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発明の名称 原子炉機器の診断方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2005−127935(P2005−127935A)
公開日 平成17年5月19日(2005.5.19)
出願番号 特願2003−365540(P2003−365540)
出願日 平成15年10月27日(2003.10.27)
代理人
発明者 坂本 博司 / 川野 昌平 / 久保 達也 / 田中 重彰
要約 課題
原子炉機器のかかる健全性を試験片を採取することなく診断でき、原子炉の長寿命化や保全対策が効率的行え、しかも原子炉機器の信頼性の向上に寄与できる原子炉機器の診断方法を提供することである。

解決手段
原子炉機器の評価対象部位のアノード分極曲線を測定し電位と電流密度との関係を求める工程と、測定された電位と電流密度との関係から不動態維持電流密度を求める工程と、予め取得した不動態維持電流密度と試料の硬さまたは応力腐食割れ感受性の関係を表すマスターカーブとを比較して評価対象部位の硬さまたは応力腐食割れ感受性を推定する工程とを有する。
特許請求の範囲
【請求項1】
高温水に接する原子炉機器の材料の健全性を診断する原子炉機器の診断方法において、前記原子炉機器の評価対象部位のアノード分極曲線を測定し電位と電流密度との関係を求める工程と、測定された電位と電流密度との関係から不動態維持電流密度を求める工程と、予め取得した不動態維持電流密度と試料の硬さまたは応力腐食割れ感受性との関係を表すマスターカーブに基づいて評価対象部位の硬さまたは応力腐食割れ感受性を推定する工程とを有することを特徴とする原子炉機器の診断方法。
【請求項2】
前記原子炉機器の評価対象部位の測定面積を3mm以上で100mm以下とすることを特徴とする請求項1記載の原子炉機器の診断方法。
【請求項3】
前記原子炉機器の評価対象部位のアノード分極曲線の測定に使用する溶液を硫酸水溶液とし、硫酸濃度を5重量%以上で20重量%以下とすることを特徴とする請求項1または請求項2記載の原子炉機器の診断方法。
【請求項4】
前記原子炉機器の評価対象部位のアノード分極曲線を測定した後に前記評価対象部位の測定面を機械的または化学的な方法で所定の厚さだけ研磨する工程を追加して設け、その研磨した評価対象部位のアノード分極曲線を測定する工程を所定の回数だけ繰り返して行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の原子炉機器の診断方法。
【請求項5】
高温水に接する原子炉機器の材料の健全性を診断する原子炉機器の診断方法において、前記原子炉機器の評価対象部位のアノード分極曲線を測定し電位と電流密度との関係を求める工程と、+0.1mVから+0.6mV(SCE)の間のある電位に保持したときの電流密度を求める工程と、その値を用いて予め取得した不動態維持電流密度と試料の硬さまたは応力腐食割れ感受性との関係を表すマスターカーブに基づいて評価対象部位の硬さまたは応力腐食割れ感受性を推定する工程を有することを特徴とする原子炉機器の診断方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温水に接する原子炉機器の材料の健全性を診断する原子炉機器の診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力プラントの運転中に高温水と接する原子炉機器の材料は、耐食性に優れるオーステナイトステンレス鋼やニッケル基合金が使用されている。これらの材料の表面に切削等による強加工層が存在する場合には、残留応力条件や腐食環境条件の重畳により、まれに応力腐食割れが発生する可能性がある。
【0003】
原子炉機器の健全性を精度良く評価するには、材料表面の強加工層の有無および加工の度合いを正確に知ることが望ましい。材料表面の加工の度合いが定量的に測定できれば、機器の健全性を精度よく評価でき、機器信頼性の診断が可能となり、機器保全を効率的に行うことが可能となる。
【0004】
原子炉機器の材料表面の強加工層の有無および加工の度合いを求める方法としては、原子炉機器の評価対象部位から試験片を採取し、その試験片の表面層の硬さを測定する方法があり、測定した試験片の硬さをマスターカーブと比較して応力腐食割れ感受性を診断する。すなわち、予め取得した硬さと応力腐食割れの感受性の程度との関係を示すマスターカーブにより応力腐食割れ感受性を診断している。
【0005】
このような方法において、材料であるステンレス綱の硬さと応力腐食割れ感受性の関係を示すカーブとしては、図5に示すように、(Y. Kanazawa and M. Tsubota, "Stress Corrosion Cracking of Cold Worked Stainless Steel in High Temperature Water", CORROSION 94. Paper No. 237 (1994) FIGURE6)が公開されている。
【0006】
ここで、アノード分極曲線を求めておき、そのアノード分極曲線に従って陽極酸化処理を行い、美観や表面処理液の管理に困難を伴うことなくステンレス鋼の耐蝕性を向上させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−269789号公報(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、プラント機器から評価用試験片を採取し硬さを測定するためには、原子炉機器の評価対象部位から試験片を採取しなければならず、必要な場合には採取した痕を補修する必要があり、多大な時間と費用がかかることが難点である。原子炉機器の場合、試験片の採取は放射線遮蔽を行いつつ遠隔操作で実施する必要があり、採取した試験片も高濃度の放射能を含む場合が多く、硬さの測定も遮蔽体を介して遠隔で実施する必要があり、実質的には困難な場合が多いのが実情である。
【0008】
本発明の目的は、原子炉機器の健全性を試験片を採取することなく診断でき、原子炉の長寿命化や保全対策が効率的に行え、しかも原子炉機器の信頼性の向上に寄与できる原子炉機器の診断方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の原子炉機器の診断方法は、原子炉機器の評価対象部位のアノード分極曲線を測定し電位と電流密度との関係を求める工程と、測定された電位と電流密度との関係から不動態維持電流密度を求める工程と、予め取得した不動態維持電流密度と試料の硬さまたは応力腐食割れ感受性の関係を表すマスターカーブとを比較して評価対象部位の硬さまたは応力腐食割れ感受性を推定する工程とを有する。
【0010】
この場合、好ましくは原子炉機器の評価対象部位の測定面積を100mm以下とする。また、好ましくは原子炉機器の評価対象部位のアノード分極曲線の測定に使用する溶液を硫酸水溶液とし、硫酸濃度を5重量%以上で20重量%以下とする。
【0011】
さらに、好ましくは原子炉機器の評価対象部位のアノード分極曲線を測定した後に評価対象部位の測定面を機械的または化学的な方法で所定の厚さだけ研磨する工程を追加して設け、その研磨した評価対象部位のアノード分極曲線を測定する工程を所定の回数だけ繰り返して行う。
【0012】
また、本発明の原子炉機器の診断方法は、原子炉機器の評価対象部位のアノード分極曲線を測定し電位と電流密度との関係を求める工程と、+0.1mVから+0.6mV(SCE)の間のある電位に保持した時の電流密度を求める工程と、その値を用いて予め取得した不動態維持電流密度と試料の硬さまたは応力腐食割れ感受性の関係を表すマスターカーブとを比較して評価対象部位の硬さまたは応力腐食割れ感受性を推定する工程を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、原子炉機器の材料特性を原子炉機器から試験片を採取することなく正確に評価することが可能となる。そして原子炉機器の健全性を安価で迅速に診断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の第1の実施の形態に係わる原子炉機器の診断方法の工程を示すフローチャートである。原子炉機器の表面の評価対象部位に対して測定装置をセットし(S1)、アノード分極曲線を測定する(S2)。得られたアノード分極曲線の電位と電流密度との関係から不動態維持電流密度を求め(S3)、評価対象部位の材料特性を評価して(S4)、評価対象部位の材料特性値を求める(S5)。すなわち、測定した不動態維持電流密度と、予め取得した不動態維持電流密度と試料の硬さまたは応力腐食割れ感受性との関係を表すマスターカーブとを比較し、評価対象部位の硬さまたは応力腐食割れ感受性を推定する。
【0015】
ここで、アノード分極曲線の測定方法としては、例えば斉藤他、機械学会論文集57-538,A(1991)p1442に掲載されているように、現場計測用電解プローブを評価対象部位に接触させて行う。
【0016】
また、測定する原子炉機器の評価対象部位の測定面積は3mm以上で100mm以下とする。原子炉機器の表面層の硬化は機械加工やグラインダ加工によりもたらされるが、機械加工の場合はその加工ピッチは最大でも1mmを超えることはなく、グラインダ加工の場合は、これより小さいピッチとなる。従って安定的にアノード分極曲線を測定するためには、複数の加工ピッチを含む部分で測定行うことが望ましいため、最小の測定面積は直径2mmの円、すなわち約3mm以上であることが望ましい。一方、測定面積はある程度大きければそれ以上に大きい必要はなく、必要以上に大きくすると測定装置も大きくなり評価対象部位へのアクセスが悪化する。アノード分極極性の測定に必要な電解液を保持し対極及び参照電極を保持できる大きさがあれば良く測定面積は100mm以下で良い。従って、測定する面積としては、アノード分極曲測定に最小限必要な面積である約3mm以上で100mm以下とし、測定装置である現場計測用電解プローブの搬送や設置が容易となる範囲の面積とする。
【0017】
また、アノード分極曲線測定に使用する溶液は硫酸水溶液とし、水溶液濃度を5重量%以上で20重量%以下とする。硫酸水溶液はアノード分極曲線の測定に際して使用する電解液としては最も実績があるが、5重量%未満では硬さの変化に対する感度が低く、20重量%を越えると測定面の腐食が著しく、測定後に表面を平滑に仕上る必要を生じる場合があるため好ましくない。そこで、硫酸水溶液の水溶液濃度を5重量%以上で20重量%以下とする。
【0018】
工程S2で取得された電位と電流密度との関係から不動態維持電流密度を求めるには、電位を一定速度で変化させながら電流密度を測定する。図2はアノード分極曲線の説明図である。アノード分極曲線は、電位の増加にともなって活性態域Aのピークを過ぎたあと、不動態域B、過不動態域Cへと遷移する曲線を描く。そこで、アノード分極曲線の電位を増加方向に変化させ電流密度がほぼ一定となる不動態域Bでの電流密度を測定する。
【0019】
ここで、評価対象部位の材料の電気化学的特性が既知であって、不動態となる電位の範囲が明かな場合はその間の電位に所定時間の間保持し、そのときの電流値を不動態維持電流とすることが可能である。このとき、保持する電位は、+0.1mVから+0.6mV(SCE)の間の電位とする。保持する電位が+0.1mV(SCE)より低い場合は活性態にかかる危険性が生じ、+0.6mV(SCE)より高い場合は過不動態にかかる危険性が高まるため、+0.1mVから+0.6mV(SCE)の間のある電位に保持する。なお、mV(SCE)は飽和カロメル標準電極SCE(Saturated calomel electrode)に対する電位である。この場合、電位を一定速度で変化させながら電流を測定することを簡略化することができるというメリットがあり、また、活性態域は過不動態域を通過しないため測定面の腐食が少なく、測定の信頼性を高めるために繰返し測定を行い易くなるメリットも生じる。
【0020】
次に、工程S3で得られた不動態維持電流密度から材料特性評価を行うには、材料特性値と不動態維持電流密度との関係を定式化したマスターカーブを用いて評価する。そして、硬さや応力腐食割れ感受性のすべてもしくはいずれかの材料特性値を得る。図3は材料特性値と不動態維持電流密度との関係を定式化したマスターカーブの説明図であり、図3(a)は硬さマスターカーブの説明図、図3(b)は応力腐食割れ感受性マスターカーブの説明図である。硬さマスターカーブは、予め当該評価対象部位を構成する材料の硬さと、ある電位における不動態維持電流密度との相関関係を定量化したマスターカーブである。
【0021】
応力腐食割れ感受性マスターカーブは、予め当該評価部位を構成する材料の応力腐食割れ感受性の材料特性値と、ある電位における不動態維持電流密度との相関関係を定量化したマスターカーブである。評価対象部位で測定された不動態維持電流密度値をこれらのマスターカーブに当てはめることにより材料特性値である材料の硬さや応力腐食割れ感受性を算出する。
【0022】
本発明の第1の実施の形態によれば、原子炉機器の評価対象部位から試験片を採取する代わりに、原子炉機器の評価対象部位のアノード分極曲線をその場で測定し、そのデータから不動態維持電流密度を求め、不動態維持電流密度と材料の硬さまたは応力腐食割れ感受性との関係を直接示すマスターカーブを用いて、材料の硬さや応力腐食割れ感受性測定するので、原子炉機器から評価用の試験片を採取する必要がなく、簡易で迅速に精度の高い原子炉機器の健全性の診断を行うことが可能になる。
【0023】
図4は本発明の第2の実施の形態に係わる原子炉機器の診断方法の工程を示すフローチャートである。この第2の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、原子炉機器の評価対象部位のアノード分極曲線を測定した工程S2の後に、評価対象部位の測定面を機械的または化学的な方法で所定の厚さだけ研磨する工程S21を追加し、この工程を所定の回数だけ繰り返して行う工程S22を追加して設けたものである。図1と同一工程には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0024】
原子炉機器の表面においてアノード分極曲線を測定した工程S2後に、原子炉機器の測定面を機械的または化学的な方法で任意の厚さだけ研磨する(S21)。そして、この面で再度アノード分極曲線を測定し、この工程を所定の回数だけ繰り返す。この方法によって、原子炉機器の表面から深さ方向への硬さまたは応力腐食割れ感受性の変化を推定することができ、原子炉機器の健全性に影響を及ぼす硬化層の深さを明確にすることが可能となる。
【0025】
ここで、同一測定面で再度アノード分極曲線を測定する前に行う研磨は、機械的な研磨でも良いが、機械的な研磨の場合には、アノード分極曲線測定装置を一旦取り外し、研磨後に同一個所へ再び据え付ける必要がある。それに対して、化学的研磨方法は、電解液を例えば硫酸から硝酸へ交換するのみで、同じ装置を用いて研磨を行うことができ、再び電解液を硫酸溶液の戻してアノード分極曲線の測定を行えるという利点がある。
【0026】
本発明の第2の実施の形態によれば、原子炉機器の表面から深さ方向への硬さまたは応力腐食割れ感受性の変化を推定することができ、機器健全性に影響を及ぼす硬化層の深さを明確にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる原子炉機器の診断方法の工程を示すフローチャート。
【図2】本発明の第1の実施の形態でのアノード分極曲線の説明図。
【図3】本発明の第1の実施の形態で使用する材料特性値と不動態維持電流密度との関係を定式化したマスターカーブの説明図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係わる原子炉機器の診断方法の工程を示すフローチャート。
【図5】材料であるステンレス鋼の硬さと応力腐食割れの関係を示すカーブの一例を示す説明図。
【符号の説明】
【0028】
S1…測定装置セット工程、S2…アノード分極曲線測定工程、S3…不動態維持電流密度を求める工程、S4…材料特性評価工程、S5…材料特性値を求める工程




 

 


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