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発明の名称 原子炉構造物の補修方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−66183(P2003−66183A)
公開日 平成15年3月5日(2003.3.5)
出願番号 特願2001−258892(P2001−258892)
出願日 平成13年8月29日(2001.8.29)
代理人 【識別番号】100087332
【弁理士】
【氏名又は名称】猪股 祥晃 (外2名)
発明者 川野 昌平 / 坂本 博司
要約 課題
中性子照射を受けた原子炉構造物に対して継手強度を満足する補修溶接を行うことができ、原子炉の長寿命化や予防保全に有効で、しかも原子炉の信頼性が向上する原子炉構造物の補修方法を提供する。

解決手段
ステンレス鋼、Ni基合金または低合金鋼のいずれかの材料9を含み、その材料部分が中性子照射を受けて複数の粒界ヘリウム気泡14を含有する原子炉構造物に対し、前記材料部分のうちのき裂状の欠陥10の発生している部分または中性子照射により材質が劣化した部分を溶接12によって補修する原子炉構造物の補修方法において、溶接金属近傍の粒界ヘリウム気泡の直径dと、その粒界ヘリウム気泡とこれに隣接する粒界ヘリウム気泡との間の中心間距離sとの比d/sが、予め定めた値(例えば0.9)以下となるように溶接入熱量を制御して溶接する溶接工程を含む。
特許請求の範囲
【請求項1】 ステンレス鋼、Ni基合金または低合金鋼のいずれかの材料を含み、その材料部分が中性子照射を受けて複数の粒界ヘリウム気泡を含有する原子炉構造物に対し、前記材料部分のき裂状の欠陥の発生している部分または中性子照射により材質が劣化した部分を溶接によって補修する原子炉構造物の補修方法において、溶接金属近傍の前記粒界ヘリウム気泡の直径と、その粒界ヘリウム気泡とこれに隣接する粒界ヘリウム気泡との間の中心間距離との比が、予め定めた値以下となるように溶接入熱量を制御して溶接する溶接工程を含むこと、を特徴とする原子炉構造物の補修方法。
【請求項2】 請求項1に記載の原子炉構造物の補修方法において、前記予め定めた値が0.9であること、を特徴とする原子炉構造物の補修方法。
【請求項3】 請求項1または2に記載の原子炉構造物の補修方法において、前記き裂状の欠陥の発生している部分または中性子照射により材質が劣化した部分を含む領域を切削または放電加工で除去する除去工程をさらに有し、前記溶接工程は、前記除去工程の後に、肉盛溶接によって除去部を充填する充填工程を含むこと、を特徴とする原子炉構造物の補修方法。
【請求項4】 請求項3に記載の原子炉構造物の補修方法において、前記溶接工程は、前記除去工程の後に、新たな部材を溶接により接合する工程を含むこと、を特徴とする原子炉構造物の補修方法。
【請求項5】 請求項1または2に記載の原子炉構造物の補修方法において、前記溶接工程は、前記き裂状の欠陥の発生している部分または中性子照射により材質が劣化した部分を含む領域に対して、溶融層を複数回ラップさせて、表面を該溶融層で被覆する被覆工程を含むこと、を特徴とする原子炉構造物の補修方法。
【請求項6】 請求項1または2に記載の原子炉構造物の補修方法において、前記溶接工程は、前記き裂状の欠陥の発生している部分または中性子照射により材質が劣化した部分を含む領域に対して、表面肉盛りを行う肉盛り工程を含むこと、を特徴とする原子炉構造物の補修方法。
【請求項7】 請求項1または2に記載の原子炉構造物の補修方法において、前記溶接工程は、前記き裂状の欠陥の発生している部分または中性子照射により材質が劣化した部分を含む領域を板材で被覆し、この板材の縁部を溶接する板材溶接工程を含むこと、を特徴とする原子炉構造物の補修方法。
【請求項8】 請求項1または2に記載の原子炉構造物の補修方法において、前記溶接工程は、前記溶接金属近傍の前記粒界ヘリウム気泡の直径と前記中心間距離との比が前記予め定めた値以下となるように、前記溶接入熱量のほかに、溶接金属断面積をも制御するものであること、を特徴とする原子炉構造物の補修方法。
【請求項9】 請求項8に記載の原子炉構造物の補修方法において、前記溶接工程は、前記溶接金属近傍の前記粒界ヘリウム気泡の直径と前記中心間距離との比が前記予め定めた値以下となるように、前記溶接入熱量および溶接金属断面積のほかに、断面溶融線長さをも制御するものであること、を特徴とする原子炉構造物の補修方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽水冷却型原子炉等の原子炉構造物の健全性を確保する中性子照射を受けた原子炉構造物の補修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】沸騰水型原子炉の構造を図8により概略的に説明する。すなわち、図8に示すように炉心1を内蔵する原子炉圧力容器2の内部には炉心シュラウド3、炉心支持板4、上部格子板5、ジェットポンプ6等が設置されている。これらの炉内構造物のうち、炉心シュラウド3、炉心支持板4、上部格子板5、ジェットポンプ6等はほとんどがステンレス鋼により形成されており、一部ディフューザ7、シュラウドサポートプレート8等においてはNi基合金が使用されている。
【0003】また、原子炉圧力容器2は低合金鋼により形成されており、原子炉圧力容器2内面には、ステンレス鋼またはNi基合金がバタリング溶接されている。一部の軽水型の原子力発電所では、原子炉炉内構造物を形成するステンレス鋼として炭素含有量の多いオーステナイト系ステンレス鋼が使用されている。
【0004】原子炉の建設時において、炭素含有量の多いオーステナイト系ステンレス鋼を溶接した場合には、その熱影響部にクロム炭化物の粒界析出が生じて材料が鋭敏化するため、材料中に高い引張応力が存在すると高温水中で応力腐食割れが生じる可能性がある。またNi基合金についてもステンレス鋼と同様の原理により応力腐食割れを生じ得ることが知られている。
【0005】一方、炉心シュラウド3、炉心支持板4、上部格子板5等の炉内構造物や原子炉圧力容器2は原子力発電所の稼働中に中性子照射を受ける。このため構造物材料には、延性の低下や照射誘起応力腐食割れの感受性増加といった材質の劣化が生じる。また中性子照射により、構造物を形成するステンレス鋼やNi基合金等の構成元素の核反応が生じ、ヘリウム等の気体成分が材料中にわずかに存在するようになる。
【0006】上述の材料中の気体成分は、溶接時に溶融金属近傍の結晶粒界に気泡を形成し、隣接する気泡同士がほぼ接触するまで成長することにより、粒界に沿った割れの原因となることが知られている。さらに、ヘリウム気泡が粒界に形成されることにより、補修部の溶接継手の引張強度や疲労強度を低下させる可能性がある。
【0007】したがって、原子力発電所の安全性や信頼性を向上させる目的で、中性子照射を受けた原子炉炉内構造物等を補修溶接する際には、溶接により生じるヘリウム気泡によって引き起こされる溶接割れの発生、ならびに溶接継手強度の低下を回避する工法を適用する必要がある。
【0008】中性子照射を受けた原子炉炉内構造物の溶接割れを防止する補修溶接方法としては、例えば溶接入熱量の低減により、ヘリウム気泡の成長を抑制し、溶接割れを防止する概念が、W.R.Kanne,Jr. et al.: Welding Journal, 67 (1988) p33.等に掲載されている。
【0009】特開平6−234070号公報には、中性子照射を受けて劣化したSUS304鋼製炉内構造物の全体あるいは所定部分を、融点を超えない指定温度に加熱し、冷却後、加熱領域を溶接することにより割れを回避する補修方法が開示されている。
【0010】特開平8−254595号公報には、不活性ガス原子を含む照射材に前熱処理を施して、ガス原子がバブル化するトラップサイト核を生成させた後、溶接することにより割れを回避する補修方法が開示されている。
【0011】特開平8−29580号公報には、中性子照射を受けて劣化した金属材料を、溶接前に熱処理してヘリウム等の不活性ガスを金属材料から放出させ、その後補修溶接を行うことにより割れを回避する方法が開示されている。
【0012】特開平6−289183号公報には、中性子照射を受けたき裂状欠陥の発生している構造物に対し、欠陥の発生している部分を含む領域に板材を被覆し、板材の縁部をスミ肉溶接する補修方法において、板材を被覆する前に構造物側を表面溶融処理し、その後に板材の縁部をスミ肉溶接することにより割れを回避する補修方法が開示されている。
【0013】特開平8−15481号公報には、高エネルギー粒子線照射を受けたき裂状欠陥の発生している構造物に対し、き裂状欠陥の発生部分を含む領域を除去した後、除去部表面に対し、点溶接を連続あるいは断続的に施し、各点溶接部をハーフラップさせて初層溶接部を形成させた後、2層以降の溶接を行うことにより割れを回避する補修方法が開示されている。
【0014】特開平6−289184号公報には、中性子照射を受けた原子炉内構造材料に対し、補修溶接部を取り囲む周囲を大気温度または炉内構造物の温度より低い温度に予め冷却させた後、もしくは冷却媒体で覆って冷却させて溶接することにより割れを回避する補修方法が開示されている。
【0015】特開平8−1344号公報には、高エネルギー粒子線照射を受けた欠陥の発生している原子炉内構造材に対して、欠陥発生部に板材を被覆し、板材表面より局所的に圧力を加えながら板材と構造材とを接合することにより割れを回避する補修方法が開示されている。
【0016】特開平8−57637号公報には、中性子照射を受けた部材に対して、溶接予定部近傍に降伏点以上の応力を加えて転位を増加させた後さらに加熱処理を行い、その後に溶接することにより割れを回避する補修方法が開示されている。
【0017】特開2000−230996号公報には、原子炉構造物のヘリウム含有量に応じて、溶接入熱量と溶接金属の断面形状とをそれぞれ特定の範囲に制御して溶接することにより割れを回避する補修方法が開示されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これらの補修方法はいずれも溶接割れの回避を考慮しており、割れのない溶接部に残留するヘリウム気泡が溶接継手強度に及ぼす影響を考慮していない。
【0019】本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、中性子照射を受けた原子炉構造物に対して継手強度を満足する補修溶接を行うことができ、原子炉の長寿命化や予防保全に有効で、しかも原子炉の信頼性が向上する原子炉構造物の補修方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1の発明は、ステンレス鋼、Ni基合金または低合金鋼のいずれかの材料を含み、その材料部分が中性子照射を受けて複数の粒界ヘリウム気泡を含有する原子炉構造物に対し、前記材料部分のうちのき裂状の欠陥の発生している部分または中性子照射により材質が劣化した部分を溶接によって補修する原子炉構造物の補修方法において、溶接金属近傍の前記粒界ヘリウム気泡の直径と、その粒界ヘリウム気泡とこれに隣接する粒界ヘリウム気泡との間の中心間距離との比が、予め定めた値以下となるように溶接入熱量を制御して溶接する溶接工程を含むこと、を特徴とする。
【0021】請求項1の発明によれば、中性子照射を受けた原子炉構造物に対して継手強度、伸び、疲労強度を満足する補修溶接を行うことができ、原子炉の長寿命化や予防保全に有効で、しかも原子炉の信頼性が向上する。
【0022】また、請求項2の発明は、請求項1に記載の原子炉構造物の補修方法において、前記予め定めた値が0.9であること、を特徴とする。請求項2の発明によれば、請求項1の発明の作用・効果が得られるほか、継手強度、伸び、疲労強度をさらに高めることができる。
【0023】また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載の原子炉構造物の補修方法において、前記き裂状の欠陥の発生している部分または中性子照射により材質が劣化した部分を含む領域を切削または放電加工で除去する除去工程をさらに有し、前記溶接工程は、前記除去工程の後に、肉盛溶接によって除去部を充填する充填工程を含むこと、を特徴とする。請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明の作用・効果が得られるほか、欠陥部または劣化部を除去するので、より完全な補修が可能である。
【0024】また、請求項4の発明は、請求項3に記載の原子炉構造物の補修方法において、前記溶接工程は、前記除去工程の後に、新たな部材を溶接により接合する工程を含むこと、を特徴とする。請求項4の発明によれば、請求項3の発明の作用・効果が得られるほか、新たな部材を溶接接合するので、より完全な補修が可能である。
【0025】また、請求項5の発明は、請求項1または2に記載の原子炉構造物の補修方法において、前記溶接工程は、前記き裂状の欠陥の発生している部分または中性子照射により材質が劣化した部分を含む領域に対して、溶融層を複数回ラップさせて、表面を該溶融層で被覆する被覆工程を含むこと、を特徴とする。請求項5の発明によれば、請求項1または2の発明の作用・効果が得られるほか、表面を溶融層で被覆することにより簡便に処理することができる。
【0026】また、請求項6の発明は、請求項1または2に記載の原子炉構造物の補修方法において、前記溶接工程は、前記き裂状の欠陥の発生している部分または中性子照射により材質が劣化した部分を含む領域に対して、表面肉盛りを行う肉盛り工程を含むこと、を特徴とする。請求項6の発明によれば、請求項1または2の発明の作用・効果が得られるほか、表面肉盛りにより簡便に処理することができる。
【0027】また、請求項7の発明は、請求項1または2に記載の原子炉構造物の補修方法において、前記溶接工程は、前記き裂状の欠陥の発生している部分または中性子照射により材質が劣化した部分を含む領域を板材で被覆し、この板材の縁部を溶接する板材溶接工程を含むこと、を特徴とする。請求項7の発明によれば、請求項1または2の発明の作用・効果が得られるほか、板材で被覆することにより簡便に処理することができる。
【0028】また、請求項8の発明は、請求項1または2に記載の原子炉構造物の補修方法において、前記溶接工程は、前記溶接金属近傍の前記粒界ヘリウム気泡の直径と前記中心間距離との比が前記予め定めた値以下となるように、前記溶接入熱量のほかに、溶接金属断面積をも制御するものであること、を特徴とする。請求項8の発明によれば、請求項1または2の発明の作用・効果が得られるほか、溶接金属断面積をも制御対象とするので、制御の幅をさらに広く取ることができる。
【0029】また、請求項9の発明は、請求項8に記載の原子炉構造物の補修方法において、前記溶接工程は、前記溶接金属近傍の前記粒界ヘリウム気泡の直径と前記中心間距離との比が前記予め定めた値以下となるように、前記溶接入熱量および溶接金属断面積のほかに、断面溶融線長さをも制御するものであること、を特徴とする。請求項9の発明によれば、請求項8の発明の作用・効果が得られるほか、断面溶融線の長さをも制御対象とするので、制御の幅をさらに広く取ることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】初めに図1ないし図4を参照しながら、本発明に係る原子炉構造物の補修方法の第1の実施の形態を説明する。図2は本発明の原子炉構造物の補修方法の各工程の一例を示すもので、中性子照射を受けた原子炉構造物の部材9にき裂状の欠陥10が発生した場合(図2(a))、欠陥10を含む領域を一点鎖線Xで示すように、切削もしくは放電加工で除去して除去部11を形成する(図2(b))。その後、肉盛溶接12により除去部11を充填する(図2(c)、(d))。
【0031】このとき、図1に示すように、溶接により粒界13上に生じるヘリウム気泡14の直径dと隣り合う気泡同士の中心間距離sとの比(d/s)を0.9以下となるように溶接入熱量を制御する。
【0032】ここで、上記ヘリウム気泡に関する寸法の限定理由について説明する。ヘリウムを含有するステンレス鋼を表1に示す条件で溶接試験を行ない、溶接継手部から引張型試験片を採取し、常温引張試験および常温疲労試験を実施した。このときの各溶接入熱量における、溶接金属近傍のヘリウム気泡の直径d、およびdと中心間距離sの比(d/s)を表2に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】常温引張試験の結果、図3に示すように、d/s=1.0となる条件(溶接入熱量5kJ/cm)で溶接した試験片は、バブル同士が接触して粒界割れが発生しており、溶接継手の伸びおよび強度が低い値を示した。一方、d/sを0.9以下となる条件(溶接入熱量1および2kJ/cm)で溶接した試験片は、SUS304母材と同等の十分な継手強度と伸びを示した。このように溶接により生じる粒界ヘリウム気泡は、溶接継手強度に影響を及ぼすことから、d/sを0.9以下と設定した。
【0036】図4には常温疲労試験結果を示す。d/s=1.0となる条件(溶接入熱量5kJ/cm)で溶接した試験片は、疲労強度の低下が見られたが、d/sを0.9以下となる条件(溶接入熱量2kJ/cm)で溶接した試験片は、SUS304母材と同様の疲労強度特性を示した。このように粒界ヘリウム気泡は、疲労強度にも影響を及ぼすことから、d/sを0.9以下と設定した。このように第1の実施の形態によると、溶接継手強度を満足する補修溶接が可能となる。
【0037】なお、溶接による粒界ヘリウム気泡の直径dと中心間距離sを計算し、溶接入熱量を設定する方法としては、S. Kawano. et al.: Journal of Nuclear Materials, 258-263 (1998) p2008. に記載されるように、溶接金属近傍の温度・応力履歴と補修部のヘリウム含有量とから、粒界ヘリウム気泡の直径dと中心間距離sを解析し、それらの比(d/s)を0.9以下となる溶接条件を設定する方法がある。
【0038】つぎに、図5(a)〜(d)により、本発明に係る原子炉構造物の補修方法の第2の実施の形態を説明する。図5(a)に示すように、中性子照射を受けた原子炉構造物の部材9にき裂状の欠陥10が発生した場合、欠陥10を含む領域を一点鎖線Yで示すように、切削もしくは放電加工で除去する。その後、図5(b)に示すように、新たな部材17を取り付けてV型開先18を形成する。
【0039】そしてその後、図5(c)、(d)に示すように、中性子照射を受けた部材9と新たな部材17との間を突合せ溶接により接合する。溶接方法としては、ヘリウム気泡の直径dと中心間距離sを図1と同様に制御する。
【0040】つぎに、図6により本発明に係る原子炉構造物の補修方法の第3の実施の形態を説明する。この実施の形態では、中性子照射を受けたき裂状の欠陥10を有する原子炉構造物の部材9に対して、溶融層19を繰り返しラップさせて欠陥10の表面を溶融層19で被覆する。溶融層を形成させる際の溶接入熱量は、第1の実施の形態(図1)の場合と同様に制御する。このとき、この実施の形態の変形例として、溶融層19を形成させる代わりに、例えば溶加棒を供給しながら部材9の表面を溶接し、肉盛溶接処理を行ってもよい(図示せず)。
【0041】つぎに、図7により本発明に係る原子炉構造物の補修方法の第4の実施の形態を説明する。この実施の形態では、中性子照射を受けたき裂状の欠陥10を有する原子炉構造物の部材9に対して欠陥10の発生している部分を含む領域に板材20を被覆し、板材の縁部を溶接金属21により溶接する。溶接方法としては、ヘリウム気泡の直径dと中心間距離sを第1の実施の形態(図1)の場合と同様に制御する。
【0042】これらの補修方法の熱エネルギー源としては、例えば、レーザ、TIGアーク、MIGアーク、プラズマアーク、摩擦圧接、通電加熱が挙げられる。なお、上記実施の形態の説明では、粒界ヘリウム気泡の直径dと隣り合うヘリウム気泡の中心間距離sを限定するパラメータとして溶接入熱量を選定したが、特開2000−230996号公報に記載されるように、溶接入熱量のみの限定では、溶接部の形状や溶接方法の違いにより溶接部近傍の温度・応力履歴が異なり、粒界ヘリウム気泡の成長挙動も異なる場合が考えられる。したがって、その他のパラメータとして(溶接入熱量および溶接金属断面積)、あるいは(溶接入熱量、溶接金属断面積および断面溶融線長さ)を選定してもよい。本補修方法は、沸騰水型原子炉のみでなく加圧水型原子炉や液体金属冷却型原子炉、核融合炉にも適用可能である。
【0043】
【発明の効果】上記したように、本発明によれば、中性子照射を受けた原子炉構造物に対して継手強度を満足する補修溶接が可能となるため、原子炉の長寿命化や予防保全に有効であり、原子炉の信頼性を向上させることができる。




 

 


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