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発明の名称 スピニングリールの発音装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2004−57164(P2004−57164A)
公開日 平成16年2月26日(2004.2.26)
出願番号 特願2002−224088(P2002−224088)
出願日 平成14年7月31日(2002.7.31)
代理人
発明者 生田 剛
要約 課題
所定制動状態と制動解除状態とに切換可能なスピニングリールにおいて、制動解除状態と所定制動状態とに切り換えたときいずれの状態にあるのかを容易に判断できるようにする。

解決手段
スピニングリールの発音装置65は、リール本体に回転自在に装着され釣り糸をスプールに巻き付けるロータの糸繰り出し方向の回転を所定制動状態と制動解除状態とに切換可能なスピニングリールに設けられ、ロータの糸繰り出し方向の回転により発音する装置であって、発音機構70と、第2レバー部材27とを備えている。発音機構70は、ロータが糸繰り出し方向に回転したとき、第1発音状態と第1発音状態と識別可能な第2発音状態で発音可能なものである。第2レバー部材27は、制動解除状態と所定制動状態とで発音機構70を第1発音状態と第2発音状態とに切り換えるものである。
特許請求の範囲
【請求項1】
リール本体に回転自在に装着され釣り糸をスプールに巻き付けるロータの糸繰り出し方向の回転を所定制動状態と制動解除状態とに切換可能なスピニングリールに設けられ、前記ロータの糸繰り出し方向の回転により発音するスピニングリールの発音装置であって、
前記ロータが糸繰り出し方向に回転したとき、第1発音状態と前記第1発音状態と識別可能な第2発音状態とで発音可能な発音手段と、
前記制動解除状態と前記所定制動状態とで前記発音手段を前記第1発音状態と前記第2発音状態とに切り換える切換手段と、
備えたスピニングリールの発音装置。
【請求項2】
前記発音手段は、
前記ロータが糸繰り出し方向に回転したとき常時発音する第1音出し手段と、
前記ロータが前記所定制動状態で糸繰り出し方向に回転したときに発音する第2音出し手段とを有し、
前記切換手段は、前記所定制動状態のとき前記第2音出し手段を発音可能状態にし、前記制動解除状態のとき発音不能状態にする、請求項1に記載のスピニングリールの発音装置。
【請求項3】
前記第2音出し手段は、前記第1音出し手段と異なる音量又は音色で発音する、請求項2に記載のスピニングリールの発音装置。
【請求項4】
前記スピニングリールは、前記ロータの糸繰り出し方向の回転に連動して回転する制動部材を有し、
前記第1音出し手段は、前記制動部材に常時接触して発音し、前記第2音出し手段は、前記所定制動状態のときに前記制動部材に接触して発音する、請求項2又は3に記載のスピニングリールの発音装置。
【請求項5】
前記第2音出し手段は、前記制動部材に接触する接触位置と離反する離反位置とに移動自在であり前記接触位置にあるとき前記ロータの糸繰り出し方向の回転を所定制動状態にする所定制動手段に少なくとも一部が設けられている、請求項4に記載のスピニングリールの発音装置。
【請求項6】
前記発音手段は、
前記ロータが前記制動解除状態でかつ糸繰り出し方向に回転したとき発音する第1音出し手段と、
前記ロータが前記所定制動状態でかつ糸繰り出し方向に回転したときに前記第1音出し手段と異なる音色又は音量で発音する第2音出し手段とを有し、
前記切換手段は、前記制動解除状態のときに前記第1音出し手段を発音可能にするとともに前記第2音出し手段を発音不能にし、前記所定制動状態のときに前記第2音出し手段を発音可能にするとともに前記第1音出し手段を発音不能にする、請求項1に記載のスピニングリールの発音装置。
【請求項7】
前記スピニングリールは、前記ロータの糸繰り出し方向の回転に連動して回転する制動部材を有し、
前記第1音出し手段は、前記制動解除状態のとき前記制動部材に接触して発音し、前記第2音出し手段は、前記所定制動状態のとき前記制動部材に接触して発音する、請求項6に記載のスピニングリールの発音装置。
【請求項8】
前記第2音出し手段は、前記制動部材に接触する接触位置と離反する離反位置とに移動自在であり前記接触位置にあるとき前記ロータの糸繰り出し方向の回転を所定制動状態にする所定制動手段に少なくとも一部が設けられている、請求項7に記載のスピニングリールの発音装置。
【請求項9】
前記所定制動手段は、前記所定制動状態のとき前記第1音出し手段を発音不能に係止する係止手段を有する、請求項8に記載のスピニングリールの発音装置。
【請求項10】
前記第1音出し手段は、
前記制動部材に設けられ回転方向に形成された多数の第1凹凸部と、
前記第1凹凸部に弾性的に接触可能に前記リール本体に設けられた第1音出し部とを有する、請求項4,5及び7から9のいずれかに記載のスピニングリールの発音装置。
【請求項11】
前記第2音出し手段は、
前記制動部材に設けられ回転方向に形成された多数の第2凹凸部と、
前記所定制動手段が前記接触位置にあるとき前記第2凹凸部に弾性的に接触可能に前記所定制動手段に設けられた第2音出し部とを有する、請求項10に記載のスピニングリールの発音装置。
【請求項12】
前記第1音出し部は、前記第1凹凸部に接離自在に前記リール本体に設けられた第1音出し部材と、前記第1音出し部材を前記第1凹凸部に向けて付勢する第1付勢部材とを有し、
前記第2音出し部は、前記第2凹凸部に接離自在に前記所定制動手段に設けられた第2音出し部材と、前記第2音出し部材を前記第2凹凸部に向けて付勢する第2付勢部材とを有する、請求項11に記載のスピニングリールの発音装置。
【請求項13】
前記第1凹凸部と前記第2凹凸部とは前記制動部材の同じ位置に形成された同一の凹凸部である、請求項11又は12に記載のスピニングリールの発音装置。
【請求項14】
前記制動部材は、有底筒状の部材であり、
前記第1及び第2凹凸部は前記制動部材の筒状部分の内周面に鋸歯状に形成されている、請求項11から13のいずれかに記載のスピニングリールの発音装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発音装置、特に、リール本体に回転自在に装着され釣り糸をスプールに巻き付けるロータの糸繰り出し方向の回転を所定制動状態と制動解除状態とに切換可能なスピニングリールに設けられ、ロータの糸繰り出し方向の回転により発音するスピニングリールの発音装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、磯釣りを行う場合、制動レバーによってロータの糸繰り出し方向の回転(逆転)が制動されるロータ制動機構を有するレバーブレーキ型のスピニングリールがしばしば使用される。レバーブレーキ型のスピニングリールは、ロータを張力に応じて逆転させて魚と簡単にやりとりすることができる。
【0003】
この種の従来のレバーブレーキ型のスピニングリールにおいて、ロータの逆転を所定の制動状態と制動解除状態とに切り換えできるスピニングリールが特開平9−140303号公報や特開平10−276635公報に開示されている。前者の公報に開示されたスピニングリールは、ロータの逆転に連動して回転する制動部材と、制動部材に先端が接触して制動力を調整可能な制動レバーと、制動レバーを制動部材に当接する所定制動位置と離反する制動解除位置とに切り換える切換部材とを備えている。制動レバーは、リール本体に釣り竿装着部に接離する方向に揺動自在に支持されており、釣り竿に接近する方向に操作すると、先端が制動部材を押圧して制動力が徐々に強くなる。
【0004】
前者のスピニングリールでは、切換部材により制動レバーを所定制動位置に切り換えると、ロータは所定制動状態に維持される。
後者の公報に開示されたスピニングリールは、ロータの逆転に連動して回転する制動部材と、制動部材に当接可能に揺動しかつ当接方向に付勢された所定制動部材と、所定制動部材を制動部材に当接する所定制動位置と制動部材から離反する制動解除位置とに切り換える切換部材とを備えている。制動位置にある所定制動部材は、制動レバーの操作時に制動部材から離反し、非操作時に当接するように構成されている。
【0005】
後者のスピニングリールでは、所定制動部材が制動部材に当接している状態で制動レバーを釣り竿に接近する方向に操作すると、いったん所定制動力が解除されてロータが制動解除状態になり、さらに操作すると操作力に応じてロータが制動される。また、制動レバーから手を離して何も操作しないと、所定制動部材が制動部材に当接して所定制動状態が維持される。また、切換部材により所定制動部材を制動解除位置に強制的に切り換えることもできる。
【0006】
これにより、両者のスピニングリールでは、所定制動状態で仕掛けの自重により釣り糸が繰り出されなくなり、釣り場での移動が楽になる。また、この状態で仕掛けに魚がかかって急激な負荷が釣り糸に作用しても、ロータの逆転が禁止されていないので、釣り糸が切断しにくくなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
切換部材で所定制動部材や制動操作部材を所定制動位置と制動解除位置とに切り換えることができる前記従来のスピニングリールの場合、いずれの状態なのかを切換部材を状態を見なければ判断しにくい。しかし、切換部材の操作量が僅かな場合や釣りをしているときに視認しにくい位置に切換部材が配置されている場合には、切換部材では判断しにくいという問題がある。
【0008】
本発明の課題は、所定制動状態と制動解除状態とに切換可能なスピニングリールにおいて、制動解除状態と所定制動状態とに切り換えたときいずれの状態にあるのかを容易に判断できるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
発明1に係るスピニングリールの発音装置は、リール本体に回転自在に装着され釣り糸をスプールに巻き付けるロータの糸繰り出し方向の回転を所定制動状態と制動解除状態とに切換可能なスピニングリールに設けられ、ロータの糸繰り出し方向の回転により発音する装置であって、発音手段と、切換手段とを備えている。発音手段は、ロータが糸繰り出し方向に回転したとき、第1発音状態と第1発音状態と識別可能な第2発音状態で発音可能なものである。切換手段は、制動解除状態と所定制動状態とで発音手段を第1発音状態と第2発音状態とに切り換えるものである。
【0010】
この発音装置では、ロータが糸繰り出し方向に回転すると、制動解除状態の時は切換手段により発音手段が切り換えられて第1発音状態で発音し、所定制動状態の時は第1発音状態と識別可能な第2発音状態で発音する。ここでは、制動解除状態と所定制動状態とで識別可能な異なる発音状態で発音するので、ロータが糸繰り出し方向に回転したときに音により制動解除状態であるのか所定制動状態であるのかを容易に判断できる。
【0011】
発明2に係るスピニングリールの発音装置は、発明1に記載の装置において、発音手段は、ロータが糸繰り出し方向に回転したとき常時発音する第1音出し手段と、ロータが所定制動状態で糸繰り出し方向に回転したときに発音する第2音出し手段とを有し、切換手段は、所定制動状態のとき第2音出し手段を発音可能状態にし、制動解除状態のとき発音不能状態にする。この場合には、ロータが糸繰り出し方向に回転すると所定制動状態であるか否かにかかわらず第1音出し手段が発音する。そして、所定制動状態のときは第2音出し手段が発音可能な状態になりさらに第2音出し手段が発音する。ここでは、制動解除状態のときにはロータの糸繰り出し方向に回転により第1音出し手段だけが発音して第1発音状態になり、所定制動状態のときには2つの音出し手段が発音して第2発音状態になる。このため、制動解除状態と所定制動状態とで音量が変化し、2つの状態のいずれにあるのかを容易に判断できるようになる。また、2つの音出し手段で音色が異なる場合には、2つの状態で音量に加えて音色も変化する。
【0012】
発明3に係るスピニングリールの発音装置は、発明2に記載の装置において、第2音出し手段は、第1音出し手段と異なる音量又は音色で発音する。この場合には、第2音出し手段が第1音出し手段と異なる音量又は音色で発音するので、二つの発音状態をさらに識別しやすくなる。
発明4に係るスピニングリールの発音装置は、発明2又は3に記載の装置において、スピニングリールは、ロータの糸繰り出し方向の回転に連動して回転する制動部材を有し、第1音出し手段は、制動部材に常時接触して発音し、第2音出し手段は、所定制動状態のときに制動部材に接触して発音する。この場合には、両音出し手段が制動部材に接触して発音するので、ロータの糸繰り出し方向の回転にのみ発音する発音手段を簡単な構成で実現できる。
【0013】
発明5に係るスピニングリールの発音装置は、発明4に記載の装置において、第2音出し手段は、制動部材に接触する接触位置と離反する離反位置とに移動自在であり接触位置にあるときロータの糸繰り出し方向の回転を所定制動状態にする所定制動手段に少なくとも一部が設けられている。この場合には、所定制動手段に第2音出し手段が設けられているので、第2音出し手段を制動解除状態のときに発音不能に切り換える切換手段を所定制動手段と兼用できる。
【0014】
発明6に係るスピニングリールの発音装置は、発明1に記載の装置において、発音手段は、ロータが制動解除状態でかつ糸繰り出し方向に回転したとき発音する第1音出し手段と、ロータが所定制動状態でかつ糸繰り出し方向に回転したときに第1音出し手段と異なる音色又は音量で発音する第2音出し手段とを有し、切換手段は、制動解除状態のときに第1音出し手段を発音可能にするとともに第2音出し手段を発音不能にし、所定制動状態のときに第2音出し手段を発音可能にするとともに第1音出し手段を発音不能にする。この場合には、ロータが糸繰り出し方向に回転すると所定制動状態でのときは第1音出し手段が発音可能な状態になりかつ第2音出し手段が発音不能な状態になるので第1音出し手段が発音して第1発音状態になる。そして、所定制動状態のときは第1音出し手段が発音不能な状態になり、第2音出し手段が発音可能な状態になるので、第2音出し手段が第1発音状態と他となる音色又は音量で発音して第2発音状態になる。ここでは、制動解除状態のときにはロータの糸繰り出し方向に回転により第1音出し手段だけが発音して第1発音状態になり、所定制動状態のときには第2発音手段が発音して第2発音状態になる。このため、制動解除状態と所定制動状態とで音量又は音色が変化し、2つの状態のいずれにあるのかを容易に判断できるようになる。
【0015】
発明7に係るスピニングリールの発音装置は、発明5に記載の装置において、スピニングリールは、ロータの糸繰り出し方向の回転に連動して回転する制動部材を有し、第1音出し手段は、制動解除状態のとき制動部材に接触して発音し、第2音出し手段は、所定制動状態のとき制動部材に接触して発音する。この場合には、両音出し手段が制動部材に接触して発音するので、ロータの糸繰り出し方向の回転にのみ発音する発音手段を簡単な構成で実現できる。
【0016】
発明8に係るスピニングリールの発音装置は、発明7に記載の装置において、第2音出し手段は、制動部材に接触する接触位置と離反する離反位置とに移動自在であり接触位置にあるときロータの糸繰り出し方向の回転を所定制動状態にする所定制動手段に少なくとも一部が設けられている。この場合には、所定制動手段に第2音出し手段が設けられているので、第2音出し手段を制動解除状態のときに発音不能に切り換える切換手段の一部の機能を所定制動手段と兼用できる。
【0017】
発明9に係るスピニングリールの発音装置は、発明8に記載の装置において、所定制動手段は、所定制動状態のとき第1音出し手段を発音不能に係止する係止手段を有する。この場合には、第2音出し手段を切え換可能な所定制動手段で第1音出し手段も切り換えでき、所定制動手段で切換手段の全ての機能を実現できる。
【0018】
発明10に係るスピニングリールの発音装置は、発明4,5及び7から9のいずれかに記載の装置において、第1音出し手段は、制動部材に設けられ回転方向に形成された多数の第1凹凸部と、第1凹凸部に弾性的に接触可能にリール本体に設けられた第1音出し部とを有する。この場合には、第1凹凸部に弾性的に接触可能な第1音出し部が第1凹凸部に接触して振動して発音する。ここでは、簡素な構成で第1音出し手段を実現できる。
【0019】
発明11に係るスピニングリールの発音装置は、発明10に記載の装置において、第2音出し手段は、制動部材に設けられ回転方向に形成された多数の第2凹凸部と、第2凹凸部に弾性的に接触可能にリール本体に設けられた第2音出し部とを有する。この場合には、第2凹凸部に弾性的に接触可能な第2音出し部が第2凹凸部に接触して振動して発音する。ここでは、簡素な構成で第2音出し手段を実現できる
発明12に係るスピニングリールの発音装置は、発明11に記載の装置において、第1音出し部は、第1凹凸部に接離自在にリール本体に設けられた第1音出し部材と、第1音出し部材を第1凹凸部に向けて付勢する第1付勢部材とを有し、第2音出し部は、第2凹凸部に接離自在に所定制動手段に設けられた第2音出し部材と、第2音出し部材を第2凹凸部に向けて付勢する第2付勢部材とを有する。この場合には、第1及び第2音出し部では、第1及び第2凹凸部に向けて付勢された第1及び第2音出し部材がそれぞれ振動して発音する。ここでは、付勢部材と音出し部材とが分離されているので、軽快で歯切れのよいクリック音を得ることができる。
【0020】
発明13に係るスピニングリールの発音装置は、発明11又は12に記載の装置において、第1凹凸部と第2凹凸部とは制動部材の同じ位置に形成された同一の凹凸部である。この場合には2つの凹凸部を兼用できるので、両音出し手段の構成がさらに簡素になる。
発明14に係るスピニングリールの発音装置は、発明11又は12に記載の装置において、制動部材は、有底筒状の部材であり、第1及び第2凹凸部は制動部材の筒状部分の内周面に鋸歯状に形成されている。この場合には、鋸歯状に形成された凹凸部により連続した音を容易に発生できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
〔全体構成〕
図1に示す本発明の一実施形態が採用されたスピニングリールは、釣り竿の長手方向に沿う第1軸X回りに釣り糸を巻き取るレバーブレーキ型のスピニングリールであって、ハンドル1を備えたリール本体2と、リール本体2の前部に第1軸X回りに回転自在に支持されたロータ3と、ロータ3の前部に配置された釣り糸を巻き取るスプール4とを備えている。
【0022】
リール本体2は、例えば合成樹脂製である。リール本体2は、釣り竿に装着される前後に長い装着部2cと、装着部2cと間隔を隔てて配置されたリールボディ2aと、装着部2cとリールボディ2aとを連結する脚部2bとを有している。リールボディ2aは、内部に機構装着空間を有しており、その側部は開口している。この開口部分は蓋部材2d(図3)により覆われている。リールボディ2aの前部には、取付フランジ付きの金属製の筒状の取付部材2eが装着されている。
【0023】
リールボディ2aの内部には、ロータ3を回転させるためのロータ駆動機構5と、ロータ3の糸繰り出し方向の回転(逆転)を制動するためのレバーブレーキ機構6と、スプール軸8を介してスプール4を前後に往復移動させるオシレーティング機構20とが設けられている。
ロータ3は例えば合成樹脂又は金属製であり、リール本体2に回転自在に支持されている。ロータ3は、円筒部3aと、円筒部3aの側方に互いに対向して設けられた第1アーム部3b及び第2アーム部3cとを有している。また、円筒部3aの前壁3d側の内周面には、ワンウェイクラッチ32(後述)を構成する鋸歯状の逆転禁止凹凸部42が形成されている。円筒部3aの前壁3dの中央部には貫通孔3e(図2)を有するボス部3f(図2)が形成されている。この貫通孔3eにスプール軸8及びピニオンギア12(後述)が貫通している。第1アーム部3bの先端と第2アーム部3cの先端部とには、揺動自在にベールアーム9が設けられている。このベールアーム9により釣り糸がスプール4に案内される。
【0024】
スプール4は、例えば合成樹脂と金属とを複合したハイブリッド型のものである。スプール4は、ロータ3の第1アーム部3bと第2アーム部3cとの間に配置されており、スプール軸8の先端にワンタッチ着脱機構53を介して着脱自在かつ回転不能に装着されている。スプール4は、糸巻胴部7aを有するスプール本体7と、糸巻胴部7aの前端部に取り付けられた大径の前フランジ部51と、前フランジ部51をスプール本体7に固定するための前フランジ固定部材52とを有している。スプール本体7は、外周に釣り糸が巻かれる筒状の糸巻胴部7aと、糸巻胴部7aの後端部に一体成形された大径筒状のスカート部7bと、糸巻胴部7aの内周側に取り付けられた内筒部材7cとを有している。
【0025】
糸巻胴部7a及びスカート部7bは、アルミニウム合金、ステンレス合金、チタン合金、マグネシウム合金などの金属薄板をプレス加工により一体成形して得られた大小2段の筒状の部材である。
ロータ駆動機構5は、図1に示すように、ハンドル1が固定されたハンドル軸10とともに回転するマスターギア11と、このマスターギア11に噛み合うピニオンギア12とを有している。ハンドル軸10は、リール本体2に回転自在に支持されている。ピニオンギア12は筒状に形成されており、その前部12aはロータ3の貫通孔3eを貫通してスプール4側に延びている。この前部12aで、ロータ3はナット13によりピニオンギア12に回転不能に固定されている。ピニオンギア12は、前部と中間部とで軸受14a,14bによりリール本体2に回転自在に支持されている。なお、前部の軸受14aは、リール本体2を構成する取付部材2eの内周面に装着されている。ナット13は、リテーナ36により緩み止めされている。リテーナ36は前壁3dに形成されたねじ孔にねじ止めされたビスにより固定されている。
【0026】
オシレーティング機構20は、減速ギア式のものであり、ハンドル軸10に一体形成された駆動ギア20aと、リールボディ2aに回転自在に装着されたカム付き従動ギア20bと、カム付き従動ギア20bの回転により前後移動するスライダ20cとを有している。スライダ20cにスプール軸8の後端部が回転不能かつ軸方向移動不能に取り付けられている。
【0027】
〔レバーブレーキ機構の構成〕
レバーブレーキ機構6は、図1〜図3に示すように、制動部16と、制動部16の制動力を調整操作するための制動レバー17と、制動部16を所定制動状態に操作するための補助レバー18と、制動レバー17を装着部2cから離反する方向に付勢するコイルばね19と、補助レバー18により所定制動状態と制動解除状態とに切換可能な所定制動部(所定制動手段の一例)21(図3)と、ロータ3の逆転により発音する発音装置65(図3)とを有している。
【0028】
〔制動部の構成〕
制動部16は、図2に示すように、制動レバー17の先端が圧接されて制動される制動部本体31と、制動部本体31をロータ3の糸繰り出し方向の回転にのみ連動して回転させる爪式のワンウェイクラッチ32とを有している。
制動部本体31は、ロータ3の内周側にロータ3と同心に配置された制動部材40と、制動部材40の内周面に固定された制動円筒41とを有している。
【0029】
制動部材40は、図2に示すように、円筒部3aの内周側に同芯に配置される外筒部40aと、外筒部40aの内周側に配置された内筒部40bと、外筒部40aと内筒部40bとを連結する円板部40cとを有する二重筒状部材である。外筒部40aのリール本体2に近い後端部の内周面には、後述する発音機構70を構成する鋸歯状の凹凸部81が形成されている。内筒部40bは、取付部材2eの外周面に装着された軸受14cにより取付部材2eに回転自在に装着されている。
【0030】
制動円筒41は、外筒部40aの内周面から円板部40cにかけて装着された中心孔を有する金属製の有底筒状部材であり、円板部40cにねじ止め固定されている。この制動円筒41の内周面に制動レバー17の先端が当接して制動部材40を制動する。制動円筒41の後端部は凹凸部81形成部分より前側まで延びている。
【0031】
ワンウェイクラッチ32は爪式のものであり、ロータ3の円筒部3aの内周側面に形成された鋸歯状の逆転禁止凹凸部42と、円板部40cに揺動自在に装着され先端が逆転禁止凹凸部42に接触可能なクラッチ爪43と、クラッチ爪43を先端が逆転禁止凹凸部42に接触する方向に付勢する捩じりばね44とを有している。ワンウェイクラッチ32は、前述したようにロータ3の糸繰り出し方向の回転にのみ連動して制動部材40が回転させる。
【0032】
〔制動レバーの構成〕
図1に示すように、制動レバー17は、第1軸Xと食い違う第2軸Y方向にリール本体2に装着された支持軸33によりリール本体2に第2軸Y回りに揺動自在に支持されている。支持軸33は、図2に示すように、鍔付きの軸部材であり、蓋部材2d側から挿入されたねじによりリール本体2に固定されている。また、前述したように、制動レバー17は、コイルばね19により装着部2cと離反する方向に付勢されている。制動レバー17は、図5に示す制動解除位置と、制動解除位置より装着部2cに接近した図7に示す制動位置との間で揺動自在にリール本体2に取り付けられている。
【0033】
制動レバー17は、支持軸33による支持部分から湾曲して前方に延びる制動操作部17aと、支持部分から湾曲して斜め前下方に延びる制動作用部17bと、制動作用部17bに着脱自在に装着された制動シュー34とを有している。
制動操作部17aは、支持部分から装着部2cに沿ってベールアーム9の外方付近まで前方に延びた後、径方向外方に向けて延び、さらに先端が前方に向けて湾曲した形状である。この湾曲部分から前方が釣り竿を握る手の人差し指で操作可能な第1操作部17cとなっている。第1操作部17cは、制動レバー17の揺動により図1に示す第1位置から装着部2cに接近する方向に移動可能である。制動操作部17aは、図3及び図4に示すように、脚部2bから前方部分にかけて、径方向外方に延びる部分まで幅が大きくなっており、その幅広部分17hには、装着部2cに向けて略矩形の開口17eが形成されている。この開口17eから後述する補助レバー18の操作部材26が装着部2cに向かって上方に露出している。また、幅広部分17hから前方に向けて切欠き17gが形成されている。この切欠き17gを貫通して前方に向かって操作部材26が突出している。この切欠き17gの開口部分には、制動レバー17と補助レバー18との隙間から釣り糸が侵入して糸カミが生じるのを防止するために、板状の閉塞板35がビス止めされている。
【0034】
制動作用部17bの先端は、制動円筒41の内周側に対向して配置され、図2に示すように、その先端に制動円筒41の内周面に接触可能な制動シュー34が着脱自在に取り付けられている。制動シュー34は、たとえばポリアミド系合成樹脂やポリアセタールなどの弾性を有する合成樹脂製であり、制動レバー17の揺動により制動円筒41を径方向外方に押圧する。
【0035】
制動レバー17は、何も操作されないとコイルばね19により付勢されて、図1に示すように、制動解除位置に配置されて制動シュー34が閉塞板35から離反している。
コイルばね19は、制動レバー17の制動操作部17aとリール本体2の脚部2bとの間に圧縮状態で配置されている。コイルばね19は、制動レバー17を制動解除側に向けて図1反時計回りに付勢している。これにより、制動レバー17から手を離すと、ロータ3は制動解除状態になる。
【0036】
〔補助レバーの構成〕
補助レバー18は、所定制動部21によりロータ3を図5に示す制動解除状態と図6に示す所定制動状態とに切り換える操作を行うためのものである。補助レバー18は、図5に示すように、第2操作部26a(後述)が装着部2cに接近した第2位置に配置される制動解除位置と、図6に示すように、第2操作部26aが装着部2cから離反した第3位置に配置される所定制動位置との間で揺動する。補助レバー18は、図1、図3及び図4に示すように、支持軸33に第2軸Y回りに揺動自在にリール本体2に支持された板状の第1レバー部材25と、第1レバー部材25に装着された操作部材26とを有している。
【0037】
第1レバー部材25は、制動レバー17の図5手前側側面に並べて配置されている。第1レバー部材25は、支持部分から制動レバー17に沿って上前方及び前下方に延びており、前上方に延びた先端には、ねじ29により操作部材26が固定されている。第1レバー部材25の先端は制動レバー17の制動操作部17aの幅広部分17hの開口17e内に位置している。また、支持部分より斜め前下方に延びた第1レバー部材25の基端は、制動部16の径方向外方かつ後方に配置されている。第1レバー部材25の基端には、所定制動部21の第2レバー部材27の先端が係止される矩形の係止切欠き25c(図2)が形成されている。係止切欠き25cは、第2レバー部材27の先端部の横断面積より大きい面積の基端側に開口する矩形の切欠きである。
【0038】
操作部材26は、先端に第2操作部26aを有している。第2操作部26aは、装着部2cから離反する側に第1操作部17cと対向して配置されている。このため、第2操作部26aは、釣り竿を握る手の人差し指で押し込み操作可能である。第1操作部17cと第2操作部26aは、同じ指による引き込み操作と押し込み操作とが可能である。第2操作部26aは、補助レバー18の揺動により図1及び図5に示す第2位置と図6に示す第3位置とに配置される。
【0039】
操作部材26は、開口17eの下部から切欠き17g及び閉塞板35で囲まれた空間を貫通して前方に延びており、延びた先端に第2操作部26aが形成されている。このように第2操作部26aが切欠き17g及び閉塞板35で囲まれた空間を貫通して前方に延びているので、第2操作部26aの周囲、特にベールアーム9に近接する部分が空間により囲まれる。このため、釣り糸が糸ふけによりこの部分に接触しても操作部材26と制動レバー17との隙間への釣り糸の噛み込み(糸カミ)が生じにくくなる。また、切欠き17gを閉塞板35で塞いでいるので、操作部材26を取り付けた後に閉塞板35を取り付けて空間を塞ぐことができる。このため、操作部材26を取り付けしやすくなる。
【0040】
また、補助レバー18が所定制動位置に配置されると、図6に示すように、第2操作部26aの下面は、制動操作部17aの閉塞板35にほぼ接触する。これにより、補助レバー18は、所定制動位置にあるとき、制動レバー17の装着部2cに接近する方向の揺動に連動して制動解除位置に揺動する。
〔所定制動部の構成〕
所定制動部21は、図3に示すように、第1レバー部材25と連動して揺動する第2レバー部材27と、第2レバー部材27を制動解除位置と第1所定制動位置とで保持するトグルばね28とを有している。第2レバー部材27は、図3及び図8に示すように、リール本体2の前部にスプール軸8と平行な揺動軸27a回りに揺動自在に装着されている。第2レバー部材27の基端から揺動中心までの距離は、先端から揺動中心までの距離より2倍以上長い。第2レバー部材27の先端は、係止切欠き25cに係止されており、第2レバー部材27は、第1レバー部材25と連動して制動解除位置(図8(a))と所定制動位置(図8(b))との間で揺動する。
【0041】
ここで、制動解除位置あるとき第2レバー部材27の基端はトグルばね28により付勢されて係止切欠き25cの上面に接触し、所定制動位置にあるとき下面に接触する。第2レバー部材27の途中には、先端が制動円筒41の内周側に配置された規制シュー39が着脱自在に設けられている。規制シュー39は、第2レバー部材27の途中に折り曲げて一体形成された装着部27cに着脱自在に装着されている
第2レバー部材27は、規制シュー39の装着部分からさらに湾曲して延びており、延びた基端にトグルばね28が装着されている。
【0042】
ここでは、第2位置にある第2操作部26aを押し込み操作して第3位置に配置し、第1レバー部材25を、図5に示す制動解除位置から図6に示す第1所定制動位置側に揺動させると、それに連動して第2レバー部材27も制動解除位置から所定制動位置に揺動する。この結果、規制シュー39が制動円筒41を押圧してロータ3の糸繰り出し方向の回転を所定制動状態で制動する。
【0043】
トグルばね28は、図3及び図8に示すように、第2レバー部材27を付勢して第2操作部26aを第2位置と第3位置とに振り分けて付勢し、その姿勢を保持することができる。トグルばね28は、第2レバー部材27の基端に装着された捩じりコイルばねである。トグルばね28は、一端が第2レバー部材27の基端に係止され、他端がリールボディ2aの前端面に係止されている。トグルばね28は、図8(a)に示すように、第2レバー部材27が制動解除位置に配置されると、第2レバー部材27を図8(a)の時計回りに付勢し、所定制動位置に配置されると図8(b)の反時計回りに付勢する。これにより、第2レバー部材27が制動解除位置と所定制動位置とで保持され、さらに第1レバー部材25が制動解除位置と所定制動位置とに保持される。
【0044】
ここでは、第2レバー部材27の基端から揺動中心までの距離が先端から揺動中心までの距離より2倍以上長いので、第1レバー部材25が揺動すると、その揺動が第2レバー部材27の基端側で2倍以上の揺動距離となって現れ、トグルばね28が容易に反転可能になる。
〔発音装置の構成〕
本発明の一実施形態による発音装置65は、ロータ3が糸繰り出し方向の回転により発音する装置であって、図3に示すように,発音機構(発音手段の一例)70と切換手段としての所定制動部21の第2レバー部材27とを備えている。発音機構70は、ロータ3が制動解除状態で糸繰り出し方向に回転したとき第1発音状態で発音し、所定制動状態で糸繰り出し方向に回転したとき第1発音状態と識別可能な第2発音状態で発音する機構であり、制動解除状態と所定制動状態との別を容易に判別するための機構である。発音機構70は、図3及び図8に示すように、所定制動部21の第2レバー部材27により2つの発音状態が切り換わる。発音機構70は、ロータ3が糸繰り出し方向に回転すると常時発音する第1発音部71と、ロータ3が所定制動状態のときのみ発音する第2発音部72とを有している。ここでは、制動解除状態を示す第1発音状態のときは第1発音部71だけが発音し、所定制動状態を示す第2発音状態のときは両発音部71,72が発音して第1発音状態より大きな音量で発音する。
【0045】
第1発音部71は、図9及び図10に示すように、制動部材40の後端周面に回転方向に沿って設けられた凹凸部81と、リール本体2の前部に設けられた第1装着部82と、第1装着部82に設けられ、凹凸部81に弾性的に接触する第1音出し部83とを有している。
凹凸部81は、制動部材40の後端内周面に周方向に沿って形成された多数の鋸歯状の凹凸81aを有している。
【0046】
第1装着部82は、リールボディ2aの前部から前方に一体で突出する装着ボス85と、スプール軸8と平行に配置され装着ボス85の先端にねじ込み固定された装着ねじ86とを有している。装着ねじ86は、第1音出し部83を回動自在に支持するねじ軸である。装着ねじ86は、工具を係止するための鍔部86aと、第1音出し部83を回動自在に支持する鍔部86aより小径の支持部86bと、装着ボス85にねじ込まれるねじ部86cとを有している。
【0047】
第1音出し部83は、第1装着部82の装着ねじ86に回動自在に装着された第1音出し爪87と、第1音出し爪87を凹凸部81に向けて付勢する捩じりばね88とを有している。第1音出し爪87は、たとえば先端が鋭角に尖った板状の部材であり、凹凸部81に接触可能に先端に形成された爪部87aと、装着ねじ86に支持されるように形成された回動支持部87bとを有している。爪部87aは、たとえば板材を鋭角に切断して形成されており、先端が凹凸部81に入り込んで配置されている。
【0048】
捩じりばね88は、一端がリール本体2に突出して形成された係止部2fに係止され、他端が爪部87aの側部に係止されている。これにより、第1音出し爪87の爪部87aが常に凹凸部81に向けて付勢されている。
このような構成の第1発音部71では、制動部材40がワンウェイクラッチ32を介して糸繰り出し方向に回転すると発音するとともに、制動部材40の糸巻取方向の回転に対しては回転を阻止する。ただし、通常は制動部材40は、ワンウェイクラッチ32により糸巻取方向の回転はロータ3から伝達されない。
【0049】
図8に示すように、第2発音部72は、制動部材40に形成された凹凸部81と、第2装着部92と、第2装着部92に回動自在に装着された第2音出し部93とを備えている。
第2装着部92は、第2レバー部材27の途中に制動部材40に近接する位置まで突出して形成された軸状の部材であり制動部材40との接触部分の近傍に設けられている。
【0050】
第2音出し部93は、第2装着部92に回動自在に装着された第2音出し爪95と、第2音出し爪95を凹凸部81に向けて付勢するコイルばね96とを有している。第2音出し爪95の先端はくちばし状に形成されており、第2レバー部材27が制動解除状態のとき凹凸部81に接触せず、所定制動状態のとき接触するように配置されている。コイルばね96は、一端が第2音出し爪95に係止され他端が第2レバー部材27に形成されたばね係止部27bに係止されている。
【0051】
この第2発音部72では、第2レバー部材27の規制シュー39が制動円筒41に接触した所定制動状態のときのみ発音するので、所定制動状態か制動解除状態かを瞬時に判断できる。また、第2音出し爪95が第1音出し爪87と異なる形状であるとともに、付勢部材の構造が第1発音部71と異なる構造であるため、第2発音部72は第1発音部71と異なる音量及び音色となっている。
【0052】
このように構成された発音装置65では、第2レバー部材27が制動解除状態のときには、ロータ3が逆転すると第1発音部71のみが発音する。この状態が前述したように第1発音状態である。そして、第2レバー部材27が所定制動状態のとき、第1発音部71と第2発音部72がともに発音する。この状態が第2発音状態である。このため、補助レバー18を操作して規制シュー39が制動円筒41に接触する所定制動時と制動解除時とで異なる音量及び音色で発音するので、どちらの状態であっても魚の引きやアタリを確実にとらえることができる。また、補助レバー18の動きが僅かであっても、所定制動状態なのか制動解除状態なのかを容易に判断できる。
【0053】
〔リールの動作及び操作〕
キャスティング時にはベールアーム9を糸開放姿勢側に倒し、釣り竿を降り出すことにより、スプール4の外周から釣り糸が繰り出される。糸巻取時には、ハンドル1を糸巻き取り方向に回転させると、ベールアーム9が図示しない戻し機構により糸巻き取り姿勢に戻る。ハンドル1の回転力はハンドル軸10、マスターギア11を介してピニオンギア12に伝達される。ピニオンギア12に伝達された回転力は、ピニオンギアの前部12aを介してロータ3に伝達される。このときロータ3は糸巻き取り方向に回転するので、ワンウェイクラッチ32の作用によりこの回転力は制動部材40には伝達されない。ピニオンギア12が回転すると、スプール軸8が前後方向に往復移動する。
【0054】
制動レバー17を何も操作しなければ、制動レバー17はコイルばね19により押圧され制動解除位置側に配置される。このとき、補助レバー18の第2操作部26aが第2位置に配置されていると、図5、図8(a)に示すように、制動シュー34及び規制シュー39が制動円筒41から離反し、ロータ3は制動解除状態になる。この状態でロータ3が糸繰り出し方向に回転すると、発音機構70の第1発音部71だけが発音して、釣り人にそのことを報知する。
【0055】
ロータ3を逆転させて魚とやりとりする時には、制動レバー17の第1操作部17cを例えば人差し指により装着部2c側に引き込み操作して制動力を調整する。
釣り糸が魚により引かれてロータ3が糸繰り出し方向に逆転すると、その回転力がワンウェイクラッチ32を介して制動部材40に伝達され、さらに制動円筒41に伝達される。この結果、制動円筒41がロータ3と一体で回転する。制動レバー17の第1操作部17cを装着部2cに接近する方向に引き込み操作すると、たとえ第2レバー部材27が所定制動位置にあっても、図6に示すように閉塞板35が操作部材26の第2操作部26aを装着部2cに接近する方向に押圧し、補助レバー18が制動レバー17に連動して所定制動位置から制動解除位置側に揺動し、第2レバー部材27が制動解除位置側に揺動する。この結果、所定制動部21による所定制動状態が一旦解除される。このとき、トグルばね28が第2レバー部材27の揺動により反転し、第2レバー部材27が制動解除位置側に付勢され、第1レバー部材25が制動解除位置側で保持される(図8(a))。
【0056】
この状態でさらに制動レバー17を装着部2cに接近する方向に操作すると、制動レバー17の制動シュー34が制動円筒41内周面を径方向外方に強く押圧する。この制動力は制動レバー17に加える力を加減することにより調整でき、ロータ3の逆転量を任意に調整できる。この結果、制動レバー17の操作力に応じた制動力がロータ3に付与される。このように、所定制動状態の解除を忘れても、制動レバー17を引き込み操作するだけで、所定制動状態を解除できる。
【0057】
このロータの逆転時には、制動円筒41が回転し、その回転により発音機構70がの第1発音部71が発音する。すなわち制動円筒41が回転すると、制動円筒41に形成された凹凸部81に接触する第1音出し爪87が振動し、その振動により制動円筒41が発音する。このように、制動解除状態であってもロータ3が糸繰り出し方向に回転すると発音するので、ロータ3が糸繰り出し方向に回転していることを釣り人が確実に認識できる。このため、アタリや不意の制動レバー17の操作でロータ3が糸繰り出し方向に回転しても、アタリを逃したり、仕掛けの自重により釣り糸が繰り出されてしまったりするといったロータの逆転(糸繰り出し方向の回転)に関連する不具合が生じにくくなる。
【0058】
釣り場を移動するためや、リールを収納するために制動解除状態から所定制動状態にしたい場合は、第1操作部17cから手を離した状態で、補助レバー18の第2操作部26aを装着部2cから離反する方向に押し込み操作する。すると、図6及び図8(b)に示すように、補助レバー18が制動解除位置から所定制動位置に揺動し、第2レバー部材27が制動解除位置から所定制動位置に揺動し、トグルばね28によりその位置で保持される。この所定制動位置では、第2操作部26aの下面が閉塞板35にほぼ接触する。また、所定制動状態では、第2発音部72が発音可能な状態になり、ロータ3が逆転すると発音する。このため、発音機構70の2つの発音部71,72がともに発音することになり、第1発音部71だけが発音する制動解除状態とは異なる音量で発音する。したがって、たとえば釣り場を移動中に仕掛けが何かに引っ掛かって釣り糸が誤って繰り出されたとき、所定制動状態でロータ3が逆転していることを釣り人は容易に判断でき、釣り糸の無用な繰り出しを防止できる。
【0059】
さらに、仕掛けの垂らし長さを変更するためや、魚に当たりがあった時に魚に仕掛けを確実に食い込ませるために、ロータ3を所定制動状態から制動解除状態にしたい場合には、制動レバー17を僅かに装着部2cに接近する方向に操作すればよい。すると、前述した図6に示すように、制動レバー17により第2操作部26aが押圧されて補助レバー18が制動解除位置側に揺動する。この結果、第2レバー部材27が制動解除位置に揺動して第1又は第2所定制動状態がいったん解除される。もちろん、第2操作部26aを引き込み操作しても所定制動状態を解除できる。
【0060】
また、所定制動部21により所定制動状態にしているときに、誤操作により制動レバー17を装着部2cに接近する方向に操作して制動解除状態にし仕掛けの自重によりロータ3が逆転しても、ロータ3の逆転により発音機構70の第1発音部71が発音する。これにより、釣り人は瞬時に制動解除状態にあるロータ3の逆転を認識でき補助レバー18を押圧操作するなどの操作により、誤操作に対処することができる。
【0061】
ここでは、所定制動状態と制動解除状態とでロータ3の逆転に応じて異なる発音状態で発音する発音装置65を設けたので、いずれの状態でロータ3が糸繰り出し方向に回転しているかを釣り人が容易に認識できる。このため、アタリや不意の制動操作部材の操作や仕掛けの引っ掛かりなどでロータ3が糸繰り出し方向に回転しても、アタリを逃したり、仕掛けの自重により釣り糸が繰り出されてしまったり、何かに引っ掛かって釣り糸が繰り出されたりするといったロータ3の逆転(糸繰り出し方向の回転)に関連する不具合が生じにくくなる。
【0062】
〔他の実施形態〕
(a)前記実施形態では、制動レバー17と補助レバー18により制動操作と所定制動操作とを行ったが、補助レバーを有さずに制動レバーを所定制動位置と制動解除位置とに切り換える切換部材を有するレバーブレーキ形のスピニングリールにも本発明を適用できる。また、制動レバー17を第2レバー部材27に連結して第2レバー部材27を制動レバー17により直接揺動させるレバーブレーキ型のスピニングリールにも本発明を適用できる。
【0063】
(b)前記実施形態では、第1発音部71を常時発音する構成としたが、図11に示すように、第1発音部171を制動解除状態の時のみ発音するように発音機構170を構成してもよい。この実施形態では、第2レバー部材127の先端に第1発音部171の音出し爪187を係止可能な係止部127eが音出し爪187に向けて延びている。第2レバー部材127が所定制動位置に揺動したとき、係止部127eにより音出し爪187は強制的に凹凸部81から離反する位置に回動し、凹凸部81に接触できなくなる。これにより、所定制動状態になると第1発音部171は発音不能な状態になる。このような実施形態では、第1発音部171と第2発音部172とで異なる音量又は音色にする必要がある。この実施形態では、音出し爪187と音出し爪195の形状及び付勢部材の付勢力をを変えることで異なる音色又は音量が出るようになっている。
【0064】
(c)前記実施形態では、2つの音出し部を回動する音出し爪と音出し部材を付勢する付勢部材とで構成したが、弾性を有し先端が凹凸部に接触可能な音出し片だけで少なくともいずれかの音出し部を構成し、それを装着部に係止するようにしてもよい。なお、音出し片の装着位置は、前記実施形態に示すようにリール本体2及び/又は第2レバー部材27であればよい。
【0065】
(d)前記実施形態では、第1発音状態と第2発音状態とを第2レバー部材27により切り換えたが、補助レバーにより動作する別の切換機構を設けてもよい。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、制動解除状態と所定制動状態とで識別可能な異なる発音状態で発音するので、ロータが糸繰り出し方向に回転したときに音により制動解除状態であるのか所定制動状態であるのかを容易に判断できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるスピニングリールの側面断面図。
【図2】その制動部の断面拡大図。
【図3】図1のIII−III断面図。
【図4】制動レバー及び補助レバーの先端部分平面図。
【図5】制動解除状態の各レバーと制動円筒の状態を示す断面模式図。
【図6】所定制動状態の各レバーと制動円筒の状態を示す断面模式図。
【図7】制動状態における各レバーと制動円筒の状態を示す断面模式図。
【図8】制動解除状態と所定制動状態での第2レバー部材の動作を示す模式図。
【図9】発音機構の構成を示す正面図。
【図10】図9のX−X断面図。
【図11】他の実施形態の図8に相当する図。
【符号の説明】
2 リール本体
2a リールボディ
3 ロータ
6 レバーブレーキ機構
16 制動部
17 制動レバー
21 所定制動部
27 第2レバー部材
65 発音装置
70,170 発音機構
71 第1発音部
72 第2発音部
81 凹凸部
81a 凹凸
82,92 第1及び第2装着部
83,93 第1及び第2音出し部
87,95 第1及び第2音出し爪
88 捩じりバネ
96 コイルばね




 

 


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