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発明の名称 両軸受リール
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2004−272(P2004−272A)
公開日 平成16年1月8日(2004.1.8)
出願番号 特願2003−299294(P2003−299294)
出願日 平成15年8月22日(2003.8.22)
代理人
発明者 平山 広和
要約 課題
 ピニオンギアからスプールへのトルク伝達効率を向上させる。

解決手段
 両軸受リールは、リール本体1と、スプール軸16と、スプール12と、クラッチ機構13と、サムレスト17と、ハンドル2とを備えている。スプール軸16は、リール本体1に回転自在に支持されている。スプール16は、スプール軸12に固定されるボス部12cと、ボス部12cの外周側に形成され釣り糸が巻き付けられる筒状の糸巻き胴部12bと、糸巻き胴部12bの内周側にボス部12cに隣接して形成された内部の空間12eと、糸巻き胴部12bの両端に形成された皿状のフランジ部12aとを有している。ピニオンギア32は、内部をスプール軸16が貫通する筒状のギアである。クラッチ機構13は、スプール12の内部の空間12e内にボス部12cに近接して設けられ、軸方向の移動によりスプール軸16とピニオンギア32とを係合・離脱可能である。
特許請求の範囲
【請求項1】
 所定の間隔をあけて互いに対向するように配置された1対の側板と、前記1対の側板の両側方に装着された1対の側カバーとを有するリール本体と、
 一端が前記1対の側板のうちの一方の側板を貫通して前記1対の側カバーのうちの一方の側カバーの外方に延びた前記一方の側カバーに設けられた第1軸受により回転自在に支持されるとともに、他端が前記1対の側板のうちの他方の側板に設けられた第2軸受により回転自在に支持されたスプール軸と、
 前記スプール軸に固定される固定部と、前記固定部の外周側に形成され釣り糸が巻き付けられる筒状の糸巻き胴部と、前記糸巻き胴部の内周側に前記固定部に隣接して形成された内部空間と、前記糸巻き胴部の両端に形成された皿状のフランジ部とを有するスプールと、
 内部を前記スプール軸が貫通する筒状のピニオンギアと、
 前記スプールの内部空間内に前記固定部に近接して設けられ、軸方向の移動により前記スプール軸と前記ピニオンギアとを係合・離脱可能なクラッチ係合部と、
 前記クラッチ係合部を操作するためのクラッチ操作部材と、
 前記ピニオンギアを回転させるためのハンドルと、
を備えた両軸受リール。
【請求項2】
 前記固定部は、前記糸巻き胴部の実質的に軸方向の中央部に形成されている、請求項1に記載の両軸受リール。
【請求項3】
 前記ピニオンギアは、前記スプール軸の軸方向に移動自在であり、
 前記クラッチ係合部は、前記スプール軸の外周に形成された第1係合部と、前記ピニオンギアの先端に形成され、前記ピニオンギアの軸方向の移動により前記第1係合部に係合・離脱可能な第2係合部とを有する、請求項1又は2に記載の両軸受リール。
【請求項4】
 前記ハンドルは、ハンドル本体と、ハンドル本体に連動するハンドル軸と、ハンドル軸に連動し前記ピニオンギアに噛み合うメインギアとを有し、
 前記ピニオンギアは、前記第2係合部と、前記メインギアに噛み合う歯部と、前記第2係合部と歯部との間で前記リール本体に軸受により回転自在かつ軸方向移動自在に支持される軸支部とを有する、請求項3に記載の両軸受リール。
【請求項5】
 前記歯部は、前記軸支部と軸方向に離反して設けられている、請求項4に記載の両軸受リール。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
 本発明は、両軸受リール、特に、スプール軸がリール本体に回転自在に支持された両軸受リールに関する。
【背景技術】
【0002】
 一般に、両軸受リールは、リール本体と、リール本体に回転自在に装着されたスプールと、スプールを回転させるためのハンドルとを備えている。リール本体は、所定の間隔をあけて対向するように配置された1対の側板と側板を外方から覆う1対の側カバーとを有している。スプールは、スプール軸が中心を貫通して固定される糸巻き胴部と、糸巻き胴部の両端に皿状に形成されたフランジ部とを有している。スプール軸はリール本体に回転自在に支持されており、その一端は側板から外方に延びている。ハンドルとスプールとの間には、ハンドルからの回転力をスプールに伝達するメインギアとピニオンギアとからなる回転伝達機構と、ピニオンギアとスプール軸との間で回転力を伝達・遮断するクラッチ機構とが設けられている。
【0003】
 メインギアは、ハンドルの回転軸に設けられている。ピニオンギアは、メインギアに噛み合っており、その中心を側板から外方に延びるスプール軸が貫通している。ピニオンギアはスプール軸と同芯に配置されスプール軸に軸方向に移動自在かつ回転自在に支持されている。このピニオンギアの先端に設けられた係合凹部とスプール軸の外周部に設けられた係合凸部とでクラッチ機構が構成されている。この係合凸部は、通常、スプールのフランジ部の外方に設けられており、スプール軸が側板に支持される構成では、さらに軸受の外方に設けられている。このピニオンギアをクラッチレバーによりスプール軸の軸方向に移動させて係合凹部と係合凸部とが係合・離脱することで回転力が伝達・遮断される。
【0004】
 このような両軸受リールでは、キャスティングを行う際には、クラッチレバーによりピニオンギアをスプール軸から離脱させ、スプールが自由回転可能な状態にする。そして、釣り竿を振り投げて、仕掛けの自重により釣り糸をスプールから繰り出す。また、釣り糸を巻き取るときには、ピニオンギアをスプール軸に係合させてハンドルの回転をスプールに伝達する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
 前記従来の構成では、ピニオンギアからスプール軸にトルクを伝達してスプールを巻き上げ方向に回転させるべく係合凸部と係合凹部とを係合させると、巻き上げトルクが効率よく伝達しにくい。これは、フランジ部の外方に設けられた係合凸部がスプールの固定部から離れているので、比較的小径のスプール軸が係合凸部からスプールの固定部まで巻き上げトルクを伝達する際に捩じれやすいからであると考えられる。このように巻き上げトルクが効率よく伝達されないと、ハンドルによりスプールを巻き上げ方向に回転させるときの操作フィーリングが低下する。
【0006】
 本発明の課題は、ピニオンギアからスプールへのトルク伝達効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
 発明1に係る両軸受リールは、リール本体と、スプール軸と、スプールと、クラッチ係合部と、クラッチ操作部材と、ハンドルとを備えている。スプール軸は、リール本体に回転自在に支持されている。リール本体は、所定の間隔をあけて互いに対向するように配置された1対の側板と、1対の側板の両側方に装着された1対の側カバーとを有している。スプールは、スプール軸に固定される固定部と、固定部の外周側に形成され釣り糸が巻き付けられる筒状の糸巻き胴部と、糸巻き胴部の内周側に固定部に隣接して形成された内部空間と、糸巻き胴部の両端に形成された皿状のフランジ部とを有している。スプール軸は、一端が1対の側板のうちの一方の側板を貫通して1対の側カバーのうちの一方の側カバーの外方に延びた一方の側カバーに設けられた第1軸受により回転自在に支持されるとともに、他端が1対の側板のうちの他方の側板に設けられた第2軸受により回転自在に支持されている。ピニオンギアは、内部をスプール軸が貫通する筒状のギアである。クラッチ係合部は、スプールの内部空間内に固定部に近接して設けられ、軸方向の移動によりスプール軸とピニオンギアとを係合・離脱可能なものである。クラッチ係合部は、スプールの内部空間内に固定部に近接して設けられ、軸方向の移動によりスプール軸とピニオンギアとを係合・離脱可能なものである。クラッチ操作部材は、クラッチ係合部を操作するための部材である。ハンドルは、ピニオンギアを回転させるためのものである。
【0008】
 この両軸受リールでは、クラッチ係合部によりスプール軸とピニオンギアとを係合させた状態でハンドルを回転させると、ハンドルの回転がピニオンギアからクラッチ係合部を介してスプール軸に伝達されスプールが回転する。また、スプール軸とピニオンギアとが離脱すると、スプールが自由回転可能になる。このように、ピニオンギアの回転は、スプールの固定部に近接して設けられたクラッチ係合部を介してスプール軸に伝達されるので、ピニオンギアからスプール軸への回転伝達部位がスプールの固定部に近接し、スプール軸のねじれが生じにくくなり、ピニオンギアからスプールへのトルク伝達効率が向上する。
【0009】
 発明2に係る両軸受リールは、発明1に記載のリールにおいて、固定部は、糸巻き胴部の実質的に軸方向の中央部に形成されている。この場合には、固定部の位置のバランスがよいので、スプール軸からスプールへのトルク伝達効率が向上する。
【0010】
 発明3に係る両軸受リールは、発明1又は2に記載のリールにおいて、ピニオンギアは、スプール軸の軸方向に移動自在であり、クラッチ係合部は、スプール軸の外周に形成された第1係合部と、ピニオンギアの先端に形成され、ピニオンギアの軸方向の移動により第1係合部に係合・離脱可能な第2係合部とを有する。この場合には、2つの係合部が係合すると、スプール軸より大径のピニオンギアからスプール軸にトルクが直接伝達されるので、ねじれ変形がより少なくなり、トルク伝達効率がさらに向上する。
【0011】
 発明4に係る両軸受リールは、発明3に記載のリールにおいて、ハンドルは、ハンドル本体と、ハンドル本体に連動するハンドル軸と、ハンドル軸に連動しピニオンギアに噛み合うメインギアとを有し、ピニオンギアは、第2係合部と、メインギアに噛み合う歯部と、第2係合部と歯部との間でリール本体に軸受により回転自在かつ軸方向移動自在に支持される軸支部とを有している。この場合には、ピニオンギアが第2係合部と歯部との間でリール本体に支持されているので、ピニオンギアの回転がスムーズになり、かつクラッチ係合時にスプール軸が撓んでも、ピニオンギアが傾いてピニオンギアとの噛み合いが大きく変わることがない。
【0012】
 発明5に係る両軸受リールは、発明4に記載のリールにおいて、歯部は、軸支部と軸方向に離反して設けられている。この場合には、歯部と軸支部とが別に形成されるので、軸支部の軸受精度が高くなる。また、軸支部より先端側にある第2係合部には必然的に歯が形成されていないので、その部分の肉厚を厚くすることができ、強度が向上する。
【発明の効果】
【0013】
 本発明によれば、ピニオンギアの回転は、スプールの固定部に近接して設けられたクラッチ係合部を介してスプール軸に伝達されるので、ピニオンギアからスプール軸への回転伝達部位がスプールの固定部に近接し、スプール軸のねじれが生じにくくなり、ピニオンギアからスプールへのトルク伝達効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
 図1は、本発明の一実施形態による両軸受リールの平面図である。図に示す両軸受リールは、ベイトリールであり、リール本体1と、リール本体1の側方に配置されたスプール回転用ハンドル2と、ハンドル2のリール本体1側に配置されたドラグ調整用のスタードラグ3とを備えている。ハンドル2は、板状のアーム部2aと、アーム部2aの両端に回転自在に装着された把手2bとを有するダブルハンドル形のものである。アーム部2aの外側面はつなぎ目がない滑らかな面で構成されており、釣り糸が絡みにくい構造となっている。
【0015】
 図2に示すように、リール本体1は、フレーム5と、フレーム5の両側方に装着された第1側カバー6及び第2側カバー7とを有している。フレーム5は、所定の間隔をあけて互いに対向するように配置された1対の側板8,9と、これらの側板8,9を連結する複数の連結部10とを有している。側板8,9の対向する内面には、円柱状のスプール格納空間14がそれぞれ形成されている。第1側カバー6は、側板8の前端部に配置された揺動軸11により側板8に揺動自在かつ軸方向に所定距離移動可能に装着されている。これにより、第1側カバー6は、側板8に対して開閉自在となっている。第1側カバー6は、コイルバネ4により側板8から離れる方向に付勢されている。なお、第1側カバー6は、後述する遠心ブレーキ機構23のブレーキケース65に設けられたバヨネット構造により側板8に対してロック及びロック解除される。
【0016】
 フレーム5内には、スプール12と、スプール12内に均一に釣り糸を巻くためのレベルワインド機構15と、サミングを行う場合の親指の当てとなる、クラッチレバーを兼ねたサムレスト17とが配置されている。またフレーム5と第2側カバー7との間には、ハンドル2からの回転力をスプール12及びレベルワインド機構15に伝えるためのギア機構18と、クラッチ機構13と、クラッチ機構13の係脱を行うためのクラッチ係脱機構19と、サムレスト17の操作に応じてクラッチ機構13の係脱を制御するための係脱制御機構20と、ドラグ機構21と、スプール12の回転時の抵抗力を調整するためのキャスティングコントロール機構22とが配置されている。また、フレーム5と第1側カバー6との間には、キャスティング時のバックラッシュを抑えるための遠心ブレーキ機構23が配置されている。
【0017】
 スプール12は、両側部に皿状のフランジ部12aを有しており、両フランジ部12aの間に筒状の糸巻き胴部12bを有している。また、スプール12は、糸巻き胴部の内周側の軸方向の実質的に中央部に一体で形成された筒状のボス部12cを有しており、ボス部12cを貫通するスプール軸16にたとえばセレーション結合により回転不能に固定されている。この固定方法はセレーション結合に限定されず、キー結合やスプライン結合等の種々の結合方法を用いることができる。
【0018】
 フランジ部12aの周縁部は、図3に示すように、スプール格納空間14の内周部に隙間C1をあけて配置されている。この隙間C1は、たとえば0.2mm程度であり、スプール格納空間14によってフランジ部12aの周縁部を径方向外方から僅かな隙間C1をあけて覆うことで、スプール12からスプール軸16側に釣り糸が侵入ししにくくなり、スプール軸16に釣り糸が絡むことが少なくなる。また、糸巻き胴部12bには軽量化のために複数の抜き孔12dが形成されている。抜き孔12dは、たとえば円形の孔であり、糸巻き胴部12bの軸方向に間隔の隔てた2つの円周上に周方向に間隔を隔てて形成されている。このようにスプール12を軽量化することで、自由回転時にスプールの回転効率が向上する。
【0019】
 スプール軸16は、側板9を貫通して第2側カバー7の外方に延びている。その延びた一端は、第2側カバー7に形成されたボス部29に軸受24a(第1軸受の一例)により回転自在に支持されている。またスプール軸16の他端は、遠心ブレーキ機構23内で軸受35より回転自在に支持されている。これらの軸受はシールドボールベアリングである。スプール軸16は、スプール12が固定される中央部の大径部分16aと、その両端に形成された2つの小径部分16b,16cとを有している。
【0020】
 大径部分16aは、スプール12の糸巻き胴部12bの内部の空間12e内に配置されており、その中央部外周面にはスプール12を固定するためのセレーション16dが形成されている。また、図3左端外周面には、遠心ブレーキ機構23の回転部66を回転不能に連結するためのセレーション16eが形成されている。大径部分16aの図3右端は、スプール12のボス部12cに近接して配置されており、そこにはクラッチ機構13を構成する係合ピン16fが固定されている。係合ピン16fは、直径に沿って大径部分16aを貫通しており、その両端が径方向に突出している。
【0021】
 左側の小径部分16cは、軸受35(第2軸受の一例)によりブレーキケース65に支持されている。右側の小径部分16bには、階段状に2つの段差部16g,16hが形成されている。各段差部16g,16hの段差はたとえば、0.1mm〜0.3mmの範囲である。段差部16gの左側は小径部分16bの大径部16iとなっており、右側は中径部16jとなっており、段差部16hの右側は小径部16kとなっている。小径部16kの右側は太径の軸支部16lとなっており,軸受24aにより支持される。この軸支部16lの軸方向長さは軸受24aの軸方向長さより短くなっており、回転抵抗を減少させるようになっている。また、軸支部16lの右側は脱落防止用の小径の溝部16m及びそれより大径の係止部16nとなっている。溝部16mの周囲においてボス部29の内周部には、リング状のバネ部材29aが配置されている。バネ部材29aの内径は係止部16nより小さく、スプール軸16が軸方向に移動すると、バネ部材29aが係止部16nに係止するようになっている。これにより、側カバー6を開けたときに、スプール12及びスプール軸16が直ちに脱落しないようになっている。なお、スプール軸16の両端は回転抵抗の増加を抑えるために球状面になっている。
【0022】
 レベルワインド機構15は、図2に示すように、1対の側板8,9間に固定されたガイド筒25と、ガイド筒25内に回転自在に支持されたウォームシャフト26と、ラインガイド27とを有している。ウォームシャフト26の端部には、ギア機構18を構成するギア28aが固定されている。またウォームシャフト26には螺旋状の溝26aが形成されており、ラインガイド27の一部がこの螺旋状溝26aに噛み合っている。このため、ギア機構18を介してウォームシャフト26が回転させられることにより、ラインガイド27はガイド筒25に沿って往復動する。このラインガイド27内に釣り糸が挿通されて釣り糸がスプール12に均一に巻き付けられる。
【0023】
 ギア機構18は、ハンドル軸30に固定されたメインギア31と、メインギア31に噛み合う筒状のピニオンギア32と、前述のウォームシャフト26端部に固定されたギア28aと、ハンドル軸30に回転不能に固定され、ギア28aに噛み合うギア28bとを有している。ピニオンギア32は、図3に示すように、側板9の外方から内方に延び、中心にスプール軸16が貫通する筒状部材であり、スプール軸16に軸方向に移動自在に装着されている。また、ピニオンギア32は、軸受24bにより側板9に回転自在かつ軸方向移動自在に支持されている。この軸受24bもシールドボールベアリングである。
【0024】
 ピニオンギア32は、図3右端側外周部に形成されメインギア31に噛合する歯部32aと、他端側に形成された噛み合い部32bと、歯部32aと噛み合い部32bとの間に形成されたくびれ部32cとを有している。噛み合い部32bは、ピニオンギア32の端面に直径に沿って形成された凹溝33からなり、そこにスプール軸16を貫通して固定された係合ピン16fが係止される。ここではピニオンギア32が外方に移動してその噛み合い部32bの凹溝33とスプール軸16の係合ピン16fとが離脱すると、ハンドル軸30からの回転力はスプール12に伝達されない。この噛み合い部32bの凹溝33と係合ピン16fとによりクラッチ機構13が構成される。ここでは、クラッチ機構13がスプール12のボス部12cの近傍に配置されているので、ピニオンギア32からスプール軸16を介してスプール12に回転力が伝達される際に、スプール軸16のねじれが少なくなり、トルク伝達効率が向上し、操作フィーリングが向上する。また、係合ピン16fと凹溝33とが係合すると、スプール軸16より大径のピニオンギア32から直接スプール軸16にトルクが伝達されるので、ねじれ変形がより少なくなり、トルク伝達効率がさらに向上する。
【0025】
 ピニオンギア32の内周面には2つの段差部32d,32eが形成されている。図4左側の段差部32dの左側は大径内面32fとなっており、その右側は中径内面32gとなっている。段差部32eの右側は小径内面32hとなっている。ここで、ピニオンギア32の中径内面32gは、スプール軸16の小径部分16bの大径部16iの外周面に接触可能であり、小径内面32hは、中径部16jの外周面に接触可能である。また、大径内面32fの長さは大径部16iより短く、中径内面32gの長さは、中径部16jと実質的に同じである。
【0026】
 一方、ピニオンギア32の噛み合い部32b側の外周面には、図5に示すように、軸受24bに接触可能な軸支部32iと、軸支部32iより僅かに小径の離反部32jとが形成されている。離反部32jと、軸支部32iとの間にはC2だけ段差が形成されている。このため、軸受24bと離反部32jとの間には隙間C2が形成されている。この隙間C2は、たとえば、0.1mm程度であり、スプール12のフランジ部12aの隙間C1より小さい。この離反部32jは、クラッチオンのときに軸受24bに対向する外周面に形成されている。ここでは、歯部32aと軸支部32iとが別に形成されるので、軸支部32iの軸受精度が高くなる。また、軸支部32iより先端側にある噛み合い部32bには必然的に歯が形成されていないので、その部分の肉厚を厚くすることができ、噛み合い部32bの強度が向上する。
【0027】
 これにより、噛み合い部32bが係合ピン16fに係合したクラッチオン状態では、図4(A)に示すように、中径内面32gが大径部16iの外周面に接触し、小径内面32hが中径部16jの外周面に接触する。また、ピニオンギア32と軸受24bとの間には隙間C2が形成されるので、ピニオンギア32はスプール軸16により回転自在かつ軸方向移動自在に支持される。ここでは、スプール軸16に対して2箇所でピニオンギア32が支持されているので、巻き上げ回転時等に力が作用してもピニオンギア32が傾くことがなくなり、メインギア31との歯当たり不良が生じにくい。
【0028】
 一方、ピニオンギア32が図4右方に移動し噛み合い部32bが係合ピン16fから離脱したクラッチオフ状態では、図4(B)に示すように、中径内面32gが大径部16iの外周面から離反し、小径内面32hが中径部16jの外周面から離反する。このため、ピニオンギア32はスプール軸16から離反しスプール軸16によって支持されない。しかし、このときには、外周面の軸支部32iが軸受24bに接触し、軸受24bによりピニオンギア32が回転自在かつ軸方向移動自在に支持される。このため、自由回転時にピニオンギア32が傾いてこぜることがなく、スプール軸16に接触することもない。したがって自由回転時にピニオンギア32とスプール軸16とが接触して回転抵抗が増加することがない。
【0029】
 また、巻き上げ時にスプール12に力が作用してスプール軸16が撓んでも、軸受24bにピニオンギア32が接触するとそれにより支持され、隙間C2以上にスプール軸16が撓むことはない。この隙間C2は隙間C1より小さいので、スプール12に力が作用してもフランジ部12aがスプール収納空間14の端面に接触するスプールタッチ現象は生じにくい。
【0030】
 サムレスト17は、図2に示すように、1対の側板8,9間の後部でスプール12後方に配置されている。フレーム5の側板8,9には長孔(図示せず)が形成されており、サムレスト17の回転軸17aがこの長孔に回転自在に支持されている。このため、サムレスト17は長孔に沿って上下方向にスライドすることも可能である。
【0031】
 クラッチ係脱機構19は、図3に示すように、クラッチヨーク40を有している。クラッチヨーク40は、スプール軸16の外周側に配置されており、2本のピン41(一方のみ図示)によってスプール軸16の軸心と平行に移動可能に支持されている。なお、スプール軸16はクラッチヨーク40に対して相対回転が可能である。すなわち、スプール軸16が回転してもクラッチヨーク40は回転しないようになっている。またクラッチヨーク40はその中央部にピニオンギア32のくびれ部32cに係合する係合部40aを有している。またクラッチヨーク40を支持する各ピン41の外周で、クラッチヨーク40と第2側カバー7との間にはスプリング42が配置されており、クラッチヨーク40はスプリング42によって常に内方に付勢されている。
【0032】
 このような構成で、通常状態では、ピニオンギア32は内方のクラッチ係合位置に位置しており、その噛み合い部32bとスプール軸16の係合ピン16fとが係合してクラッチオン状態となっている。一方、クラッチヨーク40によってピニオンギア32が外方に移動した場合には、噛み合い部32bと係合ピン16fとの係合が外れクラッチオフ状態となる。
【0033】
 ドラグ機構21は、図2に示すように、メインギア31に押圧される摩擦プレート45と、スタードラグ3の回転操作によって摩擦プレート45をメインギア31に所定の力で押圧するための押圧プレート46とを有している。キャスティングコントロール機構22は、図3に示すように、スプール軸16の両端を挟むように配置された複数の摩擦プレート51と、摩擦プレート51によるスプール軸16の挟持力を調節するためのキャップ52とを有している。左側の摩擦プレート51は、ブレーキケース65内に装着されている。
【0034】
 遠心ブレーキ機構23は、図3に示すように、ブレーキケース65と、ブレーキケース65内に設けられた回転部66と、回転部66に周方向に間隔を隔てて配置され径方向に移動自在に装着された摺動子67とを有している。ブレーキケース65は、側板8に形成された円形の開口8aにバヨネット構造により着脱自在に装着されている。また、ブレーキケース65は、図2に示すように、円錐コイルバネ4bにより第1側カバー6の外方側に付勢されている。ブレーキケース65は、第1側カバー6の外側に露出する着脱把手69に固定され、着脱把手69を回転させることで側板8から外れて、第1側カバー6とともに図2左側に飛び出す。この状態で第1側カバー6を揺動させると、スプール12をスプール軸16とともに取り出し可能になる。
【0035】
 ブレーキケース65の中心部には、軸受35を装着するための筒状の軸受装着部65aが形成されている。また、その中心部にキャスティングコントロール機構22の摩擦プレート51が配置されている。ブレーキケース65の周縁部内周には制動用のライナー68が設けられている。回転部66は、セレーション結合によりスプール軸16に回転不能に連結されており、スプール軸16と一体で回転する。摺動子67は、遠心力によりブレーキケース65内のライナー68に摺接する。
【0036】
 次に動作について説明する。通常の状態では、クラッチヨーク40はスプリング42によって内方(図3左方)に押されており、これによりピニオンギア32は、図4(A)に示すように係合位置に移動させられている。この状態ではピニオンギア32の噛み合い部32bとスプール軸16の係合ピン16fとが噛み合ってクラッチオン状態となっており、ハンドル2からの回転力は、ハンドル軸30、メインギア31、ピニオンギア32及びスプール軸16を介してスプール12に伝達される。このときキャスティングコントロール機構22のキャップ52の締め付け量を調整することにより、スプール軸16の回転時の抵抗力を調整することが可能である。
【0037】
 このクラッチオン状態では、中径内面32gが大径部16iの外周面に接触し、小径内面32hが中径部16jの外周面に接触する。また、ピニオンギア32と軸受24bとの間には隙間C2が形成されるので、ピニオンギア32はスプール軸16により回転自在かつ軸方向移動自在に支持される。ここでは、スプール軸16に対して2箇所でピニオンギア32が支持されているので、巻き上げ回転時等に力が作用してもピニオンギア32が傾くことがなくなり、メインギア31との歯当たり不良が生じにくい。また、クラッチオン状態での巻き上げ時にスプール12に力が作用してスプール軸16が撓んでも、ピニオンギア32が軸受24bに接触するとそれによりピニオンギア32が支持され、スプール軸16が隙間C2以上に撓みにくくなる。この隙間C2は隙間C1より小さいので、スプール12に力が作用してもフランジ部12aがスプール収納空間14の端面に接触するスプールタッチ現象は生じにくい。しかも、クラッチ機構13がスプール12のボス部12cの近傍に配置されているので、ピニオンギア32からスプール軸16を介してスプール12に回転力が伝達される際に、スプール軸16のねじれが少なくなり、トルク伝達効率が向上し、操作フィーリングが向上する。
【0038】
 キャスティングを行う場合には、バックラッシュを抑えるためにキャップ52により制動力を調整する。そして、サムレスト17を下方に押す。ここでは、サムレスト17は、側板8,9の長孔に沿って下方の離脱位置に移動する。そしてサムレスト17の移動により、クラッチヨーク40が外方に移動し、クラッチヨーク40に係合したピニオンギア32も同方向に移動させられる。この状態では、ピニオンギア32の噛み合い部32bとスプール軸16の係合ピン16fとの噛み合いが外れ、クラッチオフ状態となる。この状態では、ハンドル軸30からの回転はスプール12及びスプール軸16に伝達されず、スプール12は自由回転状態になる。クラッチをオフ状態として、サムレスト17においた親指でスプールをサミングしながらスプール軸16が鉛直面に沿うようにリールを軸方向に傾けて釣り竿を振ると、ルアーが投げられスプール12が糸繰り出し方向に勢いよく回転する。
【0039】
 このような状態では、図4(B)に示すように、中径内面32gが大径部16iの外周面から離反し、小径内面32hが中径部16jの外周面から離反する。このため、ピニオンギア32はスプール軸16から離反しスプール軸16によって支持されない。しかし、このときには、外周面の軸支部32iが軸受24bに接触し、軸受24bによりピニオンギア32が回転自在かつ軸方向移動自在に支持される。このため、自由回転時にピニオンギア32が傾いてこぜることがなく、スプール軸16に接触することもない。したがって自由回転時にピニオンギア32とスプール軸16とが接触して回転抵抗が増加することがない。
【0040】
 〔他の実施形態〕
 (a) クラッチ機構の構成は、係合ピンと凹溝とに限定されず、ピニオンギアの軸方向の移動によりピニオンギアとスプール軸とを回転不能に係合し、かつ回転可能に離脱する構成であれば、どのような構成でもよい。
【0041】
 (b) クラッチ機構をスプール軸及びピニオンギアと別部材で構成してもよい。たとえば、スプール軸に軸方向移動自在にクラッチ筒体を設け、クラッチ筒体を軸方向に移動させることによりピニオンギアとスプール軸とを係合・離脱するような構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態による両軸受リールの平面図。
【図2】その横断面図。
【図3】そのスプール軸部分の断面拡大図。
【図4】クラッチ動作時のスプール軸端部の断面部分図。
【符号の説明】
【0043】
 1 リール本体
 2 ハンドル
 12 スプール
 12a フランジ部
 12b 糸巻き胴部
 12c ボス部
 12e 内部の空間
 13 クラッチ機構
 16 スプール軸
 16f 係合ピン
 17 サムレスト
 30 ハンドル軸
 31 メインギア
 32 ピニオンギア
 32a 歯部
 32b 噛み合い部
 32i 軸支部
 33 凹溝




 

 


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