米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 電気素子 -> ロデール・ニッタ株式会社

発明の名称 研磨パッドおよび研磨パッドの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2004−311722(P2004−311722A)
公開日 平成16年11月4日(2004.11.4)
出願番号 特願2003−103304(P2003−103304)
出願日 平成15年4月7日(2003.4.7)
代理人
発明者 田中 佑典 / 小向 拓治 / 俵元 友子
要約 課題
スラリの浸透による研磨特性の劣化を効果的に防止することができる研磨パッドおよび研磨パッドの製造方法を提供する。

解決手段
未撥水処理のクッション層30を撥水処理液に浸漬させ、乾燥・キュアしてクッション層3を作製し、クッション層3と研磨層2とを両面テープ2aで貼り合わせたものを研磨パッド1とする。撥水処理液は、撥水剤、浸透剤および水を含み、撥水剤は、少なくともケイ素またはフッ素のいずれかを構成元素として含むオリゴマーまたはポリマーであり、浸透剤は、少なくともアルコール類、グリコール類などの相溶化剤および界面活性剤のいずれかを含む。撥水剤の濃度は、0.02重量%〜50重量%であり、0.1重量%〜10重量%であることが望ましい。浸透剤の濃度は、0.01重量%〜60重量%であり、15重量%〜30重量%であることが望ましい。
特許請求の範囲
【請求項1】
少なくとも、被研磨物と接触する研磨層と、被研磨物に直接接触しない下層とを備え、前記下層に撥水処理が施されていることを特徴とする研磨パッド。
【請求項2】
前記下層は、不織布のクッション層からなることを特徴とする請求項1記載の研磨パッド。
【請求項3】
前記不織布は、樹脂で被覆されていることを特徴とする請求項2記載の研磨パッド。
【請求項4】
前記樹脂の表面に撥水処理が施されていることを特徴とする請求項3記載の研磨パッド。
【請求項5】
前記撥水処理は、オリゴマーまたはポリマーで樹脂の表面を被覆することを特徴とする請求項4記載の研磨パッド。
【請求項6】
前記オリゴマーおよびポリマーは、構成元素に少なくともフッ素またはケイ素のいずれかを含むことを特徴とする請求項5記載の研磨パッド。
【請求項7】
前記撥水処理は、オレフィン系オイルまたはパラフィンで樹脂の表面を被覆することを特徴とする請求項4記載の研磨パッド。
【請求項8】
前記下層は、前記被研磨物の状態を検出する検出装置から出射される光を透過させるための切り欠きを備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の研磨パッド。
【請求項9】
少なくとも、被研磨物と接触する研磨層と、被研磨物に直接接触しない下層とを備える研磨パッドの製造方法であって、
前記下層に用いられる基材に撥水処理液を含浸させる含浸工程と、
撥水処理液を含浸した基材を乾燥する乾燥工程と、
乾燥した基材をキュアするキュア工程とを有することを特徴とする研磨パッドの製造方法。
【請求項10】
前記撥水処理液は、撥水処理剤として、構成元素にケイ素もしくはフッ素を含むオリゴマーもしくはポリマー、またはオレフィン系オイルもしくはパラフィンを含むことを特徴とする請求項9記載の研磨パッドの製造方法。
【請求項11】
前記撥水処理液は、0.02重量%〜50重量%の撥水処理剤を含むエマルジョンまたは溶液であることを特徴とする請求項10記載の研磨パッドの製造方法。
【請求項12】
前記撥水処理液は、浸透剤として、界面活性剤または相溶化剤を含むことを特徴とする9〜11のいずれか1つに記載の研磨パッドの製造方法。
【請求項13】
前記含浸工程は、ディップ処理またはスプレーイングによって含浸させることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1つに記載の研磨パッドの製造方法。
【請求項14】
前記キュア工程は、40℃〜200℃の温度条件で、ヒートロール、熱風の吹きつけ、加熱板による挟持または電熱線によって撥水処理剤を基材に強固に付着および膜化させることを特徴とする請求項9〜13のいずれか1つに記載の研磨パッドの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子などの製造工程において、化学的機械的研磨(Chemical mechanical planarization;CMP)により、シリコンウエハなどの被研磨物の平坦化処理に用いる研磨パッドおよび研磨パッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造の分野では、半導体素子の微細化および多層化による高集積化に伴い、半導体層や金属層の平坦化技術が重要な要素技術となっている。ウエハに集積回路を形成する際、電極配線などによる凹凸を平坦化せずに層を重ねると、段差が大きくなり、平坦性が極端に悪くなる。また段差が大きくなった場合、フォトリソグラフィにおいて凹部と凸部の両方に焦点を合わせることが困難になり微細化を実現することができなくなる。したがって、積層中の然るべき段階でウエハ表面の凹凸を除去するための平坦化処理を行う必要がある。平坦化処理には、エッチングにより凹凸部を除去するエッチバック法、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)などにより平坦な膜を形成する成膜法、熱処理によって平坦化する流動化法、選択CVDなどにより凹部の埋め込みを行う選択成長法などがある。
【0003】
以上の方法は、絶縁膜、金属膜など膜の種類によって適否があることや平坦化できる領域がきわめて狭いという問題がある。このような問題を克服することができる平坦化処理技術としてCMPによる平坦化がある。
【0004】
CMPによる平坦化処理では、微細な粒子(砥粒)を懸濁したスラリを研磨パッド表面に供給しながら、圧接した研磨パッドとシリコンウエハとを相対移動させて表面を研磨することにより、広範囲にわたるウエハ表面を高精度に平坦化することができる。
【0005】
CMPによる平坦化を行うCMP装置は、主に回転定盤部、キャリア部、スラリ供給部およびドレッシング部から構成される。回転定盤部は、その上面に粘着テープなどで研磨パッドが貼り付けられ、下面側は、回転駆動機構と、回転軸を介して接続される。キャリア部は、その下面にバッキング材およびリテーナリングによって被研磨物であるシリコンウエハを保持し、シリコンウエハの加工面を研磨パッドに圧接させる。上面側は、回転駆動機構と、回転軸を介して接続される。
【0006】
スラリ供給部は、シリカ、セリアおよびアルミナなどの粒子を媒体に懸濁させたスラリを研磨パッドの表面に供給する。ドレッシング部は、産業用ダイヤモンド粒子を電着したプレートを備え、研磨屑などが付着した部分を削り取ることで、研磨特性が低下した研磨パッドの表面を再生する。
【0007】
CMP装置は、回転駆動機構によって回転定盤部およびキャリア部を回転させるとともに、研磨パッドの略中央部にスラリを供給し、シリコンウエハと研磨パッドとを相対移動させることでシリコンウエハ加工面の研磨を行う。
【0008】
CMP装置に用いられる従来の研磨パッドでは、研磨の均一性と平坦性とを実現するために、被研磨物と接触する研磨層と、それを支持するクッション層とを両面テープで貼り合わせた2層構造となっている。上記のように研磨時には研磨パッド表面にスラリを供給することになるが、このスラリがクッション層に浸透してしまうことがある。クッション層にスラリが浸透すると、変形率などクッション層の特性が変化し、均一性が低下してしまうという問題がある。これに対し、従来の研磨パッドは、スラリが浸透しないように側面を防水している。特許文献1記載の研磨パッドは、下地層(クッション層)の周側面に防水層を設けている。特許文献2記載の研磨パッドは、研磨パッドを構成する層より吸水率が低い材料で側面を被覆している。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−36097号公報
【特許文献2】
特開2002−79456号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように従来の研磨パッドでは側面からのスラリの浸透を防いでいるが、スラリは側面以外にも研磨層との境界面や、定盤との境界面からも浸透する。クッション層と研磨層との境界、クッション層と定盤との境界はいずれも両面テープで貼り合わせているだけで、スラリが浸透するおそれがある。さらに、わずかでもスラリが境界に浸透すると、両面テープの粘着力が低下し、より境界面からスラリが浸透しやすくなる。このような境界面からのスラリの浸透は、従来の研磨パッドでは防ぐことができない。
【0011】
また、CMP装置では、研磨処理の進捗状況を検出するために、終点検出器(EPD)を備えている。図7は、終点検出の仕組みを示す概略図である。定盤104内部の所定位置に、たとえばレーザ光源および受光センサを含む終点検出器105を設け、レーザ光が通過可能なように、クッション層103の終点検出器105に応じた位置に切り欠き106を設け、研磨層102の終点検出器105に応じた位置に透明な窓107を設ける。終点検出器105から出射されたレーザ光が、シリコンウエハ109で反射し、受光センサで反射光を受光する。終点検出器105は、レーザ光の反射率からシリコンウエハの厚みを検出する。クッション層103にスラリが浸透すると、クッション層103の切り欠き106にスラリが溜まり、レーザ光が屈折、散乱してシリコンウエハの厚み測定精度が低下してしまう。
【0012】
本発明の目的は、スラリの浸透による研磨特性の劣化を効果的に防止することができる研磨パッドおよび研磨パッドの製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも、被研磨物と接触する研磨層と、被研磨物に直接接触しない下層とを備え、前記下層に撥水処理が施されていることを特徴とする研磨パッドである。
【0014】
また本発明は、前記下層は、不織布のクッション層からなることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記不織布は、樹脂で被覆されていることを特徴とする。
また本発明は、前記樹脂の表面に撥水処理が施されていることを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、被研磨物と接触する研磨層と、被研磨物に直接接触しない下層とを備えている。この下層は、樹脂を被覆した不織布からなり、樹脂表面に撥水処理が施されている。
【0017】
これにより、研磨時に供給されるスラリが下層に浸透せず、研磨パッドの研磨特性が劣化することを防止することができる。
【0018】
また本発明は、前記撥水処理は、オリゴマーまたはポリマーで樹脂の表面を被覆することを特徴とする。
【0019】
また本発明は、前記オリゴマーおよびポリマーは、構成元素に少なくともフッ素またはケイ素のいずれかを含むことを特徴とする。
【0020】
また本発明は、前記撥水処理は、オレフィン系オイルまたはパラフィンで樹脂の表面を被覆することを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、下層を構成する樹脂の表面を、少なくともケイ素またはフッ素のいずれかを構成元素に含むオリゴマーまたはポリマーで被覆されている。また、オレフィン系オイルまたはパラフィンで樹脂の表面を被覆してもよい。
これにより、容易かつ効果的に撥水処理を施すことができる。
【0022】
また本発明は、前記下層は、前記被研磨物の状態を検出する検出装置から出射される光を透過させるための切り欠きを備えることを特徴とする
被研磨物の厚みなどを検出する検出装置は、下層側からレーザなどを照射する必要があるため、レーザ光を透過するために下層に切り欠きを設ける。この切り欠きにスラリが溜まると検出精度が低下してしまうが、本発明では、下層に撥水処理が施されているので、検出精度を高精度に保持することができる。
【0023】
また本発明は、少なくとも、被研磨物と接触する研磨層と、被研磨物に直接接触しない下層とを備える研磨パッドの製造方法であって、
前記下層に用いられる基材に撥水処理液を含浸させる含浸工程と、
撥水処理液を含浸した基材を乾燥する乾燥工程と、
乾燥した基材をキュアするキュア工程とを有することを特徴とする研磨パッドの製造方法である。
【0024】
また本発明は、前記撥水処理液は、撥水処理剤として、構成元素にケイ素もしくはフッ素を含むオリゴマーもしくはポリマー、またはオレフィン系オイルもしくはパラフィンを含むことを特徴とする。
【0025】
また本発明は、前記撥水処理液は、0.02重量%〜50重量%の撥水処理剤を含むエマルジョンまたは溶液であることを特徴とする。
【0026】
また本発明は、前記撥水処理液は、浸透剤として、界面活性剤または相溶化剤を含むことを特徴とする。
【0027】
また本発明は、前記含浸工程は、ディップ処理またはスプレーイングによって含浸させることを特徴とする。
【0028】
また本発明は、前記キュア工程は、40℃〜200℃の温度条件で、ヒートロール、熱風の吹きつけ、加熱板による挟持または電熱線によって撥水処理剤を基材に強固に付着および膜化させることを特徴とする。
【0029】
本発明に従えば、含浸工程において、下層に用いられる基材に撥水処理液を含浸させる。浸漬させる具体的な方法としては、ディップ処理やスプレーイングなどを用いることができる。
【0030】
なお、撥水処理液は、撥水剤および溶媒としての水を含み、撥水剤は、構成元素にケイ素もしくはフッ素を含むオリゴマーもしくはポリマーを含む。撥水処理液には、浸透剤を含んでもよく、少なくともアルコール類、グリコール類および界面活性剤のいずれかを含む。
【0031】
撥水剤の濃度は、0.02重量%〜50重量%であることが望ましく、エマルジョンまたは溶液として調整する。
【0032】
次に、乾燥工程およびキュア工程で、撥水処理液に含浸した不織布を乾燥する。具体的には、ヒートロール、熱風の吹き付け、加熱した鉄板で挟持する、電熱による加熱などを用いて乾燥およびキュアを行う。このときの温度条件は、40℃〜200℃であり、100℃〜180℃であることが望ましい。
【0033】
これにより、研磨時に供給されるスラリが下層に浸透せず、研磨特性が劣化しない研磨パッドを製造することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の実施形態である研磨パッドについて説明する。
【0035】
図1は、本発明の実施の一形態である研磨パッド1の断面図である。研磨パッド1は、CMP装置で使用され、回転する定盤4上に載置される。研磨時には、CMP装置のキャリア部に保持されたシリコンウエハなどの被研磨物と圧接され、研磨パッド1およびシリコンウエハの相対移動によって、シリコンウエハ表面を研磨する。
【0036】
研磨パッド1は、図1の断面図に示すように、キャリア部に保持されたシリコンウエハと接触し、研磨を行う上層(研磨層)2と、定盤4に固定される下層(クッション層)3とからなる2層構造を有している。研磨層2とクッション層3とは、PET(Polyethylene Terephthalate)フィルムの両面にアクリル系粘着剤を塗布した両面テープ2aによって貼り合わせられている。また、クッション層3と定盤4とについても同様の粘着テープ3aによって貼り合わせられ、研磨パッド1が定盤4に固定されている。
【0037】
研磨層2は、ポリウレタンなどの発泡性樹脂を発泡硬化させて得られる発泡体で形成される硬質層である。クッション層3は、図2の拡大模式図に示すように、樹脂Rでコーティングしたフェルト繊維Fを用いた不織布からなる軟質層である。樹脂Rには、たとえば、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステルなどが用いられる。スラリがクッション層3に浸透すると、樹脂Rが膨潤するとともに、フェルト繊維F間にスラリが入り、変形率などが変化してしまうので、スラリの浸透を防ぐ必要がある。
【0038】
研磨パッド1は、これらの硬質層および軟質層の組み合わせにより、高精度の平坦化と均一性とを同時に実現している。
【0039】
また上層1の厚みは0.6mm〜2.5mmで形成され、下層の厚みは0.6mm〜1.5mmで形成される。
【0040】
本実施形態では、クッション層3に撥水処理を施しており、スラリが浸透することを防いでいる。撥水処理は、撥水剤を溶媒に可溶化した溶液を撥水処理液として作成し、予め作成しておいた不織布に対してディップ処理、スプレーイングなどを施すことにより、撥水処理液を不織布の内部にまで含浸させ、撥水剤で樹脂の表面を被覆する。なお、溶媒は、用いる撥水剤に応じて、水または有機溶媒から適宜選択すればよい。また、撥水処理液を不織布により含浸させやすくするために、浸透剤を加えてもよい。
【0041】
これにより、側面はもちろん、研磨層2とクッション層3との境界からもスラリが浸透することがない。
【0042】
なお、撥水剤には、少なくともケイ素およびフッ素のいずれかを構成元素として含むオリゴマーまたはポリマー(低分子量でないもの)を用いることが望ましい。また、オレフィン系オイルまたはパラフィンを用いてもよい。浸透剤には、界面活性剤や、水より表面張力が小さい相溶化剤を用いることが望ましい。相溶化剤としては、アルコール類たとえばIPA(イソプロパノール)、グリコール類などが用いられる。
【0043】
本実施形態の撥水処理効果を調べるため、以下のように実験を行った。
まず、クッション層3の撥水効果について実験を行った。
【0044】
撥水剤として、ケイ素を含むポリマーであるアサヒガード(旭硝子社製)を用い、浸透剤として、IPAを用いた。撥水剤濃度が3重量%、浸透剤濃度が20重量%となるように、撥水剤、浸透剤および溶媒である水を混合して撥水処理液を作成した。
【0045】
クッション層としては、Suba400(ロデール・ニッタ社製)を用い、上記の撥水処理液中に浴して撥水処理液を含浸させた。その後、40℃で1時間乾燥し、120℃で5分間熱風によってキュアを行った。
【0046】
また、スラリとしては、ILD1300(ロデール・ニッタ社製)を用いた。ILD1300は、SiO粒子を砥粒とし、NHOHを含むアルカリ水溶液(pH10.75)中にSiO粒子を分散させたものである。
【0047】
撥水処理を施した不織布の小片(縦76.2cm、横76.2cm、厚み1.25cm)をサンプルとしてスラリに浸漬させたところ、168時間までスラリの浸透は見られなかった。比較対照サンプルとして、撥水処理を施していない不織布(Suba400)をスラリに浸漬させたところ、24時間で表面から10mm程度の浸透が見られた。
【0048】
次に、変形率の変化について実験を行った。
図1に示したような2層構造の研磨パッド1を作成し、スラリ浸漬前後の変形率の変化を測定した。
【0049】
研磨層2には、ポリウレタン発泡体からなるIC1000(ロデール・ニッタ社製)を用い、上記と同様の方法で作成したクッション層3と両面テープ2aで貼り合わせて研磨パッド1とした。この研磨パッド1をスラリ(ILD1300)に24時間浸漬させ、浸漬させる前および浸漬させた後の変形率を測定した。ここで変形率とは、L1/L2×100(%)で算出される。L1は、荷重を加える前の初期の厚みで、L2は、所定の荷重を研磨パッドに負荷した後の厚みである。図3のグラフに示すように、撥水処理を施さない場合、スラリ浸漬後の変形率が大きくなっており、変形しやすいことがわかる。これに対して、撥水処理を施した場合、スラリ浸漬の前後で変形率の変化は見られず、変形しにくいことがわかる。なお、スラリはクッション層の外周から中心に向かって浸透するので、スラリの浸透している外周部の変形率を測定した。
【0050】
次に、研磨処理時の研磨パッドの撥水効果について実験を行った。
上記の変形率測定と同様の研磨パッド1を作成し、CMP装置に設置して研磨処理を行い、そのときのクッション層3へのスラリの浸透を調べた。
【0051】
CMP装置の定盤4に、撥水処理を施した研磨パッド1を両面テープ3aで貼り付けて固定し、定盤4の回転速度60rpm、スラリ流量10ml/min、キャリア部22の付加圧力0.49kg/cm、処理時間4時間の条件で研磨処理を行った。
【0052】
実際の研磨処理時であっても、クッション層3へのスラリの浸透は見られなかった。比較対照として、撥水処理を施していないクッション層を用いた研磨パッドについても上記と同じ条件で研磨処理を行ったところ、クッション層へのスラリの浸透が見られた。
【0053】
このように、撥水処理を施したクッション層3を有する研磨パッド1は、スラリが浸透しないため、クッション層3の物性変化がなく、研磨特性の劣化を効果的に防止することができる。また、スラリが浸透しないため、クッション層3に終点検出用の切り欠きを設けても、切り欠きにスラリが溜まることが無いので、検出精度を高精度に保持することができる。
【0054】
以下では、実際に撥水処理が施されたクッション層3を生産する場合の、生産工程について説明する。
【0055】
(1)撥水処理
撥水剤、浸透剤および水を混合した撥水処理液を調整してディップ槽40に満たし、図4(a)に示すように、ローラ41,42で未撥水処理のクッション層30を送り出しながら、撥水処理液に浸漬させる。ローラ41,42によって撥水処理剤をクッション層30の内部にまで含浸させることができる。このときの撥水処理液については以下の濃度で調整すればよい。撥水剤の濃度は、0.02〜50重量%とし、0.1〜10重量%が望ましい。浸透剤の濃度は、0.01〜60重量%とする。なお、浸透剤としてIPAを用いるのであれば5〜60重量%とし、15〜30重量%が望ましい。
【0056】
なお、撥水処理液によるクッション層の浸漬は、ディップ処理に限らず、図4(b)に示すように、撥水処理液をスプレー43でクッション層30の表面全体に散布するスプレーイングなど、クッション層に撥水処理液を含浸できる方法であればよい。さらに、ニップロールでクッション層を挟み、クッション層内部に存在する空気を追い出しながら撥水処理剤を含浸させることで、浸透剤を用いることなく、撥水処理液を十分にクッション層30に含浸させることもできる。
【0057】
なお、撥水処理液への浸漬前に、前処理として、クッション層に対して高圧スプレーによって水をスプレーする、または水蒸気を噴霧するようにしてもよい。クッション層の組成によっては、撥水処理液が浸透し難い場合があるので、前処理を行うことにより、撥水処理液が浸透し易くなるという効果がある。さらに、ディップ処理、スプレーイングの際に、撥水処理液の液温を比較的高温、たとえば25〜100℃にしてもよい。前処理と同じく、撥水処理液が浸透し難い場合に、撥水処理液の液温を比較的高温にすることで、撥水処理液が浸透し易くなるという効果がある。
【0058】
(2)乾燥・キュア
撥水処理液が浸透したクッション層30をニップロールなどで絞り、不要な撥水処理液を除去する。不要な撥水処理液を除去したクッション層30に対し、図5に示すようなヒートロールによって乾燥およびキュアを行う。加熱ローラ44の温度は約120℃とし、加熱ローラ44との接触によって、乾燥と同時にキュアも行う。乾燥およびキュアの温度条件は、40〜200℃で行い、100〜180℃が望ましい。
【0059】
なお、乾燥・キュアは、ヒートロールに限らず、熱風の吹き付け、加熱した鉄板で挟持する、電熱線による加熱など他の方法で乾燥・キュアを行ってもよい。
【0060】
(3)組み立て
乾燥・キュアしたクッション層30を、撥水処理を施したクッション層3として、別途作製した研磨パッド2と両面テープで貼り合わせ、研磨パッド1とする。
【0061】
以上のような工程で作製した研磨パッド1を用いて研磨特性の変化についての実験を行った。
【0062】
CMP装置として研磨機SH−24(speedfam社製)を用い、撥水処理を施した研磨パッド1で研磨処理を行った。
【0063】
研磨対象は、シリコンウエハの酸化膜層とし、スラリにはILD1300を用いた。
【0064】
他の研磨条件は以下のような条件とした。
・ブレークイン
定盤回転速度:59rpm
ダイヤモンドプレート回転速度:28rpm
ダイヤモンドプレート付加圧力:20kgf
・ウエハ研磨
定盤回転速度:60rpm
キャリア本体回転速度:60rpm
キャリア本体付加圧力:0.49kg/cm
・ドレッシング
定盤回転速度:60rpm
ダイヤモンドプレート回転速度:83rpm
ダイヤモンドプレート付加圧力:10kgf
15枚のシリコンウエハに対して研磨処理を行い、5,10,15,20枚目のシリコンウエハについて、研磨レートおよび非均一性の測定を行った。なお、シリコンウエハ1枚ごとにドレッシングを行った。
【0065】
ここで研磨レートとは、単位時間当たりに研磨によって除去されるウエハの表面除去量であり、値が大きいほど特性が優れている。また、非均一性(Non−uniformity;NU)は、STDV/Average×100によって算出され、値が小さいほど加工面の均一性が優れている。NUを算出するには、まず研磨されたシリコンウエハ複数箇所、たとえば49箇所で研磨量を測定する。これらの測定値から標準偏差(STDV)および平均値(Average)を算出し、上記の式にそれぞれの値を代入してNUを算出する。
【0066】
図6は、非均一性の経時変化を示すグラフである。縦軸は非均一性を示し、横軸は、シリコンウエハの処理枚数を示している。また曲線50は、本実施形態である撥水処理を施した研磨パッド1の結果を示し、曲線51は、撥水処理を施していない研磨パッドの結果を示している。
【0067】
シリコンウエハの処理枚数が増加するにつれて、処理時間が経過し、撥水処理を施していない研磨パッドの場合は、クッション層にスラリが浸透して非均一性が増加した。これに対して本実施形態の研磨パッド1は、シリコンウエハの処理枚数が増加しても非均一性が変化せず良好な研磨特性を示した。
また、研磨レートの測定結果については、表1に示す。
【0068】
【表1】


【0069】
研磨レートは、シリコンウエハの処理枚数が増加してもほとんど変化しないことがわかった。
【0070】
以上のように、スラリの浸透を防ぎ、研磨特性の劣化を防止することができる。また、スラリの浸透を防ぐことで、終点検出器を用いる場合であっても検出用の切り欠きにスラリが溜まることが無いので検出精度を高精度に保持することができる。
【0071】
上記では研磨層2とクッション層3とからなる2層構造の研磨パッド1について説明したが、スラリの浸透により研磨特性の低下する層を含んでいれば、3層以上の構造であってもよい。その場合、スラリの浸透により研磨特性の低下する層を複数有する場合は、全ての層に撥水処理を施してもよいし、いずれか1つの層、たとえば研磨層に最も近い層にのみ撥水処理を施してもよいし、複数の層のうちいくつかの層を選択して撥水処理を施してもよい。また、上記では、クッション層として不織布の場合について説明したが、これに限らず、スポンジ状やスエード状でもよい。
【0072】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、研磨時に供給されるスラリが下層に浸透せず、研磨パッドの研磨特性が劣化することを防止することができる。
【0073】
また本発明によれば、容易かつ効果的に撥水処理を施すことができる。
また本発明によれば、被研磨物の厚みなどを検出する検出装置の検出精度を高精度に保持することができる。
【0074】
また本発明によれば、スラリの浸透による研磨特性の劣化を防止した研磨パッドを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本本発明の実施の一形態である研磨パッド1の断面図である。
【図2】クッション層3の拡大模式図である。
【図3】スラリ浸漬による変形率の変化を示すグラフである。
【図4】不織布30の撥水処理液浸漬方法を示す概略図である。
【図5】不織布30の乾燥方法を示す概略図である。
【図6】非均一性の経時変化を示すグラフである。
【図7】終点検出の仕組みを示す概略図である。
【符号の説明】
1 研磨パッド
2 研磨層
2a,3a 両面テープ
3 クッション層
4 定盤
30 未撥水処理クッション層




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013