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発明の名称 気密防水用スライドファスナー
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2004−321547(P2004−321547A)
公開日 平成16年11月18日(2004.11.18)
出願番号 特願2003−121588(P2003−121588)
出願日 平成15年4月25日(2003.4.25)
代理人
発明者 森丘 幸逸 / 市川 伸広
要約 課題
気密性や耐久性が確保されるとともに、強く折り曲げられても容易には剥離しない気密防水用スライドファスナーを提供する。

解決手段
防水性ファスナー(10)の止部(14)の周面部に形成されたフランジ部(14b) の一部は、防水性テープ(11)とそのテープ(11)に取り付けられる装着製品(30)の開閉端部(30a) との間に密着固定するに十分な拡がりを有している。防水性ファスナー(10)が折り畳まれたとき、フランジ部(14b) が防水性テープ(11)と装着製品の開閉端部とにより挟着固定されているため、防水性テープ(11)が直接受ける過大な曲げ応力を緩和する。その部分での防水性テープ(11)の剥離が防止できる。
特許請求の範囲
【請求項1】
略U字状の複数のクランプ素子(16)をもって、複数の噛合素子(15)の噛合頭部(15b) を外部に突出させた状態で、同噛合素子(15)のベース部を気密防水性テープ(11)の一側縁を介して包持して挟持する一対のファスナーストリンガ(17)と、
前記クランプ素子(16)を包持して移動可能に挿通され、前記噛合素子(15)を噛合・離脱させるスライダー(13)と、
各ファスナーストリンガ(17)の端末部に一体に固着され、前記スライダー(13)の移動を停止させる止部(14)と、
を備え、
前記止部(14)がブロック体(14a) からなり、同止部(14)の周面部に前記密防水性テープ(11)に重畳して密着固定されるフランジ部(14b) を有する気密防水用スライドファスナー(10)にあって、
少なくとも前記フランジ部(14b) の周辺部の一部が、前記気密防水性テープ(11)に取り付けられる装着製品の開閉端部に密着固定するに十分な拡がりを有してなる、
ことを特徴とする気密防水用スライドファスナー。
【請求項2】
前記フランジ部(14b) が可撓性を有する材質からなることを特徴とする請求項1記載のスライドファスナー。
【請求項3】
前記止部(14)の周面部が前面部(14a−1) と、後面部(14a−2) と、第1及び第2の側面部(14a−3,14a−4) とから構成された立方形状を有し、前記フランジ部(14b) が前記第1及び第2側面部(14a−3,14a−4) のテープ側端縁から外方に延出されてなることを特徴とする請求項1又は2記載のスライドファスナー。
【請求項4】
前記フランジ部(14b) が前記止部のスライダー当接面側の側面(14a−1) を除く他側面部(14a−2〜4)にわたり連続して設けられてなることを特徴とする請求項1又は2記載のスライドファスナー。
【請求項5】
前記スライダー(13)の最大幅寸法が、前記装着製品(30)の開閉端部(30a) 間に形成される開口幅の寸法よりも小さく設定されてなることを特徴とする請求項1又は2記載のスライドファスナー。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体輸送用の可撓性容器、防護服や潜水服などに適用される気密防水用スライドファスナーに係わり、更に詳しくは、止部の固着強度と気密防水性が確保された気密防水用スライドファスナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば液体輸送用の可撓性容器、防護服、潜水服や海中トンネルなどのような高圧下で気密防水性が厳しく要求される部分などには、気密防水性ファスナーチェーンにスライダー及び止部を取り付けた気密防水用スライドファスナーが多用されている。この種の気密防水用スライドファスナーの一例として、例えば本出願人により先に提案された実公平4−36657号公報に開示されたスライドファスナーがある。
【0003】
このスライドファスナーの務歯の構成要素は、先端に噛合頭部を有する槍形状の噛合素子と略U字状を呈するクランプ素子とを有している。気密防水性テープの一側縁部は、前記噛合素子のフランジを抱え込むようにしてΩ状に折り曲げられ、前記クランプ素子を気密防水性テープの表裏両面から加締めて強固に挟着固定することにより、複数の務歯が気密防水性テープの一側縁部に所要の間隔をもって固着一体化されて、気密防水用のファスナーストリンガが製造される。
【0004】
そうして、気密防水性テープの一端の裏面には裏当片が固着一体化され、所要の長さをもつ一対のファスナーストリンガにスライダが挿通される。同ストリンガの一端に上止具が、その他端に下止具が、それぞれ射出成形により固着一体化されて気密防水用スライドファスナーが得られることになる。これらの上下止具は合成樹脂製の立方形状のブロック体からなる。同ブロック体の下側周面部には幅狭であって薄肉のフランジ部(ひれ片)が周回状に一体に形成されており、同フランジ部は前記ファスナーテープ及び裏当片の境界部に跨がって重畳して密着固定されている。
【0005】
この種の気密防水用スライドファスナーは、例えば可撓性容器の周面部の一部を残して開閉可能に装着される。可撓性容器の開閉端部は、上下止具のフランジ部及びスライダーの設置位置から外側に所要の間隔をもって気密防水性テープ及び裏当片に周回状に高周波溶着や超音波溶着にて密着一体化されて気密防水性が確保される。
【0006】
【特許文献1】
実公平4−36657号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の気密防水用スライドファスナーにあっては、同ファスナーの装着製品、例えば折り畳み可能な可撓性容器は、液体輸送専用車両により特定の液体を輸送する場合、例えば折り畳み可能な可撓性容器に特定の液体を封入して目的地まで輸送し、同目的地において封入された液体を他の容器に入れ換えたのち、不使用時に折り畳まれる。この種の可撓性容器により輸送される液体の多くは各種の飲料液であって、容器は常に清潔で衛生的でなくてはならない。従って、この可撓性容器は、輸送が終えたのち洗浄、殺菌処理等の液体処理、乾燥処理などを行う必要があるが、このとき、前記スライドファスナーの気密防水性テープも同時に止部の周辺部で折り曲げられようとする。
【0008】
図9は、このときのスライドファスナーの折畳み形態を示している。同図はスライドファスナーの折り畳まれる側とは反対側から見た要部の斜視図である。一般的なファスナーストリンガ117の止部114は、上述のようにブロック体114aの下側周面部にわたり連続して一体に形成された幅狭のフランジ部114bを有するため、図9に示すように、折り畳まれる側でフランジ部114bの外側境界部に存在する気密防水性テープ部分111aなどは、前記ブロック体114aとフランジ部114bとの境界部分を中心としてテープ長さ方向に鋭角状に湾曲して折れようとする。このとき、その気密防水性テープ111の一部がフランジ部114bから剥離しやすく、この種の気密防水用スライドファスナーにとって致命的な気密防水性が損なわれることになる。
【0009】
すなわち、例えば可撓性容器30の折畳み時に不用意に大きな折曲げ荷重が加わり、止部114のブロック体114aとフランジ部114bとの間の境界部を中心として気密防水性テープ111を包み込むように回動すると、そのフランジ部114bには、元の状態に戻ろうとする応力が大きく作用し、同時に、同フランジ部114bの外側境界部に存在する気密防水性テープ部分111aには、同フランジ部114bに作用する復元力に抗して強力な曲げ応力が直接作用しているため、その気密防水性テープ部分111aが簡単に剥がれてしまう。この気密防水性テープ111の剥離は、本来の機能である気密防水用スライドファスナー110の気密防水性を喪失させることになる。
【0010】
このように、上記特許文献1に開示された気密防水性スライドファスナーを上述の可撓性容器に開閉可能に装着したときは、可撓性容器の度重なる洗浄、殺菌、乾燥などによる展開・折畳みの繰り返しにより気密防水性スライドファスナーに大きな応力が繰り返し作用する。このため、その止部のフランジ部の外側境界部に存在する気密防水性テープ部分に繰返し荷重がかかると、上述のような剥がれが僅かであったとしても、次第に大きくなり、更に気密防水性がなくなり、液漏れの発生につながるという問題があった。
【0011】
また、ファスナーの他の装着製品、例えば潜水服などの携帯用の装着製品は、不使用時に折り畳まれたり、或いは整理されずに放置され、踏みつけられることがある。このことは、上述のように止部のフランジ部の外側境界部に存在する気密防水性テープ部分に対する直接的な曲げ応力が作用しやすいため、気密防水性を低下させることにつながる。
【0012】
本発明は、上記課題に対してなされたものであり、その具体的な目的は、この種の気密防水用スライドファスナーにあって、その気密性や耐久性が確保されるとともに、その長さ方向に強く折り曲げられても容易には剥離しないスライドファスナーを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
本件請求項1に係る発明は、略U字状の複数のクランプ素子をもって、複数の噛合素子の噛合頭部を外部に突出させた状態で、同噛合素子のベース部を気密防水性テープの一側縁を介して包持して挟持する一対のファスナーストリンガと、前記クランプ素子を包持して移動可能に挿通され、前記噛合素子を噛合・離脱させるスライダーと、各ファスナーストリンガの端末部に一体に固着され、前記スライダーの移動を停止させる止部とを備え、前記止部がブロック体からなり、同止部の周面部に前記気密防水性テープに重畳して密着固定されるフランジ部を有する気密防水用スライドファスナーにあって、少なくとも前記フランジ部の周辺部の一部が、前記気密防水性テープに取り付けられる装着製品の開閉端部と密着固定するに十分な拡がりを有してなることを特徴とする気密防水用スライドファスナーにある。
【0014】
従来の一般的な構成を備える気密防水用スライドファスナーにあって、その気密防水性テープの長さ方向に沿ってテープ面を折り畳むと、既述したように、止部のブロック体とフランジ部との境界部を中心にして回動し、そのフランジ部の外側境界部に存在する気密防水性テープ部分は、テープ長さ方向に鋭く屈曲しようとする。このとき、同フランジ部の外側境界部に存在する気密防水性テープ部分には、同フランジ部に作用する大きく伸ばされるような強力な曲げ応力が直接作用する。このため、折り畳まれた気密防水性テープは、テープ長さ方向に過大な曲げ応力を直接受けて剥がれることになる。
【0015】
そこで、本発明の気密防水用スライドファスナーは、少なくとも前記フランジ部の周辺部の一部が前記気密防水性テープに取り付けられる装着製品の開閉端部を密着固定するに十分な拡がりを有する形態とし、気密防水性テープに対する固着面積を大きくして固着強度を高めるとともに、そのフランジ部及び気密防水性テープの上面部に装着製品の開閉端部を被着一体化して、その固着を更に強固なものとしている。
【0016】
従って、前述のように気密防水用スライドファスナーが折り畳まれたときに、従来と同様に、前記止部のブロック体とフランジ部との間の境界部を中心としてフランジ部の端部がブロック体から離間する方向に大きく回動しても、そのフランジ部の周辺部の一部を気密防水性テープと装着製品の開閉端部との間で挟持して強力に固着されるとともに、フランジ部の端縁周辺にて気密防水性テープと装着製品とが直接一体に溶着されているため、装着製品の開閉端部によりフランジ部に上述のような復元力が抑えられ、気密防水性テープが直接受ける過大な曲げ応力を緩和するようにする。その結果、その部分での前記気密防水性テープの剥離などが効果的に回避されるようになる。
【0017】
前記フランジ部は、請求項2に係る発明のごとく可撓性を有する材質からなることが好適である。前記止部は、前記気密防水性テープに射出成形により固着一体化される。従って、前記止部の材質は、前記気密防水性テープと同一系の弾力性をもつ熱可塑性樹脂であることが好ましい。本発明にあっては、特に限定されるものではないが、軟質のポリウレタン樹脂を使用することが好適である。
上記構成により、前記止部のブロック体とフランジ部との間の境界部を中心として滑らかに大きく湾曲可能とし、同フランジ部の曲げ応力が分散され前記気密防水性テープに対して局部的に過大な曲げ応力が直接作用しないようにする。その結果、前記気密防水性テープ部分の耐久性や固着強度を更に高めることができるようになる。
【0018】
請求項3及び4に係る発明は、上記請求項1又は2にあって止部の更なる具体的な態様を規定している。請求項3に係る発明にあっては、前記止部の周面部が前面部と、後面部と、第1及び第2の側面部とから構成された立方形状を有し、前記フランジ部が前記第1及び第2側面部のテープ側端縁から外方に延出されていることを特徴とし、請求項4に係る発明では、前記フランジ部が前記止部のスライダー当接面側の側面を除く他側面部にわたり連続して設けられていることを特徴としている。
【0019】
これらの発明にあっては、止部の形態を特に規定するものではなく、例えば立方形状の止部、円筒形状の止部、或いは多角形状断面をもつ角筒形状の止部であってもよく、頂面部と、底面部と、それらの頂面部及び底面部を連結する周面部とを有していればよい。なお、ここで立方形状とは単なる方形ではなく、止部のスライダー当接側端面を、スライダーの止具当接側端面と同一曲率をもって、内方に向けて弧状に窪む形態を含んでおり、この場合にはスライダーの止具当接側端面は前記曲率をもって凸面に形成される。この端面の形態の一例として、例えば円弧面が挙げられる。
【0020】
気密防水用スライドファスナーの長さや幅、気密防水性テープのテープ材質、クランプ素子の大きさ、止部の形態、大きさ、構造や素材などに応じてフランジ部の形成位置を適宜に設定することにより、いずれも気密防水用スライドファスナーを長さ方向で折り曲げたとき、そのフランジ部の外側境界部に存在する気密防水性テープの部分的な剥離を効果的に回避することが可能となる。
【0021】
請求項5に係る発明は、前記スライダーの最大幅寸法が、前記装着製品の開閉端部間に形成される開口幅の寸法よりも小さく設定されてなることを特徴としている。
前記スライダーの最大幅寸法W1が、前記装着製品の開閉端部間に形成される開口幅寸法W2に接近しすぎると、必然的に、前記フランジ部の上面部に固着される装着製品の開閉端部がエレメント列側に接近して配されることになる。この場合は、スライダーを操作すると、エレメントの噛合せに伴い弾性変形する気密防水性テープの一部を剛直化させてエレメントの噛合せが円滑に行い難くなるため、好ましくない。そこで、前記スライダーの最大幅寸法W1を前記装着製品の開口幅寸法W2よりも小さく設定することが好適である。スライダー最大幅W1<装着製品開口幅W2の関係をもって前記フランジ部、気密防水性テープ、装着製品を固着一体化すると、気密防水性テープの柔軟性を阻害することなく、スライダーの操作が円滑に且つ容易になされるようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基いて具体的に説明する。
図1は本発明の代表的な実施形態である気密防水用スライドファスナーの上止具を示す斜視図であり、図2は同スライドファスナーの下止具を示す斜視図である。
【0023】
これらの図において、本実施形態の気密防水用スライドファスナー10(以下、単に防水性ファスナー10という。)は、従来と同様に、気密防水性のテープ11、務歯12、スライダー13、上下止具14−1、14−2などから構成されている。気密防水性テープ11はゴム材、合成樹脂シートなどの単独、或いはゴムやエラストマー樹脂が被着された織物などの水密素材からなり、そのテープ11の一側縁部を長手方向に沿って屈曲させて、その側縁部に沿って一定間隔毎に務歯12が固着されている。
【0024】
図示例による務歯12は、別個の部材からなる噛合素子15及びクランプ素子16により構成される。本発明にあっては噛合素子15及びクランプ素子16が一体に形成される場合をも含んでいる。ただし、噛合素子15及びクランプ素子16が別体に構成される場合には、噛合素子の形状の一部が噛合素子15及びクランプ素子16を一体に構成する場合とは異なっている。
【0025】
図3は気密防水用スライドファスナーの噛合部分の一部を切開した要部拡大平面図、図4は図3のIV−IV線の矢視断面図である。これらの図において、単独構成からなる噛合素子15の全体形状は、矩形柱部15aの先端に矩形断面をもつやじり状の噛合頭部15bを有するとともに、その矩形柱部15aの基端に矩形状のフランジ15cを有している。かかる形状の噛合素子15には、図4に示すように、気密防水性テープ11の一側縁部が噛合素子15のフランジ15cを抱え込むようにして折り曲げられ、更にそのテープ本体側とテープ側縁側とを拡開状に折り曲げて、全体の折曲げ断面形状が略Ω状の務歯保持部11bを形成し、その務歯保持部11bにより前記噛合頭部15bを外部に露出可能としている。
【0026】
こうして、噛合素子15のフランジ15c及び矩形柱部15aを包持するように折り曲げられた気密防水性テープ11の務歯保持部11bの周面に沿って、図4に示すようなクランプ素子16を強制的に屈曲変形させることにより、気密防水性テープ11の一側縁部に所要の間隔をもたせて複数の務歯12を固着する。複数個の噛合素子15を一直線状に並べて、各噛合素子15を気密防水性テープ11の一側縁部で包持するには、同テープ11の一側縁部で噛合素子15を包持する前に、多数個の噛合素子15を気密防水性テープ11の一側縁部に沿って一定の間隔をおいて順次並べておく。一方、略U字状に屈曲されるクランプ素子16は、一端の対峙間隔を他端の対峙間隔よりも広くなるように傾斜させた上下一対の板状挟持片16a,16bの他端側を連結部16cをもって連結した屈曲板片から構成されている。
【0027】
前記挟持片16a,16bの連結部16c側とは反対側の各端部には、その対峙方向に突出するリップ部16dが形成されている。また、前記リップ部16dを含めたクランプ素子16の屈曲内面には、その屈曲方向に直線的に延びる複数の凹溝が形成されている。前記クランプ素子16を屈曲変形して気密防水性テープ11に取り付けることにより、務歯12が気密防水性テープ11の一側縁部に沿って固着一体化されて、ファスナーストリンガ17が製造される。所要の長さをもつ一対のファスナーストリンガ17にスライダ13が通され、同ストリンガ17の一端に上止具14−1が、その他端に下止具14−2が、それぞれ固着されて防水性ファスナー10が得られる。
【0028】
前記スライダー13は、図1及び図2に示すように、頂面部と、底面部と、頂面部及び底面部を連結する周面部とから構成された多角形状断面を有するブロック体により構成されており、気密防水性テープ11と同一系の熱可塑性樹脂からなる。スライダー13の内部は、前記周面部の前後の側面部にわたり複数個の務歯12を包持してY字状に案内する導孔13aが形成され、前記噛合素子15を噛合・離脱させる。前記周面部の左右の側面部には引手13bが回動自在に支持されている。
【0029】
以上のファスナー構成は、上止具14−1及び下止具14−2の止部14の構成を除くと、従来と実質的に変わるところがない。従って、本発明は図示例に特に限定されるものではないことは勿論である。従来の止部114の構成は、図9に示したように、その周面部が前面部と、後面部と、第1及び第2の側面部とから構成された合成樹脂製の立方形状のブロック体114aからなり、同ブロック体114aの下側周面部には、幅狭であって薄肉のフランジ部114bが周回状に一体に形成されている。同フランジ部114bは、気密性防水性テープ111と、同テープ111の一端の裏面に固着一体化された裏当片118との境界部に跨がって密着固定されている。
【0030】
これに対して、本実施形態による止部14は気密性能や耐久性の他に、上述のごとく防水性ファスナー10が長さ方向で強く折り曲げられたとき、気密防水性テープ11の一部に剥離を発生させないことを主要な目的としている。本発明の特徴的構成である止部14のフランジ部14bは、前記気密防水性テープ11に取り付けられる図1に一点鎖線で示す装着製品30の開閉端部30aが密着固定するに十分な拡がりを有している。
【0031】
図9に示す従来の防水性ファスナー110にあっては、上述のように気密防水性テープ111の長さ方向に沿ってテープ面を折り畳むと、止部114のブロック体114aとフランジ部114bとの境界部を中心にして回動し、そのフランジ部114bの外側境界部に存在する気密防水性テープ部分111aは、テープ長さ方向に鋭く屈曲しようとする。このとき、フランジ部114bの外側境界部に存在する気密防水性テープ部分111aは、フランジ部114bに作用する復元力に抗して発生する極めて強い曲げ応力を直接受けて、フランジ部114bの角隅部から外方に向けて剥離が始まる。
【0032】
これに対して、本実施形態による止部14の形態は、図1及び図2に示すように、略テープ幅方向の横長環状板形状をなすフランジ部14bが、スライダー当接面側の側面14a −1を除いて他側面部14a −2〜14a −4にわたり連続してブロック体14aから外方に向けて大きく延出されている。この構成により、気密防水性テープ11に対する実質的な固着面積を確保して固着強度を十分に高めている。更に、前記フランジ部14b及び気密防水性テープ11の上面部に装着製品30の開閉端部30aを重畳して溶着一体化することにより、フランジ部14bと気密防水性テープ11との固着を一層強固なものとしている。
【0033】
前記止部14は、前記気密防水性テープ11及びそのテープ11の一部を構成する裏当片18の境界部に跨がって射出成形により固着一体化される。従って、止部14の材質は、気密防水性テープ11や裏当片18と同一系の弾力性をもつ熱可塑性樹脂であることが好ましく、特に好ましくは可撓性を有するポリウレタン樹脂或いは塩化ビニール樹脂などを使用することが好適である。
【0034】
図5は防水性ファスナー10が折り曲げられたときの形態を示している。図示例による防水性ファスナー10は、止部14のフランジ部14bを気密防水性テープ11と装着製品30の開閉端部30aとの間で挟持して強力に固着されるとともに、フランジ部14bの端縁周辺部によって気密防水性テープ11と装着製品30とが直接に溶着一体化され、前記気密防水性テープ部分11aの固着を更に高めている。
【0035】
従って、防水性ファスナー10が折り曲げられると、図5に示すように、前記止部14のブロック体14aとフランジ部14bとの間の境界部を中心として滑らかに大きく湾曲する。このとき、装着製品30の開閉端部30aによりフランジ部14bに既述のような復元力が抑えられ、前記フランジ部14bが曲げ応力を緩和して気密防水性テープ11が直接受ける過大な曲げ応力を抑えている。その結果、フランジ部14bの外側境界部に存在する気密防水性テープ部分11aを大きく伸ばすような強力な曲げ応力を発生せず、そのテープ部分11aが容易に剥離することを防止することができる。
【0036】
更に、前記フランジ部14bの4つの角隅部は円弧面に形成されるとともに、そのテープ側端部には、テープ幅方向の左右一対の凹状の切欠部14c,14cが形成されている。フランジ部14bの4つの角隅部に面取りを形成することにより、防水性ファスナー10が折り畳まれるとき、その折り畳まれる側で隣接する装着製品30の開閉端部30aが圧接しても、フランジ部14bの外側境界部に存在する気密防水性テープ部分11aに発生する引張応力の一部が逃がされ、同テープ部分11aの剥離や裂断をしにくくする。また、フランジ部14bのテープ側端部に前記切欠部14cを形成することにより、フランジ部14bの柔軟性を更に高めることができる。
【0037】
図6はスライダー13の最大幅寸法W1と装着製品30の開閉端部30a間に形成される開口幅寸法W2との関係を示している。同図において、スライダー13の最大幅寸法W1は、スライダー13の左右側面部に回動可能に支持された引手13bの枢軸13b−1の側端面間の寸法幅とされる。スライダー13の最大幅寸法W1は、装着製品30の開口幅寸法W2よりも小さく設定されていることが好ましく、前記フランジ部14bの幅寸法W3はスライダー13の最大幅寸法W1よりも大きく設定することが好適である。
【0038】
このフランジ部14bの幅寸法W3は、特に限定されるものではないが、25〜30mmが好ましい。このような幅寸法W3をもつフランジ部14bを成形するにあたっては、成形樹脂の充填不良を防止すべく、その厚みは、例えば1.2mm以上に設定することが肝要であり、本実施形態では、その厚みを1.5mmとしている。
【0039】
前記フランジ部14bの幅寸法W3がスライダー13の最大幅寸法W1よりも小さく設定され、前記スライダーの最大幅寸法W1が、前記装着製品30の開口幅寸法W2に接近しすぎると、必然的に、前記フランジ部14bの上面部に固着される装着製品30の開閉端部30aが務歯12側に接近して配される。この状態でスライダー13を操作すると、務歯12の噛合せに伴って弾性変形する気密防水性テープ11の一部が剛直化してしまうため、務歯12の噛合せを円滑に行えなくなって好ましくない。
【0040】
従って、前記フランジ部14bの幅寸法W3を25〜30mmとし、その厚みを1.5mmに設定し、スライダー最大幅W1<装着製品開口幅W2の関係をもってフランジ部14b、気密防水性テープ11、装着製品30を上述のように固着一体化すると、気密防水性テープ11の柔軟性を十分に確保することができ、スライダー13の操作が良好に円滑に且つ容易になされる。
【0041】
図7は防水性ファスナー10の止部14の変形例を示している。上記実施形態による止部14のフランジ部14bは、スライダー当接面側の側面14a−1を除いて他側面部14a−2〜14a−4にわたり連続してブロック体14aから外方に向けて延出されているが、その他側面部の全てが必要でない場合もあり、その一部を除くこともできる。この他にも、フランジ部14bの周辺部の一部が、図7に示すように、上止具14−1の第1及び第2の側面部14a−3,14a−4のテープ側端縁から外方に延出された形態を使用することができる。
【0042】
本発明にあっては、止部14の形態を特に規定するものではなく、例えば立方形状の止部、円筒形状の止部、或いは多角形状断面を有する角筒形状の止部であってもよく、頂面部と、底面部と、それらの頂面部及び底面部を連結する側面部14a−1〜14a−4とを有していればよい。防水性ファスナー10の長さや幅、気密防水性テープ11のテープ材質、クランプ素子16の大きさ、止部14の形態、大きさ、構造や素材などに応じてフランジ部14bの形成位置を適宜に設定することにより、いずれも防水性ファスナー10を長さ方向で折り曲げたとき、そのフランジ部14bの外側境界部に存在する気密防水性テープ部分11aの剥離を防止することができる。
【0043】
上記のごとく構成された本発明の防水性ファスナー10は、例えば液体輸送用の可撓性容器、防護服や潜水服などの各種の装着製品に好適に使用することができる。図8は本発明に適用される装着製品の開閉端部を開閉可能に装着した防水性ファスナーの端部取付態様を模式的に示す平面図である。
【0044】
同図において、装着製品本体30に対する防水性ファスナー10の取付方法は、気密防水性を確保するには、縫着による固定ではなく、高周波溶着や超音波溶着によることが好ましく、こうした溶着の場合には互いに親和性が高いほうが溶着強度が高くなることから、同一系の熱可塑性樹脂であることが好ましい。防水性テープ11のコーティング材としてポリウレタン樹脂を使うとともに、例えば装着製品本体30を構成する繊維補強層を被覆する樹脂材料としてポリウレタン樹脂を使うことが好ましい。勿論、本発明にあって、防水性テープ11のコーティング材及び繊維補強層の被覆材料はポリウレタン樹脂に限定されるものではなく、既述した他の熱可塑性合成樹脂材料を使うこともできる。
【0045】
本発明の防水性ファスナー10は、前記止部14のフランジ部14bが気密防水性テープ11に取り付けられる装着製品本体30の開閉端部30aを密着固定するに十分な拡がりを有しているため、装着製品本体30の開閉端部30aは、図8に示すように、クランプ素子16及びスライダー13に所要の間隔をもって前記フランジ部14b及び気密防水性テープ11の上面部に高周波溶着や超音波溶着によって密着一体化することができる。これにより、装着製品本体30の気密防水性が十分に確保される。
【0046】
以上は本発明の好適な実施形態を例示したものであり、例えば止部14のフランジ部14bの一部として、スライダー当接面側の側面14a−1及び他側面部14a−2〜14a−4の全てに具備する必要はなく、防水性ファスナー10の長さや幅、気密防水性テープ11のテープ材質、クランプ素子16の大きさ、止部14の形態、大きさ、構造や素材など他の要因との関係で、フランジ部14bの形成位置、形態、大きさなどを適宜に設定することによっても、本発明の目的を充分に達成することができることは勿論である。従って、本発明は上記実施形態や変形例に限定されないことは当然であり、各請求項に記載した範囲内で様々に設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な実施形態である気密防水用スライドファスナーの上止具を示す斜視図である。
【図2】同スライドファスナーの下止具を示す斜視図である。
【図3】気密防水用スライドファスナーの噛合部分の一部を切開した要部拡大平面図である。
【図4】図3のIV−IV線の矢視断面図である。
【図5】前記スライドファスナーが折り曲げられたときの形態を示す説明図である。
【図6】同スライダーの最大幅寸法W1と装着製品の開閉端部間に形成される開口幅寸法との関係を示す説明図である。
【図7】同止部の変形例を示す要部拡大平面図である。
【図8】本発明に適用される装着製品に対する前記スライドファスナーの取付態様の一例を示す要部平面図である。
【図9】従来の気密防水用スライドファスナーの折畳み形態を示す説明図である。
【符号の説明】
10,110 防水性ファスナー
11,111 気密防水性テープ
11a,111a テープ部分
11b 務歯保持部
12 務歯
13 スライダー
13a 導孔
13b 引手
14,114 止部
14−1 上止具
14−2 下止具
14a,114a ブロック体
14a−1〜4 側面部
14b,114b フランジ部
14c 切欠部
15 噛合素子
15a 矩形柱部
15b 噛合頭部
15c フランジ
16 クランプ素子
16a,16b 板状挟持片
16c 連結部
16d リップ部
17,117 ファスナーストリンガ
18,118 裏当片
30 装着製品
30a 開閉端部




 

 


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