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発明の名称 乳化組成物
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2006−1913(P2006−1913A)
公開日 平成18年1月5日(2006.1.5)
出願番号 特願2004−182877(P2004−182877)
出願日 平成16年6月21日(2004.6.21)
代理人 【識別番号】100108741
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 順之
発明者 佐藤 知子
要約 課題
長期保存時の安定性に優れ、かつ、べたつき、きしみ感のない使用性に優れた化粧料等の乳化組成物の提供。

解決手段
その乳化組成物は、(a)水膨潤性層状ケイ酸塩と(b)有機変性層状ケイ酸塩粘土鉱物と(c)油と(d)水とを含有し、かつ(a)の含有量が水相成分全量に対して0.1〜20.0質量%、(b)の含有量が油相成分全量に対して0.1〜40.0質量%であることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
(a)水膨潤性層状ケイ酸塩と(b)有機変性層状ケイ酸塩粘土鉱物と(c)油と(d)水とを含有し、かつ(a)の含有量が水相成分全量に対して0.1〜20.0質量%、(b)の含有量が油相成分全量に対して0.1〜40.0質量%であることを特徴とする乳化組成物。
【請求項2】
(c)油として、極性油を含有する請求項1記載の乳化組成物。
【請求項3】
(b)有機変性層状ケイ酸塩粘土鉱物が、水膨潤性層状ケイ酸塩を第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理したカチオン変性粘土鉱物である請求項1又は2記載の乳化組成物。
【請求項4】
乳化型が水中油型である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の乳化組成物。
【請求項5】
乳化型が油中水型である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の乳化組成物。
【請求項6】
実質上界面活性剤を含有しない請求項1ないし5のいずれか1項に記載の乳化組成物。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化安定性及び使用性に優れた乳化組成物に関し、より詳しくは3ヶ月以上の長期保存時の安定性に優れ、またべたつきも、きしみ感もなくて、なじみが良くて、非常にさっぱりとした使用感触を持つ使用性に優れた化粧料等の乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から皮膚に適当な潤いを与えるために、水と油とを安定に含有する化粧料が求められている。
そのため、通常の化粧品においては乳化安定性を保たせるために界面活性剤を用いて乳化粒子を細かくした上、水中油型乳化物ならば外相をポリアクリル酸、増粘多糖類等の水溶性高分子あるいは水膨潤性の粘土鉱物で、油中水型乳化物ならばシリコーン樹脂あるいは有機変性粘度鉱物などで増粘させる技術が用いられている。
【0003】
[先行技術文献]
【特許文献1】特表2001−518111
【特許文献2】特開平8−169808号公報
【特許文献3】特開2002−370917
【特許文献4】特開2003−34609
【特許文献5】特開平11−188253号公報
【特許文献6】特開2002−191959
【特許文献7】特開2002−47121
【特許文献8】国際公開(WO96/29975)
【特許文献9】特開2004−2275
【0004】
また、化粧品においては、肌に塗布した際の使用感触が大きく嗜好評価を左右するため、べたつかず、さっぱりした感触を付与させるために様々な工夫がなされている。
特に、界面活性剤は特有のべたつきを有するため、界面活性剤をできるだけ減量、あるいは完全に抜去する試みが多くなされている。
例えば、特許文献1、特許文献2等によれば、シリカや酸化チタンなどの表面を疎水化した両親媒性の粉末を界面活性剤の代わりに用いることで、界面活性剤を用いなくても安定な乳化組成物が調製できる。
【0005】
しかしながら、これらの例は粉末を疎水化する物質、すなわち粉末の表面の性質により配合できる油分が特定されるため、乳化組成物の処方の幅が非常に狭くなるのが欠点である。
そのようなことから、アルキル変性ポリマーを界面活性剤の代わりに用いたり、水を膨潤させた親水性高分子の網目構造中に油を撹拌によって細粒化し保持させる乳化技術も用いられているが、その場合には高分子を多量に配合しているために使用感が悪かったり、また微細な粒子が調製できないために、温度変化で水や油が解離しやすいといった問題がある。
【0006】
また、特許文献3あるいは特許文献4のように、外水相に合成膨潤性層状ケイ酸塩を配合して、水を膨潤させた合成膨潤性層状ケイ酸塩のカードハウス構造中に、油を攪拌によって細粒化し保持させる方法などが報告されている。
その場合にも、水膨潤性粘土鉱物で増粘した水ゲルのみでは、油滴の合一や離水に対する安定性が不充分であるため、特許文献5や特許文献6のように乳化安定性を高める手段として、増粘効果の高い水溶性高分子を併用する方法や、特許文献7のように油膨潤性の粘土鉱物を用いて乳化の安定化を図る試みがなされている。
【0007】
しかしながら、水溶性高分子を併用した場合、水溶性高分子はべたつきを伴うのが一般的であるため、界面活性剤を用いた従来の乳化物と比較してさっぱりした使用感触を付与できるものの、満足のいくレベルではなく、また油膨潤性の粘土鉱物も、油水界面膜を強固にする働きが充分でないため、乳化安定性を満足させることはできなかった。
さらに、特許文献8においては、油相と水相の両方をそれぞれ固形油分、半固形の保湿剤で固化させることで、界面活性剤を用いずに安定な油水混合物を調製する技術が紹介されているものの、製剤が固化されているために硬い軟膏のような感触のクリームに限定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題点を解消するために鋭意研究開発に努め、その結果開発に成功したものである。
したがって、本発明は、べたつきの原因となる界面活性剤を実質上配合することなく水と油とが安定に含有され、しかも油の極性に影響されることなく安定に乳化することができ、かつ軟らかく、使用感の良い化粧料を提供することを発明の解決すべき課題、すなわち目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するために、化粧料等の乳化組成物を提供するものであり、その組成物は、(a)水膨潤性層状ケイ酸塩と(b)有機変性層状ケイ酸塩粘土鉱物と(c)油と(d)水とを含有し、かつ(a)の含有量が水相成分全量に対して0.1〜20.0質量%、(b)の含有量が油相成分全量に対して0.1〜40.0質量%であることを特徴とするものであり、その特徴をより端的に表現すれば、油と水とを含有することを前提とする乳化組成物において、水膨潤性層状ケイ酸塩及び有機変性した層状ケイ酸塩を所定量含有することを必要とするものであって、界面活性剤の含有を必要としないことである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、有機変性層状ケイ酸塩粘土鉱物及び水膨潤性層状ケイ酸塩を所定量で併用することにより、界面活性剤を必要とすることなく水と油とを安定に保持し、塗布した際の使用性に優れ、かつ油分の極性に因らずに乳化することができる組成物を提供することができる優れたものである。
また、本発明では、皮膚刺激性の少ない乳化組成物が調製できる。
さらに、極性の高い油分を配合しても、界面活性剤を用いることなく安定な乳化組成物が調製できる。
【0011】
これらの点に関し、以下において更に詳細に説明する。
本発明によれば、油相は有機変性した層状ケイ酸塩によってゲル化され、水相は水膨潤性層状ケイ酸塩によって安定に保持されるので、界面活性剤を用いることなく両方の相が合一やクリーミングに対して安定に保持される。
これは、水膨潤性層状ケイ酸塩及び有機変性層状ケイ酸塩が、樹脂やデキストリン脂肪酸エステルと異なり大きなチキソトロピー性を有し、そのため、それぞれ水相及び油相に用いることにより、攪拌時のみかけ粘度をそれぞれ非常に低くすることができ、その結果微細な粒子を調製することが可能であることにも起因する。
【0012】
また、このチキソトロピー性によって、水相、油相ともに静置時にはゲル構造を保ち、肌上には軽い力で伸ばすことができる。
しかも、配合油分量が多くても、層状ケイ酸塩の効果によりべたつきのない、さっぱりした使用感触の化粧料を得ることができる。
なお、特許文献9には、有機変性層状ケイ酸塩粉体を用いることで、実質上界面活性剤を含まず、さらに外相を増粘することなしに、安定な巨大エマルションを調製する方法について記載されているが、この系では、外相を増粘していないために効率良く粒子を微細化することができず、粒径が0.5mm〜10mmのエマルションに限定されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下において、本発明について、発明を実施するための最良の形態を含む発明の実施の態様に関し詳述する。
本発明の乳化組成物は、前記したとおり(a)水膨潤性層状ケイ酸塩と(b)有機変性層状ケイ酸塩粘土鉱物と(c)油と(d)水とを含有し、かつ(a)と(b)とを所定量で含有することを特徴とするものである。
本発明に配合される(a)水膨潤性層状ケイ酸塩は、膨潤性、すなわち水中で結晶層間に水が侵入して膨潤する性質を有するものである。
なお、膨潤性層状ケイ酸塩は、水中で薄片状の微結晶となって分散する。
【0014】
本発明において使用する水膨潤性層状ケイ酸塩としては、一般に、天然もしくは合成のNa型テトラシリシックフッ素雲母、Li型テトラシリシックフッ素雲母、Na型フッ素テニオライト、もしくはLi型フッ素テニオライト等の膨潤性雲母族粘土鉱物、バーミキュライトやヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、バイテライト、モンモリナイト、ノントロナイト、もしくはベントナイト等のスメクタイト族粘土鉱物、又はこれらの置換体、誘導体もしくはこれらの混合物が挙げられる。
なお、前記置換体には、層間イオンのNa+もしくはLi+イオンの一部がK+イオン置換されているもの、又は四面体シートのSi+イオンの一部がMg2+イオンで置換されているものが含まれる。
【0015】
また、市販品のものとしては、ソマシフME−100(コープケミカル(株)製の合成膨潤性雲母)、SUBMICA E(仏国、LCW社製の合成膨潤性雲母)、ルーセンタイトSWN(コープケミカル(株)製の合成スメクタイト)、ルーセンタイトSWF(コープケミカル(株)製の合成スメクタイト)、ダイモナイト(トピー工業(株)製の合成膨潤性雲母)、ラポナイトXLG(英国、ラポート社製合成ヘクトライト類似物質)、ラポナイトRD(英国、ラポート社製合成ヘクトライト類似物質)、サーマビス(独国、ヘンケル社製合成ヘクトライト類似物質)、スメクトンSA−1(クニミネ工業(株)サポナイト類似物質)、ベンゲル(豊順洋行(株)販売の天然モンモリロナイト)、クニピアF(クニミネ工業(株)販売の天然モンモリロナイト)、ビーガム(米国、バンダービルト社製の天然サポナイト)、ベントンEW(米国、エレメンティス社の天然ヘクトライト)等が挙げられる。
【0016】
次いで、本発明に配合される(b)有機変性層状ケイ酸塩については、一般に化粧品等において用いられ得るものであれば特に制限されることなく、各種のものを使用することができる。
本発明では、水膨潤性層状ケイ酸塩を第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理したカチオン変性粘土鉱物が好適に用いられる。
その水膨潤性粘土鉱物を処理する第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤は、下記一般式(1)で表される化合物である。
【0017】
【化1】


(但し、式中R1は炭素原子数10〜22のアルキル基又はベンジル基を表し;R2はメチル基又は炭素原子数10〜22のアルキル基を表し;R3及びR4は、それぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を表し;Xはハロゲン原子又はメチルサルフェート残基を表す)
【0018】
その化合物としては、具体的には、例えばドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、セチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルエチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、セチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ステアリルジエチルメチルアンモニウムクロリド、アルキルジエチルメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0019】
また、ベヘニルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルミリスチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルベヘニルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルステアリルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジベヘニルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、及び上記各化合物のクロリドに代えてブロミド化合物としたもの等、更にジパルミチルプロピルエチルアンモニウムメチルサルフェート等も、前記化合物として挙げられる。
これら第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤は1種又は2種以上を任意に選択して用いることができる。
【0020】
前記水膨潤性粘土鉱物を第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理してカチオン変性粘土鉱物を得る方法としては、例えば、水、アセトンあるいは低級アルコール等の低沸点溶媒中で、上述の水膨潤性粘土鉱物と第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を分散攪拌処理し、低沸点溶媒を除去することによって得ることができる。
なお、その際における第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤の使用量は、水膨潤性粘土鉱物100gに対して60〜140ミリ等量(meq)であることが望ましい。
【0021】
その水膨潤性粘土鉱物を第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理したカチオン変性粘土鉱物の代表的なものとしては、ジメチルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウム等が挙げられる。
それらの市販品としては、ベントン38(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド処理モンモリナイト:ナショナルレッド社製)、ベントン27(ベンジルジメチルステアリルアンモニウム処理ヘクトライト:ナショナルレッド社製)、チクソゲルMPZ(ベンジルジメチルステアリルアンモニウム処理ベントナイト:ズードケミー社製)、ルーセンタイトSAN(ジアルキル(C14〜18)ジメチルアンモニウム処理ヘクトライト:コープケミカル社製)等がある。
【0022】
その他、水膨潤性合成フッ素雲母を第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理したカチオン変性粘土鉱物を用いることもできる。
それらの市販品としては、ソマシフMAE(ジメチルジアルキルアンモニウムイオン変成合成フッ素雲母:コープケミカル(株)製)、ソマシフMTE(トリオクチルメチルアンモニウムイオン変成合成フッ素雲母:コープケミカル(株)製)等が挙げられる。
なお、(b)有機変性層状ケイ酸塩の調製には、前記したとおりカチオン界面活性剤が使用されるが、そのために使用したカチオン界面活性剤は、一旦層状ケイ酸塩の層間に結合すると、通常の化粧品で用いられるような溶剤、条件の中では分離することはなく、その結果乳化組成物中で本来の界面活性剤としての機能を果たすことはない。
そのため、有機変性のために用いられたカチオン界面活性剤は、本発明の乳化組成物においては、界面活性剤に該当するものではない。
【0023】
本発明において配合される(a)水膨潤性層状ケイ酸塩は水相の安定化、(b)有機変性層状ケイ酸塩粘土鉱物は油相の安定化にそれぞれ寄与するものであり、それらのことは前記したとおりである。
そのようなことから、本発明に配合される前記(a)水膨潤性層状ケイ酸塩の配合量及び(b)有機変性層状ケイ酸塩粘土鉱物の配合量については、(a)水膨潤性層状ケイ酸塩は水相成分全量に対して0.1〜20.0質量%であり、(b)有機変性層状ケイ酸塩粘土鉱物は油相成分全量に対して0.1〜40.0質量%である。
また、その(b)有機変性層状ケイ酸塩粘土鉱物の配合量については、水中油型とする場合には油相成分全量に対して1〜20質量%が好ましく、油中水型とする場合には油相成分全量に対して1〜40質量%が好ましい。
【0024】
それらの配合量を前記の通りとしたのは、それぞれの相成分全量に対して0.1質量%未満では系の中で水と油とを安定に保つ効果が得られず、また水膨潤性層状ケイ酸塩に関しては20.0質量%、有機変性層状ケイ酸塩粘土鉱物に関しては40.0質量%を越えて配合しても、配合量の増加に見合った効果が期待できないばかりか、粘度が高くなりすぎて均一な化粧料を得ることができないからである。
なお、水膨潤性層状ケイ酸塩と有機変性層状ケイ酸塩との配合比は、本発明による化粧料の剤型に応じて適宜選択し得るものである。
【0025】
このように、前記(a)有機変性層状ケイ酸塩と前記(b)水膨潤性層状ケイ酸塩粘土鉱物とを併用して配合することにより、油分の極性に因らず、また実質的に界面活性剤を配合しなくても安定な乳化組成物を調製することができる顕著な効果を奏する。
さらに、本発明の乳化組成物は、塗布した際の使用性に優れ、さらに温度による粘度変化が少なく、界面活性剤を配合しなくても良いため皮膚への刺激性が低い。
本発明において配合する必要がない界面活性剤とは、油相又は水相に溶解する両親媒性物質であり、水相と油相の界面張力を顕著に低下させることにより乳化機能を発現する物質を意味する。
【0026】
通常、界面活性剤を用いて乳化組成物を調製する際は、親油性界面活性剤や親水性界面活性剤を使い分けて、水中油型と油中水型の乳化組成物を調製する必要があるが、本発明においては、両者いずれの型の場合においても、(a)有機変性層状ケイ酸塩と(b)水膨潤性層状ケイ酸塩粘土鉱物との同じ組み合わせによって、水中油型と油中水型の両方の乳化組成物を調製することができ、また油分の極性に乳化安定性が大きく影響されないという特長がある。
【0027】
本発明に配合される(c)油は、通常化粧料中に配合される油分であれば、特に限定されない。
本発明においては、通常、安定に乳化することが難しい極性油を含有する場合でも、安定に配合することができる。
また、本発明に配合される前記(c)油の配合量は、乳化組成物全量に対して、1〜80質量%がよい。
水中油型乳化組成物とする場合には、その配合量は1〜50質量%が好ましく、油中水型乳化組成物とする場合は、3〜80質量%が好ましい。
【0028】
前記した極性油としては、合成エステル油として、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパンを挙げることができる。
【0029】
さらに、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、オクチルメトキシシンナメート等も挙げられる。
【0030】
また、天然油として、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等が挙げられる。
【0031】
本発明に配合される(d)水は、通常化粧料中に配合される水であれば、特に限定されない。
本発明に配合される前記(d)水の配合量は、乳化組成物全量に対して、20〜99質量%がよい。
水中油型乳化組成物とする場合は、50〜99質量%が好ましく、油中水型乳化組成物とする場合は、20〜97質量%が好ましい。
【0032】
以上の必須成分に加え、本発明組成物である化粧料には必要に応じて通常化粧料中に配合される各種他の成分を本発明の所期の効果を損なわない限りにおいて配合することができる。
その化粧料中に適宜配合される他の成分として、例えば流動パラフィン、スクワラン、ワセリン等の炭化水素類、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等のロウ類、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、コレステロール、フィトステロール等の高級アルコール、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ラノリン脂肪酸、リロール酸、リノレン酸等の高級脂肪酸が挙げられる。
【0033】
さらには、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、高重合ジメチルポリシロキサン、ジメチルシロキサン、メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体等のポリエーテル変性シリコーン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状シリコーン、高重合ジメチルシロキサンメチル(アミノプポピル)シロキサン共重合体等のアミノ変性シリコーン等の各種誘導体を含むシリコーン類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ムコ多糖、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、キトサン等の保湿剤、エタノール等の低級アルコール、ブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、フィチン等の酸化防止剤、安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、ヘキサクロロフェン等の抗菌剤等も挙げられる。
【0034】
さらに、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン、タウリン、アルギニン、ヒスチヂン等のアミノ酸及びこれらのアルカリ金属塩と塩酸塩、アシルサルコシン酸(例えばラウロイルサルコシンナトリウム)、グルタチオン、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸等の有機酸、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2及びその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15及びその誘導体のビタミンB類、アスコルビン酸、アスコルビン酸硫酸エステル(塩)、アスコルビン酸リン酸エステル(塩)、アスコルビン酸ジパルミテート等のビタミンC類も挙げられる。
【0035】
また、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン等のビタミン類、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ−オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸及びその誘導体、ヒノキチオール、ビサボロール、ユーカリプトール、チモール、イノシトール、サイコサポニン、ニンジンサポニン、ヘチマサポニン、ムクロジサポニン等のサポニン類、パントテニルエチルエーテル、エチニルエストラジオール、トラネキサム酸、アルビチン、セフォラチン、プラセンタエキ等の各種薬剤等が挙げられる。
【0036】
さらに、ギシギシ、クララ、コウホネ、オレンジ、セージ、ノコギリソウ、ゼニアオイ、センブリ、タイム、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、ヘチマ、マロニエ、ユキノシタ、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、クチナシ、サワラ等の有機溶媒、アルコール、多価アルコール、水、水性アルコール等で抽出した天然エキス、色素、中和剤、酸化防止剤、香料、精製水等が挙げられる。
そして、以上の他にも、水溶性高分子、油溶性高分子の配合も可能ではあるが、本発明の特長であるさっぱり感が失われるため多量の配合は望ましくない。
また、使用性を向上させる意味で、各種界面活性剤を少量配合することも可能である。 さらに、粘土鉱物以外の各種粉末や顔料を配合することも可能であるが、食塩等の塩類を多量に配合することは、水相のゲル化を著しく阻害するため好ましくない。
【0037】
本発明組成物である化粧料がとり得る剤型については、特に限定されるものではなく、O/W型、W/O型に限定されない上、例えば粉末分散系、水−油2層系、水−油−粉末3層系など、各種剤型(形態)の化粧料全般にわたって本発明を適用することができる。
また、その用途も化粧水、乳液、クリーム等の多くの化粧品にわたるものである。
【0038】
次に、本発明の乳化組成物に関し、各種組成のクリームあるいは乳液等の実施例及び比較例を示し、またその一部に関し安定性及び使用性に関する評価試験を行い、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例及び評価試験によってなんら限定されるものでなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。
なお、各実施例及び比較例における配合量はすべて質量%である。
【0039】
それら実施例及び比較例の乳化組成物を製造する際には、O/W型乳化組成物、すなわち実施例1、2、3、5、6、及び比較例1〜5の乳化組成物については、いずれも油相部を水相部に添加しながらホモミキサーで撹拌する製法を採用した。
また、W/O型乳化組成物、すなわち実施例4、7及び比較例6〜9の乳化組成物については、油相部に水相部を添加しながらホモミキサーで撹拌する製法を採用した。
なお、水膨潤性層状ケイ酸塩、及び有機変性層状ケイ酸塩は、いずれも油相中に分散して混合した。
【実施例1】
【0040】
保湿クリーム(O/W型)
(配合成分) (配合量)
精製水 67.0
グリセリン 5.0
ベントン38 3.0
流動パラフィン 20.0
SUBMICA E 5.0
リン酸三ナトリウム 0.01
アエロジル#200(不二化成製) 0.2
防腐剤 適 量
合 計 100.0
(製 法)
有機変性層状ケイ酸塩としてベントン38(ナショナルレッド社製)を、水膨潤性層状ケイ酸塩としてSUBMICA E(LCW社製)を用い、前記した製法により前記配合にてO/W型保湿クリームを調製した。
【実施例2】
【0041】
紫外線カットクリーム(O/W型)
(配合成分) (配合量)
精製水 66.0
1,3−ブチレングリコール 8.0
ベントン27 1.0
ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート 10.0
オクチルメトキシシンナメート 5.0
ジメチコン 5.0
スメクトンSA 5.0
ナイロン粉末 0.5
金属封鎖剤 適 量
防腐剤 適 量
合 計 100.0
(製 法)
有機変性層状ケイ酸塩としてベントン27(ナショナルレッド社製)を、水膨潤性層状ケイ酸塩としてスメクトンSA(クニミネ工業社製)を用い、前記した製法により、前記配合にて、O/W型紫外線カットクリームを調製した。
【実施例3】
【0042】
保湿用乳液(O/W型)
(配合成分) (配合量)
精製水 77.0
ジプロピレングリコール 5.0
ベントン38 1.0
マカダミアナッツ油 5.0
ワセリン 3.0
スクワラン 5.0
クニピアF 4.0
金属封鎖剤 適 量
防腐剤 適 量
合 計 100.0
(製 法)
有機変性層状ケイ酸塩としてベントン38(ナショナルレッド社製)を、水膨潤性層状ケイ酸塩としてクニピアF(クニミネ工業社製)を用い、前記した製法により、前記配合にてO/W型保湿用乳液を調製した。
なお、油相は水相との混合前に加熱し均一溶解した。
【実施例4】
【0043】
保湿用クリーム(W/O型)
(配合成分) (配合量)
精製水 65.0
ポリエチレングリコール 400 5.0
ベントン38 5.0
セタノール 5.0
ワセリン 3.0
スクワラン 15.0
ビーガム 2.0
防腐剤 適 量
合 計 100.0
(製 法)
有機変性層状ケイ酸塩としてベントン38(ナショナルレッド社製)を、水膨潤性層状ケイ酸塩としてビーガム(バンダービルト社製)を用い、前記した製法により、前記配合にてW/O型保湿用クリームを調製した。
なお、油相は水相との混合前に加熱し均一溶解した。
【0044】
[安定性評価及び使用性評価]
O/W型クリーム及びW/O型クリームを調製し、それらについて乳化安定性及び使用性を調べた。
それらの評価方法は以下のとおりである。
[安定性評価方法及び評価基準]
調製直後の乳化状態及び所定時間経過後の乳化安定性を調査した。
それぞれの評価方法及び評価基準は以下のとおりである。
【0045】
[安定性評価基準(調製直後)]
実施例及び比較例のクリームを調製し、調製直後に肉眼及び顕微鏡観察により乳化状態を調査した。
○:特に問題なくなめらかなクリームが調製できた
△:乳化できたが全体が不均一な状態
×:乳化できなかった、または乳化したがすぐに分離した
【0046】
[安定性評価基準(所定時間経過後)]
40℃で3ヶ月間保存した後に、実施例及び比較例のクリームを肉眼及び顕微鏡観察した。
◎:乳化粒子の大きさ、外観ともに調製直後と変化なし
○:乳化粒子にやや変化があるものの、水または油の解離には至っていない
△:一部に水または油の解離がみられる
×:完全に水と油が解離している
【0047】
[使用性評価方法及び評価基準]
実施例及び比較例のクリームについて、パネルを使用して使用性に関し「きしみ感のなさ」及び「べたつき感のなさ」の2点を調査した。
その調査は、パネル50名を被験者として実使用試験によって行った。
その使用性の評価は、「きしみ感のなさ」及び「べたつき感のなさ」に関し、各パネラーが判定し、その結果を集計することによって行った。
その際の各パネラーの判定基準及びその集計時の評価基準は、それぞれ以下のとおりである。
【0048】
[使用性「きしみ感のなさ」の評価]
(判定基準)
著効: きしまない
有効: わずかにきしむが、使用上問題のない程度である
やや有効: ややきしむ
無効: 著しくきしむ
(評価基準)
◎: 著効、有効、およびやや有効の評価をした被験者が80%以上
○: 著効、有効、およびやや有効の評価をした被験者が50〜80%未満
△: 著効、有効、およびやや有効の評価をした被験者が30〜50%未満
×: 著効、有効、およびやや有効の評価をした被験者が30%未満
【0049】
[使用性「べたつき感のなさ」]
(判定基準)
著効: べたつかない
有効: わずかにべたつくが、使用上問題のない程度である
やや有効: ややべたつく
無効: 著しくべたつく
(評価基準)
◎: 著効、有効、およびやや有効の評価をした被験者が80%以上
○: 著効、有効、およびやや有効の評価をした被験者が50〜80%未満
△: 著効、有効、およびやや有効の評価をした被験者が30〜50%未満
×: 著効、有効、およびやや有効の評価をした被験者が30%未満
【実施例5】
【0050】
実施例5のクリーム、並びに比較例1〜4のクリームを調製し、それらについて前記評価方法及び評価基準にしたがって安定性及び使用性を評価した。
それらの組成は、表1に示すとおりであり、その製造方法は前記したとおりである。
なお、調製したクリームの乳化型はいずれもO/W型である。
以上の結果より、水膨潤性粘土鉱物と有機変性粘土鉱物を適量併用することで、界面活性剤を用いることなく安定な乳化物が調製できることがわかる。
また、極性油であるオクチルメトキシシンナメートを配合しても、界面活性剤を用いることなく安定な乳化組成物が調製できることがわかる。
【0051】
【表1】


【実施例6】
【0052】
実施例6及び比較例5のクリームを表2に記載する組成で、前記した方法にて調製し、その調製したO/W型のクリームについて前記評価方法及び評価基準にしたがって安定性及び使用性を評価した。
なお、表2中のSUBMICA Nは、先行技術を示す特許文献7の中で使用されている油膨潤性の粘土鉱物である。
それらの評価の結果も表2に示すとおりであり、それによれば油膨潤性の粘土鉱物ではなく、有機変性層状ケイ酸塩粘土鉱物を用いることで、界面膜が強化され、乳化安定性が大きく向上することがわかる。
【0053】
【表2】


【実施例7】
【0054】
実施例7及び比較例6〜9のクリームを表3に記載する組成で、前記した方法にて調製し、その調製したW/O型のクリームについて前記評価方法及び評価基準にしたがって安定性及び使用性を評価した。
それら評価の結果も表3に示すとおりであり、それによれば、有機変性層状ケイ酸塩粘土鉱物及び水膨潤性層状ケイ酸塩を併用することにより、界面活性剤を必要とすることなく水と油とを安定に保持し、塗布した際の使用性に優れ、かつ油分の極性に因らずに乳化することができる。
さらに、皮膚刺激性が少なく、オクタン酸セチル等の極性の高い油分を配合しても、界面活性剤を用いることなく安定な乳化組成物が調製できることが示された。
【0055】
【表3】


【実施例8】
【0056】
実施例8の5種のクリームを表4に記載する組成で、前記したW/O型乳化組成物の製法にて調製し、その調製したW/O型のクリームについて前記評価方法及び評価基準にしたがって安定性及び使用性を評価した。
それら評価の結果も表4に示すとおりであり、それによれば、有機変性層状ケイ酸塩粘土鉱物及び水膨潤性層状ケイ酸塩を併用することにより、界面活性剤を必要とすることなく水と油とを安定に保持し、塗布した際の使用性に優れ、かつ油分の極性に因らずに乳化することができる。
さらに、皮膚刺激性が少なく、界面活性剤を用いることなく安定な乳化組成物が調製できることが示された。
【0057】
【表4】






 

 


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