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発明の名称 無線基地装置、端末動作切替制御方法および端末動作切替制御プログラム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−218768(P2003−218768A)
公開日 平成15年7月31日(2003.7.31)
出願番号 特願2002−11329(P2002−11329)
出願日 平成14年1月21日(2002.1.21)
代理人 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎 (外3名)
【テーマコード(参考)】
5K059
5K067
【Fターム(参考)】
5K059 CC03 CC04 DD02 
5K067 AA02 CC24 EE02 EE10 GG01 GG11 HH21 KK02 KK03
発明者 伊藤 忠芳 / 土居 義晴 / 中尾 正悟 / 宮田 健雄
要約 課題
電波環境が劣化した場合でも通話品質を維持できる無線基地装置、端末動作切替制御方法および端末動作切替制御プログラムを提供する。

解決手段
アダプティブアレイ基地局100は、ダイバーシチ端末200からの電波環境の劣化(フェージングの増大または弱電界化)が生じた場合には、ダイバーシチ端末200に対し、選択ダイバーシチ動作の実行を指示するメッセージを送信する。それ以外の場合は、受信アンテナを送信アンテナに固定するよう指示するメッセージを送信する。これにより、劣化した電波環境において端末の選択ダイバーシチ動作により、良好な通話品質を保持することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】 選択ダイバーシチ動作可能な移動端末装置と通信することができる無線基地装置であって、前記移動端末装置から受信した信号にアダプティブアレイ処理を施すことにより、前記移動端末装置に対する送信指向性を形成する送信指向性形成手段と、前記移動端末装置から受信した信号の電波環境を表わすパラメータが所定のしきい値レベルを超えて劣化したか否かを判定する電波環境判定手段と、前記電波環境判定手段により前記受信信号の電波環境を表わすパラメータが前記しきい値レベルを超えて劣化したことが判定された場合に、前記移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作への切替を指示する信号を送信する端末動作切替指示手段とを備えた、無線基地装置。
【請求項2】 前記端末動作切替指示手段は、前記電波環境判定手段により前記受信信号の電波環境を表わすパラメータが前記しきい値レベルを超えないレベルに回復したことが判定された場合に、前記移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作の停止を指示する信号を送信する、請求項1に記載の無線基地装置。
【請求項3】 前記端末動作切替指示手段は、前記移動端末装置に対する指示信号を所定回数連続して送信する、請求項1または2に記載の無線基地装置。
【請求項4】 前記電波環境を表わすパラメータは、前記移動端末装置からの伝搬路におけるフェージングの大きさによって表わされる、請求項1から3のいずれかに記載の無線基地装置。
【請求項5】 前記電波環境を表わすパラメータは、前記移動端末装置からの受信信号の受信電力で表わされる、請求項1から3のいずれかに記載の無線基地装置。
【請求項6】 選択ダイバーシチ動作可能な移動端末装置と通信することができる無線基地装置であって、前記移動端末装置から受信した信号にアダプティブアレイ処理を施すことにより、前記移動端末装置に対する送信指向性を形成する送信指向性形成手段と、前記移動端末装置から受信した信号のフェージングの大きさを所定の第1のしきい値レベルおよび前記第1のしきい値レベルより大きい所定の第2のしきい値レベルと対比して大小関係を判定するフェージング判定手段と、前記フェージング判定手段により前記受信信号のフェージングの大きさが前記第1のしきい値レベルを超えているが前記第2のしきい値レベルを超えていないことが判定された場合に、前記移動端末装置からの伝搬路の受信応答ベクトルの推定結果に基づく外挿処理により前記移動端末装置に対する送信指向性を形成するように前記送信指向性形成手段を制御する外挿処理手段と、前記フェージング判定手段により前記受信信号のフェージングの大きさが前記第2のしきい値レベルを超えていることが判定された場合に、前記移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作への切替を指示する信号を送信する端末動作切替指示手段とを備えた、無線基地装置。
【請求項7】 前記端末動作切替指示手段は、前記フェージング判定手段により前記受信信号のフェージングの大きさが前記第2のしきい値レベルを超えないレベルに回復したことが判定された場合に、前記移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作の停止を指示する信号を送信する、請求項6に記載の無線基地装置。
【請求項8】 前記端末動作切替指示手段は、前記移動端末装置に対する指示信号を所定回数連続して送信する、請求項6または7に記載の無線基地装置。
【請求項9】 選択ダイバーシチ動作可能な移動端末装置と通信することができる無線基地装置であって、前記移動端末装置から受信した信号にアダプティブアレイ処理を施すことにより、前記移動端末装置に対する送信指向性を形成する送信指向性形成手段と、前記移動端末装置から受信した信号の受信電力の大きさを所定のしきい値レベルと対比して大小関係を判定する受信電力判定手段と、前記受信電力判定手段により前記受信信号の受信電力の大きさが前記しきい値レベルよりも低いことが判定された場合に、前記移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作への切替を指示する信号を送信する端末動作切替指示手段とを備えた、無線基地装置。
【請求項10】 前記端末動作切替指示手段は、前記受信電力判定手段により前記受信信号の受信電力の大きさが前記しきい値レベルを超えるレベルに回復したことが判定された場合に、前記移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作の停止を指示する信号を送信する、請求項9に記載の無線基地装置。
【請求項11】 前記端末動作切替指示手段は、前記移動端末装置に対する指示信号を所定回数連続して送信する、請求項9または10に記載の無線基地装置。
【請求項12】 選択ダイバーシチ動作可能な移動端末装置と通信することができる無線基地装置における端末動作切替制御方法であって、前記移動端末装置から受信した信号にアダプティブアレイ処理を施すことにより、前記移動端末装置に対する送信指向性を形成するステップと、前記移動端末装置から受信した信号の電波環境を表わすパラメータが所定のしきい値レベルを超えて劣化したか否かを判定するステップと、前記受信信号の電波環境を表わすパラメータが前記しきい値レベルを超えて劣化したことが判定された場合に、前記移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作への切替を指示する信号を送信するステップとを備えた、端末動作切替制御方法。
【請求項13】 前記受信信号の電波環境を表わすパラメータが前記しきい値レベルを超えないレベルに回復したことが判定された場合に、前記移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作の停止を指示する信号を送信するステップをさらに備える、請求項12に記載の端末動作切替制御方法。
【請求項14】 前記指示信号を送信するステップは、前記移動端末装置に対する指示信号を所定回数連続して送信する、請求項12または13に記載の端末動作切替制御方法。
【請求項15】 前記電波環境を表わすパラメータは、前記移動端末装置からの伝搬路におけるフェージングの大きさによって表わされる、請求項12から14のいずれかに記載の端末動作切替制御方法。
【請求項16】 前記電波環境を表わすパラメータは、前記移動端末装置からの受信信号の受信電力で表わされる、請求項12から14のいずれかに記載の端末動作切替制御方法。
【請求項17】 選択ダイバーシチ動作可能な移動端末装置と通信することができる無線基地装置における端末動作切替制御方法であって、前記移動端末装置から受信した信号にアダプティブアレイ処理を施すことにより、前記移動端末装置に対する送信指向性を形成するステップと、前記移動端末装置から受信した信号のフェージングの大きさを所定の第1のしきい値レベルおよび前記第1のしきい値レベルより大きい所定の第2のしきい値レベルと対比して大小関係を判定するステップと、前記受信信号のフェージングの大きさが前記第1のしきい値レベルを超えているが前記第2のしきい値レベルを超えていないことが判定された場合に、前記移動端末装置からの伝搬路の受信応答ベクトルの推定結果に基づく外挿処理により前記移動端末装置に対する送信指向性を形成するように前記送信指向性形成ステップを制御するステップと、前記受信信号のフェージングの大きさが前記第2のしきい値レベルを超えていることが判定された場合に、前記移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作への切替を指示する信号を送信するステップとを備えた、端末動作切替制御方法。
【請求項18】 前記受信信号のフェージングの大きさが前記第2のしきい値レベルを超えないレベルに回復したことが判定された場合に、前記移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作の停止を指示する信号を送信するステップをさらに備える、請求項17に記載の端末動作切替制御方法。
【請求項19】 前記指示信号を送信するステップは、前記移動端末装置に対する指示信号を所定回数連続して送信する、請求項17または18に記載の端末動作切替制御方法。
【請求項20】 選択ダイバーシチ動作可能な移動端末装置と通信することができる無線基地装置における端末動作切替制御方法であって、前記移動端末装置から受信した信号にアダプティブアレイ処理を施すことにより、前記移動端末装置に対する送信指向性を形成するステップと、前記移動端末装置から受信した信号の受信電力の大きさを所定のしきい値レベルと対比して大小関係を判定するステップと、前記受信信号の受信電力の大きさが前記しきい値レベルよりも低いことが判定された場合に、前記移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作への切替を指示する信号を送信するステップとを備えた、端末動作切替制御方法。
【請求項21】 前記受信信号の受信電力の大きさが前記しきい値レベルを超えるレベルに回復したことが判定された場合に、前記移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作の停止を指示する信号を送信するステップをさらに備える、請求項20に記載の端末動作切替制御方法。
【請求項22】 前記指示信号を送信するステップは、前記移動端末装置に対する指示信号を所定回数連続して送信する、請求項20または21に記載の端末動作切替制御方法。
【請求項23】 選択ダイバーシチ動作可能な移動端末装置と通信することができる無線基地装置における端末動作切替制御プログラムであって、コンピュータに、前記移動端末装置から受信した信号にアダプティブアレイ処理を施すことにより、前記移動端末装置に対する送信指向性を形成するステップと、前記移動端末装置から受信した信号の電波環境を表わすパラメータが所定のしきい値レベルを超えて劣化したか否かを判定するステップと、前記受信信号の電波環境を表わすパラメータが前記しきい値レベルを超えて劣化したことが判定された場合に、前記移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作への切替を指示する信号を送信するステップとを実行させる、端末動作切替制御プログラム。
【請求項24】 コンピュータに、前記受信信号の電波環境を表わすパラメータが前記しきい値レベルを超えないレベルに回復したことが判定された場合に、前記移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作の停止を指示する信号を送信するステップをさらに実行させる、請求項23に記載の端末動作切替制御プログラム。
【請求項25】 前記指示信号を送信するステップは、前記移動端末装置に対する指示信号を所定回数連続して送信する、請求項23または24に記載の端末動作切替制御プログラム。
【請求項26】 前記電波環境を表わすパラメータは、前記移動端末装置からの伝搬路におけるフェージングの大きさによって表わされる、請求項23から25のいずれかに記載の端末動作切替制御プログラム。
【請求項27】 前記電波環境を表わすパラメータは、前記移動端末装置からの受信信号の受信電力で表わされる、請求項23から25のいずれかに記載の端末動作切替制御プログラム。
【請求項28】 選択ダイバーシチ動作可能な移動端末装置と通信することができる無線基地装置における端末動作切替制御プログラムであって、コンピュータに、前記移動端末装置から受信した信号にアダプティブアレイ処理を施すことにより、前記移動端末装置に対する送信指向性を形成するステップと、前記移動端末装置から受信した信号のフェージングの大きさを所定の第1のしきい値レベルおよび前記第1のしきい値レベルより大きい所定の第2のしきい値レベルと対比して大小関係を判定するステップと、前記受信信号のフェージングの大きさが前記第1のしきい値レベルを超えているが前記第2のしきい値レベルを超えていないことが判定された場合に、前記移動端末装置からの伝搬路の受信応答ベクトルの推定結果に基づく外挿処理により前記移動端末装置に対する送信指向性を形成するように前記送信指向性形成ステップを制御するステップと、前記受信信号のフェージングの大きさが前記第2のしきい値レベルを超えていることが判定された場合に、前記移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作への切替を指示する信号を送信するステップとを実行させる、端末動作切替制御プログラム。
【請求項29】 コンピュータに、前記受信信号のフェージングの大きさが前記第2のしきい値レベルを超えないレベルに回復したことが判定された場合に、前記移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作の停止を指示する信号を送信するステップをさらに実行させる、請求項28に記載の端末動作切替制御プログラム。
【請求項30】 前記指示信号を送信するステップは、前記移動端末装置に対する指示信号を所定回数連続して送信する、請求項28または29に記載の端末動作切替制御プログラム。
【請求項31】 選択ダイバーシチ動作可能な移動端末装置と通信することができる無線基地装置における端末動作切替制御プログラムであって、コンピュータに、前記移動端末装置から受信した信号にアダプティブアレイ処理を施すことにより、前記移動端末装置に対する送信指向性を形成するステップと、前記移動端末装置から受信した信号の受信電力の大きさを所定のしきい値レベルと対比して大小関係を判定するステップと、前記受信信号の受信電力の大きさが前記しきい値レベルよりも低いことが判定された場合に、前記移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作への切替を指示する信号を送信するステップとを実行させる、端末動作切替制御プログラム。
【請求項32】 コンピュータに、前記受信信号の受信電力の大きさが前記しきい値レベルを超えるレベルに回復したことが判定された場合に、前記移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作の停止を指示する信号を送信するステップをさらに実行させる、請求項31に記載の端末動作切替制御プログラム。
【請求項33】 前記指示信号を送信するステップは、前記移動端末装置に対する指示信号を所定回数連続して送信する、請求項31または32に記載の端末動作切替制御プログラム。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、無線基地装置、端末動作切替制御方法および端末動作切替制御プログラムに関し、特に、選択ダイバーシチ動作可能な移動端末装置と通信することができる無線基地装置、およびそのような無線基地装置において、選択ダイバーシチ動作可能な移動端末装置の動作を切替制御する方法およびプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、急速に発達しつつある移動体通信システム(たとえば、Personal Handyphone System:以下、PHS)では、基地局と移動端末装置との間の通信に際し、基地局において、アダプティブアレイ処理により所望の特定の移動端末装置からの受信信号を抽出する方式が提案されている。
【0003】アダプティブアレイ処理とは、移動端末装置からの受信信号に基づいて、基地局のアンテナごとの受信係数(ウェイト)からなるウェイトベクトルを計算して適応制御することによって、特定の移動端末装置からの信号を正確に抽出する処理である。
【0004】基地局においては、受信信号のシンボルごとにこのようなウェイトベクトルを計算する受信ウェイトベクトル計算機が設けられ、この受信ウェイトベクトル計算機は、受信信号と算出されたウェイトベクトルとの複素乗算和と、既知の参照信号との誤差の2乗を減少させるようウェイトベクトルを収束させる処理、すなわち特定の移動端末装置からの受信指向性を収束させるアダプティブアレイ処理を実行する。
【0005】アダプティブアレイ処理では、このようなウェイトベクトルの収束を、時間や信号電波の伝搬路特性の変動に応じて適応的に行ない、受信信号中から干渉成分やノイズを除去し、特定の移動端末装置からの受信信号を抽出している。
【0006】図9は、基地局のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)によってソフトウェア的に実行される、従来のアダプティブアレイ処理を機能的に説明するための機能ブロック図である。
【0007】図9を参照して、基地局の複数本のアンテナ、たとえば2本のアンテナA1およびA2でそれぞれ受信された移動端末装置からの受信信号からなる受信信号ベクトルは、スイッチ回路S1およびS2で受信部側に切替えられ、受信部1で所定の受信信号処理が施される。受信部1から出力される受信信号は、図示しないA/D変換機でそれぞれデジタル信号に変換される。
【0008】これらのデジタル信号は、基地局の図示しないDSPに与えられ、図9に示す機能ブロック図にしたがって以後ソフトウェア的にアダプティブアレイ処理が施される。
【0009】図9を参照して、スイッチ回路S1およびS2で受信部側に切替えられた受信信号ベクトルは、DSPで実現されるユーザ信号処理部2に与えられる。ユーザ信号処理部2に与えられた受信信号ベクトルは、乗算器MR1およびMR2のそれぞれの一方入力に与えられるとともに、受信ウェイトベクトル計算機3に与えられる。
【0010】受信ウェイトベクトル計算機3は、後述するアダプティブアレイアルゴリズムにより、アンテナごとのウェイトからなるウェイトベクトルを算出し、乗算器MR1およびMR2のそれぞれの他方入力に与えて、対応するアンテナからの受信信号ベクトルとそれぞれ複素乗算する。加算器4によりその複素乗算結果の総和が得られる。
【0011】上述のような複素乗算和の結果は、復調およびエラー判定回路5によってビットデータに復調された後、アレイ出力信号として後段の図示しないモデム部に供給されるとともに、図示しない再変調回路によって再変調されて受信ウェイトベクトル計算機3に与えられる。
【0012】受信ウェイトベクトル計算機3には、所定の参照信号期間に、図示しないメモリに予め記憶されている既知の参照信号d(t)が与えられ、アダプティブアレイアルゴリズムによるウェイトベクトルの計算に供される。この参照信号d(t)は、移動端末装置からの受信信号が含むすべてのユーザに共通の既知の信号であり、たとえばPHSでは、受信信号のうち、既知のビット列で構成されたプリアンブル(PR)およびユニークワード(UW)の区間が用いられる。
【0013】一方、参照信号期間が終了すると、受信ウェイトベクトル計算機3には、図示しない再変調回路によって再変調されたアレイ出力信号が与えられ、アダプティブアレイアルゴリズムによるウェイトベクトルの計算に供される。
【0014】この受信ウェイトベクトル計算機3では、RLS(Recursive Least Squares)アルゴリズムやSMI(Sample Matrix Inversion)アルゴリズムのようなアダプティブアレイアルゴリズムを使用している。
【0015】このようなRLSアルゴリズムやSMIアルゴリズムは、アダプティブアレイ処理の分野では周知の技術であり、たとえば菊間信良著の「アレーアンテナによる適応信号処理」(科学技術出版)の第35頁〜第49頁の「第3章 MMSEアダプティブアレー」に詳細に説明されているので、ここではその説明を省略する。
【0016】さらに、図示しないモデム部からの送信信号が送信信号変調回路6によって変調され、乗算器MT1およびMT2のそれぞれの一方入力端子に与えられ、乗算器MT1およびMT2のそれぞれの他方入力端子には、受信ウェイトベクトル計算機3で計算されたウェイトベクトルがメモリ8を介して送信ウェイトベクトル計算機7によってコピーされて印加される。
【0017】このように、ウェイトベクトルとの複素乗算で重み付けされた送信信号は、図示しないD/A変換機でそれぞれアナログ信号に変換され、送信部9で所定の送信信号処理が施される。送信部9から出力される送信信号は、スイッチ回路S1およびS2で選択されて、アンテナA1およびA2を介して送信される。
【0018】受信時と同じアンテナA1およびA2を介して送信される信号には、受信信号と同様に特定の移動端末装置をターゲットとするウェイトベクトルによる重み付けがされているため、これらのアンテナから送信された電波信号は、この特定の移動端末装置をターゲットとする送信指向性を伴って飛ばされることになる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】このようにアダプティブアレイ処理により送信指向性を形成する基地局(以下、アダプティブアレイ基地局)であっても、移動端末装置からの伝搬路の電波環境の劣化によって、当該移動端末装置に対して、正しく送信指向性を形成できなくなる場合がある。
【0020】電波環境が劣化する場合として、たとえば伝搬路の受信係数の変動が大きい場合すなわちフェージングが大きい場合、または端末と基地局との距離が離れて端末からの受信電力が低下した場合すなわち基地局から端末に届く電力が低下した場合がある。
【0021】このような電波環境下では、アダプティブアレイ基地局であっても、端末の送信アンテナに対し、正確に送信指向性を向けることは困難になる。
【0022】特に、フェージングがある程度の大きさの場合には、端末から基地局への上り回線で得られた受信応答ベクトルを用いた外挿処理により、基地局から端末への下り回線の送信応答ベクトルを推定し、下り回線の送信指向性を伝搬路の変動に追従させる方法が提案されているが、フェージングの程度がさらに大きくなった場合にはこの方法にも限界があり、送信指向性を追従させることができなくなるという問題があった。
【0023】それゆえに、この発明の目的は、フェージングが大きかったり基地局受信電力が低いような劣化した電波環境であっても、良好な通話品質を維持することができる無線基地装置、端末動作切替制御方法および端末動作切替制御プログラムを提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】この発明の1つの局面によれば、選択ダイバーシチ動作可能な移動端末装置と通信することができる無線基地装置は、送信指向性形成手段と、電波環境判定手段と、端末動作切替指示手段とを備える。送信指向性形成手段は、移動端末装置から受信した信号にアダプティブアレイ処理を施すことにより、移動端末装置に対する送信指向性を形成する。電波環境判定手段は、移動端末装置から受信した信号の電波環境を表わすパラメータが所定のしきい値レベルを超えて劣化したか否かを判定する。端末動作切替指示手段は、電波環境判定手段により受信信号の電波環境を表わすパラメータがしきい値レベルを超えて劣化したことが判定された場合に、移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作への切替を指示する信号を送信する。
【0025】したがって、この発明によれば、電波環境が劣化した場合には、移動端末装置に選択ダイバーシチ動作を実行させることにより、良好な通話品質を維持することができる。
【0026】好ましくは、端末動作切替指示手段は、電波環境判定手段により受信信号の電波環境を表わすパラメータがしきい値レベルを超えないレベルに回復したことが判定された場合に、移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作の停止を指示する信号を送信する。
【0027】好ましくは、端末動作切替指示手段は、移動端末装置に対する指示信号を所定回数連続して送信する。
【0028】好ましくは、電波環境を表わすパラメータは、移動端末装置からの伝搬路におけるフェージングの大きさによって表わされる。
【0029】好ましくは、電波環境を表わすパラメータは、移動端末装置からの受信信号の受信電力で表わされる。
【0030】この発明の他の局面によれば、選択ダイバーシチ動作可能な移動端末装置と通信することができる無線基地装置は、送信指向性形成手段と、フェージング判定手段と、外挿処理手段と、端末動作切替指示手段とを備える。送信指向性形成手段は、移動端末装置から受信した信号にアダプティブアレイ処理を施すことにより、移動端末装置に対する送信指向性を形成する。フェージング判定手段は、移動端末装置から受信した信号のフェージングの大きさを所定の第1のしきい値レベルおよび第1のしきい値レベルより大きい所定の第2のしきい値レベルと対比して大小関係を判定する。外挿処理手段は、フェージング判定手段により受信信号のフェージングの大きさが第1のしきい値レベルを超えているが第2のしきい値レベルを超えていないことが判定された場合に、移動端末装置からの伝搬路の受信応答ベクトルの推定結果に基づく外挿処理により移動端末装置に対する送信指向性を形成するように送信指向性形成手段を制御する。端末動作切替指示手段は、フェージング判定手段により受信信号のフェージングの大きさが第2のしきい値レベルを超えていることが判定された場合に、移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作への切替を指示する信号を送信する。
【0031】したがって、この発明によれば、フェージングが非常に大きくなって、受信応答ベクトルの外挿処理では送信指向性の安定性を保持できなくなった場合には、移動端末装置に選択ダイバーシチ動作を実行させることにより、良好な通話品質を維持することができる。
【0032】好ましくは、端末動作切替指示手段は、フェージング判定手段により受信信号のフェージングの大きさが第2のしきい値レベルを超えないレベルに回復したことが判定された場合に、移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作の停止を指示する信号を送信する。
【0033】好ましくは、端末動作切替指示手段は、移動端末装置に対する指示信号を所定回数連続して送信する。
【0034】この発明のさらに他の局面によれば、選択ダイバーシチ動作可能な移動端末装置と通信することができる無線基地装置は、送信指向性形成手段と、受信電力判定手段と、端末動作切替指示手段とを備える。送信指向性形成手段は、移動端末装置から受信した信号にアダプティブアレイ処理を施すことにより、移動端末装置に対する送信指向性を形成する。受信電力判定手段は、移動端末装置から受信した信号の受信電力の大きさを所定のしきい値レベルと対比して大小関係を判定する。端末動作切替指示手段は、受信電力判定手段により受信信号の受信電力の大きさがしきい値レベルよりも低いことが判定された場合に、移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作への切替を指示する信号を送信する。
【0035】したがって、この発明によれば、移動端末装置からの受信電力が弱く移動端末装置に下り回線の電波が届きにくい場合には、移動端末装置に選択ダイバーシチ動作を実行させることにより、良好な通話品質を維持することができる。
【0036】好ましくは、端末動作切替指示手段は、受信電力判定手段により受信信号の受信電力の大きさがしきい値レベルを超えるレベルに回復したことが判定された場合に、移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作の停止を指示する信号を送信する。
【0037】好ましくは、端末動作切替指示手段は、移動端末装置に対する指示信号を所定回数連続して送信する。
【0038】この発明のさらに他の局面によれば、選択ダイバーシチ動作可能な移動端末装置と通信することができる無線基地装置における端末動作切替制御方法は、移動端末装置から受信した信号にアダプティブアレイ処理を施すことにより、移動端末装置に対する送信指向性を形成するステップと、移動端末装置から受信した信号の電波環境を表わすパラメータが所定のしきい値レベルを超えて劣化したか否かを判定するステップと、受信信号の電波環境を表わすパラメータがしきい値レベルを超えて劣化したことが判定された場合に、移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作への切替を指示する信号を送信するステップとを備える。
【0039】したがって、この発明によれば、電波環境が劣化した場合には、移動端末装置に選択ダイバーシチ動作を実行させることにより、良好な通話品質を維持することができる。
【0040】好ましくは、端末動作切替制御方法は、受信信号の電波環境を表わすパラメータがしきい値レベルを超えないレベルに回復したことが判定された場合に、移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作の停止を指示する信号を送信するステップをさらに備える。
【0041】好ましくは、指示信号を送信するステップは、移動端末装置に対する指示信号を所定回数連続して送信する。
【0042】好ましくは、電波環境を表わすパラメータは、移動端末装置からの伝搬路におけるフェージングの大きさによって表わされる。
【0043】好ましくは、電波環境を表わすパラメータは、移動端末装置からの受信信号の受信電力で表わされる。
【0044】この発明のさらに他の局面によれば、選択ダイバーシチ動作可能な移動端末装置と通信することができる無線基地装置における端末動作切替制御方法は、移動端末装置から受信した信号にアダプティブアレイ処理を施すことにより、移動端末装置に対する送信指向性を形成するステップと、移動端末装置から受信した信号のフェージングの大きさを所定の第1のしきい値レベルおよび第1のしきい値レベルより大きい所定の第2のしきい値レベルと対比して大小関係を判定するステップと、受信信号のフェージングの大きさが第1のしきい値レベルを超えているが第2のしきい値レベルを超えていないことが判定された場合に、移動端末装置からの伝搬路の受信応答ベクトルの推定結果に基づく外挿処理により移動端末装置に対する送信指向性を形成するように送信指向性形成ステップを制御するステップと、受信信号のフェージングの大きさが第2のしきい値レベルを超えていることが判定された場合に、移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作への切替を指示する信号を送信するステップとを備える。
【0045】したがって、この発明によれば、フェージングが非常に大きくなって、受信応答ベクトルの外挿処理では送信指向性の安定性を保持できなくなった場合には、移動端末装置に選択ダイバーシチ動作を実行させることにより、良好な通話品質を維持することができる。
【0046】好ましくは、端末動作切替制御方法は、受信信号のフェージングの大きさが第2のしきい値レベルを超えないレベルに回復したことが判定された場合に、移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作の停止を指示する信号を送信するステップをさらに備える。
【0047】好ましくは、指示信号を送信するステップは、移動端末装置に対する指示信号を所定回数連続して送信する。
【0048】この発明のさらに他の局面によれば、選択ダイバーシチ動作可能な移動端末装置と通信することができる無線基地装置における端末動作切替制御方法は、移動端末装置から受信した信号にアダプティブアレイ処理を施すことにより、移動端末装置に対する送信指向性を形成するステップと、移動端末装置から受信した信号の受信電力の大きさを所定のしきい値レベルと対比して大小関係を判定するステップと、受信信号の受信電力の大きさがしきい値レベルよりも低いことが判定された場合に、移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作への切替を指示する信号を送信するステップとを備える。
【0049】したがって、この発明によれば、移動端末装置からの受信電力が弱く移動端末装置に下り回線の電波が届きにくい場合には、移動端末装置に選択ダイバーシチ動作を実行させることにより、良好な通話品質を維持することができる。
【0050】好ましくは、端末動作切替制御方法は、受信信号の受信電力の大きさがしきい値レベルを超えるレベルに回復したことが判定された場合に、移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作の停止を指示する信号を送信するステップをさらに備える。
【0051】好ましくは、指示信号を送信するステップは、移動端末装置に対する指示信号を所定回数連続して送信する。
【0052】この発明のさらに他の局面によれば、選択ダイバーシチ動作可能な移動端末装置と通信することができる無線基地装置における端末動作切替制御プログラムは、コンピュータに、移動端末装置から受信した信号にアダプティブアレイ処理を施すことにより、移動端末装置に対する送信指向性を形成するステップと、移動端末装置から受信した信号の電波環境を表わすパラメータが所定のしきい値レベルを超えて劣化したか否かを判定するステップと、受信信号の電波環境を表わすパラメータがしきい値レベルを超えて劣化したことが判定された場合に、移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作への切替を指示する信号を送信するステップとを実行させる。
【0053】したがって、この発明によれば、電波環境が劣化した場合には、移動端末装置に選択ダイバーシチ動作を実行させることにより、良好な通話品質を維持することができる。
【0054】好ましくは、端末動作切替制御プログラムは、コンピュータに、受信信号の電波環境を表わすパラメータがしきい値レベルを超えないレベルに回復したことが判定された場合に、移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作の停止を指示する信号を送信するステップをさらに実行させる。
【0055】好ましくは、指示信号を送信するステップは、移動端末装置に対する指示信号を所定回数連続して送信する。
【0056】好ましくは、電波環境を表わすパラメータは、移動端末装置からの伝搬路におけるフェージングの大きさによって表わされる。
【0057】好ましくは、電波環境を表わすパラメータは、移動端末装置からの受信信号の受信電力で表わされる。
【0058】この発明のさらに他の局面によれば、選択ダイバーシチ動作可能な移動端末装置と通信することができる無線基地装置における端末動作切替制御プログラムは、コンピュータに、移動端末装置から受信した信号にアダプティブアレイ処理を施すことにより、移動端末装置に対する送信指向性を形成するステップと、移動端末装置から受信した信号のフェージングの大きさを所定の第1のしきい値レベルおよび第1のしきい値レベルより大きい所定の第2のしきい値レベルと対比して大小関係を判定するステップと、受信信号のフェージングの大きさが第1のしきい値レベルを超えているが第2のしきい値レベルを超えていないことが判定された場合に、移動端末装置からの伝搬路の受信応答ベクトルの推定結果に基づく外挿処理により移動端末装置に対する送信指向性を形成するように送信指向性形成ステップを制御するステップと、受信信号のフェージングの大きさが第2のしきい値レベルを超えていることが判定された場合に、移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作への切替を指示する信号を送信するステップとを実行させる。
【0059】したがって、この発明によれば、フェージングが非常に大きくなって、受信応答ベクトルの外挿処理では送信指向性の安定性を保持できなくなった場合には、移動端末装置に選択ダイバーシチ動作を実行させることにより、良好な通話品質を維持することができる。
【0060】好ましくは、端末動作切替制御プログラムは、コンピュータに、受信信号のフェージングの大きさが第2のしきい値レベルを超えないレベルに回復したことが判定された場合に、移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作の停止を指示する信号を送信するステップをさらに実行させる。
【0061】好ましくは、指示信号を送信するステップは、移動端末装置に対する指示信号を所定回数連続して送信する。
【0062】この発明のさらに他の局面によれば、選択ダイバーシチ動作可能な移動端末装置と通信することができる無線基地装置における端末動作切替制御プログラムは、コンピュータに、移動端末装置から受信した信号にアダプティブアレイ処理を施すことにより、移動端末装置に対する送信指向性を形成するステップと、移動端末装置から受信した信号の受信電力の大きさを所定のしきい値レベルと対比して大小関係を判定するステップと、受信信号の受信電力の大きさがしきい値レベルよりも低いことが判定された場合に、移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作への切替を指示する信号を送信するステップとを実行させる。
【0063】したがって、この発明によれば、移動端末装置からの受信電力が弱く移動端末装置に下り回線の電波が届きにくい場合には、移動端末装置に選択ダイバーシチ動作を実行させることにより、良好な通話品質を維持することができる。
【0064】好ましくは、端末動作切替制御プログラムは、コンピュータに、受信信号の受信電力の大きさがしきい値レベルを超えるレベルに回復したことが判定された場合に、移動端末装置に対して選択ダイバーシチ動作の停止を指示する信号を送信するステップをさらに実行させる。
【0065】好ましくは、指示信号を送信するステップは、移動端末装置に対する指示信号を所定回数連続して送信する。
【0066】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0067】[実施の形態1]この発明の実施の形態1は、アダプティブアレイ基地局が、移動端末装置として選択ダイバーシチ動作を行なうダイバーシチ端末と通信する場合を前提とする。
【0068】このようなダイバーシチ端末は、一般に、2本のアンテナを有しており、基地局への送信(上り回線)には固定された1本のアンテナを使用し、基地局からの受信(下り回線)には2本のアンテナのうち受信レベルが高い方のアンテナまたは受信エラーの少ない方のアンテナを選択して使用する。
【0069】図1は、そのようなダイバーシチ端末の構成を概略的に示すブロック図である。
【0070】図1を参照して、ダイバーシチ端末200は、アンテナA10およびA20と、CPUなどを含む制御部300とを備えている。図1の例の場合、送信用のアンテナはアンテナA20に固定されており、制御部300からアンテナA20には送信用の上り回線の信号が供給される。
【0071】選択ダイバーシチ動作時には、アンテナA10およびA20でそれぞれ受信した信号のいずれの受信レベルが高いかまたは受信エラーが少ないかを制御部300で判定し、受信レベルが高い方または受信エラーが少ない方のアンテナを受信用のアンテナとして選択する。
【0072】図1をさらに参照して、前述のようなアダプティブアレイ基地局100は、複数のアンテナからなるアレイアンテナA00により、端末の電波を送信してくるアンテナに対して送信指向性を形成する(ビームを向ける)が、2本アンテナのダイバーシチ端末200の場合、電波環境によっては、送信用の固定アンテナA20とは異なる方のアンテナA10を選択して受信する可能性がある。この場合、アダプティブアレイ基地局100の下り送信指向性は、送信用の固定アンテナA20に向けられているため、受信アンテナA10に対して正しく下り送信指向性を向けることができなくなる。
【0073】特に、フェージングが小さく電波環境が良好な場合、上述のような選択ダイバーシチ動作は行なわない方が好ましい。すなわち、電波環境が良好であれば、端末の送信アンテナに対し、アダプティブアレイ基地局の送信指向性は特に鋭く向けられることになるが、そのようなときに端末側でダイバーシチ動作を行なえば、上述のように状況によって送信アンテナと異なるアンテナを受信アンテナとして選択した場合には選択された受信アンテナに送信指向性が正しく向けられなくなるからである。
【0074】そこで、この発明の実施の形態1によるアダプティブアレイ基地局では、フェージングが小さい良好な電波環境では、アダプティブアレイ基地局は、通常の方法(受信ウェイトベクトルのコピー)で下り送信指向性を形成する一方、端末にダイバーシチ動作をさせず、送信アンテナを受信アンテナとして固定し、フェージングがある程度の大きさになれば、アダプティブアレイ基地局において前述の外挿処理による送信指向性の形成を行い、さらにフェージングの程度が大きくなって電波環境が劣化した場合には、外挿処理に加えて、端末にダイバーシチ動作を実行させるように構成したものである。
【0075】すなわち、フェージングが著しく大きくなって、もはや送信指向性の安定を保持することが困難になった場合には、端末の動作を選択ダイバーシチ動作に切替えて受信条件のよりよいアンテナを受信アンテナとして選択する方が通話品質の保持に有効だからである。
【0076】図2は、この発明の実施の形態1によるアダプティブアレイ基地局において、DSPによってソフトウェア的に実行される処理を機能的に説明するための機能ブロック図である。図2に示す構成は、以下の点を除いて、図9に示した従来例と同じであり、共通する部分についての説明は繰返さない。
【0077】図2に示す実施の形態1によるアダプティブアレイ基地局は、図9に示した従来のアダプティブアレイ基地局に加えて、フェージングがある大きさになった場合に、受信応答ベクトルの外挿処理により下り送信指向性を形成するための構成と、さらにフェージングが大きくなった場合に、ダイバーシチ端末に対して選択ダイバーシチ動作への切替えを指示する信号を発生するための構成とを備えている。
【0078】図2を参照して、ユーザ信号処理部20およびメッセージ生成部12は、基地局のDSPによってソフトウェア的に実現される。
【0079】まず、フェージングがある大きさになった場合に、受信応答ベクトルの外挿処理により下り送信指向性を形成するための構成について説明する。この外挿処理は、後述する方法によって、送信応答ベクトル計算機11によって推定された、フェージングの大きさを表わすドップラー周波数fDが所定の第1のしきい値を超えた場合に実行される。
【0080】図2に示すアダプティブアレイ基地局においては、アダプティブアレイのウェイトベクトルがアンテナA1およびA2の各々における受信応答ベクトルにより一意に表わせることに着目し、受信応答ベクトルの時間変動を推定することによって間接的に送信応答ベクトルを推定する。
【0081】受信応答ベクトル計算機10は、受信信号の伝搬路の受信係数の推定、すなわち受信応答ベクトルの計算を行う。より具体的には、受信応答ベクトル計算機10は、周知のアルゴリズムにより、2本のアンテナA1およびA2で受信した受信信号ベクトルと、アダプティブアレイ処理により抽出され復調およびエラー判定回路5から出力された当該ユーザのアレイ出力信号を再変調した信号との積を所定時間にわたってアンサンブル平均(時間平均)することによって、受信応答ベクトルを算出する。
【0082】受信応答ベクトル計算機10で算出された受信応答ベクトルベクトルは、送信応答ベクトル計算機11に与えられ、外挿処理(直線外挿)により下り回線のタイミングにおける受信応答ベクトルを推定する。
【0083】図3は、このような外挿処理の基本原理を説明するための概念図である。図3の例では、上下回線にそれぞれ4ユーザずつ割当てた8スロット構成を想定する。上り回線の各スロットの先頭および最後尾にそれぞれトレーニングシンボル列を設け、受信応答ベクトル計算機10は、双方のトレーニングシンボル列に対応する受信応答ベクトルを計算する。
【0084】そして、送信応答ベクトル計算機11は、基本的に、以下の外挿処理を行う。すなわち、受信応答ベクトルの要素の任意の1つの時刻tにおける値をf(t)とすると、上り回線スロットの先頭トレーニングシンボル列の時刻t0での値f(t0)と、上り回線スロットの最後尾トレーニングシンボル列の時刻t1での値f(t1)とに基づいて、下り回線スロットの時刻tにおける値f(t)は、以下のように予測できる。
【0085】f(t)=[f(t1)−f(t0)]/(t1−t0)×(t−t0)+f(t0)
なお、以上の説明では、上り回線スロットの先頭と最後尾にトレーニングシンボル列を設け、一次外挿することとしたが、さらに、上り回線スロットの中央部にもトレーニングシンボル列を設け、受信応答ベクトルの上り回線スロット中の3点の値から、時刻tの値f(t)を2次外挿で推定する構成としてもよい。もしくは、上り回線スロット中のトレーニングシンボル列を設ける位置を増やせば、さらに高次の外挿を行うことも可能である。
【0086】このようにして、図3の(A)および(B)に示すように、受信応答ベクトル計算機10によって計算された上り回線の同一スロット内の2点の受信応答ベクトルである受信応答ベクトル1および受信応答ベクトル2に基づいて、下り回線の対応するスロットの本来の送信タイミングまで直線外挿を行なうことによって、下り回線の正しい受信応答ベクトルすなわち送信応答ベクトルを推定することができる。
【0087】ただし、図3の受信応答ベクトル2に、ノイズやサンプリング誤差による推定誤差が生じ、受信応答ベクトル2’のようにずれが生じた場合に、これらの受信応答ベクトル1および2’に基づいてそのまま直線外挿を行えば、送信タイミングにおける送信応答ベクトルは、正しい送信応答ベクトルから大きくずれてしまうことになる。
【0088】そこで、この発明の実施の形態1で採用される外挿処理では、伝搬路における電波環境に応じて下り回線における正しい送信応答ベクトルを推定するように構成されている。
【0089】伝搬路の伝搬環境は、たとえば伝搬路の受信係数の変動、すなわちフェージングの程度によって表わされる。フェージングの程度は物理量としては、いわゆるドップラー周波数(fD)によって表現される。
【0090】伝搬環境におけるドップラー周波数fDはたとえば次のようにして推定される。すなわち、アダプティブアレイ処理で抽出されたユーザの受信信号の時間的に前後する2つの受信応答ベクトルの相関値を計算する。フェージングがなければ、2つの受信応答ベクトルは一致し、相関値は1となる。一方、フェージングが激しければ受信応答ベクトルの差は大きくなり、相関値は小さくなる。このような受信応答ベクトルの相関値とドップラー周波数fDとの関係を予め実験的に求め、そのテーブルをメモリに保持しておけば、受信応答ベクトルの相関値を算出することによって、そのときのドップラー周波数fDを推定することができる。
【0091】まず、フェージングの程度を表わすドップラー周波数に着目して、この発明の実施の形態1で採用される外挿処理の動作原理について説明する。
【0092】前述のように、受信応答ベクトル2が推定誤差により受信応答ベクトル2’のようにずれているとき、外挿距離が長くなるほど外挿誤差が大きくなり、本来の送信応答ベクトルからますます誤ったものになってしまうことになる。
【0093】一般的に、フェージングが小さいほど、すなわちドップラー周波数fDが低いほど、伝搬路の受信係数の変動は小さい。そこでこのような場合には外挿距離を短くすることにより実際の変動量以上の外挿を行なってしまうことを防止している。より具体的には、ドップラー周波数fDが低いときには、図3(A)の場合のように受信応答ベクトル2’からX印のa点までの短距離の外挿を行ない、このa点の送信応答ベクトルを推定してX印のb点の正しい送信応答ベクトルとみなすようにしている。
【0094】これに対し、フェージングが大きいほど、すなわちドップラー周波数fDが高いほど、伝搬路の受信係数の変動は大きい。そこでこのような場合には外挿距離を長くすることにより十分な外挿を行うようにしている。より具体的には、ドップラー周波数fDが高いときには、図3(B)の場合のように受信応答ベクトル2’からX印のc点までの比較的長距離の外挿を行ない、このc点の送信応答ベクトルを推定してX印のd点の正しい送信応答ベクトルとみなすようにしている。
【0095】このような処理は、図2の送信応答ベクトル計算機11によって実行される。このようにして送信応答ベクトル計算機11によって推定された送信応答ベクトルは、送信ウェイトベクトル計算機7に与えられる。
【0096】送信ウエイトベクトル計算機7は、周知のアルゴリズムを用いて、推定された送信応答ベクトルから、当該ユーザにビームを向ける、すなわち送信指向性を形成する送信ウェイトベクトルを算出する。
【0097】次に、フェージングがさらに大きさになった場合に、ダイバーシチ端末に対して選択ダイバーシチ動作への切替えを指示する信号(メッセージ)を発生するための構成について説明する。
【0098】図2を参照して、送信応答ベクトル計算機11によって推定された、フェージングの大きさを表わすドップラー周波数fDは、基地局のDSPで実現されるメッセージ生成部12に与えられる。
【0099】メッセージ生成部12は、推定されたドップラー周波数fDが、前述の第1のしきい値より大きい所定の第2のしきい値を超えたときには、ダイバーシチ端末に対して選択ダイバーシチ動作への切替えを指示する信号(メッセージ)を発生して、モデム部からの送信信号に重畳する。このメッセージは、アダプティブアレイ基地局から送信され、これを受信したダイバーシチ端末は、選択ダイバーシチ動作に切替わる。
【0100】図4は、この発明の実施の形態1によるアダプティブアレイ基地局の動作(端末動作切替制御)を示すフロー図である。
【0101】まず、ステップS1において、図2の受信応答ベクトル計算機10により伝搬路の推定がなされ、具体的には、図3に示した受信応答ベクトル1および2’が推定される。
【0102】次に、ステップS2において、前述の方法により、送信応答ベクトル計算機11によりフェージングの程度、すなわちドップラー周波数fDが推定される。
【0103】次に、ステップS3において、推定されたドップラー周波数fDと、前述の第1および第2のしきい値との大小関係が判定される。なお、第1のしきい値は、上述の外挿処理を行なわなくても、伝搬路の変動に対する下り送信指向性の追従が可能な上限の値であり、第2のしきい値は、外挿処理を行なっても追従できなくなる上限の値に設定される。
【0104】より具体的に、ステップS3において、推定されたドップラー周波数fDが第1のしきい値以下であれば、端末に対するメッセージを何ら発生することなく、そして外挿処理を行なうことなく処理を終了する。この場合、図2のアダプティブアレイ基地局は、図9に示した従来のアダプティブアレイ基地局と同様の通常のアダプティブアレイ処理を行なう。
【0105】一方、ステップS3において、推定されたドップラー周波数fDが、第1のしきい値よりも大きいが第2のしきい値以下である場合、前述の外挿処理を実行するとともに、ステップS5において、端末がすでにダイバーシチ動作を行っていた場合(ダイバーシチモード)は、ダイバーシチ動作を停止し、受信アンテナを送信アンテナに固定するよう(アンテナ固定モード)指示するメッセージを発生して端末に送信する。
【0106】さらに、ステップS3において、推定されたドップラー周波数fDが第2のしきい値よりも大きい場合、前述の外挿処理を実行するとともに、ステップS4において、アンテナ固定モードにあるダイバーシチ端末に対し、ダイバーシチモードに移行するよう指示するメッセージを発生して端末に送信する。
【0107】次に、ステップS6からステップS10の外挿処理について説明する。以下に説明する外挿処理では、前述のドップラー周波数fDに加えて、アダプティブアレイ出力から得られる信号値と期待される所望信号値との平均自乗誤差(Mean Square Error:MSE)をも考慮して最適の外挿距離を決定しようとするものである。
【0108】すなわち、この実施の形態の外挿処理では、基本的にはドップラー周波数fDに基づいて外挿パラメータ(外挿距離)を仮に決定し、その後MSEに基づいて外挿パラメータを補正して最終的に決定しようとするものである。
【0109】一般に、伝搬路の電波環境は、アダプティブアレイ出力から得られる信号のウェイト推定誤差によっても表わされる。このような誤差は、アダプティブアレイ出力から得られる信号値と、期待される所望信号値とのMSEで表わされ、このMSEが小さいほど上り回線において理想的なウェイトベクトルの推定ができたことになり、アダプティブアレイ出力信号の精度が良いことになる。逆に、MSEが大きいほど上り回線において推定されたウェイトベクトルが最適ではなかったことになり、アダプティブアレイ出力信号の精度が悪いことになる。なお、このMSEの算出方法については周知であるためその説明を省略する。
【0110】したがって、このMSEの大きさに応じて上り回線の受信応答ベクトルに推定誤差が生じ、さらに外挿誤差が生じることになる。以下に、上述のMSEに着目した外挿処理の原理について説明する。
【0111】図3の(A)に戻って、MSEが大きく受信応答ベクトルの推定誤差が大きい場合には、外挿距離が長くなると外挿誤差が大きくなるため、外挿距離を短く補正する。
【0112】一方、図3の(B)に示すように、MSEが小さく受信応答ベクトルの推定誤差が小さい場合には、外挿距離が長くなっても外挿誤差が小さいため、外挿誤差を比較的長く補正する。
【0113】ステップS2においてドップラー周波数fDが推定されれば、ステップS6において、送信応答ベクトル計算機11内のメモリに予め保持されているドップラー周波数fDと外挿距離との対応関係のテーブルから、最適な外挿距離が選択され、仮に決定される。
【0114】その後、ステップS7においてMSEが推定されれば、ステップS8において、このMSEの大小に応じて外挿距離が補正される。たとえば、MSEが大きい場合には外挿距離を短く補正する必要があり、X<1の係数で補正される。一方、MSEが小さい場合には外挿距離を長く補正する必要があり、X>1の係数で補正される。これらの係数は、予め実験的に求められ、図示しないメモリに保持されているものとする。
【0115】次に、ステップS9において、ステップS8で決定された外挿パラメータ(外挿距離)を用いて外挿処理がなされ、下り回線の伝搬路の推定、すなわち送信応答ベクトルの推定がなされる。
【0116】最後に、ステップS10において、送信ウェイトベクトル計算機7により、ステップS9で決定された下り回線の送信応答ベクトルに基づいて送信ウェイトベクトルが推定される。
【0117】次に、図5は、図4のステップS4またはステップS5で基地局から送信されたメッセージを受取ったダイバーシチ端末(図1の200)の動作を説明するフロー図である。
【0118】図5を参照して、ステップS11で、端末が基地局から信号を受信すると、ステップS12において、基地局からのメッセージによって指示されたのがアンテナ固定モードであるかダイバーシチモードであるかを判定する。
【0119】そして、ダイバーシチモードが指示されていれば、ステップS13においてダイバーシチモードに移行し、受信レベルの高い(または受信エラーの少ない)アンテナを受信アンテナとして選択する。
【0120】一方、アンテナ固定モードが指示されていれば、ステップS14において送信用の固定アンテナを受信アンテナとして選択する。
【0121】以上のように、この発明の実施の形態1によれば、フェージングが非常に大きくなって、受信応答ベクトルの外挿処理では送信指向性の安定性を保持するのが困難になった場合には、アダプティブアレイ基地局は、ダイバーシチ端末に選択ダイバーシチ動作を実行させることにより、良好な通話品質を維持することができる。
【0122】[実施の形態2]この発明の実施の形態2も、上述の実施の形態1と同様に、図1に示すようにアダプティブアレイ基地局がダイバーシチ端末と通信する場合を前提とする。
【0123】移動端末装置と基地局との距離が短く、基地局での上り回線の受信電力が大きいとき、すなわち移動端末装置への下り回線の電波も十分に届く強電界の良好な電波環境においては、フェージングが小さい場合と同様に、選択ダイバーシチ動作は行なわない方が好ましい。すなわち、電波環境が良好であれば、端末の送信アンテナに対し、アダプティブアレイ基地局の送信指向性は鋭く向けられることになるが、そのようなときに端末側でダイバーシチ動作を行なえば、状況によって送信アンテナと異なるアンテナを受信アンテナとして選択する可能性があり、そのような場合には選択された受信アンテナに送信指向性が正しく向けられなくなるからである。
【0124】そこで、この発明の実施の形態2によるアダプティブアレイ基地局では、上り回線の受信電力が大きい強電界の良好な電波環境では、端末にダイバーシチ動作をさせず、送信アンテナを受信アンテナとして固定し、上り回線の受信電力が小さくなって電波環境が弱電界に劣化した場合には、端末にダイバーシチ動作を実行させるように構成したものである。
【0125】すなわち、弱電界となり下り回線の電波が端末に十分届かなくなった場合には、端末の動作を選択ダイバーシチ動作に切替えて受信条件のよりよいアンテナを受信アンテナとして選択する方が通話品質の保持に有効だからである。
【0126】図6は、この発明の実施の形態2によるアダプティブアレイ基地局において、DSPによってソフトウェア的に実行される処理を機能的に説明するための機能ブロック図である。図6に示す構成は、以下の点を除いて、図9に示した従来例と同じであり、共通する部分についての説明は繰返さない。
【0127】図6に示す実施の形態2によるアダプティブアレイ基地局は、図9に示した従来のアダプティブアレイ基地局に加えて、上り回線の受信電力がある大きさよりも低くなった場合に、ダイバーシチ端末に対して選択ダイバーシチ動作への切替えを指示する信号を発生するための構成を備えている。
【0128】図6を参照して、ユーザ信号処理部30、受信レベル測定部13およびメッセージ生成部14は、基地局のDSPによってソフトウェア的に実現される。
【0129】以下に、上り回線の受信電力がある大きさよりも低くなった場合に、ダイバーシチ端末に対して選択ダイバーシチ動作への切替えを指示する信号を発生するための構成について説明する。
【0130】図6に示すアダプティブアレイ基地局では、復調およびエラー判定回路5のアレイ出力が、モデム部に与えられるとともに、受信レベル測定部13に与えられる。
【0131】受信レベル測定部13は、アダプティブアレイ処理により抽出されたユーザからの受信信号の受信電力を測定し、メッセージ生成部14に測定結果を与える。メッセージ生成部14は、測定された受信電力を、所定のしきい値と比較し、受信電力が所定のしきい値以下に低下したときには、ダイバーシチ端末に対して選択ダイバーシチ動作への切替えを指示する信号(メッセージ)を発生して、モデム部からの送信信号に重畳する。このメッセージは、アダプティブアレイ基地局から送信され、これを受信したダイバーシチ端末は、選択ダイバーシチ動作に切替わる。
【0132】図7は、この発明の実施の形態2によるアダプティブアレイ基地局の動作(端末動作切替制御)を示すフロー図である。
【0133】まず、ステップS21において、図6の受信レベル測定部13により受信信号の受信電力(受信レベル)が測定される。
【0134】次に、ステップS22において、測定された受信電力と、前述のしきい値との大小関係が判定される。なお、このしきい値は、下り送信指向性が伝搬路の変動に追従できなくなる上限の値に設定される。
【0135】ステップS22において、測定された受信電力が、しきい値よりも大きい場合、ステップS24において、端末がすでにダイバーシチ動作を行っていた場合(ダイバーシチモード)は、ダイバーシチ動作を停止し、受信アンテナを送信アンテナに固定するよう(アンテナ固定モード)指示するメッセージを発生して端末に送信する。
【0136】一方、ステップS22において、測定された受信電力がしきい値以下の場合、ステップS23において、アンテナ固定モードにあるダイバーシチ端末に対し、ダイバーシチモードに移行するよう指示するメッセージを発生して端末に送信する。
【0137】その後、ステップS25において、図6のアダプティブアレイ基地局は、図9に示した従来のアダプティブアレイ基地局と同様の通常のアダプティブアレイ処理による受信動作を行なう。
【0138】なお、ステップS23またはステップS24で基地局から送信されたメッセージを受取ったダイバーシチ端末の動作は、図5に関して既に説明したとおりなので、ここでは説明を省略する。
【0139】以上のように、この発明の実施の形態2によれば、ダイバーシチ端末からの受信電力が弱くしたがって下り回線の電波が届きにくい場合には、アダプティブアレイ基地局は、ダイバーシチ端末に選択ダイバーシチ動作を実行させることにより、良好な通話品質を維持することができる。
【0140】ところで、実施の形態1の図4のステップS4またはステップS5で、および実施の形態2の図7のステップS23またはステップS24で基地局から端末に送信されるメッセージは、伝搬路の状態など、何らかの原因により、端末で受信に失敗することが考えられる。
【0141】このため、基地局からの上記メッセージが確実に端末で受信されるよう、実施の形態1および2では、ダイバーシチ端末の動作切替のためのメッセージを、複数回連続して送信するように構成している。
【0142】図8は、実施の形態1の図4のステップS4またはステップS5で、および実施の形態2の図7のステップS23またはステップS24で、メッセージを送信する動作を、より詳細に示すフロー図である。
【0143】図8を参照して、ステップS31で、送信されようとするメッセージが最初のメッセージであるか否かが判定される。最初のメッセージであれば、ステップS32において、メッセージの送信回数をカウントする送信カウンタをクリアし、さらにステップS33で送信カウンタをインクリメントする。
【0144】一方、ステップS31で、最初のメッセージでなければ、ステップS33で送信カウンタをインクリメントする。
【0145】そして、ステップS34で、送信カウンタの示す送信回数が、予め規定された再送回数よりも多くなっているか否かが判定される。
【0146】ステップS34で、規定回数よりも多くなければ、ステップS35でメッセージを再送し、規定回数よりも多ければ、ステップS36でメッセージの再送を停止する。
【0147】このようなメッセージの再送処理により、ダイバーシチ端末側で、メッセージを受信できる可能性を向上させることができる。
【0148】今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0149】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、伝搬路の電波環境が劣化した場合には、アダプティブアレイ基地局は、ダイバーシチ端末に選択ダイバーシチ動作を実行させることにより、良好な通話品質を維持することができる。
【0150】さらに、この発明によれば、伝搬路のフェージングが非常に大きくなって、受信応答ベクトルの外挿処理では下り回線の送信指向性の安定性を保持できなくなった場合には、アダプティブアレイ基地局は、ダイバーシチ端末に選択ダイバーシチ動作を実行させることにより、良好な通話品質を維持することができる。
【0151】さらに、この発明によれば、遠方のダイバーシチ端末からの受信電力が弱く、したがってそのダイバーシチ端末に下り回線の電波が届きにくい場合には、アダプティブアレイは、そのダイバーシチ端末に選択ダイバーシチ動作を実行させることにより、良好な通話品質を維持することができる。




 

 


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