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発明の名称 スピニングリールのベール反転装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2004−135514(P2004−135514A)
公開日 平成16年5月13日(2004.5.13)
出願番号 特願2002−300935(P2002−300935)
出願日 平成14年10月15日(2002.10.15)
代理人
発明者 平岡 宏一
要約 課題
ベール反転機構において、切換部の突出高さを低く抑えて糸開放姿勢でベールアームを確実に保持でき、かつ糸開放姿勢から糸巻取姿勢へスムーズに戻しやすくする。

解決手段
ベール反転機構18は、ベールアーム17を、ロータの糸巻取方向の回転に連動して糸開放姿勢から糸巻取姿勢に戻すものであって、移動部材51と、連動部材58と、トグルばね機構50と、切換部材52とを備えている。移動部材は、ベールアームの揺動に連動して糸巻取姿勢に対応する第1位置と糸開放姿勢に対応する第2位置とに後端が前後移動自在にロータに設られている。連動部材は、接触部58aを有し、接触部の移動距離が移動部材の移動距離より小さくなるように移動部材と連動して移動する。トグルばね機構は、ベールアームを死点をはさんで糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに振り分けて付勢する。切換部材は、連動部材をトグルばね機構の離反位置に向けて移動させる。
特許請求の範囲
【請求項1】
スピニングリールのリール本体に回転自在に装着されたロータに糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに揺動自在に装着されたベールアームを、前記ロータの糸巻取方向の回転に連動して前記糸開放姿勢から前記糸巻取姿勢に戻すスピニングリールのベール反転装置であって、
先端が前記ベールアームに係止され、前記ベールアームの揺動に連動して前記糸巻取姿勢に対応する前記リール本体から離反した第1位置と前記糸開放姿勢に対応する前記リール本体に接近した第2位置とに後端が少なくとも前後移動自在に前記ロータに設けられた移動部材と、
接触部を有し、前記接触部の移動距離が前記移動部材の移動距離より小さくなるように前記移動部材と連動して移動する連動部材と、
死点を有し、前記ベールアームの前記移動部材の係止位置と異なる位置に先端が回動自在に係止され、前記ベールアームを前記死点をはさんで前記糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに振り分けて付勢するトグルばね機構と、
前記リール本体の前部に設けられ、前記ロータの糸巻取回転方向下流側が上流側より前記リール本体の前面から前記ロータ側に突出した第1傾斜面を有し、前記ロータが糸巻取方向に回転したとき、前記連動部材の前記接触部に前記第1傾斜面が接触して前記連動部材を介して前記移動部材を前記トグルばね機構の死点を超えて前記第1位置に向けて移動させる切換部と、
を備えたスピニングリールのベール反転装置。
【請求項2】
前記連動部材は、前記ロータの糸巻取回転方向下流側の第1端に設けられ前記移動部材の移動方向と食い違う軸回りに揺動自在に前記ロータの後部に装着される揺動支持部と、前記糸巻取回転方向上流側の第2端に設けられ前記移動部材が係止される係止部と、前記第1端と前記第2端との間に設けられた前記接触部とを有し、前記移動部材の移動に連動して揺動する、請求項1に記載のスピニングリールのベール反転装置。
【請求項3】
前記連動部材の前記接触部は他の部分より前記ロータの回転中心側に突出している、請求項1に記載のスピニングリールのベール反転装置。
【請求項4】
前記移動部材は、先端が前記ベールアームの揺動中心の近傍に向けて揺動軸芯に沿うように屈曲し、後端が前記ロータの回転軸芯に向けて屈曲し、その間の中間部分が前記ロータの回転軸芯に沿って配置された部材であり、前記中間部分が前記ロータに前後移動自在に係止され、先端が前記ベールアームに形成された係合凹部に揺動方向に移動自在に係止されている、請求項1から3のいずれかに記載のスピニングリールのベール反転装置。
【請求項5】
前記連動部材の係止部は、第2端側に開口するスリットを有し、前記スリットに前記移動部材の前記後端が係止されている、請求項4に記載のスピニングリールのベール反転装置。
【請求項6】
前記トグルばね機構は、前記ベールアームに一端が係止された軸部材と、前記ロータに案内され一端が前記軸部材に他端が前記ロータにそれぞれ係止され前記軸部材を付勢するばね部材とを有する、請求項1から5のいずれかに記載のスピニングリールのベール反転装置。
【請求項7】
前記切換部は、前記第1傾斜面の突出部分と連続して形成され、前記第1傾斜面の突出部分から前記糸巻取回転方向下流側に向けて突出量が減少する第2傾斜面を有する、請求項1から6に記載のスピニングリールのベール反転装置。
【請求項8】
前記リール本体の前部に設けられ、前記第2位置に移動した前記移動部材の突出した後端が接触可能な弾性体製の制動部材をさらに備える、請求項1から7のいずれかに記載のスピニングリールのベール反転装置。
【請求項9】
前記切換部の傾斜面の少なくとも一部は、前記制動部材の前記移動部材との接触部分より前記ロータ側に突出している、請求項8に記載のスピニングリールのベール反転装置。
【請求項10】
前記制動部材は、少なくとも外周の一部に平坦な円周面で構成された制動面を有し、
前記第2位置に移動した前記移動部材の突出した後端が前記制動面に接触する、請求項8又は9に記載のスピニングリールのベール反転装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベール反転装置、特に、スピニングリールのリール本体に回転自在に装着されたロータに糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに揺動自在に装着されたベールアームを、ロータの糸巻取方向の回転に連動して糸開放姿勢から糸巻取姿勢に戻すスピニングリールのベール反転装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にスピニングリールのロータには、釣り糸をスプールに案内するためのベールアームが設けられている。ベールアームは、釣り糸を巻き取る際に釣り糸をスプール外周に導く糸巻取姿勢と、スプールから釣り糸を繰り出す際に邪魔にならないように糸巻取姿勢から倒された糸開放姿勢とをとり得る。ベールアームを糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに維持するとともに、ロータの糸巻取方向の回転に連動して糸開放姿勢から糸巻取姿勢に戻すために、ロータにはベール反転装置が設けられている。
【0003】
従来のベール反転装置として、ベールアームの揺動中心の近傍に先端が係止され、ロータに装着されたトグルばねと、ベールアームの揺動中心の近傍に先端が係止され、基端がリール本体に向けて前後移動する移動部材と、移動部材に接触するようにリール本体に前方に突出して設けられた切換部とを有するものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。トグルばねは、ベールアームを2つの姿勢に振り分けて付勢し、ベールアームを2つの姿勢で保持する。トグルばねは、ロータのロータアームに形成された凹部に収納されたコイルばねと、コイルばねにより付勢されるリンク部材とを有している。リンク部材は、コイルばねにより押圧される軸部材と、軸部材の先端に所定範囲揺動自在に装着されたリンクとを有している。このリンクの先端がベールアームの揺動中心の近傍に係止されている。
【0004】
このような構成のベール反転装置では、糸開放姿勢にベールアームが揺動すると、移動部材が切換部に接触可能な位置に後退する。このとき、トグルばねでは、リンクが揺動しつつ死点を超えるまでは軸部材が後退し、死点を超えると軸部材がコイルばねによって付勢されて前進する。そして、ロータが糸巻取方向に回転すると、移動部材が切換部に接触して前進する。この前進により、リンクが揺動するとともに軸部材が死点を超えるまで後退する。そして、死点を超えると前進してベールアームを糸巻取姿勢に戻す。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−4839号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の構成では、ロータの糸巻取方向の回転に連動して糸開放姿勢にあるベールアームを糸巻取姿勢に戻すとき、切換部に押圧された移動部材が糸巻取側にトグルばねの死点を超えるまで前進する必要がある。しかもトグルばねの死点付近では付勢力が弱いため、死点を僅かに超えるまでしか移動部材を押圧ないと、ベールアームがその付近で止まることがある。したがって、切換部はトグルばねの死点を十分に超える突出高さを有する必要がある。しかし、切換部の突出高さを高くすると糸巻取姿勢にスムーズに復帰しにくくなるため、切換部の高さは低く抑えるのが望ましい。
【0007】
そこで、従来、トグルバネの死点を糸開放姿勢側に偏倚させている。トグルばねの死点を糸開放姿勢側に偏倚させると、切換部の突出高さは低くすることができる。しかし、ベールアームが戻りやすくなるので、キャスティング時に釣り竿を振ったとき慣性でベールが糸巻取姿勢に勝手に戻ってしまうおそれがある。
本発明の課題は、スピニングリールのベール反転装置において、切換部の突出高さを低く抑えて糸開放姿勢でベールアームを確実に保持でき、かつ糸開放姿勢から糸巻取姿勢へベールアームをスムーズに戻しやすくすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明1に係るスピニングリールのベール反転装置は、スピニングリールのリール本体に回転自在に装着されたロータに糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに揺動自在に装着されたベールアームを、ロータの糸巻取方向の回転に連動して糸開放姿勢から糸巻取姿勢に戻す装置であって、移動部材と、連動部材と、トグルばね機構と、切換部とを備えている。移動部材は、先端がベールアームに係止され、ベールアームの揺動に連動して糸巻取姿勢に対応するリール本体から離反した第1位置と糸開放姿勢に対応するリール本体に接近した第2位置とに後端が少なくとも前後移動自在にロータに設けられた部材である。連動部材は、接触部を有し、接触部の移動距離が移動部材の移動距離より小さくなるように移動部材と連動して移動する部材である。トグルばね機構は、死点を有し、ベールアームの移動部材の係止位置と異なる位置に先端が回動自在に係止され、ベールアームを死点をはさんで糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに振り分けて付勢する機構である。切換部は、リール本体の前部に設けられ、ロータの糸巻取回転方向下流側が上流側よりリール本体の前面からロータ側に突出した第1傾斜面を有し、ロータが糸巻取方向に回転したとき、連動部材の接触部に第1傾斜面が接触して連動部材を介して移動部材をトグルばね機構の死点を超えて第1位置に向けて移動させるものである。
【0009】
このベール反転装置では、ベールアームが糸巻取姿勢から糸開放姿勢に反転すると、移動部材の後端が第2位置に移動するとともに連動部材が移動部材に連動して移動する。このとき、トグルばね機構は、いったん死点まで収縮した後伸長してベールアームを糸開放姿勢側に付勢する。この状態でロータが糸巻取方向に回転すると、第2位置に移動した移動部材に連動する連動部材の接触部が切換部の第1傾斜面に接触する。そして、接触部が第1傾斜面の突出端に向けて徐々に移動して連動部材を介して移動部材が第1位置側に押圧され、死点を超えてベールアームを糸巻取姿勢側に押圧する。ベールアームがトグルばね機構の死点を超えると、トグルばね機構が伸長してベールアームを糸巻取姿勢側に押圧するとともに、ベールアームは連動部材と移動部材を介して接触部が突出端に到達するまでは切換部によっても押圧される。ここでは、移動部材の接触部の移動距離が移動部材の移動距離より小さいので、切換部の第1傾斜面の高さを従来のものより低くしても死点を大きく超えてベールアームを反転させやすくなる。このため、切換部の高さを低く抑えてもベールアームが死点付近で止まることがなくなり、ベールアームを糸巻取姿勢にスムーズに戻しやすくなる。しかも、トグルばね機構の死点の位置を糸開放姿勢側に大きく偏倚させなくてもトグルばね機構の死点を超えてベールアームを反転させやすくなる。このため、切換部の高さを抑えて糸開放姿勢でベールアームを確実に保持できる。
【0010】
発明2に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明1に記載の装置において、連動部材は、ロータの糸巻取回転方向の下流側の第1端に設けられ移動部材の移動方向と食い違う軸回りに揺動自在にロータの後部に装着される揺動支持部と、糸巻取回転方向上流側の第2端に設けられ移動部材が係止される係止部と、第1端と第2端との間に設けられた接触部とを有し、移動部材の移動に連動して揺動する。この場合には、ロータの糸巻取回転方向下流側に揺動支持部が配置されているので、ロータが糸巻取方向に回転して接触部が切換部に接触したときにスムーズに連動部材が揺動する。また、移動部材が係止される係止部と揺動中心としての揺動支持部との間に接触部が配置されているので、切換部に接触して揺動する時に接触部の移動距離より係止部に係止された移動部材の移動距離が大きくなる。このため、簡素な構成で、スムーズに連動部材が揺動するとともに、移動部材の移動距離が接触部に比べて大きくなる。
【0011】
発明3に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明に1又は2に記載の装置において、連動部材の接触部は他の部分よりロータの回転中心側に突出している。この場合には、接触部がロータ中心側に突出しているので、切換部に接触させやすくなる。
発明4に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明1から3のいずれかに記載の装置において、移動部材は、先端がベールアームの揺動中心の近傍に向けて揺動軸芯に沿うように屈曲し、後端がロータの回転軸芯に向けて屈曲し、その間の中間部がロータの回転軸芯に沿って配置された部材であり、中間部がロータに前後移動自在に係止され、ベールアームに形成された係合凹部に先端が揺動方向に移動自在に係止されている。この場合には、ベールアームが揺動すると、係合凹部に係止された移動部材の先端が揺動軸芯回りに旋回する。これにより、移動部材の中間部がロータに係止されて前後移動する。ここでは、屈曲して形成された移動部材の先端をベールアームの係合凹部に係止し、中間部を前後移動自在に係止するだけで、ベールアームの揺動運動を移動部材の後端の前後直線運動に簡単に変換できる。
【0012】
発明5に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明4に記載の装置において、連動部材の係止部は、第2端側に開口するスリットを有し、スリットに移動部材の後端が係止されている。この場合には、スリットに移動部材の後端が係止されているので、移動部材の両方向の移動に対して連動部材が追随する。このため、ベールアームを手で糸巻取姿勢に復帰させても連動部材が揺動する。
【0013】
発明6に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明1から5のいずれかに記載の装置において、トグルばね機構は、ベールアームに一端が係止された軸部材と、ロータに案内され一端が軸部材に他端がロータにそれぞれ係止され軸部材を付勢するばね部材とを有する。この場合には、トグルばね機構の構成が簡素になり、トグルばね機構の軽量化を図れる。
【0014】
発明7に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明1から6のいずれかに記載の装置において、切換部は、第1傾斜面の突出部分と連続して形成され、第1傾斜面の突出部分から糸巻取回転方向下流側に向けて突出量が減少する第2傾斜面を有する。この場合には、第1傾斜面と第2傾斜面で山形の傾斜面が形成される。この第2傾斜面を形成することにより、糸開放姿勢でロータが糸繰り出し方向に回転したときに、移動部材が切換部材に接触しても第2傾斜面で切換部材に滑らかに案内され、損傷しにくくなる。
【0015】
発明8に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明1から7のいずれかに記載の装置において、リール本体の前部に設けられ、第2位置に移動した移動部材の突出した後端が接触可能な弾性体製の制動部材をさらに備える。この場合には、ベールアームが糸開放姿勢に揺動し、移動部材がリール本体側の第2位置に移動すると、移動部材の突出した後端が制動部材に接触してロータが制動される。このため、ベール反転のために設けられた移動部材を制動のための部材と兼用できるとともに、キャスティングやサミングのそれぞれに適した回転位相にロータを回転させた後に糸巻取姿勢にベールアームを揺動させてもロータの回転位相がずれにくくなる。
【0016】
発明9に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明9に記載の装置において、切換部の傾斜面の少なくとも一部は、制動部材の移動部材との接触部分よりロータ側に突出している。この場合には、制動部材を設けても連動部材が切換部に確実に当接し、ベールアームを糸開放姿勢から糸巻取姿勢を戻すことができる。
【0017】
発明10に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明8又は9に記載の装置において、制動部材は、少なくとも外周の一部に平坦な円周面で構成された制動面を有し、第2位置に移動した移動部材の突出した後端が制動面に接触する。この場合には、移動部材の後端が制動面に接触するとき、移動部材の移動方向(前後方向)と制動部材の圧縮方向(径方向)とが直交するので、移動部材の第2位置がずれても制動部材の圧縮量は変動しにくくなり、糸開放姿勢のときの制動力が変化しにくくなる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1及び図2において、本発明の一実施形態を採用したスピニングリールは、ハンドル1と、ハンドル1を回転自在に支持するリール本体2と、ロータ3と、スプール4とを備えている。ロータ3は、リール本体2の前部に回転自在に支持されている。スプール4は、釣り糸を外周面に巻き取るものであり、ロータ3の前部に前後移動自在に配置されている。なお、図1では、ハンドル1がリール本体2の左側に、図2では、右側に装着している。このように、ハンドル1はリール本体2の左右いずれにも装着可能である。
【0019】
リール本体2は、内部に空間を有するリールボディ2aと、リールボディ2aの空間を塞ぐためにリールボディ2aに着脱自在に装着される蓋部材2bとを有している。
リールボディ2aは、たとえばアルミニウム合金製であり、上部に前後に延びるT字形の竿取付脚2cが一体形成されている。図2に示すように、リールボディ2aの空間内には、ロータ3をハンドル1の回転に連動して回転させるロータ駆動機構5と、スプール4を前後に移動させて釣り糸を均一に巻き取るためのオシレーティング機構6とが設けられている。リールボディ2a及び蓋部材2bの前端には、円形のフランジ部2dと、フランジ部2dより小径で先端が開口する円筒部2eと形成されている。円筒部2eには、図5に示すように、断面が円の一部が切り欠かれたD字状に形成された装着溝2fが形成されている。
【0020】
蓋部材2bは、たとえばアルミニウム合金製の部材であり、たとえば3カ所でリールボディ2aにビス止めされている。フランジ部2dにおいて、リールボディ2aと蓋部材2bとの分割部分には、図5及び図6に示すように、後述する切換部材52が着脱自在に装着されている。
ロータ駆動機構5は、図2に示すように、ハンドル1が回転不能に装着されたハンドル軸10と、ハンドル軸10とともに回転するフェースギア11と、このフェースギア11に噛み合うピニオンギア12とを有している。ピニオンギア12は筒状に形成されており、その前部12aはロータ3の中心部を貫通しており、ナット13によりロータ3と固定されている。ピニオンギア12は、その軸方向の中間部と後端部とが、それぞれ軸受14a,14bを介してリール本体2に回転自在に支持されている。
【0021】
オシレーティング機構6は、スプール4の中心部にドラグ機構71を介して連結されたスプール軸15を前後方向に移動させてスプール4を同方向に移動させるための機構である。
〔ロータの構成〕
ロータ3は、図2に示すように、ロータ本体16と、ロータ本体16の先端に糸開放姿勢と糸巻取姿勢とに揺動自在に装着されたベールアーム17と、ベールアーム17を糸開放姿勢から糸巻取姿勢に戻すためにロータ本体16に装着されたベール反転機構18とを有している。
【0022】
ロータ本体16は、リールボディ2aにスプール軸15回りに回転自在に装着された円筒部30と、円筒部30の側方に互いに対向して設けられた第1及び第2ロータアーム31,32とを有している。円筒部30と両ロータアーム31,32とは、たとえばアルミニウム合金製であり一体成形されている。
円筒部30の前部には前壁33が形成されており、前壁33の中央部にはボス部33aが形成されている。ボス部33aの中心部には貫通孔が形成されており、この貫通孔をピニオンギアの前部12a及びスプール軸15が貫通している。前壁33の前部にロータ3の固定用のナット13が配置されている。円筒部30の後面は第3カバー部材30aにより覆われている。
【0023】
第1及び第2ロータアーム31,32は、図2〜図4に示すように、円筒部30の後部外周面にそれぞれ配置された第1及び第2接続部31a,32aと、第1及び第2接続部31a,32aからそれぞれ外方に凸に湾曲しつつ前方に延びる第1及び第2アーム部31b,32bと、両接続部31a,31bと両アーム部31b,32bとの両外方部分をそれぞれ覆う第1及び第2カバー部材31c,32cとを有している。第1及び第2接続部31a,32aは、円筒部30と周方向に滑らかにそれぞれ連続して形成されている。
【0024】
第1及び第2アーム部31b,32bは、第1及び第2接続部31a,32aと滑らかに連続して形成され円筒部30と間隔をあけて前方に延びている。第1及び第2アーム部31b,32bは、先端部から円筒部30との接続部分に向けて滑らかに湾曲している。両接続部31a,31bと両アーム部31b,32bとの両外方部分には、開口31d,32dがそれぞれ形成されており、第1及び第2カバー部材31c,32cは、開口31d,32dをそれぞれ外周側から塞いでいる。この第1カバー部材31cと第1接続部31a及び第1アーム部31bとの間には、収納空間48が形成されている。
【0025】
第1アーム部31bの先端の外周側には、第1ベール支持部材40が揺動自在に装着されている。第1アーム部31bには、図3及び図4に示すように、ベール反転機構18の移動部材51(後述)を前後に案内するための細長いガイド溝36と、ベールアーム17に抵抗を付与するための規制機構75(図7)が装着される装着穴37と、第1ベール支持部材40を揺動自在に装着するためのねじ孔付きのボス部38とが形成されている。
【0026】
第2アーム部32bの先端外周側には、第2ベール支持部材42が揺動自在に装着されている。
第1ベール支持部材40は、第1アーム部31bのボス部38にねじ込まれた取付ピン39により第1ロータアーム31に取り付けられる。この取付ピン39は引っかかりが少ない六角孔付きボルトからなり、その頭部に釣り糸が引っかかりにくくなっている。
【0027】
第1ベール支持部材40の先端には、図3に示すように、釣り糸をスプール4に案内するためのラインローラ41と、ラインローラ41を挟んで第1ベール支持部材40に固定された固定軸カバー47とが装着されている。ラインローラ41は、第1ベール支持部材40の先端に回転自在に装着されている。固定軸カバー47は、先端がとがった変形円錐形状である。固定軸カバー47の先端部と第2ベール支持部材42との間には線材を略U状に湾曲させた形状のベール43が固定されている。これらの第1及び第2ベール支持部材40,42、ラインローラ41、ベール43及び固定軸カバー47により、釣り糸をスプール4に案内するベールアーム17が構成される。ベールアーム17は、図3(a)に示す糸巻取姿勢と、図3(b)に示す糸巻取姿勢から反転した糸開放姿勢との間で揺動自在である。
【0028】
〔ベール反転機構の構成〕
ベール反転機構18は、第1ロータアーム31の収納空間48内に配置されている。ベール反転機構18は、ベールアーム17を糸開放姿勢から糸巻取姿勢にロータ3の回転に連動して復帰させるとともに、両姿勢でその状態を保持するために設けられている。
【0029】
ベール反転機構18は、図3〜図6に示すように、収納空間48内で第1アーム部31bに揺動自在に装着されたトグルばね機構50と、収納空間48内で第1アーム部31bに略前後移動自在に装着された移動部材51と、接触部58aを有し、接触部58aの移動距離が移動部材51の移動距離より小さくなるように移動部材51と連動して移動する連動部材58と、連動部材58に接触可能にフランジ部2dに着脱自在に装着された切換部材52と、ロータ3を制動するための制動部材65を有するロータ制動機構54と、糸開放姿勢にあるベールアーム17の糸巻取姿勢への復帰を規制する規制機構75を有している。
【0030】
〔トグルばね機構の構成〕
トグルばね機構50は、図3に示すように、ベールアーム17が糸巻取姿勢となる第1位置と糸開放姿勢となる第2位置とを取り得るように第1ロータアーム31内に配置され、ベールアーム17を糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに保持するための機構である。トグルばね機構50は、一端が第1ベール支持部材40に係止され、他端が第1アーム部31bに沿って延びるロッド55と、ロッド55を進出側に付勢するコイルばね57とを有している。
【0031】
ロッド55は、図4に示すように、先端に第1ベール支持部材40の係合穴40aに係止されるように第1ベール支持部材40に向けて折れ曲がった係止部55aを有している。また、ロッド55は、中間部にコイルばね57の先端部を係止するための係止突起55bを有し、後端部に僅かに湾曲した湾曲部55cを有している。係止突起55bには、コイルばね57の先端が当接するワッシャ56が装着されており、これにより、コイルばね57の先端部からロッド55に力が均一に伝達される。
【0032】
コイルばね57は、アーム部31bに装着された、たとえばポリアミド系合成樹脂などの合成樹脂製の案内シート34に接触して案内される。案内シート34は、コイルばね57の一側面を案内するとともに基端部を係止するように折れ曲がった壁面部34aを有している。壁面部34aは、コイルばね57の側部及び基端部に接触し得る高さを有している。これにより、コイルばね57が伸縮しやすくなるとともに、コイルばね57が伸縮する際にアーム部31bが傷つかなくなる。
【0033】
コイルばね57のワッシャ56に係止される先端部は他の部分より巻径が小さくなっている。これにより先端部以外でコイルばね57とロッド55との間で大きな隙間が生じ、コイルばね57の内部でロッド55が姿勢を変えてもコイルばね57が変形しにくくなる。なお、コイルばね57の基端部内周面に接触するボス部や基端部外周面を覆うカバー部等を設けてコイルばね57の基端部を係止するようにしてもよい。また、これらのボス部やカバー部を第1ベール支持部材40の揺動軸と平行な軸回りに揺動するようにアーム部31bに装着してもよい。たとえば、ボス部の基端面に円弧凸部を形成するとともにアーム部31b内に円弧凸部に係合する円弧凹部を形成し、これによりボス部を揺動自在に構成することが考えられる。
【0034】
このような構成のトグルばね機構50は、コイルばね57の基端の中心位置と、第1ベール支持部材40の揺動軸芯O(取付ピン39の軸芯)とを結ぶ線分Fに対して、糸巻取姿勢と糸開放姿勢とでロッド55の第1ベール支持部材40に対する係止位置が異なる方向に位置するように配置されている。この線分Fに重なる位置がトグルばね機構50の死点(コイルばね57が最も圧縮する位置)である。これにより、トグルばね機構50は、ベールアーム17を死点を挟んで両姿勢に振り分けて付勢しかつ両姿勢で保持できる。このトグルばね機構50の死点は、糸開放姿勢側に偏倚している。具体的には、ベールアーム17の揺動範囲を10としたとき、糸巻取姿勢側から糸開放姿勢側に向かう揺動範囲において、たとえば8対2の位置に設定されている。
【0035】
〔移動部材の構成〕
移動部材51は、たとえば、ステンレス合金などの金属製の線材の両端を90度異なる方向に折り曲げて形成された部材である。移動部材51は、図3(a)に示す第1位置(離反位置)と図3(b)に示す第2位置(接触位置)とに、第1アーム部31bに略前後移動自在に装着されている。移動部材51は、図3〜図6に示すように、その先端部51aが外周側に折り曲げられ、第1ベール支持部材40に形成された略扇形の係合凹溝40bに係止されている。中間部51bは、ロッド55より径方向内側で第1アーム部31bに沿って延びている。
【0036】
後端部51cは、ガイド溝36を貫通し、ロータ制動機構54を構成する制動部材65の前端面に僅かに重なり合う位置まで内方に延びており、その後端面が僅かに丸みを帯びている。ガイド溝36の幅は、移動部材51の直径とほぼ同じ寸法である。このため、移動部材51の中間部51bの径方向内側は、ベールアーム17の揺動に連動してガイド溝36に沿って前後に案内される。中間部51bと後端部51cとの屈曲部分の外周側は、案内部材67により前後方向及び径方向に案内されている。案内部材67は第1カバー部材31cに固定されており、後端部51cがはまりこむように湾曲した凹溝67aが内部に形成されている。
【0037】
案内部材67には、コイルばねからなる押圧ばね68を装着可能なたとえば円柱状の装着穴67bが凹溝67aに開口して形成されている。押圧ばね68は、圧縮状態で装着穴67bに装着されており、移動部材51の中間部51bを押圧することで後端部51cを制動部材65の外周に形成された制動面65a(後述)に向けて付勢している。押圧ばね68の先端には、移動部材51の中間部51bの外周面に係合するように半円弧状の凹部69aが形成された押圧部材69が装着されている。押圧部材69は、移動部材51の中間部51bを前後移動自在にしかつ押圧ばね68の付勢力を中間部51bに効率よく伝達するために設けられている。
【0038】
このように、移動部材51を制動面65aに向けて付勢することにより、前後移動する移動部材51の取付誤差などにより移動部材51に制動部材65に向けた押圧方向のガタが生じても、そのガタが押圧ばね68により解消され、押圧ばね68により一定の付勢力で移動部材51が押圧される。このため、制動面65aに向かう押圧方向のガタによる制動力の変動を抑えることができる。
【0039】
移動部材51の係合凹溝40bでの係止端は、ベールアーム17が糸開放姿勢にあるとき、後端部51cとベールアーム17の揺動中心とを結ぶ線分より糸巻取姿勢側に位置している。つまり、移動部材51は、接触位置(図3(b))にあるときの後端部51cの軸芯と第1ベール支持部材40の揺動軸芯とを結ぶ線分から同じ方向に第1位置(離反位置)と第2位置(接触位置)とで第1ベール支持部材40への係止位置が存在するように配置されている。これにより、移動部材51の後端部51cが切換部材52により押圧されたとき、第1ベール支持部材40を糸巻取姿勢側に復帰させることができる。この第2位置(接触位置)にあるとき、後端部51cの端面は、制動部材65の前端面より奥側で外周面よりやや内方に食い込んでいる。このため、移動部材51の移動距離が僅かに変動しても常に同じ制動力が得られる。
【0040】
〔連動部材の構成〕
連動部材58は、図3及び図4に示すように、ロータ本体16の円筒部30の後面にリール本体2に向けて突出して設けられたブラケット59に揺動自在に装着されている。連動部材58は、図7及び図8に示すように、ブラケット59に装着される揺動支持部58bと、移動部材51が係止される係止部58cと、両部58b,58cの間に配置された接触部58aとを有している。揺動支持部58bは、ロータ3の糸巻取回転方向の下流側の第1端に設けられ移動部材51の移動方向(前後方向)と食い違う軸回りに揺動自在にブラケット59に装着されている。係止部58cは、糸巻取回転方向の上流側の第2端に設けられ移動部材51の前後両方の移動に対して係止が可能である。接触部58aは、第1端と第2端との間に設けられている。なお、図7では、図3とは異なり、連動部材58をスプール軸15側から見ている。
【0041】
ブラケット59には、揺動軸59aがビス59bにより径方向内方に向けて突出して固定されている。揺動支持部58bは、揺動軸59aに回動自在に装着される貫通孔で構成されている。係止部58cは、第2端側に開口するスリットで構成されており、移動部材51の後端部51cを挟み込んで係止可能な幅を有している。
【0042】
接触部58aは、径方向内方に突出しており、切換部材52の傾斜面60a,60b(後述)に接触する側が円弧状に丸められている。この突出量は、移動部材51の後端部51cの径方向内方への突出位置より外方に位置している。これは、後述する制動部材65に接触部58aが接触しないようにするためである。
このような構成の連動部材58は、ベールアーム17の揺動に伴う移動部材51の前後移動により、切換部材52に接触可能な接触位置と離反する離反位置とに揺動する。ここでは、接触部58aを揺動支持部58bと係止部58cとの間、つまり揺動するリンクである揺動部材の中間部に接触部58aを配置したので、簡単な構成で接触部58aの移動距離が移動部材51の移動距離より小さくなる。また、揺動支持部58bをロータ3の糸巻取回転方向下流側に配置したので、切換部材52に接触部58aが接触したときに、上流側に配置する場合に比べてスムーズに連動部材58が揺動する。
【0043】
なお、移動部材51の後端部51cは、連動部材58の接触部58aより径方向内方に突出しているが、接触部58aの方が移動部材51を係止する係止部58cがロータ3の糸巻取回転方向下流側に位置しているので、切換部材52へは接触部58aが先に接触し移動部材51は前進する。このため、ロータ3の糸巻取方向の回転の際には移動部材51の後端部51cは、切換部材52に接触しない。ただし、ロータ3が糸繰り出し方向に回転したときには、接触部58aではなく移動部材51の後端部51cが切換部材52に先に接触する。
【0044】
〔切換部材の構成〕
切換部材52は、たとえばポリアミド系合成樹脂やポリアセタールなどの合成樹脂製の部材であり、図5及び図6に示すように、リールボディ2aと蓋部材2bとの分割部分でフランジ部2dに着脱自在に装着されている。リールボディ2aと蓋部材2bとの分割部分には、矩形の切り欠き53が形成されている。切換部材52は、2つの傾斜面60a,60bを有する山形のカム部60と、カム部60と一体形成されたくびれ部61と、鍔部62とを有している。
【0045】
傾斜面60aは、図6に矢印で示すロータ3の糸巻取回転方向の下流側が上流側によりロータ3に向けて前方に突出する傾斜面である。傾斜面60bは、傾斜面60aの突出部分から糸巻取回転方向下流側に向けて突出量が減少する傾斜面である。傾斜面60a,60bの最も突出した突出端60cの突出高さは、傾斜面60aに接触部58aが接触した連動部材58を介して移動部材51がベールアーム17を糸巻取姿勢に向けて押圧したときにトグルばね機構50の死点を大きく超えるように設定されている。この突出高さは、接触部58aの移動距離より移動部材51の移動距離が大きいので、移動部材51の後端部51cが直接傾斜面60aに接触する場合より低くなっている。
【0046】
くびれ部61は、切り欠き53にはめ込まれる大きさを有しており、フランジ部2dの肉厚と略同じ寸法の隙間をカム部60と鍔部62との間に形成されている。鍔部62は、くびれ部61より大きな断面を有しており、フランジ部2dの裏面に接触する。この傾斜面60bを設けると、ベールアーム17が糸開放姿勢にあるとき、無理に逆転(糸繰り出し方向の回転)が加わって移動部材51が切換部材52に接触しても、ベール反転機構18の移動部材51が傾斜面60bで切換部材52に滑らかに案内され、損傷しにくくなる。なお、このような2つの傾斜面60a,60bを有する切換部材52は、リール本体2と一体形成された切換部にも適用できる。
【0047】
このように構成された切換部材52は、リールボディ2aに蓋部材2bを装着するとき、たとえばリールボディ2a側の切り欠き53にくびれ部61をはめ込み、蓋部材2bをリールボディ2aにビス止めするだけで、リール本体2に固定できる。このため、固定のための別の部材を用いずに簡単にリール本体2に切換部材52を固定できる。また、リール本体2が腐食しやすいものであっても、移動部材51が接触する切換部材52はリール本体2と別部材であるので、ベールアーム17が反転するときにリール本体2が傷つくことがない。このため、傷による腐食の進行を防止できる。さらに、リール本体2に装着される切換部材52は、誘電体である合成樹脂製であるため、切換部材52をリール本体2に接触させてもリール本体2が電解腐食しない。
【0048】
〔ロータ制動機構の構成〕
ロータ制動機構54は、糸開放姿勢にベールアーム17が揺動したときロータ3を制動するものであり、移動部材51と、円筒部2eの基端部側に形成された装着溝2fに装着された制動部材65とを有している。すなわち、移動部材51は、ベール反転機構18を構成するとともに、ロータ制動機構54も構成する。
【0049】
制動部材65は、ベールアーム17が糸開放姿勢にあるとき、ロータ3の回転を制動するために設けられている。制動部材65は、断面が矩形の、たとえばスチレン‐ブタジエン‐ゴム(SBR)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐ゴム、ブタジエン‐ゴム、イソプレン‐ゴム、クロロプレン‐ゴム、シリコーン‐ゴム、ウレタン‐ゴム等の合成ゴムからなる弾性体製のリング状の部材である。制動部材65の外周面には、切換部材52を回避する部分を除いて平坦な円周面で構成された制動面65aが形成されている。制動部材65は、断面がD字状の円筒部2eの基端外周面に装着されている。したがって、制動部材65は、正面視D字状に装着されている。この制動部材65の直線部は、切換部材52を迂回するために設けられている。制動部材65の制動面65aの先端端縁には、導入面65bが制動面65aと連続して形成されている。導入面65bは、糸開放姿勢への揺動に連動した移動部材51の移動方向上流側が下流側より遠ざかるように形成されており、本実施形態では、制動面65aと連続して丸みをおびたアール面で形成されている。このように制動面65aに連続して傾斜した導入面65bを形成すると、移動部材51が制動部材65に接触するとき、移動部材51の丸みを帯びた後端部51cの端面が制動部材65の導入面65bを経て制動面65aに滑らかに接触する。このため、ベールアーム17の姿勢の切り換えがスムーズになる。
【0050】
〔規制機構の構成〕
規制機構75は、ベールアーム17とロータ3の第1アーム部31bとの間の対向部分に設けられ、ベールアーム17が糸開放姿勢に配置されているとき、ベールアーム17が糸巻取姿勢に戻るのを規制するとともに、ベールアーム17が糸巻取姿勢に揺動するとき、移動部材51の後端部51cが傾斜面60aの突出端60cに到達するまでに規制を解除する機構である。規制機構75は、図9及び図10に示すように,第1アーム部31bの装着穴37に装着された規制ピン76と、規制ピン76をベールアーム17側に付勢するコイルばね77と、第1ベール支持部材40に設けられた押圧部78とを有している。
【0051】
規制ピン76は、大径の当接部76aと小径のばね装着部76bとを有する金属製のピンである。この当接部76aとばね装着部76bとの段差部分にコイルばね77の先端が接触している。コイルばね77は、ばね装着部76bの外周側に配置されており、規制ピン76を第1ベール支持部材40に向けて付勢する。押圧部78は、2つの傾斜面78a,78bを有し、第1アーム部31bに向けて突出して形成されている。押圧部78は、糸開放姿勢から糸巻取姿勢に揺動するとき、移動部材51の後端部51cが傾斜面60aの突出端60cに到達するまでに規制ピン76を通過して規制を解除できる位置に配置されている。具体的には、ベールアーム17の揺動を模式的に示す図11(a)に示すように、押圧部78は、糸開放姿勢のとき規制ピン76より矢印で示す糸巻取姿勢への揺動方向の上流側に位置し、図11(b)に示すように、糸巻取姿勢への揺動中にトグルばね機構50が死点に至るまでに規制ピン76を通過するような位置に配置されている。なお、図11(c)は、糸巻取姿勢に復帰した状態を示している。
【0052】
このような構成のベール反転機構18では、トグルばね機構50は、図3(a)に示すような第1位置と、図3(b)に示すような第2位置とをとることが可能である。第1位置は、ベールアーム17の糸巻取姿勢に対応し、第2位置はベールアーム17の糸開放姿勢に対応している。また、移動部材51は、図3(a)に示す第1位置(離反位置)と、図3(b)に示す第2位置(接触位置)とに後端部51cがガイド溝36に案内されて前後移動することができる。さらに、連動部材58は、図3(a)に示す離反位置と、図3(b)に示す接触位置とに揺動することができる。この第1位置(離反位置)が糸巻取姿勢に対応し、第2位置(接触位置)が糸開放姿勢に対応する。第2位置(接触位置)では、移動部材51の後端部51cの端面が制動部材65の前端面より奥側で制動面65aが僅かに圧縮されるように接触する。このため、移動部材51の移動位置、つまり第2位置(接触位置)が軸方向に変動しても制動力は変動しない。また、連動部材58の接触部58aが切換部材52の傾斜面60aに接触可能な位置に配置される。
【0053】
また、第2位置(接触位置)でハンドル1の操作によりロータ3が糸巻取方向に回転すると、連動部材58の接触部58aが切換部材52の傾斜面60aに衝突して回転し、連動部材58を介して移動部材51は第1位置(離反位置)に向けて前方に押圧され、トグルばね機構50の死点を超えた時点でベールアーム17は、糸巻取姿勢に復帰する。このとき、規制機構75の規制ピン76による規制はトグルばね機構50の死点を超えるまでに解除されている。
【0054】
〔その他の構成〕
ロータ3の円筒部30の内部には、図2に示すように、ロータ3の逆転を禁止・解除するための逆転防止機構70が配置されている。逆転防止機構70をローラ型のワンウェイクラッチを有しており、ワンウェイクラッチを作用状態と非作用状態とに切り換えることにより、ロータ3の逆転を禁止・解除する。
【0055】
スプール4は、ロータ3の第1ロータアーム31と第2ロータアーム32との間に配置されており、スプール軸15の先端にドラグ機構71を介して装着されている。スプール4は、外周に釣り糸が巻かれる糸巻胴部4aと、糸巻胴部4aの後部に一体で形成されたスカート部4bと、糸巻胴部4aの前端に一体で形成されたフランジ部4cとを有している。
【0056】
〔リールの操作及び動作〕
キャスティング時には逆転防止機構70によりロータ3を逆転禁止状態にして手でベールアームを持ってベールアーム17を糸開放姿勢に反転させる。ベールアーム17を糸開放姿勢に反転させると、第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材42は後方側に倒れ、ベール反転機構18は、図3(b)に示すような第2位置に配置される。このとき、規制機構75では、トグルばね機構50の死点を超えると押圧部78が規制ピン76を通過する。ベールアーム17が糸開放姿勢に倒れた状態では、スプール4からの釣り糸を容易に繰り出すことが可能である。このキャスティング時に、規制機構75により糸開放姿勢から糸巻取姿勢に戻りにくくなるように規制されているので、トグルばね機構50の付勢力を弱くしてベールアーム17を反転しやすくしても、キャスティングによる慣性力でベールアーム17が糸巻取姿勢に反転しにくくなる。
【0057】
この糸巻取姿勢から糸開放姿勢への揺動において、トグルばね機構50では、第1ベール支持部材40の回転によってロッド55が図3(a)において徐々に退入しつつ反時計方向に揺動し、図3(b)に示す第2位置にいたる。このとき、死点を超えるまでは退入する。死点を超えると、ロッド55がコイルばね57の付勢力により進出してベールアーム17を糸開放姿勢側に切り換えるとともにその姿勢で保持する。この死点を超えると、規制機構75の押圧部78が規制ピン76を乗り越えてベールアーム17の糸巻取姿勢への揺動を規制するとともに、押圧部78が規制ピン76を通過した時点で規制ピン76が急激に第1ベール支持部材40に衝突して発音する。これにより、ベールアーム17の姿勢が切り換わったことがわかる。
【0058】
ベールアーム17が糸開放姿勢に揺動すると、この揺動に伴って移動部材51は離反位置から接触位置に移動する。接触位置では移動部材51の後端部51cの先端は制動部材65に弾性的に接触する。この移動に連動して連動部材58も、図7(a)に示すように離反位置から接触位置に揺動する。また、連動部材58の接触部58aは、切換部材52の傾斜面60aに接触可能な位置に配置される。
【0059】
この結果、ロータ3が制動されその回転位相を保持する。しかし制動部材65と弾性的に接触して摩擦により制動されているだけであるので、ロータ3を手で回転させたりハンドル1により回転させたりすれば簡単に回転位相を調整できる。すなわち、ロータ3が摩擦力により制動され回転位相が維持されるので、ベールアーム17を糸開放姿勢にしたときにロータ3が回転することはない。したがって、キャスティング時やサミング時にロータ3の不意の回転による不具合を解消できる。しかも、ロータ3は摩擦により制動されているだけであるので、ロータ3に力を加えれば簡単に回して回転位相を調整することができる。
【0060】
また、移動部材51は、押圧ばね68により制動面65aに向けて付勢されているので、移動する移動部材51の取付誤差などにより移動部材51に制動面65aに向けた押圧方向のガタが生じても、そのガタが押圧ばね68により解消され、押圧ばね68により一定の付勢力で移動部材51が押圧される。このため、押圧方向のガタによる制動力の変動を抑えることができる。
【0061】
この状態で釣り竿を握る手の人差し指で釣り糸を引っかけながら釣り竿をキャスティングする。すると釣り糸は仕掛けの重さにより勢いよく放出される。このとき、前述したようにベールアーム17は、規制機構75により規制され、糸開放姿勢から糸巻取姿勢に戻りにくくなっている。具体的には、図11(a)に示すように、規制ピン76を押圧部78が乗り越えた位置に配置されているので、押圧部78に邪魔されて慣性力によりベールアーム17が揺動中心Oを中心に反転しにくくなる。
【0062】
キャスティング後に、ベールアーム17を糸開放姿勢に維持したままの状態でハンドル1をたとえば左手で糸巻取方向に回転させると、ロータ駆動機構5によりロータ3が糸巻取方向に回転する。ロータ3が糸巻取方向に回転すると、ベールアーム17がベール反転機構18により糸巻取姿勢に復帰する。
具体的には、図5及び図6において、移動部材51及び連動部材58がロータ3とともに時計方向に回転する。すると、連動部材58の接触部58aがリール本体2側に固定された切換部材52の傾斜面60a当接する。これにより、連動部材58は、図7(b)に示すように離反位置に向けて揺動し移動部材51が前方に押圧され、図6に二点鎖線で示す第1位置(離反位置)に切り換えられ、第1ベール支持部材40を糸巻取姿勢に揺動させる。これに伴ってトグルばね機構50のロッド55が図3(b)に示す第2位置から図3(a)に示す第1位置に向けて揺動する。そして、接触部58aの接触部分が傾斜面60aの突出端60cに到達するまでにトグルばね機構50が死点を超えると、コイルばね57の付勢力よりロッド55が進出し、図3(a)及び図7(c)に示すように、移動部材51及び連動部材58が離反位置に移動しベールアーム17を糸巻取姿勢に切り換えるとともにその姿勢で保持する。このトグルばね機構50の死点を超えるまでに規制機構75による抵抗は解消される。具体的には、図11(b)に示すように、揺動中心Oとトグルばね機構50の後端とを結ぶ直線上にトグルばね機構50が配置された死点に至る前に、押圧部78は規制ピン76を通過して押圧部78による規制が解除される。このため、トグルばね機構50の付勢力を強くすることなくベールアーム17を糸巻取姿勢に戻すことができる。また、連動部材58を介して移動部材51を押圧しているので、移動部材の移動距離に比べて連動部材58の接触部58aの移動距離が短くて済むので、切換部材52のカム部60の突出高さを低くできる。このため、突出高さが高くなることによりベールアーム17が糸巻取姿勢にスムーズに復帰しにくくなるなどの種々の弊害が生じにくくなる。
【0063】
このような構成により、トグルばね機構のばね力を強くするためにばねの線径を太くすることにより生じる弊害も防止できる。具体的には、線径を太くする場合には、耐久性を向上させるために巻径や巻数を増やす必要が生じる。このためばねが大型化し、それを収納するロータを大型化しなければならないといった弊害が生じる。
【0064】
ベールアーム17が糸巻取姿勢に復帰すると、第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材42は、図1及び図2に示すように、それぞれ前方側に起立している。ベールアーム17が糸巻取姿勢に戻ると、ベールアーム17により釣り糸がスプール4に案内されてスプール4の外周に巻き付けられる。
〔他の実施形態〕
(a)前記実施形態では、連動部材を揺動するリンクで構成したが、連動部材の構成は、リンクに限定されず接触部での移動距離を移動部材の移動距離より小さくできかつロータが糸巻取方向に回転するときに移動部材より先に切換部材に接触するものであればどのような形態でもよい。
【0065】
(b) 前記実施形態では、キャスティング時にベールアームが糸巻取姿勢に戻るのを確実に防止するために規制機構を設けたが、規制機構を設けなくてもよい。
(c)前記実施形態では、制動部材を合成ゴム製にしたが、弾性を有するものであれば、金属、合成樹脂、コルク等の木材、皮革材等でもよい。
【0066】
(d)前記実施形態では、移動部材51を金属製の線材で構成したが、移動部材はこれに限定されず、後端部が前後移動して制動部材の制動面に接触するものであればどのような形態でもよい。
(e)前記実施形態では、フロントドラグ式のスピニングリールを例に説明したが、本発明は揺動するベールアームを糸巻取姿勢に復帰させる、リアドラグ式のスピニングリールやレバーブレーキ式のスピニングリールなどの全ての形式のスピニングリールのベール反転装置に適用できる。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、移動部材の接触部の移動距離が移動部材の移動距離より小さいので、切換部の第1傾斜面の高さを従来のものより低くしても死点を大きく超えてベールアームを反転させやすくなる。このため、切換部の高さを低く抑えてもベールアームが死点付近で止まることがなくなり、ベールアームを糸巻取姿勢にスムーズに戻しやすくなる。しかも、トグルばね機構の死点の位置を糸開放姿勢側に大きく偏倚させなくてもトグルばね機構の死点を超えてベールアームを反転させやすくなる。このため、切換部の高さを抑えて糸開放姿勢でベールアームを確実に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を採用したスピニングリールの左側面図。
【図2】その左側面断面図。
【図3】第1ロータアームの平面図。
【図4】第1ロータアームの断面拡大図。
【図5】ベール反転機構を示すリールボディの正面図。
【図6】ベール反転機構を示すリールボディの底面部分図。
【図7】連動部材の動作を示す底面図。
【図8】連動部材の断面図。
【図9】第1ベルー支持部材の部品図。
【図10】図9のX−X断面図。
【図11】ベールアームの揺動時の規制状態の変化を示す模式図。
【符号の説明】
2 リール本体
3 ロータ
17 ベールアーム
18 ベール反転機構
50 トグルばね機構
51 移動部材
51a 先端部
51b 中間部
51c 後端部
52 切換部材
55 ロッド
57 コイルばね
58 連動部材
58a 接触部
58b 揺動支持部
58c 係止部
60a,60b 傾斜面
60c 突出端
65 制動部材
65a 制動面




 

 


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