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発明の名称 車載液圧発生システム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2006−15956(P2006−15956A)
公開日 平成18年1月19日(2006.1.19)
出願番号 特願2004−198206(P2004−198206)
出願日 平成16年7月5日(2004.7.5)
代理人 【識別番号】100079669
【弁理士】
【氏名又は名称】神戸 典和
発明者 駒沢 雅明
要約 課題
実用的な車載液圧発生システムを提供する。

解決手段
アキュムレータ,ポンプ装置等を備えた車載液圧発生装置を含む液圧発生システムを、それが接続される車載液圧作動装置や当該システムの現在までの稼動量に基づいてアキュムレータ液圧の液圧範囲を設定し、アキュムレータ液圧がその設定された液圧範囲となるようにポンプ装置を制御作動させるように構成する。具体的には、車両の走行距離,ポンプ装置の作動回数等に基づいて、例えば、アキュムレータ液圧範囲を規定する下限圧P1を調節する(PH1,PM1,PL1)。液圧発生装置に対して稼動量に応じた作動制御がなされるため、例えば、液圧作動装置,当該液圧発生システムのコンディションに配慮した液圧発生装置の作動がなされることになる。それによって、液圧発生システムの作動音の増加、短命化といった問題に対処可能となる。
特許請求の範囲
【請求項1】
液圧によって作動する車載液圧作動装置に作動液を供給するための液圧発生装置と、その液圧発生装置の発生液圧が設定液圧範囲となるようにその液圧発生装置を制御する制御装置とを含んで構成された車載液圧発生システムであって、
前記制御装置が、前記車載液圧作動装置と当該車載液圧発生システムとの少なくとも一方の現在までの稼動量を直接的あるいは間接的に示す物理量である稼動関連量に基づいて前記設定液圧範囲を設定する液圧範囲設定部を備えたことを特徴とする車載液圧発生システム。
【請求項2】
前記液圧発生装置が、液圧発生源としてのポンプ装置を備え、前記制御装置が、前記液圧発生装置の発生液圧が前記設定液圧範囲となるように前記ポンプ装置の作動を制御する請求項1に記載の車載液圧発生システム。
【請求項3】
前記液圧発生装置が、前記車載液圧作動装置に供給される作動液を蓄えるアキュムレータを備えた請求項1または請求項2に記載の車載液圧発生システム。
【請求項4】
前記液圧発生装置が、前記アキュムレータに蓄えられた作動液の液圧であるアキュムレータ液圧を検出する液圧センサを備え、前記制御装置が、前記液圧センサの検出値に基づいてアキュムレータ液圧が設定液圧範囲となるように制御することで、前記液圧発生装置の発生液圧が前記設定液圧範囲となるように制御するものである請求項3に記載の車載液圧発生システム。
【請求項5】
前記車載液圧作動装置が液圧ブレーキ装置であり、当該車載液圧発生システムがその液圧ブレーキ装置に作動液を供給するためのものである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車載液圧発生システム。
【請求項6】
前記液圧範囲設定部が、前記稼動関連量が示す稼動量が大きい場合に、小さい場合に比較して前記設定液圧範囲を低目に設定するものである請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の車載液圧発生システム。
【請求項7】
前記液圧範囲設定部が、前記設定液圧範囲を規定する下限圧のみを低く設定することによってその設定液圧範囲を低目に設定するものである請求項6に記載の車載液圧発生システム。
【請求項8】
前記液圧発生装置が、液圧発生源としてのポンプ装置を備え、前記制御装置が、前記液圧発生装置の発生液圧が前記設定液圧範囲となるように前記ポンプ装置の作動を制御するものであり、
前記圧範囲設定部が、少なくとも前記稼動関連量としての前記ポンプ装置の稼動回数に基づいて前記設定液圧範囲を設定するものである請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の車載液圧発生システム。
【請求項9】
前記圧範囲設定部が、少なくとも前記稼動関連量としての当該車載液圧発生システムが搭載された車両の走行距離に基づいて前記設定液圧範囲を設定するものである請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の車載液圧発生システム。
【請求項10】
前記液圧範囲設定部が、さらに当該車載液圧発生システムが搭載された車両の走行速度に基づいて前記設定液圧範囲を設定するものである請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の車載液圧発生システム。
【請求項11】
前記液圧範囲設定部が、車両の走行速度が小さい場合に大きい場合に比較して前記設定液圧範囲を低目に設定するともに、車両の走行速度が設定された閾車速よりも大きい場合にのみ、前記稼動関連量が示す稼動量が大きいときに、小さいときに比較して前記設定液圧範囲を低目に設定するものである請求項10に記載の車載液圧発生システム。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧ブレーキ装置等の車載液圧作動装置に作動液を供給するための車載液圧発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、液圧ブレーキ装置等の車載液圧作動装置の圧力源として液圧発生システムが搭載されている。その液圧発生システムは、例えば、液圧発生装置(例えば、ポンプ装置等を備える装置)と、それを制御する制御装置を含んで構成される。そのような構成の液圧発生システムでは、液圧発生装置は、発生液圧が設定液圧範囲となるように制御作動させられる。そのような作動が行われる液圧発生システムとして、例えば、下記特許文献に記載された液圧発生システムが存在する。その液圧発生システムでは、液圧発生装置から液圧作動装置に至る配管に作用する圧力負荷に鑑み、設定液圧範囲を、高車速時には高めに、低車速時には低めに設定することで、上記配管の耐久性の向上を図っている。
【特許文献1】特開平6−183334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的に、各種の装置は、使用されるに従って、つまり、稼動量(「稼動時間」と「稼動回数」との両者を含む概念である)が増えるに従って、コンディションが悪化する。上述のような液圧発生システム,液圧作動装置もその例にもれず、稼動量が増加した場合は、例えば、装置の作動音が増加したり、また、高負荷,高頻度の作動によって寿命が縮むといった現象が生じたりする。したがって、稼動量が大きくなった状態においてそれら車載の液圧発生システム等を作動させる場合には、特別な配慮を要する。その観点から言えば、現状の車載液圧発生システムには、実用性を向上させるための改善を行う余地が充分に残されている。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用的な車載液圧発生システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明は、液圧発生装置を含んで構成された車載液圧発生システム(以下、単に「液圧発生システム」という場合がある)を、車載液圧作動装置(以下、単に「液圧作動装置」という場合がある)や当該液圧発生システムの現在までの稼動量に基づいて発生液圧の液圧範囲を設定し、発生液圧がその設定された液圧範囲となるように液圧発生装置を制御作動するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、液圧発生システムは、現在までの稼動量に応じた作動制御がなされるため、例えば、液圧作動装置,当該液圧発生システムのコンディションに配慮した作動がなされることになる。そのような制御作動を可能にすることによって、例えば、先に説明したような液圧発生システム,液圧作動装置の作動音の増加、短命化といった種々の問題のいずれかに対処することが可能となる。したがって、本発明によれば、実用性を向上させた車載液圧発生システムが実現する。なお、本発明の具体的ないくつかの態様、それらの作用,効果等については、以下の〔発明の態様〕の項において詳しく説明する。
【発明の態様】
【0006】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項ないし(11)項のそれぞれが、請求項1ないし請求項11のそれぞれに相当する。
【0007】
(1)液圧によって作動する車載液圧作動装置に作動液を供給するための液圧発生装置と、その液圧発生装置の発生液圧が設定液圧範囲となるようにその液圧発生装置を制御する制御装置とを含んで構成された車載液圧発生システムであって、
前記制御装置が、前記車載液圧作動装置と当該車載液圧発生システムとの少なくとも一方の現在までの稼動量を直接的あるいは間接的に示す物理量である稼動関連量に基づいて前記設定液圧範囲を設定する液圧範囲設定部を備えたことを特徴とする車載液圧発生システム。
【0008】
本項に記載の液圧発生システムでは、先の説明を繰り返すが、当該液圧発生システムや当該システムを構成する液圧発生装置から作動液が供給される液圧作動装置の稼動量に配慮して、液圧発生装置が発生させる作動液の液圧(発生液圧)の目標となる範囲が設定され、発生液圧がその範囲となるように液圧発生装置が作動させられる。それにより、当該液圧発生システムや液圧作動装置のコンディションに応じた液圧発生システムの作動が可能となる。その結果、例えば、液圧発生システムや液圧作動装置の稼動量の増加に伴って発生するところの、それらのシステムや装置の作動音の増加,寿命の減少といった種々の現象に対処することが可能となる。その意味において、本項の態様の液圧発生システムは、実用性が向上したものとなる。なお、液圧発生システム,液圧作動装置の稼動量は、車両を購入した時点から同じ時間経過した車両であっても、車両を操作する運転者の運転特性等に応じて車両ごとに異なるものとなる。本項に記載の態様によれば、車両ごとの稼動量に基づく制御が行われることから、車両ごとに異なる液圧発生システム,液圧作動装置のコンディションに配慮した制御が可能となる。その意味においても、本項の態様の液圧発生システムは実用性が向上したものとなるのである。
【0009】
本項の態様において、当該液圧発生システムが作動液を供給する「車載液圧作動装置」は、特に限定されるものではない。例えば、後に説明する液圧ブレーキ装置を始めとして、懸架シリンダ(例えば、ショックアブソーバ等)に対して作動液を供給することにより車高を調整する車高調整装置(サスペンション装置の一部を構成するものである)等、種々の車載装置が、上記液圧作動装置となり得る。また、当該液圧発生システムが有する「液圧発生装置」の具体的な構成,構造は、特に限定されるものではなく、後に説明するところの、ポンプ装置,アキュムレータ等を備えた既に公知の構成,構造のものを広く採用することができる。
【0010】
液圧発生システムを構成する「制御装置」は、その構成が特に限定されるものではない。例えば、コンピュータを主体に構成された電子制御ユニット(ECU)のようなものを採用することができる。制御装置は、便宜的にいくつかの機能部に区分することができ、基本的な機能部として、発生液圧が「上限圧」と「下限圧」とで定まる設定液圧範囲となるように液圧発生装置を制御作動させる「作動制御部」を設けることができる。
【0011】
制御装置における機能部の1つである上記「液圧範囲設定部」は、上述した上限圧と下限圧との両方を設定することで設定液圧範囲を設定するような機能部とすることが可能である。また、上限圧と下限圧との一方が予め一定の値として定められているような場合には、それらの他方のみを設定することで設定液圧範囲を設定するような機能部とすることも可能である。
【0012】
上記液圧範囲設定部が設定液圧範囲を設定する際に依拠する1つのパラメータが、上記「稼動関連量」である。「稼動関連量」は、液圧作動装置と当該液圧発生システムとの少なくとも一方の現在までの稼動量を直接的にあるいは間接的に示す物理量であり、ここでいう「稼動量」は、稼動時間、稼動回数といった概念を含む概念である。稼動関連量は、具体的には、稼動量を直接的に示すものとして、稼動時間、稼動回数等が含まれ、また、稼動量を間接的に示すものとして、車両の走行時間、走行距離、当該液圧発生システムが車両に搭載されてからの時間等を始め、作動音,振動,発生液圧の変化勾配等の液圧発生システム,液圧作動装置の劣化の程度を表すパラメータ等、種々のものが含まれる。
【0013】
液圧範囲設定部は、それらの稼動関連量のうちの1つのみに基づいて、設定液圧範囲を設定するものであってもよく、それら稼動関連量のうちの2以上のものに基づいて設定液圧範囲を設定するものであってもよい。また、後に説明するように、稼動関連量のみではなく、車両の走行状態を示すパラメータ等の稼動関連量とは別のパラメータにも基づいて設定液圧範囲を設定するものであってもよい。さらに、液圧範囲設定部は、稼動関連量に基づいて直接的に設定液圧範囲を設定するものであってもよく、稼動関連量から別のパラメータ(例えば、液圧発生システムや液圧作動装置の余命を示すパラメータ等)を推定し、そのパラメータに基づいて設定液圧範囲を設定するといった間接的な設定を行うようなものであってもよい。また、例えば、設定液圧範囲は無段階的に設定されるものであってもよく、段階的に設定されるものであってもよい。言い換えれば、上限圧,下限圧が連続的な値に設定されるような態様であってもよく、離散的に設定されたいくつかの値から選択することによって設定されるような態様であってもよいのである。なお、液圧範囲設定部による設定液圧範囲の設定の具体的な態様については、後の項において詳しく説明する。
【0014】
(2)前記液圧発生装置が、液圧発生源としてのポンプ装置を備え、前記制御装置が、前記液圧発生装置の発生液圧が前記設定液圧範囲となるように前記ポンプ装置の作動を制御する(1)項に記載の車載液圧発生システム。
【0015】
本項に記載の態様は、液圧発生装置の構成を一般的なものに限定した一態様である。例えば、発生液圧をモニタし、液圧作動装置への作動液の供給等に伴って発生液圧が下限圧を下回った場合にポンプ装置の作動を開始させ、上昇して上限圧となった場合にポンプ装置の作動を停止させるといった制御を行うような制御を行うように構成された態様が、本項の態様に含まれる。
【0016】
(3)前記液圧発生装置が、前記車載液圧作動装置に供給される作動液を蓄えるアキュムレータを備えた(1)項または(2)項に記載の車載液圧発生システム。
【0017】
本項に記載の態様は、液圧発生装置の構成を一般的なものに限定した一態様である。本項の態様においては、液圧発生装置は蓄圧装置として機能するものとなる。
【0018】
(4)前記液圧発生装置が、前記アキュムレータに蓄えられた作動液の液圧であるアキュムレータ液圧を検出する液圧センサを備え、前記制御装置が、前記液圧センサの検出値に基づいてアキュムレータ液圧が設定液圧範囲となるように制御することで、前記液圧発生装置の発生液圧が前記設定液圧範囲となるように制御するものである(3)項に記載の車載液圧発生システム。
【0019】
本項に記載の態様は、液圧発生装置がアキュムレータを備えた態様にさらに限定を加えた態様である。アキュムレータを備えた液圧発生装置では、そのアキュムレータ液圧が液圧発生装置の発生液圧に等しいものとなる。本項に記載の態様は、そのことに依拠した制御を行う態様であり、アキュムレータ液圧についての目標となる液圧範囲を設定して、発生液圧を制御する態様である。
【0020】
(5)前記車載液圧作動装置が液圧ブレーキ装置であり、当該車載液圧発生システムがその液圧ブレーキ装置に作動液を供給するためのものである(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の車載液圧発生システム。
【0021】
本項に記載の態様は、液圧作動装置および液圧発生システムの用途を具体的なものに限定した態様である。液圧ブレーキ装置は、車両における重要かつ基本的な装置であり、例えば、その装置およびそれの液圧発生システムの延命を図ることを目的とする態様の場合は、その目的が達成された場合の実益が大きい。また、それらの装置,システムの作動音の低減を図る目的である場合には、車両走行の快適性を維持することが可能となる。なお、本項に記載の液圧発生システムは、例えば、マスタシリンダ液圧をアシストするための液圧ブースタの液圧源として採用されるものであってもよく、また、いわゆるブレーキバイワイヤと呼ばれるシステムにおいて、マスタシリンダの液圧によらずに直接ホイールシリンダに液圧を供給するための液圧源として採用されるものであってもよい。
【0022】
(6)前記液圧範囲設定部が、前記稼動関連量が示す稼動量が大きい場合に、小さい場合に比較して前記設定液圧範囲を低目に設定するものである(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の車載液圧発生システム。
【0023】
設定液圧範囲を低目に設定すれば、液圧発生システム,液圧作動装置に対する圧力負荷を小さくすることができる。また、液圧発生装置がポンプ装置等の液圧発生源を備える態様の場合は、その液圧発生源に対する負荷を小さくすることも可能であり、液圧発生源の作動音は比較的小さくなる。本項の態様は、そのような観点から、液圧発生システム等の稼動量が大きくなった場合に、負荷を小さくすることが可能であり、延命効果、作動音低減効果等を得るために有効な態様である。なお、設定液圧範囲を低目に設定する態様として、例えば、上限圧のみを低目に設定する態様,下限圧のみを低目に設定する態様,上限圧と下限圧との両者とも低目に設定する態様、上限圧と下限圧との平均圧を低目に設定する等、種々の態様が考えられるが、本項の態様では、それらの態様のうちの1つをあるいは2つ以上を組み合わせて採用すればよい。
【0024】
(7)前記液圧範囲設定部が、前記設定液圧範囲を規定する下限圧のみを低く設定することによってその設定液圧範囲を低目に設定するものである(6)項に記載の車載液圧発生システム。
【0025】
本項に記載の態様のように、下限圧のみを低く設定することによって、設定液圧範囲を低目に設定すれば、設定液圧範囲が拡大することになる。例えば、液圧発生装置が、ポンプ装置等の液圧発生源を備えてその液圧発生源の作動制御が行われるような態様のものである場合には、設定液圧範囲が拡大されることによって、1回の連続した液圧発生源の作動時間は長くなるものの、液圧発生源の作動開始,作動停止の頻度(以下、単に「作動頻度」と言う場合がある)は小さくなる。例えば、液圧発生源が、駆動源として電動モータを含むものとされてそのモータが制御作動される構成である場合、電動モータの駆動回路にスイッチングのためのリレーが設けられることが一般的である。そのような構成の場合、リレーの耐用作動回数には限界があるため、液圧発生源の作動回数には自ずと限界が存在する。本項の態様は、そのような構成の液圧発生源を有する液圧発生システムに好適な態様であり、本項に態様によれば、リレーの作動回数を減らすように液圧発生源が制御作動されるため、当該液圧発生システムの充分な延命効果が図れることになる。
【0026】
(8)前記液圧発生装置が、液圧発生源としてのポンプ装置を備え、前記制御装置が、前記液圧発生装置の発生液圧が前記設定液圧範囲となるように前記ポンプ装置の作動を制御するものであり、
前記圧範囲設定部が、少なくとも前記稼動関連量としての前記ポンプ装置の稼動回数に基づいて前記設定液圧範囲を設定するものである(1)項ないし(7)項のいずれかに記載の車載液圧発生システム。
【0027】
液圧発生装置が、液圧発生源としてポンプ装置を備える態様の場合、そのポンプ装置の稼動回数は、液圧発生システムの稼動量を直接的に示すパラメータの1つである。ポンプ装置の稼動回数が増加すれば、ポンプ装置の稼動量は大きくなるため、本項に記載の態様によれば、容易に、液圧発生システムのコンディションに配慮した制御を行うことができる。なお、先に説明したように、駆動源として電動モータを採用する構成のポンプ装置である場合、ポンプ装置の稼動回数に基づけば、現在までのリレーの作動回数を容易に推測可能であり、リレーの耐用作動回数を考慮した制御を行うことが可能である。
【0028】
(9)前記圧範囲設定部が、少なくとも前記稼動関連量としての当該車載液圧発生システムが搭載された車両の走行距離に基づいて前記設定液圧範囲を設定するものである(1)項ないし(8)項のいずれかに記載の車載液圧発生システム。
【0029】
車両走行距離は、液圧作動装置や液圧発生システムの稼動量を間接的に推認可能な稼動関連量であり、それらの装置のコンディションを推測するための一般的かつ簡便に取得可能なパラメータである。そのため、本項に記載の態様によれば、簡便な液圧発生装置の制御が実現することになる。
【0030】
(10)前記液圧範囲設定部が、さらに当該車載液圧発生システムが搭載された車両の走行速度に基づいて前記設定液圧範囲を設定するものである(1)項ないし(9)項のいずれかに記載の車載液圧発生システム。
【0031】
本項に記載の態様は、例えば、先に説明した液圧ブレーキ装置に作動液を供給するための液圧発生システムとして好適な態様である。例えば、液圧発生システムの作動音、詳しくは液圧発生装置の作動音は、車両の走行速度(以下、単に「車速」という場合がある)が大きい場合は、ロードノイズ等のバックグラウンドノイズの影響から、運転者にとって比較的可聴され難いが、逆に、車速が小さい場合は、比較的可聴され易いといった特性を有する。また、液圧ブレーキ装置は、車速が大きい場合には、比較的強いブレーキ力が要求され、逆に、車速が小さい場合は、比較的弱いブレーキ力が要求されるといった特性を有する。本項によれば、液圧作動装置を液圧ブレーキ装置とする液圧発生システムの場合、ブレーキ装置固有の特性を考慮した制御が可能となる。
【0032】
(11)前記液圧範囲設定部が、車両の走行速度が小さい場合に大きい場合に比較して前記設定液圧範囲を低目に設定するともに、車両の走行速度が設定された閾車速よりも大きい場合にのみ、前記稼動関連量が示す稼動量が大きいときに、小さいときに比較して前記設定液圧範囲を低目に設定するものである(10)項に記載の車載液圧発生システム
【0033】
本項に記載の態様は、制御作動の態様をより具体的に限定した一態様であり、例えば、液圧ブレーキ装置に作動液を供給するための液圧発生システムとして好適な態様である。当該液圧発生システムが液圧ブレーキ装置用の液圧発生システムとして車両に搭載されている場合に特化して説明すれば、その場合は、前述したように、車速が大きいとき、つまり高速走行時には、ブレーキ力との関係から、できるだけ高い発生液圧が維持されることが望ましい。しかし、設定液圧範囲を高く設定する場合には、液圧発生システム,液圧ブレーキ装置に対して高い負荷がかかるため、それらの劣化を早めることになる。一方で、通常の車両の運転状態においては、かなり高い発生液圧を必要とされることは稀であり、高速走行時であっても、殆どの場合は、ある程度発生液圧が低くても車両の操作に支障をきたすことはない。そのような実情に鑑みれば、例えば、液圧発生システムや液圧ブレーキ装置の稼動量が大きくなった場合において、その負荷を軽減することで、それら装置の延命を図ることが可能となる。
【0034】
本項の態様において、下限圧のみを低くすることで設定液圧範囲を低目に設定するような態様とすることが可能である。そのような態様においては、例えば、液圧発生装置が液圧発生源を有する場合、前述したように、リレーの作動頻度の低減による液圧発生システムの延命効果が得られることになる。また、そのような態様では、運転者に対して作動音を聞こえ難くする効果をも得られることになる。先に説明したように、車速が小さい低速走行時に作動音が運転者に可聴され易くなる。高速走行時における設定液圧範囲の下限圧を高く設定し、低速走行時における下限圧を低く設定すれば、高速から低速に至るブレーキ操作によって、発生液圧が低下した場合においても、低速走行における下限圧が低く設定されているため、液圧発生装置の作動する可能性が低く、次に高速走行状態となった場合に液圧発生システムが作動することになる。液圧発生システムのコンディションが悪化して作動音が大きくなったような場合に、そのような制御が行われることをも考慮すれば、本項の態様において下限圧のみを低く設定する態様は、液圧ブレーキ装置の液圧発生システムに対して、充分に有効な態様であり、また、充分に実用性を向上させた態様である。
【実施例】
【0035】
以下、本発明の一実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0036】
図1に全体構成を示す車両用液圧ブレーキシステムにおいて、10は車載液圧作動装置たる液圧ブレーキ装置であり、そのブレーキ装置10には、作動液を供給するためのアキュムレータ12が接続されている。アキュムレータ12は、液圧発生源としてのポンプ装置14に接続されており、そのポンプ装置14の作動によってリザーバ16から汲み上げられた作動液が蓄えられる。ポンプ装置14は、液圧ポンプ18と駆動源たる電動モータ20とを備え、駆動回路22を介して制御装置24に接続されている。駆動回路22は電動モータ20の作動スイッチとして機能するリレー26を含み、そのリレー26の現時点までの作動回数、詳しく言えば、電動モータ20が停止状態から駆動状態に切り換えられた切換回数は、ポンプ装置14の作動回数として、制御装置24によってカウントされている。また、制御装置24には、アキュムレータ12に蓄えられた作動液の圧力であるアキュムレータ液圧を検出する液圧センサ28が接続されており、制御装置24は、その検出されたアキュムレータ液圧に基づいてポンプ装置14の駆動・停止を制御するようにされている。制御装置24には、さらに、車速センサ30、現時点までの走行距離(以下、単に「走行距離」という場合がある)を監視する走行距離カウンタ32等が接続されている。大まかに言えば、本実施例の液圧発生システム34は、アキュムレータ12,ポンプ装置14,駆動回路22,液圧センサ28等を備える液圧発生装置36と、制御装置24等を含んで構成されている。
【0037】
詳細な図示および説明は省略するが、ブレーキ装置10は、本実施例においては例えば、ハイドロブースト型(液圧倍力型)の液圧ブレーキ装置であり、上述の液圧発生システム34は、ブレーキ装置10が備えるマスタシリンダに接続されて、そのマスタシリンダをアシストするようにされている。つまり、本液圧発生システム34は、マスタシリンダ液圧の倍力機構として機能するものとされている。マスタシリンダは、制御ソレノイドバルブ等を介して、各車輪のブレーキシリンダ(ホイールシリンダ)に接続されており、運転者によるブレーキペダル操作に基づいてマスタシリンダが作動することにより、液圧発生システム34によって助勢された作動液圧がマスタシリンダからブレーキシリンダに供給される。
【0038】
制御装置24はコンピュータ40を主体として構成され、図2に機能ブロックを示すように、液圧発生装置36の発生液圧となるアキュムレータ液圧の上限値および下限値を決定する液圧範囲設定部42と、アキュムレータ液圧が設定液圧範囲内に維持されるようにポンプ装置14の作動を制御する作動制御部44との2つの機能部を有している。液圧発生システム34の作動は、その制御装置24によって制御される。大まかに言えば、上記それぞれの機能部42,44が、車両状態に基づいてアキュムレータ液圧を3段階に分けて設定するとともに、現に設定されたアキュムレータ液圧の範囲を維持するようにポンプ装置14の作動を制御するのである。
【0039】
上記制御は、制御装置24が、図3にフローチャートを示す示す液圧発生装置制御プログラムを実行することによって行われる。以下、このプログラムのフローに従って、具体的に説明する。液圧発生装置制御プログラムでは、ステップS1(以下単にS1と称する。他のステップについても同様とする。)およびS2において、液圧範囲設定ルーチンと作動制御ルーチンとを順に実行するように指示が出される。このメインルーチンはイグニッションキーがON状態である間は、短い時間間隔をおいて繰り返し実行され(S3参照)、液圧発生システム34は、常に車両状態に対応したアキュムレータ液圧を維持するように制御される。以下、各ルーチンについて詳細に説明する。なお、液圧範囲設定ルーチンを実行する当該制御装置24の部分が、上記液圧範囲設定部42に相当し、作動制御ルーチンを実行する部分が、作動制御部44に相当する。
【0040】
図4にフローチャートを示す液圧範囲設定ルーチンが実行されることによって、アキュムレータ液圧の設定液圧範囲を規定する下限圧が設定される。制御装置24は、上述したように、車両状態として、車両の走行速度(車速),車両の走行距離,ポンプ装置14の作動回数が監視されており、詳しく言えば、それらの値に基づいて、アキュムレータ液圧の下限圧(アキュムレータ液圧がそれを下回った場合にポンプ装置14の駆動が開始される液圧であることから、以下、「ポンプ駆動開始圧P1」と呼ぶ場合がある)が設定される。簡単に言えば、本実施例においては、車両が低速で走行している場合、あるいは、車両が高速で走行している場合であっても当該液圧発生システム34,ブレーキ装置10の稼動量(以下、単に「稼動量」という場合がある)がかなり大きいと判断される場合に、ポンプ駆動開始圧P1が3段階のうち最も低い値である低開始圧PL1(図5(a)参照)に設定される。また、車両が高速で走行している場合に、稼動量がある程度大きいと判断される場合には、ポンプ駆動開始圧P1が低開始圧PL1より1段階高い中開始圧PM1(図5(b)参照)に設定され、それ以外の場合、すなわち、車両が高速で走行しており、稼動量が小さいと判断される場合に、ポンプ駆動開始圧P1が最も高い高開始圧PH1(図5(c)参照)に設定される。なお、本実施例においては、アキュムレータ液圧の上限圧、すなわち、ポンプ装置14の駆動を停止するポンプ駆動停止圧P2は、常に一定の値に設定されている。
【0041】
次に図4に示すフローチャートに基づいて、液圧範囲設定ルーチンにおける処理を詳しく説明すれば、まずS11において車両状態が取得される。具体的に言えば、本実施例においては、先に説明したように、車両状態として、現時点における車速、現時点までの車両の走行距離および現時点までのポンプ装置14の作動回数(以下、単に「作動回数」という場合がある)が監視されており、それらについて最新の情報が取得される。
【0042】
次にS12において、車速が予め設定された所定値(閾車速)以下であるか否かが判断される。車速が所定値以下である場合にはS12の判定がYESとなり、S13に進んでポンプ駆動開始圧P1が低開始圧PL1に設定される。S12の判定において、車速が所定値より大きい場合にはその判定がNOとなり、S14に進んで走行距離が所定値1以上であるか否かが判断される。S14において、走行距離が所定値1以上である場合にはその判定がYESとなり、S13に進んでポンプ駆動開始圧P1が低開始圧PL1に設定される。S14の判定において、走行距離が所定値1より小さい場合にはそのの判定がNOとなりS15以降の処理が行われる。S15においては、走行距離が所定値2(上記所定値1より小さい値に設定されている)以上であるか否かが判断され、S16およびS17においては、作動回数が所定値以上であるか否かが判断される。走行距離が所定値2以上であり、かつ、作動回数が所定値以上である場合には、S13に進んでポンプ駆動開始圧P1が低開始圧PL1に設定される。これに対して、走行距離が所定値2以上であって、作動回数が所定値を超えていない場合、あるいは、走行距離が所定値2を超えておらず、作動回数が所定値以上である場合は、S18に進んでポンプ駆動開始圧P1が中間開始圧PM1に設定される。また、走行距離が所定値2を超えておらず、作動回数が所定値を超えていない場合は、S19に進んでポンプ駆動開始圧P1が高開始圧PH1に設定される。
【0043】
ポンプ装置14の作動は、図6にフローチャートを示す作動制御ルーチンが実行されることによって、上述のようにして設定された設定液圧範囲に基づいて制御される。作動制御ルーチンでは、まず、S21において現在のアキュムレータ液圧Pと現時点で設定されているポンプ駆動開始圧P1およびポンプ駆動停止圧P2が読み込まれる。上述の液圧範囲設定ルーチンにより、車両状態に対応したポンプ駆動開始圧P1およびポンプ駆動停止圧P2が決定されているので、それらを呼び出して取得するのである。次にS22においてフラグFが0であるか否かが判断される。初期状態ではフラグFは0とされており、本ルーチンの初回の実行においてはS22の判定がYESとなり、S23に進む。
【0044】
次にS23において、現在のアキュムレータ液圧Pがポンプ駆動開始圧P1以下であるか否かが判断される。アキュムレータ液圧Pがポンプ駆動開始圧P1より大きい場合には、S23の判定がNOとなり、S24〜S26がスキップされ、S27において、ポンプ装置14が停止状態に維持される。これに対して、アキュムレータ液圧Pがポンプ駆動開始圧P1以下である場合には、S23の判定がYESとなり、S24に進んでポンプ装置14を駆動するためのON信号が出力される。ポンプ装置14が駆動状態となり、S25においてフラグFが1に設定される。次にS26に進んで、アキュムレータ液圧Pがポンプ駆動停止圧P2以上であるか否かが判断される。アキュムレータ液圧Pがポンプ駆動停止圧P2より小さい場合には、S26の判定がNOとなり、本ルーチンの1回の実行が終了する。フラグFが1に設定されている状態、つまり、ポンプ装置14が作動している状態で本ルーチンが実行されれば、S22の判定がNOとなり、S23からS25がスキップされ、S26が実行される。つまり、アキュムレータ液圧Pがポンプ駆動停止圧P2以上となるまで、ポンプ装置14が駆動状態に維持され、S26の判定が繰り返し実行されるのである。アキュムレータ液圧Pがポンプ駆動停止圧P2以上となれば、S26の判定がYESとなり、S27に進んでポンプ装置14を停止させるためのOFF信号が出力される。次にS28においてフラグFが初期値0にもどされて、本ルーチンの1回の実行が終了する。
【0045】
本実施例においては、ポンプ駆動開始圧P1のみ変更されポンプ駆動停止圧P2は一定の値に設定されているので、ポンプ駆動開始圧P1が低開始圧PL1や中開始圧PM1に設定された場合には、高開始圧PH1に設定された場合に比較してアキュムレータ液圧の範囲が低圧側に拡大して設定されることとなる。このため、1回のポンプ装置14の駆動時間が長くなるが、ポンプ装置14の作動頻度を低減させることが可能となり、駆動回路22のリレー26の延命を図ることができる。
【0046】
なお、上記実施例において、ポンプ駆動開始圧P1とポンプ駆動停止圧P2とをともに変更するようにしてもよい。例えば、ポンプ駆動開始圧P1とポンプ駆動停止圧P2との液圧差を一定に保って液圧範囲を低めに設定すれば、ポンプ装置14等が高負荷となる時間をより一層短くすることができ、当該液圧発生システム34等の延命を、効果的に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施例である液圧発生システムが配備された車両用液圧ブレーキシステムの全体構成を示す図である。
【図2】図1に示す制御装置の機能を便宜的に示した機能ブロック図である。
【図3】図1に示す制御装置において実行される液圧発生装置制御プログラムを示すフローチャートである。
【図4】図3に示す液圧発生装置制御プログラムを構成する液圧範囲設定ルーチンのフローチャートである。
【図5】ポンプ駆動開始圧および駆動停止圧の設定を説明するためのグラフである。
【図6】図3に示す液圧発生装置制御プログラムを構成する作動制御ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
10:液圧ブレーキ装置 12:アキュムレータ 14:ポンプ装置 16:リザーバ 18:液圧ポンプ 20:電動モータ 22:駆動回路 24:制御装置 26:リレー 28:液圧センサ 30:車速センサ 32:走行距離カウンタ 34:液圧発生システム 36:液圧発生装置 40:コンピュータ 42:液圧範囲設定部 44:作動制御部





 

 


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