米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 核技術 -> 株式会社東芝

発明の名称 臨界安全性監視方法、臨界安全性監視装置および臨界安全性監視プログラム。
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2005−106611(P2005−106611A)
公開日 平成17年4月21日(2005.4.21)
出願番号 特願2003−340063(P2003−340063)
出願日 平成15年9月30日(2003.9.30)
代理人
発明者 植田 精 / 渡辺 庄一 / 菊池 茂人 / 三橋 偉司 / 吉岡 研一
要約 課題
中性子計数率を監視する臨界安全性監視方法では、警報を発生する必要のない超Pu各種が混入した場合にも警報を発生する。

解決手段
臨界安全性監視方法において、中性子計数率が所定値を越えた場合に、中性子パルスの統計的な性質から即発中性子減衰定数を求め、この即発中性子減衰定数と汎用核計算コードシステムにより求めた全遅発中性子割合と即発中性子寿命とから未臨界度を求め、未臨界度が浅くなった場合に警報を発生させる。
特許請求の範囲
【請求項1】
中性子検出器を用いて中性子計数率を測定するステップと、
前記中性子検出器からの測定時間当りの中性子パルスの数を複数の測定時間について測定するステップと、
測定時間当りの中性子パルスの数の統計的な性質から即発中性子減衰定数を求めるステップと、
汎用核計算コードシステムにより全遅発中性子割合および即発中性子寿命を求めるステップと、
前記即発中性子減衰定数と前記全遅発中性子割合と前記即発中性子寿命とから未臨界度を求めるステップと、
前記中性子計数率が予め設定された値より大きく、かつ前記未臨界度が予め設定された値より小さくなった場合に、スクラム信号を発生するステップと
を有することを特徴とする臨界安全性監視方法。
【請求項2】
中性子検出器を用いて中性子計数率を測定するステップと、
前記中性子検出器からの測定時間当りの中性子パルスの数を複数の測定時間について測定するステップと、
測定時間当りの中性子パルスの数の統計的な性質から即発中性子減衰定数を求めるステップと、
汎用核計算コードシステムにより全遅発中性子割合および即発中性子寿命を求めるステップと、
前記即発中性子減衰定数と前記全遅発中性子割合と前記即発中性子寿命とから未臨界度を求めるステップと、
前記未臨界度から中性子実効増倍率を求めるステップと、
前記中性子計数率が予め設定された値より大きく、かつ前記中性子増倍率が予め設定された値より大きくなった場合に、スクラム信号を発生するステップと
を有することを特徴とする臨界安全性監視方法。
【請求項3】
測定時間当りの中性子パルスの数の統計的な精度が予め設定された値より低い場合にチェッキングソースを前記中性子検出器の測定領域に挿入するステップを
さらに有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の臨界安全性監視方法。
【請求項4】
中性子を検出し電気パルスを発生する中性子検出器と、
前記電気パルスを矩形パルスに変換する計測回路と、
前記矩形パルスから中性子計数率を求めるレートメータと、
前記矩形パルスの数であるパルス計測値を測定するマルチチャネルスケーラーと、
前記マルチチャネルスケーラーに前記パルス計測値の測定時間と測定回数を設定する時間幅測定回数設定手段と、
前記レートメータからの前記中性子計数率が予め設定された値より大きい場合に、前記パルス計測値の測定を開始させる信号を前記時間幅測定回数設定手段に通知するアラーム信号発生手段と、
前記マルチチャネルスケーラーの前記パルス計測値から統計的な値を求める統計計算手段と、
前記統計計算手段による前記パルス計測値の統計的な値から即発中性子減衰定数を求める減衰定数算出手段と、
全遅速中性子割合および即発中性子寿命を求める全遅速中性子割合算出手段と、
前記即発中性子減衰定数と前記全遅速中性子割合と前記即発中性子寿命とから未臨界度を求める中性子実効増倍率算出手段と、
前記未臨界度の値に基づき前記未臨界度から未臨界度が浅くなったと判断した場合に、スクラム信号を発生するスクラム信号発生手段と
を備えたことを特徴とする臨界安全性監視装置。
【請求項5】
中性子検出器からの電気信号が変換された矩形パルスの数であるパルス計測値を測定するマルチチャンネルスケーラーに、前記パルス計測値の測定時間幅と測定回数を設定する時間幅測定回数設定手段と、
前記矩形パルスからレートメータが求めた中性子計数率が予め設定された値より大きい場合に、前記パルス計測値の測定を開始するように前記時間幅測定回数設定手段に通知するアラーム信号発生手段と、
前記パルス計測値の統計的な値を求める統計計算手段と、
前記統計計算手段による前記パルス計測値の統計的な値から即発中性子減衰定数を求める減衰定数算出手段と、
全遅発中性子割合および即発中性子寿命を求める全遅発中性子割合算出手段と、
前記即発中性子減衰定数と前記全遅発中性子割合と前記即発中性子寿命とから未臨界度を求める中性子実効増倍率算出手段と、
前記未臨界度の値に基づき前記未臨界度から未臨界度が浅くなったと判断した場合に、スクラム信号を発生するスクラム信号発生手段と
を、臨界安全性監視手段として計算機に機能させるための臨界安全性監視プログラム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、核分裂性物質を含む物質、あるいは核分裂性物質を含む可能性のある物質を収納する領域の臨界安全性監視に関する。
【背景技術】
【0002】
核分裂性物質を含む物質、あるいは核分裂性物質を含む可能性のある物質を収納する場合には、収納された物質の臨界安全性を監視する必要がある。
【0003】
例えば、収納ラック、使用済燃料輸送容器輸送・貯蔵容器(キャスク)に使用済燃料集合体を収納する場合には、その臨界安全性を監視する方法として、使用済燃料が放出している自発中性子を利用した測定値と計算値を併用して、未臨界度を評価する方法(自発中性子増倍方法)がある(特許文献1参照)。
【0004】
この方法は、測定対象である使用済燃料集合体の燃料タイプ、初期濃縮度、燃焼度、出力密度、冷却時間などの情報を用いて中性子放出率を計算で求め、この中性子放出率と使用済燃料からの自発中性子を測定した中性子束の値(中性子計数率)とを用いて中性子実効増倍率(未臨界度)を求める方法である。
【0005】
また、再処理工程の共除染(核分裂生成物(FP)やキュリウムを除染する工程)、分配工程及び/又は精製工程において、設置されたPu濃度による臨界管理を行う機器へ再処理燃料を収納する場合に、その臨界安全性を監視する方法として、再処理燃料が放出している自発中性子を利用して臨界安全性を監視する方法(自発中性子増倍法)が知られている(特許文献2参照)。
【0006】
この方法は、Pu同位体組成とPu単位重量当りの中性子放出率との関係を計算で求め、再処理燃料に受入れ可能な最大のPu濃度と受入れる再処理燃料のPu同位体組成の範囲から、計測される可能性のある中性子計数率の範囲を計算し、その最小値にさらにバックグラウンド計数などを考慮して中性子計数率の警報値を求め、その警報値と再処理燃料からの自発中性子を計測した中性子計数率を比較して監視するものである。
【特許文献1】特開平1−169393号公報
【特許文献2】特開平4−256897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
自発中性子増倍法において、中性子放出率と中性子計数率を用いて未臨界度を求める場合には、予め測定対象の情報を入手し、中性子放出率を求めておかなければならないという煩雑さがある。
【0008】
また、Pu同位体組成と中性子放出率との関係を用いて、中性子計数率の警報値を求めて監視する方法では、中性子計数率がPu同位体組成、Cm244やAm241などの中性子を放出する超Pu各種の再処理燃料への混入によっても変化するため、極めて低い中性子計数率の警報値としなければならず、本来警報を発する必要がない場合にも、警報が発せられてしまうという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために成された臨界安全性監視方法、臨界安全性監視装置および臨界安全性監視プログラムであり、請求項1記載の臨界安全性監視方法は、中性子検出器を用いて中性子計数率を測定するステップと、中性子検出器からの測定時間当りの中性子パルスの数を複数の測定時間について測定するステップと、測定時間当りの中性子パルスの数の統計的な性質から即発中性子減衰定数を求めるステップと、汎用核計算コードシステムにより全遅発中性子割合および即発中性子寿命を求めるステップと、即発中性子減衰定数と全遅発中性子割合と即発中性子寿命とから未臨界度を求めるステップと、
中性子計数率が予め設定された値より大きく、かつ未臨界度が予め設定された値より小さくなった場合に、スクラム信号を発生するステップとを有することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の臨界安全性監視方法は、中性子検出器を用いて中性子計数率を測定するステップと、中性子検出器からの測定時間当りの中性子パルスの数を複数の測定時間について測定するステップと、測定時間当りの中性子パルスの数の統計的な性質から即発中性子減衰定数を求めるステップと、汎用核計算コードシステムにより全遅発中性子割合および即発中性子寿命を求めるステップと、即発中性子減衰定数と全遅発中性子割合と即発中性子寿命とから未臨界度を求めるステップと、未臨界度から中性子実効増倍率を求めるステップと、中性子計数率が予め設定された値より大きく、かつ中性子増倍率が予め設定された値より大きくなった場合に、スクラム信号を発生するステップとを有することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の臨界安全性監視方法は、請求項1または請求項2に記載の臨界安全性監視方法において、測定時間当りの中性子パルスの数の統計的な精度が予め設定された値より低い場合にチェッキングソースを中性子検出器の測定領域に挿入するステップをさらに有することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の臨界安全性監視装置は、中性子を検出し電気パルスを発生する中性子検出器と、電気パルスを矩形パルスに変換する計測回路と、矩形パルスから中性子計数率を求めるレートメータと、矩形パルスの数であるパルス計測値を測定するマルチチャネルスケーラーと、マルチチャネルスケーラーに前記パルス計測値の測定時間と測定回数を設定する時間幅測定回数設定手段と、レートメータからの前記中性子計数率が予め設定された値より大きい場合に、パルス計測値の測定を開始させる信号を時間幅測定回数設定手段に通知するアラーム信号発生手段と、マルチチャネルスケーラーのパルス計測値から統計的な値を求める統計計算手段と、統計計算手段によるパルス計測値の統計的な値から即発中性子減衰定数を求める減衰定数算出手段と、全遅速中性子割合および即発中性子寿命を求める全遅速中性子割合算出手段と、即発中性子減衰定数と全遅速中性子割合と即発中性子寿命とから未臨界度を求める中性子実効増倍率算出手段と、未臨界度の値に基づき未臨界度から未臨界度が浅くなったと判断した場合に、スクラム信号を発生するスクラム信号発生手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の臨界安全性監視プログラムは、中性子検出器からの電気信号が変換された矩形パルスの数であるパルス計測値を測定するマルチチャンネルスケーラーに、パルス計測値の測定時間幅と測定回数を設定する時間幅測定回数設定手段と、矩形パルスからレートメータが求めた中性子計数率が予め設定された値より大きい場合に、パルス計測値の測定を開始するように時間幅測定回数設定手段に通知するアラーム信号発生手段と、パルス計測値の統計的な値を求める統計計算手段と、統計計算手段によるパルス計測値の統計的な値から即発中性子減衰定数を求める減衰定数算出手段と、全遅発中性子割合および即発中性子寿命を求める全遅発中性子割合算出手段と、即発中性子減衰定数と全遅発中性子割合と即発中性子寿命とから未臨界度を求める中性子実効増倍率算出手段と、未臨界度の値に基づき未臨界度から未臨界度が浅くなったと判断した場合に、スクラム信号を発生するスクラム信号発生手段とを、臨界安全性監視手段として計算機に機能させるための臨界安全性監視プログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、測定対象の情報を用いて中性子放出率を求める必要がないので、簡便であり、本来十分な臨界安全性が確保されている場合に、危険と判断した信号が発生する頻度を低減し、かつ臨界安全性に問題がある場合には、正しく判断して臨界安全性の監視を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本願に係る発明の実施の形態の臨界安全性監視方法は、まず、核分裂性物質を含む物質、あるいは核分裂性物質を含む可能性のある物質を収納する測定領域からの中性子について自発中性子増倍法を用いて測定し、中性子計数率が測定した値より大きい場合にアラーム信号を発生させる。
【0016】
このとき、中性子についての測定およびアラーム信号の発生については、特開平4−256897号公報に開示された発明と同様に行うことができる。
【0017】
ただし、本実施の形態では、アラーム信号の発生により警報を発生させて対応するのではなく、アラーム信号が発生した場合には、中性子の計測結果(中性子パルス)の統計的な性質より即発中性子減衰定数αを求める。このように中性子の計測結果の統計的な性質から即発中性子減衰定数αなどを求める方法は、炉雑音(ノイズ)計測法と呼ばれており、例えば、「炉雑音計測の高度化と新しい応用」研究専門委員会著、「ノイズ ザ リバイバル 炉雑音研究の新しい展開を目指して」日本原子力学会 2001年11月、p.12−56に開示されている。
【0018】
また、別途、汎用核計算コードシステム、例えば、JAERI−Data/Code 96-015(1996)に開示されている「日本原子力研究所 SRAC95;汎用核計算コードシステム」などを用いて全遅発中性子割合βおよび即発中性子寿命lを求める。そして、(1)式により、未臨界度ρを求める。
ρ=β−αl (1)
次に、求められた未臨界度ρを用いて、(2)式から中性子実効増倍率kを求める。
k=1/(l−ρ) (2)
【0019】
求められた中性子実効増倍率kが設定した値より大きい場合、すなわち、未臨界度が浅くなったと判断した場合に、スクラム信号を発生させる。このスクラム信号を発生させることにより、適切な対処方法を講じることができる。
【0020】
また、スクラム信号の発生を、中性子実効増倍率が設定値より大きくなった場合に行う替りに、未臨界度ρが設定した値より小さくなった場合、すなわち、未臨界度が浅くなったと判断した場合に行うようにしてもよい。
【0021】
炉雑音計測法としては、ロッシ・アルファ(Rossi-α)法や、ファインマン・アルファ(Feynman-α)法を用いることができる。
【0022】
ロッシ・アルファ(Rossi-α)法は、時刻t=0に中性子パルスが検出されたとすると、時刻tに中性子パルスが検出される確率P(t)が、一点炉近似のもとで、c,dを定数とした時に、次式で表されることを用いる方法である。
P(t)=c+d・exp(−α・t) (3)
中性子パルスの検出結果から確率P(t)を求め、(3)式にフィッティングするように即発中性子減衰定数αを求めるものである。
【0023】
一方、ファインマン・アルファ法は、中性子パルスの測定時間(ゲート幅)τと中性子計数値の平均およびその分散と即発中性子減衰定数αの関係を用いて求めるものであるが、詳細については後述する。
【0024】
本実施の形態の臨界安全性監視方法によれば、中性子計数率が、Pu同位体組成、Cm244やAm241などの中性子を放出する超Pu各種の再処理燃料への混入により設定した中性子計数率を越えた場合でも、炉雑晋計測法を用いて求めた中性子実効増倍率の増加が確認されなければスクラム信号(警報)が発生されないので、不要な警報の発生を抑制することができる。
【0025】
一方、炉雑音計測法では、中性子計数率が低い場合には統計的精度が不足し、精度の問題により警報が誤って発生されることが考えられる。しかし、本実施の形態の臨界安全性監視方法によれば、中性子計数率が設定値を越えた場合にのみ、炉雑音計測法を用いて求めた中性子実効増倍率の増加を監視してスクラム信号(警報)を発生させるので、上述の精度の問題は解消し、誤った警報が発生することを抑制することができる。
【0026】
したがって、これらの誤った警報の発生を抑制しつつ、中性子実効増倍率が増加し、中性子計数率が増加して未臨界度の余裕が少なくなった場合には、確実にスクラム信号を発生することができる。
【0027】
また、本実施の形態で、解析により求める全遅発中性子βと即発中性子寿命lはU235やPu239,Pu241などの核分裂性物質の量に大きく依存している。一方、中性子放出率は、Pu239などの高次Puや超Pu元素の種別によって変化する。そして、この高次Puや超Pu元素の同位体組成比の解析誤差は、U235やPu239,Pu241などの核分裂性物質の量の解析誤差より大きい。
【0028】
したがって、中性子放出率として解析で求めた値を用いる従来の自発中性子増倍法による臨界安全性監視方法と比較して、本実施の形態で求める全遅発中性子βと即発中性子寿命lは、解析誤差が少ないので、本実施の形態によれば、臨界安全性監視の精度を向上させることができる。
【実施例1】
【0029】
本発明の実施例1に係る臨界安全性監視装置を図1およぴ図2を用いて説明する。図1は、実施例1の臨界安全性監視装置のプロック図であり、図2は、実施例1の臨界安全性監視装置を用いた臨界安全性監視方法のフローを説明するための図である。本実施の形態の臨界安全性監視装置では、ファインマン・アルファ法を用いた場合について説明する。
【0030】
核分裂性物質を含む物質、あるいは核分裂性物質を含む可能性のある物質を収納する燃料領域などの臨界安全性監視が必要な測定領域1に、中性子検出器2を配置する。この測定領域1は、使用済燃料集合体が装荷される使用済燃料収納ラック、キャスクあるいはミキサセトラなどが対象になる。また、測定領域1からの中性子が測定できればよいので、測定領域1の外側、例えば燃料領域の外側に中性子検出器2を配置してもよい。
【0031】
中性子検出器1で中性子が検出されると、電気パルス信号が発生する。通常、1個の中性子を検出すると1個の電気パルスが発生する。この中性子検出器1からの電気パルスは、アンプ3で増幅され、増幅された電気パルスは、計測回路4において電気信号の波形を成形され、矩形パルスに変換される。
【0032】
この計測回路4からの矩形パルスは、レートメータ5に入力され、単位時間当たりのパルス数である中性子計数率が求められる。ここまでの中性子検出器2での電気パルスの発生からレートメータ5で計数率を求めるところまでが、図2に示す中性子計数率計測ステップ(S1)である。以後の説明において、中性子計数率計測(ステップS1)と記載した場合には、同様の動作により測定領域から発生した中性子を中性子計数率として測定することを意味する。
【0033】
レートメータ5で求められた計数率は、計数率表示手段6に送られ、計数率表示手段6において計数率が表示される(ステップS2)。
【0034】
また、レートメータ5で求められた中性子計数率の信号は、計算機7に送られる。計算機7は、通常の計算機が有する入力手段(キーボードやマウスなど)、出力手段(モニタやプリンタなど)、記憶手段(メモリやハードディスクなど)、通信手段(レートメータ5などからの信号の送受信や、他の計算機と情報などの交換を行うネットワークなど)を有しており、計算機7を機能させる各手段は、上記記憶手段などからデータの入力および出カを行うことができる。また、計算機7は、複数の計算機により構成することが可能で、計算機7に機能させる各手段が、異なる計算機で実現されてもよい。また、計算機7に機能させる各手段は、一般的に汎用計算機に計算機プログラムをロードして実現されるが、一部の手段、あるいは全部の手段を専用の装置で実現するように構成することもできる。
【0035】
計算機7に入カされた計数率は、アラーム信号発生手段8で、予め設定されたアラーム信号発生の数値と比較され(ステップS3)、計数率が予め設定された値より大きい場合には、アラーム信号9が発生される。この時、アラーム信号発生手段8は、時間幅測定回数設定手段にアラーム信号の発生を通知する(ステップS4)。アラーム信号発生手段8での設定値などの計数率に基づくアラーム信号の発生に関しては、特開平4−265897に開示された発明と同様に行うことができる。
【0036】
次に、アラーム信号の発生の通知を受けた時間幅測定回数設定手段10は、計算機7の記憶手段に記憶された情報などに基づき、マルチチャネルスケーラー(MCS)l1による測定の回数および1回の測定時間(ゲート幅)τを求め、マルチチャネルスケーラー11に求めた回数および測定時間τを設定する(ステップS5)。回数および測定時間は予めどのように設定するか記憶手段に記憶させておいてもよく、あるいはアラーム信号発生手段8などから計数率を受け取り、その値に基づいて算出するように構成してもよい。
【0037】
次に、マルチチャネルスケーラー11は、測定時間τの間の計測回路4からの矩形パルス(中性子パルスに相当する)の数(パルス計測値)を、設定された回数測定し記憶する。記憶された計測値は、その計測条件ととともに計算機7に送られる(ステップS6)。
【0038】
計算機7の統計計算手段12は、同一の計算条件(同一の測定時間τ)の計測値(測定時問τの間の矩形パルスの数)の平均値naveと分散σを求める(ステップS7)。
【0039】
統計計算手段7は、計算された平均値naveと分散σから次式によりYを求める(ステップ8)。
Y=σ/nave−1 (4)
【0040】
統計計算手段7は、計算機7の記憶手段などに記憶された情報に基づき、複数の測定時間τについての所定のサンプル数の測定が完了したか判断し、完了していない場合には、時聞幅測定回数設定手段10に測定されていない計測値について計測するように通知する。
【0041】
通知を受けた時間幅測定回数設定手段10は、ステップS5の処理に戻って計測値を計測する(ステップS9)。
【0042】
このように、Yは、測定時問τごとに求められ、τとの相関を持つ。そして、Y(τ)は、即発中性子減衰定数αを用いて次式で表すことができる。
Y(τ)=Ysat{1−(1−e−αt)/ατ} (5)
【0043】
所定のサンプル数が終了した場合(ステップS9)に、統計計算手段7から計算機7の記憶手段などを介してYτ(測定時間τのYをYτと表記する)の値が減衰定数算出手段13に引き渡され、減衰定数算出手段13は、このYτの分布が(5)式でフイッティングされるように、即発中性子減衰定数αおよびYsatを求める(ステップS10)。
【0044】
この時、全遅発中性子割合算出手段14は、汎用核計算コードシステムにより全遅発中性子割合βおよび即発中性子寿命lを求める。全遅発中性子割合算出手段14は、減衰定数算出手段13を実行する計算機と別の計算機で実行するように構成してもよいし、予め汎用核計算コードシステムにより計算した全遅発中性子割合βおよぴ即発中性子寿命lをその計算条件とともに計算機7の記憶手段に記憶しておき、減衰定数算出手段13で即発中性子減衰定数αを計算した条件に適合する全遅発中性子割合βおよぴ即発中性子寿命lを、計算機7の記憶手投から引き出すように構成してもよい(ステップSl1)。
【0045】
次に、中性子実効増倍率算出手段15は、減衰定数算出手段13で求めた即発中性子減衰定数αと全遅発中性子割合算出手段14で求めた全遅発中性子割合βおよび即発中性子寿命lを用いて、前述した(1)式により未臨界度ρを算出する(ステップS12)。
【0046】
次に、中性子実効増倍率算出手段15は、求めた未臨界度ρより(2)式により中性子実効増焙率kを求める(ステップS13)。
【0047】
中性子実効増倍率算出手段15により求められた中性子実効増倍率kは、中性子実効増倍率表示手段16に送られ、中性子実効表示手段16では、求められた中性子実効増倍率kを表示する(ステップS14)。
【0048】
また、中性子実効増倍率算出手段15により求められた中性子実効増倍率kは、スクラム信号発生手段I7にも送られる。スクラム信号発生手段17では、求められた中性子実効増倍率kを予め設定された中性子実効増倍率設定値と比較し(ステップS15)、スクラム信号発生手段17により設定された値を越えている場合には、スクラム信号発生手段17によりスクラム信号18が発生される(ステップS16)。
【0049】
中性子実効増倍率の設定値は、測定領域1で越えられたら危険であると判断される中牲子増倍率の値を、設定すればよい。
【0050】
発生したスクラム信号18そのものを警報として用いたり、またスクラム信号18に基づいて警報を発生するように構成することができる。また、スクラム信号18に基づき、測定領域で危険と判断された場合に取るべき処置が開始されるようにすることもできる。例えば、使用済燃料収納ラックあるいはキャスクが測定領域1にある場合、スクラム信号18が発生した時に、使用済燃料収納ラックあるいはキャスクヘの使用済燃料集合体の装荷を禁止するように処置することができる。
【0051】
一方、スクラム信号発生手段17により、中性子実効増倍率が設定された値以下であると判断された場合には、ステップS1に戻って臨界安全監視が継続される。
【実施例2】
【0052】
本発明の実施例2について図3を用いて説明する。実施例1と同一の機器などには同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
使用済燃料集合体28が8行7列で配置できる使用済燃料収納ラック27へ整列して収納されている。使用済燃料収納ラック27が使用済燃料収納キャスクであっても、本実施例を適用することができる。
【0054】
中性子検出器2aおよび中性子検出器2bを、使用済燃料収納ラック27の両側に配置する。中性子検出器2aおよび中性子検出器2bからの電気パルスは、それぞれアンプ3aおよびアンプ3bで増幅される。増幅されたぞれぞれの電気パルスは、混合器19で1つの電気パルスに変換される。例えば、混合器19は、アンプ3aの電気パルスとアンプ3bの電気パルスを受け、それらを加算した電気パルスに変換する。
【0055】
混合器19により変換された電気パルスは、計測回路4に送られ、計測回路4で矩形パルスに変換される。
【0056】
計測回路4以降については実施例1と同様であるので、図3による図示およびその説明については省略する。
【0057】
使用済燃料収納ラック27への使用済燃料集合体28の装荷は、先ず、Fで示す使用済み燃料集合体28を装荷し、それ以降は、F、F、F、F、F、F、F、F、…という順で装荷する。この装荷方法は、検出器周辺の中性子スペクトルを安定させ、かつ増倍率を低くした状態から中性子増倍率を監視しやすいように装荷していく方法である。
【0058】
この時、中性子検出器2aに近い位置に使用済燃料集合体28が装荷された場合には、中性子検出器の中性子計数率は増加する。しかしながら、中性子検出器2aから遠い位置に使用済燃料集合体28が装荷された場合には、中性子検出器の中性子計数率はほとんど増加しない。したがって、使用済燃料集合体28が装荷される場所によって中性子計数率の増加が大きく異なり、この中性子計数率に基づいて使用済燃料収納ラック27の臨界安全性を判断することはできない。
【0059】
一方、中性子検出器2bは、使用済燃料収納ラック27の反対側に配置されているので、使用済燃料集合体が中性子検出器2aに近い位置に装荷された場合には、ほとんど増加せず、使用済燃料集合体が中性子検出器2aに遠い位置に装荷された場合には、その位置は中性子検出器2bに近くなるため、中性手計数率は増加する。すなわち、中性子検出器2aの電気パルスと中性子検出器2bの電気パルスを加算した電気パルスに基づいて中性子計数率を求めれば、使用済燃料集合体の装荷位置による変化を抑制して、中性子計数率を求めることができる。
【0060】
したがって、実施例2によれば、中性子検出器から使用済燃料集合体を装荷する距離が変わった場合にも、その距離の影響を軽減して適切な臨界安全性の監視を行うことができる。
【実施例3】
【0061】
本発明の実施例3について図4ないし図7を用いて説明する。実施例1と同一の機器およぴステップなどには同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
本実施例は、本実施の形態をミキサセトラヘ適用し、即発中性子減衰定数αを算出するための中性子パルスの統計的な値の精度が十分でないと判断された場合に、チェッキングソース(校正線源)、例えばカリフォルニウム252(Cf252)などを挿入して中性子パルスの計測を行うようにしたものである。
【0063】
図4に示すように、ミキサセトラ23は、中性子吸収体(カドミウム)25を挟んで、上部に燃料溶液部24と、下部に中性子検出部26が配置されている。中性子検出部26は、通常中性子減速材29の内部に中性子検出器2が配置されている。そして、統計的な値の精度が十分でないと判断された場合に、チュッキングソース起動装置20によりチュッキングソース19が挿入できる位置が、ミキサセトラ23内に設けられている。
【0064】
中性子計数率の測定(ステップS1)から、中性子パルスの計測値(測定時間τの間の矩形パルスの回数)を用いて即発中性手減衰定数αの計算(ステップS10)までは、実施例1と同様な手段による同様なステップであるので詳細な説明を省略する。
【0065】
本実施例では、減衰定数算出手段13から測定値Yτと即発中性子減衰定数αおよびYsatの値が、計算機7の記憶手段などを介してチェッキングソース挿入信号発生手段21に引渡されると、チェッキングソース挿入信号発生手段21は、フィッテイングされた(5)式と実際の測定値との差Eτを次式から求める(ステップS17)。
τ=Yτ−Ysat{1−(1−e−ατ)/ατ} (6)
【0066】
次に、チェッキングソース挿入信号発生手段21のEτの分散値を求め、Eτの分散値が所定の値より小さい場合に、統計値の精度が十分であると判断する(ステップS18)。
【0067】
τの分散値を求める代わりに、Eτの最大値と最小値の差を求め、その値が所定の値より小さい場合に、統計値の精度が十分であると判断するように構成してもよい。
【0068】
チェッキングソース挿入信号発生手段21で統計値の精度が十分であると判断した蝪合には、中性子実効増倍率算出手段15にそのことを通知する。その後は、実施例1のステップS12以降と同様な処理を行う。なお、全遅発中性子割合算出手段14でのステップ11の処理も実施例1と同様である。
【0069】
チェッキングソース挿入信号発生手段21で統計値の精度が十分でないと判断された場合には、チェッキングソース挿入信号発生手段21は、チェッキングソース起動装置20にチュッキングソース挿入信号を送る。チェッキングソース挿入信号を受けたチェッキングソース起動装置20は、チュッキングソース19をミキサセトラ23の所定位置に挿入する(図7中のステップS19)。
【0070】
チェッキングソース19が、ミキサセトラ23の所定位置に挿入された後に、実施例1のステップ1と同様に中性子計数率を測定し、その計数率が計算機7に送られる(ステップS1)。
【0071】
計算機7のチェッキングソース排出信号発生手段22は、この計数率を計算機7の記憶手段に記憶する(ステップS20)。
【0072】
チェッキングソース排出信号発生手段22は、マルチチャネルスケーラーでの測定を時間幅測定回数設定手段に指示する。その後は、実施例1のステップ5からステップ13までと同様な手段により同様な処理を行う。
【0073】
スクラム信号発生手段17は、中性子実効増倍率が設定された値を越えていると判断した場合には、実施例1のステップI6と同様の処理を行う。
【0074】
一方、スクラム信号発生手段17は、中性子実効増倍率が設定された値以下と判断した場合には、その旨をチュッキングソース排出信号発生手段22に通知する。この時、実施例1のステップ1と同様に新たな計数率が測定され、計算機7に送られる(ステツプSl)。
【0075】
スクラム信号発生手段17からの通知を受けたチュッキングソース排出信号発生手段22では、新にステップ1により計測された計数率を、チェッキングソースを挿入直後に測定した計数率から求められた設定値、例えばチュッキングソースを挿入直後の測定値の0.8倍の値と比較し、この値より新に計測された計数率が小さければ、計数率が減少したと判断する(ステップ21)。
【0076】
計数率が減少したと判断したチェッキングソース排出信号発生手段22は、判断結果をチェッキングソース起動装置20に送り、チュッキングソース起動装置20は、ミキサセトラ23からチェッキングソース19を排出する(ステップ22)。
そして、図6に示す最初のステップS1に戻り、臨界安全性監視が継続される。
【0077】
一方、チェッキングソース排出信号発生手段22は、計数率が減少していないと判断した場合には、マルチチャネルスケーラーでの測定を時間幅測定回数設定手段10に指示し、図7のステップS5に戻り、臨界安全性監視が継続される。
【0078】
本実施例によれば、自発中性子が増加し、中性子計数率が増加しているにも関わらず、計測値(測定時問τの間の矩形パルスの回数)の統計的精度が十分でなく、即発中牲子減衰定数αを精度よく求められない場合であっても、安価で取り扱いの容易なチェッキングソースをミキサセトラに挿入することにより、中性子計数率を増加させ、計測値(測定時間τの間の矩形パルスの回数)の統計的精度および即発中性手減衰定数αの精度を向上させ、結果として監視精度を向上させた臨界安全性の監視を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の臨界安全性監視装置は、自発中性子を用いて臨界安全性監視を行うことができるものであれば適用することができ、例えば再処理工程では、ミキサセトラのみでなく、各種の計量槽、調整槽、蒸発缶、貯蔵槽、濃縮液収納槽、製品貯蔵槽(例えばプルトニウムの粉末あるいは溶液の貯蔵槽)などにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】実施例1の臨界安全性監視装置を説明するブロック図。
【図2】実施例1の臨界安全性監視装置を説明するフロー図。
【図3】実施例2のラック装荷の一例を説明する概略図。
【図4】実施例3のミキサセトラの一例を説明する概略図。
【図5】実施倒3の臨界安全性監視装置を説明するブロック図。
【図6】実施例3の臨界安全性監視装置を説明するフロー図。
【図7】実施例3のチェッキングソースを付加した臨界安全性監視装置のフロー図。
【符号の説明】
【0081】
1…測定領域、2…中性子検出器、3…アンプ、4…計測回路、5…レートメータ、6…計数率表示手段、7…計算機、8…アラーム信号発生手段、9…アラーム信号、10…時間幅測定回数設定手段、11…マルチチャネルスケーラー(MCS)、12…統計計算手段、13…減衰定数算出手段、14…全遅発中性子割合算出手段、15…中性子実効増倍率算出手段、16…中性子実効増倍率表示手段、17…スクラム信号発生手段、18…スクラム信号、19…チェッキングソース(校正線源)、20…チェッキングソース起動装置、21…チェッキングソース挿入信号発生手段、22…チェッキングソース排出信号発生手段、23…ミキサセトラ、24…燃料溶液部、25…中性子吸収体(カドミウム)、25…中性子検出部、27…使用済燃料収納ラック、28…使用済燃料集合体、29…中性子減速材




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013