米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 核技術 -> 株式会社東芝

発明の名称 原子力利用熱供給システム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−270383(P2003−270383A)
公開日 平成15年9月25日(2003.9.25)
出願番号 特願2002−72521(P2002−72521)
出願日 平成14年3月15日(2002.3.15)
代理人 【識別番号】100087332
【弁理士】
【氏名又は名称】猪股 祥晃 (外2名)
【テーマコード(参考)】
3L025
3L070
【Fターム(参考)】
3L025 AA08 AA31 
3L070 BB09 BB18
発明者 伊藤 新 / 宮沢 竜雄 / 横堀 誠一 / 日置 秀明
要約 課題
大都市の温熱需要および冷熱需要をまかなうことができ安全で熱効率の高い原子力利用熱供給システムを提供する。

解決手段
蒸気を発生する原子力システム5と、前記蒸気を用いて冷熱媒体を生成する冷熱システム10と、前記蒸気を用いて温熱媒体を生成する温熱システム11と、前記冷熱媒体および前記温熱媒体を受け入れ貯蔵するとともに都市建造物3へ供給するサブ熱供給センター12とを備え、前記原子力システム5と前記冷熱システム10と前記温熱システム11は都市地下の岩盤1に穿たれた空洞4内に設けられ、前記サブ熱供給センター12は地表面下に設けられている構成とする。
特許請求の範囲
【請求項1】 蒸気を発生する原子力システムと、前記蒸気を用いて冷熱媒体を生成する冷熱システムと、前記蒸気を用いて温熱媒体を生成する温熱システムと、前記冷熱媒体および前記温熱媒体を受け入れ貯蔵するとともに都市建造物へ供給するサブ熱供給センターとを備え、前記原子力システムと前記冷熱システムと前記温熱システムは都市地下の岩盤に穿たれた空洞内に設けられ、前記サブ熱供給センターは地表面下に設けられていることを特徴とする原子力利用熱供給システム。
【請求項2】 前記冷熱媒体および前記温熱媒体を輸送する熱輸送配管が地表面下に網目状に埋設され、前記サブ熱供給センターは前記熱輸送配管の結節点に設けられていることを特徴とする請求項1記載の原子力利用熱供給システム。
【請求項3】 前記冷熱システムは、前記原子力システムから供給される蒸気を用いて冷媒を生成する冷凍機と、前記冷媒を用いて氷を生成する製氷機とを備えていることを特徴とする請求項1記載の原子力利用熱供給システム。
【請求項4】 前記冷熱システムは前記原子力システムから供給される蒸気を用いて冷媒を生成する冷凍機を備え、前記サブ熱供給センターは前記冷媒を用いて氷を生成する製氷機を備えていることを特徴とする請求項1記載の原子力利用熱供給システム。
【請求項5】 氷は潜熱カプセル内に生成されることを特徴とする請求項3または4記載の原子力利用熱供給システム。
【請求項6】 前記温熱システムは、前記原子力システムから供給される蒸気と熱交換させて温水を生成する熱交換器と、前記温水を貯蔵する温水貯蔵槽とを備えていることを特徴とする請求項1記載の原子力利用熱供給システム。
【請求項7】 前記温熱システムは、前記原子力システムから供給される蒸気と熱交換させて2次蒸気を生成する熱交換器と、前記2次蒸気の温熱を貯蔵する潜熱蓄熱器とを備えていることを特徴とする請求項1記載の原子力利用熱供給システム。
【請求項8】 前記温熱システムは前記原子力システムから供給される蒸気と熱交換させて2次蒸気を生成する熱交換器を備え、前記サブ熱供給センターは前記2次蒸気の温熱を貯蔵する潜熱蓄熱器を備えていることを特徴とする請求項1記載の原子力利用熱供給システム。
【請求項9】 前記潜熱蓄熱器にはエリスリトール系蓄熱材をプラスチック製のカプセルに封入した潜熱カプセルが充填されていることを特徴とする請求項7または8記載の原子力利用熱供給システム。
【請求項10】 原子力システムを収容する前記空洞の上の地表を覆うドームを設け、前記空洞およびその近傍から上昇する気体が前記ドーム内に集まるようにしたことを特徴とする請求項1記載の原子力利用熱供給システム。
【請求項11】 前記原子力システムと海底の間に設けられた大深度の地下トンネルと、海面に設けられたフロート式人工島と前記地下トンネルの間に設けられた垂直トンネルと、前記地下トンネルと前記垂直トンネルの内部に設けられ前記原子力システムの復水器の冷却用および前記冷熱システムの廃熱回収用の海水を導く海水配管と、前記フロート式人工島から前記原子力システムへアクセスする通路および昇降設備とを備えたことを特徴とする請求項1記載の原子力利用熱供給システム。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子力発電プラントや熱供給専用原子力プラントを都市の大深度地下に設置し、その蒸気によって冷熱媒体と温熱媒体を生成して地表面のサブ熱供給センターの貯蔵設備に輸送して事務所ビルやマンション等の冷暖房や温水供給等を行う原子力利用熱供給システムに関する。
【0002】
【従来の技術】都市への電力・熱併給の例として、和歌山マリーナシティに隣接する関西電力(株)海南発電所では、タービン抽気熱をスチームコンバータで熱交換して2次蒸気を製造し、この2次蒸気を地域に熱供給している。2次蒸気を直接供給して暖房・給湯を行うとともに、吸収式冷凍機で冷水を製造して冷熱供給を行っている。
【0003】原子力発電プラントは、発電コストが低いためにベースロード運用が行われている。電力需要には日負荷変動があるためにピーク電力需要に対しては水力発電と石油火力発電が用いられている。水力発電の場合には遠隔立地で、環境破壊を生じ、建設期間が長い等の問題があり、石油火力発電の場合には炭酸ガス排出による地球温暖化の問題がある。
【0004】そこで原子力発電プラントの特徴を生かしながら日負荷変動に対応するために、製造した蒸気を貯蔵しピーク電力需要に対して貯蔵蒸気で発電するシステムが検討されている。夜間の10時間に20%の蒸気を抽気して貯蔵し、昼間の7時間に20%の追加発電を行うことで負荷変動対応が可能となり、揚水発電所並みの貯蔵発電効率(72.6%)が得られると評価されている。この場合、110万kW級の原子力発電プラントの場合、4040m3の貯蔵容器21基を114m×54mの敷地に設置することになる。そのときの容器の内径は11.5mで、高さは44.2mである。
【0005】電力需要の変動は、冷房用電力に起因するものが大きな割合を占めている。原子力発電の発電効率は、最新のABWRで33.4%程度であり、それ以外は廃熱として地球環境に放出されている。地球温暖化防止のために原子力エネルギーを利用する場合、原子力発電プラントを都市に隣接させて熱供給を行うことにより総合熱効率を80%以上に向上させることが可能となる。しかしながら、原子力発電プラントを都市部に立地させようとしたとき、原子力発電プラントが必要とする広い敷地を確保するのは困難な状況である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ドイツの地域熱供給における高い配管コストをクリアするために、熱負荷密度が40MW/km以上で、1kmに約5、000世帯以上が居住することが経済性の成立する条件になっている。東京の場合、4km×4kmの範囲を200MW級の熱供給専用原子炉2基で供給する程度の熱需要である。これは、地域熱供給の経済性を確保する条件を完全には満たしていないが、都市の地域熱供給を考える場合の規模の概略を与える。
【0007】しかし、東京のような都市にこの規模の原子力プラントを設置できる場所としては地下しか残っていない。東京の場合、地下鉄等が設置されているため地下といっても50m以深の大深度地下設置となる。また東京の地下の場合、地下100mの深さに単一の比較的強固な地盤の土丹層が存在する。土丹層は、その強度が20kg/cm2以上でトンネル地盤の荷重支持能力はかなりあり、変形量も小さいので崩壊しにくく安全性が高い地盤である。東京駅と代々木駅とを東西に結ぶラインの南の地域には地表から深度100m程度までに土丹層が存在する。
【0008】原子力発電プラントの発電効率は33.4%程度と低く、総合熱効率を向上させるために直接熱利用をすることを考える。熱の輸送効率は悪いが、蒸気の場合2km程度輸送して用いている例がある。熱需要の日負荷変動に対応するために蒸気を貯蔵して対応する場合、大容量の高圧容器が必要になり建設費が増大する。温冷水を貯蔵した場合、低圧容器でよいが必要な容量は膨大なものになる。
【0009】本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、大都市の温熱需要および冷熱需要をまかなうことができ安全で熱効率の高い原子力利用熱供給システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するために請求項1の発明は、蒸気を発生する原子力システムと、前記蒸気を用いて冷熱媒体を生成する冷熱システムと、前記蒸気を用いて温熱媒体を生成する温熱システムと、前記冷熱媒体および前記温熱媒体を受け入れ貯蔵するとともに都市建造物へ供給するサブ熱供給センターとを備え、前記原子力システムと前記冷熱システムと前記温熱システムは都市地下の岩盤に穿たれた空洞内に設けられ、前記サブ熱供給センターは地表面下に設けられている構成とする。
【0011】本発明の原子力利用熱供給システムにおいては原子力システムが地下の岩盤内に設けられているので安全であり、原子力システムと冷熱システムと温熱システムが都市の地下に設けられ、深度は100m程度でよく、地表設備の場合と比較して冷熱および温熱の生成点と消費点が近いため熱効率がよい。したがって、安全かつ効率よく大都市の温熱需要と冷熱需要をまかなうことができる。
【0012】請求項2の発明は、前記冷熱媒体および前記温熱媒体を輸送する熱輸送配管が地表面下に網目状に埋設され、前記サブ熱供給センターは前記熱輸送配管の結節点に設けられている構成とする。本発明によれば、冷熱媒体と温熱媒体を効率よくサブ熱供給センターに供給することができる。
【0013】請求項3の発明は、前記冷熱システムは、前記原子力システムから供給される蒸気を用いて冷媒を生成する冷凍機と、前記冷媒を用いて氷を生成する製氷機とを備えている構成とする。本発明によれば、原子力システムから供給される蒸気によって最も扱い慣れて安全な冷熱媒体を得ることができる。
【0014】請求項4の発明は、前記冷熱システムは前記原子力システムから供給される蒸気を用いて冷媒を生成する冷凍機を備え、前記サブ熱供給センターは前記冷媒を用いて氷を生成する製氷機を備えている構成とする。本発明によれば、製氷機が地表面下のサブ熱供給センターに備えられるので地下岩盤内の空洞の容積が小さくてすむ。
【0015】請求項5の発明は、請求項3または4の発明において氷は潜熱カプセル内に生成される構成とする。本発明によれば、冷熱媒体輸送配管内での滞溜を防ぎ冷熱媒体を円滑に輸送することができる。
【0016】請求項6の発明は、前記温熱システムは、前記原子力システムから供給される蒸気と熱交換させて温水を生成する熱交換器と、前記温水を貯蔵する温水貯蔵槽とを備えている構成とする。本発明によれば、原子力システムから供給される蒸気によって最も扱い慣れて安全な温熱媒体を得ることができる。
【0017】請求項7の発明は、前記温熱システムは、前記原子力システムから供給される蒸気と熱交換させて2次蒸気を生成する熱交換器と、前記2次蒸気の温熱を貯蔵する潜熱蓄熱器とを備えている構成とする。本発明によれば、温熱システムを小形化でき、地下岩盤内の空洞の容積を小さくすることができる。
【0018】請求項8の発明は、前記温熱システムは前記原子力システムから供給される蒸気と熱交換させて2次蒸気を生成する熱交換器を備え、前記サブ熱供給センターは前記2次蒸気の温熱を貯蔵する潜熱蓄熱器を備えている構成とする。本発明によれば、温熱媒体を輸送する配管の直径を小さくすることができ、また岩盤内の空洞の容積を小さくすることができる。
【0019】請求項9の発明は、前記潜熱蓄熱器にはエリスリトール系蓄熱材をプラスチック製のカプセルに封入した潜熱カプセルが充填されている構成とする。本発明によれば、少量の温熱媒体によって多量の温熱を貯蔵し輸送することができるので、温熱システムを小形化することができる。
【0020】請求項10の発明は、原子力システムを収容する前記空洞の上の地表を覆うドームを設け、前記空洞およびその近傍から上昇する気体が前記ドーム内に集まるようにした構成とする。本発明によれば、ドーム内を植物園や温水プールとして利用することができるとともに、岩盤内の原子力システムに万一の事故が起こったときの安全を図ることができる。
【0021】請求項11の発明は、前記原子力システムと海底の間に設けられた大深度の地下トンネルと、海面に設けられたフロート式人工島と前記地下トンネルの間に設けられた垂直トンネルと、前記地下トンネルと前記垂直トンネルの内部に設けられ前記原子力システムの復水器の冷却用および前記冷熱システムの廃熱回収用の海水を導く海水配管と、前記フロート式人工島から前記原子力システムへアクセスする通路および昇降設備とを備えた構成とする。本発明によれば、原子力システムと冷熱システムの廃熱を海水によって除去し、大規模な原子力利用熱供給システムを提供することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態の原子力利用熱供給システムを図1から図4を参照して説明する。すなわち、図1の地盤断面図に示すように、岩盤1の上に堆積層2があり、堆積層2の上に都市の建造物3がある。岩盤1に空洞4が設けられ、空洞4の内には図2に示すように原子力発電システム5、冷熱システムである氷製造システム10および、温熱システムである温熱貯蔵システム11が設けられる。
【0023】氷製造システム10は冷凍機6、ダイナミック製氷機7等で構成され、温熱貯蔵システム11は熱交換器8、温水貯蔵槽9等で構成される。氷製造システム10および温熱貯蔵システム11から、地表近くの地下に設置されたサブ熱供給センター12に熱輸送垂直配管13が設けられ、図3に示すように、サブ熱供給センター12間には熱輸送水平埋設配管14が網の目状に設けられる。
【0024】サブ熱供給センター12には、氷貯蔵システム15および温水貯蔵システム16が設置されている。サブ熱供給センター12からその周辺の都市建造物(ホテル、事務所ビル、医療施設、公共施設、商業施設、レジャー施設、集合住宅等用の建物)3に熱輸送配管が設けられる。
【0025】また、図1に示すように海上にフロート式人工島17が設けられ、海底24に設置された海底構造物18との間が昇降構造物19で結合され、地中構造物20と海底構造物18の間が垂直トンネル21で結合され、地中構造物20と空洞4の間が大深度地下トンネル22で結合されている。
【0026】海底構造物18には水中トンネル23が結合され、水中トンネル23の他の端は外洋のフロート式構造物(図示せず)の下方に昇降構造物(図示せず)と結合して設置される海底構造物(図示せず)に結合されている。
【0027】フロート式人工島17には原子炉燃料や補修用機器等を輸送用船舶に荷揚げ・積込みを行う設備が設けられ、昇降構造物19、垂直トンネル21、大深度地下トンネル22、水中トンネル23にはこれらの燃料や機器を搬送する昇降設備、搬送道路等の設備が設けられている。
【0028】また垂直トンネル21、大深度地下トンネル22、水中トンネル23には、海水輸送配管が設けられ、原子力発電システム5の復水器28の冷却を行う海水を取水、放水できるようにした構成になっている。取水は外洋で行い、放水は海岸近くで行う構成である。東京の地下立地の場合、外洋として三浦半島の沖合いを想定し、水深300m程度より深層冷海水(約7℃)を取水し、放流を東京湾内に行う構成である。
【0029】図2に示すように、原子力発電システム5は、原子炉30、タービン31、発電機32、復水器28、加圧ポンプ33、循環ポンプ34等で構成される。氷製造システム10は、冷凍機6、ダイナミック製氷機7、循環ポンプ35、36等で構成される。温熱貯蔵システム11は、熱交換器8、温水貯蔵槽9、循環ポンプ37、38等で構成される。また、サブ熱供給センター12は、氷貯蔵システム15、温水貯蔵システム16および循環ポンプ40を備えている。
【0030】このような構成において、原子力発電システム5のタービン31の抽気蒸気が氷製造システム10の冷凍機6に導かれ、熱交換を行ったものが加圧ポンプ39を経由して原子炉30に還流する。冷凍機6で生成された冷媒は、ダイナミック製氷機7でダイナミック氷を製造し、循環ポンプ35を経由して冷凍機6に還流する。
【0031】タービン31の抽気蒸気を分流した蒸気は、温熱貯蔵システム11の熱交換器8に導かれ、温水を生成して加圧ポンプ39を経由して原子力発電システム5の循環ポンプ34に還流する。熱交換器8で生成された温水は温水貯蔵槽9に成層状態で貯蔵され、冷水部分が循環ポンプ37を経由して熱交換器8に還流する。
【0032】氷製造システム10のダイナミック製氷機7に貯蔵された氷は、スラリー状で循環ポンプ36を経由してサブ熱供給センター12の氷貯蔵システム15に移送され、熱交換を行ったものがダイナミック製氷機7に還流する。
【0033】温熱貯蔵システム11の温水貯蔵槽9に貯蔵された温水は循環ポンプ38でサブ熱供給センター12の温水貯蔵システム16に移送され、熱交換を行ったものが温水貯蔵槽9に還流する。
【0034】サブ熱供給センター12より都市の建造物(ホテル、事務所ビル、医療施設、公共施設、商業施設、レジャー施設、集合住宅等用の建物)3に冷暖房用の氷スラリーや温水が輸送され、熱交換後に氷貯蔵システム15や温水貯蔵システム16に還流する。都市の建造物3に給湯用に供給される温水は、使用後廃棄され、温水貯蔵システム16には別途廃棄されたと同量の水道水等が供給される。使用後の温水を廃棄せずに、半透膜等を用いてろ過して得られる淡水を温水貯蔵システム16に環流させても良い。
【0035】サブ熱供給センター12は、図3に示すように、網目状に設けた熱輸送水平埋設配管14の結節点に設けられている。中心位置サブ熱供給センター41の大深度地下位置(地下100m程度)に原子力発電システム5、氷製造システム10および温熱貯蔵システム11が設置されている。各サブ熱供給センター12で同じ量の温冷熱の需要がある時に熱輸送水平埋設配管14に流れる流量割合を熱輸送水平埋設配管14に示す。また、破線部の熱輸送水平埋設配管14はバイパスとして設置される配管を示す。
【0036】図4は、原子炉建屋空洞44とタービン建屋空洞45に原子炉建屋42とタービン建屋43を設置し、それらの真上の地上に大きなドーム49で覆われた植物園51を設置した状態を示すものである。原子炉建屋空洞44とタービン建屋空洞45は、岩盤1内に鉄筋コンクリートで構成され、それぞれの間は気密扉付の連絡トンネルで結合される。
【0037】原子炉建屋空洞44、タービン建屋空洞45と原子炉建屋42、タービン建屋43の間の空隙52、53は、負圧管理が出来るようになっている。負圧管理装置(図示せず)はタービン建屋43に設置する。また、タービン建屋43には氷製造システム10、温熱貯蔵システム11(図示せず)も設置される。
【0038】タービン建屋43には大深度地下トンネル22、熱輸送垂直配管13(図示せず)が接続されている。大深度地下トンネル22には復水器48、冷凍機6(図示せず)の冷却用の海水配管が設置され、炉心燃料等の移送用の道路が設置されている。熱輸送垂直配管13(図示せず)には植物園51の地下に設置するサブ熱供給センター12(図示せず)に温水、氷スラリー等の輸送用配管が設置されている。
【0039】植物園51の全体はドーム49で覆われ、植物園周辺地下には地中隔壁50が設置されている。サブ熱供給センター12(図示せず)は、この地中隔壁50の内側に設置され、地中隔壁50の深さはサブ熱供給センター12の深さより深い位置まで設置される。ドーム49にはフィルター装置(図示せず)が設置されドーム外の大気の出し入れを行う。
【0040】このような構成とした本実施の形態の原子力利用熱供給システムは次のように動作する。すなわち、夜間の電力・熱需要の少ない時に、原子炉30で生成した蒸気の約20%程度を分岐して冷凍機6あるいは熱交換器8に導く、熱交換器8に導いた蒸気は、温水貯蔵槽9の冷水と熱交換を行って復水し、加圧ポンプ39を経由して循環ポンプ34の入口側に導く。熱交換を行った冷水は温水となり、温水貯蔵槽9に温度成層状態で貯蔵する。
【0041】また分岐した蒸気は、冷凍機6に導き、冷媒生成を行う熱交換後に復水し、加圧ポンプ39を経由して循環ポンプ34の入口側に導く。生成された冷媒は、ダイナミック製氷機7に導き、ダイナミック氷を製造・貯蔵する。ダイナミック製氷機7に貯蔵された氷は、スラリー状にしてサブ熱供給センター12の氷貯蔵システム15に循環ポンプ36を用いて移送する。また温水貯蔵槽9に温度成層状態で貯蔵された温水をサブ熱供給センター12の温水貯蔵システム16に循環ポンプ36を用いて移送する。
【0042】電力・熱需要のピークが発生する昼間には、原子力発電システム5の原子炉30で生成した蒸気を熱交換器8や冷凍機6に分岐する量は最少限にし、水蒸気タービン31に導いてこれを駆動し、同軸に結合された発電機32で発電を行うのに注力する。それとともに、サブ熱供給センター12の氷貯蔵システム15に貯蔵した氷をスラリ状で取出して都市の建造物3に導いて冷房を行い、また、温水貯蔵システム16に貯蔵した温水を都市の建造物3に導いて暖房と給湯を行う。給湯に用いた温水は生活用水等として使用され廃棄されるため、廃棄されたのと同量の水道水を温水貯蔵システム16に補充する。あるいは、使用後の温廃水を半透膜でろ過して淡水として温水貯蔵システム16に循環させる。
【0043】原子力発電システム5の復水器28の冷却を行う海水29および冷凍機6の廃熱を回収する海水は、水中トンネル23、垂直トンネル21、大深度地下トンネル22内に敷設した海水配管を経由して取水、放水を行う。
【0044】原子炉運転中には岩盤1の内の空洞4と原子力発電システム5の間の空隙52,53を負圧管理する。運転中に原子力発電システム5内部にゴミ等が侵入しないようにし、原子力発電システム5から流出する気体はフィルター構造を通して流出させ、放射性物質の回収を行う。
【0045】原子力発電システム5の真上の地表面上に設置され大型のドーム49で覆われた植物園51に中心位置サブ熱供給センター41より温冷熱を供給して各種温度帯域の植物を育てる。原子炉崩壊のような過酷事故が発生した場合、ドーム49の大気出入り口を閉鎖し、ドーム49内の大気除染装置を稼動させる。過酷事故が発生しても原子炉と地表面との間の堆積層に放射性物質が吸着し、万一地表に放射性気体が漏れ出してきてもその上の地表がドーム49で覆われていると放射性物質の拡散を閉じ込めることができる。
【0046】都市の熱需要は、4km×4kmの範囲を200MW級の熱供給専用原子炉2基で供給する程度であり、20%程度の蒸気を抽気する原子力発電システムの場合1000MW級×2基で供給することになる。原子力システムは一定出力で運転するのが有利であるが、需要の大きい冷熱の場合、日負荷変動は70%程度存在する。
【0047】この問題を解決するには原子力システムで生成した蒸気を用いて冷熱を製造し、冷熱を一時冷熱貯蔵設備に貯蔵して対応する。冷熱需要の変動分の半分(35%)を12時間貯蔵したもので対応するとすると、冷熱貯蔵量=35%×200MW×2基×12h=1680MW・hである。“みなと未来21”では冷熱の貯蔵の潜熱蓄熱材に水(蓄熱容量;186MJ/m3)を用いている。同様な蓄熱方法を用いると、冷熱貯蔵槽の大きさは32200m3程度になる。
【0048】サブ熱供給センター12を図3のように配置して間隔を500mとすると、原子力システムから最も遠い所までの距離が2kmになっている。4km×4kmの範囲には500MW級×2基の原子力システムを2箇所設置し、64箇所にサブ熱供給センター12を設置することになる。サブ熱供給センター12に2基づつ潜熱蓄熱材貯蔵槽を設置して最終冷熱需要者に対応する。その時の貯蔵槽の直径を7.3mとし、両端が半球形状をしているとすると、貯蔵槽の高さはH=8.4mとなる。このような潜熱蓄熱材貯蔵槽はビルの地下に設置する程度の大きさである。
【0049】都市で原子力発電システム5を設置できる場所としては地下しか残っていない。地下鉄等が設置されているため地下といっても50m以深の大深度地下となる。東京の地下の場合、地下100mの深さに単一の比較的強固な地盤の土丹層が存在する。土丹層は、その強度が20kg/cm2以上でトンネル地盤の荷重支持能力はかなりあり、変形量も小さいので崩壊しにくく安全性が高い地盤である。東京駅と代々木駅とを東西に結ぶラインの南の地域には地表から深度100m程度までに土丹層が存在する。東京の地下に原子力発電システム5を建設する場合この土丹層内に空洞4を掘って設置することになる。
【0050】原子力発電システム5の復水器28より排出される熱エネルギーや、冷凍機6を用いて冷熱を生成するときに発生する廃熱は、海水で回収して海に放流する。そのときに用いる海水配管は、大深度地下トンネル22内に設置する。海水を送水する配管直径を3mとし、流速を6m/sとすると送水量は、43トン/sである。既設の原子力発電所の場合、取水した海水の温度を7℃上昇させて海に放流している。その場合、約1200MW程度の熱除去ができるが、東京湾に放流した場合、廃熱公害が発生する。横須賀火力発電所沖合いの水深300mの深さで7℃程度の深層冷海水を取水することができる。
【0051】フロート式構造物をこの場所に設置し、フロート式構造物に東京湾外港の機能を与え、水中トンネル23を羽田沖に設置するフロート式人工島17の下まで設け、この水中トンネル23内に深層冷海水を取水する配管を設置し、大深度地下トンネル22内の海水配管を経由して原子力発電システム5まで深層冷海水を移送して復水器等の廃熱を回収することを考えた場合、深層海水温度7℃とし、27℃で海に放出することを考えると、43トン/sの深層海水量で3600MWの熱エネルギーを海に放出できる。4km×4kmに熱供給を行う1000MW級×2基の原子力コジェネプラント3箇所分の廃熱を回収できる除熱容量である。
【0052】深層海水を用いた場合、東京湾に放流しても熱公害を発生することはない。東京のヒートアイランド現象を防止するためには深層海水を用いて原子力システムの復水器や氷貯蔵システム冷凍機の廃熱を回収するのがよい。
【0053】本実施形態の原子力利用熱供給システムの廃熱回収用の海水を移送するための大深度地下トンネル22や水中トンネル23には別の機能も付加することができ、設備利用効率を向上させることができる。東京湾の港湾機能を補強するために三浦半島沖合いに設置するフロート式構造物に東京湾外港を持たせることができる。東京湾外港を三浦半島沖合いに建設し、人・物を水中トンネル23、大深度地下トンネル22で羽田東京国際空港、東京駅、東京周辺のトラックターミナル/物流センターに輸送するシステムが考えられる。
【0054】この水中トンネル23、大深度地下トンネル22に深層海水輸送配管も併設することで、原子力コ利用熱供給システムで発生する廃熱回収用の深層海水の移送を行うことができる。また、この水中トンネル23、大深度地下トンネル22は、原子力発電システム5の新燃料や使用済み燃料の交換を行う場合の輸送ルートとして用いることができ、人口の多い場所で放射性物質の輸送を行う困難が解消される。大深度地下トンネル22沿いに大深度地下原子力コジェネプラントを設置することで燃料輸送ルートの問題は解決し、復水器28の廃熱を回収するために深層海水を輸送するルートの問題も解決する。
【0055】以上のような構成によって以上のように動作する本発明の第1の実施の形態の原子力利用熱供給システムによれば、新規プラントの設置場所のない都市において、大深度地下に原子力システム、氷製造システムおよび温熱貯蔵システムを設置することで、万一原子炉崩壊のような過酷事故が発生しても地上への気体状の放射性物質の放出がなく、環境への放射性物質の拡散のないシステムとなり、既設原子力発電プラント以上の安全性を確保しながら熱需要地までの距離を大幅に短縮でき、分散配置で氷貯蔵・温水貯蔵を行って熱需要変動に対応することで、地球温暖化防止の有力手段である原子力エネルギーの利用効率を大幅に向上させることができる。
【0056】また、大深度地下立地の原子力利用熱供給システムの真上の地表面を大型のドーム49で覆い、ドーム49内に原子力熱エネルギーを用いた温冷熱利用の植物園51を設置することで、万一原子炉崩壊事故が発生しても、地下立地のために、放射性物質が地表に達するまでに堆積層に付着し、大気中に放出されることはないと予想されるが、万が一大気中に放射性物質が放出されてもドーム内に閉じ込めることができ、環境への拡散を防止することができる。また、植物園51を設置することで微量の蓄積放射性物質の有無を調べることができるようになる。
【0057】さらに、大深度地下に設けた原子力発電システム5用の原子炉燃料を大深度地下トンネル22経由で搬送することにより、人口が密集する地表を輸送する場合に発生する問題を回避することができる。
【0058】またさらに、岩盤1内に掘削した空洞4に設置した原子力発電システム5と空洞4の間の空間を負圧管理することにより原子力発電システム5内の塵を大幅に削減することができ、放射性物質による汚染拡大を防止することができるとともに、塵による最新鋭機器の故障を防止することができる。
【0059】次に本発明の第2の実施の形態を説明する。この第2の実施の形態は図5に示すように、前記第1の実施の形態における温熱貯蔵システム11の代わりに潜熱貯蔵システム58を設けた構成である。
【0060】すなわち、タービン31の抽気蒸気の分流した蒸気が、潜熱貯蔵システム58の熱交換器54に導かれ、2次蒸気を生成して加圧ポンプ39を経由して原子力発電システム5に還流する。熱交換器54で生成された2次蒸気は潜熱蓄熱器55に送られ、一例としてプラスチック製のカプセルに封入した三菱化学エンジニアリング社製のエリスリトール系蓄熱材(PCM-120A)を溶融させて潜熱で熱貯蔵をし、復水が循環ポンプ56を経由して熱交換器54に還流する。潜熱蓄熱器55に貯蔵された潜熱蓄熱材と熱交換を行って得られる温水は循環ポンプ57でサブ熱供給センター12の温水貯蔵システム16に移送され、熱交換を行ったものが潜熱蓄熱器55に還流する。氷製造システム10の構成と動作は前記第1の実施の形態におけると同じである。
【0061】この第2の実施の形態の原子力利用熱供給システムにおいては、夜間の電力・熱需要の少ない時に、原子炉30で生成した蒸気の約20%程度を分岐して冷凍機6あるいは熱交換器54に導く。熱交換器54に導かれた蒸気は、潜熱貯蔵システム58の循環水を2次蒸気にする熱交換を行って復水し、加圧ポンプ39を経由して原子力発電システム5の循環ポンプ34の入口側に導かれる。
【0062】熱交換器54で生成された2次蒸気は、潜熱蓄熱器55に送られ、蓄熱材を溶融させて潜熱状態で熱貯蔵し、2次蒸気は復水して循環ポンプ56で熱交換器54に還流する。また潜熱蓄熱器55に潜熱状態で温熱貯蔵されたところにサブ熱供給センター12からの循環水を供給して温水を生成し、サブ熱供給センター12の温水貯蔵システム16に循環ポンプ57を用いて移送する。
【0063】この実施の形態の原子力利用熱供給システムにおいては、潜熱貯蔵システム58の潜熱蓄熱器55に潜熱状態で熱貯蔵を行うことで、前記第1の実施の形態における温水貯蔵槽9に比較して熱貯蔵槽を小型化でき、空洞4の容積も縮小でき、建設費を低減することができるようになる。
【0064】次に本発明の第3の実施の形態を説明する。この第3の実施の形態は図6に示すように、前記第1の実施の形態における温熱貯蔵システム11およびサブ熱供給センター12の代りに2次蒸気製造システム60およびサブ熱供給センター63を設けた構成である。2次蒸気製造システム60は熱交換器54と循環ポンプ56を備え、サブ熱供給センター63は氷貯蔵システム15と温水貯蔵システム62を備えている。
【0065】このような構成において、タービン31の抽気蒸気の分流した蒸気が、2次蒸気製造システム60の熱交換器54に導かれ、2次蒸気を生成して加圧ポンプ39を経由して原子力発電システム5に還流する。熱交換器54で生成された2次蒸気はサブ熱供給センター63の温水貯蔵システム62の潜熱蓄熱器(図示せず)に送られ、一例としてプラスチック製のカプセルに封入した三菱化学エンジニアリング社製のエリスリトール系蓄熱材(PCM-120A)を溶融させて潜熱で熱貯蔵をし、復水が循環ポンプ56を経由して熱交換器54に還流する。
【0066】温水貯蔵システム62の潜熱蓄熱器に貯蔵された潜熱蓄熱材と熱交換を行って得られる温水は循環ポンプ40で都市建造物3に移送され、熱交換を行った水が温水貯蔵システム62の潜熱蓄熱器に還流する。氷製造システム10の構成と動作は前記第1の実施の形態におけると同じである。
【0067】この第3の実施の形態の原子力利用熱供給システムにおいては、夜間の電力・熱需要の少ない時に、原子炉30で生成した蒸気の約20%程度を分岐して冷凍機6あるいは熱交換器54に導く。熱交換器54に導かれた蒸気は、2次蒸気製造システム60の循環水を2次蒸気にする熱交換を行って復水し、加圧ポンプ39を経由して循環ポンプ34の入口側に導かれる。熱交換器54で生成された2次蒸気は、サブ熱供給センター63の温水貯蔵システム62の潜熱蓄熱器(図示せず)に送られ、蓄熱材を溶融させて潜熱状態で熱貯蔵し、2次蒸気は復水して循環ポンプ56で熱交換器54に還流する。また潜熱蓄熱器に潜熱状態で熱貯蔵された所に都市建造物3からの循環水を供給して温水を生成し、循環ポンプ40を用いて都市建造物3に循環させる。
【0068】この第3の実施の形態の原子力利用熱供給システムによれば、サブ熱供給センター63の温水貯蔵システム62の潜熱蓄熱器に潜熱状態で熱貯蔵を行うことで2次蒸気製造システム60に熱貯蔵設備が不要になり、大深度地下空洞4の容積を縮小でき、建設費を低減することができるようになる。また、サブ熱供給センター63の温水貯蔵システム62の潜熱蓄熱器への熱輸送を蒸気の状態で行うことにより、熱輸送密度が高くなり、配管径が小さくなって建設費が低減されると同時に、長距離輸送が可能になる。
【0069】次に本発明の第4の実施の形態を説明する。この第4の実施の形態は図7に示すように、岩盤1中の空洞4内に設けた原子力発電システム5、冷媒製造システム64および2次蒸気製造システム60と、地表面下に設けたサブ熱供給センター67とを備えている。
【0070】このような構成によって、タービン31の抽気蒸気の分流した蒸気が、冷媒製造システム64の冷凍機6に導かれ、冷媒生成用蒸気を製造して加圧ポンプ39を経由して原子力発電システム5に還流する。冷凍機6で生成された冷媒生成用蒸気はサブ熱供給センター67の氷貯蔵システム66のダイナミック製氷器(図示せず)に送られ、ダイナミック氷を製造・貯蔵し、復液が循環ポンプ35を経由して冷凍機6に還流する。
【0071】サブ熱供給センター67の氷貯蔵システム66に貯蔵されたダイナミック氷は、氷スラリー状態で循環ポンプ40によって都市建造物3に移送され、熱交換を行った水が氷貯蔵システム66のダイナミック製氷器に還流する。
【0072】この第4の実施の形態の原子力利用熱供給システムにおいては、夜間の電力・熱需要の少ない時に、原子炉30で生成した蒸気の約20%程度を分岐して冷凍機6あるいは熱交換器54に導く。冷凍機6に導かれた蒸気は、冷媒生成用蒸気の製造を行って復水し、加圧ポンプ39を経由して循環ポンプ34の入口側に導かれる。冷凍機6で生成された冷媒生成用蒸気は、サブ熱供給センター67の氷貯蔵システム66のダイナミック製氷器(図示せず)に送られ、ダイナミック氷を製造・貯蔵し、冷媒生成用蒸気は復液して循環ポンプ35で冷凍機6に還流する。また貯蔵されたダイナミック氷は、氷スラリー状態で循環ポンプ40を用いて都市建造物3に循環させる。
【0073】この第4の実施の形態の原子力利用熱供給システムによれば、サブ熱供給センター67の氷貯蔵システム66のダイナミック製氷器で氷を製造・貯蔵を行うことで、冷媒製造システム64にダイナミック製氷器が不要になり、大深度地下空洞4の容積を縮小でき、建設費を低減することができる。また、サブ熱供給センター67の氷貯蔵システム66のダイナミック製氷器への冷熱輸送を冷媒の状態で行うことにより、熱輸送密度が高くなり、配管径が小さくなって建設費が削減されるとともに、長距離輸送が可能になる。
【0074】次に本発明の第5および第6の実施の形態を説明する。これらの実施の形態は図8あるいは図9に示すように、上述の第3あるいは第4の実施の形態における原子力発電システム5の代りに、発電をおこなわない熱供給専用原子力システム70を設けた構成である。
【0075】第5の実施の形態では図8に示すように、原子炉30で発生した全ての蒸気が氷製造システム10の冷凍機6に導かれて冷媒を生成し、また2次蒸気製造システム60の熱交換器54に導かれて2次蒸気を生成して、原子炉30に還流する。
【0076】第6の実施の形態では図9に示すように、原子炉30で発生した全ての蒸気が冷媒製造システム64の冷凍機6に導かれて冷媒を製造し、また2次蒸気製造システム60の熱交換器54に導かれて2次蒸気を生成して、原子炉30に還流する。
【0077】この第5のおよび第6の実施形態の原子力利用熱供給システムによれば、復水器とタービンを有しない熱供給専用原子力システム70を備えているため、大深度地下空洞4の容積を縮小することができ、建設費を低減することができる。また、発電をおこなわない熱供給専用原子力システム70によって熱供給を行うために熱利用効率が高くなり、発電の時のような70%近くの排熱回収の冷却海水が不要になるために大深度地下トンネル22の規模が縮小でき、建設費を低減することができる。
【0078】次に本発明の第7の実施の形態を説明する。この実施の形態は図10に示すように、図8に示した第5の実施の形態における氷製造システム10を冷熱製造システム72におきかえた構成である。冷熱製造システム72は冷凍機6と潜熱カプセル貯蔵槽71からなる。全体の熱源は、前記第5および第6の実施の形態と同じく、熱供給専用原子力システム70である。
【0079】このような構成によって、原子炉30で生成した全ての蒸気を冷熱製造システム72の冷凍機6あるいは2次蒸気製造システム60の熱交換器54に導く。冷凍機6に導かれた蒸気は、冷媒の製造を行って復水し、熱供給専用原子力システム70の循環ポンプ34の入口側に導かれる。生成した冷媒は、潜熱カプセル貯蔵槽71に移送され、潜熱カプセルに封入している水を凍結させ、循環ポンプ35で冷凍機6に還流される。潜熱カプセル貯蔵槽71より潜熱カプセルスラリーがサブ熱供給センター63の氷貯蔵システム15(いまは潜熱カプセル貯蔵システムになっている)に送られ貯蔵される。都市建造物3からの還流水を氷貯蔵システム15の潜熱カプセルと接触させて低温水を製造し、循環ポンプ40で都市建造物3へ循環させる。潜熱カプセルに封入した水が熱交換で解凍すると、潜熱カプセル貯蔵槽71に移送され、再度封入水の凍結を行う。
【0080】この第7の実施の形態の原子力利用熱供給システムによれば、水を封入した潜熱カプセルを用いて冷熱を潜熱の形にして貯蔵し輸送することで、氷貯蔵、氷スラリー輸送において発生するブロック化の問題が発生しないために、冷熱供給を円滑に行うことができる。
【0081】次に本発明の第8の実施の形態の原子力利用熱供給システムを説明する。すなわち図11に示すように、原子力発電システム5を収納する空洞44の真上の地表面に氷貯蔵プール74を設置し、地下からの気体が抜けやすい通気孔を設け、その通気孔の上にフィルター装置75と局所排気設備76を設備し、全体をドーム49で覆った構成とする。すなわち、図4とほぼ同様の構成であり、植物園51の代わりに氷貯蔵プール74を設けてある。
【0082】このような構成によって、冷凍機で生成された冷媒が、氷貯蔵プール74の近くに設置されたダイナミック製氷機(図示せず)に移送され、氷貯蔵プール74の水を凍結させて貯蔵する。また、氷貯蔵プール74には崩壊熱除去系の熱交換器(図示せず)が設置されていて、空洞44内の原子炉建屋や原子炉格納容器外壁の熱除去を行う。
【0083】この第8の実施の形態の原子力利用熱供給システムにおいては、夜間の熱エネルギー、電気エネルギー需要の少ない時に冷凍機で冷媒を生成し、氷を製造して氷貯蔵プール74に貯蔵する。昼間、都市建造物3で冷房需要が計画値以上発生した場合には、氷貯蔵プール74より氷スラリーにして供給する。原子炉の崩壊熱除去運転が必要になった時には氷貯蔵プール74に設置してある崩壊熱除去系の熱交換器を作動させて原子炉の崩壊熱除去系を機能させる。氷貯蔵プール74に貯蔵した氷の量では崩壊熱を除去しきれない場合には、各サブ熱供給センターに貯蔵する氷をスラリー状態にして氷貯蔵プール74に移送して崩壊熱除去に用いる。
【0084】原子炉崩壊事故のような過酷事故が発生した場合、フィルター装置75を設けてある所に放射性気体を導き、これをフィルターに付着させて除去し、地表に放射性物質が放出されないようにする。これら気体の抜け易い場所に設置した放射性物質検出器が放射線を検知するとドーム49は密閉状態とし、外気との間は放射性除去系を介して接続するようにする。ドーム49内にいる人々は至急退避する。
【0085】この第8の実施の形態の原子力利用熱供給システムにおいては、氷貯蔵プール74に崩壊熱除去系の熱交換器を設置し、崩壊熱除去運転に対応することで、既設の原子炉建屋に設置されている崩壊熱除去系が不要になり、原子炉建屋が小型化され、建設費を低減することができる。また、サブ熱供給センターから氷貯蔵プール74に貯蔵氷を氷スラリーの形で融通させることにより、崩壊熱除去系の信頼性が向上する。さらに、原子炉崩壊等の過酷事故が発生した場合には、放射性気体が地下より地表に抜ける場所を特定させることにより、放射性気体の回収が行いやすくなり、環境に放射性物質が拡散する危険を小さくすることができる。また、事故を検知して人が退避するまでの時間的余裕を十分に与えることができる。
【0086】
【発明の効果】本発明によれば、大都市の温熱需要および冷熱需要をまかなうことができ安全で熱効率の高い原子力利用熱供給システムを提供することができる。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013