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保温槽及び電気湯沸かし器 - 松下電器産業株式会社
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発明の名称 保温槽及び電気湯沸かし器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2006−43023(P2006−43023A)
公開日 平成18年2月16日(2006.2.16)
出願番号 特願2004−226437(P2004−226437)
出願日 平成16年8月3日(2004.8.3)
代理人 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄
発明者 芦田 弥恵
要約 課題
内容器の断熱材の改善により、長期的に高い省エネルギー性を有した保温槽及び電気湯沸かし器を得る。

解決手段
断熱材の外郭を介した熱漏洩の小さい真空断熱材1を保温槽及び電気湯沸かし器に適用し、さらに蓋7周囲の被覆と内容器2より下方向の被覆を行うことにより、断熱材の外郭を介した熱漏洩を抑制しながら、より大きな断熱効果を得ることが出来る。また、真空断熱材1の外袋の蒸着層に隣接してポリアクリル酸系樹脂層を設けることにより、蒸着層を一層とした場合にも熱伝導率の経時劣化を低減するとともに、真空断熱材1の外郭を通じた熱漏洩のさらなる低減が可能となる。
特許請求の範囲
【請求項1】
少なくとも外容器と、外容器の内部に収納された有底形状の内容器と、外容器の上部を被覆する蓋体と、内容器側面を取り囲む真空断熱材とを有した保温槽において、前記真空断熱材は、少なくとも芯材と外袋から構成され内部を減圧せしめたものであり、蓋体側面の少なくとも一部を被覆するよう配設し、前記外袋は蒸着層を有するフィルムからなる保温槽。
【請求項2】
真空断熱材の下端部を内容器より下方向に長く配設した請求項1に記載の保温槽。
【請求項3】
芯材が間に存在しない箇所の外袋の少なくとも一部を外容器側に折り曲げた請求項1または2に記載の保温槽。
【請求項4】
真空断熱材の外袋はラミネート構造をなすもので、少なくとも蒸着層と隣接するポリアクリル酸系樹脂層を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の保温槽。
【請求項5】
ポリアクリル酸系樹脂層が、蒸着層の内側にある請求項4に記載の保温槽。
【請求項6】
外袋の蒸着層を一層とした請求項4または5に記載の保温槽。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の保温槽を備えた電気湯沸かし器。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空断熱材を搭載した保温槽と電気湯沸かし器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の保温槽及び電気湯沸かし器は、内容器の外側に真空断熱材を設置しており、その結果内容器から漏洩する熱量を低減し、高い省エネ効果を有している。保温槽には、貯湯容器や給湯器、炊飯器、保温調理器などがあるが、中でも電気湯沸し器は、水を入れて電源をつなげると湯が沸き一定温度で保温できる為、お茶やコーヒーなどの用途の他に、乳幼児のミルク用のお湯など様々な用途に使用されている。その際、長時間お湯を保温しておく必要があるので、様々な断熱材が使用されてきた。
【0003】
例えば、ウレタンなどの有機系の断熱材や、グラスウールやセラミックウールなどの無機系断熱材や、金属の反射板を使用したものや、真空断熱材を設けたものがある(特許文献1参照)。
【0004】
図6は、特許文献1に記載された従来の電気湯沸し器を示すものである。図6に示すように、外郭部を構成する機体101と、水などの被収容物102を収容する容器103と、容器103の周囲に装着させた、芯材112と外袋113からなり内部を減圧して得られる真空断熱材111と、容器103の外底面部に設置した加熱手段106とから構成されている。
【0005】
以上の様に構成された電気湯沸し器では、被収容物102は加熱手段106により一定温度に加熱・保温され、保温中は真空断熱材111により容器103側面からの放熱を抑え保温時のエネルギー量を低減していた。
【0006】
さらに、このように適用された真空断熱材のうち、外袋のガスバリア層に高ガスバリア性を有するエチレンビニルアルコール共重合体フィルムを基材とする蒸着層を設けたものがある。
【0007】
これは、従来のガスバリア層に金属箔を使用した真空断熱材よりもフィルムを介した熱漏洩を低減でき、またエチレンビニルアルコール共重合体フィルムの高ガスバリア性により従来の蒸着フィルムよりも真空断熱材へのガス侵入による熱伝導率の経時劣化を低減し、長期的な省エネ性を確保したものがある(特許文献2参照)。また、内容器周囲に金属からなる真空二重容器を設けたものがある(特許文献3参照)。
【0008】
図7は、特許文献3に記載された従来の電気湯沸し器を示すものである。図7に示すように、外側部を構成する外装体201と、内部に湯沸し機能が付加された内容器207を収納し、上記の内容器207を取り囲む保温手段をもうけてなる電気湯沸し器であり、保温手段を真空断熱材二重ジャケットによって構成し、該真空二重ジャケット218を外装体201と内容器207の間に配置し、かつ真空二重ジャケット218と内容器207との間に所定の隙間を設けた構成とした。
【0009】
以上の様に構成された電気湯沸し器では、被収容物はヒーター213により一定温度に加熱・保温され、保温中は真空二重ジャケット218により内容器207側面からの放熱を抑え保温時のエネルギー量を低減していた。
【0010】
さらに、真空二重ジャケット218を高さ方向において内容器207の底部より低い位置まで覆うよう配置してある構成をとることや、または高さ方向において、内容器207と蓋パッキン211とが係合するシール部より高い位置まで覆うように配置してある構成をとることができ、さらなる熱漏洩防止効果を有していた。
【特許文献1】特開平11−290210号公報
【特許文献2】特開2001−231681号公報
【特許文献3】特開2000−316720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、ウレタンなどの有機系断熱材を使用した場合、電気湯沸し器が100℃まで昇温するため断熱材が劣化し断熱性能が非常に悪くなるという問題があった。
【0012】
また、無機系の断熱材は耐熱・耐久性には優れるものの、断熱性能が低いことや、表面から微細な繊維が発生して周囲へ散乱しやすく、取り扱い性が悪いなどの問題があった。
【0013】
このような問題を解決する手段として、シリカ粉末や無機繊維を芯材とし、ガスバリア性を有したラミネート構造の外袋で包装し、内部を減圧封止して得られる真空断熱材を設けたものがある。
【0014】
上記特許文献1の構成では、断熱性能の経時的な劣化が少なく、また熱伝導率が低い真空断熱材断熱材を用いたことにより、長期的に高い断熱効果が得られることから、電気湯沸かし器の消費電力を低減していた。しかしながら、真空断熱材の外袋として金属箔を使用している為、内容器から金属箔を介して外容器へと熱漏洩が生じていた。また、外袋に熱伝導性の小さい蒸着フィルムを使用した真空断熱材では、金属箔使用時よりもガスバリア性が劣る為、熱伝導率の経時劣化が増大していた。また、真空断熱材の存在しない箇所である蓋、開口部側面、底部周辺などでの熱漏洩が非常に大きく、省エネ性能の向上の妨げになるという課題を有していた。
【0015】
そこで、外袋に金属箔層を設けず、高ガスバリア性を有するエチレンビニルアルコール共重合体フィルムを基材とした蒸着フィルムを適用したものがある。これにより、外袋による熱漏洩を低減するとともに、真空断熱材のガスバリア性の低下を、従来の蒸着フィルムの適用時よりも低減することができた。
【0016】
しかしながら、上記従来の構成では、より長期的に熱伝導率を保持する為には蒸着層を二層設ける必要があった。また、特許文献1と同様に、真空断熱材の存在しない箇所である蓋、開口部側面、底部周辺などでの熱漏洩が非常に大きく、省エネ性能の向上の妨げになるという課題を有していた。
【0017】
そこで、上記特許文献3の構成では、金属容器からなる真空二重ジャケットを内容器の上方向・下方向に長く配設したことにより、蓋と内容器の継ぎ目であるフランジ部分の熱漏洩を従来よりも低減するとともに、内容器の底部周辺に設置された加熱手段の周囲を断熱材で被覆することにより加熱手段の熱の外装体方面への漏洩を防いでいた。結果、断熱性が向上し、内容器を効果的に加熱することができるので、省エネルギー性の向上効果が得られる。
【0018】
しかしながら、真空二重ジャケット内部の熱伝導性は非常に良好に保たれているものの、金属からなる真空二重ジャケットの外郭部分は非常に熱伝導性が高い為、外郭を通じての熱漏洩が大きいという課題を有していた。また、金属からなる真空二重ジャケットは重量が大きく、電気湯沸かし器へ装着した場合には、他の断熱材を使用した場合よりも総重量が大きく、持ち運び時の使い勝手が悪いという課題があった。
【0019】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、断熱性が良く、また経時的な断熱性能の劣化が従来よりも小さく、使い勝手の良好な保温槽及び電気湯沸かし器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記従来の課題を解決するために、本発明は、少なくとも芯材と外袋から構成され内部を減圧せしめた真空断熱材を、内容器側面を取り囲むと共に、蓋体側面の少なくとも一部を被覆するように配設し、前記外袋に蒸着層を有するフィルムを用いたのである。これにより、内容器側面のみならず、蓋と内容器との係合するフランジ部周囲または内容器底外部に設置された加熱手段を被覆できる。
【0021】
従来、断熱材に金属二重容器から構成される真空管を適用した保温槽及び電気湯沸かし器では、真空管の外郭の熱伝導が極めて高いことから断熱材の外郭を介した熱漏洩量が多く、断熱材の保温効果を阻害していた。真空断熱材の外郭は熱伝導の小さい外袋からなるため、断熱材外郭を介した熱漏洩は従来よりも大きく低減し、その結果、保温性の向上効果が得られる。
【0022】
また、一般に対流熱は上方へ移動する性質を持つことから、内容器内部の空気層の対流熱は蓋・フランジ方向へ進行し、蓋内側とフランジ部へ達した後熱伝導により外部へ漏洩していく。
【0023】
従来、特に電気湯沸かし器では、蓋内に厚み数センチ程度の発泡系断熱材などが挿入されており、熱伝導を抑制していた。一方、フランジ部は断熱性の低い樹脂材料からなるため、外容器方向への熱伝導が蓋部よりも大きく、またその熱伝導が周囲の空気へ熱を伝え、外容器と内容器の間で対流伝熱を引き起こしていた。結果、保温槽または電気湯沸かし器の外部へ熱を漏洩させるため、保温性の低下が生じていた。そこで、フランジ部の周囲を高い断熱性能を有した真空断熱材で被覆することにより、フランジ部樹脂とその周辺の空気より伝達された熱の外容器方向への移動を抑制することができる。
【0024】
また、電源を入れると加熱手段で発熱が起こり、内容器方向へ伝達され、その内部を温める働きをするが、同時に加熱手段周囲の空気へも熱が伝達されていた。従来、加熱手段周囲には断熱材が存在せず、そのため対流熱が外容器方向へ移動し、外容器内面から伝導により外部へ漏洩していた。そこで、高い断熱性能を有した真空断熱材で加熱手段周囲を被覆することにより、加熱手段周囲の対流熱の熱伝導が真空断熱材により抑制される。また、空気層の対流範囲が狭まり、対流熱の大部分が内容器の底部方向へ移動するため、内容器の保温性が更に向上する。
【0025】
以上より、保温槽及び電気湯沸かし器の保温性は大きく向上する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の保温槽及び電気湯沸かし器は、真空断熱材の被覆率を上げることにより、被保温物からの熱漏洩の低減効果と、断熱材の外郭を介した熱漏洩の低減効果が大きく、そのため従来よりも少ないエネルギーで被保温物の保温または加温を行うことができる。
【0027】
また、真空断熱材の熱伝導率の経時劣化を従来の蒸着フィルム適用時よりも低減することができるので、長期的に保温槽及び電気湯沸かし器の省エネ性を維持することが可能となるほか、従来よりも軽量となるため、保温槽及び電気湯沸かし器の使い勝手性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
請求項1に記載の保温層の発明は、少なくとも外容器と、外容器の内部に収納された有底形状の内容器と、外容器の上部を被覆する蓋体と、内容器側面を取り囲む真空断熱材とを有した保温槽において、前記真空断熱材は、少なくとも芯材と外袋から構成され内部を減圧せしめたものであり、蓋体側面の少なくとも一部を被覆するよう配設し、前記外袋は蒸着層を有するフィルムからなるものである。
【0029】
これにより、従来の金属容器からなる真空管と比較して断熱材外郭の熱伝導が低減するため、断熱材外郭を介しての漏洩熱量が低減する。
【0030】
また、真空断熱材が蓋の周囲の一部を被覆することにより、フランジ周囲を断熱できるので、フランジから漏洩する熱を防ぐことが可能となる。よって保温性が向上し、省エネルギー効果が得られる。
【0031】
また、真空断熱材は、従来の金属からなる真空二重ジャケットより軽量である為、輸送・持ち運びが容易になるという効果が得られる。
【0032】
なお、真空断熱材は、芯材に、乾式シリカ粉末、カーボン粉末、無機繊維単体またはそれらの混合品を、固形化あるいは不織布などに充填したものや、無機繊維をシート状に積層したものなどを使用し、外袋には、少なくともガスバリア性と熱融着性を有したフィルムを用いるが、芯材、外袋ともに使用温度における耐熱性を有していれば無機物質、有機物質ともに使用でき特に指定するものではない。
【0033】
以上のように真空断熱材を適用することにより、保温性が向上するので、従来よりも少ないエネルギーで被保温物の保温を行うことができる。
【0034】
請求項2に記載の保温層の発明は、請求項1に記載の発明における真空断熱材の下端部を内容器より下方向に長く配設したものであり、これにより内容器底部の加熱手段から発せられた熱の外容器方向への漏洩を遮断することが可能となる為、保温性が向上する。また、熱せられた空気分子は上昇方向へ対流することから、真空断熱材によって漏洩を遮断された熱は内容器方向へ伝熱する為、保温槽及び電気湯沸かし器の加熱効率が向上する。結果、より高い省エネルギー効果を得ることができる。
【0035】
請求項3に記載の保温層の発明は、請求項1または2に記載の発明において、芯材が間に存在しない箇所の外袋の少なくとも一部を外容器側に折り曲げたものであり、これにより、外袋の熱融着部は折り曲げを行わない場合またはヒレを内側に折り曲げた場合と比較して低温環境におかれる。
【0036】
シール部から経時的に侵入するガス量は温度上昇と比例して増加することから、折り曲げを行わない場合またはヒレを内側に折り曲げた場合と比較して侵入ガス量は大幅に低減する。よって、真空断熱材の内部圧力の上昇を防ぐため、熱伝導率の経時劣化を低減することができる。
【0037】
また、ヒレを折り曲げることにより、断熱材の有効面積が増大するため、保温対象物に対して効果的に断熱材を配設することができる。
【0038】
以上のように真空断熱材を適用することにより、保温槽及び電気湯沸かし器の省エネルギー性を長期的に保持することが可能となり、また省エネルギー性の向上効果が得られる。
【0039】
請求項4に記載の保温層の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、真空断熱材の外袋はラミネート構造をなすもので、少なくとも蒸着層と隣接するポリアクリル酸系樹脂層を有するものである。
【0040】
ポリアクリル酸系樹脂層は、それ自身が高いガスバリア性を有するが、蒸着層の上層にこれを設けることにより、ポリアクリル酸分子が蒸着層の分子間の欠陥を補う働きをする為、各々を単層で用いた場合よりも遥かにガスバリア性が向上する。さらに、ポリアクリル酸系樹脂層が非常に屈曲性に優れた性質を有することから、真空断熱材を円筒加工した場合にもクラックが発生せず、蒸着層にクラックが発生した場合のガスバリア性の低下を従来よりも低減することができる。また、ポリアクリル酸系樹脂層は非常に耐熱性に優れることから、熱融着時の劣化も殆どない。
【0041】
外袋のラミネート構造は特に指定するものではなく、少なくとも蒸着層に隣接するポリアクリル酸樹脂層と、蒸着層の基材となるフィルムと、熱融着層とを有し、使用温度範囲における耐熱性を有していれば如何なる構成でもよい。また、耐ピンホール性の強化や磨耗防止の為に、表面に保護層を設けることも可能である。
【0042】
請求項5に記載の保温層の発明は、請求項4に記載の発明におけるポリアクリル酸系樹脂層が、蒸着層よりも内側になるよう構成したものである。これにより、真空断熱材のシール層断面において熱融着層を挟んだポリアクリル酸系樹脂層同士の距離が縮小するため、ガスや水分の侵入を低減することができ、真空断熱材の内部圧力の上昇を防ぐことができる。
【0043】
また、基材フィルムに含まれる水分の真空断熱材内部への侵入を蒸着層とポリアクリル酸系樹脂層が阻害する為、基材フィルムに吸湿性の高い樹脂を使用した場合においてもアウトガスの影響を受けにくくなるため、真空断熱材の初期内部圧力の上昇を防ぐことができる。
【0044】
よって、真空断熱材の熱伝導率の経時的な劣化の低減とフィルムの吸湿に起因する真空断熱材の初期性能の低下を防止することができるため、保温槽及び電気湯沸かし器は長期的に省エネルギー性が維持され、また初期省エネルギー性能の悪化を防止できる。
【0045】
請求項6に記載の保温層の発明は、請求項4または5に記載の発明において、外袋の蒸着層を一層としたものである。従来、外袋のガスバリア性強化の為、ガスバリア層には蒸着層を二層積層して用いることが多かったが、蒸着層の上に高いガスバリア性を有するポリアクリル酸系樹脂層を設けることにより、ポリアクリル酸分子が蒸着層の分子間の欠陥を補う働きをする為、各々を単層で用いた場合よりも遥かにガスバリア性が向上する。
【0046】
よって、蒸着層を一層とした場合においても十分に経時信頼性を保持することができる。これにより、外袋のラミネートフィルムに使用される蒸着層の厚みを従来よりも低減することができる為、外袋の熱伝導が低減し、外袋表面を介した漏洩が低減し、保温槽及び電気湯沸かし器がより省エネルギーとなるほか、コストダウン化が可能となる。
【0047】
請求項7に記載の電気湯沸かし器の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の保温槽を備えた電気湯沸かし器であり、これにより内容器内部の被保温物を効果的に断熱しながら、真空断熱材の経時的な劣化を低減することが可能となるため、電気湯沸かし器は高い省エネ性能を長期的に発揮することができる。
【0048】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0049】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における保温槽を備えた電気湯沸し器の断面図を示すものである。図2は、本発明による実施の形態1の保温槽における真空断熱材1の縦断面図である。
【0050】
図1、図2に示すように、真空断熱材1は、例えばグラス繊維シートを積層したものから構成される芯材10を、ガスバリア性を有する層と熱融着性を有する層とを含んだラミネートフィルムからなる外袋9中に挿入し、内部を減圧して封止したものであり、その熱伝導率は24℃において0.002〜0.008W/mK程度と、優れた断熱性能を有している。
【0051】
真空断熱材1の芯材10には、例えば乾式シリカ粉末や、カーボン粉末、無機繊維などの単品または混合品を固形化あるいは不織布などに充填したものや、多孔体や発泡体なども使用可能であるが、使用温度における耐熱性を有していれば無機物質、有機物質ともに使用でき、特に指定するものではない。
【0052】
また、必要に応じて外袋9の表面に保護層11を設けることも可能であるが、特に指定するものではない。
【0053】
真空断熱材1は、平板形状のものに曲面またはコーナーを付与することにより筒形状とし、内容器2の外側を取り囲みながら外容器3内に収納されている。内容器2の底外部には加熱手段4と給水経路5が、また内容器2の上部には蓋7を備えている。
【0054】
このとき、内容器2の形状としては、手入れの簡便さ、省スペース性などの観点から円柱形状が好ましいが、特に限定するものではない。
【0055】
図3は本発明による実施の形態1の保温槽における筒加工を行った真空断熱材1の斜視図である。
【0056】
図3において、真空断熱材1は、平板形状のものに曲面またはコーナーを付与することにより筒形状とし、内容器2の外側を取り囲みながら外容器3内に収納されている。また、真空断熱材1の外袋9において芯材10を含まない箇所はヒレ5と呼ばれるが、ヒレ5は筒外側に折り曲げられている。
【0057】
図4は本発明による実施の形態1の保温槽における真空断熱材1の外袋9のラミネートフィルムの断面図である。
【0058】
図4において、真空断熱材1の外袋10を構成するラミネートフィルムの最上層には保護層12、その下にはガスバリア層12が設けられており以下、熱溶着層16と、それら各層を接着する接着剤17から構成されている。ガスバリア層12は、外側から順に、基材フィルム13と、蒸着層14と、ポリアクリル酸系樹脂層15とから構成されている。
【0059】
本実施の形態では、保護層11として最外層に厚み25μmのナイロンフィルムと、その下層のガスバリア層12として、蒸着時の基材フィルム13である厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムと、蒸着層14であるアルミニウム蒸着層14と、1μmのポリアクリル酸系樹脂層15とを有し、さらにその下層に熱融着層16として50μmの低密度ポリエチレンフィルムとを有しており、保護層11とガスバリア層12と熱融着層16とを接着剤15によりラミネートした。
【0060】
なお、保護層7として、例えばナイロンフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムなどを適用することができるが、熱融着層16よりも高い融点有していればその他公知の材料を使用でき、指定するものではない。
【0061】
また、ガスバリア層12は、基材フィルム13にはポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどが、蒸着層14の材料にはアルミニウム、鉄、銅、銀、アルミナ、シリカなどが適用できるが、ガスバリア性と熱融着層16よりも高い融点を有していればその他公知の材料を使用でき、特に指定するものではない。
【0062】
熱融着層16は、例えば低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレンなどが適用できるが、熱融着性と使用温度帯における耐熱性を有していればその他公知の材料を使用でき、特に指定するものではない。
【0063】
なお、外袋9のガスバリア層12の少なくとも片面はポリアクリル酸系樹脂層15と蒸着層14と基材フィルム13であればよいものとし、もう片面は金属箔やポリアクリル酸系樹脂層15を有さない蒸着層14から構成されても構わず、その材料についても特に指定するものではない。
【0064】
また、真空断熱材1の外袋11の袋形状は、内部の真空度を保持可能な形状であれば、四方シールであっても、ピロー形状であっても構わず、特に規定するものではない。
【0065】
以上のように構成された電気湯沸し器において、以下その動作、作用を説明する。内容器2の中の液体は加熱手段4により加温・保温され、保温中は、内容器側面と蓋7周囲の一部を被覆している真空断熱材1により内容器2からの放熱を抑制している。
【0066】
真空断熱材1は、厚み約100μmのラミネートフィルムからなり、三方を熱融着により封止された外袋9に、無機繊維シートを積層した芯材10を挿入し、内部を減圧した後に熱融着により封止したものである。真空断熱材1は高い気相比率と真空度を有することから、高い断熱性能を備えている。
【0067】
本実施の形態では、真空断熱材1が内容器2周囲だけでなく、蓋7の周囲を一部被覆している為、蓋7と内容器2の継ぎ目であるフランジ6から漏洩する熱を低減することができる。このとき、真空断熱材1自体が非常に断熱性能が高いことだけでなく、従来の金属二重容器からなる真空管に比べて金属厚みが小さいことから熱伝導が低減するため、断熱材の外郭を介しての熱漏洩を低減することができる。よって保温性が向上し、少ないエネルギーで長時間液体を保温することが可能となる。このとき真空断熱材1は少なくとも蓋7周囲を被覆しておればよいが、その被覆率が高いほど断熱効果が向上するため、被覆率を上げることが好ましいが、特に指定するものではない。
【0068】
また、真空断熱材1のヒレ8を、筒形状にした真空断熱材1の外側方向へ折り曲げたことより熱融着された外袋9の端部が低温に保たれる。通常、フィルムの酸素透過度は温度の増大と比例して増大するため、この熱融着部18を低温に維持することにより、真空断熱材1へ侵入するガス量を低減することができる。よって、真空断熱材1の内部圧力の上昇を防ぐことができ、経時的な熱伝導率の悪化を防ぐので、電気湯沸し器の省エネ性能を長期的に維持することができる。
【0069】
真空断熱材1の外袋9はガスバリア層12にポリアクリル酸系樹脂層15を有するものであり、ポリアクリル酸系樹脂層15はそれ自身が高いガスバリア性を有するが、蒸着層14の上層にこれを設けることにより、ポリアクリル酸分子が蒸着層の分子間の欠陥を補う働きをする為、各々を単層で用いた場合よりも遥かにガスバリア性が向上する。さらに、ポリアクリル酸系樹脂層15が非常に屈曲性に優れた性質を有することから、真空断熱材を筒加工した場合にもクラックが発生せず、蒸着層14にクラックが発生した場合のガスバリア性の低下を従来よりも低減することができる。また、ポリアクリル酸系樹脂層15は非常に耐熱性に優れることから、熱融着時の劣化も殆どない。
【0070】
また、このポリアクリル酸系樹脂層15が蒸着層よりも内側になるよう構成したことにより、真空断熱材1の熱融着部18断面において熱融着層16を挟んだポリアクリル酸系樹脂層15同士の距離が縮小するため、ガスや水分の侵入を低減することができる。
【0071】
また、基材フィルム13に含まれる水分の真空断熱材内部への侵入を蒸着層14とポリアクリル酸系樹脂層15が阻害する為、基材フィルム13に吸湿性の高い樹脂を使用した場合においてもアウトガスの影響を受けにくくなる。よって、真空断熱材1の経時信頼性の向上とフィルムの吸湿に起因する真空断熱材1の初期性能の低下を防止することができる。
【0072】
さらに、蒸着層14の上に高いガスバリア性を有するポリアクリル酸系樹脂層15を設けることにより、ポリアクリル酸分子が蒸着層14の分子間の欠陥を補う働きをする為、各々を単層で用いた場合よりも遥かにガスバリア性が向上する。よって、蒸着層14を一層とした場合においても十分に経時信頼性を保持することができる。
【0073】
これにより、外袋9のラミネートフィルムに使用される蒸着層14の厚みを従来よりも低減することができる為、外袋9の熱伝導が低減し、外袋表面を介した漏洩が低減し、電気湯沸かし器がより省エネルギーとなるほか、コストダウン化が可能となる。
【0074】
電気湯沸かし器に各種断熱材を適用し、一定条件において保温時の消費電力を計測した。結果を(表1)に示す。
【0075】
【表1】


(実施例1)
実施例1における電気湯沸かし器について、保温時の消費電力を計測した。計測は25℃室内にて行い、保温安定時の積算電力より、1時間あたりの電力量を求めた。真空断熱材1の外袋3は両面ともに、ポリエチレンテレフタレートの基材フィルム13と、アルミ蒸着層14一層と、その下に設置したポリアクリル酸系樹脂層15とからなるガスバリア層12を使用した。得られた保温時消費電力値を1とした。
【0076】
(実施例2)
実施例2における電気湯沸かし器について、保温時の消費電力を計測した。計測は実施例1と同様におこない、真空断熱材1の外袋3は両面ともアルミ蒸着層14とポリエチレンテレフタレートの基材フィルム13からなるガスバリア層12を二層積層したものを使用した。結果、保温時消費電力は実施例1と比較して1.1倍であった。
【0077】
(比較例1)
断熱材に金属二重容器からなり、内部を減圧して封止した真空管を使用した電気湯沸かし器の保温時の消費電力を計測した。計測は実施例1と同様に行った。結果、保温時消費電力は実施例1と比較して1.5倍であった。
【0078】
以上より、金属二重容器からなる真空管から真空断熱材1へ変更したことにより、断熱材の外郭の熱伝導が大きく低減するため、断熱材の外郭を介しての熱漏洩を防ぐことができ、消費電力の低減効果が得られたと考える。さらに、真空断熱材1の金属蒸着層14を一層としたことにより真空断熱材1の外袋9の熱伝導がさらに低減したため、外袋9を介しての熱漏洩をさらに小さくでき、消費電力が低減したと考える。
【0079】
なお、本実施の形態では保温槽を電気湯沸し器としたが特に限定するものではなく、炊飯器や保温調理器、給湯器、また電気・ガス機器に限らず貯湯容器など保温を目的とする機器類であれば適用することが可能であり、長期的な保温効果の向上と消費エネルギー量の低減を図ることができる。
【0080】
(実施の形態2)
図5は本発明による実施の形態2の保温槽を備えた電気湯沸し器の縦断面図である。図5において、内容器2周囲を被覆している真空断熱材1は、縦方向において内容器2よりも下方に長く配設されており、内容器2の底部に設置されている加熱手段4の周囲を被覆している。
【0081】
加熱手段4は内容器2を温めるとともに、周辺の空気へ熱を伝え、さらにその温められた空気が対流による熱伝導を周囲へ引き起こす。温められた空気は上方向へ移動する性質を有することから、真空断熱材1と外容器3の間へ漏洩することがあり、その結果、加熱手段4の熱効率が悪化し、電気湯沸し器の消費エネルギー量が増大していた。
【0082】
本実施の形態では、真空断熱材1を縦方向において内容器2よりも下方に長く配設し、内容器2の底部に設置されている加熱手段4の周囲を被覆することで、加熱手段4から外容器3方向へ漏洩していた熱を遮断することができ、電気湯沸かし器の保温性が向上する。また、熱せられた空気分子は上昇方向へ対流することから、真空断熱材1によって漏洩を遮断された熱は内容器2方向へ伝熱する為、電気湯沸かし器の加熱効率が向上する。よって、電気湯沸し器の消費エネルギー量を低減することが可能となる。
【0083】
なお、真空断熱材1は少なくとも内容器2よりも下方向の一部を被覆しておればよいが、その被覆率が高いほど断熱効果が向上するため被覆率を上げることが好ましいが、特に指定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上の様に、本発明は、真空断熱材の効果的な適用により保温性を高め、消費エネルギーを低減するものである。よって、保温を目的とする機器、例えば炊飯器や給湯器、貯湯槽、保温調理器などの省エネルギー対策に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施の形態1における電気湯沸し器の縦断面図
【図2】本発明の実施の形態1における真空断熱材の断面図
【図3】本発明の実施の形態1における電気湯沸かし器に適用した時の真空断熱材の斜視図
【図4】本発明の実施の形態1における真空断熱材の外袋のラミネートフィルムの断面図
【図5】本発明の実施の形態2における電気湯沸し器の縦断面図
【図6】従来の電気湯沸かし器の縦断面図
【図7】従来の別の電気湯沸かし器の縦断面図
【符号の説明】
【0086】
1 真空断熱材
2 内容器
3 外容器
7 蓋
9 外袋
10 芯材
14 蒸着層
15 ポリアクリル酸系樹脂層




 

 


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