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発明の名称 溶融リチウム核融合反応生成方法及び溶融リチウム核融合エネルギー発生装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−130977(P2003−130977A)
公開日 平成15年5月8日(2003.5.8)
出願番号 特願2001−258234(P2001−258234)
出願日 平成13年8月28日(2001.8.28)
代理人 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外6名)
発明者 池上 栄胤 / 木村 博信 / 清水 博
要約 課題
放電を安定にし、しかもリチウムの飛散を防止し安定で安全なエネルギを供給できる、取り扱いやすい溶融リチウム核融合エネルギー発生装置を得る。

解決手段
水素ガスを注入して水素イオンを生成する反応容器7と、7内に配設される陽極1及び該1と該7内であって所定間隔を存し、かつ溶融リチウムまたはそれに溶融する塩または金属を混入させた物質で構成された陰極2と、1及び2にパルス状の電圧を印加し、7内に液体イオン・電子プラズマを生成するパルス電源装置4とを備え、前記液体イオン・電子プラズマによって原子間のクーロン障壁を滅殺するとともに、前記溶融リチウム内の原子核に働く凝縮力によって原子核同志を反応距離に近接させて核融合反応を誘発させることを特徴とする溶融リチウム核融合エネルギー発生装置。
特許請求の範囲
【請求項1】 溶融リチウムまたはそれに溶融する塩または金属を混入させた物質で構成される電極表面に、パルス状ガス放電プラズマで加速した水素イオンを注入して、高密度の液体イオン・電子プラズマを生成し、これら高密度の液体イオン・電子プラズマによって原子間のクーロン障壁を滅殺するとともに、前記溶融リチウム内の原子核に働く凝縮力によって原子核同志を反応距離に近接させて核融合反応を誘発させることを特徴とする溶融リチウム核融合反応生成方法。
【請求項2】 水素ガスを注入して水素イオンを生成する反応容器と、前記反応容器内に配設される陽極及び該陽極と該反応容器内であって所定間隔を存し、かつ溶融リチウムまたはそれに溶融する塩または金属を混入させた物質で構成された陰極と、前記陽極及び前記陰極間にパルス状の電圧を印加し、前記反応容器内に液体イオン・電子プラズマを生成するパルス電源装置と、を備え、前記液体イオン・電子プラズマによって原子間のクーロン障壁を滅殺するとともに、前記溶融リチウム内の原子核に働く凝縮力によって原子核同志を反応距離に近接させて核融合反応を誘発させることを特徴とする溶融リチウム核融合エネルギー発生装置。
【請求項3】 水素ガスを注入して水素イオンを生成する反応容器と、前記反応容器内に配設される陽極及び該陽極と該反応容器内であって所定間隔を存して縦置きし、かつ液体リチウムを含浸させた多孔質金属からなる陰極と、前記陽極及び前記陰極間にパルス状の電圧を印加し、前記反応容器内に液体イオン・電子プラズマを生成するパルス電源装置と、を備え、前記液体イオン・電子プラズマによって原子間のクーロン障壁を滅殺するとともに、前記溶融リチウム内の原子核に働く凝縮力によって原子核同志を反応距離に近接させて核融合反応を誘発させることを特徴とする溶融リチウム核融合エネルギー発生装置。
【請求項4】 水素ガスを注入して水素イオンを生成する反応容器と、前記反応容器内に配設される陽極及び該陽極と該反応容器内であって所定間隔を存し、金属と金属メッシュを重ねたものでかつ該金属メッシュ中に液体リチウムを含浸させた陰極と、前記陽極及び前記陰極間にパルス状の電圧を印加し、前記反応容器内に液体イオン・電子プラズマを生成するパルス電源装置と、を備え、前記液体イオン・電子プラズマによって原子間のクーロン障壁を滅殺するとともに、前記溶融リチウム内の原子核に働く凝縮力によって原子核同志を反応距離に近接させて核融合反応を誘発させることを特徴とする溶融リチウム核融合エネルギー発生装置。
【請求項5】 前記陽極及び前記陰極の外周側に冷却手段を設けたことを特徴とする請求項2〜4の何れか一つに記載の溶融リチウム核融合エネルギー発生装置。
【請求項6】 前記陽極及び前記陰極の外周側に冷却手段を設け、該冷却手段により発生した熱を利用する熱利用手段を設けたことを特徴とする請求項2〜5の何れか一つに記載の溶融リチウム核融合エネルギー発生装置。
【請求項7】 前記陽極及び前記陰極の外周側に断熱材を設けたことを特徴とする請求項2〜5の何れか一つに記載の溶融リチウム核融合エネルギー発生装置。
【請求項8】 前記パルス電源装置により印加されるパルス状の電界強度をV(V/cm)、放電ガス圧力をp(Torr)、電極間隔をd (cm)としたとき、0.01kV/cm≦V≦1000kV/cm、かつ10−3Torr・cm≦pd≦10torr・cmをみたすことを特徴とする請求項1記載の溶融リチウム核融合反応生成方法。
【請求項9】 前記核融合反応によって発生する熱を冷却材により取出し循環するポンプ及び配管よりなる高熱源ループと、配管、循環ポンプ及び冷却器よりなる低熱源ループと、当該高温熱源と低温熱源の間に熱電物質をはさみ外部負荷に接続して電力を取り出す熱電変換器より構成される熱電発電システムを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の溶融リチウム核融合エネルギー発生装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体金属リチウムを核燃料及び触媒溶剤として行う核融合反応により、得られる溶融リチウム核融合反応生成方法及び溶融リチウム核融合エネルギー発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から今日まで核融合反応の実用に十分な高密度のイオン・電子プラズマは未だ実現していない。このようなことから、本出願人は、特願2001−00156において「溶融リチウム核融合反応発生方法及び核融合エネルギー供給装置」を、特願2001−177670において「核融合発電方法および核融合発電装置」を、特願2001−216026において「非熱核融合発電方法および非熱核融合発電装置」を発明した。これらの先願発明では、既存の手段によって、前記の高密度のイオン・電子プラズマの達成が可能であり、これを利用したエネルギー供給装置の構成例が紹介されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】該各先願発明では、実際に実用化するうえで、以下に述べるような課題が考えられる。すなわち、該各先願発明では、注入水素イオンエネルギーがリントハルト領域と呼ばれる100kev以下で1kev〜25kevの緩衝(バッファ)エネルギー領域である必要がある。そのため、放電電圧を非常に高くするか、水素ガスを極めて薄くする必要がある。
【0004】ところが、このような状態では、放電が不安定になり、均一な放電が出来なくなることが考えられる。この結果、放電が不安定になり、不均一であると、リチウムの一部が放電ガス中に飛び散ったり、その影響で電極間がショートしトラブルの発生が頻繁におこり、安定な運転が出来なくなるばかりでなく、局所的な加熱が生じるため、容器に穴が開いたり、最悪の場合爆発することも考えられる。
【0005】そこで、本発明では放電を安定にし、しかもリチウムの飛散を防止し安定で安全なエネルギーを供給できる、取り扱いやすい、溶融リチウム核融合反応生成方法及び溶融リチウム核融合エネルギー発生装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達成するため、各請求項に対応する発明は、以下のように構成したものであるが、各発明は、いずれもエネルギー発生過程として、下記(式1、式2)の緩衝エネルギー(バッファエネルギー)核融合反応を利用する。
【0007】
Li + H → He+ He +4.0MeV (式1)
Li + H → 2He +17.3MeV (式2)
ここで、式の右辺の反応エネルギーは生成核の運動エネルギーとして放出される。MeVは、メガ電子ボルトである。
【0008】(式2)は、左辺のリチウムの同位体の一種Liの1原子と水素Hの1原子の核融合反応により、右辺のヘリウム原子(He)が2原子生成されることを示している。
【0009】この反応は水素イオンの照射の停止で即座に終了するので、容易にエネルギー発生の制御が可能であり、使用しないときにはエネルギーの放出が無いため、利用上の制限が少なく取り扱い易いエネルギー源を提供することが可能である。
【0010】前記目的を達成するため、請求項1に対応する発明は、溶融リチウムまたはそれに溶融する塩または金属を混入させた物質で構成される電極表面に、パルス状ガス放電プラズマで加速した水素イオンを注入して、高密度の液体イオン・電子プラズマを生成し、これら高密度の液体イオン・電子プラズマによって原子間のクーロン障壁を滅殺するとともに、前記溶融リチウム内の原子核に働く凝縮力によって原子核同志を反応距離に近接させて核融合反応を誘発させることを特徴とする溶融リチウム核融合反応生成方法である。
【0011】前記目的を達成するため、請求項2に対応する発明は、水素ガスを注入して水素イオンを生成する反応容器と、前記反応容器内に配設される陽極及び該陽極と該反応容器内であって所定間隔を存し、かつ溶融リチウムまたはそれに溶融する塩または金属を混入させた物質で構成された陰極と、前記陽極及び前記陰極間にパルス状の電圧を印加し、前記反応容器内に液体イオン・電子プラズマを生成するパルス電源装置と、を備え、前記液体イオン・電子プラズマによって原子間のクーロン障壁を滅殺するとともに、前記溶融リチウム内の原子核に働く凝縮力によって原子核同志を反応距離に近接させて核融合反応を誘発させることを特徴とする溶融リチウム核融合エネルギー発生装置である。
【0012】前記目的を達成するため、請求項3に対応する発明は、水素ガスを注入して水素イオンを生成する反応容器と、前記反応容器内に配設される陽極及び該陽極と該反応容器内であって所定間隔を存して縦置きし、かつ液体リチウムを含浸させた多孔質金属からなる陰極と、前記陽極及び前記陰極間にパルス状の電圧を印加し、前記反応容器内に液体イオン・電子プラズマを生成するパルス電源装置と、を備え、前記液体イオン・電子プラズマによって原子間のクーロン障壁を滅殺するとともに、前記溶融リチウム内の原子核に働く凝縮力によって原子核同志を反応距離に近接させて核融合反応を誘発させることを特徴とする溶融リチウム核融合エネルギー発生装置である。
【0013】前記目的を達成するため、請求項4に対応する発明は、水素ガスを注入して水素イオンを生成する反応容器と、前記反応容器内に配設される陽極及び該陽極と該反応容器内であって所定間隔を存し、金属と金属メッシュを重ねたものでかつ該金属メッシュ中に液体リチウムを含浸させた陰極と、前記陽極及び前記陰極間にパルス状の電圧を印加し、前記反応容器内に液体イオン・電子プラズマを生成するパルス電源装置と、を備え、前記液体イオン・電子プラズマによって原子間のクーロン障壁を滅殺するとともに、前記溶融リチウム内の原子核に働く凝縮力によって原子核同志を反応距離に近接させて核融合反応を誘発させることを特徴とする溶融リチウム核融合エネルギー発生装置である。
【0014】前記目的を達成するため、請求項5に対応する発明は、前記陽極及び前記陰極の外周側に冷却手段を設けたことを特徴とする請求項2〜4の何れか一つに記載の溶融リチウム核融合エネルギー発生装置である。
【0015】前記目的を達成するため、請求項6に対応する発明は、前記陽極及び前記陰極の外周側に冷却手段を設け、該冷却手段により発生した熱を利用する熱利用手段を設けたことを特徴とする請求項2〜4の何れか一つに記載の溶融リチウム核融合エネルギー発生装置である。
【0016】前記目的を達成するため、請求項7に対応する発明は、前記陽極及び前記陰極の外周側に断熱材を設けたことを特徴とする請求項2〜4の何れか一つに記載の溶融リチウム核融合エネルギー発生装置である。
【0017】前記目的を達成するため、請求項8に対応する発明は、前記パルス電源装置により印加されるパルス状の電界強度をV(V/cm)、放電ガス圧力をp(Torr)、電極間隔をd (cm)としたとき、0.01kV/cm≦V≦1000kV/cm、かつ10−3Torr・cm≦pd≦10torr・cmをみたすことを特徴とする請求項1記載の溶融リチウム核融合反応生成方法である。
【0018】請求項1又は2に対応する発明によれば、液体状のリチウム、又は核融合反応の触媒作用を持つ金属との合金の表面に水素イオンをパルス照射することにより非熱核融合反応を誘発する。その際に(式1、2)に従いエネルギーが発生するが、これをエネルギー源として利用する。ここで、制御されたパルス状の高電圧を印加し、パルス放電させることにより、水素イオンを緩衝領域と呼ばれる、エネルギー100keV以下で、特に1〜25keVのエネルギーに加速させる。ここで、核融合反応で急激な加熱が、リチウム溶液中で発生するが、液体リチウムが不安定になる前に高電圧印加を止めれば、この不安定現象は制御可能となる。制御方法としては、例えば、高電圧印加幅を増減させたり、パルス印加繰り返し周波数を変化させることによる。
【0019】請求項3に対応する発明によれば、液体リチウムの局部発熱による不安定性を改善するため、陰極として多孔質金属にリチウムを含浸させ、液体金属の凝縮力と、多孔質金属の熱伝導により液体リチウムの飛散を防止できしかも縦置きを可能に出来る。
【0020】請求項4に対応する発明によれば、液体リチウムの局部発熱による不安定性を改善するため、陰極として金属と金属メッシュを重ねて、金属メッシュ中に液体リチウムを含浸させ液体リチウムの飛散を防止できしかも縦置きを可能に出来る。
【0021】請求項5に対応する発明によれば、陽極及び陰極の外周側に冷却手段を設け、熱暴走による不安定性をなくすることを特徴とする。
【0022】請求項6に対応する発明では、陽極及び陰極の外周側に冷却手段を設け、この冷却手段により発生した熱を利用する手段を設けたので、更に熱エネルギーを有効利用できる。
【0023】請求項7に対応する発明によれば、陽極及び陰極の外周側に断熱材を設けたので、更に熱効率を向上させることができる。
【0024】請求項8に対応する発明は、請求項1に対応する発明において、放電を安定させるため、パルス状に印加する電界強度をV(V/cm)、放電ガス圧力をp(Torr)、電極間隔をd (cm)としたとき、0.01kV/cm≦V≦1000kV/cm、かつ1−3Torrcm≦pd≦10torrcmをみたすよう電源を制御する。これにより、均一な放電が可能となり、リチウムの一部が放電ガス中に飛び散ったり、その影響で電極間がショートするようなトラブルは皆無となり、安定で安全な運転が可能となる。
【0025】前記目的を達成するため、請求項9に対応する発明は、前記核融合反応によって発生する熱を冷却材により取出し循環するポンプ及び配管よりなる高熱源ループと、配管、循環ポンプ及び冷却器よりなる低熱源ループと、当該高温熱源と低温熱源の間に熱電物質をはさみ外部負荷に接続して電力を取り出す熱電変換器より構成される熱電発電システムを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の溶融リチウム核融合エネルギー発生装置である。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に本発明に係る溶融リチウム核融合エネルギー発生装置の実施の形態を図に基づき説明する。図1は本発明の第1の実施形態の溶融リチウム核融合エネルギー発生装置の概念図である。図1において、真空排気が可能な反応容器7内に、液体リチウム9を含浸させた陰極2、水素注入装置5より導入された水素ガス、パルス電源装置4よりパルス状高電圧を印加できる陽極1等を収容している。
【0027】また、反応容器7には高電圧印加を可能とするための絶縁リング3が設けられている。さらに反応容器7には核融合反応により発生したヘリウムを回収するHe回収装置6と、発生した陰極周辺の熱を回収する熱交換システム10と、この熱を発電等に利用する熱利用システム11が設けられている。
【0028】なお、陰極2に含浸させる液体リチウム9は、反応容器7の外部に設置されたリチウム補給システム(図示せず)により、補給できるようになっている。
【0029】次に、第1の実施形態の作用について説明する。
【0030】図1において、反応容器7内の陰極2に含浸された液体リチウム9と、その上方に配置した陽極1の間に接続したパルス電源装置5により発生したパルス状高電圧を液体リチウム9を含んだ陰極2と陽極1の間にパルス高電圧を印加し、反応容器7内に封入した水素ガス中で放電を発生させる。放電により水素ガスの一部又はほとんどが電離し水素イオンとなる。
【0031】水素イオンは陽極1と液体リチウム9を含浸した陰極2の間のパルス電界により加速されて、水素イオンの流れを形成する。水素イオンの流れは液体リチウム9の表面に達して、(式1、式2)の緩衝エネルギー(バッファエネルギー)核融合反応が発生する。このとき発生するエネルギーは陰極2を構成する多孔質金属や液体リチウムの熱伝導等により、熱交換システム10に運ばれ、最終的に熱利用システム11で電気等のエネルギーに変換される。
【0032】このときパルス電源装置4の電圧、パルス幅、高電圧印加繰り返し数を変更することにより、パルス放電電流が変化し、液体リチウム9の表面への水素イオンの流れの量を調節することが出来る。
【0033】(式1、式2)から分かるように水素1個に対してLiの1原子が緩衝エネルギー核融合反応し、ヘリウム原子3He,4He(この時のエネルギー発生量は4.0MeV)またはHeが2原子生成する(この時のエネルギー発生量は17.3MeV)ので、水素イオンの流れに応じてエネルギー量を制御できることを示している。
【0034】ここで、放電条件に関する事項を検討する。水素気体空間に、強い電界が存在すると、もともと気体にあったごく僅かの電子が加速され、水素分子と衝突電離を繰り返すうち急速に数が増大し、放電が生ずる。このとき、放電開始電圧をVsボルトとし、ガス圧力をptorr、電極間隔をdcmとすると、同一種のガスでは、Vsはpdのみの関数となる。電極間隔dを一定にしてガス圧力pを下げると、Vsはだんだん減少するが、ある最小値をへて再び上昇する。
【0035】これは、pを下げると、電子の平均自由行程が長くなり、電界による加速が大きく衝突電離が盛んになるためであるが、あるところまで平均自由行程が長くなると、逆に電極間で電子の衝突回数が減るので、衝突電離が不活発となり、Vsは再び上昇する。
【0036】ここで、パルス放電の場合、0.01kV/cm≦V≦1000kV/cm、かつ10−3Torrcm≦pd≦10torrcmの領域を選択すると、イオンエネルギーとして、1〜10keV程度が得られるようになる。水素イオンは陽極1と液体リチウム9を含む陰極2の間の電界により加速されて、水素イオンの流れを形成する。水素イオンの流れは液体リチウム9を含む陰極2の表面に達して、(式1、2)の緩衝エネルギー(バッファエネルギー)核融合反応が発生する。このとき発生するエネルギーは、液体リチウムを急速に加熱するが、陰極を構成する多孔質金属等の伝熱効果により、急速に熱交換システム10に移行する。
【0037】移行したエネルギーは、熱エネルギー利用システム11によって、発電されたり、地域暖房等に有効利用される。この時、熱効率向上のため、発熱する陰極2周辺の反応容器7を断熱材で覆い、熱効率を高めることも可能である。このときパルス電源4を制御することにより、放電を一時的に停止し水素イオンの流れを消失させることも可能で発生エネルギーを安全に容易に制御できる。
【0038】従って、本発明の第1の実施形態によれば、目的に応じて最適なエネルギー発生量を得ることが出来、利用上の制限が少なく、取り扱いやすいエネルギーを提供することができる。
【0039】図2は図1の陰極2を説明するための概念図であり、図2(a)はその平面図であり、図2(b)はその縦断面図である。陰極2は、熱伝導性の優れた多孔板13と、金網14をサンドイッチ状に積層したものである。前述のように多孔板13の多孔部に液体リチウムを満たしておけば、局部的な発熱が生じても、多孔板13が熱伝導効果で熱を拡散する。さらに金網14が、液体リチウムの凝縮力と相互作用を及ぼし、液体リチウムの飛散を防止する。多孔板13は、金網14の強度的な補強効果も期待できる。
【0040】図3は、本発明の第2の実施形態の溶融リチウム核融合エネルギー発生装置の概念図である。有底筒状の反応容器7と、この反応容器7の開口部を閉塞可能な絶縁板3Aとからなり、真空排気可能な装置容器内に、陽極1と、陰極2と、液体リチウム9と、水素ガス等が収納されている。陰極2は、筒状であって、反応容器7の内周面に配設され、また陽極1は柱状であって装置容器内に収納配置され、かつ陽極1の一端部は絶縁板3Aに貫通固定されている。装置容器内の底面部には、図示しないリチウム補給システムからの液体ヘリウム9が供給され、液体ヘリウム9は陰極2の下端部に接触するようになっている。
【0041】反応容器7の外周面には、熱交換システム10が配設され、この熱交換システム10を含む反応容器7の外周面全体は、断熱材8に覆われている。熱交換システム10で得られる熱は熱利用システム11に供給できるように構成されている。そして、陰極2と陽極1の間には、パルス電源装置4が電気的に接続されている。装置容器内部には、水素が注入されるように装置容器外部設置の水素注入装置5が絶縁板3Aを貫通して連通するように配設されている。装置容器内部には、装置容器内部のHeが回収できるように装置容器外部設置のHe回収装置6が絶縁板3Aを貫通して連通するように配設されている。装置容器には、装置容器内のリチウムの状態をモニターできるようにリチウム計測純化系15が配設されている。
【0042】このように構成されている第2の実施形態において、陰極2と液体リチウム9が反応容器7の底で接触しているため毛細管現象で陰極2内に液体リチウムがしみ込む。陰極2と陽極1の間にパルス電源装置4が接続されており、水素注入装置5により供給された水素ガスによりパルス放電を行えば、緩衝エネルギー核融合反応が生じ、熱交換システム10および熱利用システム11により容易にエネルギーを取り出せる。この時、液体リチウム9の状態は、リチウム計測純化系15によりモニターされ安定な長時間運転を行える。また、核融合反応の結果発生するヘリウム等は、He回収装置6で系外に排除される。
【0043】この第2の実施形態によれば、陰極2を円筒状に配置し、反応面積を増大しさらに熱交換システム10を反応容器7の外周に配設したので、効率の向上を図ることが可能である。 さらに、リチウム計測純化系15を設けたので、リチウム中に含まれる不純物を取り除き、リチウムの温度等を計測する事により核融合反応を円滑に行うことができる。また、第2の実施形態では、装置の縦置きが可能となる。
【0044】図4は、本発明の第3の実施形態の溶融リチウム核融合エネルギー発生装置の概念図である。図3の実施形態と異なる点は、概略装置容器と、陽極1の構成と、これらの配置構成である。装置容器は、2つの有底筒状の反応容器7,7と、この間に介在され反応容器7,7とそれぞれ一体的に連結された絶縁リング3とで構成されている。反応容器7のうちの下側の反応容器7の内周面には、筒状の陰極2が配置固定され、上側の反応容器7の内周面には、筒状の陽極1が配置固定されている。下側の反応容器7の外周面には、熱交換システム10が配設されている。以上述べた点以外の構成は、図3と同一である。
【0045】この第3の実施形態によれば、第2の実施形態の効果以外に、装置容器内周面の軸線方向に筒状の陽極1と、筒状の陰極2が配設されているので、水素放電状況において、放電長を長くする場合に有効であり、また高電圧印加を可能とするため、絶縁リング3を長く取れる利点がある。この結果、目的に応じて最適なエネルギー発生量を得ることが出来、利用上の制限が少なく、取り扱いやすい安全で安定なエネルギー源を提供することができる。
【0046】次に、図6を用いて前述の実施形態の熱利用システム11について説明する。図6は、熱電発電システムのフローシートであって、核融合反応装置を構成する反応容器7から核融合反応により加熱された溶融リチウム冷却材が配管201を介して、熱電素子(熱電物質)205の高温部203に導かれ当該部を加熱した後循環ポンプ202に配管で導かれ、当該ポンプ202で核融合反応容器に戻る1次系循環ループを形成している。
【0047】一方、熱電素子205の低温部204を冷却除熱する2次系除熱ループが配管206、循環ポンプ207、放熱装置208により構成されている。熱電素子205の高温部203と低温部204との間には熱電素子205が密接されていて、高温部203と低温部204との温度差により電気を発生する。即ち、熱エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。発生した電気エネルギーはケーブル209により負荷に供給される。
【0048】図6の実施形態によれば、熱エネルギーを直接電気エネルギーに変換できるため、極めて簡素な発電システムを実現でき、経済性や信頼性に富んだ核融合エネルギー供給装置を提供することができる。
【0049】本発明は、以上述べた各実施形態に限定されず、次のように変形して実施できる。図5は、本発明の変形例を説明するための概略断面図であり、ここでは陽極102と陰極101に印加する放電用パルス電源105を直流電源として構成したものである。このような構成のものに、図2に示す構成の陰極を使用したり、図3に示す断熱材及び熱交換システム並びに絶縁リングを使用するようにしたり、更には図4に示す構成の絶縁リングを使用したり、あるいは図3及び図4に示す構成の断熱材及び熱交換システム並びに絶縁リングを組合せるようにしてもよい。
【0050】図5において、101は陰極となる溶融リチウム電極、102は陽電極、103は水素補給孔、104は容器、105は放電用パルス電源で構成されたエネルギー供給装置は、放電により水素ガス106を電離する。水素イオン107は電界によって加速され、溶融リチウム電極101に打ち込まれる。すると、溶融リチウム表面に高密度イオン・電子プラズマが生成され、これら高密度の液体イオン・電子プラズマによって原子核間のクーロン障壁を滅殺すると同時に原子核間に働く凝縮力によって、原子間同志を反応距離に近接させ、核融合反応を誘発させる。容器104に内蔵された溶融リチウムは、核融合反応によりヘリウムに変換される。
【0051】更に、本発明の変形例として、図1、図3、図4の放電ガスとして水素の代わりに、重水素を用いることで、以下の反応にて発生する核融合エネルギー中性子をエネルギーとして用いたり、劣化ウランに照射し、新たな核燃料の製造に利用することができる。
【0052】
Li + D → 2He + n (式3)
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、放電を安定にし、しかもリチウムの飛散を防止し安定で安全なエネルギーを供給できる、取り扱いやすい、溶融リチウム核融合反応生成方法及び溶融リチウム核融合エネルギー発生装置を提供することができる。




 

 


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