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発明の名称 使用済燃料からの中性子放出率評価方法及びプログラム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−98288(P2003−98288A)
公開日 平成15年4月3日(2003.4.3)
出願番号 特願2001−296172(P2001−296172)
出願日 平成13年9月27日(2001.9.27)
代理人 【識別番号】100087332
【弁理士】
【氏名又は名称】猪股 祥晃 (外2名)
【テーマコード(参考)】
2G075
【Fターム(参考)】
2G075 CA38 DA07 FA20 GA21 
発明者 安藤 良平 / 植田 精 / 吉岡 研一 / 菊池 司
要約 課題
使用済燃料からのCm244の中性子放出率を評価する。

解決手段
評価対象とする燃料集合体仕様1を基にして、原子炉の炉心に装荷して中性子照射により燃焼させる際の各データからの燃焼計算で得られる中性子放出核種Cm244の生成量を、Am243、又はPu242、或いはAm243とPu242の中性子捕獲断面積を中性子スペクトル計算コード2と核データライブラリ3を組み合わせた燃焼計算で調整して、実際に生成する生成量とほぼ一致させる。これにより、中性子増倍特性に殆ど影響しないで、実際に生成する中性子放出率(測定値)Eとほぼ一致させることができ、Cm244に基づく中性子放出率の計算精度8を高め、Cm244の中性子放出率評価9を行うことができる。
特許請求の範囲
【請求項1】 ウラン燃料、又はウランとプルトニウムの混合燃料を含む評価対象とする燃料集合体を原子炉の炉心に装荷して中性子照射により燃焼させる際の燃焼計算で得られる中性子放出核種Cm244の生成量を評価する使用済燃料からの中性子放出率評価方法において、中性子スペクトル計算コードと核データライブラリを組み合わせた燃焼計算の段階でAm243、又はPu242、或いはAm243及びPu242の中性子捕獲断面積を調整することによって、実際に生成するCm244の生成量とほぼ一致させることを特徴とする使用済燃料からの中性子放出率評価方法。
【請求項2】 ウラン燃料、又はウランとプルトニウムの混合燃料を含む評価対象とする燃料集合体を原子炉の炉心に装荷して中性子照射により燃焼させる際の燃焼計算で得られる中性子放出核種Cm244の生成量を評価する使用済燃料からの中性子放出率評価方法において、中性子スペクトル計算コードと核データライブラリを組み合わせた燃焼計算の段階でAm243、又はPu242、或いはAm243及びPu242の中性子吸収断面積を一定とし、中性子捕獲断面積を調整することによって、実際に生成するCm244の生成量とほぼ一致させることを特徴とする使用済燃料からの中性子放出率評価方法。
【請求項3】 ウラン燃料、又はウランとプルトニウムの混合燃料を含む評価対象とする燃料集合体を原子炉の炉心に装荷して中性子照射により燃焼させる際の燃焼計算で得られる中性子放出核種Cm244の生成量を評価する使用済燃料からの中性子放出率評価方法において、中性子スペクトル計算コードと核データライブラリを組み合わせた燃焼計算の段階でAm243、又はPu242、或いはAm及びPu242の中性子捕獲断面積を燃焼度依存量として調整することによって、実際に生成するCm244の生成量とほぼ一致させることを特徴とする使用済燃料からの中性子放出率評価方法。
【請求項4】 評価対象とする燃料集合体仕様の燃焼計算データに基づいて中性子スペクトル計算コードにより評価対象燃料における中性子スペクトルを評価する第1ステップと、この第1ステップの中性子スペクトル計算コードに核データライブラリを組み合わせてアクチノイド核種の中性子断面積の1群化反応断面積ライブラリを作成する第2ステップと、この第2ステップで作成した1群化反応断面積ライブラリから核種生成消滅計算コードを作成する第3ステップと、この第3ステップで作成した核種生成消滅計算コードに基づき中性子放出率の計算値を算出し実測した測定値の中性子放出率と比較して計算精度を求め、Cm244の中性子放出率を評価する第4ステップとを具備したことを特徴とする使用済燃料からの中性子放出率評価方法。
【請求項5】 前記第4ステップにおける計算精度評価値を、予めCm244の生成量及び中性子源強度の測定値と計算値が合うように設定されている補正データテーブルに入力する第5ステップを具備したことを特徴とする請求項4記載の使用済燃料からの中性子放出率評価方法。
【請求項6】 前記補正データテーブルに補正因子を加えてAm243,又はPu242、或いはAm243とPu242の反応断面積を改訂して作成した補正後の1群化反応断面積ライブラリを前記第3ステップで作成される核種生成消滅計算コードにフィードバックすることを特徴とする請求項5記載の使用済燃料からの中性子放出率評価方法。
【請求項7】 コンピュータに、評価対象とする燃料集合体の仕様を基に作成した使用済燃料の燃焼計算データに基づいて中性子スペクトル計算コードにより評価対象燃料における中性子スペクトルを評価する第1ステップと、この第1ステップの中性子スペクトル計算コードに核データライブラリを組み合わせてアクチノイド核種の中性子反応断面積の1群化反応断面積を作成する第2ステップと、この第2ステップで作成した1群化反応断面積から核種生成消滅計算コードを作成する第3ステップと、この第3ステップで作成した核種生成消滅計算コードに基づき中性子放出率の計算値を算出し、実測した測定値の中性子放出率と比較して計算精度を求め、Cm244の中性子放出率を評価する第4ステップと、を実行させるためのプログラム。
【請求項8】 コンピュータに、前記第4ステップにおける計算精度評価値を、予めCm244の生成量及び中性子源強度の測定値と計算値が合うように設定されている補正データテーブルに入力する第5ステップを実行させるための請求項7記載のプログラム。
【請求項9】 コンピュータに、前記補正データテーブルに補正因子を加えてAm243,又はPu242、或いはAm243とPu242の断面積を改訂して作成した補正後の1群化反応断面積ライブラリを前記第3ステップで作成した核種生成消滅計算コードにフィードバックする請求項7記載のプログラム。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウラン燃料、又はウランとプルトニウムの混合燃料を含む燃料集合体を原子炉の炉心に装荷して中性子照射により燃焼させる際の燃焼計算で得られる使用済燃料からの中性子放出率の評価方法及びかかる評価をコンピュータに実現させるためのプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】ウラン(U)燃料、又はウラン(U)とプルトニウム(Pu)の混合燃料(U・Pu燃料)を含む燃料集合体を原子炉の炉心に装荷して中性子照射により燃焼させると、Cm242、Cm244などの中性子放出核種が生成し、原子炉から取り出された使用済燃料からは主としてこれらに基づく中性子が放出される。
【0003】Cm242は半減期が比較的短い(163日)ため、1.5〜3年程度冷却すればCm242に基づく中性子はほぼ無視できるようになるが、Cm244は半減期が長い(18年)ため、あまり減衰せず、したがって2〜3年以上冷却した使用済燃料からの中性子放出率は殆どCm244に支配されることになる。
【0004】ところで、使用済燃料は2〜5年程度原子力発電所で冷却された後、再処理されるか、又は中間的に貯蔵される。いずれにしても使用済燃料は輸送容器(キャスク)に収納して輸送しなければならない。その際、輸送容器の設計上、中性子遮蔽問題、すなわち輸送容器によって使用済燃料から発生する中性子を十分遮蔽できていることの確認が重要となることが多いため、特にCm244からの中性子放出率を正しく評価しなければならない。しかしながら、正しい評価は容易ではない。
【0005】本発明者らは1975年頃から世界に先駆けて実際に使用済燃料からの中性子放出率の測定を行い、理論計算と比較する研究を行ってきた。研究の一端は Journalof Nuclear Science and Technology, vol.18,p.249(1981) “Measurements and Analysis of Neutron Emission Rate for Irradiated BWR Fuel” などに報告した。当時Cm244からの中性子放出率測定値はウラン燃料において理論計算と30〜40%の開きがあった。
【0006】その後、計算に用いる多くの核種の断面積や崩壊スキームの改良が世界的に積極的に行われてきたが、改良は総合的に行われ、特にU235、U238、Pu239、Pu240、Pu241と核分裂生成物(FP)の核種に焦点が当てられてきたため、Cm244に基づく中性子発生率の評価に著しい改良は見られず、現在でも計算値と測定値を安定的に20%以内に収めることは容易でない。
【0007】最近の研究“JAERI‐Tech2000‐71「軽水炉使用済燃料の燃焼度クレジットに関する技術開発」(2000年10月) ”では、最新の計算コードと核データを組み合わせた燃焼計算による軽水炉で照射された核種組成評価でもCm244生成量は、20〜40%過小評価している。
【0008】また、S.Catalau and A.Benslimimane “Qualification of JEF-2.2 CaptureCross Sections for Heavy Nuclides and Fission Products in Thermal and Epi-thermal Spectra” Global95 pp.1537-1544 (1995)では、最新の核データにおけるアクチノイド核種の捕獲断面積には、かなり大きな誤差があることが指摘されている。
【0009】近年プルトニウムをウランに添加した混合酸化物燃料(MOX)の実用化が進行中であり、使用済MOX燃料の中性子放出率はウラン燃料の場合より5〜10倍高くなることが分かっており、中性子放出率の評価精度の確保は一段と重要になってきている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前述した技術背景のもとになされたもので、計算に用いる多くの核種の断面積や崩壊スキームの改良が総合的に行われてきた成果を損うことなく、Cm244に基づく中性子発生率の計算による評価値を安定的に容易に測定値に近付け、計算精度を高めることができる使用済燃料からの中性子放出率評価方法、及びその評価方法を取り込み、記憶しプログラム化して評価作業を容易にした中性子放出率評価プログラムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、ウラン燃料、又はウランとプルトニウムの混合燃料を含む評価対象とする燃料集合体を原子炉の炉心に装荷して中性子照射により燃焼させる際の燃焼計算で得られる中性子放出核種Cm244の生成量を評価する使用済燃料からの中性子放出率評価方法において、中性子スペクトル計算コードと核データライブラリを組み合わせた燃焼計算の段階でAm243、又はPu242、或いはAm243及びPu242の中性子捕獲断面積を調整することによって、実際に生成するCm244の生成量とほぼ一致させることを特徴とする。
【0012】この発明によれば、使用済燃料に対して計算を行ってCm244の中性子放出率の計算値を求め、この計算値が測定値と一致するようにAm243,Pu242又はAm243とPu242の中性子捕獲断面積を変える調整を行う。この調整によって、補正済捕獲断面積を求め、この補正済捕獲断面積を用いて燃料の燃焼計算で得られる中性子増倍特性に殆ど影響を与えないで、測定した使用済燃料以外の使用済燃料に蓄積しているCm244の中性子放出率を求めることができる。
【0013】すなわち、計算に用いる多くの核種の断面積や崩壊スキームの改良が世界的に総合的に行われてきた成果を損うことなく、Cm244に基づく中性子放出率の計算による評価値を、安定的に容易に測定値に近付けることができる。
【0014】また、Am243やPu242は原子炉の核計算では反応度や中性子スペクトル計算に殆ど影響を与えないため、総合的に行われてきた改良の成果を損う恐れがなく、Cm244に基づく中性子発生率の計算精度を高めることができる。
【0015】請求項2に係る発明は、ウラン燃料、又はウランとプルトニウムの混合燃料を含む評価対象とする燃料集合体を原子炉の炉心に装荷して中性子照射により燃焼させる際の燃焼計算で得られる中性子放出核種Cm244の生成量を評価する使用済燃料からの中性子放出率評価方法において、中性子スペクトル計算コードと核データライブラリを組み合わせた燃焼計算の段階でAm243、又はPu242、或いはAm243及びPu242の中性子吸収断面積を一定とし、中性子捕獲断面積を調整することによって、実際に生成するCm244の生成量とほぼ一致させることを特徴とする。
【0016】中性子吸収断面積は主として核分裂断面積と中性子捕獲断面積の和で表される。炉心設計上問題となる中性子増倍率は中性子吸収断面積と密接な関係がある。一方、中性子放出率は核分裂断面積よりも中性子捕獲断面積と密接な関係がある。したがって、中性子吸収断面積に影響を与えることなく中性子放出率を変える方法が請求項2に係る発明である。
【0017】この発明によれば、中性子放出核種Cm244の生成量を、Am243、Pu242又はAmとPu242の中性子吸収断面積を一定とし、中性子捕獲断面積を調整することによって、計算で得られる中性子増倍特性に殆ど影響を与えないで、実際に生成する生成量とほぼ一致させることができる。また、中性子吸収断面積を保持するため、中性子スペクトル計算コードに与える影響を低減することができる。
【0018】請求項3に係る発明は、ウラン燃料、又はウランとプルトニウムの混合燃料を含む評価対象とする燃料集合体を原子炉の炉心に装荷して中性子照射により燃焼させる際の燃焼計算で得られる中性子放出核種Cm244の生成量を評価する使用済燃料からの中性子放出率評価方法において、中性子スペクトル計算コードと核データライブラリを組み合わせた燃焼計算の段階でAm243、又はPu242、或いはAm及びPu242の中性子捕獲断面積を燃焼度依存量として調整することによって、実際に生成するCm244の生成量とほぼ一致させることを特徴とする。
【0019】中性子捕獲断面積は一般には燃焼度の影響を受け燃焼度とともに変化する。なお、その影響が小さい場合、中性子放出率評価上は燃焼中の中性子捕獲断面積をほぼ一定にすることができる。この発明によれば、前記影響が小さくない場合に対処することができる。
【0020】請求項4に係る発明は、評価対象とする燃料集合体仕様の燃焼計算データに基づいて中性子スペクトル計算コードにより評価対象燃料における中性子スペクトルを評価する第1ステップと、この第1ステップの中性子スペクトル計算コードに核データライブラリを組み合わせてアクチノイド核種の中性子断面積の1群化反応断面積ライブラリを作成する第2ステップと、この第2ステップで作成した1群化反応断面積ライブラリから核種生成消滅計算コードを作成する第3ステップと、この第3ステップで作成した核種生成消滅計算コードに基づき中性子放出率の計算値(C)を算出し実測した測定値(E)の中性子放出率と比較して計算精度(C/E)を求め、Cm244の中性子放出率を評価する第4ステップとを具備したことを特徴とする。
【0021】この発明によれば、第1ステップで燃料集合体仕様および照射履歴データを用いて、評価対象燃料における中性子スペクトルを評価し、1点燃焼計算コードで用いる1群化反応断面積を評価することができる。
【0022】第2ステップで、中性子スペクトル計算コードと多群中性子反応断面積を組み合わせてアクチノイド核種の中性子断面積の1群化反応断面積を求めることができる。
【0023】第3ステップで、第2ステップ後の燃焼度依存性を考慮する核種生成消滅計算コードを用いて核種生成量を求めることができる。第4ステップで、中性子放出率の計算値と中性子放出率の実測した測定値と対比して計算精度を求め、Cm244の中性子放出率を評価できる。
【0024】請求項5に係る発明は、前記第4ステップにおける計算精度評価値を、予めCm244の生成量及び中性子源強度の測定値と計算値が合うように設定されている補正データテーブルに入力する第5ステップを具備したことを特徴とする。
【0025】この発明によれば、第4ステップでの計算精度を入力することによりCm244の生成量および中性子源強度の測定値と計算値が合致するように設定することができる。
【0026】請求項6に係る発明は、前記補正データテーブルに補正因子を加えてAm243,又はPu242、或いはAm243とPu242の反応断面積を改訂して作成した補正後の1群化反応断面積ライブラリを前記第3ステップで作成される核種生成消滅計算コードにフィードバックすることを特徴とする。
【0027】この発明によれば、補正データテーブルに補正因子を加えて改訂したAm243,Pu242又はAm243とPu242の中性子捕獲断面積を第3ステップに入力することにより、燃料の燃焼計算で得られる中性子増倍特性に殆ど影響を与えないで、繰り返しCm244の中性子放出率を求めることができる。
【0028】請求項7に係る発明は、コンピュータに、評価対象とする燃料集合体の仕様を基に作成した使用済燃料の燃焼計算データに基づいて中性子スペクトル計算コードにより評価対象燃料における中性子スペクトルを評価する第1ステップと、この第1ステップの中性子スペクトル計算コードに核データライブラリを組み合わせてアクチノイド核種の中性子反応断面積の1群化反応断面積を作成する第2ステップと、この第2ステップで作成した1群化反応断面積から核種生成消滅計算コードを作成する第3ステップと、この第3ステップで作成した核種生成消滅計算コードに基づき中性子放出率の計算値を算出し、実測した測定値の中性子放出率と比較して計算精度を求め、Cm244の中性子放出率を評価する第4ステップと、を実行させることを特徴とする。
【0029】この発明によれば、燃料集合体仕様、第1ステップの中性子スペクトル計算コード、核データライブラリ、第2ステップの1群化反応断面積ライブラリ、第3ステップの核種生成消滅計算コード及び第4ステップの計算精度を記憶してプログラム化することにより、Cm244の生成量の評価作業が容易となる。
【0030】また、多数の測定値を蓄積し記憶してプログラム化することによって、広い範囲で核データに対する正しい補正データベースが構築できるので、測定値がない領域に対して高精度で中性子放出率を予測する方法を記憶してプログラム化できる。
【0031】請求項8に係る発明は、コンピュータに、前記第4ステップにおける計算精度評価値を、予めCm244の生成量及び中性子源強度の測定値と計算値が合うように設定されている補正データテーブルに入力する第5ステップを実行させるためことを特徴とする。
【0032】この発明によれば、第4ステップでの計算精度を入力することによりCm244の生成量および中性子源強度の測定値と計算値が合致するように設定する方法を記憶してプログラム化できる。
【0033】請求項9に係る発明は、コンピュータに、前記補正データテーブルに補正因子を加えてAm243,又はPu242、或いはAm243とPu242の断面積を改訂して作成した補正後の1群化反応断面積ライブラリを前記第3ステップで作成した核種生成消滅計算コードにフィードバックすることを特徴とする。
【0034】この発明によれば、補正データテーブルに補正因子を加えてAm243,又はPu242、或いはAm243とPu242の反応断面積を改訂して作成した補正後の1群化反応断面積ライブラリを第3ステップの核種生成消滅計算コードにフィードバックして入力する。これにより、燃料の燃焼計算で得られる中性子増倍特性に殆ど影響を与えないで、繰り返しCm244の中性子放出率を求める方法を記憶してプログラム化できる。
【0035】
【発明の実施の形態】ウラン燃料、又はウランとプルトニウム混合燃料におけるアクチノイド核種の燃焼チェーンを図1に示す。図1中に太線で示した過程は、中性子放出核種Cm244の生成に特に重要な過程である。輸送及び再処理施設でモニタリングする取出後数10年以内の使用済燃料からの中性子源強度を評価する際には、Cm244の生成量を精度良く評価することが重要であることがこれらの図からわかる。
【0036】図1に太線で示した過程のうち、半減期の短い核種の中性子吸収断面積は、調整してもCm244生成量には、影響を殆ど与えない。一方、中性子放出率は中性子吸収断面積のうち中性子捕獲断面積と密接な関係がある。
【0037】そこで、請求項1ないし3に係る発明の実施の形態においては、Pu241以下の核種の生成量に影響を与えることなく、Cm244の生成量を評価するにあたり、後述する図6に示す中性子スペクトル計算コード2と核データライブラリ3を組み合わせた燃焼計算の段階で、Am243、又はPu242、或いはAm243及びPu242の中性子捕獲断面積を調整する。これにより、この調整を行う計算により得られるCm244の評価生成量を、実際に生成するCm244の生成量とほぼ一致させることができる。
【0038】なお、U235からPu241までの組成データは、従来の核設計や臨界安全評価に大きな影響を与える重要なデータであるため、これらの核種組成量評価に影響を与える中性子捕獲断面積の調整は行わない。
【0039】沸騰水型原子炉(BWR)の使用済燃料における中性子源強度を図2及び図3に示す。図2は使用済UO2燃料における中性子源成分の比較図であり、図3は使用済MOX燃料における中性子源成分の比較図である。
【0040】UO2燃料およびMOX燃料における組成は典型的な場合で想定し、UO2燃料についてはU235濃縮度約3wt%、MOX燃料についてはPu富化度約4wt%(Puf割合約68%)とした。
【0041】図2及び図3から明らかなように、使用済燃料からの中性子源強度の評価精度を上げるためには、Cm244の生成量の評価精度を上げることが有効なことがわかる。
【0042】図1に示したPu241以降の核種で半減期が長いPu及びAm同位体として、Pu242(半減期:3.733×105年)、Am241(半減期:432.2年)、Am242m(半減期:141年)、Am243(半減期:7370年)の4核種の捕獲断面積を10%増加した場合のCm244生成量の変化を燃焼計算で評価した。
【0043】図4はUO2燃料でアクチノイド捕獲断面積を10%増加させた場合のCm244生成量の相対変化図で、図5は同じくMOX燃料についての図である。
【0044】図4及び図5は、図1に示した太線の過程がCm244生成に特に重要なことを示している。本発明に係る実施の形態において、Pu242及びAm243の捕獲断面積を燃焼中一定量を変化した場合の効果を説明する。
【0045】図4及び図5は、Pu242又はAm243の捕獲断面積を10%増加すると、Cm244生成量はUO2燃料の場合は、各々8〜10%、7〜10%、MOX燃料の場合は各々8〜10%、6〜10%増加できることを示しており、最新の研究で見られているCm244生成量が20〜40%している事象は、Pu242又はAm243、或いはPu242とAm243の補正断面積を20〜50%程度増加すれば、解消できることを示している。Cm244生成量の評価誤差に燃焼度依存性がある場合の精度を改善するためには、断面積調整率に燃焼度依存性を取り入れることにより解決できる。
【0046】つぎに図6により本発明に係る使用済燃料からの中性子放出率評価方法とその方法をプログラムに記憶するプログラムの具体的な実施の形態を説明する。すなわち、図6に示したように本実施の形態では、測定値がない場合の対応として、評価対象とする燃料集合体仕様1の燃焼計算データに基づいて、第1ステップで燃料核設計コードとして用いられている中性子スペクトル計算コード2の格子計算コードで多群中性子スペクトルを評価する。
【0047】すなわち、中性子スペクトル計算コード2は燃料集合体仕様1における燃焼計算データの幾何形状データ、燃料と減速材の組成及び温度並びに照射履歴データを用いて、評価対象燃料における中性子スペクトルを評価し、1点燃焼計算コードで用いる1群化反応断面積を評価する。
【0048】ここで、中性子スペクトル計算コードとは、後述する核データライブラリを使って、与えられた計算条件(幾何形状、燃料及び減速材の組成と温度、照射履歴)で計算体系の中性子束のエネルギー及び空間分布を評価することができる計算コードである。
【0049】格子計算コードとは、格子状に配列された燃料集合体体系に適用できる中性子スペクトル計算コードで、燃料集合体の核設計に用いられる計算コードで、前者の一部に含まれる。
【0050】つぎに、第2ステップにおいては、核データライブラリ3に登録されている多群中性子反応断面積を組み合わせて中性子放出率を評価する上で重要となるアクチノイド核種の中性子断面積の1群化反応断面積を(1)式で求める。
【0051】ここで、核データライブラリとは、燃焼計算で扱う核種について各種の中性子反応断面積を中性子スペクトル計算で使用できるように、中性子スペクトル計算コードで設定されているエネルギー群構造で処理し、燃焼計算で核特性を評価するために必要な情報をライブラリ化したものである。
【0052】多群中性子反応断面積とは、核データの評価対象となっている中性子エネルギー上限(例えば、20MeV)までを数十〜数百に分割して処理した中性子反応断面積である。
【0053】1群化反応断面積ライブラリとは、中性子スペクトル計算コードによる燃焼計算で得られた中性子束と原子数密度を組み合わせて、多群反応断面積と1群化反応断面積を使った場合で反応率が保存されるように、1群化した断面積をライブラリ化したものである。なお、1群化反応断面積のうち、核的に重要な核種及び反応については燃焼度の関数として作成される。
【0054】
【数1】

【0055】つぎに、第3ステップにおいては、中性子スペクトル計算コード2の格子計算コードで求めた1群化反応断面積をライブラリ4化したものを利用して、核種生成消滅計算コード5により後述する計算評価を行う。
【0056】ここで、核種生成消滅計算コードとは、1群化反応断面積ライブラリ4を使って、燃焼中に生じる生成消滅過程をすべて考慮して核種の燃焼方程式を解き、核種の原子数密度・放射化量・発熱量・中性子源強度等の特性を評価する計算コードであって、ORIGENコードはその代表例である。
【0057】第3ステップにおいては中性子源強度12を求めることができる。中性子反応断面積は、一般に燃焼と共に変化するが、核特性評価上反応断面積の燃焼度依存性を考慮しなければならないものは限定されているため、第2ステップでの1群化反応断面積ライブラリ4は、代表的な燃焼度で作成し、燃焼度依存性を考慮すべき核種反応断面積は、燃焼度の関数として評価して第3ステップでの核種生成消滅計算コード5で利用する。
【0058】核種生成消滅計算コード5で解く方程式は、(2)式で表される。
dNi(t)/dt=Σλm→i(t)+ΣY(t)σφ〈t〉 +N(t)σk→i(t)φ(t)
+Ni(t){Σλm→i+(σ+σn,2n)φ(t)} …(2)ここで、Ni(t):核種iの時刻tにおける原子数密度λm→i:核種mの核種iへの崩壊定数Y:核種jによる核種iの核分裂収率σ:核種jの核分裂断面積σ:核種jの吸収断面積σn,2n:核種jの(n,2n)断面積φ〈t〉:時刻tにおける中性子束【0059】核種生成消滅計算コード5として、例えばORIGEN2(A.G.Croff, “ORIGEN2 - A Versatile Computer Code for Calculating the Nuclide Compositions and Characteristics of Nuclear Materials, “Nucl. Technol., Vol. 62 pp.335-352, September 1983.)を用いると、燃料からの中性子放出率(C)6を求めることができる。この計算により求められた中性子放出率(C)を第4ステップにおいて、中性子放出率測定値(E)7と比較することにより、計算精度(C/E)8が得られる。
【0060】第4ステップでは、請求項1ないし3に係る発明の実施の形態として上述した、中性子スペクトル計算コード2と核データライブラリ3を組み合わせた燃焼計算の段階で、Am243又はPu242、或いはAm243とPu242の中性子捕獲断面積を調整することで反応断面積を補正した場合の中性子放出率の変化を予め補正データテーブル10にまとめておく。そして、計算精度(C/E)8が1となるような補正をすることにより、高い精度でCm244の中性子放出率評価9を行うことができる。
【0061】中性子放出率(測定値E)7の測定は、燃料棒から発生する中性子をBF3検出器で測定(検出器内で生じる(n,α)反応を電気信号に変換)し、標準線源との比較から絶対強度を決めている。また、金箔を中性子に照射し、放射化率を測定することによっても、線源強度を求めることができる。
【0062】第4ステップでの計算値を第5ステップの補正データテーブル10に入力するが、補正データテーブル10には予めの検討でどの核種のどの断面積を変えれば中性子放出率が変わるかという情報が登録されている。つまり、補正データテーブル10にはCm244の生成量及び中性子源強度の測定値及び計算値が合うように予め設定されている。
【0063】したがって、C/E:計算精度の補正と、請求項1ないし3に係る発明の実施の形態とを組み合わせて実施することができるようにするため、C/E:計算精度を補正データテーブル10に送ることが必要となる。
【0064】そして、補正データテーブル10の補正因子を加えてAm243,Pu242又はAm243とPu242の断面積を改訂し、補正後の1群化反応断面積ライブラリ11としてAm243、Pu242、又はAm243とPu242の補正済捕獲断面積を核種生成消滅計算コード5にフィードバックして入力する。
【0065】ここで、補正後の1群化反応断面積ライブラリとは、核種生成消滅計算コードで用いる1群化反応断面積ライブラリに格納された中性子断面積の一部を所定量修正して、ライブラリ化したものである。
【0066】補正因子とは、補正後の1群化反応断面積ライブラリを作成する際に用いる補正因子で、これは核種生成消滅計算コードを使って得られるCm244生成量の計算誤差が生じないようにするために用いられる。この補正因子は、Cm244生成量の測定値と計算値を種々の照射履歴(燃焼度・ボイド率)についてデータベース化しておく。
【0067】本実施の形態によれば、多数の測定値に適用することによって、広い範囲で核データに対する正しい補正データベースが構築できるので、測定値がない領域に対して高精度で中性子放出率を予測することができ、また、プログラム化して記憶できる。
【0068】以上説明した各実施の形態における中性子放出率の評価に関する各ステップの処理を、コンピュータで実行可能なプログラムで実現し、またこのプログラムをコンピュータで読取り可能な記憶媒体に格納されたものとして実現することも可能である。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、中性子放出率の評価に用いられる燃焼計算により求められるCm244の生成量を燃焼計算で得られる中性子増倍特性に殆ど影響を与えないで、実際に生成する生成量とほぼ一致させることができる。そして、計算に用いる多くの核種の断面積や崩壊スキームの改良が世界的に総合的に行われてきた成果を損うことなく、Cm244に基づく中性子発生率の計算による評価値を安定的に容易に測定値に近付けることができる。
【0070】また、Am243やPu242は原子炉の核特性計算では反応度や中性子スペクトル計算に殆ど影響を与えないため、総合的に行われてきた改良の成果を損う恐れがなく、Cm244に基づく中性子発生率の計算精度を高めることができる。さらに、本発明の実施の形態における各種データ、コード及びライブラリを記憶し、プログラム化することによって、使用済燃料からの中性子放出率の評価作業が容易となる。




 

 


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