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発明の名称 金属ナトリウムの洗浄方法および装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−121593(P2003−121593A)
公開日 平成15年4月23日(2003.4.23)
出願番号 特願2001−314026(P2001−314026)
出願日 平成13年10月11日(2001.10.11)
代理人 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久 (外1名)
【テーマコード(参考)】
4G075
【Fターム(参考)】
4G075 AA06 AA13 AA54 BA06 BD13 CA63 CA80 DA02 EC30 
発明者 大崎 正彦 / 佐藤 望 / 二宮 進
要約 課題
金属ナトリウムが付着した被洗浄部材を洗浄する際に、被洗浄部材のアルカリ腐食を防止し、また、反応により発生する水素および反応熱による爆発の危険を回避し、短時間に、かつ安全に被洗浄部材を洗浄する方法および装置を提供すること。

解決手段
洗浄装置10は上方が開放になった洗浄容器1とバブリングノズル2とを備えている。洗浄容器1には洗浄用の液体が一定量貯留され、液相Lと気相Gを構成している。バブリングノズル2は洗浄容器1に挿入され、かつ洗浄容器1の内側壁にほぼ内接するように成形された環状の管材で構成され、洗浄容器1の底面に設置される。バブリングノズル2には洗浄容器1内に液相中に気泡を放出するためのバブリング孔3が設けてある。ガスボンベBには不活性ガスが充填されており、連絡配管4を介してバブリングノズル2に不活性ガスが供給され、バブリング孔3から液相中に気泡が放出され、バブリング作用が行われる。
特許請求の範囲
【請求項1】 金属ナトリウムが付着した被洗浄部材の洗浄方法であって、洗浄装置を構成する洗浄容器に洗浄液を貯留して液相を設け、その液相に金属ナトリウムが付着した被洗浄部材を浸漬させることを特徴とする金属ナトリウムの洗浄方法。
【請求項2】 金属ナトリウムが付着した被洗浄部材の洗浄方法であって、前記洗浄容器の内側壁に沿ってガスを吹込み、液相中に気泡を発生させる請求項1記載の金属ナトリウムの洗浄方法。
【請求項3】 前記洗浄装置に振動装置を設け、洗浄装置内で被洗浄部材を振動させる請求項1記載の金属ナトリウムの洗浄方法。
【請求項4】 前記洗浄装置に振動装置を設け、洗浄装置内で洗浄液を振動させる請求項1記載の金属ナトリウムの洗浄方法。
【請求項5】 金属ナトリウムが付着した被洗浄部材を洗浄する洗浄装置内に不活性ガスを吹き込み、洗浄装置内の酸素濃度を爆発限界濃度以下とすることを特徴とする金属ナトリウムの洗浄方法。
【請求項6】 前記不活性ガスはアルゴンガスとし、洗浄装置内の酸素濃度を1%以下とする請求項5記載の金属ナトリウムの洗浄方法。
【請求項7】 前記不活性ガスは窒素ガスとし、洗浄装置内の酸素濃度を2%以下とする請求項5記載の金属ナトリウムの洗浄方法。
【請求項8】 金属ナトリウムが付着した被洗浄部材を洗浄する洗浄装置であって、洗浄装置を構成する洗浄容器内に被洗浄部材を浸漬するために貯留された洗浄液からなる液相を設け、その液相中に気泡を発生するためのバブリング装置を備えたことを特徴とする金属ナトリウムの洗浄装置。
【請求項9】 前記バブリング装置は一端が不活性ガスの供給源に接続された連絡配管と、この連絡配管の他端に接続されたバブリングノズルを備え、このバブリングノズルは円環状の管材で形成されて、洗浄容器の底部に洗浄容器内壁にほぼ内接するように設置され、前記バブリングノズルの上面には気泡を発生するためのバブリング孔を備えた請求項8記載の金属ナトリウムの洗浄装置。
【請求項10】 前記洗浄容器は、その洗浄容器内部の酸素濃度を測定する酸素計を備えたことを特徴とする請求項8記載の金属ナトリウムの洗浄装置。
【請求項11】 前記洗浄装置は、洗浄容器と接続されて、金属ナトリウムが水と反応して発生する水素を貯留するバッファタンクを備えたことを特徴とする請求項8記載の金属ナトリウムの洗浄装置。
【請求項12】 前記バッファタンクは水素計と、水素濃度が爆発限界濃度となった場合に水素を燃焼するための水素燃焼装置を備えたことを特徴とする請求項8記載の金属ナトリウムの洗浄装置。
【請求項13】 前記洗浄装置は、前記洗浄容器および前記バッファタンクの空気を吸引し、洗浄装置内部を真空にする排気ポンプを備えたことを特徴とする請求項8記載の金属ナトリウムの洗浄装置。
【請求項14】 前記洗浄装置は、被洗浄部材を液相中で振動させるための振動装置を備えたことを特徴とする請求項8記載の金属ナトリウムの洗浄装置。
【請求項15】 前記洗浄装置は、液相を構成する洗浄液を振動させるための振動装置を備えたことを特徴とする請求項8記載の金属ナトリウムの洗浄装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属ナトリウムが付着した被洗浄部材の洗浄方法および洗浄装置に係る。
【0002】
【従来の技術】金属ナトリウムは下記(1)式のように水と反応して水素と反応熱を発生することが知られている。
【0003】
【化1】
2Na+2HO→2NaOH+H………(1)
【0004】水素は酸素雰囲気下で爆発を起こす危険があるため、金属ナトリウムの洗浄には細心の注意を払う必要がある。
【0005】高速増殖炉においては冷却材として金属ナトリウムが使用されており、原子炉内の燃料交換時等に機器や部材に金属ナトリウムが付着する。そのため、機器の保守あるいは部材を廃棄する際に金属ナトリウムを除去する技術が必要である。
【0006】金属ナトリウムを除去する方法として、例えば、金属ナトリウムが付着した部材に高温の水蒸気あるいは水蒸気と窒素を吹き付け、付着した金属ナトリウムを溶融して吹き飛ばしたり、水蒸気と噴霧水により金属ナトリウムを徐々に溶解する方法がある。また、水蒸気を用いて金属ナトリウムを反応させ、その後、生成した水酸化ナトリウム固形物を、温水に浸漬して分離する方法もある。
【0007】これらの水蒸気を使用する洗浄方法では、金属ナトリウムは徐々に洗浄されるので、水素および反応熱もまた穏やかに徐々に発生するため比較的安全な洗浄方法である。また、洗浄廃液の処理についても、塩酸(HCl)を用いた中和処理により食塩(NaCl)水溶液となるため、環境への影響が少ない利点もある。
【0008】しかし、水蒸気や噴霧水による洗浄方法では、吹き付けた水蒸気による潮解や噴霧水とナトリウムの反応により局部的にほぼ飽和状態の水酸化ナトリウム水溶液が生成する。この水酸化ナトリウム水溶液と鉄鋼材が接触すると、鉄鋼材の表面がアルカリ腐食のため変質するという問題があった。
【0009】この問題を避けるため、再使用を予定している部材を洗浄する場合、部材をアルコールに浸漬して洗浄する方法が一般的である。部材をアルコールに浸漬して洗浄すると下記(2)式によりアルコラート(R−O−Na,R:アルキル基)が生成する。
【0010】
【化2】

【0011】この反応はアルコールの炭素数が少ないほど反応時間が早いため、洗浄には一般的にエタノールが使用される。
【0012】アルコラートはアルカリ性であるが、アルコールにより希釈されるためアルカリ腐食を起こさない。しかしアルコールによる洗浄方法では、反応により発生する反応熱によって、可燃物であるアルコールの温度が上昇するという問題があった。また、洗浄廃液の処理についても、塩酸による中和処理でアルコールと食塩水溶液となるため、産業廃棄物としての処理が必要であった。
【0013】特開平11−133187号公報には、金属ナトリウムを滴下してプロペラ状羽根板により飛散させつつ水蒸気と反応させる方法が開示されているが、高速増殖炉廃棄時に排出する金属ナトリウムの廃棄方法を対象としており、金属ナトリウムが付着した部材を直接洗浄するものではなく、特に再使用に供する部材の洗浄方法を提供するものではなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】水蒸気による金属ナトリウムの洗浄方法ではアルカリ腐食の問題があり、また、アルコールを用いる方法では、アルコールの加熱の問題および産業廃棄物処理の問題があった。
【0015】本発明は上述した事情を考慮してなされたものであり、金属ナトリウムが付着した部材を洗浄する際に、部材のアルカリ腐食を防止し、また、反応により発生する水素および反応熱による爆発や発火の危険を回避し、短時間に、かつ安全に部材を洗浄する金属ナトリウムの洗浄方法および装置を提供することを目的とする。
【0016】また、本発明の他の目的は、金属ナトリウムが付着した部材を洗浄する際の洗浄廃液の処理が容易で、環境への影響が少ない金属ナトリウムの洗浄方法および装置を提供するにある。
【0017】さらに、本発明の他の目的は、金属ナトリウムが付着した部材を直接洗浄することが可能であり、特に再使用する部材についてもアルカリ腐食の心配がなく、安全に洗浄することができる金属ナトリウムの洗浄方法および装置を提供するにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明に係る金属ナトリウムの洗浄方法は、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、金属ナトリウムが付着した被洗浄部材の洗浄方法であって、洗浄装置を構成する洗浄容器に洗浄液を貯留して液相を設け、その液相に金属ナトリウムが付着した被洗浄部材を浸漬するものである。
【0019】また、本発明に係る金属ナトリウムの洗浄方法は、上述した課題を解決するために、請求項2に記載したように、金属ナトリウムが付着した被洗浄部材の洗浄方法であって、前記洗浄容器の内側壁に沿ってガスを吹込み、液相中に気泡を発生させるものである。
【0020】さらに、本発明に係る金属ナトリウムの洗浄方法は、上述した課題を解決するために、請求項3に記載したように、前記洗浄装置に振動装置を設け、洗浄装置内で被洗浄部材を振動させたり、また、請求項4に記載したように、前記洗浄装置に振動装置を設け、洗浄装置内で洗浄液を振動させるものである。
【0021】一方、本発明に係る金属ナトリウムの洗浄方法は、上述した課題を解決するために、請求項5に記載したように、金属ナトリウムが付着した被洗浄部材を洗浄する洗浄装置内に不活性ガスを吹き込み、洗浄装置内の酸素濃度を爆発限界濃度以下としたり、また、請求項6に記載したように、前記不活性ガスはアルゴンガスとし、洗浄装置内の酸素濃度を1%以下としたり、また、請求項7に記載したように、前記不活性ガスは窒素ガスとし、洗浄装置内の酸素濃度を2%以下とするものである。
【0022】また、本発明に係る金属ナトリウムの洗浄装置は、上述した課題を解決するために、請求項8に記載したように、金属ナトリウムが付着した被洗浄部材を洗浄する洗浄装置であって、洗浄装置を構成する洗浄容器内に被洗浄部材を浸漬するために貯留された洗浄液からなる液相を設け、その液相中に気泡を発生するためのバブリング装置を備えたものである。
【0023】さらに、本発明に係る金属ナトリウムの洗浄装置は、上述した課題を解決するために、請求項9に記載したように、前記バブリング装置は一端が不活性ガスの供給源に接続された連絡配管と、この連絡配管の他端に接続されたバブリングノズルを備え、このバブリングノズルは円環状の管材で形成されて、洗浄容器の底部に洗浄容器内壁にほぼ内接するように設置され、前記バブリングノズルの上面には気泡を発生するためのバブリング孔を備えたり、また、請求項10に記載したように、前記洗浄容器は、その洗浄容器内部の酸素濃度を測定する酸素計を備えたものである。
【0024】また、本発明に係る金属ナトリウムの洗浄装置は、上述した課題を解決するために、請求項11記載したように、前記洗浄装置は、前記洗浄装置は、洗浄容器と接続されて、金属ナトリウムが水と反応して発生する水素を貯留するバッファタンクを備えたり、また、請求項12に記載したように、前記バッファタンクは水素計と、水素濃度が爆発限界濃度となった場合に水素を燃焼するための水素燃焼装置を備えたものである。
【0025】さらに、本発明に係る金属ナトリウムの洗浄装置は、上述した課題を解決するために、請求項13に記載したように、前記洗浄装置は前記洗浄容器およびバッファタンクの空気を吸引し、洗浄装置内部を真空にする排気ポンプを備えたものである。
【0026】さらに、本発明に係る金属ナトリウムの洗浄方法は、上述した課題を解決するために、請求項14に記載したように、前記洗浄装置は、被洗浄部材を液相中で振動させるための振動装置を備えたり、また、請求項15に記載したように、前記洗浄装置は、液相を構成する洗浄液を振動させるための振動装置を備えたことを特徴とするものである。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明に係る金属ナトリウムの洗浄装置の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0028】図1は本発明に係る金属ナトリウムの洗浄装置の第1の実施形態を示す説明図である。なお、以下第1の実施形態においては洗浄装置の構造上不活性ガスとして空気より重い不活性ガス、例えばアルゴンガス等を使用した例で説明する。
【0029】洗浄装置10は上方が開放になった有底円筒型の洗浄容器1とバブリングノズル2とを備えている。洗浄容器1には洗浄液が一定量貯留され、下部の液相Lと上部の気相Gを構成している。バブリングノズル2は洗浄容器1に挿入され、かつ洗浄容器1の内側壁にほぼ内接あるいは近接するように成形された環状の管材であり、円筒型の洗浄容器1の底面近傍に設置される。
【0030】バブリングノズル2には洗浄容器1内で液相L中で気泡を放出するためのバブリング孔3が設けてある。バブリング孔3はバブリングノズル2の上面側に周方向に沿って一定の間隔ごとに設けられる細孔である。バブリングノズル2には連絡配管4が接続される。このバブリングノズル2に接続された連絡配管4は洗浄容器1の外部に延出され、その延出端は不活性ガスの供給源としてのガスボンベBに接続される。ガスボンベBには不活性ガスが充填されており、連絡配管4を介してバブリングノズル2に不活性ガスが供給され、バブリング孔3から液相L中に気泡が放出される。
【0031】洗浄容器1には、洗浄容器1内と外部雰囲気とを遮断する目的で、シールド遮蔽手段としての養生5が洗浄容器1の外周を取り囲むように取付けられる。養生5は柔軟性のある例えばビニール製の袋状シートで形成されており、養生5の上端には開閉自在な大気開放口5aが形成される。大気開放口5aを閉じることにより外気と遮断し、また大気開放口5aを開放させることにより内部気体の大気開放が可能である。
【0032】被洗浄部材6は大気開放口5aを通して洗浄容器1の上端開口部から挿入される。被洗浄部材6には支持棒7が取付けられており、この支持棒7を動かすことにより被洗浄部材6の上下方向の移動が可能である。養生5の大気開放口5aからは被洗浄部材6のほかに酸素計8が挿入されて、洗浄容器1の気相Gの酸素濃度を計測する。
【0033】次に本発明の金属ナトリウムの洗浄装置10を用いて被洗浄部材6を洗浄する方法を、図2、図3および図4を用いて説明する。
【0034】洗浄容器1には洗浄水(水道水)が貯留されている。まず養生5を外力を作用させて押しつぶし、洗浄装置10内部の空気を外部に放出する。次に養生5の大気開放口5aを閉じて不活性ガス供給源としてのガスボンベBより不活性ガス、例えばアルゴンをバブリングノズル2に流通させ、バブリング孔3より液相L中にアルゴンの気泡が放出される(図2(A))。気泡の発生に伴なうバブリング作用により養生5内部に不活性ガスが次第に充填され、養生5の体積が膨張する(図2(B))。養生5内に十分不活性ガスが充填されたら大気開放口5aを緩め、内部ガスを放出する(図2(C))。この作業を酸素計8による酸素濃度の測定値が爆発限界濃度以下の例えば1%以下となるまで繰り返して行う。
【0035】酸素計8の酸素濃度測定値が1%以下となったら、大気開放口5aから酸素計8を引き抜き、被洗浄部材6を支持棒7の操作により下方に移動させ、液相Lに挿入する(図2(D))。液相Lに挿入されると被洗浄部材6の表面に付着した金属ナトリウムは瞬時に水と反応し、水素と反応熱を発生する。
【0036】図3(A)は洗浄容器1内の底部に設置されるバブリングノズル2の構成を示す平面図である。図3(A)に示すとおり、バブリングノズル2は環状に形成されており、その外径は洗浄容器1の内側壁にほぼ内接あるいは近接する大きさである。図3(A)はバブリングノズル2を上方から見た平面図を示しており、バブリングノズル2には円周方向に沿って等間隔にバブリング孔3が設けられている。不活性ガスはガスボンベBより連絡配管4を通じてバブリングノズルに案内され、バブリング孔3から液相Lに向けて放出される。
【0037】また変形例として図3(B)に示すようにバブリングノズル2の環状部に十字形の部材を配してバブリング孔3を設けたものは洗浄容器1の内側壁付近だけでなく全体的に気泡を発生させることができ、バブリング作用による洗浄効果を高めることができる。
【0038】図4を用いて、本発明に係る金属ナトリウムの洗浄装置における金属ナトリウムの挙動および洗浄状況について説明する。
【0039】被洗浄部材6に付着していた金属ナトリウムNは、表面が水と反応しながら被洗浄部材6より剥離する。剥離した金属ナトリウムNは比重差(密度差)により液面に浮き上がり、水との接触面で反応しながら水素と反応熱を発生する。この時金属ナトリウムNは、発生した水素の勢いによって水面を任意の方向に移動する。反応熱は、金属ナトリウムNが水面を移動することにより周囲の水によって冷却されるが、金属ナトリウムNが洗浄容器1の側壁付近に付着すると水素ガスの推進力による移動がなされなくなることがある。この場合、金属ナトリウムNの反応熱による局所的な温度上昇が起こり、水素ガスが高温化するので、周囲に酸素があると爆発の危険性がある。
【0040】本発明の金属ナトリウムの洗浄装置10においては、金属ナトリウムNが洗浄容器1の側壁付近に付着して温度上昇を起こす危険を回避するために、側壁内周にそってバブリングノズル2を配置し、側壁付近に不活性ガスの気泡を集中的に発生させることにより金属ナトリウムNが側壁付近に付着する現象を有効的にかつ未然に阻止している。
【0041】バブリングノズル2の各バブリング孔3からの気泡は、側壁付近を上昇し、液相Lの液面付近に到達する。この時気泡の挙動によって発生した波と、気泡の崩壊によって発生する波とにより金属ナトリウムNは洗浄容器1の中央方向に押し返される。この作用により金属ナトリウムNが側壁付近に付着するのを防止することができる。不活性ガスと生成した水素は大気開放口5aから大気放出されるが、水素は養生5a中で十分冷却されて放出されるので、爆発の危険がなく、大気中に放散される。
【0042】図5は本発明に係る金属ナトリウムの洗浄装置の第2の実施形態を示すものである。
【0043】第2の実施形態に示す金属ナトリウムの洗浄装置30においては、洗浄容器31は上端を密封蓋としての蓋板31aによって閉じて、洗浄容器31と外気とが直接接触しない非接触構造に構成する。洗浄容器31の底部には第1の実施形態と同様に、バブリングノズル2が洗浄容器31の内側壁に沿って環状に設けられており、バブリングノズル2にはバブリング孔3が周方向に等間隔に設けられている。バブリングノズル2は不活性ガス供給源、あるいは貯蔵タンクとしてのガスボンベBに連結されており、ガスボンベBから不活性ガスが供給されるようになっている。
【0044】被洗浄部材6は第1の実施形態と同様に支持棒7の一端に取付けられ、この支持棒7の操作で上下方向に移動自在に支持される。洗浄作業前には洗浄容器31内は気相Gに保持されている。支持棒7のもう一端は洗浄容器31の蓋板31aに設けられた支持棒挿通孔31bを通して洗浄容器31の外部に突出しており、この突出部分を上下に移動させることにより、被洗浄部材6を気相Gと液相Lの間で上下移動させることが可能である。支持棒7と支持棒挿通孔31bのシール部分は内部ガスが外部に流出しないよう良好にシールされている。蓋板31aには液面計32が取付けられ、液相Lの量が監視される。
【0045】洗浄容器31の底部には洗浄液である給水、例えば水道水を供給するための供給ラインWが接続されており、供給バルブ33を介して洗浄容器31に水道水が供給される。酸素計34は洗浄容器31と配管により外付けに接続される構造となっている。
【0046】この金属ナトリウムの洗浄装置30においては、洗浄容器31に貯留する不活性ガスおよび水素ガスによる洗浄容器31内の圧力上昇を防止するために圧力緩衝用のバッファタンク35を設けてある。バッファタンク35と洗浄容器31とは配管36によって接続され、配管36の途中には洗浄装置10の圧力上昇に備えて安全弁37と、洗浄容器31とバッファタンク35とを遮断するためのシャットバルブ38が設けられている。
【0047】金属ナトリウムの洗浄装置30では、洗浄容器31とバッファタンク35内の空気を排気するために排気ポンプ42が設けられている。排気ポンプ42とバッファタンク35とは配管43により接続されている。排気ポンプ42と洗浄容器31とは配管44を介して接続されており、洗浄容器31およびバッファタンク35を負圧、あるいは真空にすることが可能である。バッファタンク35には水素計45が付設されており、バッファタンク35内の水素濃度が測定される。
【0048】図5に示された金属ナトリウムの洗浄装置30では、金属ナトリウムの反応により発生する水素はバッファタンク35により十分希釈されるが、水素濃度が上昇した場合に備えて水素燃焼装置46が接続されており、バッファタンク35内の水素を燃焼処理して大気に開放する構成となっている。水素燃焼装置の下流側は大気開放端47となっており、水素の燃焼ガスは大気開放端47から大気開放される。バッファタンク35内のガスを直接大気開放する場合もこの大気開放端47から大気開放され、放出される。
【0049】本発明の第2の実施形態で金属ナトリウムの洗浄を行う手順を説明する。
【0050】まず洗浄容器31の内部を真空にするため洗浄容器31およびバッファタンク35を密閉する。このときガスボンベBのパージ用元バルブ48およびバブリング用元バルブ49は閉としてある。次に排気ポンプ元バルブ50を開として、排気ポンプ42で例えば内圧0.05kgf/cm(絶対圧)まで負圧となるように空気を排気する。排気後、排気ポンプ元バルブ50を閉とする。支持棒挿通孔31bの支持棒7とのシール部分は上記負圧時に空気の流入が起きないよう良好にシールされている。洗浄前の状態では被洗浄部材6は支持棒7により気相G位置に保持されている。
【0051】次にパージ用元バルブ48を開としてガスボンベBから不活性ガスを洗浄容器31に流入させると、洗浄容器31およびバッファタンク35には次第に不活性ガスが貯留され、洗浄容器31およびバッファタンク35の内圧は大気圧まで上昇する。洗浄容器31内の内圧が大気圧になったら、パージ用元バルブ48を閉じ、酸素計34によって酸素濃度を測定する。
【0052】この時の酸素濃度は、不活性ガスとしてアルゴンを使用した場合は例えば1%以下、不活性ガスとして窒素を使用した場合は例えば2%以下を目安とする。この酸素濃度限界は使用する各不活性ガスの爆発下限界濃度によって決定する。排気およびパージ作業中は、洗浄容器元バルブ51およびバッファタンク元バルブ52は常時開としていて良いが、どちらか一方のバルブを閉としてシャットバルブ38を閉じることにより、洗浄容器31あるいはバッファタンク35を単独で排気およびパージすることも可能である。
【0053】次に給水バルブ33を開として洗浄容器31内に水を給水する。このとき給水量は液面計32によって監視されている。被洗浄部材6を浸漬洗浄するのに十分な液量となったら給水バルブ33を閉とする。給水することにより洗浄容器31の内圧は上昇するので、大気開放端47を開として大気圧まで洗浄容器31内部ガスを放出する。
【0054】支持棒7により気相Gに保持されていた被洗浄部材6を支持棒7を押し下げることにより下方に移動させ、液相Lに一気に浸漬する。被洗浄部材6に付着した金属ナトリウムは水と反応し、水素と反応熱を発生する。この時水素の発生による洗浄容器31内の圧力上昇はバッファタンク35により緩衝される。
【0055】洗浄容器31内は十分に低い酸素濃度としてあるため水素の爆発の危険はないが、洗浄作業中にバブリング用元バルブ49を開として、第1の実施形態と同様にバブリングノズル32から気泡を放出することにより金属ナトリウムの反応による局部的な温度上昇を防止することができ、より安全性を向上させることができる。
【0056】この場合は、不活性ガスが洗浄容器31内に流入することにより、洗浄容器31およびバッファタンク35の圧力が上昇するので、大気開放端47を開放してバッファタンク35内のガスを大気放散する。水素濃度は水素計45により監視されているが、水素濃度が数%、例えば4%以上となった場合は、安全のため水素燃焼装置46によって水素の燃焼処理を行って大気開放端47から大気放散する。
【0057】なお第2の実施形態においては、使用する不活性ガスとして空気より重いガスに限定されないのでアルゴンガスの他、窒素ガスなどの使用が可能である。
【0058】次に本発明に係る金属ナトリウムの洗浄方法の他の実施形態について説明する。
【0059】図6および図7は金属ナトリウムの付着した複数の被洗浄部材を一度に洗浄処理するための洗浄装置の第3および第4の実施形態をそれぞれ示す説明図である。
【0060】図6に示す第3の実施形態においては、支持棒7に複数の被洗浄部材6を取付けて一度に洗浄する。また図7に示す第4の実施形態においては被洗浄部材6を多数収納可能な籠70を用意し、籠70をフックつき支持棒71によって吊るすことにより、一度に複数の被洗浄部材6の洗浄操作が可能である。第3および第4の実施形態ではその他の部分については第2の実施形態と変わらないので同じ番号を付して当該部分の構成、作用の説明を省略する。
【0061】次に本発明に係る金属ナトリウムの洗浄装置の第5の実施形態について図8を用いて説明する。なお、図8において図5、図7と同一部分には同一符号を付し、その部分の構成の説明は省略する。
【0062】第5の実施形態はフックつき支持棒71と被洗浄部材6とを振動させるための振動装置81および洗浄液を振動するための振動装置82とを備えたものである。
【0063】例えば被洗浄部材6が複雑な形状の部品である場合などでは、被洗浄部材6を水に浸漬しただけでは金属ナトリウムが付着した入り組んだ部分では水の流動が起こらない場合がある。この時、金属ナトリウムの接触面の水は、ほぼ飽和された水酸化ナトリウム水溶液となってそれ以上反応が進行しない。したがってこの場合、未反応の金属ナトリウムが残ることとなり、被洗浄部材6の洗浄作業が遅れるだけでなく、洗浄終了と誤解して被洗浄部材を引き上げたときなどに急に金属ナトリウムの反応が始まる可能性がある。
【0064】このような課題を回避するために、第5の実施形態においては、被洗浄部材6の洗浄作業中に金属ナトリウムの付着部分の水が良好に流動し、金属ナトリウムが残らず洗浄されるよう工夫したものである。
【0065】すなわち本実施形態においてはフックつき支持棒71に振動装置81を接続し、洗浄作業中に振動を与えることにより洗浄効果を高めたものである。また一方で洗浄容器31の底面に振動装置82を設置し、洗浄液を振動させることにより洗浄効果をさらに高めたものである。
【0066】振動装置81および82の種類としては超音波振動装置を好適に使用することができるが、超音波振動装置以外の振動装置を使用することもできる。また、図8には複数の被洗浄部材6を洗浄処理する方法として籠70とフックつき支持棒71を用いた例を示したが、第1および第2の実施形態に示すように単独の被洗浄部材6を洗浄する方法にも応用可能である。
【0067】
【発明の効果】以上説明の通り、本発明に係る金属ナトリウムの洗浄方法においては、金属ナトリウムの当量に対して十分大量の水中で洗浄作業を行うので、水が飽和の水酸化ナトリウム水溶液とならず、被洗浄部材のアルカリ腐食を防止しつつ、金属ナトリウムの洗浄を行うことができる。
【0068】また、本発明に係る金属ナトリウムの洗浄装置においては、金属ナトリウムが付着した被洗浄部材の洗浄を低濃度酸素の雰囲気下で行い、不活性ガスを洗浄容器の側壁付近にバブリングして金属ナトリウムが洗浄容器の側壁付近に付着することを防止することにより反応熱をさらに効率良く排除するため、金属ナトリウムと水との反応により発生する水素の爆発の危険がなく、安全に被洗浄部材の洗浄を行うことができる。
【0069】また洗浄容器を密閉し、バッファタンクと接続した構成としたものは、水素ガスをバッファタンクに導入することにより希釈し、必要に応じて水素燃焼装置により燃焼処理するので、より安全に被洗浄部材の洗浄ができる。
【0070】さらに被洗浄部材の支持棒に振動装置を設けたものは、被洗浄部材の洗浄中に振動を与えるため、複雑な形状の被洗浄部材でも金属ナトリウムの洗浄効果が高く、金属ナトリウムの洗浄残りによる爆発の危険を回避するのでより安全である。
【0071】一方、洗浄容器に振動装置を設けたものは、被洗浄部材の洗浄中に洗浄液を振動し、撹拌する効果を持ち、金属ナトリウムの付着部分の水が良好に流動し、金属ナトリウムの洗浄残りがなく、より確実に被洗浄部材の洗浄を行うことができる。




 

 


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