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発明の名称 照射損傷評価方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−294880(P2003−294880A)
公開日 平成15年10月15日(2003.10.15)
出願番号 特願2002−101443(P2002−101443)
出願日 平成14年4月3日(2002.4.3)
代理人 【識別番号】100087332
【弁理士】
【氏名又は名称】猪股 祥晃 (外2名)
【テーマコード(参考)】
2G075
【Fターム(参考)】
2G075 BA17 CA04 CA07 DA15 FA11 FB08 FB16 FB18 GA14 
発明者 小川 和夫 / 田中 重彰
要約 課題
放射線照射損傷部位に大きな損傷を与えずに照射損傷評価を行なう。

解決手段
照射を受ける部材と同等の材料について、照射損傷を表すパラメータと硬さとの相関関係を求める工程と、部材の放射線照射後の硬さを測定する工程と、部材の放射線照射後の硬さと相関関係とから当該部材のパラメータの値を求める工程と、を有する。硬さは、硬さ測定用押込み圧子の被測定表面への押込み深さと押込み荷重を用いて計算される硬さ値である。また、照射損傷を表すパラメータは、たとえば、降伏応力、引張強さ、応力ひずみ関係、破壊靭性値またはJR曲線である。
特許請求の範囲
【請求項1】 放射線照射を受ける機器の少なくとも一部を構成する部材の照射損傷を評価する照射損傷評価方法において、前記部材と同等の材料について、照射損傷を表すパラメータと硬さとの相関関係を求める工程と、前記部材の放射線照射後の硬さを測定する工程と、前記部材の放射線照射後の硬さと前記相関関係とから当該部材の前記パラメータの値を求める工程と、を有し、前記硬さは、硬さ測定用押込み圧子の被測定表面への押込み深さと押込み荷重を用いて計算される硬さ値であること、を特徴とする照射損傷評価方法。
【請求項2】 請求項1の照射損傷評価方法において、前記照射損傷を表すパラメータは、降伏応力、引張強さ、応力ひずみ関係、破壊靭性値およびJR曲線のうちの少なくとも一つであることを特徴とする照射損傷評価方法。
【請求項3】 請求項1または2の照射損傷評価方法において、前記部材の放射線照射後の硬さを測定する工程は、前記部材の一部を試料として採取し、この採取試料について硬さを測定するものであること、を特徴とする照射損傷評価方法。
【請求項4】 請求項3の照射損傷評価方法において、前記試料として採取する前記部材の一部は、照射損傷の評価対象とする前記部材の部分と異なる部分であること、を特徴とする照射損傷評価方法。
【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の照射損傷評価方法において、前記パラメータとあらかじめ定めた基準値とを比較する比較工程と、前記比較工程の結果により、前記部材の継続使用の可否を判定する工程と、をさらに有すること、を特徴とする照射損傷評価方法。
【請求項6】 請求項1ないし4のいずれかに記載の照射損傷評価方法において、前記パラメータの値に基づいて、前記部材の少なくとも照射損傷を受けた部位の補修の可否を判定する工程をさらに有すること、を特徴とする照射損傷評価方法。
【請求項7】 請求項6に記載の照射損傷評価方法において、前記補修が必要と判定された場合に当該部材を少なくとも部分的に熱処理することにより照射損傷を回復する回復工程と、前記回復工程の後に、前記熱処理を施された部位について、前記硬さを測定する回復後硬さ測定工程と、前記回復後硬さ測定工程で得られた硬さの値および前記相関関係から、前記回復工程後の当該部材の前記パラメータの値を求める工程と、を有すること、を特徴とする照射損傷評価方法。
【請求項8】 請求項7に記載の照射損傷評価方法において、前記回復工程は、前記照射損傷の回復のために行なう熱処理が前記部材に及ぼす可能性のある回復以外の影響を考慮して、前記熱処理条件が決定されるものであること、を特徴とする照射損傷評価方法。
【請求項9】 請求項1ないし5のいずれかに記載の照射損傷評価方法において、前記部材の前記パラメータの値を求める工程の後に、前記パラメータの値と、前記機器の運転履歴および運転条件とに基づいて、前記運転条件に従って当該機器の運転を継続した場合の前記パラメータの値の変化を推定する工程と、前記推定された前記パラメータの値があらかじめ設定された基準値に達する時期を予測する工程と、を有すること、を特徴とする照射損傷評価方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子力プラント等で、中性子等の放射線の照射損傷を受ける機器の材料照射損傷の評価方法、特に、硬さ測定を利用した評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力プラント等の運転中に中性子等の放射線の照射を受ける部位の材料は、一般に照射脆化と呼ばれる材質劣化が起こり、プラントの健全性が損なわれる恐れがある。照射脆化による具体的な材料物性値への影響としては、材料の硬さおよび降伏応力の増加、延性および靭性の低下、さらには応力ひずみ関係として記述される塑性変形抵抗、破壊靭性のようなき裂進展抵抗等の変化として表れる。
【0003】プラント機器の健全性を精度良く評価するには、上記の材料特性値をすべて知ることが望ましい。たとえば、硬さの変化のみからでも照射損傷のおよその推定はできるが、それに加え破壊靭性値が得られれば、き裂が存在した場合の機器の構造健全性を評価できることになり、より信頼性の高い照射損傷評価が実現できる。
【0004】材料特性値を知るためには、個々の材料特性値に適した試験片の形状、寸法がJIS等の基準に定められており、照射損傷評価部位から各材料特性値に対応した形状、寸法の様々な試験片を採取する必要がある。ただし、試験片採取跡が無視できない大きさである場合は、プラント運転再開前に採取跡を溶接埋め戻し等により補修することが必要となる。
【0005】埋め戻し作業をしない、あるいは、埋め戻し等ができない場合に対しては、試験片採取跡が機器の健全性に及ぼす影響を最小限に抑えるために、採取体積を最小限に抑える技術が提案されている。その例として、特開平6−11500号公報には、破壊試験が可能な限りの最小寸法のミニチュア引張試験片が提案されている。
【0006】また、照射損傷評価部位と同等と推定される照射損傷を受ける位置にサーベランス試験片を備える方法もある。サーベランス試験片を用いれば、プラント機器表面を直接傷つけることはない利点があるが、あくまで参照試験片であり、評価部位を直接計測していないため照射損傷の診断精度が充分ではない恐れがある。
【0007】ここで、硬さ、降伏応力、引張強さ、応力ひずみ関係、破壊靭性値、JR曲線等の材料特性値はいずれも材料のミクロな変形抵抗が関与する事象で、それぞれの値の間には相関性がある。すなわち、ある特性値を他の特性値の関数で表すことができる。
【0008】特に、硬さは、試験技術上測定が容易であることから、他の材料特性値との相関関係をマスターカーブ化しておき、硬さ測定値から硬さ以外の材料物性値を前記マスターカーブから推定し、その材料データを用い機器の経年状態に応じた損傷評価、余寿命予測を行なう方法がある。たとえば、運転中の材料の金属組織的な変化が大きく、硬さとクリープ強度が比較的大きく変化するような材料と運転条件の組合せで運用される高温機器の場合に、両者の関係を定式化しておくことにより、硬さ測定値からクリープ強度を簡易的に推定する方法が知られている(たとえば、特開昭60−67838号公報参照)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記現状に鑑みてなされたものであって、その目的は、測定試験時に被測定物に与える損傷が局所的で無視できる程度の非破壊的な試験法である硬さ試験法を用い、照射損傷部位に大きな損傷を与えずに高精度の照射損傷評価方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するものであって、請求項1の発明は、放射線照射を受ける機器の少なくとも一部を構成する部材の照射損傷を評価する照射損傷評価方法において、前記部材と同等の材料について、照射損傷を表すパラメータと硬さとの相関関係を求める工程と、前記部材の放射線照射後の硬さを測定する工程と、前記部材の放射線照射後の硬さと前記相関関係とから当該部材の前記パラメータの値を求める工程と、を有し、前記硬さは、硬さ測定用押込み圧子の被測定表面への押込み深さと押込み荷重を用いて計算される硬さ値であること、を特徴とする。
【0011】請求項1の発明の方法によれば、試験作業が比較的簡易で試験片の小型化が容易な試験方法である硬さ試験を活用し、さらに被測定物表面に測定圧子の微小な圧痕を残すのみで、すなわち試験片を破断させることはない工学的に非破壊的と言える方法で照射損傷評価を行なうことが可能になる。
【0012】また、請求項2の発明は、請求項1の照射損傷評価方法において、前記照射損傷を表すパラメータは、降伏応力、引張強さ、応力ひずみ関係、破壊靭性値およびJR曲線のうちの少なくとも一つであることを特徴とする。請求項2の発明によれば、請求項1の発明の作用・効果が得られるほか、放射線照射損傷の定量的評価対象として、一般的パラメータを利用することができる。
【0013】また、請求項3の発明は、請求項1または2の照射損傷評価方法において、前記部材の放射線照射後の硬さを測定する工程は、前記部材の一部を試料として採取し、この採取試料について硬さを測定するものであること、を特徴とする。
【0014】請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明の作用・効果が得られるほか、実機プラント等の現場に硬さ試験機を持ち込んで硬さ測定を行なう場合に比べ、試料を環境の整った実験室等に持ち帰り測定することができるので、より正確な硬さ測定が可能で、結果的に照射損傷評価の精度を上げることが可能になる。
【0015】また、請求項4の発明は、請求項3の照射損傷評価方法において、前記試料として採取する前記部材の一部は、照射損傷の評価対象とする前記部材の部分と異なる部分であること、を特徴とする。
【0016】請求項4の発明によれば、請求項3の発明の作用・効果が得られるほか、評価対象部位から試料サンプリングが困難な場合でも、照射損傷評価を行なうことが可能になる。
【0017】また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の照射損傷評価方法において、前記パラメータとあらかじめ定めた基準値とを比較する比較工程と、前記比較工程の結果により、前記部材の継続使用の可否を判定する工程と、をさらに有すること、を特徴とする。
【0018】請求項5の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかの発明の作用・効果が得られるほか、照射による材質変化、すなわち降伏応力、引張強さ、応力ひずみ関係、破壊靭性値、JR曲線等のパラメータの変化が機器の健全性を損なう(あるいはその恐れがある)と判断される基準値をあらかじめ定めておき、算出されたパラメータ値と基準値を比較することにより、機器の継続使用可否の判定ベースとなる情報を提供できる診断機能を有することが可能となる。
【0019】また、請求項6の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の照射損傷評価方法において、前記パラメータの値に基づいて、前記部材の少なくとも照射損傷を受けた部位の補修の可否を判定する工程をさらに有すること、を特徴とする。
【0020】請求項6の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかの発明の作用・効果が得られるほか、単なる照射損傷の評価だけではなく、照射損傷を緩和あるいは回復させる補修処理の可否判定を含む統括的な照射損傷評価が可能となる。
【0021】また、請求項7の発明は、請求項6に記載の照射損傷評価方法において、前記補修が必要と判定された場合に当該部材を少なくとも部分的に熱処理することにより照射損傷を回復する回復工程と、前記回復工程の後に、前記熱処理を施された部位について、前記硬さを測定する回復後硬さ測定工程と、前記回復後硬さ測定工程で得られた硬さの値および前記相関関係から、前記回復工程後の当該部材の前記パラメータの値を求める工程と、を有すること、を特徴とする。
【0022】請求項7の発明によれば、請求項6の発明の作用・効果が得られるほか、照射損傷における材料内部での格子欠陥の増加、転位構造の変化、析出等の一部あるいはすべてを、照射損傷を受ける前の状態あるいはそれに近い状態に回復することができる。
【0023】また、請求項8の発明は、請求項7に記載の照射損傷評価方法において、前記回復工程は、前記照射損傷の回復のために行なう熱処理が前記部材に及ぼす可能性のある回復以外の影響を考慮して、前記熱処理条件が決定されるものであること、を特徴とする。
【0024】請求項8の発明によれば、請求項7の発明の作用・効果が得られるほかに次のような作用・効果がある。すなわち、たとえば、プラント機器材料がステンレス鋼等のように、熱処理温度によっては鋭敏化のような金属組織的な変化が起こり、かえって材料の脆化を促進する場合がある。材料により熱処理条件を最適化することにより、鋭敏化を抑制するかもしくは照射損傷の回復と鋭敏化をバランス良く制御した補修方法を設定することが可能となる。
【0025】また、請求項9の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の照射損傷評価方法において、前記部材の前記パラメータの値を求める工程の後に、前記パラメータの値と、前記機器の運転履歴および運転条件とに基づいて、前記運転条件に従って当該機器の運転を継続した場合の前記パラメータの値の変化を推定する工程と、前記推定された前記パラメータの値があらかじめ設定された基準値に達する時期を予測する工程と、を有すること、を特徴とする。
【0026】請求項9の発明によれば、請求項1ないし5のいずれかの発明の作用・効果が得られるほか、損傷評価を実施した時点での照射損傷の評価だけではなく、その後のプラント運転により蓄積される照射損傷の予知を含む高度な照射損傷評価が可能となる。さらに、補修が必要となる時期の予測および/または最適化ができることになり、補修によるプラント運転の中断の影響を最小限に抑え、効率良いプラント運転が可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。ここで、相後に共通または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
[第1の実施の形態]図1は本発明の第1の実施の形態に係わる作用説明図である。本実施の形態の硬さ測定工程1では、原子力プラントの機器の中性子照射損傷部位に対して行なう。これは、ビッカース硬さで代表される従来の硬さ試験のように測定用圧子の除荷後に被測定物表面に残る残留圧痕の大きさを測る方法ではなく、硬さ測定用押込み圧子の被測定表面への押込み深さと押込み荷重を用いて計算されるユニバーサル硬さと呼ばれる値とする。
【0028】ユニバーサル硬さは、上記のビッカース硬さのような従来法に比べ、材料の機械的性質をより反映した硬さ測定法であることが報告されている(文献:Yasudaら, A new method for evaluating stress-strain properties of metals usingultra-microhardness technique,Journal of Nuclear Materials,Vol.187,p.109,1992年)。
【0029】ここで、硬さの測定は、硬さ計測装置を被測定面に接触あるいは近接させ、硬さ測定用の圧子を被測定表面に押し付けることにより、照射損傷評価対象部位の硬さを直接測定する方法によるか、あるいは、照射損傷評価部位の表面あるいは内部から硬さ測定に必要な大きさの試料を採取し、この採取試料で硬さを測定する方法の、いずれの方法でも良い。後者の方法によれば、実機プラント現場に硬さ試験機を持ち込む前者の方法に比べ、サンプリングした測定用試料を環境の整った実験室等に持ち帰り測定することができるので、より正確な硬さ測定が可能となり、結果的に照射損傷評価の精度を上げることができる。
【0030】また、評価対象部位から試料サンプリングが困難な場合でも、それとは異なる位置から硬さ測定用の試料を採取し、その採取試料の硬さから前記照射損傷部位の硬さを推定できるならば、それでも良い。
【0031】次の照射損傷算出工程2では、ユニバーサル硬さ(以降、単に硬さと呼ぶ)と当該損傷部位を構成する部材と同等の材料で求めた降伏応力、引張強さ、応力ひずみ関係、破壊靭性値、JR曲線等の材料特性値と硬さの相関関係を定量化して表したマスターカーブに、測定された硬さ値を当てはめ、照射損傷パラメータ値を算出する。
【0032】ここで、照射損傷算出工程2の照射損傷パラメータ値(材料特性値)として、図2に示すように、材質変化算出工程22で、降伏応力、応力ひずみ曲線、破壊靭性値、およびき裂進展抵抗を表すJR曲線等の変化により評価しても良い。すなわち、あらかじめ当該損傷部位を構成する部材と同等の材料を用いて材料試験を行い、得られた降伏応力、応力ひずみ曲線、破壊靭性値、JR曲線等の材料特性値と同じく前記損傷部位を構成する部材と同等の材料で計測した硬さとの相関関係を定量化しておいたマスターカーブに、損傷部位で測定された硬さ値を当てはめることにより材料特性値を算出することができる。
【0033】ユニバーサル硬さと材料の機械的性質との相関関係に関しては、文献(小川ら:インデンテーション法による材料劣化評価,日本学術会議材料研究連合講演会講演論文集,2001年)に報告例がある。
【0034】応力ひずみ関係およびJR曲線は、前者が応力σとひずみεの関係、後者が弾塑性破壊靭性値Jとき裂進展量aの関係を表す式として、たとえば以下のようなべき乗側で近似し、各式の係数、指数を、以下のように硬さの関数として表せば良い。
【0035】σ = α(ε)m (1)J = C(Δa)n (2)α = f(硬さ) (3)m = g(硬さ) (4)C = h(硬さ) (5)n = k(硬さ) (6)【0036】上記照射損傷算出工程2または材質変化算出工程22の後に、照射損傷評価工程3を行なう。すなわち、照射損傷パラメータ値または材料特性値に基づいて、材料の照射損傷の程度を評価する。
【0037】本実施の形態によれば、他の材料強度試験に比べて、試験作業が簡易で試験片の小型化が容易な試験方法である硬さ試験を用い、他の一般的な材料強度試験のように試験片を破断させることがない。被測定物表面には、深さで、たとえばμmあるいはサブμm以下のオーダのような微小圧子圧痕を残すだけであり、工学的には非破壊的と言える方法で、精度の高い照射損傷評価を行なうことが可能になる。
【0038】[第2の実施の形態]本発明の第2の実施の形態に係る作用説明図を図3に示す。この実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、硬さに基づき照射損傷を評価するが、その結果に対し、あらかじめ設定された基準値と比較することにより、評価機器のその後の運転継続を判定する運転継続可否判定工程4を設けている。照射により変化する材料物性値について、その変化がプラントの健全性を大きく損なうと判断される基準値をあらかじめ定めておき、照射損傷評価工程3で評価された材料特性値を運転継続可否判定工程4で基準値と比較することにより、プラントの継続運転可否の判定を行なう。
【0039】さらに、運転継続が否と判定された場合に、補修可否判定工程5で補修可否を判定し補修可と判定されれば、補修を実施する。なお、その補修後に運転継続が可かどうかは、運転継続可否判定工程4と同等の判定(図示せず)を行えば良い。
【0040】ここで、照射損傷の補修は、照射損傷を受けた部位の一部あるいはすべてを加熱することにより行なう。照射損傷は、材料内部での格子欠陥の増加、転位構造の変化、析出等により引き起こされたものであり、材料を加熱することにより照射損傷を受ける前の状態に回復できる。ただし、回復の程度は、熱処理条件により異なる。ここでの補修とは、完全に照射損傷を受ける前の状態には戻らないこと、すなわち照射損傷の一部が緩和されることも含む。
【0041】なお、材料がステンレス鋼等のように熱処理温度によっては鋭敏化のような金属組織的な変化が起こり、かえって材料の脆化を促進する場合がある。したがって、材料によって、照射損傷の回復と鋭敏化のような悪影響のバランスを取った熱処理条件の最適化を行えば良い。
【0042】このような構成により、照射損傷の検出だけではなく、検出後の運転継続の可否判定、また照射損傷の回復あるいは緩和による補修の可否判定、さらにその補修後の運転継続判定も包括的に取り込んだ照射損傷評価が可能となる。
【0043】[第3の実施の形態]本発明の第3の実施の形態に係る作用説明図を図4に示す。この実施の形態では、第1の実施の形態と同様に硬さに基づき照射損傷を評価するが、照射損傷予測工程33では、評価時点での損傷状態から機器の運転履歴および今後の運転条件に基づいて将来の損傷状態の変化を推定し、あらかじめ設定された許容値に達する期間を予測する工程を設けている。
【0044】ここで、将来の損傷状態の変化の推定は、硬さの変化が推定できれば達成できる。それにはプラントでの照射損傷の加速状態を実験室的に模擬した条件で、硬さの変化データを取得しておけば良い。あるいは、現在に至るまで損傷評価部位あるいはそれに相当する部位での硬さ測定値のフィールドデータを取得し、その経時変化から将来の損傷状態の推定を行なうことができる。
【0045】補修時期選定工程6では、照射損傷予測工程33で予測された材料物性値の変化に基づいて、補修実施時期を選定する判断する。たとえば、照射損傷が許容値以下であっても、運転効率ならびに補修期間等も考慮に含めた総合的な運用コスト計算から照射損傷が許容値に達する前に補修を行なったほうが経済的であると判断し、補修時期を最適化できる。
【0046】このような構成により、照射損傷の予知と補修時期の最適化も含む高度な照射損傷評価が可能となり、プラントの安全性が高まるとともに、プラントの運用効率を高めることが可能になる。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、試験作業が比較的簡易で試験片の小型化が容易な試験方法である硬さ試験を活用し、さらに被測定物表面に測定圧子の微小な圧痕を残すのみで、すなわち試験片を破断させることはない工学的に非破壊的と言える方法で照射損傷評価を行なうことが可能になる。




 

 


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