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発明の名称 サスペンションシステム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2006−7825(P2006−7825A)
公開日 平成18年1月12日(2006.1.12)
出願番号 特願2004−184098(P2004−184098)
出願日 平成16年6月22日(2004.6.22)
代理人 【識別番号】100079669
【弁理士】
【氏名又は名称】神戸 典和
発明者 田口 正樹
要約 課題
前後左右の車輪に対応して設けられた懸架シリンダに接続され、これらの液圧により作動させられるセントラルシリンダをロータリシリンダとする。

解決手段
ハウジング40の内側には4つの液圧室54〜60が形成される。可動のベーン48の両側の液圧室54,60に左右前輪のショックアブソーバ10,12が接続され、可動のベーン50の両側の液圧室56,58に左右後輪のショックアブソーバ14,16が接続される。例えば、路面からの入力により、左前輪において車輪側部材17と車体側部材18との間隔が小さくされると、ショックアブソーバ10の液圧室24の液圧が低くなる。液圧室54の液圧が低くなり、可動のベーン部材52が反時計方向に回転させられる。ショックアブソーバ10において、発生する減衰力が小さい状態とされる。左前輪における上下方向の移動が許容され、車体全体への上下方向の移動が抑制される。
特許請求の範囲
【請求項1】
前後左右の各車輪に対応して、それぞれ、車輪側部材と車体側部材との間に設けられた4つの懸架シリンダと、
それら4つの懸架シリンダに接続され、それら4つの懸架シリンダの液圧により作動させられるロータリシリンダと
を含むことを特徴とするサスペンションシステム。
【請求項2】
前記ロータリシリンダが、(a)概して円筒状を成した本体と、(b)その本体内の空間を周方向において4つの液圧室に仕切る仕切部のうち、周方向において1つおきの2つずつをそれぞれ有する2つの仕切部材とを含むとともに、それら2つの仕切部材の少なくとも一方が本体に対して相対回転可能とされ、かつ、前記4つの懸架シリンダの1つずつが前記4つの液圧室の1つずつに接続された請求項1に記載のサスペンションシステム。
【請求項3】
当該サスペンションシステムが、前記2つの仕切部材のうちのいずれか一方の前記本体に対する相対回転を阻止し、他方の前記本体に対する相対回転を許容する回転阻止・許容装置を含む請求項2に記載のサスペンションシステム。
【請求項4】
前記回転阻止・許容装置が、前記一方の仕切部材を前記本体に固定的に設ける仕切部材固定部を含む請求項3に記載のサスペンションシステム。
【請求項5】
前記2つの仕切部材の両方が、それぞれ、前記本体に対して相対回転可能に設けられ、前記回転阻止・許容装置が、2つの仕切部材のうちのいずれか一方を他方より回転し難くする回転抑制部を含む請求項3に記載のサスペンションシステム。
【請求項6】
前記2つの仕切部材の両方が、それぞれ、前記本体に対して相対回転可能に設けられ、前記回転阻止・許容装置が、前記2つの仕切部材のいずれか一方が前記本体に対して相対回転可能とされて他方が相対回転不能とされた第1状態と、前記一方の仕切部材が前記本体に対して相対回転不能とされて前記他方の仕切部材が相対回転可能とされた第2状態とを実現可能な選択的回転阻止・許容部を含む請求項5に記載のサスペンションシステム。
【請求項7】
前記2つの仕切部材の両方が、それぞれ、前記本体に対して相対回転可能に設けられ、当該サスペンションシステムが、前記2つの仕切部材の各々に加えられる抵抗をそれぞれ制御する個別抵抗制御装置を含む請求項2,3,5,6のいずれか1つに記載のサスペンションシステム。
【請求項8】
前記ロータリシリンダが、前記2つの仕切部材のうちの少なくとも一方が前記本体に対して相対回転させられた場合に、前記4つの液圧室のうち容積が同じ向きに変化する2つずつから成る2対の各々において、各対を構成する2つの液圧室の容積変化量が互いに異なるように構成された請求項2ないし7のいずれか1つに記載のサスペンションシステム。
【請求項9】
前記左右前輪に対応して設けられた懸架シリンダが、前記4つの液圧室のうちの容積変化量の絶対値が小さい方の2つの液圧室にそれぞれ接続され、前記左右後輪に対応して設けられた懸架シリンダが、前記容積変化量の絶対値が大きい方の2つの液圧室にそれぞれに接続された請求項8に記載のサスペンションシステム。
【請求項10】
前記左右後輪に対応して設けられた懸架シリンダが、前記4つの液圧室のうちの容積変化量の絶対値が小さい方の2つの液圧室にそれぞれ接続され、前記左右前輪に対応して設けられた懸架シリンダが、前記容積変化量の絶対値が大きい方の2つの液圧室にそれぞれに接続された請求項8に記載のサスペンションシステム。
【請求項11】
前記2つの仕切部材が互いに一体的に連結されるとともに、前記本体に対して相対回転可能とされ、前記ロータリシリンダが、それら2つの仕切部材が前記本体に対して相対回転させられた場合に、前記4つの液圧室のうち容積が同じ向きに変化する2つずつから成る2対の各々において、各対を構成する2つの液圧室の容積変化量が互いに異なるように構成された請求項2、7ないし10のいずれか1つに記載のサスペンションシステム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、セントラルシリンダを備えたサスペンションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レシプロ式(reciprocating)のセントラルシリンダを備えたサスペンションシステムが記載されている。このサスペンションシステムは、車両の前後左右の4輪に対応して設けられた4つの弾性力発生装置と、これら4つの弾性力発生装置に接続されたセントラルシリンダとを含む。セントラルシリンダは、(i)軸方向に延びたハウジングと、(ii)そのハウジングの内周側に設けられた中央壁と、(iii)その中央壁の両側に、軸線方向に直線的に移動可能に配設された2つのピストンと、(iv)中央壁を貫通して2つのピストンを連結する連結ロッドとを含む。このセントラルシリンダの2つのピストンの内側(中央壁側)の液圧室にそれぞれ左右前輪の弾性力発生装置が接続され、外側の液圧室にそれぞれ左右後輪の弾性力発生装置が接続される。連結ロッドによって連結された2つのピストン(以下、制御ピストンと称する)には、4つの弾性力発生装置の液圧に応じた力が加えられる。
車両の定常状態においては、これら液圧に応じた力が釣り合っており、制御ピストンは静止状態に保たれる。
例えば、路面からの力により、左前輪の弾性力発生装置の液圧が高くなると、セントラルシリンダにおいて、左前輪の弾性力発生装置に接続された液圧室の液圧が高くなる。制御ピストンは、その液圧室の容積が増加する向きに軸線と平行な方向に直線的に移動させられる。それによって、前後左右の各弾性力発生装置の間で、セントラルシリンダを介して、実質的に作動液の授受が行われる。左前輪における車輪側部材と車体側部材との間の上下方向の移動が許容され、車体全体の上下方向の移動が抑制され、乗り心地の低下を抑制することができる。
また、車両にピッチングが生じ、左右前輪の弾性力発生装置の液圧が高くなり、左右後輪の弾性力発生装置の液圧が低くなると、セントラルシリンダにおいて、制御ピストンの内側の2つの液圧室の液圧がともに増加し、外側の2つの液圧室の液圧がともに減少する。制御ピストンにおける力の釣り合い状態が保たれるため、制御ピストンは移動することがない。4つの弾性力発生装置は、互いに独立の状態とされ、ピッチングが抑制される。
【特許文献1】米国特許第3024037号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、セントラルシリンダを備えたサスペンションシステムの改良である。
【課題を解決するための手段および効果】
【0004】
本発明の請求項1に係るサスペンションシステムは、(a)前後左右の各車輪に対応して、それぞれ、車輪側部材と車体側部材との間に設けられた4つの懸架シリンダと、(b)それら4つの懸架シリンダに接続され、それら4つの懸架シリンダの液圧により作動させられるロータリシリンダとを含むものとすることによって得られる。
請求項1に記載のサスペンションシステムにおいては、セントラルシリンダがレシプロ式のものではなく、ロータリ式のものとされる。
その結果、セントラルシリンダの小型化が可能となり、サスペンションシステムの小型化を図ることができる。また、レシプロ式のシリンダにおいては、2つのピストンが連結ロッドにより中央壁を貫通してそれぞれハウジングに摺動可能に連結されるが、この場合に、芯ずれが生じ、こじれが生じるおそれがある。それに対して、ロータリ式のシリンダにおいては、芯ずれが生じることを回避し、こじれが生じることを回避することができる。さらに、レシプロ式のシリンダにおいては、ハウジングにピストンを組み付ける場合に、ピストンの外周部がハウジングに設けられた開口部(液通路の接続部)を通過するため、ピストンの外周部に設けられたシールが損傷し易い。それに対して、ロータリ式のシリンダにおいては、ベーンがハウジングに設けられた液通路の接続部を通過することなく組み付けることが可能となるため、ベーンに設けられたシールを損傷し難くすることができる。
懸架シリンダは、単動式のシリンダとしたり、ショックアブソーバとしたりすることができる。車輪側部材と車体側部材との間の距離に応じた力を発生させる弾性力発生装置としても、車輪側部材と車体側部材との間の距離の変化速度に応じた力を発生させる減衰力発生装置としてもよい。
【特許請求可能な発明】
【0005】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0006】
以下の各項のうち、(1)項が請求項1に対応し、(2)項〜(5)項が請求項2〜5に対応し、(8)項、(9)項が請求項6,7に対応し、(12)項、(16)項〜(18)項が請求項8〜11に対応する。
【0007】
(1)前後左右の各車輪に対応して、それぞれ、車輪側部材と車体側部材との間に設けられた4つの懸架シリンダと、
それら4つの懸架シリンダに接続され、それら4つの懸架シリンダの液圧により作動させられるロータリシリンダと
を含むことを特徴とするサスペンションシステム。
(2)前記ロータリシリンダが、(a)概して円筒状を成した本体と、(b)その本体内の空間を周方向において4つの液圧室に仕切る仕切部のうち、周方向において1つおきの2つずつをそれぞれ有する2つの仕切部材とを含むとともに、それら2つの仕切部材の少なくとも一方が本体に対して相対回転可能とされ、かつ、前記4つの懸架シリンダの1つずつが前記4つの液圧室の1つずつに接続された(1)項に記載のサスペンションシステム。
ロータリシリンダにおいて、本体内の空間に、2つの仕切部を備えた仕切部材が2つ配設される。2つの仕切部材のそれぞれの仕切部が周方向に交互に位置し、これら仕切部のうちの互いに隣接する2つのものの間が液圧室とされる。これら液圧室には、それぞれ、懸架シリンダが1つずつ接続される。
また、2つの仕切部材のうちの少なくとも一方が本体に対して相対回転可能とされる。2つの仕切部材のうちのいずれか一方が相対回転可能とされて他方が相対回転不能とされても、両方が相対回転可能とされてもよい。2つの仕切部材の両方が本体に対して相対回転可能に設けられる場合には、2つの仕切部材が別個独立に、それぞれ本体に対して相対回転可能に設けられる場合と、2つの仕切部材が一体的に、本体に対して相対回転可能に設けられる場合とがある。これらについては〔実施例〕において詳述する。
いずれにしても、2つの仕切部材は、これらのうちの少なくとも一方が本体に対して相対回転させられることにより、4つの液圧室のうち周方向において互いに隣接する2つずつの液圧室において、一方の液圧室の容積が増加し他方の液圧室の容積が減少する状態で設けられる。
(3)当該サスペンションシステムが、前記2つの仕切部材のうちのいずれか一方を、前記本体に対して相対回転不能とし、他方を前記本体に対して相対回転可能とする回転阻止・許容装置を含む(2)項に記載のサスペンションシステム。
ロータリシリンダにおいて、いずれか一方の仕切部材が本体に対して相対回転不能とされた場合に、他方の仕切部材が本体に対して相対回転させられれば、互いに隣接する2つの液圧室のうちの一方の容積が増加し、他方の容積が減少する。
回転阻止・許容装置は、仕切部材の一方を本体に対して相対回転不能とし、他方を相対回転可能とするものであるが、一方の仕切部材を本体に固定的に設けることによって相対回転不能とするものとしたり、一方の仕切部材に加わる回転時の抵抗(例えば、抵抗力に起因するモーメントで表すことができる)を他の仕切部材に加わる抵抗より大きくするものとしたりすることができる。2つの仕切部材のうちの一方に加わる抵抗を他方に加わる抵抗より大きくすれば、2つの仕切部材にそれぞれ加えられる液圧差に起因するモーメントが同じである場合に、一方の仕切部材が回転しないで他方の仕切部材が回転することがある。
(4)前記回転阻止・許容装置が、前記いずれか一方の仕切部材を前記本体に相対回転不能に設ける仕切部材固定部を含む(3)項に記載のサスペンションシステム。
一方の仕切部材が、本体に固定、例えば、本体の内壁の一部として設けられる。他方の仕切部材は、一方の仕切部材を含む本体に対して相対回転可能に嵌合される。
(5)前記2つの仕切部材の両方が、それぞれ、前記本体に対して相対回転可能に設けられ、前記回転阻止・許容装置が、2つの仕切部材のうちのいずれか一方を他方より回転し難くする回転抑制部を含む(3)項に記載のサスペンションシステム。
1つの仕切部材において、その仕切部材に加わる回転モーメントは、2つの仕切部各々に加わる液圧差に応じた力(仕切部の両側に位置する液圧室の液圧差に応じた力であって、液圧差と受圧面の面積との積で表すことができる)に起因するモーメントMPn(液圧差に応じた力とアームの長さとの積の大きさを有する。nは、仕切部を表す。n=1,2)の和ΣMPnと、抵抗に起因するモーメント、例えば、2つの仕切部各々と本体の内周面との間の摩擦力に起因するモーメントMμn(摩擦力と仕切部材の回転中心と仕切部の本体の内周面に対する接点との間の距離との積の大きさを有する)の和ΣMμnとの和(ΣMPn+ΣMμn)の大きさとなる。
この場合において、1つの仕切部に作用する液圧差に起因するモーメントMPと摩擦力に起因するモーメントMμとは互いに向きが逆となるため、液圧差に起因するモーメントの和ΣMPnの絶対値(モーメントの大きさ)が摩擦力に起因するモーメントΣMμnの絶対値より大きくなると、仕切部材は回転させられる。仕切部材は、摩擦力が大きい場合は小さい場合より回転し難くなるのである。
2つの仕切部材において、一方の仕切部材に加えられる抵抗が他方の仕切部材に加えられる抵抗より大きくされた場合に、一方の仕切部材において、液圧差に起因するモーメントの和ΣMPnが摩擦力に起因するモーメントの和ΣMμnより小さく、他方の仕切部材において、液圧差に起因するモーメントの和ΣMPnが摩擦力に起因するモーメントの和ΣMμnより大きくなることがある。この場合には、一方の仕切部材が回転しないが、他方の仕切部材が回転する。また、他方の仕切部材が回転すれば、4つの液圧室の容積が変化し、これらの間の液圧差が小さくなる。そのため、他方の仕切部材が回転した後に、一方の仕切部材が回転することはない。
また、仕切部材と本体との間の摩擦係数が同じである場合には、仕切部材の本体への押付力が大きい場合は小さい場合より、摩擦力は大きくなる。
したがって、一方の仕切部材の本体への押付力を他方の仕切部材の本体への押付力より大きくすれば、一方の仕切部材が本体に対して相対回転しないで、他方の仕切部材が相対回転させられることがある。
(6)前記回転阻止・許容装置が、前記一方の仕切部材に他方の仕切部材より大きな抵抗を加える抵抗付与装置を含む(3)項または(5)項に記載のサスペンションシステム。
一方の仕切部材に加わる回転時の抵抗を他方の仕切部材に加わる回転時の抵抗より大きくすれば、一方の仕切部材が回転し難くなり、他方の仕切部材が回転し易くなる。
抵抗付与装置は、いずれか一方の仕切部材を他方の仕切部材より大きな力で本体に押し付ける押付力付与装置を含むものとすることができる。
抵抗付与装置は、2つの仕切部材の両方に抵抗を付与する装置としたり、一方の仕切部材に抵抗を付与し、他方の仕切部材には付与しない装置としたりすることができる。
(7)前記抵抗付与装置が、前記2つの仕切部材の少なくとも一方に抵抗を付与する場合に、その付与する抵抗の大きさを制御可能な抵抗制御部を含む(6)項に記載のサスペンションシステム。
抵抗制御部は、押付力付与装置による仕切部材の本体への押付力を制御する押付力制御部を含むものとすることができる。
押付力は、ソレノイド等に電流を供給することによって加えられる電磁駆動力としたり、液圧により加えられる液圧作用力としたりすること等ができる。
押付力制御部は、電磁力付与装置による電磁力を制御することによって、押付力を制御する電磁力制御部を含むものとしたり、液圧作用力付与装置による液圧作用力を制御することによって押付力を制御する液圧制御部を含むものとしたりすることができる。前者の場合には、電磁力付与装置に含まれるソレノイドへの供給電流の制御によって電磁力が制御され、後者の場合には、液圧作用力付与装置に含まれる液圧制御弁の制御により液圧作用力が制御される。
(8)前記2つの仕切部材の両方が、それぞれ、前記本体に対して相対回転可能に設けられ、前記回転阻止・許容装置が、前記2つの仕切部材のいずれか一方が前記本体に対して相対回転可能とされていずれか他方が相対回転不能とされた第1状態と、前記いずれか一方の仕切部材が前記本体に対して相対回転不能とされて前記いずれか他方の仕切部材が相対回転可能とされた第2状態とを実現可能な選択的回転阻止・許容部を含む(3)項、(5)項ないし(7)項のいずれか1つに記載のサスペンションシステム。
相対回転可能な仕切部材と相対回転不能な仕切部材とを選択可能とすれば、後述するように、対を成す2つの液圧室の一方の容積変化量と他方の容積変化量とが異なる状態と、これらの容積変化量が同じ状態とを実現することができる。
(9)前記2つの仕切部材の両方が、それぞれ、前記本体に対して相対回転可能に設けられ、当該サスペンションシステムが、前記2つの仕切部材に加えられる抵抗をそれぞれ制御する個別抵抗制御装置を含む(2)項、(3)項、(5)項ないし(8)項のいずれか1つに記載のサスペンションシステム。
2つの仕切部材に加えられる抵抗が、それぞれ制御されれば、(a)2つの仕切部材のうちの一方の回転を許容し、他方を阻止する状態、(b)一方の回転を阻止し、他方を許容する状態、(c)両方が一体的に回転可能な状態を実現することが可能となる。
(10)前記回転阻止・許容装置が、前記少なくとも一方の仕切部材を前記本体に相対回転不能に係合させる本体係合部を含む(3)項に記載のサスペンションシステム。
本体係合部は、2つの仕切部材を、それぞれ、本体に相対回転不能に係合させる装置としても、2つの仕切部材のうちのいずれか一方を相対回転不能に係合させる装置としてもよい。2つの仕切部材と本体との間にそれぞれ設けても、いずれか一方の仕切部材との間にのみ設けてもよいのである。
本体係合部は、例えば、(a)相対回転阻止部材と、(b)その相対回転阻止部材を、仕切部材を本体に相対回転不能に係合させる係合位置と、その係合を解除して仕切部材を相対回転可能とする係合解除位置との間で移動させる移動装置とを含むものとすることができる。この場合には、仕切部材を本体に対して相対回転不能としたり、相対回転可能としたりすることができる。
【0008】
(11)前記ロータリシリンダが、前記2つの仕切部材のうちの少なくとも一方が前記本体に対して相対回転させられた場合に、前記4つの液圧室のうち容積が同じ向きに変化する2つずつから成る2つの対の各々において、各対を構成する2つの液圧室における容積変化量の絶対値が互いに異なるように構成された(2)項ないし(10)項のいずれか1つに記載のサスペンションシステム。
(12)前記ロータリシリンダが、前記2つの仕切部材のうちのいずれか一方が前記本体に対して相対回転させられないで、他方が相対回転させられた場合に、前記4つの液圧室のうち容積が同じ向きに変化する2つずつから成る2つの対の各々において、各対を構成する2つの液圧室の容積変化量の絶対値が互いに異なるように構成された(11)項に記載のサスペンションシステム。
2つの仕切部材のうちの1つが本体に対して相対回転させられた場合に、周方向に設けられた4つの液圧室のうちの互いに対角位置にある2つの液圧室においては、容積が同じ向きに変化する。対角位置にある2つの液圧室に対が構成された場合に、2つの対のうちの一方に属する2つ液圧室は、ともに容積が増加する液圧室であり、他方の対に属する2つの液圧室はともに容積が減少する液圧室である。
そして、これら対を構成する2つの液圧室の容積の変化量は互いに異なる。一方の対に属する2つの液圧室の容積増加量が互いに異なり、他方の対に属する2つの液圧室の容積減少量が互いに異なる。
また、2つの仕切部材の両方が本体に対して相対回転可能とされた場合には、周方向に設けられた4つの液圧室のうちの互いに隣接する液圧室において、容積が同じ向きに変化する場合がある。この場合には、互いに隣接する2つの液圧室によって対が構成される。対に属する2つの液圧室のうちの一方の容積変化量と他方の容積変化量とが異なる。
(13)前記少なくとも一方の相対回転可能な仕切部材が、それが有する2つの仕切部の前記液圧室に対向する受圧面の面積が互いに異なる形状を成したものである(11)項または(12)項に記載のサスペンションシステム。
(14)前記本体の内周側の軸線に直交する横断面形状が、少なくとも、小径部と、その小径部より内径が大きい大径部とを有するものである(11)項ないし(13)項のいずれか1つに記載のサスペンションシステム。
(15)前記本体の内周側の軸線を含む縦断面形状が、少なくとも、浅底部と、その浅底部より軸線と平行な方向の長さが長い深底部とを有するものである(11)項ないし(14)項のいずれか1つに記載のサスペンションシステム。
例えば、2つの仕切部材の一方が相対回転不能、他方が相対回転可能とされた場合において、相対回転可能な仕切部材の2つの仕切部の液圧室に対向する受圧面の面積が互いに異なる場合には、対を構成する2つの液圧室における容積変化量が異なる。
本体の内周側の横断面形状が小径部と大径部とを有する場合において、相対回転可能な仕切部材が、それの2つの仕切部のうちの一方が小径部に位置し、他方が大径部に位置する状態で、本体に液密に設けられた場合には、対角位置にある2つの液圧室の容積変化量は互いに異なる。本体の内周側の縦断面形状が浅底部と深底部とを有する場合において、一方の仕切部が浅底部に位置し、他方の仕切部が深底部に位置する状態で、仕切部材が液密に設けられた場合にも同様に対角位置にある2つの液圧室の容積変化量は互いに異なる。
【0009】
(16)前記左右前輪の懸架シリンダが、前記ロータリシリンダの4つの液圧室のうちの容積変化量の絶対値が小さい方の液圧室に接続され、前記左右後輪の懸架シリンダが、前記容積変化量の絶対値が大きい方の液圧室に接続された(11)項ないし(15)項のいずれか1つに記載のサスペンションシステム。
液圧室の容積増加量と容積減少量とを、それぞれ、正の値で表す場合や、容積増加量を正の値で表し容積減少量を負の値で表す場合があるが、後者の場合には、容積変化量の絶対値が問題となる。
対を構成する2つの液圧室が互いに対角位置にある同士である場合において、容積変化量の絶対値が小さい方の液圧室に前輪の懸架シリンダが接続され、容積変化量の絶対値が大きい方の液圧室に後輪の懸架シリンダが接続された場合には、左右前輪の懸架シリンダ、左右後輪の懸架シリンダは、4つの液圧室のうちの周方向に隣接する液圧室に接続されることになる。
また、左右前輪の懸架シリンダが左右後輪の懸架シリンダより容積変化量の絶対値が小さい液圧室に接続された場合には、前記ロータリシリンダにおいて、少なくとも一方の仕切部材が本体に対して相対回転させられた場合に、左右前輪の懸架シリンダにおける作動液の流入・流出流量が左右後輪の懸架シリンダにおける作動液の流入・流出流量より小さくなる。それによって、前輪側の方が後輪側におけるより、車輪側部材と車体側部材との間の上下方向の移動の抑制効果が大きくなる。
前輪側の方が後輪側よりロールし難くなるのであり、前輪側において後輪側よりロール剛性を大きくすることができる。
(17)前記左右後輪の懸架シリンダが、前記ロータリシリンダの4つの液圧室のうちの容積変化量の絶対値が小さい方の液圧室に接続され、前記左右前輪の懸架シリンダが、前記容積変化量の絶対値が大きい方の液圧室に接続された(11)項ないし(15)項のいずれか1つに記載のサスペンションシステム。
本項に記載のサスペンションシステムによれば、後輪のロール剛性を前輪より大きくすることができる。例えば、車軸重量が前輪より後輪の方が大きい場合等には、後輪のロール剛性を前輪より大きくすることが望ましい。
【0010】
(18)前記2つの仕切部材が一体的に連結されるとともに、前記本体に対して相対回転可能とされ、前記ロータリシリンダが、前記2つの仕切部材が前記本体に対して相対回転させられた場合に、前記4つの液圧室のうち容積が同じ向きに変化する2つずつから成る2対の各々において、各対を構成する2つの液圧室の容積変化量が互いに異なるように構成された(2)項、(11)項ないし(17)項のいずれか1つに記載のサスペンションシステム。
例えば、2つの仕切部材の一方の2つの仕切部の液圧室に対向する受圧面の面積S1a、S1bが同じで、他方の仕切部材の2つの仕切部各々の液圧室に対向する受圧面の面積S2a、S2bが互いに異なる場合において、他方の仕切部各々の受圧面の面積、一方の仕切部材の2つの仕切部の面積が互いに異なる場合(S1a=S1b≠S2a≠S2b)には、2つの仕切部材が一体的に回転した場合に、一方の仕切部材の仕切部の両側の2つの液圧室の容積が同じ向きに変化し、かつ、その容積変化量の絶対値が異なる。
また、2つの仕切部材各々の2つずつの仕切部の受圧面の面積が互いに異なる場合(S1a≠S1b≠S2a≠S2b)には、2つの仕切部材が一体的に相対回転させられることにより、4つの液圧室の容積変化量の絶対値が互いに異なるようにすることもできる。
2つの仕切部材は、一体的に本体に対して相対回転可能であるが、2つの仕切部材は互いに固定されても、一方が回転させられると他方が必ず回転させられる状態で連結されてもよい。
【0011】
(19)前記一方の仕切部材が前記本体に対して相対回転可能な可動仕切部材であり、前記他方の仕切部材が前記本体に対して相対回転不能な固定仕切部材である(2)項、(11)項ないし(17)項のいずれか1つに記載のサスペンションシステム。
(20)前記左右前輪の懸架シリンダが、前記可動仕切部材が有する一方の仕切部の両側の液圧室にそれぞれ接続され、前記左右後輪の懸架シリンダが、他方の仕切部の両側の液圧室にそれぞれ接続された(19)項に記載のサスペンションシステム。
(21)前記左側の前後輪の懸架シリンダが、前記固定仕切部材が有する一方の仕切部の両側の液圧室にそれぞれ接続され、右側の前後輪の懸架シリンダが、他方の仕切部の両側の液圧室にそれぞれ接続された(19)項または(20)項に記載のサスペンションシステム。
普通乗用車に関して、定常状態において、左右前輪の懸架シリンダの液圧が互いに同じになり、左右後輪の懸架シリンダの液圧が互いに同じになることが多い。そのため、左右前輪の懸架シリンダの液圧に応じた力が可動仕切部材の一方の仕切部の両側に作用し、左右後輪の懸架シリンダの液圧に応じた力が他方の仕切部の両側に作用する状態とすれば、定常状態において、設計上、可動仕切部材を静止状態に保つのに適している。また、ピッチングが生じた場合には、左右前輪の懸架シリンダにおける液圧変化が同じになり、左右後輪の懸架シリンダにおける液圧変化が同じになるため、ピッチングが生じた場合に可動仕切部材を静止状態に保つことができる。
一方、車両にローリングが生じた場合には、前輪側の左右の懸架シリンダにおける液圧差の方が後輪側の左右の懸架シリンダにおける液圧差より大きくなることが多い。この場合に、可動仕切部材の2つの仕切部の受圧面の面積が互いに異なる場合において、受圧面の面積が小さい方の仕切部の両側の液圧室に左右前輪の懸架シリンダが、受圧面の面積が大きい方の仕切部の両側の液圧室に左右後輪の懸架シリンダが接続されるとともに、左側、右側の前後輪の懸架シリンダが互いに隣接する液圧室に接続される場合には、ローリングが生じた場合に可動仕切部材に生じるモーメントを小さくすることが可能となり、ローリングを抑制し得るように設計するのに適している。また、モーメントが0となるように設計すれば、ローリングを抑制することが可能となる。
【0012】
(22)前記2つの仕切部材の両方が前記本体に対して相対回転可能な可動な仕切部材である(2)項、(3)項、(11)項ないし(18)項のいずれか1つに記載のサスペンションシステム。
(23)前記2つの仕切部材のうちの少なくとも一方の本体に対する相対回転のし易さを制御する回転制御装置を含む(22)項に記載のサスペンションシステム。
(24)前記2つの仕切部材の少なくとも一方が、それが有する2つの仕切部各々の前記液圧室の液圧を受ける受圧面の面積が互いに異なる形状を成したものである(2)項ないし(23)項のいずれか1つに記載のサスペンションシステム。
(25)前記左右前輪の懸架シリンダ、左右後輪の懸架シリンダ、左側の前後輪の懸架シリンダ、右側の前後輪の懸架シリンダが、前記ロータリシリンダの4つの液圧室のうちの互いに隣接する液圧室に接続された(2)項ないし(24)項のいずれか1つに記載のサスペンションシステム。
【0013】
(26)前記ロータリシリンダが、(a)概して円筒状を成した本体と、(b)その本体内の空間を周方向においてN個の液圧室に仕切る仕切部のうち、周方向において(N/2−1)個おきの2つずつをそれぞれ有するN/2個の仕切部材とを含むとともに、それらN/2個の仕切部材の少なくとも一方が本体に対して相対回転可能とされ、かつ、前記4つの懸架シリンダが、それぞれ、前記N個の液圧室のうちの1つ以上に接続された(1)項ないし(25)項のいずれか1つに記載のサスペンションシステム。
Nは4以上の偶数である。
仕切部材の数が増えると形成される液圧室の数も増える。この場合に、液圧室が6つ以上形成されることがあるが、1つの懸架シリンダに2つ以上の液圧室が接続されるようにすることもできる。懸架シリンダに複数の液圧室が接続されたり、ロータリシリンダの内部において互いに連通させられた2つ以上の液圧室のうちの1つに懸架シリンダが接続されてもよい。
(27)前記ロータリシリンダが、(a)概して円筒状を成し、互いに独立して設けられた2つの本体と、(b)それら本体の内部にそれぞれ配設され、本体内の空間をそれぞれ仕切る仕切部を1つ以上備えた2つずつの仕切部材とを含むとともに、これら2つの仕切部材のうちの少なくとも一方が、前記2つの本体のそれぞれに相対回転可能とされるとともに、前記少なくとも一方の仕切部材同士が一体的に回転可能とされ、かつ、その少なくとも一方の仕切部材同士が一体的に相対回転させられた場合に、前記一方の本体に形成された液圧室の容積変化量と前記他方の本体に形成された液圧室の容積変化量とが互いに異なるように構成された(1)、(3)項ないし(26)項のいずれか1つに記載のサスペンションシステム。
(28)前記4つの懸架シリンダのうちの2つが、前記2つの本体のうちのいずれか一方に形成された液圧室に接続され、残りの2つの懸架シリンダが、他方の本体に形成された液圧室に接続された(27)項に記載のサスペンションシステム。
互いに独立して設けられた2つの本体の各々に、2つの仕切部材がそれぞれ設けられる。仕切部材は仕切部を1つ以上有するものであり、これら仕切部によって本体の内部の空間が仕切られる。2つの本体は、互いに直列に連結され、それぞれに配設された2つの仕切部材の少なくとも一方同士が一体的に回転可能に連結される。
例えば、2つの本体の各々に1つの仕切部を有する2つの仕切部材が配設される場合において、一方が本体に対して相対回転不能とされ、他方が相対回転可能とされた場合には、これら2つの仕切部材によって本体の内部がそれぞれ2つずつの液圧室に仕切られる。2つの液圧室のうちの一方の容積が増加すると他方の容積が減少し、これら2つ液圧室に懸架シリンダがそれぞれ1つずつ接続される。他方の本体についても、同様であり、2つの液圧室に懸架シリンダがそれぞれ1つずつ接続される。
この場合において、2つの本体にそれぞれ相対回転可能に設けられた他方の仕切部材同士は一体的に回転可能に連結される。仕切部材は、それぞれ、懸架シリンダの液圧を受けるのであり、ロータリシリンダは、4つの懸架シリンダの液圧によって作動させられることになる。
また、一方の本体に形成された液圧室の容積変化量の絶対値と他方の本体に形成された液圧室の容積変化流とは互いに異なる。例えば、2つの本体において、軸線に直交する横断面において内径が異なったり、軸線と平行な方向の長さが異なったりする。それによって、一方の本体に接続された2つの懸架シリンダにおける作動液の流入・流出流量と、他方の本体に接続された2つの懸架シリンダにおける流入・流出流量とが異なる。前述のように、流量が小さい方の本体の液圧室に左右前輪の懸架シリンダが接続されることが望ましい。
【実施例】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の一実施例であるサスペンションシステムについて説明する。
図1において、車両の前後左右のそれぞれの車輪に対応して、ショックアブソーバ10〜16が、車輪側部材17と車体側部材18との間に設けられる。なお、図示は省略するが、車輪側部材17と車体側部材18との間には、ショックアブソーバ10〜16と並列にサスペンションスプリングが設けられる。
ショックアブソーバ10〜16は、それぞれ、ハウジング20と、それに液密かつ摺動可能に嵌合されたピストン22とを含む。本実施例においては、ハウジング20が車輪側部材17に取り付けられ、ピストン22のピストンロッドが車体側部材18に取り付けられる。
ピストン22には、そのピストン22で仕切られた2つの液圧室24,25を連通させる連通路が設けられるとともに、その連通路に絞り26が設けられる。絞り26により、ピストン22のハウジング20に対する相対移動速度(絞り26を流れる作動液の流速)に応じた減衰力が発生させられる。本実施形態においては、絞り26は固定絞りであり、流路面積が小さめにされている。また、液圧室25に隣接して高圧ガスが封入された容積室28が設けられる。容積室28により、液圧室24,25の液圧が負圧となることを回避しつつピストン22の上下方向移動が許容される。
【0015】
セントラルシリンダとしてのロータリシリンダ38は、概して円筒状を成したハウジング40と、ハウジング40にに固定された2つのベーン42,44と、ハウジング40に液密かつ軸線Lの回りに相対回転可能に嵌合された可動のベーン部材52とを含む。可動のベーン部材52は、2つのベーン48,50を有する。また、固定のベーン42,44によって固定のベーン部材53が構成される。
ハウジング40は、軸線Lと直交する横断面形状が円であり、軸線Lを含む縦断面において軸線Lと平行な方向の長さが一定の形状を成したものである。ハウジング40の内側には、ベーン42,44が互いに180度隔たった位置に設けられ、可動のベーン部材52が、ベーン48,50(可動のベーンと称することができる)と固定のベーン42,44とが周方向において交互に位置する状態で設けられる。
その結果、ハウジング40の内部の空間は、4つの仕切部としてのベーン42,44、48,50によって周方向に仕切られ、可動のベーン48,50と固定のベーン42,44との間がそれぞれ液圧室54〜60とされる。ベーン42,44,48,50の半径方向の長さは同じとなり、可動のベーン48,50それぞれの液圧室に対向する受圧面62〜68の面積も互いに同じとなる。受圧面62、68が、ベーン48の液圧室54、60に対向する面であり、受圧面64,66が、ベーン50の液圧室56、58に対向する面である。
【0016】
これら液圧室54〜60には、それぞれ、ショックアブソーバ10〜16の液圧室24が個別通路70〜76を介して1つずつ接続される。 可動ベーン部材52において、各受圧面62〜68に前後左右の各輪に対応して設けられたショックアブソーバ10〜16の液圧がそれぞれ作用し、これら4つの懸架シリンダ10〜16の液圧により相対回転させられる。
なお、符号78,79はストッパであり、可動ベーン部材52の回転限度を規定する。
【0017】
以上のように構成された車両用サスペンションシステムにおける作動について説明する。
可動のベーン部材52には、液圧室54〜60の液圧に応じた力が作用する。液圧室54の液圧に応じた力、すなわち、左前輪のショックアブソーバ10の液圧に応じた力FFLは、式
FFL=PFL×SFL
で表されるように、液圧室54の液圧PFLと受圧面62の受圧面積SFLとの積で表される大きさとなる。以下、右前輪のショックアブソーバ12の液圧に応じた力FFR、左後輪のショックアブソーバ14の液圧に応じた力FRLおよび右後輪のショックアブソーバ16の液圧に応じた力FRRも同様である。
本実施例においては、前述のようにベーン48,50の受圧面62〜68の受圧面積が同じであり、かつ、車両の定常状態において、液圧室54、60の液圧が同じで、液圧室56、58の液圧が同じ(液圧室56〜60の液圧がすべて同じ場合もある)になるように設計されているため、可動のベーン部材52に加えられる液圧に応じた力は、車両の定常状態において、釣り合う(FFL=FFR、FRL=FRR)。
【0018】
また、可動のベーン部材52のベーン48,50には、それぞれ、両側の液圧室の液圧差に応じた力(液圧に応じた力の差)に起因するモーメントM1、M2が作用する。モーメントM1、M2は、アームの長さをRとし、左回転を正とした場合に、
M1=(FFR−FFL)×R
M2=(FRL−FRR)×R
で表される。アームの長さRは、ベーン48,50について同じである。
この液圧に応じた力の差に起因するモーメントは、ベーン48,50の両側の液圧室の液圧差に起因するモーメント(以下、液圧差に起因するモーメントと略称する)と称することができる。
可動のベーン部材52は、これらモーメントの和
M=ΣMn=M1+M2
により回転させられる。
車両の定常状態においては、これらモーメントの和が0(モーメントが釣り合う状態)となり、可動のベーン部材52は静止状態に保たれるのである。
【0019】
普通乗用車に関して、定常状態において、左右前輪のショックアブソーバ10,12の液圧が同じになり、左右後輪のショックアブソーバ14,16の液圧が互いに同じになるように設計されることが多い。
そのため、ロータリアクチュエータ38において、左右前輪のショックアブソーバ10,12の液圧に応じた力が可動のベーン部材52のベーン48の両側に作用し、左右後輪のショックアブソーバ14,16の液圧に応じた力がベーン50の両側に作用する状態とすることは、定常状態において、可動のベーン部材52が静止状態に保たれるように設計するのに適している。また、ピッチングが生じた場合には、左右前輪のショックアブソーバ10,12における液圧変化が同じになり、左右後輪のショックアブソーバ14,16における液圧変化が同じになるのが普通であるため、ピッチングが生じた場合に可動のベーン部材52を静止状態に保つことが可能となる。
【0020】
路面からの入力により、前後左右の車輪のうちの1輪(例えば、左前輪)に上下方向に力が加わり、車輪側部材17と車体側部材18との間の間隔が小さくなった場合には、左前輪のショックアブソーバ10の液圧室24の液圧が低くなる。ロータリシリンダ38において、液圧室54の液圧が低くなるため、可動のベーン部材52が図1の反時計回りに回転(回動)させられ、液圧室54の容積が小さくなる。
それによって、ショックアブソーバ10に作動液が供給される。液圧室24の液圧の減少が抑制され、液圧室24と液圧室25との間の液圧差が小さくなり、ショックアブソーバ10において絞り26を流れる作動液の速度が小さくなる。ショックアブソーバ10において、発生する減衰力が小さくなり、車輪側部材17と車体側部材18との上下方向の移動が許容される。
また、可動ベーン部材52の回転により、液圧室56,60の容積が大きくなり、液圧室58の容積が小さくなる。ショックアブソーバ12、14から作動液が流出し、ショックアブソーバ16に作動液が流入する。可動ベーン部材52の回転によって、4つのショックアブソーバ10〜16の間で、ロータリシリンダ38を介して、実質的に作動液が授受が行われることになる。左右前後輪において車輪側部材17と車体側部材18との間の上下方向の移動が許容され、それによって、車体の上下方向の移動が抑制されて乗り心地の低下が抑制される。
【0021】
また、路面により、互いに対角位置にある車輪に同相に、対角位置にない車輪に逆相に、上下方向の力が加わった場合には、ショックアブソーバ10,16の液圧室24の液圧の変化の向きとショックアブソーバ12,14の液圧室24の液圧の変化の向きとが逆になる。例えば、ショックアブソーバ10,16の液圧室24の液圧が高くなり、ショックアブソーバ12,14の液圧室24の液圧が低くなった場合には、ロータリシリンダ38において、受圧面62,66が受ける液圧に応じた力が大きくなり、受圧面64,68が受ける液圧に応じた力が小さくなる。可動のベーン部材52は図1における時計回りに回転させられる。液圧室54,58の容積が大きくなり、液圧室56,60の容積が小さくなる。
それによって、ショックアブソーバ10,16の液圧室24から作動液が流出し、ショックアブソーバ12,14の液圧室24に作動液が流入する。ロータリシリンダ38を介して、ショックアブソーバ12,14とショックアブソーバ10,16との間で作動液の授受が行われる。各ショックアブソーバ10〜16において、液圧室24,25の間の液圧差が小さくなり、発生する減衰力が小さい状態となる。それによって、対角車輪の同相移動が許容される。
【0022】
車両にピッチングが生じ、例えば、車両の前輪側における車輪側部材17と車体側部材18との間の間隔が後輪側における間隔より小さくなった場合には、左右前輪のショックアブソーバ10、12の液圧室24の液圧が低くなり、左右後輪のショックアブソーバ14,16の液圧が高くなる。可動のベーン部材52のベーン48の両側の受圧面62,68に加えられる液圧に応じた力が小さくなり、ベーン50の両側の受圧面64,66に加えられる液圧に応じた力が大きくなる。
車両については、設計上、ベーン48の両側の液圧室54,60の液圧が同様に低くなり、ベーン50の両側の液圧室56,58の液圧が同様に高くなるのが普通である。この場合には、可動のベーン部材52のモーメントの釣り合いは変わらないため、可動のベーン部材52は静止状態に保たれる。前後左右のショックアブソーバ10〜16の間において、作動液の授受が行われることがなく、別個独立の状態とされる。ショックアブソーバ10〜16の各々において減衰力が大きい状態とされ、ピッチングが抑制される。
【0023】
車両にローリングが生じ、例えば、車両の左側における車輪側部材17と車体側部材18との間の間隔が右側における間隔より小さくなると、左前輪のショックアブソーバ10の液圧室24の液圧、左後輪のショックアブソーバ14の液圧室24の液圧が低くなり、右前輪のショックアブソーバ12、右後輪のショックアブソーバ16の液圧室24の液圧が高くなる。
可動のベーン部材52において、ベーン48、50の受圧面62,64が受ける液圧に応じた力が小さくなり、受圧面68,66が受ける液圧に応じた力が大きくなる。この場合において、ベーン部材52に作用するモーメントの釣り合いが保たれる場合には、ベーン部材52は回転することがないのであり、各ショックアブソーバ10〜16は、それぞれ、独立とされ、ショックアブソーバ10〜16の各々において減衰力が発生させられる。それによってローリングが抑制される。
【0024】
このように、本実施形態の車両用サスペンションシステムによれば、1輪の上下方向の移動、対角車輪の同相移動を許容しつつ、ローリング、ピッチングを抑制することができる。
また、ローリング時、ピッチング時等に発生する減衰力が大きい状態とされ、対角車輪に上下方向の同相の力が加わった場合、1輪に上下方向の力が加わった場合には、減衰力が小さい状態とされるため、ショックアブソーバ10〜16の各々に減衰係数制御装置を設けなくても、姿勢変化または路面入力状態に応じて要求される減衰力(減衰特性)を得ることができる。
さらに、セントラルシリンダが、レシプロ式ではなくロータリ式であるため、レシプロ式とする場合より、小形化を図ることが可能となる。また、芯ずれが生じることがないため、セントラルシリンダの作動において、こじれが生じることを回避することができる。
さらに、組み付け時に、オイルシールを損傷し難くすることができる。
本実施例においては、ハウジングにベーン42,44が固定的に設けられたことにより仕切部材固定部が構成され、仕切部材固定部等により回転阻止・許容装置が構成される。
【0025】
なお、ベーン42,44,48,50に連通路を設け、4つの液圧室54〜60が互いに連通させられるようにすることができる。この場合に、連通路は、流路面積が、ベーン部材52の作動中には両側の液圧差を許容し、静止状態において作動液の流れを許容する大きさとする。それによって、ロータリシリンダ38の作動を許容しつつ、車両の定常状態、すなわち、可動のベーン部材52の静止状態において、液圧室54〜60の間の液圧差を小さくすることができる。
また、可動のベーン部材52を中立位置に戻すための復元装置を設けることもできる。復元装置を設けるとともに、ベーン42,44,48,50に連通路を設ければ、可動のベーン部材52を車両の定常状態において中立位置に戻すのに有効である。
さらに、個別通路70〜76に、絞りを設けることもできる。絞りによれば、各ショックアブソーバ10〜16における液圧変化のセントラルシリンダ38への伝達を遅らせることができる。そのため、ショックアブソーバ10〜16の液圧変化に対するセントラルシリンダ38の作動の応答性を低くすることができ、セントラルシリンダ38がショックアブソーバ10〜16の僅かな液圧変化によって不必要に作動させられることを回避することができる。
【0026】
また、図13に示すように、図1に示す実施例におけるショックアブソーバ10〜16の液圧室25がロータリシリンダ38の各液圧室54〜60に接続されるようにすることもできる。
図1の実施例においては、主としてロータリシリンダ38の作動により、ショックアブソーバ10〜16において減衰係数が大きい状態と小さい状態とが実現されるようにされていた(ばね定数への影響も多少ある)が、本実施例においては、主としてばね定数が大きい状態と小さい状態とが実現される(減衰係数への影響もある場合がある)。ロータリシリンダ38において、可動のベーン部材52の静止状態においてショックアブソーバ10〜16においてばね定数が大きい状態とされ、可動のベーン部材52の回動状態においてばね定数が小さい状態とされるのである。
【0027】
ロータリシリンダ38において可動のベーン部材52の回動が阻止された場合(ショックアブソーバ10〜16の液圧室25とロータリシリンダ38との間で作動液の授受が行われない場合)において、車輪側部材17と車体側部材18との間に上下方向の力が加えられると、ピストン22が移動させられる。ピストン22の移動に伴って容積室28の容積が変化させられ、それによって、弾性力が発生させられる。容積室28には前述のように高圧のガスが封入されているため、弾性力は、容積室28の容積変化量が大きい場合は小さい場合より大きくなる。
可動のベーン部材52の回動が許容された場合(液圧室25とロータリシリンダ38との間で作動液が授受が行われ得る場合)には、ピストン22の移動に伴って液圧室25とロータリシリンダ38との間で作動液の授受が行われるため、その分、容積室28の容積変化量が小さくなる。それによって、ピストン22の移動量が同じである場合の弾性力の変化量がベーン部材52の回転が阻止された状態における場合より小さくなり、みかけ上ばね定数が小さくなる。
【0028】
また、ロータリシリンダ38にショックアブソーバ10〜16の液圧室24が接続された場合(図1に示す実施例)において、可動のベーン部材52の回動が阻止された状態においては、ピストン22は、液圧室24,25の間の作動液の流れを伴って移動させられ、これらの間の絞り26に応じた減衰力が発生させられる。それに対して、可動のベーン部材52の回動が許容された状態においては、ピストン22の移動に伴って、液圧室24とロータリシリンダ38との間においても作動液の授受が行われる。そのため、絞り26と並列に別の絞りが設けられたに等しいこととなり、減衰力が小さくなる。また、液圧室24とロータリシリンダ38との間の作動液の授受により液圧室24の液圧変化が低減させられることにより、液圧室24,25の間の液圧差が小さくなることによっても、発生させられる減衰力が小さくなることがわかる。
それに対して、本実施例(ロータリシリンダ38にショックアブソーバ10〜16の液圧室25が接続された場合)においては、ピストン22の移動、すなわち、液圧室24の容積変化は、液圧室25との間の作動液の流れによって許容される。液圧室24と液圧室25との間の絞り26を作動液が流れることによって減衰力が発生させられるが、減衰係数は絞り26によって決まる。このことは、液圧室25とロータリシリンダ38との間で作動液の授受が行われても、行われなくても同じである。
したがって、本実施例においては、ロータリシリンダ38との間で作動液の授受が行われても行われなくても減衰係数は同じであるが、ばね定数が異なることになる。
【0029】
本実施例において、路面からの入力により、前後左右の車輪のうちの1輪(例えば、左前輪)に上下方向に力が加わり、車輪側部材17と車体側部材18との間の間隔が小さくなった場合には、左前輪のショックアブソーバ10の液圧室25の液圧が高くなる。ロータリシリンダ38において、液圧室54の液圧が高くなるため、可動のベーン部材52が図13の時計回りに回転させられ、液圧室54の容積が大きくなる。
それによって、ショックアブソーバ10から作動液が流出し、ピストン22の移動に伴う容積室28の容積変化量が小さくなりばね定数が小さくなる。それによって、左前輪における上下方向の移動が許容されることにより、車体の上下方向の移動が抑制されて乗り心地の低下が抑制される。
【0030】
車両にピッチングが生じ、例えば、車両の前輪側における車輪側部材17と車体側部材18との間の間隔が後輪側における間隔より小さくなった場合には、左右前輪のショックアブソーバ10、12の液圧室25の液圧が高くなり、左右後輪のショックアブソーバ14,16の液圧が低くなる。可動のベーン部材52のベーン48の両側の受圧面62,68に加えられる液圧に応じた力が大きくなり、ベーン50の両側の受圧面64,66に加えられる液圧に応じた力が小さくなる。
この場合には、可動のベーン部材52のモーメントの釣り合いは変わらないため、可動のベーン部材52は静止状態に保たれる。前後左右のショックアブソーバ10〜16の間において、作動液の授受が行われることがなく、別個独立の状態とされる。ショックアブソーバ10〜16の各々においてばね定数が大きい状態とされ、ピッチングが抑制される。
【0031】
車両にローリングが生じ、例えば、車両の左側における車輪側部材17と車体側部材18との間の間隔が右側における間隔より小さくなると、左前輪のショックアブソーバ10の液圧室25の液圧、左後輪のショックアブソーバ14の液圧室25の液圧が高くなり、右前輪のショックアブソーバ12、右後輪のショックアブソーバ16の液圧室25の液圧が低くなる。
可動のベーン部材52において、ベーン48、50の受圧面62,64が受ける液圧に応じた力が大きくなり、受圧面68,66が受ける液圧に応じた力が小さくなる。この場合において、ベーン部材52に作用するモーメントの釣り合いが保たれる場合には、ベーン部材52は回転することがないのであり、各ショックアブソーバ10〜16は、それぞれ、独立とされ、ショックアブソーバ10〜16の各々においてばね定数が大きい状態とされる。それによってローリングが抑制される。
なお、以下の各実施例においても同様にロータリシリンダに液圧室25が接続されるようにすることができる。
【0032】
さらに、セントラルシリンダは、図2に示す構造を成したものとすることもできる。
セントラルシリンダとしてのロータリシリンダ100において、ハウジング102の内側の軸線Lと直交する横断面形状は円ではなく(内径が均一ではなく)、内径がRs1である小径部103と、内径Rs2が内径Rs1より大きい大径部104とを有する。また、軸線Lを含む縦断面において、軸線Lと平行な方向の長さは一定である。
ハウジング102には、固定のベーン部材105の2つのベーン106,107が、互いに対向する位置であって、小径部103と大径部104との間に設けられる。また、可動のベーン部材110は、2つのベーン112,114が固定のベーン106,107の間に位置する状態で、液密かつ軸線Lの回りに相対回転可能に設けられる。2つのベーン112,114は半径方向の長さが互いに異なるものである。ベーン112が小径部103に位置し、ベーン114が大径部104に位置するのであり、ベーン112の半径方向の長さはベーン114より短い。
【0033】
このように、ハウジング102の内部の空間は、固定のベーン部材105によって小径部103と大径部104とに仕切られ、可動のベーン部材110のベーン112,114によって小径部103,大径部104がそれぞれ仕切られる。
可動のベーン部材110の中立位置において、ベーン112によって仕切られた液圧室120,122の容積は、ベーン114によって仕切られた液圧室124,126の容積より小さい。また、ベーン112の液圧室120,122の液圧を受ける受圧面130,132の面積SF(=SFL=SFR)は、ベーン114の液圧室124,126の液圧を受ける受圧面134,136の面積SR(=SRL=SRR)より小さい。また、ベーン112についてはベーン114よりアームの長さが短い(RF<RR)。
【0034】
可動のベーン部材110の回転によって、互いに対角位置にある2つの液圧室120,126と、2つの液圧室122,124とにおいては、それぞれ、容積が同じ向きに変化する。例えば、可動のベーン部材110が図2の時計回りに回転させられた場合には、液圧室120,126の容積は両方ともに増加し、液圧室122,124の容積は両方ともに減少する。
また、液圧室120,126において、液圧室120の容積増加量は液圧室126の容積増加量より小さく、液圧室122,124において、液圧室122の容積減少量(正の値で表す)は液圧室124の容積減少量より小さい。
本実施例においては、液圧室120,126によって液圧室対138が構成され、液圧室122,124によって液圧室対139が構成される。そして、それぞれの液圧室対138,139において、容積変化量が小さい方の液圧室120,124に前輪のショックアブソーバ10,12がそれぞれ接続され、大きい方の液圧室122,126に後輪のショックアブソーバ14,16が接続される。
また、固定のベーン106,107の両側に、それぞれ、同じ側の前後のショックアブソーバが接続される。固定のベーン106の両側の液圧室120,124に左側の前後輪のショックアブソーバ10,14が接続され、固定のベーン107の両側の液圧室122,126に右側の前後輪のショックアブソーバ12,16が接続されるのである。
本実施例においては、ロータリシリンダ100のハウジング102の軸線Lに直交する横断面形状が小径部103と大径部104とを有する形状を成したものとすることにより、対を構成する2つの液圧室の間において、容積変化量が異なる構成とされる。その結果、可動のベーン部材110が相対回転させられた場合に、ロータリシリンダ100とショックアブソーバ10,12との間に流れる作動液の流量を、ショックアブソーバ14,16との間に流れる作動液の流量より小さくすることが可能となる。
なお、符号140,142は可動のベーン部材110のストッパである。
【0035】
可動のベーン部材110のベーン112,114には、それぞれ、液圧差に起因するモーメントM1、M2が作用する。モーメントM1、M2は左回転を正とした場合に、
M1=(PFR−PFL)×SF×RF
M2=(PRL−PRR)×SR×RR
で表され、可動のベーン部材52は、これらモーメントの和
M=ΣMn=M1+M2
により回転させられる。
車両の定常状態においては、モーメントの和が0となり、可動のベーン部材52は静止状態に保たれるように設計される。
【0036】
路面からの入力により、例えば、左前輪に上下方向に力が加わり、ショックアブソーバ10の液圧室24の液圧が低くなった場合には、ロータリシリンダ100において、液圧室120の液圧が低くなるため、可動のベーン部材110は図2における反対時計回りに回転させられる。可動のベーン部材110の回転により、液圧室120の容積が小さくなり、上記実施例における場合と同様に、ショックアブソーバ10において、発生する減衰力が小さくなる。また、液圧室122,124の容積が大きくなり、液圧室126の容積が小さくなる。ロータリシリンダ100を介してショックアブソーバ10〜16の間で作動液が授受が行われることになり、それにより、1輪の上下方向の移動が許容され、車両全体として姿勢の変化を抑制することができる。
路面からの入力により、互いに対角位置にある車輪に同相に、対角位置にない車輪に逆相に、上下方向の力が加わった場合にも同様であり、可動のベーン部材110の回転により、対角位置にある車輪の同相の上下方向移動が許容される。
【0037】
車両のピッチングにより、例えば、車両が前傾姿勢となった場合には、左右前輪のショックアブソーバ10、12の液圧室24の液圧が低くなり、左右後輪のショックアブソーバ14,16の液圧が高くなる。ロータリアクチュエータ100において、液圧室120,122の液圧がともに低くなり、液圧室124,126の液圧がともに高くなる。
車両においては、通常、左右前輪のショックアブソーバ10,12の液圧の低下量、左右後輪のショックアブソーバ14,16の液圧の増加量は同じになるように設計される。したがって、可動ベーン部材110において、モーメントの釣り合いは保たれ、回転することがない。各ショックアブソーバ10〜16は、それぞれ、独立とされ、発生する減衰力が大きい状態とされて、ピッチングが抑制される。
【0038】
車両のローリングにより、例えば、車両の左側において右側より、車輪側部材17と車体側部材18との間の間隔が小さくなると、左前輪のショックアブソーバ10、左後輪のショックアブソーバ14の液圧室24の液圧が低くなり、右前輪、右後輪のショックアブソーバ12、16の液圧が高くなる。可動のベーン部材110において、受圧面130,134が受ける液圧が低くなり、受圧面132,136が受ける液圧が高くなるが、この場合において、ベーン部材110に作用するモーメントの釣り合いの状態が保たれる場合には、可動のベーン部材110は静止状態に保たれる。各ショックアブソーバ10〜16は、それぞれ、独立とされ、発生する減衰力が大きい状態とされて、ローリングが抑制される。
【0039】
普通乗用車に関して、車両にローリングが生じた場合には、前輪側の左右のショックアブソーバ10,12における液圧差の方が後輪側の左右のショックアブソーバ14,16における液圧差より大きいことが多い。そのため、本実施例におけるようにロータリシリンダ100とショックアブソーバ10〜16とが接続される場合、すなわち、ベーン部材110のうち、受圧面、アームの長さが小さい方のベーンに前輪のショックアブソーバの液圧が作用し、受圧面、アームの長さが大きい方のベーンに後輪のショックアブソーバの液圧が作用する状態で接続される場合には、ローリングが生じた場合に可動のベーン部材110に加えられるモーメントを小さくすることが可能となり、可動ベーン部材110が回転し難くすることができる。
また、ローリングが生じて、可動のベーン部材110が回転させられた場合に、液圧室120,122の容積変化量が液圧室124,126の容積変化量より小さいため、左右前輪のショックアブソーバ10,12においては、左右後輪のショックアブソーバ14,16におけるより、作動液の流入・流出流量が小さくなる。前輪側における方が後輪側におけるより、車輪側部材17と車体側部材18との間の上下方向の移動の抑制効果を大きくすることができる。前輪側における方が後輪側におけるよりロール剛性が大きくなる。
【0040】
なお、上記実施例においては、ハウジングの軸線Lと直交する横断面形状を、小径部103と大径部104とを有する形状とすることによって、対を構成する2つの液圧室において容積変化量が異なるようにされたが、ハウジングの軸線Lを含む縦断面形状を、軸線Lと平行な方向の長さが異なる深底部と浅底部とを有する形状とすることによって、対を構成する2つの液圧室において容積変化量の絶対値が異なるようにすることもできる。
その一例を図3に示す。
セントラルシリンダとしてのロータリシリンダ180において、可動のベーン部材182が有するベーン184,186の軸線Lと平行な方向の長さ(深さ)が異なる。また、ハウジング190の内側の軸線Lを含む縦断面形状が、軸線Lと平行な方向の長さがLaである深底部192と、軸線Lと平行な方向の長さLbが長さLaより短い(Lb<La )浅底部194とを有する形状である。
ハウジング190の内部の空間は、固定のベーン42,44によって深底部190と浅底部192とに仕切られる。また、深底部192にベーン186が位置し、浅底部194にベーン184が位置する状態で、可動ベーン部材182が軸線回りに相対回転可能に嵌合される。その結果、ベーン184の受圧面の面積はベーン186の受圧面の面積より小さくなる。
【0041】
可動のベーン部材182の中立位置において、ベーン184の両側の液圧室54,60の容積は、ベーン186の両側の液圧室56′,58′の容積より小さい。また、液圧室54,58′によって構成される液圧室対196、液圧室60,56′によって構成される液圧室対198において、液圧室54,60の容積変化量は液圧室56′,58′の容積変化量より小さくなる。容積変化量が小さい方の液圧室54,60に前輪側のショックアブソーバ10,12が接続され、容積変化量が大きい方の液圧室56′,58′に後輪側のショックアブソーバ14,16が接続される。
ロータリシリンダ180において可動ベーン部材182が回転させられた場合に、前輪側のショックアブソーバ10,12とロータリシリンダ180との間を流れる作動液の流量が後輪側のショックアブソーバ14,16との間を流れる作動液の流量より小さくなる。そのため、前輪側において後輪側におけるより、車輪側部材17と車体側部材18との間の上下方向の相対移動が抑制される。
ロータリシリンダ180の作動については、図2に示す実施例と同様であるため、説明を省略する。
なお、ロータリシリンダ180において、容積変化量が小さい方の液圧室54,60に後輪側のショックアブソーバ14,16が接続され、容積変化量が大きい方の液圧室56′,58′に前輪側のショックアブソーバ10,12が接続されるようにすることもできる。
【0042】
セントラルシリンダは、図4に示す構造を成したものとすることができる。
セントラルシリンダとしてのロータリシリンダ200は、互いに独立な2つのハウジング202、204を有する。2つのハウジング202,204は同軸状に、すなわち、同心状に設けられる。また、ハウジング202,204の内側の軸線Lに直交する横断面形状は円形状を成したものであるが、それぞれの内径が異なる。本実施例においては、ハウジング202の内径R02がハウジング204の内径R04より大きい。また、ハウジング202,204の軸線Lと平行な方向の長さL02、L04は同じである。
ハウジング202,204には、それぞれ、固定のベーン210,212が1つずつ設けられるとともに、可動のベーン部材220,222が一体的に相対回転可能に設けられる。可動のベーン部材220,222は、それぞれ、ベーン214,216を1つずつ有し、これらベーン214,216は共通の回転軸226に固定される。
【0043】
本実施例においては、固定のベーン210、212がハウジング202,204に位相が180度隔たった位置に設けられ、可動のベーン部材220,222において、ベーン214,216が位相が180度隔たった位置に設けられる。
ハウジング202の内部の空間は、2つのベーン210,214によって2つの液圧室230,232に仕切られ、ハウジング204の内部の空間は、ベーン212,216によって2つの液圧室234、236に仕切られる。また、ハウジング202の内径R02はハウジング204の内径R04より大きいため、ハウジング202に相対回転可能なベーン部材220のベーン214の受圧面の面積は、ハウジング204に相対回転可能なベーン部材222のベーン216の受圧面の面積より大きい。
したがって、可動のベーン部材220,224が回転させられた場合に、液圧室230,232の容積変化量は液圧室234,236の容積変化量より大きくなる。そして、容積変化量が大きい方の液圧室230,232に左右後輪のショックアブソーバ14,16が接続され、容積変化量が小さい方の液圧室234,236に左右前輪のショックアブソーバ10,12が接続される。
本実施例においては、可動ベーン部材220,222の中立位置において、一方のハウジングの一方の液圧室と、他方のハウジングのその一方の液圧室と隣接しない液圧室とによって対が構成される。液圧室230,234によって液圧室対240が構成され、液圧室232,236によって液圧室対242が構成されるのである。
本実施例におけるロータリシリンダ200の作動については、上記実施例における場合と同じであるため、説明を省略する。
【0044】
なお、2つのハウジングを含むロータリシリンダにおいて、2つのハウジングにおいて、軸線Lと平行な方向の長さが互いに異なるものとすることができる。上記実施例において、内径R02、R04を同じとし、長さL02を長さL04より大きくするのである。
また、軸線と平行な方向の長さと軸線と直交する方向の長さ(内径)との両方を異ならせることもできる。
【0045】
セントラルシリンダは、図5に示す構造を成したものとすることができる。
セントラルシリンダ300において、ハウジング302に仕切部としてのベーンが固定されておらず、2つの可動のベーン部材304,306が、それぞれ、ハウジング302に対して回転軸308の回りに相対回転可能に設けられる。
ハウジング302の内側の軸線Lと直交する横断面は段付き形状を成したものであり、内径が異なる小径部310,中径部312a,b,大径部314を有する。小径部310と大径部314とは互いに対向した位置に、2つの中径部312a,bが互いに対向した位置に設けられる。
また、ベーン部材304が有する2つのベーン320,322の半径方向の長さは同じで、中径部312a,bに位置する。また、ベーン部材306が有する2つのベーン324,326は半径方向の長さが異なっており、短い方のベーン324が小径部310に位置し、長い方のベーン326が大径部314に位置する。ベーン324,320(322)、326の受圧面の面積SF、SM、SRは、面積SR、SM、SFの順に小さくなる(SR>SM>SF)。
なお、ハウジング302の内周面の内径が変化する段部330,332はベーン部材304のストッパとしての機能を果たし、段部334,336はベーン部材306のストッパとしての機能を果たす。
【0046】
本実施例においては、ベーン320、324によって形成される室が液圧室340とされ、ベーン324、322によって形成される室が液圧室342とされる。また、ベーン320、326の間に形成される液圧室、ベーン322,326の間に形成される液圧室がそれぞれ液圧室344,346とされる。
可動のベーン部材304,306の中立位置において、液圧室340,342の容積、液圧室344,346の容積はそれぞれ同じであるが、液圧室340,342の容積は液圧室344,346の容積より小さい。液圧室340,342に左右前輪のショックアブソーバ10,12が接続され、液圧室344,346に左右後輪のショックアブソーバ14,16が接続される。
【0047】
可動のベーン部材304,306のベーン320,322,324,326の端部、すなわち、ハウジング302の内周面と対向する部分には、図6に示すように、抵抗付与装置360が設けられる。抵抗付与装置360は、電磁駆動部362と、ハウジング302との摺動部材364とを含む。摺動部材364は、スプリング366によりハウジング302の内周面に接近する向きに付勢されている。電磁駆動部362は、コイル368を含み、コイル368に電流が供給されると、摺動部材364に電磁駆動力が付与され、ハウジング302への押付力が大きくなる。押付力の大きさは、コイル368への供給電流の制御により制御することができる。
ベーン320,322,324,326のハウジング302への押付力が大きい場合は小さい場合より、これらの間の摩擦係数が同じである場合に、ベーン部材304,306の摩擦力が大きくなる。
【0048】
ベーン部材304について、ベーン320,322に加わるモーメントM1、M2は、ベーン320,322のアームの長さをRM、ベーン部材304の回転中心とベーン320,322のハウジング302に接する点との距離(ハウジング302の中径部312a,bの内径)をRMA、摩擦力をFμMとした場合に、それぞれ、
M1=(PRL−PFL)×SM×RM−FμM×RMA
M2=(PFR−PRR)×SM×RM−FμM×RMA
で表され、ベーン部材304に加わるモーメントM204は、式
M304=M1+M2
=(PRL−PFL+PFR−PRR)×SM×RM−2×FμM×RMA
で表される。
このように、ベーン部材304には、液圧差に起因するモーメントと、摩擦力に起因するモーメントとが作用し、これらの和の絶対値が0より大きい場合に、すなわち、液圧差に起因するモーメントの絶対値が摩擦力に起因するモーメントの絶対値を越えた場合に回転させられる。
【0049】
ベーン部材306についても同様である。ベーン324,326に加わるモーメントM3、M4は、ベーン324,326のアームの長さをそれぞれRF、RRとし、ベーン部材306の回転中心とベーン324,326のハウジング302に接する点との距離(ハウジング302の小径部310,大径部314の内径)を、それぞれ、RFA、RRAとし、これらの間の摩擦力を、それぞれ、FμF、FμRとした場合に、それぞれ、
M3=(PFR−PFL)×SF×RF−FμF×RFA
M4=(PRL−PRR)×SR×RR−FμR×RRA
で表され、ベーン部材306に加わるモーメントM306は、式
M304=M3+M4
={(PFR−PFL)×SF×RF}+{(PRL−PRR)×SR×RR}−{(FμF×RFA)+(FμR×RRA)}
で表される。ベーン部材306も同様に、液圧差に起因するモーメントの絶対値が摩擦力に起因するモーメントの絶対値を越えた場合に回転させられる。
【0050】
可動のベーン部材304の摩擦力を可動のベーン部材306の摩擦力より大きくした場合には、ベーン部材304は回転しないが、ベーン部材306が回転することがある。
例えば、ベーン部材304が相対回転しないでベーン部材306が時計回りに相対回転させられると、液圧室340,346の容積が増加し、液圧室342,344の容積が減少する。容積がともに増加する液圧室340,346から構成される液圧室対において、液圧室340の容積増加量は液圧室346の容積増加量より小さく、容積がともに減少する液圧室342,344から構成される液圧室対において、液圧室342の方が液圧室346より容積減少量が小さい。液圧室340,342の容積変化量が液圧室344,346の容積変化量より小さいのであり、ベーン部材306が相対回転させられた場合に、左右前輪のショックアブソーバ10,12との間に流れる作動液の流量が左右後輪のショックアブソーバ14,16との間に流れる作動液の流量より小さくなる。前輪側において後輪側より車輪側部材17と車体側部材18との上下方向移動が抑制される。この状態を前後流量配分が異なる状態と称する。
【0051】
可動のベーン部材304の摩擦力を可動のベーン部材306の摩擦力を大きくした場合には、ベーン部材306は回転しないが、ベーン部材304が回転することがある。
この場合には、4つの液圧室340〜346の容積変化量は同じになる。前輪側と後輪側とで、車輪側部材17と車体側部材18との間の上下方向移動の抑制効果は同じであり、この状態を前後流量配分が同じ状態と称する。
【0052】
本実施例において 抵抗付与装置360は、コンピュータを主体とするサスペンションECU370の指令に基づいて制御される。サスペンションECU370は、実行部372,記憶部374,入出力部376等を有し、記憶部374に記憶された流量配分制御プログラムの実行に従って、各ベーンの抵抗付与装置360が制御される。
入出力部376には、選択スイッチ380,悪路検出装置382等が接続されるとともに、抵抗付与部360が接続される。選択スイッチ380は、運転者によって操作可能なもので、前後流量配分が異なる状態と同じ状態とのいずれかを選択するスイッチであり、前後流量配分が異なる状態を選択する場合にON操作するように予め決められている。悪路検出装置382は、車輪速度センサ等を備え、車輪加速度の変化状態等に基づいて悪路であることを検出する。
【0053】
本実施例においては、運転者の選択に応じて、前後流量配分が異なる状態と、流量配分が同じ状態とのいずれかに設定されるが、悪路走行中であることが検出された場合には、前後流量配分が異なる状態とされる。本実施例においては、ベーン部材304の2つのベーン320,322に付与される押付力と、ベーン部材306の2つのベーン324,326に付与される押付力とは、それぞれ、共通に制御される。また、コイル368への供給電流のON・OFF制御が行われ、回転を阻止するベーン部材の抵抗付与装置360のコイル368に対してはONとされ、回転を許容するベーン部材の抵抗付与装置360のコイル368に対してはOFFとされる。
【0054】
本実施例においては、図7のフローチャートで表される押付力制御プログラムの実行に従って制御される。
ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)において、悪路走行中であるか否かが判定され、S2において、選択スイッチ380がON状態にあるか否かが判定される。悪路である場合、あるいは、悪路でない場合に選択スイッチ380がONである場合には、S3において、前後流量配分が異なる状態とされる。ベーン部材304のベーン320,322の抵抗付与装置360が作動させられ、押付力が大きくされる。また、悪路でない場合であって、選択スイッチ380がOFF状態にある場合には、S4において、前後流量配分が同じ状態とされる。可動のベーン部材306のベーン324,326の抵抗付与装置360が作動させられ、押付力が大きくされる。
【0055】
このように、本実施例においては、2つの可動ベーン部材304,306のいずれか一方の相対回転を阻止し、他方を許容することにより、前後流量配分が異なる状態と同じ状態とに切り換えることができる。それによって、運転者の意図、あるいは、走行状態に応じて、姿勢抑制制御を行うことができる。また、電磁駆動力の制御により、押付力が制御されることになる。
本実施例においては、各ベーン320〜326に設けられた抵抗付与装置360,サスペンションECU370等により回転阻止・許容装置が構成される。回転阻止・許容装置は、個別抵抗制御装置、選択的回転阻止・許容部でもある。また、回転阻止・許容装置のうち、抵抗付与装置360と、サスペンションECU370の押付力制御プログラムのS4を記憶する部分、実行する部分等により回転抑制部が構成される。
【0056】
なお、悪路走行中であるか否かに基づいて前後流量配分が同じ状態と異なる状態とに切り換えることは不可欠ではない。運転者による選択に基づいて切り換えられるようにすればよい。
【0057】
また、抵抗付与装置の構成は上記実施例におけるそれに限らない。例えば、図8に示すように、液圧により作動させられるものとすることができる。
本実施例においては、抵抗付与装置400が、摺動部材402と液圧制御部404とを含む。液圧制御部404は、液圧室410,液圧制御弁装置412等を含み、液圧室410の液圧の制御により摺動部材402に加えられる押付力が制御される。液圧制御弁装置412は、上記実施例における場合と同様に、サスペンションECU370の指令に基づいて制御される。
【0058】
さらに、上記実施例においては、ベーン部材304,306のハウジング302への押付力が制御されることにより、ベーン部材304,306のいずれか一方の回転が阻止され、いずれか他方の回転が許容される状態とされたが、ベーン部材304,306の両方が同様に、すなわち、一体的に回転させられるようにすることもできる。
ベーン部材304,306が同じ角度θで同時に時計方向に回転させられる場合において、液圧室342の容積変化量ΔQ342は、
ΔQ342=SM・θ−SF・θ
であり、液圧室346の容積変化量ΔQ346は、
ΔQ346=SR・θ−SM・θ
となる。
したがって、ベーン部材304,306が、それらの形状が、ベーン322の受圧面積SMとベーン324の受圧面積SFとの差(SM−SF)と、ベーン326の受圧面積SRとベーン324の受圧面積SMの差(SR−SM)とが異なるように製造されている場合には、これらが一体的に相対回転させられることにより、前後流量配分が異なる状態が実現される。それによって、前輪側において後輪側におけるより車輪側部材17と車体側部材18との上下方向の相対移動が抑制される。
なお、ベーン部材304とベーン部材306とは一体的に相対回転可能に連結することも可能である。
また、ベーン部材304,306が、容積変化量ΔQ342、ΔQ346が同じになるように製造された場合には、ベーン部材304,306が一体的に相対回転させられるようにすることによって、前後流量配分が同じ状態が実現される。
【0059】
さらに、上記実施例においては、可動のベーン部材304,306のハウジング302に加えられる押付力を制御することにより、回転が許容されたり、阻止されたりしたが、可動のベーン部材304,306をハウジング302に係合させたり、係合を解除したりすることにより、可動のベーン部材304,306のハウジング302に対する相対回転が阻止されたり、許容されたりすることもできる。その一例を図9〜11に示す。
セントラルシリンダ300において、ハウジング302の軸線方向の両端面にそれぞれ回転阻止装置502が設けられる。回転阻止装置502の一方はベーン部材304の回転を阻止するものであり、回転阻止装置502の他方はベーン部材306の回転を阻止するものである。図には、ベーン部材304の回転を阻止する回転阻止装置302を記載し、ベーン部材306の回転を阻止する回転阻止装置の図示は省略する。これら2つの回転阻止装置502は同じ構造を成したものである。
【0060】
回転阻止装置502は、ロータリシリンダ300の軸線方向の端部において、ハウジング302とベーン部材304との間に設けられる。回転阻止装置502は、回転阻止部材510と、その回転阻止部材510を回転阻止位置と回転許容位置とに移動させる駆動装置512とを含む。
ハウジング302と、ベーン部材304の係合突部518とには、それぞれ、軸線Lと直交する向き、すなわち、半径方向に延びた貫通穴520、522が形成される。ベーン部材304に設けられた貫通穴522は、図11に示すように、内周側に向かって狭くなるように傾斜した形状を成す。
一方、回転阻止部材510は、長手方向に延びた形状を成したものであるが、それの先端部が尖っており、図11に示すように、軸線Lと平行な方向から見た場合に、三角形状を成している。
駆動装置512はコイル530を含む。コイル530に電流が供給されない場合には、移動阻止部材510は、スプリング532により前進位置にあり、ベーン部材304とハウジング302との相対回転を阻止するが、コイル530に電流が供給されると後退させられ、ベーン部材304とハウジング302との係合を解除し、ベーン部材304のハウジング302に対する相対回転を許容する。
【0061】
このように、回転阻止装置502によれば、ベーン部材304のハウジング302に対する相対回転が、回転阻止部材510の移動によって機械的に阻止される状態と許容される状態とに切り換えられる。
同様に、ベーン部材306もハウジング302に対する相対回転が阻止されたり、許容されたりするのであるが、それぞれの、回転阻止装置502のコイル530への供給電流は、上記実施例における場合と同様に制御される。
本実施例においては、ベーン部材304に形成された貫通穴522が内周側に向かって狭くなる向きに傾斜した形状を成したものであり、かつ、回転阻止部材510の先端部も先が細くなった形状を成したものであるため、ベーン部材304をハウジング302に対して予め決められた位相において、すなわち、中立位置において、係合させることができる。
本実施例においては、回転阻止装置502、サスペンションECU470等により回転阻止・許容装置が構成される。
【0062】
なお、セントラルシリンダは、図12に示す構造を成したものとすることができる。
本実施例においては、可動のベーン部材の回転軸保持部の軸線Lに直交する横断面形状が小径部と大径部とを有するものであり、この小径部と大径部とに、それぞれ、ハウジングに固定のベーンが摺動する。
セントラルシリンダとしてのロータリシリンダ600において、ハウジング602は概して円筒状を成したものである。ハウジング602にベーン604,606が固定されるとともに、ベーン608,610を備えた可動のベーン部材612が、相対回転可能に設けられる。ベーン部材612の回転軸保持部614は小径部616,大径部618を含み、それぞれ、ハウジング602に固定のベーン606,604に摺動可能とされる。すなわち、大径部618に摺動する固定のベーン604は小径部616に摺動する固定のベーン606より半径方向の長さが短くされる。
【0063】
本実施例において、固定のベーン604の両側の液圧室620,622に左右前輪のショックアブソーバ10,12が接続され、ベーン606の両側の液圧室624,626に左右後輪のショックアブソーバ14,16が接続される。
液圧室620,622は、可動のベーン部材612の大径部618が位置する領域に設けられ、液圧室624,626は、小径部616が位置する領域に設けられる。その結果、可動のベーン部材612が相対回転させられた場合に、液圧室620,622の容積変化量は液圧室624,626の容積変化量より小さくなる。本実施例においては、可動のベーン部材612のベーン606,610の液圧室に対向する受圧面の面積は同じであるが、容積変化量が異なるのである。本ロータリシリンダ600における作動は、上記実施例における場合と同様であるため、説明を省略する。
【0064】
上記複数の実施例を記載したが、これらを組み合わせて実施することも可能である。
また、ショックアブソーバの代わりに単動式のシリンダとすることもできる。
その他、本発明は、前述に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施例であるサスペンションシステム全体を示す概念図である。
【図2】本発明の別の一実施例であるサスペンションシステム全体を示す概念図である。
【図3】上記サスペンションシステムに含まれる別のロータリシリンダを表す図である。
【図4】上記サスペンションシステムに含まれる別のロータリシリンダを表す図である。
【図5】本発明の別の一実施例であるサスペンションシステム全体を示す概念図である。
【図6】上記サスペンションシステムに含まれるベーン部材の端部を示す図である。
【図7】上記サスペンションシステムに含まれるサスペンションECUの記憶部に記憶された押付力制御プログラムを表すフローチャートである。
【図8】上記サスペンションシステムに含まれる別のベーン部材の端部を示す図である。
【図9】上記サスペンションシステムに含まれる別のロータリシリンダの一部を示す分解斜視図である。
【図10】上記ロータリシリンダの一部断面図である。
【図11】上記ロータリシリンダのAA断面図である。
【図12】本発明のさらに別のサスペンションシステムに含まれるロータリシリンダを示す図である。
【図13】本発明の別のサスペンションシステムに含まれるロータリシリンダを示す図である。
【符号の説明】
【0066】
12〜16:ショックアブソーバ 38,100,180,200,300,600:ロータリシリンダ 40,102,190,202,204,392,602:ハウジング 42,44,48,50、106,107,112,114、184,186、210,212,214,216、329,322,324,326,604,606,608,610:ベーン 52,110,182,220,222,304,306、614:可動ベーン部材 53,105:固定ベーン部材 360:抵抗付与装置 502:回転阻止装置




 

 


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