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発明の名称 スライドファスナー用テープ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2004−229729(P2004−229729A)
公開日 平成16年8月19日(2004.8.19)
出願番号 特願2003−19094(P2003−19094)
出願日 平成15年1月28日(2003.1.28)
代理人
発明者 堀川 光雄
要約 課題
伸長回復率Rの差を利用して、エレメント取付後において、エレメント取付縁部が僅かに凹んで湾曲し、テープ主体部が僅かに波打ち状態となる正パッカー形態を有し、縫製後に直線性が確保される織編製のファスナーストリンガーの得られるファスナーテープを提供する。

解決手段
エレメント取付縁部(4) に織り込まれ又は編み込まれた芯紐(7a,7b,17)の外側に隣接して経方向に延在して配されるエレメント取付縁部(4,14)の構成糸条(6a, 6b,16a)の少なくとも一部が、経方向に延在して配される他の全ての構成糸条(6c 〜6n,6o−1,6o−2,16b〜) 及び芯紐(7a,7b,17)に比して、JIS L1096に準じた測定による次式(1)で表わされる大きな伸長回復率Rをもつ糸条である。
特許請求の範囲
【請求項1】
織編成により得られるテープ主体部(5) と、芯紐(7a,7b,17)が織り込まれ又は編み込まれたエレメント取付縁部(4,14)とを有してなるスライドファスナー用テープ(1,11)であって、
前記エレメント取付縁部(4,14)の芯紐(7a,7b,17)の外側に隣接して経方向に延在する構成糸条(6o,6a, 6b,16a,16p) の少なくとも一部が、テープ主体部(5,15)の経方向に延在して配される他の全ての構成糸条(6c 〜6n,6o−1,6o−2,16a〜16n)及び芯紐(7a,7b,17)に比して、JIS L1096に準じた測定された糸長に基づく次式(1)で表される大きな伸長回復率Rをもつ糸条であることを特徴とするスライドファスナー用テープ。
R={(L1−L2)/(L1−L0)}×100 ………(1)
ただし、L0は元の糸長、L1は所定の張力下で引っ張られたときの糸長、L2は無張力下における伸長回復後の糸長を示す。
【請求項2】
前記大きな伸長回復率Rをもつ糸条(6o,6a, 6b,16a,16p) の伸長回復率Rが85%以上である請求項1記載のスライドファスナー用テープ。
【請求項3】
前記伸長回復率Rが、芯紐(7a,7b,17)の外側に隣接して経方向に延在して配されるエレメント取付縁部(4,14)の構成糸条(6o,6a, 6b,16a,16p) 、芯紐(7a,7b,17)、経方向に延在して配される他の全ての構成糸条(6c 〜6n,6o−1,6o−2,16a〜16n)の順で順次小さく設定されてなる請求項1又は2記載のスライドファスナー用テープ。
【請求項4】
前記伸長回復率Rの大きい糸条(6o,6a, 6b,16a,16p) の太さが、テープ主体部(5) の経方向に延在して配される構成糸条(6c 〜6n,6o−1,6o−2,16a〜16n)の単一糸条の太さよりも太く設定されてなる請求項2又は3記載のスライドファスナー用テープ。
【請求項5】
前記伸長回復率Rの大きい糸条(6o,6a, 6b,16a,16p) がナイロン製のマルチフィラメント糸条からなり、経方向に延在する他の全ての構成糸条(6c 〜6n,6o−1,6o−2,16b〜16n)がポリエステル製のマルチフィラメント糸条である請求項1記載のスライドファスナー用テープ。
【請求項6】
前記伸長回復率Rの大きい糸条(6o,6a, 6b,16a,16p) がn−プロパンジオールとテレフタル酸の重縮合体からなるマルチフィラメント糸条であり、経方向に延在する他の全ての構成糸条(6c 〜6n,6o−1,6o−2,16b〜16n)がポリエステル製のマルチフィラメント糸条である請求項3記載のスライドファスナー用テープ。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は織編成により得られるスライドファスナー用テープに関し、具体的には強い引っ張りと多様な熱処理を経てエレメントが取り付けられたファスナーストリンガーがエレメント取付側に僅かに凹んだ、いわゆる正パッカー形態を有し、前記僅かな凹みを縫製時のテープ本体の収縮により吸収して、テープ本体又は被縫製面が波打つことなく、全面が均等に且つ平面的に縫製一体化されるスライドファスナー用テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
スライドファスナー用テープ(以下、ファスナーテープという。)は、その一側縁部に沿って相手方のエレメントと噛合する多数のエレメントが等ピッチで取り付けられ、そのエレメント列にスライダーが挿通されるとともに、エレメント列の端部に上下止具が取り付けられて所要の長さのスライドファスナーが製造されたのち、衣類や各種の袋ものなどに縫製して取り付けられるスライドファスナー専用のテープである。
【0003】
ファスナーテープは、テープ主体部とその一側縁側に設けられるエレメント取付縁部とを有している。このエレメント取付縁部には、各エレメントの取付形態を安定化させると共にその取付強度を増すために、他の経糸よりも太い芯紐が、テープの織成や編成と同時にテープの長手方向に沿って織り込まれ又は編み込まれている。
【0004】
このテープ主体部とエレメント取付縁部との組織及び構造上の違いにより、一般に芯紐が配されるエレメント取付縁部の方がテープ主体部よりも熱収縮率が小さい。その結果、各種の熱処理工程を経たファスナーテープは、テープ主体部が大きく収縮して、エレメント取付縁部が外側に凸となる弓なりの、いわゆる逆パッカーを生じやすい。
【0005】
一方、金属製のエレメントや合成樹脂製のエレメントの取付時には、エレメントの取付ピッチを一定に確保するため、ファスナーテープの特にエレメント取付縁部には大きな張力がかけられ、エレメント取付縁部及びテープ主体部が伸長状態でエレメントが取り付けられる。その結果、張力を解除した後においてもエレメントを取り付けた部分は元の長さに戻らず、ファスナーテープのエレメント取付縁部側が更に外側に大きく飛びだすようになり、上記逆パッカー形態が益々大きくなりやすい。この傾向は、柔軟性と伸縮性とを要求されるスライドファスナーの場合に特に著しい。
【0006】
こうした不具合を解消すべく、例えば特公昭59−51807号公報によれば、二重両面編組織からなるファスナーテープにあって、そのテープ主体部の構成糸条としてテクスチャードヤーンを採用し、エレメント取付縁部にはテープ主体部から連繋する皮糸により被覆された芯紐を配し、その芯紐の沸水収縮率を前記テクスチャードヤーンの沸水収縮率よりも大きい生糸とすることを提案している。
【0007】
かかる構成を採用することにより、熱処理してもエレメント取付縁部とテープ主体部との熱収縮率の差異により、エレメント取付縁部が内側に凹となる湾曲形状、いわゆる正パッカー形態をとるような状況に置かれるが、エレメント取付縁部が収縮しても、テープ主体部の伸縮性がそれに追随して、エレメントの取付け後に直線性が保持されるファスナーストリンガーが得られるというものである。この結果、柔軟で伸縮性に富む被服類などにも馴染んだ状態で取り付け得るようになる。
【0008】
一方、通常の織組織により構成されるファスナーテープにあっては、通常のファスナーテープ素材に使われる非伸縮性糸条を使用すると、織物構造に基づきテープ主体部には伸縮性がないため、一旦ファスナーテープにパッカーが発生すると、ファスナーストリンガーはパッカー形態を直線形態に修正することができず、これを以降の被服などに縫着するとき、縫製が煩雑となるばかりでなく、縫製後に被服などに取付けたスライドファスナーが長手方向にわたって平坦とならず波打ち状態を呈して不良品の発生が多くなる。
【0009】
かかる不具合を解決すべく、例えば特開2002−209613号公報によれば、織成により得られるテープ主体部と芯紐が織り込まれたエレメント取付縁部とを有するスライドファスナー用テープにあって、前記テープ主体部に使用される地経糸は、他の経糸に比べて熱収縮率が低いテクスチャードヤーンから構成し、前記芯紐は高い沸水収縮率をもつマルチフィラメントを有し、前記芯紐の内側に隣接する経糸の沸水収縮率を、前記テープ主体部に使用される地経糸の沸水収縮率よりも高く、前記芯紐の沸水収縮率よりも低いテクスチャードヤーンから構成することを特徴とするスライドファスナー用テープを提案している。
【0010】
このファスナーテープは、織上がり時には、テープ主体部とエレメント取付縁部との織構造の違いにより、エレメント取付縁部が僅かに外側に飛び出て湾曲する逆パッカー形態となっている。かかる形態のファスナーテープに短時間の乾熱セットを行うと、エレメント取付縁部の収縮量とテープ主体部に配される経糸の収縮量は殆ど変わらず、僅かにエレメント取付縁部の収縮量が多くなるため、織上がり時の逆パッカーがなくなり、ファスナーテープ全体がほぼ直線状となる。
【0011】
続く、染色によるファスナーテープの収縮量は、芯紐、芯紐に隣接する経糸、テープ主体部の順に減少して、エレメント取付縁部側が内側に引っ込んだ弓状の正パッカー形態となると同時に、テープ主体部側が波打ち状態となるバイヤスが発生する。この状態で、ファスナーエレメントを取り付けるとき、特にそのエレメント取付縁部に大きな張力がかけられる。従って、エレメント取付時の張力によって、エレメント取付縁部は伸長するが、その伸長は加熱による上記収縮量よりも小さく、エレメント取付縁部を略直線状にする。一方、エレメント取付時にはテープ主体部に伸長が発生しないため、そのバイヤス状態は維持される。
【0012】
このように、ファスナーテープのエレメント取付縁部における芯紐の沸水収縮率を芯紐の内側に隣接する経糸の沸水収縮率よりも大きくして、エレメント取付縁部とテープ主体部との間の熱収縮差を段階的に変化させるため、エレメント取付縁部とテープ主体部との境界領域に段差的な収縮挙動が発生しない。このスライドファスナーを被縫製品に縫製するとき、ファスナーストリンガーのエレメント取付縁部が直線状となっているため、縫製作業が正確にでき、縫製後もスライドファスナーにおいて長手方向にわたって波打ち状態が起らない美麗な製品となるとしている。
【0013】
【特許文献1】
特公昭59−51807号公報
【特許文献2】
特開2002−209613号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、スライドファスナーチェーンを被縫製品に縫製するとき、縫糸の張力により、特に縫製されるファスナーテープに収縮が発生する。そのため、上記特許文献1及び2のごとく、縫製前のスライドファスナーにパッカーが発生しておらず、エレメント列とファスナーテープとが、同一平面に含まれる直線状である場合には、その縫製線に沿ってファスナーテープが波打ち状態となりやすく、特に薄いメリヤス製品や薄織物のように被縫製品が柔軟性に富んでいるときは、その被縫製品もファスナーテープとともに波打ち状態となり、商品価値の低下につながる。
【0015】
本発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであり、具体的な目的は被縫製品の硬軟度に関わらず、美麗な縫製品が得られる織編製のスライドファスナー用のファスナーテープを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
前記目的は、本発明の基本的な構成である、織編成により得られるテープ主体部と、芯紐が織り込まれ又は編み込まれたエレメント取付縁部とを有してなるスライドファスナー用テープであって、前記芯紐の外側に隣接して経方向に延在して配されるエレメント取付縁部の構成糸条が、他の全ての経方向に延在して配される構成糸条及び芯紐に比して、JIS L1096に準じた測定により得られる引っ張りに対する伸長回復率Rの大きな糸条が使われていることを特徴としている。
【0017】
このファスナー用テープは、織り又は編み上り時には、そのテープ主体部とエレメント取付縁部との組織の違いと、テープ主体部及びエレメント取付縁部の構成糸条の伸長回復率Rの違いとにより、エレメント取付縁部が殆ど直線的で、テープ主体部が僅かに波打つ程度の形態となる。このような形態の下で、短時間の乾熱セット及び高温染色を行ったとしても、エレメント取付縁部の収縮量とテープ主体部の経方向に延びる構成糸条の収縮量とが殆ど変わらないときは、織編み上り時の形態は大きくは変わらない。
【0018】
この状態で、ファスナーエレメントを取り付けるとき、ファスナーテープは主体部もエレメント取付縁部も一緒に強く引っ張られることになるが、特にエレメント取付縁部が相対的に強く引っ張られる。このエレメント取付時の張力によって、エレメント取付縁部及びテープ主体部は共に伸長するが、エレメント取付縁部の芯紐の外側に配された構成糸条の伸長回復率Rをテープ主体部の経方向に延在する構成糸条の伸長回復率Rよりも大きくしているため、エレメント取付縁部が元の長さに近づくものの、一方のテープ主体部はその戻りが小さく、エレメント取付縁部側が凹んだ弓状に湾曲する正パッカー形態となり、テープ主体部が波打ち状態となる。
【0019】
このような形態をもつスライドファスナーのファスナーテープ部を被縫製品に縫製すると、この縫製時に発生する縫製収縮によりテープ主体部が平坦となり、被縫製品によく馴染んで縫製されるようになる。すなわち、スライドファスナーの縫製後も長手方向にわたって波打ち状態が起らない美麗な製品が得られる。
【0020】
このときの前記伸長回復率RはJIS L1096に準じて各糸長を測定し、次式(1)をもって求めることができる。しかして、本発明におけるエレメント取付縁部の芯紐の外側に配された構成糸条の伸長回復率Rは、他の構成糸条の伸長回復率Rとの相対的な値となるため、一律には決めがたいが、エレメント取付縁部の芯紐の外側に配された構成糸条の伸長回復率Rが他の材質に比してより高く設定しやすいことから85%以上であることが望ましい。通常のマルチフィラメントやモノフィラメントの伸長回復率Rはせいぜい80%に止まる。
R={(L1−L2)/(L1−L0)}×100 ………(1)
ただし、L0は元の糸長、L1は所定の張力下で引っ張られたときの糸長、L2は無張力下における回復後の糸長を示す。
【0021】
JIS L1096に準じる糸長の測定には、引張試験機又は同等の性能もつ装置を用い、試験片の一端を上部クランプで固定し、他端に初荷重を加え、試験片のクランプ下端から20cmk 位置に印を付ける。次いで、静かに14.7N(1.5kgf)の荷重を加え1時間放置後、印間の長さを計測する。次に荷重を取り除き、30秒後と1時間後に初荷重加えて再び印間の長さを計測し、上記式(1)により伸長回復率R(%)を求め、30秒後と1時間後について、それぞれ3回の平均値を算出する。
【0022】
前記伸長回復率Rは、芯紐の外側に隣接して経方向に延在して配されるエレメント取付縁部の構成糸条、芯紐、テープ主体部の経方向に延在して配される他の全ての構成糸条の順に、順次小さく設定することが好ましい。かかる構成を採用すると、ファスナーテープを均等に伸長させたのちに無荷重の状態におくと、芯紐の外側に隣接して経方向に延在して配されるエレメント取付縁部の構成糸条、芯紐、テープ主体部の経方向に延在して配される他の全ての構成糸条の順で元の長さに戻ろうとして、これらの糸条間に段差なくそれぞれの伸長回復挙動が得られ、エレメント取付縁部側が凹んだ弓状に湾曲する正パッカー形態となり、スライドファスナーを被縫製品に縫製するとき、テープ主体部の波打ち状態が縫製時の収縮を吸収し、縫製作業を容易に且つ正確にでき、縫製後も美麗な製品が得られる。
【0023】
本発明にあって、前記伸長回復率Rの大きい単一糸条の太さは、他の全ての経方向に延在して配される構成糸条の単一糸条の太さよりも太く設定することが望ましい。伸長回復率Rの大きい単一糸条の太さが、他の全ての経方向に延在して配される構成糸条の単一糸条の太さよりも太いと、更に伸長後の回復率が大きくなり、仮にエレメント取付時までの逆パッカー形態が顕著であったとしても、エレメント取付後には僅かな正パッカー形態へと確実に変形させることができるようになる。
【0024】
前記高い伸長回復率Rをもつ糸条の代表的な材質としては、ナイロンやn−プロパンジオールとテレフタル酸との縮重合体を挙げることができ、これらの糸条以外のテープ主体部で経方向に延在する他の全ての構成糸条にポリエステルからなるマルチフィラメントヤーンを使うと、両者の間の伸長回復率Rに顕著な差を与えることができるため好ましい。ここで、織成により得られるファスナーテープの場合には、エレメント取付縁部及びテープ主体部に使われる全ての経糸にテクスチャードヤーンを使うと、目ずれが防止できるため望ましいが、編成によるファスナーテープでは目ずれの心配がないため必ずしもテクスチャードヤーンである必要はない。
【0025】
【発明の実施形態】
以下、本発明の好適な実施形態を図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は本発明の代表的な実施形態であるファスナーテープの織物構造の一例を示している。なお、この図における織物構造は図解するために粗く示しているが、実際には緻密な構造になっている。
【0026】
この種の織成によるファスナーテープ1は、通常、ニードル織機と呼ばれる細幅織機により織成されるため、図1に示すように、経糸による一つの開口内を1本の糸条が往復動して2本が引き揃えられた状態で1組の緯糸2となって緯入れがなされることになる。なお、この図において緯入れされた1組の緯糸2を構成する2本の引き揃えられた糸条2a,2bを上下離間して図示しているが、実際には上下互いに密接している。そして緯糸2の引き返し端に形成されるループ端は、図示せぬべら針を使って次回に作られる図示せぬ緯糸2のループ端と絡まり、ファスナーテープ1の一側縁に耳部を形成する。前記緯糸2のループ端を絡ませて形成される耳部とは反対側の縁部に、図2に仮想線で示すようにファスナーエレメント3が取り付けられる。
【0027】
すなわち、前記ファスナーテープ1は、前記緯糸2のループ端を絡まらせて形成される図示せぬ耳部とは反対側の縁部にあって、前記ファスナーエレメント4が取り付けられるエレメント取付縁部4と、同エレメント取付縁部4から反対側の図示せぬ耳部までのテープ主体部5とを備えている。本実施形態における緯糸2を構成する糸条2a,2bとしては、330dTexのポリエステルからなる細いテクスチャードヤーンが使われている。
【0028】
そして、図示例におけるエレメント取付縁部4の隣接して外側に配される2本の経糸6a,6bには他の経糸6c,6d,6e,…,6m,6nよりも太いナイロンのマルチフィラメントが配され、その2本の経糸6a,6bの内側に隣接して2本の芯紐7a,7bが配されており、更に同芯紐7a,7bの内側に隣接して2本の糸条を引き揃えて1組の経糸を構成するポリエステルのテクスチャードヤーンからなる2組の経糸6c〜6fを配して、エレメント取付縁部4を構成している。
【0029】
更にその内側から前記耳部に到るテープ主体部5には多数の地経糸6g,6h,…,6m,6nが配されている。これらの地経糸6g,6h,…,6m,6nも2本を引き揃えて順次織り込まれる。また、前記エレメント取付縁部4に隣接して外側に配される2本の経糸6a,6bの更に外側に配された2本の細い経糸6o−1,6o−2は、エレメント取付縁部4の端縁の形態を保持する機能を有している。なお本実施形態によれば、芯紐7a,7bを除く全体組織は、経緯糸を2本一組とすると平織り組織となっている。
【0030】
因みに、本実施形態によるファスナーテープ1のエレメント取付縁部4にあって隣接して外側に配される2本の伸長回復率Rの高い2本の経糸6a,6bには、それぞれ470dTexの太さをもつナイロン製のマルチフィラメントから構成され、2本の芯紐7a,7bは、それぞれが生糸からなる560dTexの3本のポリエステル製のマルチフィラメント糸を芯材として、その周囲を267dTexの編糸で被覆されたものが使われており、エレメント取付縁部4のテープ主体部側の各経糸6c,6d,…,6m,6nには330dTexのポリエステルからなるテクスチャードヤーンが使われている。更に、エレメント取付縁部4の最も外側に配された細い2本の経糸6o−1,6o−2には、235dTexのポリエステルからなるテクスチャードヤーンが使われている。
【0031】
本発明にあって、ファスナーストリンガー製造時に逆パッカーを生じさせず、反対に僅かにエレメント取付縁部4が凹んで湾曲する正パッカー形態とするには、前記芯紐7a,7bの外側に隣接して配された経糸6a,6bが、ファスナーエレメントの射出時及び染色工程における液圧によっても伸長しないことが肝要である。上記2本の伸長回復率Rの高い2本の経糸6a,6bの伸長回復率Rは94.3%であり、テープ主体部側に配された経糸6c,6d,…,6m,6nの伸長回復率Rは67.0%、芯紐7a,7bの伸長回復率Rは73.1%と、エレメント取付縁部の外側に隣接する2本の経糸6a,6b、芯紐7a,7b、テープ主体部側に配された経糸6c,6d,…,6m,6nの順で、伸長回復率Rが順次小さくなっている。
【0032】
更に、上記芯紐7a,7bは沸水収縮率が15%と、他の糸条と比較して極めて大きくして、熱セット収縮を従来の5%から7%へと大幅に増加させている。なお、エレメント取付縁部4の最も外側に配された細い2本の経糸6o−1,6o−2の伸長回復率Rも、テープ主体部側に配された経糸6c,6d,…,6m,6nの伸長回復率Rと同様である。
【0033】
本発明にあって、ファスナーストリンガーの製造時に逆パッカーが生じないようにするには、前記芯紐7a,7bは、高収縮性が確保でき、しかもファスナーテープ1の染色工程通過後のエレメント取付縁部4側のテープ伸度を小さく抑えて、図示せぬファスナーエレメントの射出時に芯紐部分が伸長しないようにすることも肝要である。そのため、前記芯紐7a,7bの構造を、例えば実公昭55−21605号公報にも開示されている芯紐構造と同様に、芯材の周囲を囲んで、複数本の編糸からなるシンカーループを互いに交差させて得られる編チューブをもって被覆している。同時に本実施形態では、前記芯材に330dTex×2本のポリエステル製の生糸マルチフィラメントを使用しており、その沸水収縮率を15%と高い収縮率に設定している。
【0034】
本実施形態における以上の織構造と異種の使用経糸を採用することにより、所定の熱処理工程を経るごとに、ファスナーテープ1は図3A〜図3Eに示すごとき形態の変化が生じ、射出による高温下でのエレメント取付時には、ファスナーストリンガー8の、特にエレメント取付縁部4側に僅かに凹んで湾曲する正パッカーを発生させた形態が得られ、相手方の被縫製品に対する縫製時に生じるファスナーテープの収縮により、その僅かな波打ち状態が是正され、容易に美麗な縫製形態が得られる。
【0035】
これを図3に基づいて具体的に説明すると、まず織上がりのファスナーテープ1は、全ての経糸6o−1,6o−2,6a,6b,…,6m,6n及び芯紐7a,7bが同一張力で織成されると仮定すると、高い伸長回復率Rをもつ経糸6a,6bは殆どもとの長さに戻るものの、他の経糸6o−1,6o−2,…,6m,6n及び芯紐7a,7bは元の長さに戻り切れず、全体としては同図のAに示すようにエレメント取付縁部4側が内側に僅かに凹む弓状の正パッカー形態となって織成される。しかし、この織上がり時には、エレメント取付縁部4とテープ主体部5との糸使いと組織の相違により、エレメント取付縁部4はほぼ直線状であり、テープ主体部5には微小な波打ち状のバイヤスが生じている程度である。
【0036】
こうして得られるファスナーテープ1には染色が施される。この染色は、通常ファスナーテープ1を図示せぬ染色ビームに巻き付けられ、ビームごと染色機中を循環する染色液に浸漬され、高温状態で染色される。従って、ファスナーテープ1がビームに均等に巻き付けられないと均一な染色ができなくなる。そこで、上述のごとく製織上がりのパッカー形態を有するファスナーテープ1に乾熱下で一旦熱セットがなされる。このとき、ファスナーテープ1には一様の張力がかけられて、直線状に熱セットされ、ビームへの一様な巻き付けが確保される。
【0037】
染色はこの織上がりテープを、例えば180℃の乾熱下で1分間の熱セットを行うと、芯紐7a,7bが収縮するが、この熱セットの処理時間が短いため、図3のBに示すように、芯紐7a,7bは未だ完全には収縮しきらず、熱セット時のエレメント取付縁部4におけるテープ主体部5との収縮差は極めて僅かであり、テープ主体部5のバイヤスも殆ど顕在しない。
【0038】
次いで、前記ファスナーテープ1を130℃の高圧染色液中に浸漬して40分間の染色を行うと、エレメント取付縁部4が最も収縮し、次いで芯紐7a,7bの順に収縮してテープ主体部5との間の収縮差が生じ、図3のCに示すように、正パッカー形態が明確となり、同時にテープ主体部5には波打ち状のバイヤスが生じることが目視でも分かるようになる。
【0039】
染色に続いて、ファスナーエレメントEが高温下で射出成形され、ファスナーテープ1のエレメント取付縁部4に一体化される。この射出成形時はファスナーテープ1を直線状にするため均一の張力がかけられ、エレメント取付縁部4に最も大きな張力が作用して伸長する。成形が終了して張力が開放されると、エレメント取付縁部4のエレメント取付部分の伸長は回復されないもののエレメント間のテープ部分は大きく伸長か回復する。このとき芯紐7a,7b及びテープ主体部5の伸長回復は小さく、その伸長回復率Rの違いにより、芯紐7a,7bの外側に隣接する経糸6a,6b、芯紐7a,7b、テープ主体部側の経糸6c,6d,…,6m,6nの順に元の長さに戻ろうとする。そのため、芯紐7a,7bの外側に隣接する経糸6a,6bが最も元の長さまで回復し、テープ主体部側の経糸6c,6d,…,6m,6nの回復量が最も少ない。その結果、製造を終えたファスナーチェーン9は、図3のDに示すように、エレメント取付縁部4が直線状となり、テープ主体部5の波打ちが目立つようになる。
【0040】
こうして製造されたファスナーストリンガー8にスライダーが通され、上下止具が取り付けられたスライドファスナーを被縫製品9に縫製するとき、通常であれば縫製収縮により縫製部が波打ってしまうが、本実施形態によるスライドファスナーにあっては、テープ主体部5が波打ち状態にあるため、縫製時に被縫製品九の硬軟に関わらず被縫製品によく馴染み、容易に縫製ができるようになるばかりでなく、縫製後の製品10も、図3のEに示すように、美麗に仕上げることができる。特に柔軟な被縫製品に対しては好適である。
【0041】
図4は上記実施形態と同様に織成して得られるファスナーテープ1の変形例を示している。この変形例では、エレメント取付縁部4に織り込まれる芯紐7a,7bの組織は上記実施形態と同じであるが、同芯紐7a,7bの外側に隣接して配される2本の高い伸長回復率Rをもつ経糸6a,6bがテープ面の表裏方向に並んで配されるとともに、上記実施形態ではエレメント取付縁部4の最も外側に配された細い繊度をもつ2本の経糸6o−1,6o−2を排除した変則袋織からなる。
【0042】
また、本変形例にあってエレメント取付縁部4の伸長回復率Rの高い経糸6a,6bには、上記実施形態と同様の高い伸長回復率Rをもつn−プロパンジオールとテレフタル酸の重縮合体からなるテクスチャードヤーンが使われ、テープ主体部5の経糸6c,6d,…,6m,6nには上記実施形態と同様に伸長回復率Rが前記経糸6a,6bよりも小さいポリエステル製のテクスチャードヤーンが使われている。因みに、前記n−プロパンジオールとテレフタル酸の重縮合体から得られる糸条(旭化成 (株) 製)の伸長回復率Rは88%、伸度は36〜37%程度とポリエステルやナイロン66に較べると極めて大きい。
【0043】
図5は、上記実施形態の更なる変形例を示している。この変形例によれば、エレメント取付縁部4を袋織り4aとして、その袋織り部分に1本の太い芯紐7を挿入しており、更に前記袋織り4aの最も外側に配される糸条に、他の経糸6c,6d,…,6m,6nよりも伸長回復率Rが大きく太いナイロン製の3本のマルチフィラメントからなる経糸6o,6a,6bを配している。他の経糸6c,6d,…,6m,6nの材質は、上記実施形態と同様にポリエステルが使われている。
【0044】
これらの変形例にあっても、上記実施形態と同様に、エレメント3を取り付けたのちのファスナーストリンガー8は、エレメント取付縁部4が僅かに凹んだ正パッカー形態となり、縫製後の製品形態を美麗に仕上げることができる。またこれらの変形例では、伸長回復率Rが他の経糸6c,6d,…,6m,6nのそれよりも高い経糸2〜3本の6a,6b(6o)を、エレメント取付縁部4の最も外側に配しているため、伸長後に元の長さに戻ろうとするときの挙動が周辺組織に影響されにくくなり、所期の回復量が得られやすくなって、確実に正パッカー形態を得ることができる。
【0045】
図6は、本発明の第2実施形態を示している。この実施形態によるファスナーテープ11は経編製のテープである。同図に示す構成糸条の配置を粗く示しているが、実際にはもっと緻密に編まれている。このファスナーテープ11も、上述の第1実施形態と同様に、多数のエレメント3が等ピッチで取り付けられるエレメント取付縁部14と、図示せぬ被縫製品に縫製されるテープ主体部15とを備えている。本実施形態にあっては、全てのウェールに鎖編糸16a,16b,…,16m,16nが配され、隣接する鎖編糸16a,16b,…,16m,16nのニードルループに0−0/3−3の緯糸12aが順次挿入されており、前記エレメント取付縁部14の鎖編糸16a,16bの間に1本の芯紐17を配し、この緯糸12aと3−3/0−0の緯糸12bとを表裏で交互に交差させながら、芯紐17をエレメント取付縁部14に編み込み固定している。
【0046】
更に、上記エレメント取付縁部14に配された2本の鎖編糸16a,16bのうち芯紐17を挟んで外側に配された鎖編糸16aと芯紐17との間であって、表裏緯糸12a,12bの間に本発明における特徴部である伸長回復率Rが他の構成編糸16a,16b,…,16m,16nのそれよりも大きいナイロン製のマルチフィラメント糸16pが経挿入されている。本実施形態に使われる前記ナイロン製のマルチフィラメント糸16pはトータル太さが470dTex、その伸長回復率Rは94%である。
【0047】
一方、前記芯紐17は、560dTexの太さの3本の生糸からなるポリエステル製マルチフィラメント糸を芯材17aを、267dTexの太さの1本のポリエステル製マルチフィラメント糸を使って袋編みされた皮部17により被覆したものであって、その伸長回復率Rは78.8%である。また、上記鎖編糸16a,16b,…,16m,16n及び緯糸12a,12bは、それぞれ330dTexのポリエステル製のマクチフィラメントからなるテクスチャードヤーンが使われ、その伸長回復率Rは75.6%である。
【0048】
この実施形態にあっては、前述のように、鎖編糸16a,16b,…,16m,16n及び緯糸12a,12bの太さを細くしていており、編み組織からなるため、編成後のファスナーテープ11は極めて柔軟性に富み、メリヤス生地や薄手の織物などにも容易に馴染みやすい。また、上述の構成を採用しているがため、上記第1実施形態と同様に、エレメント3を取り付けたのちの図示せぬファスナーストリンガーは、エレメント取付縁部14が僅かに凹んだ正パッカー形態となり、縫製時にもテープ主体部15の柔軟性と相まって、被縫製品によく馴染み、同時に縫製時に発生する収縮をも十分に吸収できて美麗な縫製品が作られる。
【0049】
図7は、上記第2実施形態の変形例を示している。この変形例にあっては、第2実施形態における上記ナイロン製のマルチフィラメント糸16pを排除するとともに、上記エレメント取付縁部14に配された2本の鎖編糸16a,16bのうち芯紐17を挟んで外側に配された鎖編糸16aに同じく伸長回復率の高いナイロン製のマルチフィラメント糸を使っている。このときの物性も上記第2実施形態と実質的に同じである。この変形例では、エレメント取付縁部14の最も外側に配される鎖編糸16aの糸長が、上記第2実施形態と異なり、2倍以上に長くなるため、エレメント2の取付時に強く引っ張られて伸長したのちに、元の長さに戻る量も他の鎖編糸16b,…,16m,16nと比較すると、相対的に大きくなり、エレメント取付縁部14が凹んで湾曲する正パッカー形態がより顕著に表出する。
【0050】
以上は、本発明の典型的な実施形態及びそれらの変形例を示したものであるが、上述の説明からも、例えばエレメント取付縁部を構成する芯紐及び同芯紐の内側に隣接する構成糸条とその他の経方向に延在する構成糸条及び芯紐の伸長回復率Rや、それらの構成糸条や芯紐の材質、或いはそれらの織編構造は、上記実施形態に限定されず、本発明の特許請求の範囲に記載した技術的範囲において、様々に変更が可能であることは容易に理解できるところであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るファスナーテープの織構造の代表的な実施形態を模式的に示す拡大部分斜視図である。
【図2】図1のII−II 線に沿った矢視断面図である。
【図3】前記ファナーテープの処理工程ごとの形態変化を模式的に示す説明図である。
【図4】前記実施形態の変形例を示す図2に相当する断面図である。
【図5】前記実施形態の他の変形例を示す図2に相当する断面図である。
【図6】本発明に係るファスナーテープの編構造の代表的な実施形態を模式的に示す部分平面図である。
【図7】前記実施形態の変形例を示す部分平面である。
【符号の説明】
1,11 ファスナーテープ
2,12,12a,12b 緯糸
3 ファスナーエレメント
4,14 エレメント取付縁部
5,15 テープ主体部
6o,6a,6b エレメント取付縁部の芯紐の外側に隣接する経糸
6c〜6n 芯紐の内側に延在する経糸
6o−1,6o−2 エレメント取付縁部の最も外側に延在する経糸
7,7a,7b 芯紐
8,18 ファスナーストリンガー
9 ファスナーチェーン
10 縫製品
16a,16b 芯紐の外側に隣接する鎖編糸
16c〜16n 芯紐の内側に延在する鎖編糸
16p エレメント取付縁部の芯紐の外側に隣接する経挿入糸




 

 


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