に応じて変化させることが望ましく、これを実現するために、本実施例では偏差比シフト量Dlevelが設けられている。
【0070】
図7には、右下がりのグラフが2つ、互いに平行に示されており、上側のグラフによれば、同じ元車間時間偏差比Tdepについて大きい減速度勾配dGが対応させられるのに対して、下側のグラフによれば、同じ元車間時間偏差比Tdepについて小さい減速度勾配dGが対応させられる。
【0071】
したがって、同じ元車間時間偏差比Tdepにつき、短時間制御モードの選択時には上側のグラフが選択され、長時間制御モードの選択時には下側のグラフが選択されるようにすれば、制御モードの種類に車間距離の制御特性をフレキシブルに適合させることができる。
【0072】
そこで、本実施例においては、一例として、上側のグラフを基準とし、最終車間時間偏差比GTdepと減速度勾配dGとの関係(図4参照)を規定するとともに、その最終車間時間偏差比GTdepを、元車間時間偏差比Tdepに偏差比シフト量Dlevelを加算して取得することにより、下側のグラフが仮想的に実現される。
【0073】
図3のフローチャートの説明に戻ると、以上説明した処理を実現するために、まず、モード選択スイッチ113を介して運転者により選択された制御モードが読み込まれる(S303)。
【0074】
制御モードが読み込まれると、次いで、図8にグラフで概念的に表される関係であって上述のROMに予め記憶された関係に従い、今回選択された制御モードに応じて偏差比シフト量Dlevelが決定される(S304)。図8に示すように、本実施例においては、一例として、偏差比シフト量Dlevelは、短時間制御モードの選択時には0、中時間制御モードの選択時には中間値、長時間制御モードの選択時には最大値となるように決定される。
【0075】
偏差比シフト量Dlevelが決定されると、次いで、レーダ107により検出された実車間距離Dが、車速センサ109により検出された実車速Vnで割り算されることにより、実車間時間TRが算出され(TR=D/Vn)、これと目標車間時間TTとの関係から今回の元車間時間偏差比Tdepが算出される(S305)。
【0076】
元車間時間偏差比Tdepが算出されると、次いで、実車間距離Dの今回値から前回値が引き算された値を制御周期(制御サイクル)の長さで割り算することにより、相対速度Vrが算出される(S307)。なお、相対速度Vrは、制御周期の長さが複数回の制御周期の間において一定である場合には、計算の便宜上、その引き算された値をそのまま相対速度Vrとして使用してもよい。
【0077】
相対速度Vrが算出されると、次いで、S306において算出された最終車間時間偏差比GTdepと、S307において算出された相対速度Vrとに対応した今回の減速度勾配dGが既述のようにマップ等から読み出される。
【0078】
本実施例ではこのようにして目標減速度GT0及び減速度勾配dGが決定され、減速度勾配制限が実現されるわけであるが、以上の制御は主として追いつき減速時の制御に着目したものであり、追従減速時や割り込み減速時には若干の追加的調整が行われることが好ましい。
【0079】
ここで、「追いつき減速」とは、先行車両が検知されない非追従状態から先行車両が検知されたときに、目標とする車間距離が達成され、追従状態に入るまでに行われる減速のことを指す。また、「追従減速」とは、概して、自車両が先行車両に対して既に追従状態に入っており、目標車間距離が略維持された状態において、例えば先行車両がブレーキ制御を行ったときなどに先行車両の減速に併せて追従走行中の自車両において行われる減速を指し、特に車間距離が比較的短い状況での追従制御時減速を指す。さらに、「割り込み減速」とは、概して、自車両と先行車両との間に隣接車線から第三の車両が割り込んできたとき、又は、自車両が隣接車線に車線変更して2台の車両の間に入ったときに、この割り込み(割り込まれ)のために必要となった自車両の減速を指し、特に車間距離が比較的短い状況での割り込み(割り込まれ)時減速を指す。
【0080】
上述の追従減速時や割り込み減速時には、追いつき減速時に比して、自車両と先行車両の間の車間距離に比較的余裕がない、と言い得る。このような比較的余裕のない車間距離状況において、上述のような減速度勾配制限によって比較的緩やかな減速が行われると、車両乗員によっては先行車両との車間距離に照らして減速度が必要以上に小さ過ぎるのではないかという不安感を持つかもしれないと予想される。
【0081】
そこで、本実施例では、追いつき減速を考慮して上述のような減速度勾配制限処理をベースとしつつ、追従減速時及び割り込み減速時には減速の程度を強化して運転者の安心感を向上させる。
【0082】
図3のS308において最終車間時間偏差比GTdepと相対速度Vrとから減速度勾配dGが一旦決定された後、S309〜S312における処理が追従減速時に対応するものであり、S313〜S315における処理が割り込み減速時に対応するものである。以下、順に説明する。
【0083】
減速度勾配dGが決定されると、次いで、自車両が追従減速中であるか否かが判定される(S309)。本実施例では、一例として、以下の2条件のうちいずれかが(OR)成立した場合に自車両が追従制御中に減速する状況下にあると判断する。
条件1
(a)運転者により選択された制御モードが「短時間制御モード」であり、且つ、
(b)車間時間偏差比Tdepが所定の割合(%)を下回っており、且つ、
(c)相対速度が所定の閾値を下回っており、且つ、
(d)相対加速度が所定の閾値を下回っている。
条件2
(a)実車間距離Dが所定の閾値を下回っており、且つ、
(b)先行車両が存在し、且つ、
(c)目標加速度要求値が負であり、且つ、
(d)相対速度が所定の閾値を下回っており、且つ、
(e)相対加速度が所定の閾値を下回っている。
【0084】
上記条件1(a)について、制御モードが上述のような「短・中・長」の3種類でない場合、全種類の中で車間時間が短い方から1つ以上の制御モードとしてもよい。また、上記条件1(b)は、端的に言えば、実車間距離Dが目標値よりも短い場合と言い得る。また、上記条件1(c)は、端的に言えば、先行車両の車速が低下した場合と言い得る。さらに、上記条件1(d)は、端的に言えば、先行車両の減速度が増加した場合と言い得る。
【0085】
上記条件2(a)について、所定の閾値は、制御モードにかかわらず一定値(固定値)である。また、上記条件2(c)は、端的に言えば、自車両が減速要求中の場合と言い得る。また、上記条件2(d)は、端的に言えば、先行車両の車速が低下した場合と言い得る。さらに、上記条件2(e)は、端的に言えば、先行車両の減速度が増加した場合と言い得る。
【0086】
以上の判定条件例からも明らかなように、本実施例では、追従制御中の減速すべてを追従減速と称しているわけではなく、中でも特に車間距離が短い場合に限定して追従減速と称している。
【0087】
一例として、上記条件1について判定する場合の処理の流れを図9に示す。S901〜S904における判定処理が、上記条件1(a)〜1(d)の判定にそれぞれ対応している。条件1(a)〜1(d)がすべて満たされ、S901〜S904においてすべて肯判定(YES)となった場合、自車両は追従減速中であると判定される(S905)。他方、条件1(a)〜1(d)のいずれか1つでも満たされず、S901〜S904のいずれかにおいて否判定(NO)となった場合、自車両は追従減速中ではないと判定される(S906)。
【0088】
図3に戻る。このような判定処理により、自車両が追従減速中であると判定された場合(S309の「YES」)、S301で算出された目標減速度GT0に補正ゲインが乗ぜられて、補正された新たな目標減速度GT0’が実際に要求される減速度に設定される(S310)。
【0089】
このように、本実施例において、追従減速時には目標減速度が高められる。しかしながら、目標減速度を高めても上述の減速度勾配制限により該補正後の目標減速度まで緩やかに減速度が増加されては運転者の安心感の向上にはつながらない。
【0090】
そこで、本実施例では、追従減速時に、必要に応じて、減速度勾配制限の内容を補正する。まず、S310において補正された後の新たな目標減速度を考慮して、S308において決定された減速度勾配dGに補正が必要であるか否かが判定される(S311)。
【0091】
本実施例では、一例として、このS311における判定として、目標減速度と実減速度の差が所定の閾値(km/h/s)より大きく、且つ、差分変化率が所定の閾値(km/h/s)より大きい場合に、減速度勾配dGの補正が必要であると判定する。
【0092】
減速度勾配dGの補正が必要であると判定された場合(S311の「YES」)、S308において決定された減速度勾配dGに対して補正処理が行われる(S312)。上述のように、この補正の狙いは車間距離に照らして緩やか過ぎると思われる減速度増加を回避することであるから、S312における補正は減速度勾配dGを増やす(急峻化する)方向の補正である。具体的な補正内容(勾配増加量)は任意でよい。例えば、S311における判定に用いられた所定の閾値と実測値との差に応じて勾配増加量が決定されてもよく、或いは、S308において読み出される減速度勾配dGが予め所定数のレベルに分けられた段階的なものである場合、この勾配レベルを1レベル上げるようにしてもよい。
【0093】
他方、自車両が追従減速中でない場合(S309の「NO」)、目標減速度GT0の補正も減速度勾配dGの補正も行われず、S313へ進む。また、追従制御中であるが、減速度勾配dGの補正は不要であると判断された場合(S311の「NO」)、目標減速度GT0の補正のみが行われて、S313へ進むこととなる。
【0094】
追従減速用の処理が終わると、次いで、自車両が割り込み減速中であるか否かが判定される(S313)。本実施例では、一例として、以下の条件が成立した場合に自車両が割り込み減速中であると判断する。
条件
(x)相対速度が所定の閾値を下回っており、且つ、
(y)実車間距離Dが所定の閾値を下回っている。
【0095】
上記条件(y)について、所定の閾値は、上記条件(x)でも用いる相対速度の大きさに応じて決定される。
【0096】
以上の判定条件例からも明らかなように、本実施例では、割り込み時又は割り込まれ時の減速すべてを割り込み減速と称しているわけではなく、中でも特に車間距離が短い場合に限定して割り込み減速と称している。
【0097】
上記条件について判定する場合の処理の流れを図10に示す。S1001及びS1002における判定処理が、上記条件(x)及び(y)の判定にそれぞれ対応している。条件(x)及び(y)がいずれも満たされ、S1001及びS1002においてすべて肯判定(YES)となった場合、自車両は割り込み減速中であると判定される(S1003)。他方、条件(x)及び(y)のいずれか一方でも満たされず、S1001及びS1002のいずれかにおいて否判定(NO)となった場合、自車両は割り込み減速中ではないと判定される(S1004)。
【0098】
図3に戻る。このような判定処理により、自車両が割り込み減速中であると判定された場合(S313の「YES」)、S308において決定された減速度勾配dG又はS312で補正された減速度勾配dGに補正又は追加的補正が必要であるか否かが判定される(S314)。
【0099】
本実施例では、一例として、このS314における判定として、目標減速度と実減速度の差が所定の閾値(km/h/s)より大きく、且つ、差分変化率が所定の閾値(km/h/s)より大きい場合に、減速度勾配dGの補正が必要であると判定する。
【0100】
減速度勾配dGの補正が必要であると判定された場合(S314の「YES」)、S308において決定された又はS312において補正された減速度勾配dGに対して補正処理が行われる(S315)。上述のように、この補正の狙いは車間距離に照らして緩やか過ぎると思われる減速度増加を回避することであるから、S315における補正は減速度勾配dGを増やす(急峻化する)方向の補正である。具体的な補正内容(勾配増加量)は任意でよい。例えば、S315における判定に用いられた所定の閾値と実測値との差に応じて勾配増加量が決定されてもよく、或いは、S308において読み出される減速度勾配dGが予め所定数のレベルに分けられた段階的なものである場合、この勾配レベルを1レベル上げるようにしてもよい。
【0101】
他方、自車両が割り込み減速中でない場合(S313の「NO」)、又は、割り込み制御中であるが減速度勾配dGの補正は不要であると判断された場合(S314の「NO」)、減速度勾配dGの補正は行われず、S316へ進む。
【0102】
このように、追従減速時及び/又は割り込み減速時には、S301で算出された目標減速度GT0及び/又はS308において決定された減速度勾配dGに対して必要な補正が行われ、最終的な値が決定される。追いつき減速時(S309で「NO」且つS313で「NO」)には、S301及びS308において決定された目標減速度GT0及び減速度勾配dGが最終的な値となる。
【0103】
最終的な目標減速度GT0及び減速度勾配dGが決定されると、次いで、これら決定された最終的な値が、エンジンECU106を経てブレーキECU105に送信される(S316)。ブレーキECU105は、受信した減速度勾配dGと目標減速度GT0とに基づき、各制御周期においてブレーキ101によって実現すべき減速度を算出し、それが実現されるようにブレーキ101を制御する。
【0104】
最後に、本実施例により実施される減速度制御について、図11を用いて一例を説明する。図11は、横軸に時間、縦軸に減速度をとったグラフであり、図において下に行くほど減速度が大きくなる。
【0105】
図11において、ラインA(実線)は、本実施例に係る減速度勾配制限が行われない場合の減速度の推移を表している。図示するように、制御開始と略同時に目標減速度が実現されている。
【0106】
ラインB(二点破線)は、例えば追いつき減速時などに本実施例に係る減速度勾配制限が行われた場合の減速度の推移を表している。図示するように、ラインAに比して、同じ目標減速度まで緩やかな勾配で到達している。
【0107】
ラインC(一点破線)は、追従減速時に本実施例に係る補正制御が行われた場合の減速度の推移を表している。図示するように、勾配制限のみが行われたラインBに比して、目標減速度が補正されて増加していると共に、減速度勾配が急峻化されている。
【0108】
ラインD(粗破線)は、割り込み減速時に本実施例に係る補正制御が行われた場合の減速度の推移を表している。図示するように、勾配制限のみが行われたラインBに比して、目標減速度は同じまま、減速度勾配が急峻化されている。
【0109】
ラインE(密破線)は、追従減速且つ割り込み減速時に本実施例に係る補正制御が行われた場合の減速度の推移を表している。図示するように、追従減速時用の補正のみが行われたラインCに比して、目標減速度は同じまま、減速度勾配が更に急峻化されている。
【0110】
以上、説明したように、本実施例によれば、制御モードに応じて、すなわち設定された車間距離(車間時間)の長短に応じて許容されるアンダーシュート量を変え、設定された車間距離が長いほど許容されるアンダーシュート量が増えるようにしたため、設定された車間距離が比較的短い場合及び比較的長い場合それぞれにおいて、アンダーシュート量が必要以上に大き過ぎる/小さ過ぎるのではないかという違和感を車両乗員に与えない。
【0111】
また、本実施例によれば、減速度勾配を制限することによって、車間距離に比較的余裕があるときには減速度が緩やかに目標減速度まで増加されるため、特に車間距離に比較的余裕がある場合に減速度が必要以上に大き過ぎるのではないかという違和感を車両乗員に与えない。
【0112】
さらに、本実施例によれば、追従減速時や割り込み減速時などの車間距離に比較的余裕がない場合には、追いつき減速時などの車間距離に比較的余裕がある場合に比して減速の程度を強める補正が行われるため、特に車間距離に比較的余裕がない場合に減速度が必要以上に小さ過ぎるのではないかという違和感を車両乗員に与えない。
【0113】
なお、上記一実施例は、既述のように、追いつき減速時の減速制御をベースとし、追従減速時及び割り込み減速時に減速の程度を強める補正を行うものであるが、当業者には明らかなようにこれは一例に過ぎない。すなわち、上記一実施例とは逆に、追従減速時及び/又は割り込み減速時の減速制御をベースとし、追いつき減速時に減速の程度を弱める補正を行うものとすることも当然可能である。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、いわゆるアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)などの車間距離制御装置に利用できる。搭載される車両の外観、重量、サイズ、走行性能等は問わない。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の一実施例に係る車間距離制御装置のハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1におけるレーダにより先行車両が検出される様子を概念的に説明するための図である。
【図3】図1における車間距離ECUのコンピュータにより実行される減速制御プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図3の減速制御プログラムにより使用される最終車間時間偏差比GTdepと減速度勾配dGとの関係の一例を示すグラフである。
【図5】図3の減速制御プログラムの実行による一連の減速制御における目標減速度GTの時間的推移の一例を示すグラフである。
【図6】図3の減速制御プログラムの実行による減速制御の特性が短時間制御モードと長時間制御モードとで互いに異なることを説明するための図である。
【図7】図3のS304〜S306の処理を説明するための図である。
【図8】図3のS304の処理において使用される制御モードと偏差比シフト量Dlevelとの関係を説明するための図である。
【図9】図3の減速制御プログラムにより実行される追従減速判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】図3の減速制御プログラムにより実行される割り込み減速判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】図3の減速制御プログラムの実行による一連の減速制御における目標減速度GTの時間的推移を補正制御の有無による違いを説明するために示したグラフである。
【符号の説明】
【0116】
100 車間距離制御装置
101 ブレーキ
102 ブレーキ・アクチュエータ
103 スロットル・アクチュエータ
104 トランスミッション・アクチュエータ
105 ブレーキECU
106 エンジンECU
107 レーダ
108 車間距離ECU
109 車速センサ
110 ヨーレート・センサ
111 操舵角センサ
112 制御許可スイッチ
113 モード選択スイッチ




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013