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発明の名称 ジルコニウム廃棄物のリサイクルシステム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−344578(P2003−344578A)
公開日 平成15年12月3日(2003.12.3)
出願番号 特願2002−152371(P2002−152371)
出願日 平成14年5月27日(2002.5.27)
代理人 【識別番号】100087332
【弁理士】
【氏名又は名称】猪股 祥晃 (外2名)
【テーマコード(参考)】
4K001
4K058
【Fターム(参考)】
4K001 AA31 BA22 DA14 
4K058 AA21 BA09 BA11 BA13 BA17 BB05 CB04 CB05 CB06 CB22 EB02 EB13 EB18 EC01 EC03 EC07 FA06 FA18 FC07 FC21 FC22
発明者 藤田 玲子 / 中村 等 / 水口 浩司 / 廣瀬 恵美子 / 芝野 隆之 / 夏井 和司 / 松本 浩一 / 林田 芳久
要約 課題
ウランや超ウラン元素で汚染されたチャンネルボックスや被覆管からウランや超ウラン元素を回収するとともにジルコニウムを純度良く回収する。

解決手段
ウラン(U)や超ウラン元素(TRU)で汚染された被覆管、チャンネルボックスの被覆ハル25を陽極バスケット20に入れ、溶融塩に浸漬する。溶融塩としてはUO2の溶解度の低いKCl−LiCl−ZrCl2を主として用いる。陰極19は鉄またはモリブデンを用いて電解槽18内で溶融塩電解する。汚染核種であるNb,Mo,Coは第1の陰極で回収する。Zrが析出し始めたところで第2の陰極と交換し、第2の陰極で金属Zrを析出回収する。付着している金属UやTRUの場合は溶融塩中に残留し、酸化物の場合は沈殿物28となって電解槽18の底板に沈殿するので回収する。
特許請求の範囲
【請求項1】 使用済み燃料のチャンネルボックスまたは被覆管を処理してジルコニウムを回収するジルコニウム廃棄物のリサイクルシステムにおいて、前記使用済み燃料のチャンネルボックスまたは被覆管を溶融塩電解法により陽極で溶解し、ジルコニウム金属を陰極に析出して回収し、回収したジルコニウム金属を放射性廃棄物の処分容器、または酸化ウランと酸化プルトニウム混合燃料、あるいは軽水炉用燃料のチャンネルボックスまたは被覆管として再利用することを特徴とするジルコニウム廃棄物のリサイクルシステム。
【請求項2】 使用済み燃料のチャンネルボックスまたは被覆管を処理してジルコニウムを回収するジルコニウム廃棄物のリサイクルシステムにおいて、前記使用済み燃料のチャンネルボックスまたは被覆管を陽極溶解により溶解し、陰極でジルコニウム金属を析出、回収する溶融塩電解工程と、前記陰極に析出した析出物から溶融塩を分離する溶融塩溶融分離工程と、陰極に析出した金属を製品に再加工する再加工工程とから構成されることを特徴とするジルコニウム廃棄物のリサイクルシステム。
【請求項3】 使用済み燃料のチャンネルボックスまたは被覆管を処理してジルコニウムを回収するジルコニウム廃棄物のリサイクルシステムにおいて、前記使用済み燃料のチャンネルボックスまたは被覆管を収納する通液性流路孔を有する容器を陽極に接続し、金属またはセラミック製の陰極もしくはセラミック製容器内に収納され液体金属陰極との間に電圧を印加することによりジルコニウムおよび核分裂生成物を溶融塩中にイオンとして溶解させ、最初に核分裂生成物を第1の陰極に析出させて回収した後、前記第1の陰極を第2の陰極と交換し、次に、前記第2の陰極にジルコニウムを析出させて回収すると共に前記溶融塩中にウランもしくは超ウラン元素を残留させることを特徴とするジルコニウム廃棄物のリサイクルシステム。
【請求項4】 前記第1の陰極に析出、回収する核分裂生成物はモリブデン、ニオブ、コバルトであり、また前記第2の陰極に回収するジルコニウムは前記陽極と陰極との間に印加する電圧を制御するか、または前記印加する電圧により流れる電流の量により純度および成分をいずれにも調整できることを特徴とする請求項3記載のジルコニウム廃棄物のリサイクルシステム。
【請求項5】 前記通液性流路孔を有する容器はステンレス鋼、炭素鋼、タンタル、タングステンのいずれかの金属、またはアルミナ、ジルコニア、イットリア、黒鉛のいずれかのセラミックスからなる材料で構成され、また、前記第1の陰極および第2の陰極は炭素鋼、モリブデン、ジルコニウム、タンタル、タングステン、ニオブ、コバルトのいずれかの金属またはイットリア、黒鉛のいずれかのセラミックス、あるいはアルミナ、ジルコニア、イットリア、ベリリア、黒鉛のいずれかのセラミックス製るつぼ内にカドミウム、鉛、ビスマス、亜鉛のいずれかの液体金属を収納した陰極で構成されることを特徴とする請求項3記載のジルコニウム廃棄物のリサイクルシステム。
【請求項6】 前記溶融塩電解法に使用する溶融塩は塩化リチウムと塩化カリウムの混合塩、塩化ルビジウムと塩化リチウムの混合塩、塩化ナトリウムと塩化リチウムの混合塩、塩化ナトリウムと塩化マグネシウムの混合塩、塩化ナトリウムと塩化カリウムの混合塩、塩化リチウムと塩化ストロンチウムの混合塩、塩化リチウムと塩化カルシウムの混合塩、フッ化ナトリウムとフッ化カリウムの混合塩、フッ化リチウムとフッ化カリウムの混合塩、フッ化ナトリウムとフッ化リチウムの混合塩、塩化ナトリウムとフッ化ナトリウムの混合塩、塩化リチウムとフッ化リチウムの混合塩、塩化カリウムとフッ化カリウムの混合塩のいずれかの混合塩から選択されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のジルコニウム廃棄物のリサイクルシステム。
【請求項7】 前記溶融塩溶融分離工程は陰極に析出した析出物を加熱して前記陰極に析出したジルコニウム金属に付着している溶融塩を溶融した後、前記ジルコニウム金属と分離するか、または前記陰極に付着している溶融塩および溶融金属を沸点以上に加熱して蒸発させることで、前記溶融塩を分離することを特徴とする請求項2記載のジルコニウム廃棄物のリサイクルシステム。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は再処理施設から発生する放射性廃棄物の処理システムにおいて、特に、使用済み燃料集合体のチャンネルボックスまたは燃料棒の被覆管を溶融塩電解処理してジルコニウムを回収して再利用するためのジルコニウム廃棄物のリサイクルシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、使用済み燃料集合体のジルカロイ製チャンネルボックスや被覆管はドラム缶に詰めて貯蔵されるか、または、圧縮処理して超ウラン元素(TRU)廃棄物もしくはレベル1(L1)廃棄物として処分することが計画されている。しかし、使用済みジルカロイ製チャンネルボックスや被覆管を処理し、ジルコニウムを回収して製品に再加工するシステムは実用化されていない。
【0003】また、使用済み燃料集合体のジルカロイ製チャンネルボックスや被覆管からジルコニウムを回収する方法として分留精錬法が知られている(日本原子力学会「2001秋の大会」M38)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】使用済み燃料集合体のジルカロイ製チャンネルボックスや被覆管を溶融する場合には、ジルコニウムの融点が1855℃と高温であることから、溶融作業に用いる容器の材料に課題がある。また、使用済み燃料集合体のジルカロイ製のチャンネルボックスや被覆管に含まれる放射性のMo-93,Nb-94,Co-60のうち、MoとNbの融点は各々2623℃と2469℃であり、ジルコニウム(Zr)と分離することは難しい。
【0005】分留精錬法を応用してジルコニウムを回収する場合、ジルコニウムを塩化ジルコニウムとして気体で回収するため、プロセスの制御が難しく、また、核分裂生成物であるコバルトが分留後のジルコニウムに含有され、分離が困難であることから、放射能低減が十分に図れない課題がある。
【0006】本発明は上記課題を解決するためになされたもので、使用済み燃料集合体のジルカロイ製チャンネルボックスまたは被覆管からジルコニウムを回収し、再加工してジルコニウム製品にリサイクルできるジルコニウム廃棄物のリサイクルシステムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、使用済み燃料のチャンネルボックスまたは被覆管を処理してジルコニウムを回収するジルコニウム廃棄物のリサイクルシステムにおいて、前記使用済み燃料のチャンネルボックスまたは被覆管を溶融塩電解法により陽極で溶解し、ジルコニウム金属を陰極に析出して回収し、回収したジルコニウム金属を放射性廃棄物の処分容器、または酸化ウランと酸化プルトニウム混合燃料、あるいは軽水炉用燃料のチャンネルボックスまたは被覆管として再利用することを特徴とする。
【0008】請求項1に係る発明によれば、電解槽一槽で放射性物質の分離とジルコニウムの回収ができる溶融塩電解法により使用済み燃料のチャンネルボックスや被覆管を処理してジルコニウムを回収することができる。
【0009】請求項2に係る発明は、使用済み燃料のチャンネルボックスまたは被覆管を処理してジルコニウムを回収するジルコニウム廃棄物のリサイクルシステムにおいて、前記使用済み燃料のチャンネルボックスまたは被覆管を陽極溶解により溶解し、陰極でジルコニウム金属を析出、回収する溶融塩電解工程と、前記陰極に析出した析出物から溶融塩を分離する溶融塩溶融分離工程と、陰極に析出した金属を製品に再加工する再加工工程とから構成されることを特徴とする。
【0010】請求項2に係る発明によれば、使用済み燃料のチャンネルボックスや被覆管を処理してジルコニウムを回収するジルコニウム廃棄物のリサイクルシステムにおいて、回収したジルコニウムを耐食性の良い放射性廃棄物の処分容器、Zr-93による放射能の影響の少ない酸化ウランと酸化プルトニウムの混合燃料用のチャンネルボックスや被覆管に再使用することができる。
【0011】請求項3に係る発明は、使用済み燃料のチャンネルボックスまたは被覆管を処理してジルコニウムを回収するジルコニウム廃棄物のリサイクルシステムにおいて、前記使用済み燃料のチャンネルボックスまたは被覆管を収納する通液性流路孔を有する容器を陽極に接続し、金属またはセラミック製の陰極もしくはセラミック製容器内に収納され液体金属陰極との間に電圧を印加することによりジルコニウムおよび核分裂生成物を溶融塩中にイオンとして溶解させ、最初に核分裂生成物を第1の陰極に析出させて回収した後、前記第1の陰極を第2の陰極と交換し、次に、前記第2の陰極にジルコニウムを析出させて回収すると共に前記溶融塩中にウランもしくは超ウラン元素を残留させることを特徴とする。
【0012】請求項3に係る発明によれば、使用済み燃料のチャンネルボックスや被覆管に含まれている放射性の核分裂生成物(FP)は電位がポジティブであるので電解により最初に陰極に回収し、より電位のネガティブなジルコニウムを後から別の陰極に析出して回収することができる。
【0013】請求項4に係る発明は、前記第1の陰極に析出、回収する核分裂生成物はモリブデン、ニオブ、コバルトであり、また前記第2の陰極に回収するジルコニウムは前記陽極と陰極との間に印加する電圧を制御するか、または前記印加する電圧により流れる電流の量により純度および成分をいずれにも調整できることを特徴とする。
【0014】請求項4に係る発明によれば、FPとして第1の陰極に析出回収する元素はMo,Nb,Coであることと、第2の陰極で回収するジルコニウムの純度は第1の陰極と第2の陰極との交換のタイミングすなわち電気量によって調整することができる。
【0015】請求項5に係る発明は、前記通液性流路孔を有する容器はステンレス鋼、炭素鋼、タンタル、タングステンのいずれかの金属、またはアルミナ、ジルコニア、イットリア、黒鉛のいずれかのセラミックスからなる材料で構成され、また、前記第1の陰極および第2の陰極は炭素鋼、モリブデン、ジルコニウム、タンタル、タングステン、ニオブ、コバルトのいずれかの金属またはイットリア、黒鉛のいずれかのセラミックス、あるいはアルミナ、ジルコニア、イットリア、ベリリア、黒鉛のいずれかのセラミックス製るつぼ内にカドミウム、鉛、ビスマス、亜鉛のいずれかの液体金属を収納した陰極で構成されることを特徴とする。
【0016】請求項5に係る発明によれば、使用済み燃料のチャンネルボックスや被覆管を陽極で保持する容器の材料には、酸化還元電位のポジティブな金属、または耐食性セラミックスを使用し、核分裂生成物(FP)およびジルコニウムを析出させる陰極には耐食性で電導性を有する金属、または融点が十分低い液体金属を収容したセラミックス容器を使用するので、装置の構成材料の選定に問題を生じることはない。
【0017】請求項6に係る発明は、前記溶融塩電解法に使用する溶融塩は塩化リチウムと塩化カリウムの混合塩、塩化ルビジウムと塩化リチウムの混合塩、塩化ナトリウムと塩化リチウムの混合塩、塩化ナトリウムと塩化マグネシウムの混合塩、塩化ナトリウムと塩化カリウムの混合塩、塩化リチウムと塩化ストロンチウムの混合塩、塩化リチウムと塩化カルシウムの混合塩、フッ化ナトリウムとフッ化カリウムの混合塩、フッ化リチウムとフッ化カリウムの混合塩、フッ化ナトリウムとフッ化リチウムの混合塩、塩化ナトリウムとフッ化ナトリウムの混合塩、塩化リチウムとフッ化リチウムの混合塩、塩化カリウムとフッ化カリウムの混合塩のいずれかの混合塩から選択されることを特徴とする。
【0018】請求項6に係る発明によれば、使用済み燃料集合体のチャンネルボックスや被覆管を処理してジルコニウムを回収する溶融塩電解法で使用する溶融塩は融点は低く、ジルコニウムの回収が容易である酸化物、フッ化物、および塩化物とフッ化物の混合塩を使用することにより、ジルコニウムを純度良く回収できる。
【0019】請求項7に係る発明は、前記溶融塩溶融分離工程は陰極に析出した析出物を加熱して前記陰極に析出したジルコニウム金属に付着している溶融塩を溶融した後、前記ジルコニウム金属と分離するか、または前記陰極に付着している溶融塩および溶融金属を沸点以上に加熱して蒸発させることで、前記溶融塩を分離することを特徴とする。
【0020】請求項7に係る発明によれば、使用済み燃料集合体のチャンネルボックスや被覆管を処理してジルコニウムを回収する溶融塩電解法で陰極に回収したジルコニウム金属に付着した溶融塩や溶融金属を融点以上に加熱するか、溶融塩を落下させるか、または沸点以上に加熱することにより、溶融塩や溶融金属を蒸発させ、ジルコニウムと分離除去することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】図1により本発明に係るジルコニウム廃棄物のリサイクルシステムの第1の実施の形態を説明する。図1は本実施の形態のジルコニウム廃棄物のリサイクルシステムの概念図で、図1中、符号1は使用済み燃料の混合酸化物燃料(MOX燃料)または軽水炉用燃料(LWR燃料)を示したものである。符号2はMOX燃料、LWR燃料1を再処理するためのピューレックス(Purex)法を使用した再処理工場を示している。
【0022】再処理工場2において使用済み燃料集合体を解体した使用済み燃料集合体のジルカロイ製チャンネルボックスや被覆管3は小片にせん断されジルコニウムを回収するジルコニウム廃棄物のリサイクルシステムにおける溶融塩電解工程4で電解処理される。すなわち、溶融塩電解工程4によりせん断されたチャンネルボックスや被覆管3は陽極バスケットに入れ、溶融塩に浸漬する。そして、陽極で溶解し、ジルコニウム金属7を陰極に析出して回収する。その際に核分裂生成物であるMo,NbおよびCo5は第1の陰極に回収され、ウラン(U)6および超ウラン元素(TRU)は溶融塩中に残留する。ジルコニウムが析出し始めたところで第1の陰極を第2の陰極と交換し、第2の陰極で金属ジルコニウムを析出回収する。第2の陰極に析出したジルコニウム金属7は付着している溶融塩や溶融金属を溶融塩溶融分離工程8で分離する。
【0023】溶融塩や溶融金属を分離したジルコニウムは再加工工程9で放射性廃棄物処分容器や酸化ウランと酸化プルトニウム混合燃料のチャンネルボックスや被覆管に再加工され、リサイクルライン29を通してMOX燃料、LWR燃料1の再処理前のジルコニウムとして再利用する。
【0024】なお、被処理物が酸化物の場合は電解槽の底に沈殿するので、回収装置を設けて回収する。溶融塩としてはUO2の溶解度の低いKCl−LiCl−ZrCl2を主として用いる。
【0025】本実施の形態によれば、回収したジルコニウム金属を放射性廃棄物の処分容器、または酸化ウランと酸化プルトニウム混合燃料(MOX燃料)、あるいは軽水炉燃料(LWR燃料)用の燃料集合体のチャンネルボックス、燃料棒の被覆管として再利用することができる。
【0026】つぎに、図2により本発明に係るジルコニウム廃棄物のリサイクルシステムの第2の実施の形態を説明する。図2は使用済み燃料の被覆管を処理する処理プロセスの概念図で、図2中、図1と同一部分には同一符号を付して重複する部分の説明は省略する。図2において、使用済み燃料の被覆管3aは小片にせん断10され、図1に示したピューレックス法の再処理工場の溶解工程で沸騰硝酸により使用済み燃料を溶解11した後、燃料溶解バスケットから取り出され、残留硝酸を除去するために、水洗12される。水洗12された後の被覆管は水分を除去して乾燥13した後、溶融塩電解工程4で電解処理する。
【0027】すなわち、図4に示した溶融塩電解装置を使用し、切断被覆管(被覆ハル)25を通液性流路孔を有する容器20内に収納し、この容器20を電解槽18に挿入した後、陽極に接続し、金属またはセラミックス製メッシュバスケット19の陰極、もしくはセラミックス製容器内に液体金属を収納した液体金属陰極との間に電圧を印加する。溶融塩電解槽18では陽極溶解によりジルカロイ製の被覆管25が以下の反応により溶融塩中に溶解する。
【0028】Zr → Zr2+ + 2e一方、切断被覆管25に含まれている放射性のMo-93やNb-94やCo-60は陽極で溶解し、Zrと同様に溶融塩に溶解する。
Mo → Mo3+ + 3eNb → Nb3+ + 3eCo → Co2+ + 2e【0029】しかしながら、表1に示すようにMo,NbおよびCoは標準酸化還元電位がポジティブであるため、直ちに陰極に析出する。そこで、Mo,NbおよびCoを第1の陰極で回収し、表1に示すように、よりネガティブな標準酸化還元電位を持つZrが多少析出するまで電流を流して第1の陰極で回収すると、Coは溶融塩中にほとんど存在しなくなる。放射性物質を第1の陰極に析出させて回収した後、陰極を交換し、次に、第2の陰極にジルコニウムを析出させる。
【0030】電解槽18の溶融塩中にジルコニウムを若干残留させる状態でジルコニウムの陰極析出を終了し、次の使用済み燃料のチャンネルボックスや被覆管を受け入れる。ジルコニウムを電解槽18の溶融塩中に残留させることにより電解槽18内の溶融塩にウランもしくは超ウラン元素を残留させることができ、ジルコニウムを高純度で回収できる。
【0031】第2の陰極に回収するジルコニウムは前記陽極と陰極との間に印加する電圧を制御するか、または前記印加する電圧により流れる電流の量を制御することによりジルコニウムの純度および成分をいずれにも調整することができる。本実施の形態によれば、ニオブ、モリブデン、コバルトは陽極に残留し、ウランは溶融塩中に残留し、ジルコニウムを陰極で回収できる。
【0032】つぎに、図3により本発明に係るジルコニウム廃棄物のリサイクルシステムの第3の実施の形態を説明する。図3は使用済み燃料のチャンネルボックスを処理する処理プロセスの概念図で、図3中、図1と同一部分には同一符号を付して重複する部分の説明は省略する。図3において使用済み燃料のチャンネルボックス3bは図2の被覆管3aと同様に小片にせん断されて保管されている。
【0033】せん断されたチャンネルボックス3aを第2の実施の形態と同様に図4に示す通液性流路孔を有する容器を電解槽18に挿入した後、陽極に接続し、金属またはセラミックス製陰極もしくはセラミックス製容器に収納した液体金属陰極との間に電圧を印加する。溶融塩電解槽では陽極溶解によりジルカロイ製チャンネルボックス3bのジルコニウム(Zr)は以下の反応により溶融塩中に溶解する。
【0034】Zr → Zr2+ + 2e一方、チャンネルボックスや被覆管に含まれている放射性のMo-93やNb-94やCo-60は陽極で溶解し、Zrと同様に溶融塩に溶解する。
Mo → Mo3+ + 3eNb → Nb3+ + 3eCo → Co2+ + 2e【0035】しかしながら、表1に示すようにMo,NbおよびCoは標準酸化還元電位がポジティブであるため、すぐに陰極に析出する。そこで、Mo,NbおよびCoを第1の陰極で回収し、表1に示すように、よりネガティブな標準酸化還元電位を持つZrが多少析出するまで電流を流して第1の陰極で回収すると、Coは溶融塩中にほとんど存在しなくなる。
【0036】放射性物質を第1の陰極に析出させて回収した後、陰極を交換し、次に、第2の陰極にジルコニウムを析出させる。電解槽の溶融塩中にジルコニウムをほとんど残留させない状態まで電解を継続し、ジルコニウムを絞り取ることも可能である。
【0037】本実施の形態によれば、ジルコニウムを放射性物質と共に析出させることおよび電解槽の溶融塩中に残留させることにより電解槽中の溶融塩に不純物量をコントロールし、ジルコニウムを高純度で回収できる。
【0038】
【表1】

【0039】つぎに図4により前記第1および第2の実施の形態で使用した溶融塩電解装置の構造を説明する。図4は溶融塩電解装置の前面部分を一部切り開いて一部縦断面で透視的に示す斜視図である。
【0040】図4中、符号17は溶融塩電解装置の有底保護容器で、この保護容器17内に有底電解槽18が設置されている。保護容器17の上端開口部は上蓋15が取り付けられて閉塞されている。上蓋15の下面には断熱材16が設けられ、電解槽18内の溶融塩(図示せず)からの熱が遮断される。
【0041】電解槽18内には後述する溶融塩が収納され、この溶融塩中に金網(メッシュ)バスケット製陰極19が浸漬される。この陰極19内の溶融塩に陽極バスケット20、攪拌羽根21および参照電極22が挿入されている。陽極バスケット20は上蓋15を貫通する支持棒23により吊り下げられており、支持棒23は回転モータ24に取り付けられ、回転モータ24の駆動により陽極バスケット20を回転させる。陽極バスケット20内には被覆ハル25が収納される。被覆ハル25は使用済み燃料棒の被覆管3aの切断片またはチャンネルボックス3bの切断片を意味している。
【0042】攪拌羽根21は上蓋15を貫通する攪拌棒26の下端部に取り付けられており、攪拌棒26の上部は回転モータ27に取り付けられ、回転モータ27の駆動により攪拌羽根21が回転して溶融塩を攪拌する。図4中、符号28は電解生成物または陽極バスケット20からの沈殿物である。
【0043】使用済み燃料のチャンネルボックスの小片や被覆管の被覆ハル25を例えばステンレス製通液性流路孔を有する円筒型の陽極バスケット20に収納する。陽極バスケット20の中心には陽極バスケット20を保持する支持棒23を設け、陽極バスケット20を攪拌する場合には回転軸として使用する。また、支持棒23を陽極に接続し、リードとして使用する。
【0044】一方、塩化カリウム(KCl)と塩化リチウム(LiCl)の混合塩を入れた電解槽18には放射性物質であるモリブデン、ニオブおよびコバルトを回収するため、例えばモリブデン製の円筒型陰極19を挿入する。円筒型陰極19には析出物の落下を防ぐためのセラミックス製の受け皿を付けることも可能である。陽極バスケット20に装荷された被覆ハル25は陽極溶解によりZr2+イオンが陽極バスケット20の孔を通して溶融塩中に溶ける。
【0045】一方、例えば、モリブデン製の陰極19にはモリブデン、ニオブ、コバルトが析出するので、Zrが析出し始めたら、電解を止め、陰極を交換する。ジルコニウムを回収する第2の陰極、例えばジルコニウム製も同様の位置に設置し、ジルコニウムを回収する。第1および第2の陰極に流す電気量により回収するジルコニウムの成分調整が可能である。側面に孔のあいた陽極バスケット20の材料はステンレス鋼でなくても、炭素鋼、タンタル、タングステンの金属もしくはアルミナ、ジルコニア、イットリア、黒鉛のセラミックスでも可能である。
【0046】また、第1の陰極はモリブデン製でなくても、炭素鋼、ジルコニウム、タンタル、タングステン、ニオブ、コバルトなどの金属もしくはイットリア、黒鉛のセラミックスでも使用可能である。第2の陰極はジルコニウムだけでなく、炭素鋼、モリブデン、タンタル、タングステン、ニオブ、コバルトなどの金属もしくはイットリア、黒鉛、もしくはアルミナ、ジルコニア、イットリア、ベリリア、黒鉛などのセラミックス製るつぼ内に収納したカドミウム、鉛、ビスマス、亜鉛などの液体金属でも使用可能である。
【0047】さらに、電解槽18に入れる溶融塩は塩化カリウムと塩化リチウムの混合塩だけでなく、塩化ルビジウムと塩化リチウムの混合塩、塩化セシウムと塩化リチウムの混合塩、塩化ナトリウムと塩化マグネシウムの混合塩、塩化ナトリウムと塩化カリウムの混合塩、塩化リチウムと塩化ストロンチウムの混合塩、塩化リチウムと塩化カルシウムの混合塩、フッ化ナトリウムとフッ化カリウムの混合塩、フッ化リチウムとフッ化カリウムの混合塩、フッ化ナトリウムとフッ化リチウムの混合塩、塩化ナトリウムとフッ化ナトリウムの混合塩、塩化リチウムとフッ化リチウムの混合塩、塩化カリウムとフッ化カリウムの混合塩のいずれかの混合塩も使用できる。
【0048】これらの溶融塩を使用することにより、溶融塩電解の操業温度を500℃前後にすることができる。なお、溶融塩を分離する溶融塩分離工程8は陰極析出物を加熱し、析出したジルコニウム金属に付着している溶融塩を溶解した後、前記ジルコニウム金属と分離する、もしくは前記付着している溶融塩や溶融金属を沸点以上に加熱して蒸発させることにより分離、除去する。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、以下の効果がある。
(1) 使用済みジルカロイ製のチャンネルボックスや被覆管をジルコニウム製品として再利用できる。
(2) 燃料サイクルコストを低減できる。
(3) 処理温度を500℃前後にできるので、電解槽などの装置材料に問題がない。
【0050】(4) 放射性のモリブデン、ニオブ、コバルトとジルコニウムだけでなく、ウランや超ウラン元素も回収できる。また、ウランおよび超ウラン元素を回収することにより、電解槽中の塩は永久的に使用できる。
【0051】(5) ジルコニウムは陰極に析出、回収でき、二次廃棄物は電解槽中の溶融塩のみであるので、二次廃液処理プロセスが不要であり、かつ二次廃棄物発生量が低減できる。




 

 


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