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発明の名称 炊飯器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2006−55561(P2006−55561A)
公開日 平成18年3月2日(2006.3.2)
出願番号 特願2004−243361(P2004−243361)
出願日 平成16年8月24日(2004.8.24)
代理人 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄
発明者 両角 英樹 / 佐藤 慎一 / 大矢 弘 / 山下 幸一郎 / 石川 春生
要約 課題
誘導加熱コイルから生じる交番磁界により起歪体が発熱することを防止し、調理物の重量を精度よく検知する電磁誘導加熱を利用した炊飯器を提供する。

解決手段
上面が開口した本体と、前記本体の収納部に着脱自在に収納される鍋と、前記収納部を開閉自在に覆う蓋と、前記鍋を誘導加熱する誘導加熱コイルと、前記誘導加熱コイルに高周波電流を供給するインバータ回路と、前記鍋と前記鍋に入れられた調理物との総重量を検知する重量検知手段を有し、前記重量検知手段は、前記収納部に直接的または間接的に取り付けられた片持ち梁状の起歪体と、前記起歪体に直接的又は間接的に取り付けられ、前記鍋の外側底部の略中心部に当接する検知体を有し、前記検知体を介して前記起歪体により前記鍋と前記鍋に入れられた調理物との総重量を検知し、前記起歪体は歪みゲージを有し、長手方向を前記誘導加熱コイルに流れる電流方向に対し略直交するように配置する。
特許請求の範囲
【請求項1】
上面が開口した本体と、前記本体の収納部に着脱自在に収納される鍋と、前記収納部を開閉自在に覆う蓋と、前記鍋を誘導加熱する誘導加熱コイルと、前記誘導加熱コイルに高周波電流を供給するインバータ回路と、前記鍋と前記鍋に入れられた調理物との総重量を検知する重量検知手段と、前記重量検知手段の出力信号に応じて前記調理物の重量を算出し、前記調理物の重量に応じてインバータ回路を制御する制御手段とを有し、前記重量検知手段は、歪みゲージを有した片持ち梁状の起歪体と、前記起歪体に直接的又は間接的に取り付けられると共に前記鍋の外側底部の略中心部に当接する検知体とを備え、前記起歪体は、長手方向を前記誘導加熱コイルに流れる電流方向に対し略直交するように配置したことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
起歪体は側面に貫通孔を有し、前記貫通孔の貫通方向は誘導加熱コイルに流れる電流方向と略平行方向になるように配置される請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
誘導加熱コイルの外側に放射状に配置された複数の磁心を有し、起歪体は前記磁心の間に配置される請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項4】
蓋開閉検知手段と、歪みゲージへの入力電圧をオンオフする電源切替手段とを有し、前記電源切替手段は、前記蓋開閉検知手段が蓋開状態を検知するときに前記入力電圧をオンし、前記蓋開閉検知手段が蓋閉状態を検知するときには前記電源をオフする請求項1〜3いずれか1項に記載の炊飯器。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭で使用する炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、炊飯器は、ご飯の食味を向上させるために、鍋の中の米及び水の量(炊飯量)を判定し、炊飯量に応じて、鍋を加熱する消費電力量を制御している。
【0003】
例えば、特許文献1では、従来例の炊飯器が開示されている。この炊飯器は、炊飯開始と同時に重量検知手段によって内鍋の重量(鍋、水及び米の総重量)を検知して炊飯量を判定し、炊飯時のヒータの火力(一般的には火力に対応した消費電力量)を制御する。従って、炊飯開始とともに、炊飯量に見合った火力制御が可能となり、おいしくご飯を炊くことができる。
【0004】
従来例の炊飯器は、本体、底枠及び底枠の内側に挿入される底蓋を有し、本体に内鍋を収納すると、内鍋と本体との合計重量に比例して底枠および底蓋に取り付けられた電極間の距離が変化する。この電極間の静電容量の変化を共振回路の発振周波数や、ピーク電圧、電流と電圧の位相差に変換し炊飯量を判定する。
【0005】
以上のように従来の炊飯器では、内鍋と本体の合計重量を測定し、炊飯量を判定するものであった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特公平1−27724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特公平1−27724号公報の従来例の炊飯器では、従来例の炊飯器と同様の重量検知手段を、誘導加熱コイルを有する誘導加熱炊飯器に取り付けようとする場合は、以下のような課題があった。誘導加熱炊飯器においては、炊飯時に鍋表面に渦電流を流して加熱することにより、鍋内部の水が対流し、その対流による熱伝導で米を加熱する。従って、鍋内の米と水を均一に加熱し炊きムラを生じさせないようにする為には、鍋と加熱コイルとの相対的な位置関係を最適な状態に固定し、水の対流を最適な状態に維持しなければならない。このため、加熱コイルは三次元的な形状を有することが多い。一方、加熱コイルを内装する収納部は三次元的な形状に対応できる成形性と量産性を高める為、通常は樹脂材料を用いる。樹脂の耐熱温度は高くないので、鍋と収納部が接触すると、鍋が高温になったときに収納部の形状が変形する可能性がある。このため、一般的に誘導加熱炊飯器は、収納部の上端に鍋のフランジ部をあて、鍋が水平に懸架されるようにし、鍋と収納部との間に隙間を有する。つまり、鍋と収納部との間に隙間があるので、従来の炊飯器と同様の重量検知手段を誘導加熱炊飯器に取り付けることができなかった。
【0007】
この課題については、前記本体の収納部に着脱自在に収納される鍋と、前記収納部を開閉自在に覆う鍋と、前記鍋を誘導加熱する誘導加熱コイルと、前記誘導加熱コイルに高周波電流を供給するインバータ回路と、前記収納部に直接的または間接的に取り付けられた歪みゲージを有する起歪体(重量検知素子)と、前記起歪体に直接的又は間接的に取り付けられ、前記鍋の外側底部の略中心部に当接する検知体で構成し、検知体を介して起歪体により鍋または鍋に入れられた調理物の総重量を検知するようにすれば解決できる。
【0008】
しかしながら、誘導加熱コイルに高周波電流を流して鍋を加熱する誘導加熱炊飯器では、誘導加熱コイルに高周波電流が流れると高周波の交番磁界が発生し、この交番磁界により起歪体に渦電流が発生し、起歪体が発熱する。
【0009】
一般的に、起歪体はその長手方向を誘導加熱コイルの電流方向に対し略平行方向に配置する。第一の理由は、実装面積を小型化でき、コンパクトな炊飯器を実現できるからである。第二の理由は、実装面積が小さいので荷重をかけても起歪体を支える部分の強度を確保しやすい構造だからである。
【0010】
しかし、起歪体の長手方向を誘導加熱コイルに流れる電流方向に対し平行方向に配置すると、起歪体を鎖交する磁束が増加し、起歪体に流れる渦電流が増加し、起歪体そのものの温度が上昇し、起歪体に取り付けられた歪みゲージの抵抗値が温度変化し、検知する重量に誤差が生じる課題や、起歪体の上面と下面では鎖交する磁束数が大きく異なるために起歪体上面(誘導加熱コイルに面する側)と下面に流れる渦電流に差が生じ、上面と下面の温度差が大きくなり、この温度差で熱膨張の度合いが変わるので起歪体が歪み、検知する重量に誤差が生じるという課題があった。
【0011】
本発明は上記課題を解決するもので、誘導加熱コイルからの交番磁界により、起歪体が発熱し、検知する重量に誤差が生じることを防止し、計量精度を高めた炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の炊飯器は、起歪体の長手方向を誘導加熱コイルの電流方向とおおよそ直交するように配置するので、起歪体を鎖交する磁束数を減らすことができ、起歪体表面の渦電流が減少し、起歪体の発熱を抑えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の炊飯器は、誘導加熱コイル駆動時に起歪体上面(誘導加熱コイルに対向する面)が発熱することを抑えるので、起歪体上面と下面の温度差が小さくなり、起歪体の歪みや歪みゲージの温度変化を小さくすることとなり、検知重量の誤差を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
第1の発明の炊飯器は、上面が開口した本体と、前記本体の収納部に着脱自在に収納される鍋と、前記収納部を開閉自在に覆う蓋と、前記鍋を誘導加熱する誘導加熱コイルと、前記誘導加熱コイルに高周波電流を供給するインバータ回路と、前記鍋と前記鍋に入れられた調理物との総重量を検知する重量検知手段と、前記重量検知手段の出力信号に応じて前記調理物の重量を算出し、前記調理物の重量に応じてインバータ回路を制御する制御手段とを有し、前記重量検知手段は、歪みゲージを有した片持ち梁状の起歪体と、前記起歪体に直接的又は間接的に取り付けられると共に前記鍋の外側底部の略中心部に当接する検知体とを備え、前記起歪体は、長手方向を前記誘導加熱コイルに流れる電流方向に対し略直交するように配置したことにより、誘導加熱コイルから発生する磁束のうち、起歪体を鎖交する磁束数が減少するので、起歪体表面の渦電流が低減し、起歪体上面の発熱を抑えることができる。起歪体上面の発熱を抑えることにより、起歪体の上面と下面の温度差による歪みや、歪みゲージの温度変化を抑え検知重量に誤差が生じることを抑えることができる。
【0015】
第2の発明は、特に第1の発明に加え、起歪体の側面に貫通孔を有し、前記貫通孔の貫通方向は誘導過熱コイルに流れる電流方向と略平行方向になるように配置することにより、起歪体の側面の貫通孔を誘導加熱コイルから発生する磁束が通過することを防止することができるので、貫通孔の周囲を一周する経路で渦電流が発生するのを防止することができ、貫通孔周囲の発熱を抑えることができる。従って貫通孔近傍に配置された歪みゲージの温度変化を抑え、検知重量に誤差が生じるのを抑えることができる。
【0016】
第3の発明は、特に第1の発明または第2の発明の炊飯器を構成する加熱コイルの外側に放射状に配置された複数の磁心を有し、前記磁心の間に起歪体を配置することにより、磁心から温度の影響を均等に受けることになるので、起歪体自体に温度差が生じなくなる。これにより起歪体の各部の温度差による歪みがなくなり検知重量の誤差を小さくすることができる。
【0017】
第4の発明は、特に第1から第3の発明に加え、蓋開閉検知手段と、歪みゲージへの入力電圧をオンオフする電源切替手段とを有し、前記電源切替手段は、前記蓋開閉検知手段が蓋開状態を検知するときに前記入力電圧をオンし、前記蓋開閉検知手段が蓋閉状態を検知するときには前記電源をオフすることにより、前記歪みゲージの自己温度上昇を抑え、その温度上昇による検知重量の誤差を抑えることができる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7を用いて、本発明の実施の形態1の炊飯器を説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態1の炊飯器の一部切欠した側面図である。破断部分に断面図を示す。図面を簡潔にするために、電気的接続のためのリード線等は省略してある。図1において、10は炊飯器のボディ(本体)である。ボディ10には、その上面を覆う蓋20が開閉自在に設置されている。ボディ10の収納部30は、上方の上枠32と下方のコイルベース31とから構成される。12は、ステンレス、鉄、銅などの磁性体によって形成される鍋である。鍋12は、上端開口部に外側にせり出したフランジ121を有し、フランジ121を上枠32の上端から浮き上がった状態で載置することにより、収納部30に着脱自在に収納される。鍋12は収納時に、収納部30との間に隙間を有する。コイルベース31の鍋12底部に対向する部分に、鍋12を誘導加熱する誘導加熱コイル13が配設される。誘導加熱コイル13は、コイルベース31の底面外側に配設された外コイルと、底面内側に配設された内コイルとからなる。それぞれの誘導加熱コイルは、鍋12の底部の中心の略真下に中心を有する巻線である。回路基板14にはIGBTなどのスイッチング手段と誘導加熱コイル13に直列または並列に接続されるコンデンサからなるインバータ回路(図示しない)や、制御手段を構成するマイクロコンピュータ(図示しない)が搭載されている。マイクロコンピュータ内部に記憶されたソフトウエアにより、前記インバータ回路を制御し、誘導加熱コイル13に高周波電流を流す。誘導加熱コイル13は高周波電流が流れると交番磁界を発生させ、この交番磁界により鍋12に渦電流が流れ、鍋12が加熱する。以上のように、実施の形態1の炊飯器は、鍋12を誘導加熱し、鍋12内の調理物19を加熱調理する。調理物19は、炊飯前の米と水又は炊き上がったご飯等である。
【0021】
21はコイルベース31の底部に隙間を有して固定される基台である。基台21に、鍋12の重量を検知する重量検知手段40、鍋12底部の温度を検知する温度検知手段52が設けられる。各検知手段の構成について図1及び図2を用いて説明する。図2は、実施の形態1の炊飯器の要部分解斜視図である。
【0022】
重量検知手段40は、起歪体41、センサー台(絶縁部材)42及び当て筒(検知体)43から構成される。
【0023】
起歪体41は、アルミなどの金属材料を用いたロバーバル型の荷重変換器で直方体の外形をしている。起歪体41は、一端にネジ穴411、他端にネジ穴412を有する。基台21にはネジ穴212を有する薄板211が取り付けられている。起歪体41の一端は基台21に、ネジ穴212及びネジ穴411を介してネジ止めされる。起歪体41の他端は、基台21に対して隙間を有しており片持ち梁状の構成となっている。起歪体41の略中心部付近には貫通孔414があり、貫通孔414の上面と下面に抵抗線のブリッジ回路で構成された歪みゲージ413が取り付けられている。荷重により起歪体41がたわむと、歪みゲージ413を構成する抵抗線の抵抗値が変化するので、この抵抗変化を電気信号として検知する。起歪体41はその長手方向が誘導加熱コイル13に流れる電流方向に対し、略直交するように配置されている。
【0024】
42は樹脂製のセンサー台である。センサー台42の凹部421に、ロードセル41が嵌め込まれる。センサー台42はロードセル41の一端に、ネジ穴422及びネジ穴412を介してネジ止めされる。
【0025】
43は厚さ2mmのアルミで形成される当て筒(検知体)である。当て筒43は、下側に対向する2つの爪部431を有する。当て筒43は、爪部431をセンサー台42の当て筒固定孔423に通し、折り曲げることによって、センサー台42に固定される。当て筒43は上端に内側にせり出したフランジ432を有する。コイルベース31の底面外側に誘導加熱コイル13が配設されている。当て筒43は、コイルベース31の底の中央部(誘導加熱コイル13の中心部であって、ここには誘導加熱コイル13が配設されていない)に設けられた1つの貫通孔に通される。当て筒43の上端はコイルベース31の内側底部より高い(図1)。重量検知手段40は鍋12の重量をその外側底部の略中心部でのみ支え計測する。従って、重量検知手段40を誘導加熱コイル13と干渉することなく取り付けることができる。底の中心部で支えられる鍋12は安定して収納部30に配置されるので、誘導加熱コイル13は適切に且つ安定して鍋12を加熱できる。
【0026】
温度検知手段52は、上部に対向する2つのつば521を有し、当て筒43に下側から挿入される。つば521の外径は当て筒43の内径と略同一であり、温度検知手段52は当て筒43から上に抜けない。更に、当て筒43と温度検知手段52との間にバネ51が挿入される。バネ51は、つば521の下面とセンサー台42とに当接し、温度検知手段52が鍋12に密接するように、温度検知手段52を付勢する。温度検知手段52が検出した鍋12の温度に対応する電気信号は、リード線53及びコネクタ54を介して回路基板14に入力される。リード線53は、センサー台42の溝424から引き出される。
【0027】
収納部30に鍋12が無い時、温度検知手段52のつば521の上面は、当て筒43のフランジ432の下面に当接している。温度検知手段52の上面は、フランジ432の上面より高い位置にある。
【0028】
収納部30に鍋12に収納される時、鍋12の底部は始めに温度検知手段52に当接し、最後に温度検知手段52と当て筒43とに当接する(図1)。従って、当て筒43が鍋12を中心部で支持するので、鍋12が傾かない。ロードセル41は、鍋12、調理物19、センサー台42、バネ51、温度検知手段52及び当て筒43の総重量を検知し出力する。温度検知手段52は、バネ51により当て筒43の中に沈み込み、その上面がフランジ432の上面と同じ高さで鍋12の底と接する。温度検知手段52は、過大な力がかかることなく、バネ51により規定される適切な圧力で鍋12の底と接する。
【0029】
温度検知手段52、重量検知手段40からの電気信号は、それぞれ回路基板14に入力される。
【0030】
回路基板14に搭載されたマイクロコンピュータは、予め所定の状態(鍋12が無い時、空の鍋12を収納している時、最大の炊飯量の米と水を入れた鍋12を収納している時)での重量検知手段40の出力信号データ(S1、S2、S3)を記憶している。重量検知手段40の出力信号の大きさがSの時、鍋12の中の調理物19の重量Wは、
W=Wmax×(S−S2)/(S3−S2)
となる。ただし、Wmaxは、調理物19の最大重量であり、既知の量(最大の炊飯量の米と水(調理物19)を入れた鍋12、センサー台42、バネ51、温度検知手段52及び当て筒43の総重量であって、起歪体41の出力信号データS3に対応する値)である。マイクロコンピュータは、この式から、調理物19の重量を算出し、炊飯量を推定する。
【0031】
本発明の実施の形態1の炊飯器の炊飯工程における動作を、炊飯中に温度検知手段52の温度上昇勾配によって炊飯量を判定する従来の炊飯器の動作との違いに着目して説明する。
【0032】
炊飯工程は、時間順に前炊き、炊き上げ、沸騰維持、追い炊き、蒸らしに大分される。前炊き工程において、鍋12の温度が米の吸水に適した温度(50℃)になるように鍋内の米と水とを加熱する。次に、炊き上げ工程において、鍋12の温度が所定値(100℃)になるまで鍋12を所定の熱量で加熱する。従来の炊飯器においては、この時の温度上昇速度によって、炊飯量を判定する。沸騰維持工程において、鍋12の水が無くなり、鍋12の温度が100℃を超えた所定値になるまで、米と水を加熱する。最後に蒸らし工程において、一定時間の間に複数回、炊飯量に応じた加熱(追い炊き)と加熱の停止を繰り返す。
【0033】
前炊き工程について説明する。図3(a)及び(b)は、本発明の実施の形態の炊飯器で1合炊飯する時及び5合炊飯する時の、前炊き工程での鍋底(実線)及び調理物中心部(破線)の温度を示す。図3(c)及び(d)は、炊き上げ工程において炊飯量を判定する従来例の炊飯器で、1合炊飯する時及び5合炊飯する時の、前炊き工程での鍋底(実線)及び調理物中心部(破線)の温度を示す。鍋底の温度は、温度検知手段52によって検知される。
【0034】
炊き上げ工程において炊飯量を判定する従来例の炊飯器は、調理物19の多少に関わらず、温度検知手段52が検知した温度が吸水に適した温度(50℃)になるまで加熱を行う。その後所定時間(Ta)、鍋12の温度を50℃に保ち、米を吸水させる。しかし、炊飯量が多い場合(図3(d))、調理物19全体の温度が50℃になるまでに時間がかかるので、適温での吸水時間が不足する。従って、ご飯に芯が残ってしまう。
【0035】
本発明の実施の形態1の炊飯器は、調理物19の量に応じて、吸水時の温度(温度検知手段52によって検知される温度)を変える。例えば、炊飯量が1合の時は、温度検知手段52が検知した温度が50℃になるまで加熱を行う。そして、所定時間(Ta)、鍋12の温度を50℃に保ち、米を吸水させる(図3(a))。例えば、炊飯量が5合の時は、温度検知手段52が検知した温度が60℃になるまで加熱を行う。そして、所定時間(Ta)、鍋12の温度を60℃に保ち、米を吸水させる。調理物19の中心部の温度は、外側の温度より遅れて上昇し50℃程度になるので、米は十分に吸水できる。
【0036】
炊き上げ工程について説明する。炊き上げ工程において炊飯量を判定する従来例の炊飯器は、調理物19の多少に関わらず、所定の火力(誘導加熱コイル13の通電率及び/又は通電量)で鍋12を所定温度(100℃)まで加熱する。従って、炊飯量が少ない場合には、早く沸騰しすぎて米の表面のみが糊化し、芯が残ったご飯ができる。本発明の実施の形態の炊飯器は、炊飯量に応じて、炊き上げ工程における火力(誘導加熱コイル13の通電率及び/又は通電量)を変える。即ち、炊飯量の多少に関わらず炊き上げ工程の所要時間が一定になるように、炊飯量が少ない時ほど火力を弱める制御を行う。
【0037】
本発明の実施の形態1の炊飯器は、加熱開始前に正確に炊飯量を算出し、炊飯量に応じて誘導加熱コイルに流れる電流を制御する。従って、炊飯量によらず常においしいご飯を炊くことができる。
【0038】
なお、炊飯量に応じて前炊き時の温度ではなく、前炊きの時間を変える制御方法としても良い。
【0039】
誘導加熱コイル13が起歪体41を加熱する動作について、図4と図5と図6を用いて説明する。
【0040】
図4は起歪体41と誘導加熱コイル13の相対的な位置関係を示す要部斜視構成図である。
【0041】
起歪体41は誘導加熱コイル13に流れる電流方向61に対し、長手方向が略直交するように配置されている。このとき貫通孔414の貫通方向は電流方向61に対し、略平行方向になるように配置されている。
【0042】
図4について動作を説明する。
【0043】
炊飯を開始すると、インバータ回路が動作して誘導加熱コイル13に高周波電流が流れる。この高周波電流により誘導加熱コイル13が交番磁界を発生する。この交番磁界の向きを矢印62で示す。矢印62のうち点線で示されているものは、起歪体41内部を通過していることを意味している。この交番磁界が起歪体41を鎖交すると、起歪体41はアルミなど電気を通す材料で構成されているので、起歪体41に誘導起電力が発生し、この起電力により渦電流が発生する。この渦電流が流れた場所が発熱することとなる。しかし、本実施例の起歪体41の材料であるアルミは電気抵抗値が小さく発熱しにくい金属である。つまり、渦電流を小さくすればするほど発熱を抑えることができる。そこで、図4のように、起歪体41の長手方向を電流方向61に対し直交させると、磁束が集中する個所が起歪体41の中心部分のみとなるので、渦電流を小さくすることができ、起歪体41上面の温度上昇を抑えることができる。起歪体41上面の温度上昇を抑えれば、起歪体41下面との温度差が抑えられるので、起歪体41上面と下面の膨張度合いの差がなくなり歪みを抑えることができる。従って、この歪みを歪みゲージが検知して検知重量誤差が発生することを防止できる。
【0044】
また、貫通孔414の貫通方向を電流方向61と平行方向にすると交番磁界が貫通孔414に直交するので、貫通孔414の周囲を一周するループ経路で渦電流が流れることがない。つまり、貫通孔414周辺が発熱しにくくなり、貫通孔414周辺に配置された歪みゲージが加熱することを防止できる。
【0045】
図5は図4に対し、起歪体41の長手方向が誘導加熱コイル13に流れる電流方向61に対し平行方向になるように配置されている。貫通孔414の貫通方向は電流方向61に対し直交するように配置されている。
【0046】
図5に示した炊飯器の動作について説明する。
【0047】
炊飯を開始すると、インバータ回路が動作して誘導加熱コイル13に高周波電流が流れる。この高周波電流により誘導加熱コイル13から交番磁界が発生する。この交番磁界の向きを矢印62で示す。矢印62のうち点線で表されているものは起歪体41内部を通過していることを意味している。この交番磁界が起歪体41を鎖交すると、起歪体41はアルミなど電気を通す材料で構成されているので、起歪体41に誘導起電力が発生し、この起電力により渦電流が発生する。この渦電流が流れた場所が発熱することとなる。ここで図5のように、起歪体41の長手方向を電流方向61に対し平行方向に配置すると、磁束が集中する個所に起歪体41全体がさらされることになり、渦電流が大きくなるので、起歪体41上面の温度が図4の構造に比べ高くなる。従って、起歪体41の上面に配置された歪みゲージ413の抵抗値が温度で変動するとともに、起歪体41の上面と下面の温度差が大きくなり、膨張度合いに差が出るので起歪体41が歪み検知重量値が大きく変動する。また、貫通孔414の貫通方向を電流方向61と直交方向にすると交番磁界が貫通孔414を鎖交するので、貫通孔414の外周を一周するループ経路で渦電流が流れることになる。つまり、貫通孔414周辺が渦電流により発熱し、歪みゲージ413が加熱されるので歪みゲージ413の抵抗値が温度変動し、マイクロコンピュータに出力される信号が変動するので検知重量値が変動する。
【0048】
図4と図5で示したように、起歪体41の長手方向を誘導加熱コイル13の電流方向に対し略直交するようにすれば、起歪体41の発熱を抑え、温度による検知重量値の変動を抑えることができる。
【0049】
また、起歪体41が有する貫通孔414の貫通方向を誘導加熱コイル13の電流方向に対し略平行方向になるように配置すれば、貫通孔414を磁束が通過しないので、穴部414を一周する経路でループ電流が流れない。従って、ループ電流による発熱が発生しないので起歪体41の発熱を抑えることができる。
【0050】
図6は誘導加熱コイル13から発生する磁束密度と、誘導加熱コイル13の形状との関係を示したグラフである。図6に示したように、誘導加熱コイル13の中間部分の磁束密度が最大となるので、起歪体41の長手方向を誘導加熱コイル13の電流方向と平行方向に配置すると渦電流が大きくなり起歪体41の発熱が大きくなる。それに対し、起歪体41の長手方向を誘導加熱コイル13の電流方向と直交させるように配置すれば、磁束が集中する部分が一部になるので起歪体41の発熱を抑えることができる。
【0051】
図7は本発明の炊飯器の起歪体41と磁心71、72、73と誘導加熱コイル13の位置関係を炊飯器の下面から示した要部構造図である。
【0052】
磁心71、72、73はフェライトで構成され、放射状に誘導加熱コイル13に配置されている。特に図示していないがフェライト71〜73と誘導加熱コイル13は樹脂材料でモールドされてコイルベース31(図1)を構成している。フェライトは一般的に高周波磁界での損失が小さいという利点があり、鍋への加熱効率を高くすることができる。ただし、これは一例であり、フェライトの代わりに薄板状の珪素鋼板を積層して構成しても良い。珪素鋼板で構成した場合は、フェライトよりも割れにくいので、本実施例のように樹脂材料で誘導加熱コイル13と磁心71〜73をモールドする場合には、樹脂と磁心の熱膨張率の差により磁心に荷重がかかっても割れることがなく、信頼性が高くなるという利点がある。起歪体41は磁心71と磁心72のおよそ中間に配置されている。図7のように配置することにより、磁心71と磁心72から起歪体41に伝搬する温度に差が生じないようにし、起歪体41の側面の温度分布を均一にすることができる。起歪体41の側面の温度を均一にすれば、起歪体41全体が均一に膨張するので歪むことがなく、検知した重量値に誤差が生じにくい。
【0053】
(実施の形態2)
図8を用いて、本発明の実施の形態2の炊飯器を説明する。
【0054】
図8は本発明の実施の形態2の炊飯器の要部回路構成図を示している。
【0055】
図8において、81は鍋の等価回路を示している。鍋81は図1で説明したように磁束を通す金属を複数用いた積層体で構成されている。
【0056】
82は誘導加熱コイルで鍋81と磁気結合している。
【0057】
83は共振用コンデンサで誘導加熱コイル82に並列接続しており、加熱コイル82と並列共振回路を構成している。本実施例では高周波電流が流れても損失の少ないポリプロピレンコンデンサを使用している。
【0058】
84はスイッチング手段で、MOSFETやIGBTなどの半導体素子と、この半導体素子に逆接続した逆接続ダイオードで構成されている。MOSFETやIGBTは耐圧が高く、高周波のスイッチングが可能で、大電流を流すことができるという利点がある。
【0059】
本実施例において、インバータ回路は共振用コンデンサ83、スイッチング手段84で構成されている。
【0060】
85は炊飯器に電力を供給する交流電源である。交流電源85の電源周波数は、東日本地域では50Hz、西日本地域では60Hzとなっている。
【0061】
86は整流手段でダイオードブリッジ87、チョークコイル88、平滑用コンデンサ89で構成されている。ここで、平滑用コンデンサ89の容量は数μFと小さく、誘導加熱コイル82に高周波電流を流した場合、リプルが生じる。本実施例では、このリプル電圧は、交流電源85の電圧と同じとなる。
【0062】
90は直流電源で、交流電源85をスイッチング電源などを介して直流電源に変換したもので5Vの直流電圧を供給する。
【0063】
91は電源切替手段でPNPトランジスタ92とNPNトランジスタ93で構成されている。PNPトランジスタ92がオンオフすることで重量検知素子94と直流電源90の接続を入り切りしている。
【0064】
歪みゲージ94は抵抗95、96、97、98のブリッジ回路で構成され、4つの接続部のうち一方を電源切替手段91に接続し、もう一方をグランドに接続し、残りの二つの接続部を差動増幅器99に接続している。
【0065】
差動増幅器99は複数のオペアンプで構成されており、歪みゲージ94の二つの端子の電位差を所定の増幅率で増幅し、二重積分器100に出力する。二重積分器100は一般的にアナログスイッチと呼ばれる集積回路とオペアンプを使った積分回路などから構成され、電圧値を時間に変換している。一般的に二重積分という手法は直流電源90の電圧や、積分回路の部品ばらつきに関係なくアナログ電圧値を精度よく検出する方法として知られている。重量算出手段101はマイクロコンピュータ102で構成され、前記アナログスイッチをオンオフする信号を二重積分器100に出力し、その時、二重積分器100から出力される信号に基づいて重量を算出している。
【0066】
103は蓋開閉検知手段で、蓋開状態と蓋閉状態で移動する磁石(図示しない)と前記磁石の磁力の大小で開閉する磁気スイッチ104と抵抗105で構成され、磁気スイッチ104と抵抗105の接続点の電圧をマイクロコンピュータ102に出力している。本実施例の蓋開閉検知手段103においては、磁石は蓋開状態では磁気スイッチ104から離れるので磁気スイッチ104は開状態(オフ)になりロー信号をマイクロコンピュータ102に出力し、蓋閉状態では磁石が磁気スイッチ104に近づくので磁気スイッチ104は閉状態になりハイ信号をマイクロコンピュータ102に出力する。
【0067】
マイクロコンピュータ102は、蓋開閉検知手段103の信号を受けて蓋20(図1)が開状態か閉状態か判定し、開状態と判定すると電源切替手段91にオン信号(ハイ信号)を出力する。電源切替手段91はマイクロコンピュータ102からの信号を受けて直流電源90を重力検知素子94に供給する。その後、マイクロコンピュータ102は二重積分器100のアナログスイッチをオンオフする信号を出力し、その時の二重積分器100の出力から重量を算出する。
【0068】
106は駆動回路で、NPNトランジスタとPNPトランジスタからなるプッシュプル回路で構成されており、マイクロコンピュータ102がハイパルスを出力している時にスイッチング手段84を構成しているIGBTにハイ電圧を出力し、IGBTをオンする。
【0069】
以上のように、本実施例によれば、図8に示すように歪みゲージは抵抗成分なので、電源を供給すると発熱する。特に歪みゲージ94からの出力電圧を大きくする場合は、直流電源90の電圧も大きくする必要があるので、更に発熱しやすいという特徴がある。
【0070】
そこで、重量を検知するときに電源切替手段91で直流電源90から歪みゲージ94への経路をオンすることで、歪みゲージ94の発熱を抑えることができる。
【0071】
また、重量検知しないときに直流電源90から歪みゲージへの経路をオフするので、余分な電力消費がなく、消費電力量を抑えることもできる。
【0072】
なお、本実施例では、蓋開閉状態で重量検知の要否を判断する構成としたが、これは一般的に蓋開状態でお米(調理物)を入れたときや、炊き上がり後ご飯をよそる時に重量検知することが多いと考えただけであって、限定するものではない。例えば、計量スイッチなどを操作部に有する炊飯器では計量スイッチを押したときに電源切替手段91により直流電源90を歪みゲージに供給するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係る炊飯器は、家庭用又は業務用の炊飯器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態1の炊飯器の一部切欠した側面図
【図2】本発明の実施の形態1の炊飯器の要部分解斜視図
【図3】(a)本発明の実施の形態1の炊飯器で1合炊飯する時の前炊き工程での鍋底(実線)及び調理物中心部(破線)の温度を示す図(b)本発明の実施の形態1の炊飯器で5合炊飯する時の前炊き工程での鍋底(実線)及び調理物中心部(破線)の温度を示す図(c)炊き上げ工程において炊飯量を判定する従来例の炊飯器で1合炊飯する時の前炊き工程での鍋底(実線)及び調理物中心部(破線)の温度を示す図(d)炊き上げ工程において炊飯量を判定する従来例の炊飯器で5合炊飯する時の前炊き工程での鍋底(実線)及び調理物中心部(破線)の温度を示す図
【図4】本発明の実施の形態1の炊飯器の要部構成図
【図5】本発明の実施の形態1の炊飯器の効果を説明する為の要部構成図
【図6】本発明の実施の形態1の炊飯器の誘導加熱コイルと磁束密度の関係グラフ
【図7】本発明の実施の形態1の炊飯器の要部構成図
【図8】本発明の実施の形態2の炊飯器の要部回路構成図
【符号の説明】
【0075】
10 ボディ(本体)
12、81 鍋
13、82 誘導加熱コイル
14 回路基板
19 調理物
20 蓋
21 基台
30 収納部
31 コイルベース
32 上枠
40 重量検知手段
41 起歪体
42 センサー台(絶縁部材)
43 当て筒(検知体)
51 バネ
52 温度検知手段
53 リード線
54 コネクタ
55 当て
71、72、73 磁心
91、413 歪みゲージ
94 電源切替手段
103 蓋開閉検知手段
121 フランジ
211 薄板
212、411、412、422 ネジ穴
414 貫通孔
421 凹部
423 当て筒固定孔
424 溝
431 爪部
521 つば




 

 


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