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発明の名称 制御棒駆動機構
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2005−9982(P2005−9982A)
公開日 平成17年1月13日(2005.1.13)
出願番号 特願2003−173639(P2003−173639)
出願日 平成15年6月18日(2003.6.18)
代理人
発明者 片山 義紀 / 坪田 基司 / 中村 光晴 / 諏訪薗 司
要約 課題
制御棒駆動機構の緩衝装置の材料として充分な材料特性を有し、かつ、熱時効に伴う経年的な劣化が小さい材料のものを用いる。

解決手段
筒状のインデックスチューブ6と、インデックスチューブ内に配されたストップピストン7と、ストップピストン内に挿嵌されたバッファシャフト8と、ストップピストンおよびストップピストンとバッファシャフトとの間に介装されスクラム時にストップピストン内を上昇する筒状のバッファピストン9と、を具備する緩衝装置を有し、制御棒を駆動する沸騰水型原子炉用制御棒駆動機構において、緩衝装置の材料として、重量%で、Crを12%以上、Niを4%以上、Cを0.10%以下、Sを0.01%以下を含み、Moを0.1〜4%添加し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる材料を使用する。
特許請求の範囲
【請求項1】
筒状のインデックスチューブと、前記インデックスチューブ内に配されたストップピストンと、前記ストップピストン内に挿嵌されたバッファシャフトと、前記ストップピストンおよびストップピストンとバッファシャフトとの間に介装されスクラム時に前記ストップピストン内を上昇する筒状のバッファピストンと、を具備する緩衝装置を有し、制御棒を駆動する沸騰水型原子炉用制御棒駆動機構において、
前記緩衝装置の材料として、重量%で、Crを12%以上、Niを4%以上、Cを0.10%以下、Sを0.01%以下を含み、Moを0.1〜4%添加し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる材料を使用したこと、を特徴とする制御棒駆動機構。
【請求項2】
筒状のインデックスチューブと、前記インデックスチューブ内に配されたストップピストンと、前記ストップピストン内に挿嵌されたバッファシャフトと、前記ストップピストンおよびストップピストンとバッファシャフトとの間に介装されスクラム時に前記ストップピストン内を上昇する筒状のバッファピストンと、を具備する緩衝装置を有し、制御棒を駆動する沸騰水型原子炉用制御棒駆動機構において、
前記緩衝装置の材料として、重量%で、Crを12%以上、Niを4%以上、Cを0.10%以下、Sを0.01%以下、Moを0.1〜4%、Cuを2〜5%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、450〜650℃の熱処理によりCuを析出させ強度を向上させた材料を使用したこと、を特徴とする制御棒駆動機構。
【請求項3】
筒状のインデックスチューブと、前記インデックスチューブ内に配されたストップピストンと、前記ストップピストン内に挿嵌されたバッファシャフトと、前記ストップピストンおよびストップピストンとバッファシャフトとの間に介装されスクラム時に前記ストップピストン内を上昇する筒状のバッファピストンと、を具備する緩衝装置を有し、制御棒を駆動する沸騰水型原子炉用制御棒駆動機構において、
前記緩衝装置の材料として、重量%で、Crを12%以上、Niを4%以上、Cを0.10%以下、Sを0.01%以下、Moを0.1〜4%、Alを0.5〜1.5%含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、600〜900℃の熱処理により金属間化合物NiAlを析出させ強度を向上させた材料を使用したこと、を特徴とする制御棒駆動機構。
【請求項4】
筒状のインデックスチューブと、前記インデックスチューブ内に配されたストップピストンと、前記ストップピストン内に挿嵌されたバッファシャフトと、前記ストップピストンおよびストップピストンとバッファシャフトとの間に介装されスクラム時に前記ストップピストン内を上昇する筒状のバッファピストンと、を具備する緩衝装置を有し、制御棒を駆動する沸騰水型原子炉用制御棒駆動機構において、
前記緩衝装置の材料として、重量%で、Crを12%以上、Niを4%以上、Cを0.10%以下、Sを0.01%以下を含み、Moを0.1〜4%添加し、更にNbを0.5〜1.5%含み、600〜900℃の熱処理により金属間化合物NiNbを析出させ強度を向上させたことを特徴とする残部がFeおよび不可避的不純物からなる材料を使用したこと、を特徴とする制御棒駆動機構。
【請求項5】
筒状のインデックスチューブと、前記インデックスチューブ内に配されたストップピストンと、前記ストップピストン内に挿嵌されたバッファシャフトと、前記ストップピストンおよびストップピストンとバッファシャフトとの間に介装されスクラム時に前記ストップピストン内を上昇する筒状のバッファピストンと、を具備する緩衝装置を有し、制御棒を駆動する沸騰水型原子炉用制御棒駆動機構において、
前記緩衝装置の材料として、重量%で、Crを12%以上、Niを4%以上、Cを0.10%以下、Sを0.01%以下、Moを0.1〜4%、Tiを0.5〜1.5%含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、600〜900℃の熱処理により金属間化合物NiTiを析出させ強度を向上させた材料を使用したこと、を特徴とする制御棒駆動機構。
【請求項6】
筒状のインデックスチューブと、前記インデックスチューブ内に配されたストップピストンと、前記ストップピストン内に挿嵌されたバッファシャフトと、前記ストップピストンおよびストップピストンとバッファシャフトとの間に介装されスクラム時に前記ストップピストン内を上昇する筒状のバッファピストンと、を具備する緩衝装置を有し、制御棒を駆動する沸騰水型原子炉用制御棒駆動機構において、
前記緩衝装置の材料として、重量%で、Crを12〜14%、Niを6〜10%、Cを0.10%以下、Sを0.01%以下を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなるマルテンサイト組織とし、フェライト相を含まないことでCrリッチ相形成を抑制した材料を使用したこと、を特徴とする制御棒駆動機構。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の制御棒駆動機構において、前記緩衝装置の材料は、前記バッファシャフト、ストップピストンおよびバッファピストンの少なくとも一部に使用したこと、を特徴とする制御棒駆動機構。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の制御棒駆動機構において、前記緩衝装置の摺動部分に窒化処理を施したこと、を特徴とする制御棒駆動機構。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれかに記載の制御棒駆動機構において、前記緩衝装置の摺動部分に硬質クロムメッキを施したこと、を特徴とする制御棒駆動機構。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、沸騰水型原子炉の制御棒駆動機構に関し、特に、緩衝装置を有する制御棒駆動機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
軽水炉としての沸騰水型原子炉(BWR)の概略構成を図1により説明する。原子炉圧力容器1内に多数の燃料集合体(図示せず)と制御棒3が装荷されて炉心部2が形成されている。多数の燃料集合体は4体1組のセルを構成し、このセル内の十字状空間に十字状の制御棒3が挿入される。
【0003】
制御棒3は制御棒駆動機構(CRD)4により炉心部2へ挿入または引抜き操作されて、その操作設定位置を適宜調整することによって原子炉の出力制御が行なわれる。CRD4は原子炉圧力容器1の下部鏡板に複数配設された制御棒駆動機構ハウジング(CRDハウジング)5内に下方から挿入されて固定される。
【0004】
CRD4の構成とその作用の概要を図2により説明する。すなわち、CRD4はCRDハウジング5内にインデックスチューブ6が昇降自在に収容され、このインデックスチューブ6の頂部に設けた連結部材によって制御棒3とインデックスチューブ6に一体的に連結される。
【0005】
CRD4には、平常時において原子炉出力を所定状態に調整維持するために行なう制御棒3の比較的緩慢な挿入引抜動作(シム動作)と、非常時に原子炉を緊急停止するために行なう制御棒3の急速挿入(スクラム動作)とがある。シム動作、スクラム動作ともに水圧駆動で行なわれる。
【0006】
このスクラム時において制御棒は水圧操作により炉心に急速挿入されるが、挿入の最終位置に来るとできるだけ装置全体に衝撃を与えないで急速に停止する必要があるため、CRD4には緩衝装置が設けられている。
【0007】
図3はCRD4の緩衝装置を示すもので、以下これについて説明する。図3において、6はインデックスチューブであり、このインデックスチューブ6内にはストップピストン7、バッファシャフト8およびバッファピストン9が同心状に挿嵌配置され、バッファピストン9はバッファシャフト8に固設されたバッファスプリング10によってインデックスチューブ6の凹部側に付勢されている。
【0008】
バッファシャフト8には複数の径方向の小孔20および軸方向の小孔22がそれぞれ穿設され、各径方向の小孔20は軸方向の小孔22に連絡している。軸方向の小孔22の下端部はプラグ11によって密閉されている。以上の構成において、スクラム時にはインデックスチューブ6の凹部がバッファピストン9を突き上げる。これにより、バッファピストン9、ストップピストン7およびバッファシャフト8に囲まれた部分の水の圧力は上昇し、この水は、図3の矢印で示すように、バッファシャフト8の小孔20、22を通って、バッファシャフト8とバッファピストン9の間隙から流下する。
なお、原子炉用ステンレス鋼製機器の再利用熱処理法について、特許文献1に記載がある。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−273733号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成を有する制御棒駆動機構の緩衝装置は、スクラム時に高い応力が発生することより、材料として高強度材であるSUS630材を使用している。この材料はCRDの使用環境下では経年的に靭性が低下すると共に、硬さが上昇し応力腐食割れ(SCC)感受性を有することが最近の知見によって明らかになっている。SCCが発生した場合、靭性の低下と相まってスクラム時に発生する衝撃力により緩衝装置が破損する可能性がある。
【0011】
この発明は、上記課題に対処するものであって、制御棒駆動機構の緩衝装置の材料として充分な材料特性を有し、かつ、熱時効に伴う経年的な劣化が小さい材料のものを用いた制御棒駆動機構を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的に沿うものであって、請求項1に記載の発明は、筒状のインデックスチューブと、前記インデックスチューブ内に配されたストップピストンと、前記ストップピストン内に挿嵌されたバッファシャフトと、前記ストップピストンおよびストップピストンとバッファシャフトとの間に介装されスクラム時に前記ストップピストン内を上昇する筒状のバッファピストンと、を具備する緩衝装置を有し、制御棒を駆動する沸騰水型原子炉用制御棒駆動機構において、前記緩衝装置の材料として、重量%で、Crを12%以上、Niを4%以上、Cを0.10%以下、Sを0.01%以下を含み、Moを0.1〜4%添加し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる材料を使用したこと、を特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、筒状のインデックスチューブと、前記インデックスチューブ内に配されたストップピストンと、前記ストップピストン内に挿嵌されたバッファシャフトと、前記ストップピストンおよびストップピストンとバッファシャフトとの間に介装されスクラム時に前記ストップピストン内を上昇する筒状のバッファピストンと、を具備する緩衝装置を有し、制御棒を駆動する沸騰水型原子炉用制御棒駆動機構において、前記緩衝装置の材料として、重量%で、Crを12%以上、Niを4%以上、Cを0.10%以下、Sを0.01%以下、Moを0.1〜4%、Cuを2〜5%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、450〜650℃の熱処理によりCuを析出させ強度を向上させた材料を使用したこと、を特徴とする。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、筒状のインデックスチューブと、前記インデックスチューブ内に配されたストップピストンと、前記ストップピストン内に挿嵌されたバッファシャフトと、前記ストップピストンおよびストップピストンとバッファシャフトとの間に介装されスクラム時に前記ストップピストン内を上昇する筒状のバッファピストンと、を具備する緩衝装置を有し、制御棒を駆動する沸騰水型原子炉用制御棒駆動機構において、前記緩衝装置の材料として、重量%で、Crを12%以上、Niを4%以上、Cを0.10%以下、Sを0.01%以下、Moを0.1〜4%、Alを0.5〜1.5%含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、600〜900℃の熱処理により金属間化合物NiAlを析出させ強度を向上させた材料を使用したこと、を特徴とする。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、筒状のインデックスチューブと、前記インデックスチューブ内に配されたストップピストンと、前記ストップピストン内に挿嵌されたバッファシャフトと、前記ストップピストンおよびストップピストンとバッファシャフトとの間に介装されスクラム時に前記ストップピストン内を上昇する筒状のバッファピストンと、を具備する緩衝装置を有し、制御棒を駆動する沸騰水型原子炉用制御棒駆動機構において、前記緩衝装置の材料として、重量%で、Crを12%以上、Niを4%以上、Cを0.10%以下、Sを0.01%以下を含み、Moを0.1〜4%添加し、更にNbを0.5〜1.5%含み、600〜900℃の熱処理により金属間化合物NiNbを析出させ強度を向上させたことを特徴とする残部がFeおよび不可避的不純物からなる材料を使用したこと、を特徴とする。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、筒状のインデックスチューブと、前記インデックスチューブ内に配されたストップピストンと、前記ストップピストン内に挿嵌されたバッファシャフトと、前記ストップピストンおよびストップピストンとバッファシャフトとの間に介装されスクラム時に前記ストップピストン内を上昇する筒状のバッファピストンと、を具備する緩衝装置を有し、制御棒を駆動する沸騰水型原子炉用制御棒駆動機構において、前記緩衝装置の材料として、重量%で、Crを12%以上、Niを4%以上、Cを0.10%以下、Sを0.01%以下、Moを0.1〜4%、Tiを0.5〜1.5%含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、600〜900℃の熱処理により金属間化合物NiTiを析出させ強度を向上させた材料を使用したこと、を特徴とする。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、筒状のインデックスチューブと、前記インデックスチューブ内に配されたストップピストンと、前記ストップピストン内に挿嵌されたバッファシャフトと、前記ストップピストンおよびストップピストンとバッファシャフトとの間に介装されスクラム時に前記ストップピストン内を上昇する筒状のバッファピストンと、を具備する緩衝装置を有し、制御棒を駆動する沸騰水型原子炉用制御棒駆動機構において、前記緩衝装置の材料として、重量%で、Crを12〜14%、Niを6〜10%、Cを0.10%以下、Sを0.01%以下を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなるマルテンサイト組織とし、フェライト相を含まないことでCrリッチ相形成を抑制した材料を使用したこと、を特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る制御棒駆動機構の実施の形態を説明する。ここで、制御棒駆動機構の各部の構造は、その緩衝装置の材料に関する特徴を除いて従来技術と共通であるので、重複説明は省略する。なお、本明細書において成分元素の含有量を示すパーセンテージは全て重量基準のパーセンテージ(wt%)を示す。析出硬化系ステンレス鋼の経年劣化研究から、Cr含有量が高いほど経年劣化が短時間で生じることが明らかとなった。そのため、経年劣化対策として、従来使用されているSUS630鋼と同等の材料特性を有し、かつ低Crであることが望ましい。
【0019】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施に関わる制御棒駆動機構の緩衝装置の材料は、Crを12%以上含有するステンレス鋼を基本とする。
原子炉水環境に長期間使用した場合における靭性および延性の低下を抑制するためにMoを0.1〜4%添加する。また、MoはCrと共存することにより導電性水中における耐孔食性の向上に寄与する元素である。その効果を発揮させるには0.1%以上の添加が必要である。しかし、その添加量が4%を超えると、材料の脆化の問題が生じるため、添加量の上限を4%とした。
【0020】
Cは強度を向上させる元素であるが、耐食性に悪影響を与える元素でもある。Cは熱処理あるいは溶接熱影響により粒界にCr炭化物を形成し、それに伴い粒界近傍にCr欠乏層を形成し耐食性を低下させる。そのため、Cは0.10%以下にすることが望ましい。
【0021】
Sは溶解時の脱酸剤として不可避的に混入するMnとともに非金属介在物MnSを生成する元素であり、その含有量の増加に伴い耐食性に悪影響を与える。そのため、S含有量を0.01%以下とする。
【0022】
CやSを多く含むと、MnS等の非金属介在物やCの偏析部が生じる。これにより、合金が高温水中に曝されるとこれらの部位とその周囲の組織の間に電位差が生じ非金属介在物およびC偏析部の存在する部位が選択的に腐食する。本発明合金は、このような現象を防止するためにCおよびS含有量を制御する。
Niは4%以上含有することが好ましい。Ni添加により靭性向上および耐食性が向上する。
【0023】
以上述べた元素以外の成分元素(不純物元素)、例えばSi、Mn、P等は通常のJIS規格(JIS G3214)に規定しているレベルに設定して問題ない。
【0024】
第1の実施の形態について説明する。図4は第1の実施の形態に対応する成分を有する本発明材Aと、従来材であるSUS630鋼(従来材D)の化学組成を示し、これらの材料の400℃における時効に伴う衝撃値変化率を図5に示す。本発明材Aは1020℃×1時間+640℃×1時間の熱処理を、従来材Dは1050℃×1時間+580℃×4時間の熱処理を施したのち400℃で時効を行ない、シャルピー衝撃試験を実施した結果である。本発明材Aは、衝撃値変化率の低下が従来材Dに比べ長時間側となっており、経年劣化が抑制されている。
【0025】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施に関わる制御棒駆動機構の緩衝装置の材料は、重量%で、Crを12%以上、Niを4%以上、Cを0.10%以下、Sを0.01%以下を含み、熱時効に伴うCrリッチ相形成を抑制するためにMoを0.1〜4%添加し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。更に強度を向上させるために、Cuを2〜5%添加するか、あるいはAlを0.5〜1.5%添加する、あるいはNbを0.5〜1.5%添加する、あるいはTiを0.5〜1.5%添加する。以下に、強度向上のため添加する元素の含有量の限定理由について説明する。
【0026】
Cuは、450〜650℃で熱処理を行なうと母材中に析出し、いわゆる析出硬化により強度が上昇する。2%以下では析出硬化の寄与が小さく、5%以上では脆化を促進するため2〜5%の添加が望ましい。
【0027】
Alは、600〜900℃で熱処理を行なうと母材中に金属間化合物NiAlとして析出し、いわゆる析出硬化により強度が上昇する。0.5%以下では析出硬化の寄与が小さく、1.5%以上では脆化を促進するため0.5〜1.5%の添加が望ましい。
【0028】
Nbは、600〜900℃で熱処理を行なうと母材中に金属間化合物NiNbとして析出し、いわゆる析出硬化により強度が上昇する。0.5%以下では析出硬化の寄与が小さく、1.5%以上では脆化を促進するため0.5〜1.5%の添加が望ましい。
【0029】
Tiは、600〜900℃で熱処理を行なうと母材中に金属間化合物NiTiとして析出し、いわゆる析出硬化により強度が上昇する。0.5%以下では析出硬化の寄与が小さく、1.5%以上では脆化を促進するため0.5〜1.5%の添加が望ましい。
【0030】
第2の実施の形態について説明する。図4は第2の実施の形態に対応する成分を有する本発明材BおよびCの化学成分をも示し、従来材であるSUS630鋼(従来材D)との400℃における時効に伴う衝撃値変化率を図5に示す。本発明材Bは1038℃×1時間+593℃×4時間の熱処理を、本発明材Bは1038℃×1時間+593℃×4時間の熱処理を、本発明材Cは927℃×1時間+593℃×4時間の熱処理を施したのち400℃で時効を行ない、シャルピー衝撃試験を実施した結果である。本発明材BおよびCは衝撃値変化率の低下が従来材Dに比べ長時間側となっており、経年劣化が抑制されている。
【0031】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施に関わる制御棒駆動機構の緩衝装置の材料は、Crを12〜14%、Niを6〜10%、Cを0.10%以下、Sを0.01%以下を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。以下、各成分元素の含有量の限定理由について説明する。
【0032】
本実施の形態においてCrを12〜14%、Niを6〜10%としたのは、金属組織をフェライト相のないマルテンサイト組織単相にするために決定したものである。フェライト相は、マルテンサイト相に比べCr含有量が高く、スピノーダル分解が生じ易く経年劣化を促進するCrリッチ相を形成しやすいためである。
【0033】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態としては、制御棒駆動機構の緩衝装置部品のうちバッファシャフト8の材料をSUS630鋼から第1ないし第3の実施の形態として記載した材料を使用する。バッファシャフト8は制御棒駆動機構の緩衝装置部品の一つであるが、スクラム動作の終端で衝撃力を受ける。バッファシャフトが破損するとスクラム動作終端で緩衝装置が働かずCRDに衝撃力が加わる。また、最悪の場合、CRDと制御棒の分離の発生、引き抜き動作不可能発生の可能性がある。
【0034】
[第5の実施の形態]
本発明の第5の実施の形態としては、制御棒駆動機構の緩衝装置部品のうちストップピストン7の材料をSUS630鋼から第1ないし第3の実施の形態として記載した材料を使用する。ストップピストン7は制御棒駆動機構の緩衝装置部品の一つであるが、スクラム動作の終端で衝撃力を受ける。ストップピストン7が破損するとスクラム動作終端で緩衝装置が働かずCRDに衝撃力が加わる。
【0035】
[第6の実施の形態]
本発明の第6の実施の形態としては、制御棒駆動機構の緩衝装置部品のうちバッファピストン9の材料をSUS630鋼から第1ないし第3の実施の形態として記載した材料を使用する。バッファピストン9は制御棒駆動機構の緩衝装置部品の一つであるが、スクラム動作の終端で衝撃力を受ける。バッファピストン9が破損するとスクラム動作終端で緩衝装置が働かず制御棒駆動機構に衝撃力が加わる。
【0036】
[第7の実施の形態]
一般に、制御棒駆動機構の緩衝装置部品の摺動部分は高速で金属同士が摺動するため、長期間使用すると磨耗により緩衝装置の性能が低下し、制御棒駆動機構に衝撃力が加わるようになる。そこで、本発明の第7の実施の形態としては、経年劣化対策としてSUS630鋼から第1ないし第3の実施の形態として記載した材料を使用した上、磨耗を防ぐために緩衝装置部品の摺動部分に窒化処理を施す。これにより耐磨耗性を向上させることができる。
【0037】
[第8の実施の形態]
制御棒駆動機構の緩衝装置部品の摺動部分は高速で金属同士が摺動するため、長期間使用すると磨耗により緩衝装置の性能が低下し、制御棒駆動機構に衝撃力が加わるようになる。本発明の第8の実施の形態としては、経年劣化対策としてSUS630鋼から第1ないし第3の実施の形態として記載した材料を使用した上、磨耗を防ぐために緩衝装置部品の摺動部分に硬質クロムメッキを施す。これにより耐磨耗性を向上させることができる。
【0038】
[第9の実施の形態]
制御棒駆動機構の緩衝装置部品の摺動部分は高速で金属同士が摺動するため、長期間使用すると磨耗により緩衝装置の性能が低下し、制御棒駆動機構に衝撃力が加わるようになる。本発明の第9の実施の形態としては、経年劣化対策としてSUS630鋼から第1ないし第3の実施の形態として記載した材料を使用した上、磨耗を防ぐために緩衝装置部品の摺動部分にコルモノイ6(ウォールコルモノイ(Wollcolmonoy)社の規格による自溶合金の商品名)の肉盛を施す。これにより耐磨耗性を向上させることができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、制御棒駆動機構の緩衝装置の材料として熱時効に伴う経年劣化を抑制できる本発明の材料を使用することにより、原子力プラントの寿命中、靭性およびSCC感受性ともに余裕があり、スクラム時に発生する衝撃力により緩衝装置が破損する可能性が低い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る制御棒駆動機構を含む沸騰水型原子炉の概略構成を示す部分立断面図。
【図2】図1の制御棒駆動機構の概略構成を示す立断面図。
【図3】図2の制御棒駆動機構の緩衝装置の概略構成を示す部分立断面図。
【図4】発明材および従来材の化学成分を示す表。
【図5】発明材および従来材の400℃における衝撃値変化率を表すグラフ。
【符号の説明】
1…原子炉圧力容器、2…炉心部、3…制御棒、4…制御棒駆動機構(CRD)、5…制御棒駆動機構ハウジング(CRDハウジング)、6…インデックスチューブ、7…ストップピストン、8…バッファシャフト、9…バッファピストン、10…バッファスプリング、11…プラグ。




 

 


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