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発明の名称 構造物の補修装置および加工装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2005−338097(P2005−338097A)
公開日 平成17年12月8日(2005.12.8)
出願番号 特願2005−196354(P2005−196354)
出願日 平成17年7月5日(2005.7.5)
代理人
発明者 伊藤 新 / 清水 みつ子 / 青木 延忠 / 向井 成彦 / 小畑 稔 / 佐藤 勝彦
要約 課題
原子炉圧力容器内の炉水中の構造物表面の応力状態を改善することで、構造材
の応力腐食損傷を抑制し、機器の寿命を長寿命化する。

解決手段
原子炉圧力容器7の上部からワイヤ8で吊り下げ上部格子板開口部11を通
特許請求の範囲
【請求項1】
原子炉圧力容器内の炉水中の構造物に対向して設けられ前記構造物の表面を所定範囲ずつ
走査しながら前記構造物に可視光のパルスレーザー光を照射する手段を有し、前記構造物
の表面を圧縮応力状態に改質するレーザー照射装置と、前記レーザー照射装置を取り付け
前記原子炉圧力容器内で上下動自在でかつ回転自在に移動するアームとを具備したことを
特徴とする構造物の補修装置。
【請求項2】
前記レーザー照射装置は、光ファイバーから送られてくる前記パルスレーザー光を反射さ
せる反射鏡を長手方向および幅方向に掃引する長手方向掃引ユニットおよび幅方向掃引ユ
ニットと、これらのユニットを駆動する駆動機構とを備えてなることを特徴とする請求項
1記載の構造物の補修装置。
【請求項3】
前記パルスレーザー光を前記構造物の表面を所定範囲ずつ走査しながら照射する手段は、
前記パルスレーザー光を複数の反射鏡で反射させて前記構造物の表面に導く直線運動の駆
動源に水圧シリンダを設けかつ旋回駆動源に組歯車を設けてなることを特徴とする請求項
1記載の構造物の補修装置。
【請求項4】
前記構造物の表面を所定範囲ずつ走査しながら前記パルスレーザー光を照射する手段とし
て、ガルバノミラー機構,ポリゴンミラー機構,レーザー出射孔を旋回させる機構,水圧
アクチュエータで直進運動させる機構の少なくとも一つを組み合わせてなることを特徴と
する請求項1記載の内構造物の補修装置。
【請求項5】
前記レーザー照射装置から出力されるパルスレーザー光のパルス幅を10psec以上1μsec以
下に設定し、さらに前記レーザー照射装置は、前記構造物の表面に到達するパルスレーザ
ー光が、パルスあたりのエネルギーをE、パルス時間幅をt、前記構造物の表面でのレー
ザースポット面積をSとしたとき、106<E/(t×S)<1012の条件を満足するように
設定されてなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか記載の構造物の補修装置。
【請求項6】
水中の構造物に対し水中で可視光のパルスレーザー光を照射するレーザー照射装置と、前
記レーザー照射装置を移動させて前記パルスレーザー光を走査する走査機構とを有し、照
射によって前記構造物の表面を圧縮応力状態に改質する加工装置であって、前記パルスレ
ーザー光のパルス幅が10psec以上1μsec以下に設定されてなることを特徴とする加工装置

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉圧力容器内に設置されている構造物の補修装置、および水中で構造物
に対してレーザー加工を行う加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
軽水冷却型原子炉の炉内構造物はオーステナイト系ステンレス鋼あるいはニッケル基合
金などの高温高圧水環境下において十分な耐食性と高温強度を有する材料で構成されてい
る。
【0003】
しかしながら、交換不可能な部材に対してはプラントの長期に亘る運転により長期間高
温高圧環境中に曝され、しかもシュラウドなどの炉心材料は中性子照射を受けるため、そ
れらが原因となって起こる材料劣化の問題が懸念されている。特に炉内構造物の溶接部近
傍は溶接入熱による材料の鋭敏化および引張り残留応力が形成されているため潜在的な応
力腐食割れ発生の危険性を有している。
【0004】
最近、プラントの運転期間の長期化に対応して予防保全技術対策として種々の材料表面
改質技術の開発が行われている。その一環として表面残留応力を積極的に引張りから圧縮
に変えることによって応力腐食割れを未然に防止するための対策工法の開発が行われてい
る。
【0005】
たとえば、ショットピーニングあるいはウォータジェットピーニングなどの方法による
表面残留応力改善技術の開発が行われている。ショットピーニングは 0.3〜 1.2mm程度の
鋼球を高圧空気あるいは遠心力を利用して加速し、鋼球の運動エネルギーにより施工部表
面を塑性変形させることにより表面に圧縮残留応力を形成する技術である。
【0006】
また、ウォータジェットピーニングは、1000気圧程度の超高圧水をノズル先端より噴射
し水撃作用およびキャビテーションが破壊する際の衝撃波により表面に圧縮残留応力を形
成する技術である。いずれも水中での施工により応力腐食割れに対する有効性が実証され
一部実用化されている。
【0007】
一方、従来のレーザーを用いた金属材料の表面処理法としては、加熱による焼き入れ、
焼きなまし、表面溶融固化によるグレージング(非晶質化),アロイイング(合金層形成
),クラッディング(高融点材料のコーティング),瞬間的な蒸発による衝撃硬化がある
。これらはそれぞれ材料の表面硬度を制御する処理であったり、耐摩耗性,耐衝撃性,耐
腐食性等を向上させることが目的である。
【0008】
軽水冷却原子炉の原子炉上部室に設置されるシュラウドと原子炉容器の間にある機器お
よび両者の表面の健全性を点検するためにマストまたは棒の先端に水中テレビカメラを取
付けた装置が、目視点検用として用いられるが、構造物の表面応力状態を変える作業は行
われていない。
【0009】
また、さらに自由度の高い目視点検用の水中遊泳式の点検ロボットが用いられている。
しかし、これも目視点検用であり、構造物の表面応力状態を変える作業は行われていない

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ショットピーニングを用いてシュラウドと原子炉圧力容器の間のアニュラス部などの狭
隘部の構造物の表面残留応力を改善する際には、ショットの完全回収が困難である。また
、大気中で施工する場合には粉塵の発生等の問題が生じ、困難な作業となる課題がある。
【0011】
ウォータジェットピーニングを用いて、構造物の表面応力状態を変える作業を行う場合
、ジェット反力が発生するため、狭隘な場所で遠隔操作により精密な表面応力状態を変え
る作業を行う自動化機器を開発することは、きわめて難しい課題がある。
【0012】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ショットの回収
が不要で、ショットによる粉塵発生のための作業環境の悪化がなく、反力補償の必要がな
い金属表面の応力状態改善を行うことができる構造物の補修装置、およびパルスレーザー
光を走査しながら照射する加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係る構造物の補修装置は、原子炉圧力容器内の炉
水中の構造物に対向して設けられ前記構造物の表面を所定範囲ずつ走査しながら前記構造
物に可視光のパルスレーザー光を照射する手段を有し、前記構造物の表面を圧縮応力状態
に改質するレーザー照射装置と、前記レーザー照射装置を取り付け前記原子炉圧力容器内
で上下動自在でかつ回転自在に移動するアームとを具備したことを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の好適な態様として、前記レーザー照射装置は、光ファイバーから送ら
れてくる前記パルスレーザー光を反射させる反射鏡を長手方向および幅方向に掃引する長
手方向掃引ユニットおよび幅方向掃引ユニットと、これらのユニットを駆動する駆動機構
とを備えてなることを特徴とする。
【0015】
あるいは、本発明の好適な態様として、前記構造物の表面を所定範囲ずつ走査しながら
前記パルスレーザー光を照射する手段として、ガルバノミラー機構,ポリゴンミラー機構
,レーザー出射孔を旋回させる機構,水圧アクチュエータで直進運動させる機構の少なく
とも一つを組み合わせてなることを特徴とする。
【0016】
あるいは、本発明の好適な態様として、前記レーザー照射装置から出力されるパルスレ
ーザー光のパルス幅を10psec以上1μsec以下に設定し、さらに前記レーザー照射装置は、
前記構造物の表面に到達するパルスレーザー光が、パルスあたりのエネルギーをE、パル
ス時間幅をt、前記構造物の表面でのレーザースポット面積をSとしたとき、106<E/
(t×S)<1012の条件を満足するように設定されてなることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る加工装置は、水中の構造物に対し水中で可視光のパルスレーザー光
を照射するレーザー照射装置と、前記レーザー照射装置を移動させて前記パルスレーザー
光を走査する走査機構とを有し、照射によって前記構造物の表面を圧縮応力状態に改質す
る加工装置であって、前記パルスレーザー光のパルス幅が10psec以上1μsec以下に設定さ
れてなることを特徴とする。
【0018】
ここで、本発明の基本原理を図19を用いて簡単に説明する、図19(a)は、透明液体1
中に設置した被加工物2にパルスレーザー光3を照射した瞬間を模式的に示したものであ
る。図19(b)は、パルスレーザー光3の照射が終わった後を示している。ここで使用す
る透明液体1は、レーザー光線の波長に対して透明であれば何でも良い。
【0019】
照射されている瞬間に被加工物2の表面ではパルスレーザー光3が吸収され、瞬時に極
表面のみが加熱され、急激に蒸発し高温高圧のプラズマ4が発生する。この瞬間的な高圧
プラズマ4の噴出によりその反力として衝撃力5が被加工物2に加えられる。この衝撃力
5により被加工物2の表面は、圧縮され、塑性変形されることが基本的な現象である。
【0020】
図19(b)は、レーザー3の照射が終わり、被加工物2の表面に塑性変形が起こってい
ることを示したものである。これにより圧縮残留応力6が、被加工物2の表面に与えられ
る。
【0021】
この現象が発生する場において、透明液体1は、それの持つ慣性力により、発生したプ
ラズマを閉じ込める効果がある。透明液体1中では、気中や真空中で照射する場合に比較
して数10倍以上の衝撃力が得られる。また、透明液体1の冷却作用によりレーザー照射に
よる熱影響を最小限にすることが可能である。本発明はこのようにして原子炉内構造物の
被加工物表面に圧縮応力を残留させることにある。
【0022】
パルスレーザー光3を照射する際に施工部表面にはプラズマ4の発生効率を高める目的
および施工部材への熱影響を低減する目的でレーザー光を透過しない被覆層を形成するこ
とが施工上有効である。
【0023】
材料に対してレーザー照射による入熱量が大きい場合、施工部表面が溶融あるいは金属
組織に変化が発生し、それにより表面に圧縮ではなく引張り残留応力が形成される恐れが
ある。また施工部表面に十分な大きさの圧縮残留応力を形成するにはプラズマの単位時間
および単位面積当りの密度を確保する必要がある。
【0024】
したがって、施工部に対して直接レーザーを照射する場合は施工部材料により照射条件
が限定され、しかも厳しい施工条件制御が要求される。それに対して適当な厚さのレーザ
ー光を透過しない被覆層を形成すれば、被覆層材がプラズマの供給源になるばかりでなく
施工部材料への入熱量を極力低減する作用を兼ねることになり、施工裕度が広がるため実
機施工上有利である。
【0025】
被覆層の材料はレーザー光を吸収する材料であれば、絶縁体,半導体,金属いずれの種
類でも良いが、非常に薄い被覆層を施工部表面に形成する必要から金属が有利である。形
成方法としては金属薄膜を接着剤で張り付ける,物理蒸着,塗布等いずれの方法でも良い

【0026】
実際に、予防保全工法としてレーザーピーニングを適用する際にはプラントの長期運転
により原子炉炉内構造物表面は、酸化被膜で覆われている。均一な膜厚で表面被覆層を形
成するためには膜の密着性等を考慮し、研削等の手段で酸化被膜を除去する必要がある。
【0027】
金属薄膜がAl,Sn,Inなどの低融点金属である場合には0.05から0.2mmでかつレ
ーザー光照射面の近傍に対向した電極を設置し、これと被加工物間に直流またはレーザー
パルスに同期させた数10から数100 ボルトの電圧を印加する。この条件で照射することに
より、材料に対する熱影響を極力小さく抑え、さらに、被覆層材料がプラズマ化するため
レーザー照射後施工部表面には、被覆層材料が残存せず施工後被覆材料除去工程がはぶけ
るため工程の簡略化が計れる。
【0028】
同様に被覆層材料がW,Mo,Ta,Nb,Ti,Zr,Hfなどの高融点あるいはス
テンレス、インコネルなどの炉内構造物と同一材料でも良い。その場合は、0.03以上0.15
mm以下でかつ上記と同様の条件で照射することにより同様な効果が得られることが実験的
に確認されている。
【0029】
白金,金,パラジウム,亜鉛が被覆層材料である場合には積極的にそれらの被覆層材料
を残存させることにより、レーザーピーニングによる残留応力改善効果ばかりでなく被覆
層による耐食性改善効果が期待できるため、応力腐食割れ対策として非常に有効である。
【0030】
その際の被覆層厚さとしては0.03mm以上が必要であるが0.25mm以上の場合には施工部表
面に十分な圧縮残留応力が形成されないため膜厚の上限値は0.25mmである。
【0031】
原子炉炉内構造物表面に形成されている酸化被膜を上記被覆膜として利用することによ
り同様な効果が得られることが実験的に明らかになった。その場合には被覆層を形成する
必要がなく工程を簡略化できるばかりでなく、直接レーザー照射することによって表面残
留応力改善を行うと共に酸化膜を除去する効果が期待できる。
【0032】
また、施工は通常大気中で行われるが水などのレーザーを透過する媒体中で行う方が残
留応力改善上有利である。大気中施工の場合はレーザー照射によって発生した高温高圧の
プラズマが発散する傾向があるが、水中で行った場合はプラズマの閉じ込め効果がある。
【0033】
したがって、その反作用により材料中に効果的に残留応力を形成することができる。原
子炉炉内構造物に適用する場合には炉水中で施工することによって、残留応力改善効果が
促進され施工の信頼性を確保する意味で有効である。
【0034】
本発明は金属材料の表面残留応力を変化させる目的を達成するために、パルスレーザー
装置とレーザー光を被加工物表面まで伝送し、照射できる光学装置で構成されるレーザー
加工において、被加工物を透明液体中に設置し、被加工物表面上での照射位置を変えつつ
照射し、被加工物表面に圧縮応力を残留させる。また、レーザー透過性の良い液体として
放射線遮蔽効果があり、安定性の高い水を用いることにある。
【0035】
さらに、パルスレーザー光のパルス幅を10psec以上、1μsec 以下とし、パルスレーザ
ー光のパルスあたりのエネルギーEとパルス時間幅tと被加工物上でのレーザースポット
面積Sとしたとき、106 <E/(t×S)<1012[w/cm2 ]の条件を満足させることにあ
る。
【0036】
この限定は材料表面の残留応力を圧縮するために必要な条件であり、この条件を満たせ
ない場合、表面残留応力として十分な圧縮が得られなかったり、熱影響による引っ張り応
力のみの残留となることがある。詳細な照射条件は対象とする材料や必要な残留応力強度
、応力変化を生じさせる深さ、許容できる熱影響部の厚さ等によって決められる。
【0037】
以上の必要な照射条件を得るために、被加工物でのレーザースポット面積Sを変える目
的でレーザー光を集光できる光学装置を備えたことを特徴とするものである。
【0038】
レーザー光照射面の近傍に対向した電極を設置し、これと被加工物間に直流もしくはレ
ーザーパルスに同期させた数10から数100 Vの電圧を印加することにある。
【0039】
これは、パルス幅が、十分短くない等のレーザー照射の条件によっては、材料極表層部
に熱影響による引っ張り応力が残留する場合がある。この極表層部の厚さが許容できない
場合には、被加工物レーザー光照射面とその近傍に対向して設置した電極間でレーザーで
制御した放電により熱影響部の除去を行う。
【0040】
また同様の目的で、透明液体を電解液とし、その電解液中に被加工物を設置し、レーザ
ー光照射面に対向して負電極を設け、これと被加工物に直流もしくはレーザーパルスに同
期させた数Vから数10Vの電圧を印加し電解研磨を行うことで、確実に圧縮応力の残留し
た表面を得ることができる。
【0041】
本発明は、原子炉上部室のシュラウドと原子炉容器の間にあるジェットポンプライザー
ブレースアームの加工部,同アームの表面,ジェットポンプライザー管,ジェットポンプ
ディフューザ等の表面改質,シュラウド内面の表面改質,CRDハウジングの加工部の表
面改質,シュラウドと原子炉容器の間のアニュラス部底面の隔壁表面の除染,ジェットポ
ンプディフューザの溶断による分解と溶接による組立てを含むジェットポンプディフュー
ザの交換作業機器および両者の表面の補修を遠隔で行うことができ、原子炉内機器の長寿
命化をはかることができる。
【0042】
施工面に被覆層を形成して材料に対する熱影響を極力抑え、かつ効果的にプラズマの発
生をさせることおよび水中におけるプラズマ閉じ込め効果により被加工物表面の残留応力
改善施工を効率良くしかも高い信頼性で実施できる。
【0043】
しかして、レーザー光照射により発生した衝撃力で被加工物表面に圧縮残留応力を与え
ることができ、レーザー光による作業のため、施工部を詳細に加工することが可能となる
。また、作業時に反力が発生しないため、操作装置に余計な負荷をかけることもなく、装
置の強度を高める必要もなく、取扱いの容易な装置が得られ、作業効率を高めることがで
きる。
【0044】
さらに、透明液体を熱的,化学的に安定な水とすることで、より確実に被加工物表面に
圧縮残留応力を与えることが可能になり、かつ、水の放射線遮蔽効果により放射性物質を
被加工物にした場合にも安全な施工が可能になる。
【0045】
レーザー照射条件を限定することで被加工物に対し確実に圧縮応力を残留させることが
可能になる。レンズまたは集光鏡により照射面積を小さくすることで、パルス当たりのレ
ーザー出力が十分でない場合にも、圧縮応力を残留させることができる条件で照射するこ
とができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、原子炉圧力容器内の炉水中の構造物表面の応力状態を改善することが
できるから、構造材の応力腐食損傷を抑制し、もって機器の寿命を長寿命化することがで
きる表面改質装置としての補修装置を提供することができる。
【0047】
すなわち、例えば、軽水冷却原子炉の原子炉上部室に設置されているシュラウドと原子
炉容器の間にあるジェットポンプライザーブレースアーム,ライザー管,ジェットポンプ
ディフューザの表面,シュラウドの内外表面,シュラウドサポートの内外表面,原子炉容
器内表面,CRDハウジング外表面等の応力状態を圧縮応力状態にすることを容易に行え
る原子炉内構造物の補修装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、図1から図7を参照しながら本発明に係る原子炉内構造物の補修装置の第1の実
施例を説明する。
【0049】
第1の実施例は図1に示したように、リンク式アーム装置13aを原子炉圧力容器7の上
部からワイヤ8で吊り下げ、上部ケース16および下部ケース17を炉心9の中心部の上部格
子板10の開孔部11を通過させ、炉心支持板12に上部ケース16を設置する。リンク式アーム
装置13aの上部ケース16には折りたたみ式アーム13が付設されており、この折りたたみ式
アーム13の先端に取付けた補修溶接装置14(レーザー照射装置)で可視光のパルスレーザ
ー光を一定範囲ずつ揺動走査しながら照射して、例えばシュラウド15の内面の加工を行う
装置に関するものである。
【0050】
図1は、本発明の第1実施例を示すシュラウド15の内面を補修する様子を示す概念図で
ある。折りたたみ式アーム13を内蔵する上部ケース16と下部ケース17からなるリンク式ア
ーム装置13aが、天井クレーン(図示せず)よりワイヤ8で吊られ上部格子板10の開孔部
11と炉心支持板12の開孔部18に挿入され、炉心9内の制御棒駆動装置ハウジング19に設置
される。
【0051】
折りたたみ式アーム13には、図2に拡大して示したようにアーム30の先端部に補修作業
装置取付け台20が取付けられている。上部ケース16の上部には上部格子板10上に位置して
上部ケース案内装置21と下部ケース案内装置22が取り付けられている。下部ケース案内装
置22は、固定用脚23で上部格子板10に固定される。
【0052】
補修作業ユニット搬送装置24は、天井クレーン(図示せず)からワイヤ8で吊られ上部
格子板10の上面に固定用脚23で固定される、補修作業ユニット搬送装置24には、補修作業
装置14が搭載されていて折りたたみ式アーム13の先端の補修作業装置取付け台20に受け渡
される構造になっている。なお、図1中符号25は据付け案内装置,26は隔壁,27は原子炉
ピット,28は上部格子板下方室を示している。
【0053】
図2に示すように、折りたたみ式アーム13は、エアシリンダ29でアーム30を伸縮する構
成になっている。また、折りたたみ式アーム13は、ワイヤ31で滑車32を介してバランサ33
と結合されている。
【0054】
上部ケース案内装置21と下部ケース案内装置22にはそれぞれエアシリンダ34,35が設け
られ、両装置21と22間には結合棒36が設けられている。図2中符号37は上部ベアリング,
38は組歯車,39はモータ,40は下部ベアリングを示している。
【0055】
つぎに図3から図5によりレーザースポット揺動走査型レーザーピーニング作業ユニッ
ト4について説明する。図3は、シュラウド15の内面を補修するレーザー照射装置として
のレーザーピーニング作業ユニット41の縦断面図である。この作業ユニット41は、長手方
向掃引ユニット42,幅方向掃引ユニット43,取付け構造44および図4に示す光ファイバー
接続構造45等で構成されている。
【0056】
長手方向掃引ユニット42は、2枚の上部側板構造46を接続棒47とスクリューネジ48で接
続し、組歯車49を介してスクリューネジ48を第1の駆動装置50で駆動する構成である。左
右一対の第2の側板構造51,53に取付けられたボールネジ構造52とスクリューネジ48を嵌
合し、幅方向掃引ユニット43を掃引する。
【0057】
幅方向掃引ユニット43は、左右一対の第2の側板構造51,53を接続棒54とスクリューネ
ジ55で接続し、組歯車49を介してスクリューネジ55を第2の駆動装置56で駆動し、枠構造
57に取り付けられたボールネジ構造58とスクリューネジ55を嵌合し、枠構造57を掃引する
構成である。
【0058】
枠構造59には、集光反射鏡60,第1反射鏡61,第2反射鏡62,第3反射鏡63等で構成さ
れている。光ファイバー接続構造45は、端部構造64に組レンズ65が押えリング66を介して
スペーサ67,押え板68で取り付けられた構造である。
【0059】
光ファイバー接続構造45は、脱着可能な状態で長手方向掃引ユニット42の第1の側板構
造46に取り付けられている。光ファイバー69から射出されたレーザー光70は、組レンズ71
で平行光線とされ、3個の反射鏡と1個の集光反射鏡60で壁72の上に焦点が結ばれる長手
方向掃引ユニット42に取り付けられた脚73で壁72との距離を一定に保持する。
【0060】
取付け構造74は、長手方向掃引ユニット42の2枚の側板構造46に固定され、折りたたみ
式アーム13のアーム30先端の補修作業ユニット取付け台20と嵌合する構造である。
【0061】
つぎに上記第1の実施例において、XYスライド機構利用のレーザースポット揺動走査
および鋸歯状走査する例を図6および図7により説明する。
【0062】
図6はレーザースポット揺動走査概念図である。集光反射鏡60を移動して幅方向掃引75
をし、長手方向に掃引する方法の概念を示したものである。壁72の上のレーザー光スポッ
ト78をサークル形状で図示しているが、スポットの重なりを発生させない場合は、矩形ス
ポット形状を用いる。
【0063】
光ファイバー接続構造45の押え板68の開孔を矩形とし、アパーチャとして用いる。図中
、符号79は矩形状掃引軌跡である。図7はレーザースポットを鋸歯波状に走査した場合の
例を示している。図中符号80は鋸歯波状掃引軌跡である。
【0064】
つぎに、図1から図5により本発明に係る第1の実施例の作用を説明する。軽水冷却原
子炉の原子炉圧力容器7の蓋を取外し、原子炉ピット27の床面に遠隔炉内作業装置取扱い
装置(図示せず)を設置し、点検・補修装置吊込みクレーン(図示せず)で原子炉圧力容
器7の上部に折りたたみ式アーム13を収納した上部ケース16およびその下端に接続される
下部ケース17を吊込み、上部格子板10の開孔部11および炉心支持板12の開孔部18を順次通
過させ、下部ケース17の下端を炉心9の制御棒駆動装置ハウジング19に嵌合させ据付を終
了する。
【0065】
上部ケース16および下部ケース17が上部格子板10の開孔部11を容易に通過できるように
上部ケース案内装置21および下部ケース案内装置22が上部ケース16および下部ケース17を
軸方向に移動できる状態に取付けられ、上部ケース16および下部ケース17が上部格子板10
の開孔部11を通過するに従い平面内の回転の位置合せを行う。
【0066】
吊り降ろしを続け、下部ケース案内装置22を固定用脚23で上部格子板10を固定し、下部
ケース17の下端を制御棒駆動装置ハウジング19に嵌合し、据付を終了する。
【0067】
折りたたみ式アーム13を上部ケース16から上部格子板下方室28に展開し、上部ケース16
内に取り付けられているモータ39と組歯車38を介して折りたたみ式アーム13が取り付けら
れている上部ケース16を回転し、折りたたみ式アーム13を所定の方向に向ける。
【0068】
折りたたみ式アーム13のエアシリンダ29(図2参照)を駆動し、アーム30を径方向に出
し入れし、アーム30の先端に取付けられた補修作業装置取付け台20を径方向の所定の位置
に設定する。
【0069】
モータ39で組歯車38を駆動し、アーム30を上部格子板10の近くまで上昇させ、上部ケー
ス16を回転しながらエアシリンダ29を駆動してアーム30を径方向に出し入れしてアーム30
の先端に取付けられた補修作業装置取付け台20を所定の上部格子板10の開孔部11の下方に
持ってゆく。
【0070】
据付け案内装置25が取付けられた補修作業ユニット搬送装置24に補修作業装置14を収納
した状態で、点検・補修装置吊込みクレーン(図示せず)で原子炉圧力容器7に吊り込み
、上部格子板10の開孔部11に据付ける。据付け案内装置25に取付けられた固定用脚23で上
部格子板10に固定する。
【0071】
補修作業装置14を補修作業ユニット搬送装置24の下方に押し出し、補修作業装置14の接
続構造53(図4参照)と、折りたたみ式アーム13のアーム30の先端の補修作業ユニット取
付け台20を結合する。
【0072】
結合が終了すると、補修作業ユニット搬送装置24の補修作業装置14の把持状態を解除す
る。この解除が終了すると、折りたたみ式アーム13を上部格子板下方室28内で三次元的に
動かし、補修作業装置14をシュラウド15の所定の位置に持って行き、補修作業を行う。
【0073】
補修作業装置14として点検・検査作業ユニット,溶接作業ユニット,EDM作業ユニッ
ト,グラインダー作業ユニット,レーザーピーニング作業ユニット41等を用いる。
【0074】
補修作業装置14としてレーザーピーニング作業ユニット等を用い、シュラウド15の溶接
部の表面を引っ張り応力より圧縮応力状態に表面改質作業を行う。レーザースポット揺動
型レーザーピーニング作業ユニット41を用いての表面改質作業法を以下で説明する(図3
,図4,図5,図6参照)。
【0075】
折りたたみ式アーム13のアーム30の先端部に設けた補修作業ユニット取付け台20にレー
ザースポット揺動型レーザーピーニング作業ユニット41の取付け構造44の嵌合部を結合し
、アーム30を伸ばしシュラウド15の溶接線等で表面に引張り応力が発生している場所にレ
ーザースポット揺動型レーザーピーニング作業ユニット41を移行し、そのユニット41の脚
73をシュラウド15の表面に押し当てた状態で所定の位置に設定する。
【0076】
溶接線部を表面改質する場合、長手方向掃引ユニット42を溶接線の方向に、幅方向掃引
ユニット43を溶接線に垂直方向で掃引可能範囲内に溶接部がはまるように設定する。レー
ザー光70として繰り返し数が5KHzの銅蒸気レーザーを用いる。口径が 0.3φmm程度の
光ファイバー69を用いる場合、光学系を用いることによりレーザー光70を 0.3φmm程度の
スポット径77を絞ることができる。
【0077】
図6は図3におけるレーザーピーニング作業ユニット41のXYスライド機器利用のレー
ザースポット揺動走査概念図で、Xは例えば長手方向掃引ユニット42を、Yは例えば幅方
向掃引ユニット43を示す。
【0078】
銅蒸気レーザーのパルス幅は、40nsec程度であり、レーザー光70の照射間隔200μsec
に比べ、照射されている時間は、無視できる長さである。幅方向の掃引75をレーザー光ス
ポット78の重なりが無い状態程度(図6参照)で行う場合、幅方向の掃引速度を1.5m/s程
度にする必要がある。
【0079】
長手方向の掃引76をレーザー光スポット78の重なりが無い状態(図6参照)で行う場合
、幅方向の掃引75時の照射数に 200μsec を乗じた時間毎に1.5m/s程度の掃引速度で 0.3
mm掃引する。
【0080】
レーザー光スポット78を円形とした場合、1.5m/s程度の速度で掃引すると、図6に示す
ようにレーザー光70の照射されない範囲が生じる。この範囲が発生するのを防ぐ必要があ
る場合は、掃引速度を1.5m/s以下にしてレーザー光スポット78が一部重なるようにする。
【0081】
または、光ファイバー接続構造45部にレーザー光70のビーム断面形状を矩形にする光学
系を入れて1辺が 0.3mmになるレーザー光スポット78にすると、1.5m/sの長手および幅方
向の掃引を行うことにより一定幅と長さの範囲にパルスレーザー光70を1度照射すること
ができる。
【0082】
これにより現在入手可能な出力が 500W程度の鋼蒸気レーザーを用いて水中で表面改質
補修(引っ張り応力状態より圧縮応力状態に変える補修)を行うことができる。
【0083】
一定範囲の表面改質作業が終了すると、アーム30を多少縮め、溶接線に沿ってアーム30
を移動し、表面改質が終了した範囲に引き続き表面改質作業ができる位置にレーザースポ
ット揺動型レーザーピーニング作業ユニット41を設置し、上記の作業を繰り返す。
【0084】
幅方向の掃引75は、駆動装置56を一定方向に回転させ、所定の幅の掃引が終了すると駆
動装置56を反対方向に回転させ所定の幅を掃引する運動を繰り返す。長手方向の掃引76は
、間欠的に行うが、上記のような一定速度運動をする必要はない。
【0085】
つぎに上記第1実施例の効果を説明する。現在入手可能な出力が 500W程度の可視光レ
ーザーである銅蒸気レーザーを用いて水中で表面改質補修(引っ張り応力状態より圧縮応
力状態に変える補修)作業を行うことができるため、シュラウド15の溶接線および表面の
引っ張り応力状態を圧縮応力状態に変える作業を水中で行うことができ、作業者の被曝を
低減することができる。
【0086】
レーザーを用いることによりウォータジェットピーニングと異なり、表面改質作業時の
反力の発生は無視できるため遠隔取扱い装置の構造が簡単なもので良い。ショットブラス
トピーニングとは異なり、ウォータジェットピーニングと同様に回収が必要なごみの発生
はない。
【0087】
レーザーショットピーニング時には、超音波音響が発生するため表面改質作業と同時に
作業状況の監視および作業結果の評価を行うことができ、監視および計測のために別途装
置を用意する必要がなく、作業の効率を上げることができる。
【0088】
なお、上記第1の実施例において、原子炉圧力容器7の上部からワイヤ8で吊り下げ、
炉心9の中心部の上部格子板開孔部11を通過させ、炉心支持板12にリンク式アーム装置13
aを設置し、このリンク式アーム装置13aの折りたたみ式アーム13の先端に取付けた補修
作業装置14(レーザー照射装置)で可視光のパルスレーザー光を一定範囲ずつ鋸歯走査し
ながら照射してシュラウド15の内表面の加工を行うことができる(図7参照)。
【0089】
このようにすれば、上記第1の実施例の作用と本質的に変わらないが、図3,図4に示
すように組歯車49とスクリューネジ55の間に電磁クラッチ等の切り離し機構と、スクリュ
ーネジ55をバネ等の駆動源力により逆回転させ、 200μsec 程度の間に幅方向掃引ユニッ
ト43を元の位置に帰し、その間に長手方向に 0.3mm間欠的に移動させる。以下第1の実施
例と同様な掃引動作を繰り返す。
【0090】
つぎに図8から図11を参照しながら本発明の第2の実施例を説明する。図8はガルバノ
ミラー機構使用のレーザースポット揺動走査型レーザーピーニング作業ユニット81の縦断
面図である。このユニット81は、長手方向掃引ユニット82,幅方向掃引ユニット83,取付
け構造84および光ファイバー接続構造45等で構成されている。
【0091】
長手方向掃引ユニット82は、2枚の側板構造85を接続棒86とスクリューネジ87で接続し
、組歯車88を介してスクリューネジ87を駆動装置89で駆動する構成である。枠構造90に取
付けられたボールネジ構造91とスクリューネジ87を嵌合し、幅方向掃引ユニット83を掃引
する構成である。
【0092】
幅方向掃引ユニット83は、枠構造92に集光反射鏡93,ガルバノミラー94,第1反射鏡95
,駆動装置96,組歯車97等で構成されている。光ファイバー接続構造45は、端部構造64に
組レンズ71が押えリング66を介してスペーサ67,押え板68で取り付けられた構造である。
【0093】
光ファイバー接続構造45は脱着可能な状態で長手方向掃引ユニット82の側板構造85に取
り付けられている。光ファイバー69から射出されたレーザー光70は、組レンズ71で平行光
線とされ、第1反射鏡95からガルバノミラー94に照射され、ガルバノミラー94で幅方向に
振り、集光反射鏡93に照射し、集光反射鏡93で壁72の上に幅方向に振りながら焦点を結ぶ

【0094】
このスポットの軌跡は図11に示すように円弧状を形成する。長手方向掃引ユニット82に
取り付けられた脚73で壁72との距離を一定に保持する。取付け構造84は、長手方向掃引ユ
ニット82の2枚の側板構造85に固定され、図2に示す折りたたみ式アーム13のアーム30先
端の補修作業ユニット取付け台20と嵌合する構造である。
【0095】
図11はガルバノミラー機構利用のレーザー光スポットの揺動走査概念図で、符号78はレ
ーザー光スポット78,98は掃引軌跡、99が揺動を示している。
【0096】
つぎに第2の実施例の作用を図8から図11につき説明する。第2の実施例は、原子炉圧
力容器7の上部からワイヤ8で吊り下げ、炉心中央部の上部格子板開孔部11を通過させ、
炉心支持板12にリンク式アーム装置13aを設置し、折りたたみ式アーム13の先端に取付け
た補修作業装置14(レーザー照射装置)で可視光のパルスレーザー光を一定範囲ずつガル
バノミラー94を使用してレーザースポットを揺動走査しながら照射してシュラウド15の内
表面の加工を行う。
【0097】
この第2の実施例の作用は第1の実施例と本質的に同様であるが、図6,図7に示した
幅方向掃引75をガルバノミラー94を正逆転する駆動装置96と組歯車97でその軸周りに揺動
させシュラウド15表面にレーザー光スポット78の掃引軌跡79を円弧状に描かせ、その間に
長手方向に 0.3mm間欠的に移動させる。以下第1の実施例と同様な掃引動作を繰り返す(
図11参照)。本実施例の効果は第1の実施例と同様なのでその説明は省略する。
【0098】
つぎに図12から図16を参照しながら本発明の第3の実施例を説明する。図12はポリゴン
ミラー機構使用のレーザースポット走査型レーザーピーニング作業ユニット100 の正面図
である(図13のB−B矢視)。レーザーピーニング作業ユニット100 は、取付構造101 部
で図2に示す折りたたみ式アーム13のアーム30の先端の補修作業ユニット取付20と結合さ
れる。
【0099】
2枚の端板構造102 間には、取付構造101 ,スクリューネジ103 ,スライド棒104 が結
合されている。スライド棒104 は、移動板105 を貫通し、この移動板105 の図13に示すボ
ールネジ106 でスクリューネジ103 が結合している。
【0100】
駆動装置107 を働かせてスクリューネジ103 を回転させ、スライド棒104 をガイドとし
て移動板105 をスライドさせる。移動板105 を取付台108 が大径スプリング109 を介して
結合されている。取付台108 に取り付けられた車輪形式の脚73を壁面72に押し付けレーザ
ーピーニング作業ユニット100 を設定する。
【0101】
光ファイバー69で導かれたレーザー光70は、組レンズ110 で平行光線とし、偏光ミラー
111 ,ミラー112 を介してポリゴンミラー113 を導き、反射させて壁面72に像を結ぶ。
【0102】
ポリゴンミラー113 と爪114 をアクチュエータ115 で回転し、シリンダ116 の爪117 と
爪114 を接触させ、小径スプリング118 の弾性力に抗して爪117 と爪114 の接触が外れる
までシリンダ116 (a)を移動させ、壁面72へのレーザー光70の照射を幅方向に掃引させ
る。
【0103】
長手方向の掃引は、駆動装置107 でスクリューネジ103 を回転し、移動板105を移送さ
せることにより、車輪付き脚73を壁面72に密接して回転移動させて行う。なお、図中符号
119 はビームダンパ、120 はアクチュエータ取付構造を示している。
【0104】
図13はポリゴンミラー機構使用のレーザースポット走査型レーザーピーニング作業ユニ
ット100 の側面図である(図12のA−A矢視図)。
【0105】
図14(a),(b)はポリゴンミラー113 を使用したレーザースポット走査機構部詳細
概念図である。ポリゴンミラー113 と爪114( 114a〜 111k)はアクチュエータ115 によ
り回転し、この回転に伴いシリンダ116 は爪114 と爪117 が接触している間は引き上げら
れ、爪114 と爪117 が離れると、スプリング118 により、もとの位置に戻る構造になって
いる。
【0106】
一方レーザー光70は図示はしないが、光源側でファラデーローテータ、シャッター等で
照射のON・OFFの切替が可能な構造となっており、レーザー光70は偏光ミラー111 ,
ミラー112 ,ポリゴンミラー113 で反射され、壁面72に照射する構造となっている。
【0107】
また、偏光ミラー111 で反射しなかったレーザー光70はビームダンパ119 により吸収さ
れる。なお、図示はしないがビームダンパ119 は冷却機により常時冷却されている。
【0108】
図15は、ポリゴンミラー113 使用のレーザー光スポット78の走査概念図で、符合121 は
掃引軌路を示している。図16は、ポリゴンミラー113 使用のレーザー光スポット78の走査
概念図で、符合122 は第1のミラー、123 は第2のミラー、124 は第3のミラーを示して
いる。
【0109】
つぎに第3の実施例の作用効果を説明する。すなわち、第3の実施例は原子炉圧力容器
7の上部からワイヤ8で吊り下げ、炉心9の中心部の上部格子板開孔部11を通過させ、炉
心支持板12にリンク式アーム装置13aを設置し、このリンク式アーム装置13aの折りたた
み式アーム13の先端に取付けた補修作業装置14(レーザー照射装置)で可視光のパルスレ
ーザー光を一定範囲ずつポリゴンミラー113 を使用してレーザー光スポット78を走査しな
がら照射してシュラウド15内表面の加工を行う。
【0110】
第3の実施例の作用効果は、本質的には第1の実施例と同様であるが、多面鏡のポリゴ
ンミラー113 を一定角速度で回転させて鋸歯掃引を行い、同期させてミラー112 の高速の
原点復帰動作を行うようにしたものである。
【0111】
つぎに図17および図18を参照しながら本発明に係る第4の実施例を説明する。図17は多
関節腕利用のレーザー光スポット旋回走査型レーザーピーニング作業ユニット125 の概念
図である。レーザーピーニング作業ユニット125 は、旋回構造126 ,スライド構造127 ,
光ファイバー接続構造128 ,取付構造129 等で構成され、取付構造129 部で図2に示した
たたみ式アーム13のアーム30の先端の補修ユニット取付20と結合される。
【0112】
旋回構造126 は、スライド構造127 に取り付けられた駆動装置130 で組歯車131 を介し
て旋回させられる。旋回構造126 とスライド構造127 は、ベアリング132 構造を介して結
合されている。取付構造129 とスライド構造127 が結合され、スライド構造127 は、水圧
駆動の水圧シリンダ構造133 となっている。
【0113】
スライド構造127 には、光ファイバー接続構造128 が結合され、光ファイバー69からの
レーザー光70を平行光線にする組レンズ134 が取付けられている。平行光線は、第3反射
鏡135 ,第2反射鏡136 ,第1反射鏡137 で向きを変え、集光反射鏡138 で壁72の表面に
集光される。
【0114】
旋回構造126 を旋回させることにより、図18に示すように小口径のレーザー光スポット
78の掃引軌跡139 を描き、スライド構造127 を水圧で駆動して長手方向の掃引を行う。図
18は図17における装置のレーザースポット旋回走査概念図である。
【0115】
つぎに第4の実施例の作用効果を説明する。すなわち、第4の実施例は図1に示したよ
うに原子炉圧力容器7の上部からワイヤ8で吊り下げ、炉心9の中心部の上部格子板開孔
部11を通過させ、炉心支持板12にリンク式アーム装置13aを設置し、このリンク式アーム
装置13aの折りたたみ式アーム13の先端に取付けたレーザー照射装置で可視光のパルスレ
ーザー光スポット78を微少直径の円状に旋回照射しながら長手方向に円状照射を移動させ
て一定範囲を走査することを繰り返してレーザーを照射してシュラウド15の表面の加工を
行う(図1,図12参照)。
【0116】
第4の実施例の作用効果は、本質的には第1の実施例と同様である。しかし、以下の点
が異なる。集光反射鏡138 を高速回転させてパルスレーザー光スポット78を微少直径の円
状に掃引してシュラウド内表面に照射しながら、水圧駆動シリンダ構造133 を用いて長手
方向に円状照射を移動させてシュラウド内表面に照射して一定範囲を走査することを繰り
返してレーザーを照射してシュラウド内表面の加工を行う点である。
【0117】
第4の実施例によれば、レーザー光スポット78を微少直径の円状に掃引するための掃引
時の衝撃等の影響がない。また、先端の構造が円筒形状になっているため水中における回
転の流動抵抗を小さくする構造になっている。また、円筒の軸対称に加重のバランスをと
る構造にできるため、高速回転に対して構造上問題の発生がない。
【0118】
さらに、水圧駆動シリンダを用いて長手方向に円状照射を移動させるため、水中での長
手方向の移動機構に水密構造を設ける必要がない。したがって、構造を簡単にすることが
でき、補修作業装置の先端に取付ける機器を小形化でき、補修作業装置の構造を簡素化で
きる。
【0119】
つぎに本発明の第5の実施例を説明する。この第5の実施例は、図1に示すごとく原子
炉圧力容器7の上部からワイヤ8で吊り下げ、炉心9の中心部の上部格子板開孔部11を通
過させ、炉心支持板12にリンク式アーム装置13aを設置し、このリンク式アーム装置13a
の折りたたみ式アーム13の先端に取付けた補修作業装置(レーザー照射装置)で、可視光
のパルスレーザー光スポットを第1の実施例で示したXYスライド機構,第2の実施例で
示したガルバノミラー94,第3の実施例で示したポリゴンミラー113 ,第4の実施例で示
した微少直径の円状に旋回機構付き伸縮腕等の走査を用いて、シュラウド内表面の切り欠
き形状の切り欠き先端部の同一軌跡上に繰り返してレーザー光を照射して水中でストップ
ホールを形成する装置に関するものである。
【0120】
第5の実施例の作用は、本質的には第1から第4の実施例と同様である。しかし、以下
の点が異なる。シュラウド内表面の切り欠き形状の切り欠きの先端部に円形状の軌跡上に
繰り返してレーザーを照射して水中でストップホールを形成する点である。
【0121】
本第5の実施例によれば水中で直接作業ができるため、水排除機構を備えたレーザー照
射トーチを用いる必要がなく、容易に亀裂の先端にストップホールを形成でき、応力集中
が緩和され亀裂進展が抑止され原子力プラントを長寿命化させるのに効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明に係る原子炉内構造物の補修装置の第1の実施例を示す縦断面図。
【図2】図1において、リンク式アーム装置の詳細を示す縦断面図。
【図3】図1において使用するXYスライド機構利用レーザースポット揺動走査型レーザーピーニング作業ユニットを示す縦断面図で、図4のC−C矢視方向を示す。
【図4】図3においてA−A矢視方向から見た平面図。
【図5】図3においてB−B矢視方向に沿って切断して示す横断面図。
【図6】図3におけるXYスライド機器利用のレーザースポット揺動走査概念図。
【図7】図3におけるXYスライド機器利用のレーザースポット鋸歯走査概念図。
【図8】本発明に係る第2の実施例におけるガルバノミラー機構使用のレーザー光スポット揺動走査型レーザーピーニング作業ユニットを示す縦断面図で、図10のC−C矢視方向を示す。
【図9】図8においてA−A矢視方向から見た平面図。
【図10】図8においてB−B矢視方向から切断した横断面図。
【図11】図8における装置でのガルバノミラー機構利用のレーザー光スポット揺動走査概念図。
【図12】本発明に係る第3の実施例におけるポリゴンミラー機構使用のレーザー光スポット走査型レーザーピーニング作業ユニットを示す正面図で、図13のB−B矢視方向を示す。
【図13】図12におけるA−A矢視方向から見た側面図。
【図14】(a)は図13におけるB−B矢視方向を拡大して示す側面図で(b)のD−D矢視方向を示し、(b)は(a)のC−C矢視方向を切断して示す横断面図。
【図15】図12におけるポリゴンミラー機構利用のレーザー光スポット鋸歯状走査の第1の例を示す概念図。
【図16】図12におけるポリゴンミラー機構利用のレーザー光スポット鋸歯状走査の第2の例を示す概念図。
【図17】本発明に係る第4の実施例における多関節腕利用のレーザー光スポット旋回走査型レーザーピーニング作業ユニットを示す縦断面図。
【図18】図17における多関節腕利用のレーザー光スポット旋回走査を示す概念図。
【図19】(a)はレーザーピーニング法による原理を説明するための模式図、(b)は加工の状態を示す模式図。
【符号の説明】
【0123】
1…透明液体、2…被加工物、3…パルスレーザー光、4…プラズマ、5…衝撃力、6…
圧縮残留応力、7…原子炉圧力容器、8…ワイヤ、9…炉心、10…上部格子板、11…上部
格子板開口部、12…炉心支持板、13…折りたたみ式アーム、13a…リンク式アーム装置、
14…補修作業装置、15…シュラウド、16…上部ケース、17…下部ケース、18…炉心支持板
開口部、19…制御棒駆動装置ハウジング、20…補修作業ユニット取付け台、21…上部ケー
ス案内装置、22…下部ケース案内装置、23…固定用脚、24…補修作業ユニット搬送装置、
25…据付け案内装置、26…隔壁、27…原子炉ピット、28…上部格子板下方室、29…エアシ
リンダ、30…アーム、31…ワイヤ、32…滑車、33…バランサ、34,35…エアシリンダ、36
…結合棒、37…上部ベアリング、38…組歯車、39…モータ、40…下部ベアリング、41…レ
ーザーピーニング作業ユニット、42…長手方向掃引ユニット、43…幅方向掃引ユニット、
44…取付け構造、45…光ファイバー接続構造、46…第1の側板構造、47…接続棒、48…ス
クリューネジ、49…組歯車、50…第1の駆動装置、51…第2の側板構造、52…ボールネジ
構造、53…接続構造、54…接続棒、55…スクリューネジ、56…第2の駆動装置、57…枠構
造、58…ボールネジ構造、59…枠構造、60…集光反射鏡、61…第1反射鏡、62…第2反射
鏡、63…第3反射鏡、64…端部構造、65…組レンズ、66…押えリング、67…スペーサ、68
…押え板、69…光ファイバー、70…レーザー光、71…組レンズ、72…壁、73…脚、74…取
付け構造、75…幅方向掃引、76…長手方向掃引、77…スポット径、78…レーザー光スポッ
ト、79…矩形波状掃引軌跡、80…鋸歯状軌跡、81…レーザーピーニング作業ユニット(ガ
ルバノミラー使用)、82…長手方向掃引ユニット、83…幅方向掃引ユニット、84…取付け
構造、85…2枚の側板、86…接続棒、87…スクリューネジ、88…組歯車、89…駆動装置、
90…枠構造、91…ボールネジ構造、92…枠構造、93…集光反射鏡、94…ガルバノミラー、
95…第1反射鏡、96…駆動装置、97…組歯車、98…掃引軌跡、99…揺動、100 …レーザー
ピーニング作業ユニット(ポリゴンミラー使用)、101 …取付構造、102…2枚の端板構
造、103 …スクリューネジ、104 …スライド棒、105 …移動板、106 …ボールネジ、107
…駆動装置、108 …取付台、109 …大径スプリング、110 …組レンズ、111 …偏光ミラー
、112 …ミラー、113 …ポリゴンミラー、114…爪、115 …アクチュエータ、116 …シリ
ンダ、117 …シリンダの爪、118 …小径スプリング、119 …ビームダンパ、120 …アクチ
ュエータ取付構造、121 …掃引軌跡、122 …第1のミラー、123 …第2のミラー、124 …
第3のミラー、125…レーザーピーニング作業ユニット(多関節腕利用)、126 …旋回構
造、127 …スライド構造、128 …光ファイバー接続構造、129 …取付構造、130 …駆動装
置、131 …組歯車、132 …ベアリング、133 …水圧シリンダ構造、134 …組レンズ、135
…第3反射鏡、136 …第2反射鏡、137 …第1反射鏡、138 …集光反射鏡、139 …掃引軌
跡。




 

 


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