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発明の名称 車両事故の対応支援システム、その方法、及びそのプログラム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−186994(P2003−186994A)
公開日 平成15年7月4日(2003.7.4)
出願番号 特願2001−387182(P2001−387182)
出願日 平成13年12月20日(2001.12.20)
代理人 【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘 (外7名)
発明者 川井 信彦 / 小林 明宏
要約 課題
車両Aの事故により負傷者Eが発生したときにその負傷者Eの損傷度を前もって的確に判断して、その対応を支援する。

解決手段
車両Aが車外の人間と衝突して人間が負傷したときの車両Aと負傷者Eとの衝突状態に関する事故情報、及び車両Aの事故発生時に車内の乗員が車両Aとの衝突により負傷したときの車両Aと負傷者Eとの間に働く衝撃力発生状態に関する事故情報に基づいて事故発生後の対応を支援するに当たり、予め設定されている、車両A及び負傷者Eの仮想的な力学モデルA1,E1と事故情報とに基づき、事故を車両A及び負傷者Eの力学モデルA1,E1同士が仮想的に衝突した状態としてシミュレーションにより再現して、負傷者Eの損傷度の判定を行う。
特許請求の範囲
【請求項1】 車両が車外の人間と衝突した事故の発生により該車外の人間が負傷したときの車両と負傷者との衝突状態に関する事故情報、又は車両の事故発生時に車内の乗員が車両との衝突により負傷したときの車両と負傷者との間に働く衝撃力発生状態に関する事故情報の少なくとも一方を入力し、該事故情報に基づいて事故発生後の対応を支援するようにした対応支援システムであって、予め設定されている車両の仮想的な力学モデル及び負傷者の仮想的な力学モデルと、上記事故情報とに基づいて負傷者の損傷度を判定する判定手段を備えていることを特徴とする車両事故の対応支援システム。
【請求項2】 請求項1の車両事故の対応支援システムにおいて、事故情報は、事故発生時の車外もしくは車室内の画像情報、車両に作用する衝撃力情報又は車両の走行情報の少なくとも1つであることを特徴とする車両事故の対応支援システム。
【請求項3】 請求項1の車両事故の対応支援システムにおいて、負傷者の力学モデルは、負傷者の少なくとも年齢、身長、体重、過去の病歴及び負傷歴を含む身体的特徴に応じて設定されていることを特徴とする車両事故の対応支援システム。
【請求項4】 請求項1の車両事故の対応支援システムにおいて、事故情報は、負傷者の外見の損傷状態に基づいてマニュアルにより入力可能とされていることを特徴とする車両事故の対応支援システム。
【請求項5】 請求項1の車両事故の対応支援システムにおいて、判定手段による判定結果に基づいて負傷者に対する医療処置方法を出力する出力手段を備えていることを特徴とする車両事故の対応支援システム。
【請求項6】 車両が車外の人間と衝突した事故の発生により該車外の人間が負傷したときの車両と負傷者との衝突状態に関する事故情報、又は車両の事故発生時に車内の乗員が車両との衝突により負傷したときの車両と負傷者との間に働く衝撃力発生状態に関する事故情報の少なくとも一方に基づいて事故発生後の対応を支援する対応支援方法であって、予め設定されている車両の仮想的な力学モデルと負傷者の仮想的な力学モデルと上記事故情報とに基づいて負傷者の損傷度を判定することを特徴とする車両事故の対応支援方法。
【請求項7】 請求項6の車両事故の対応支援方法において、車両及び負傷者の各力学モデルを予めデータベースとして所定の管理センタに記録しておき、上記管理センタに対し、事故情報を事故関係者側又は事故処理機関側から入力させて、該管理センタで負傷者の損傷度を判定することを特徴とする車両事故の対応支援方法。
【請求項8】 請求項6の車両事故の対応支援方法において、負傷者の損傷度の判定結果の情報を事故関係者側、事故処理機関側、及び/又は負傷者の搬送先の救急医療機関側に送信することを特徴とする車両事故の対応支援方法。
【請求項9】 請求項6〜8のいずれか1つの車両事故の対応支援方法をコンピュータが実行するための処理ステップを有することを特徴とする車両事故の対応支援プログラム。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の事故により負傷者が発生したときの対応を支援するシステム、その方法、及びそのプログラムに関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来より、車両に事故が発生したときに、その事故車両についての対応を支援するシステムの一種として、特開平11―66147号公報に示されるように、対象とする事故車両の損傷のない状態の画像を車両の種類毎に記憶させるともに、各種類の車両に対し加わる外力により生じる損傷部位や部品を示す損傷診断情報を、外力の入力位置、入力方向及び大きさに関連付けて記憶させておき、事故車両の画像を入力し、その事故車両の画像と該事故車両に対応して記憶されている損傷のない車両の画像とを比較して、外力の入力位置、入力方向及び大きさを検出するとともに、この検出したデータに対応して、記憶されている損傷診断情報を取り出すことにより、事故車両に対する修理等の見積もりのばらつきをなくして均一化するようにしたものは知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来例の技術では、事故車両の画像と、その事故車両に対応する損傷前の車両の画像との比較により損傷部位や部品について損傷の診断を行うことで、事故車両自体の損傷状態を見積もりするだけであり、事故により負傷者が発生した場合でも、その負傷者について何等考慮されていない。
【0004】すなわち、例えば車両が歩行者、自転車や自動二輪車等と衝突して、その歩行者や自転車等に乗った人間が負傷したとき、或いは車両の事故によりその運転者を含む乗員が自車両の車体に衝突して負傷したときに、通常、その負傷者は救急車両等により緊急に病院等の救急医療機関に運ばれるが、その際、負傷者の損傷度は、救急医療機関で医療関係者が診断するまで正確に判定できず、一刻を争う場合であってもその判定に至るまでに遅れが生じるという問題があった。
【0005】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、車両の事故により負傷者が発生したときにその負傷者の損傷度を前もって的確に判断できるようにして、事故の対応を支援するようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的の達成のため、この発明では、人間及び車両の仮想的な力学モデルをそれぞれ設定し、これらの力学モデルと事故についての事故情報とを基に負傷者の損傷度を判断するようにした。
【0007】具体的には、請求項1〜5の発明は車両の事故の対応支援システムに関する発明であり、請求項1の発明では、車両が車外の人間と衝突した事故の発生により該車外の人間が負傷したときの車両と負傷者との衝突状態に関する事故情報、又は車両の事故発生時に車内の乗員が車両との衝突により負傷したときの車両と負傷者との間に働く衝撃力発生状態に関する事故情報の少なくとも一方を入力し、該事故情報に基づいて事故発生後の対応を支援するようにした対応支援システムが対象である。
【0008】そして、予め設定されている車両の仮想的な力学モデル及び負傷者の仮想的な力学モデルと、上記事故情報とに基づいて負傷者の損傷度を判定する判定手段を備えていることを特徴とする。
【0009】上記の構成によると、車両が車外の人間と衝突して該人間が負傷したときの車両と負傷者との衝突状態に関する事故情報、又は車両の事故発生時に車内の乗員が車両との衝突によって負傷したときの車両と負傷者との間に働く衝撃力発生状態に関する事故情報の少なくとも一方が入力されると、判定手段において、その事故情報と、車両の仮想的な力学モデルと、負傷者の仮想的な力学モデルとに基づいて負傷者の損傷度が判定され、このことで事故発生後の対応が支援される。
【0010】こうして車両の力学モデル及び負傷者の力学モデルと事故情報とにより負傷者の損傷度が判定されるので、その事故を車両及び負傷者の力学モデル同士が仮想的に衝突した状態として再現でき、この力学モデル同士の衝突により負傷者の損傷度の判定を的確に行うことができる。
【0011】請求項2の発明では、上記事故情報は、事故発生時の車外もしくは車室内の画像情報、車両に作用する衝撃力情報又は車両の走行情報の少なくとも1つとする。このことで、負傷者の損傷判定に用いるのに好適な事故情報が得られ、その負傷者の損傷度の判定を確実に行うことができる。
【0012】請求項3の発明では、上記負傷者の力学モデルは、負傷者の少なくとも年齢、身長、体重、過去の病歴及び負傷歴を含む身体的特徴に応じて設定されているものとする。こうすれば、望ましい負傷者力学モデルが設定されて、負傷者の損傷度の判定を確実に行うことができる。
【0013】請求項4の発明では、上記事故情報は、負傷者の外見の損傷状態に基づいてマニュアルにより入力可能とする。こうすると、事故の現場で事故関係者や救急隊員等の事故処理関係者が負傷者の外見の損傷状態をマニュアルで入力することができ、負傷者のより一層具体的な損傷状態を入力して、その損傷度の判定を確実に行うことができる。
【0014】請求項5の発明では、さらに、上記判定手段による判定結果に基づいて負傷者に対する医療処置方法を出力する出力手段を備えているものとする。このことで、判定手段により負傷者の損傷度が判定されると、この損傷度に基づき出力手段から医療処置方法が出力される。そして、この医療処置方法を例えば救急医療機関に出力して提示することで、より迅速な処置が可能となる。
【0015】請求項6〜8の発明は車両事故の対応支援方法に関する発明であり、請求項6の発明では、車両が車外の人間と衝突した事故の発生により該車外の人間が負傷したときの車両と負傷者との衝突状態に関する事故情報、又は車両の事故発生時に車内の乗員が車両との衝突により負傷したときの車両と負傷者との間に働く衝撃力発生状態に関する事故情報の少なくとも一方に基づいて事故発生後の対応を支援する対応支援方法が対象であって、予め設定されている車両の仮想的な力学モデルと負傷者の仮想的な力学モデルと上記事故情報とに基づいて負傷者の損傷度を判定することを特徴とする。この発明でも上記請求項1の発明と同様の作用効果が得られる。
【0016】請求項7の発明では、上記請求項6の車両事故の対応支援方法において、車両及び負傷者の各力学モデルを予めデータベースとして所定の管理センタに記録しておき、この管理センタに対し、事故情報を事故関係者側又は事故処理機関側から入力させて、この管理センタで負傷者の損傷度を判定する。こうすれば、車両及び負傷者の各力学モデルを管理センタで予めデータベースとして一括して記録し管理できるとともに、この管理センタに個々の事故情報を事故関係者側又は事故処理機関側から入力させるだけで、その事故に対応する負傷者の損傷度を、データベースによる車両及び負傷者の力学モデルと入力された事故情報とにより判定することができ、負傷者に対する早急な対応が可能となる。
【0017】請求項8の発明では、請求項6の車両事故の対応支援方法において、負傷者の損傷度の判定結果の情報を事故関係者側、事故処理機関側、及び/又は負傷者の搬送先の救急医療機関側に送信する。このことで、負傷者に対する早急な対応を行うことができる。
【0018】請求項9の発明は車両事故の対応支援プログラムの発明であり、この発明では、上記請求項6〜8のいずれか1つの車両事故の対応支援方法をコンピュータが実行するための処理ステップを有することを特徴とする。このことで、上記請求項1の発明と同様の作用効果が得られる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態に係る車両事故の対応支援システムの全体構成を示し、Aは車両、Bは事故処理機関の一部をなす救急車(この他、パトロールカーであってもよい)であって、この車両A及び救急車Bにはそれぞれコンピュータ1,2が搭載されている。Cは病院や救急センタ等の救急医療機関、Dは管理センタであって、これらにもそれぞれコンピュータ3,4が設置されている。そして、車両A、救急車B、救急医療機関C及び管理センタDの各コンピュータ1〜4は端末とされてインターネット等の通信ネットワーク5により互いに情報の授受可能に接続されている。
【0020】図2に示すように、上記車両Aにはコンピュータ1の他に、車外の状態として例えば車両A前方を撮像する車外モニタ7と、車室内を撮像する車内モニタ8と、車両Aの例えば前後方向等の加速度を検出する加速度センサ9と、車速を検出する車速センサ10と、車両Aの現在位置を検出するGPSセンサ等の現在位置センサ11とが少なくとも搭載されている。
【0021】上記車外モニタ7は、車両Aがその前方等にいる車外の人間と衝突して該車外の人間が負傷したときに該負傷者Eと車両Aとの衝突状態を撮像する。一方、車内モニタ8は、車両Aが他車等の障害物と衝突した事故発生時に車室内の乗員が車両Aとの衝突によって負傷したときの該負傷者Eと車両Aとの衝突状態を撮像する。上記車両Aが衝突して負傷者Eとなった車外の人間とは、通常の歩行者の他、車両Aが自転車や自動二輪車等と衝突したときに、その自転車や自動二輪車等に乗った人をも含む。
【0022】そして、上記各モニタ7,8及び各センサ9〜11の各出力信号はコンピュータ1に入力されており、このコンピュータ1は、車両Aの事故発生を判定するとともに、車両Aが車外の人間と衝突した事故の発生により車外の人間が負傷したときの車両Aと負傷者Eとの衝突状態に関する事故情報に関する事故情報や、車両Aの事故発生時に車内の乗員が車両Aとの衝突によって負傷したときの車両Aと負傷者Eとの間に働く衝撃力発生状態に関する事故情報を出力し、この事故情報を通信ネットワーク5を介して少なくとも管理センタDのコンピュータ4(救急車Bや救急医療機関Cの各コンピュータ2,3を加えてもよい)に入力させるようにしている。
【0023】上記車両Aのコンピュータ1から出力される事故情報としては、加速度センサ9により検出された加速度、各モニタ7,8により撮像された画像情報、車速センサ10により検出された車速、事故発生時の車両Aの現在位置やその時刻等が用いられる。上記事故情報は、負傷者Eの外見の損傷状態に基づいてマニュアルにより入力可能とされており、乗員等の事故関係者が負傷者Eのけがの位置等の身体的特徴をマニュアルで入力する。
【0024】尚、上記コンピュータ1による車両Aの事故発生の判定は、後述する如く、例えば車両Aが急制動された後に一定時間以上停車状態にあるときを自動的に事故の発生と判定する(尚、車両Aの乗員や周辺の人間がマニュアルで判定するようにしてもよい)。
【0025】また、上記車両Aのコンピュータ1により事故情報を出力するようにするのに加え、さらに、事故現場に到着した救急車Bの救急隊員が負傷者Eに関する詳細な事故情報(例えば負傷者Eの心拍数、血圧、外見負傷部位等の身体的特徴)を救急車Bに搭載のコンピュータ2により出力させて、管理センタDのコンピュータ4での事故再現シミュレーションに利用させるようにしてもよい。
【0026】上記救急車Bにはコンピュータ2の他に表示器(図示せず))が、また救急医療機関Cには、コンピュータ3の他に表示器3a(ディスプレイ)がそれぞれ設けられている。
【0027】また、図3に示すように、上記管理センタDにはコンピュータ4の他、バーチャルテスティング用データベース14と、過去事故情報データベース15と、負傷者Eの損傷度を表示する表示器16(ディスプレイ)とが設けられている。上記バーチャルテスティング用データベース14には、車両Aの3次元の設計図面データと、車両Aの仮想的な力学モデルA1(図8参照)及びそれを設定するためのバーチャルテスティング用車両力学モデルデータとが車種別に記憶されているとともに、負傷者Eの仮想的な力学モデルE1(図9参照)及びそれを設定するためのバーチャルテスティング用負傷者力学モデルデータが記憶されている。
【0028】上記車両力学モデルA1は、図8に示すように、車両Aの車体フレームや部品等の位置による剛性強度等に基づいて設定されている。また、上記バーチャルテスティング用負傷者力学モデルデータには、負傷者Eの身体的特徴、例えば年齢、身長、体重に加え、過去の病歴や負傷歴等が含まれ、この負傷者力学モデルE1は、図9に示すようにダミー人形を使用した実験に基づいて設定されている(尚、仮想的なダミー人形を使用して負傷者力学モデルE1を設定するようにしてもよい)。
【0029】一方、過去事故情報データベース15には、過去の事故情報及びそれに対応する負傷者の損傷度が記憶されている。
【0030】そして、管理センタDのコンピュータ4はデータ入出力部18、負傷者情報解析部19、事故再現シミュレーション部20及び負傷者損傷度判定部21を備えている。上記負傷者情報解析部19は、上記車両Aのコンピュータ1から送信されてきた、モニタ7,8による画像情報から負傷者Eの情報を解析する。この負傷者Eの情報の解析とは、具体的には例えば負傷者Eの身体的特徴を推定するもので、この身体的特徴は負傷者Eの年齢、身長、体重等が用いられる。
【0031】事故再現シミュレーション部20は、上記バーチャルテスティング用データベース14に記憶されている車両Aの3次元の設計図面データと、バーチャルテスティング用車両力学モデルデータによる車両Aの仮想的な力学モデルA1と、バーチャルテスティング用負傷者力学モデルデータによる負傷者Eの仮想的な力学モデルE1とに基づき車両Aと負傷者Eとの衝突状態をシミュレーションにより再現する。
【0032】そして、上記負傷者損傷度判定部21は、事故再現シミュレーション部20により再現された仮想力学モデルA1,E1同士の衝突状態と、過去事故情報データベース15に記憶されている過去の事故情報及びそれに対応する負傷者の損傷度とから、実際の負傷者Eの損傷度を判定し、この判定結果を表示器16に出力して表示するとともに、同じ判定結果の情報を上記救急車B及び救急医療機関Cのコンピュータ2,3に出力する。
【0033】上記事故再現シミュレーション部20及び負傷者損傷度判定部21において、例えば車両Aが歩行者に衝突してその歩行者が負傷した場合を例示すると、事故再現シミュレーション部20において、車両力学モデルA1と負傷者力学モデルE1とをシミュレーションにより衝突させて負傷者Eの身体のどの部位が車両Aにおける車体のどの箇所に接触したかを特定し、ダミー人形と車両Aとの衝突実験による各種のデータから衝突の類似パターンを選定し、その衝突のパターンに基づいて負傷者Eに加わった衝撃の加速度や力を算出する。すなわち、車両力学モデルA1では、車両Aにおける車体の剛性や硬さ、部品の配置等により、外部からの衝撃に対する変形吸収度等が明確になるように設定されている。一方、負傷者力学モデルE1についても同様で、どの部位に所定の大きさの衝撃が作用したときにはどの程度の損傷を受けるか等が明確に設定されており、これらの両力学モデルA1,E1同士を衝突させるシミュレーションを行うことにより、負傷者Eに加わった衝撃の加速度や力を算出することができる。そして、仮想的な両力学モデルA1,E1同士の衝突の結果から、衝突の類似パターンに対応する負傷者Eの損傷度の情報を抽出し、負傷者損傷度判定部21においては、上記負傷者Eの身体の接触部位及び車体の接触箇所と、負傷者Eに加わった衝撃加速度や衝撃力と、衝突の類似パターンに対応する負傷者の損傷度の情報とから、実際の負傷者Eの損傷度を判定する。
【0034】上記表示器16での表示状態を例示すると、図7に示すように、表示器16の表示画面には、(1)事故が発生した時刻を示す事故発生時刻表示部23、(2)負傷者Eの氏名、その住所及び連絡先を示す負傷者表示部24、(3)負傷者Eの身体的特徴を示す身体的特徴表示部25、(4)事故が発生した場所を示す事故発生場所表示部26、(5)事故の情報が入力されて来た相手を示す事故情報提供アドレス表示部27、及び(6)衝突時前後の映像をアニメーションで示すシミュレーションバーチャルテスティング映像表示部28が配置されている。
【0035】さらに、表示器16の表示画面には負傷者Eに相当する人体を表す人体表示部29(この人体表示部29は負傷者Eの前面又は背面を選択して表示する)が設けられ、この人体表示部29の周りには、図7で時計回り方向に順に、頭部損傷表示部30、胸部損傷表示部31、手腕部損傷表示部32、脚部損傷表示部33、背部損傷表示部34、腹部損傷表示部35及び首部損傷表示部36が配置されている。この各損傷表示部30〜36には、負傷者Eの身体の当該部位が受けた衝撃レベルを表示する衝撃レベル表示部37と、その各損傷部位の具体的な損傷状態を示す損傷状態表示部38とがそれぞれ組み合わされて配置されている。また、人体表示部29の人体中には上記負傷者Eの具体的な損傷位置が表示され、その中でも特に強い衝撃を受けた損傷位置は赤色等の目立つ色で表示されるようになっている。尚、この他、負傷者Eが搬送される先の救急医療機関Cやその搬送時刻をも表示するようにしてもよい。
【0036】この実施形態に係る車両事故の対応支援システムでは、上記車両A、救急車B、救急医療機関C及び管理センタDの各コンピュータ1〜4が実行可能なプログラムが設けられている。このプログラムにより車両A、救急車B、救急医療機関C及び管理センタDの各コンピュータ1〜4において処理される動作の順序について説明する。図4は車両Aのコンピュータ1での処理ステップを示し、まず、最初のステップS1で各種センサ9〜11やモニタ7,8の出力データを入力し、次のステップS2で車両Aが急ブレーキの操作中にあるかどうかを判定する。この判定がNOのときには、ステップS3においてタイマがカウント中にあるかどうかを判定し、ここで非カウント中のNOと判定されると、ステップS4に進んでタイマのカウントをリセットした後、ステップS10に進む。ステップS3の判定がタイマカウント中のYESのときには、ステップS6に進む。
【0037】上記ステップS2の判定が急ブレーキ中のYESのときには、ステップS5において車速が0か否かを判定し、この判定が車速≠0のNOのときには上記ステップS4に進むが、判定が車速=0のYESのときには、ステップS6に進む。このステップS6では、タイマのカウント値Tを「1」だけインクリメントした後、ステップS7においてタイマのカウント値Tが所定値T0以上(T≧T0)になったか否かを判定する。この判定がT<T0のNOのときには上記ステップS10に進むが、T≧T0のYESであると、ステップS8に進み、自動的に事故情報を出力して例えば管理センタDのコンピュータ4等に送信する(同時に救急車Bや救急医療機関Cのコンピュータ2,3に送信してもよい)。この後、ステップS9においてタイマのカウントをリセットした後、ステップS10に進む。このステップS10では、負傷者Eの外見の損傷状態等の身体的特徴による事故情報のマニュアルによる入力送信操作があったかどうかを判定し、この判定が操作なしのNOのときにはそのままリターンするが、判定が操作有りのYESのときには、そのマニュアル入力された事故情報を上記ステップS8と同様に出力して管理センタDのコンピュータ4等に送信してからリターンする。
【0038】以上の処理動作により、急ブレーキ操作があって車両Aが急制動された後にタイマがカウントアップするまでの一定時間以上に亘り停車状態(車速=0)が継続しているときを事故の発生と判定し、この判定時には、自動的に事故情報を送信するとともに、負傷者Eの外見の損傷状態等の身体的特徴による事故情報のマニュアルによる入力送信操作があるときには、その事故情報をも送信するようにしている。
【0039】図5は管理センタDのコンピュータ4における処理ステップを示し、最初のステップS21で車両Aのコンピュータ1から送信されたデータ(事故情報)を入力する。次のステップS22では、負傷者情報解析部19により、車両Aのコンピュータ1からのモニタ7,8による画像情報により負傷者Eの情報を解析する(身体的特徴の推定)。この後、ステップS23に進み、事故再現シミュレーション部20に対し、バーチャルテスティング用データベース14に記憶されている車両Aの3次元の設計図面データ、バーチャルテスティング用車両力学モデルデータ、及びバーチャルテスティング用負傷者力学モデルデータを取り出し、ステップS24において事故再現シミュレーション部20により、これら車両Aの3次元の設計図面データ及びバーチャルテスティング用車両力学モデルデータによる車両Aの仮想的な力学モデルA1と、バーチャルテスティング用負傷者力学モデルデータによる負傷者Eの仮想的な力学モデルE1とに基づき車両Aと負傷者Eとの衝突状態を動的にシミュレーションにより再現する。次のステップS25では、過去事故情報データベース15に記憶されている過去の事故情報及びそれに対応する負傷者の損傷度を取り出し、ステップS26において、事故再現シミュレーション部20により再現された仮想力学モデルA1,E1同士の衝突状態と、過去事故情報データベース15に記憶されている過去の事故情報及びそれに対応する負傷者の損傷度とから、実際の負傷者Eの損傷度を判定する。この後のステップS27では、負傷者Eの損傷度の判定結果を表示器16に出力して表示し、ステップS28では、同じ判定結果の情報を救急車B(事故処理機関側)及び負傷者Eの搬送先の救急医療機関Cの各コンピュータ2〜4に送信して出力した後にリターンする。
【0040】図6は救急車B及び救急医療機関Cの各コンピュータ2,3における処理ステップを示し、最初のステップS31で管理センタDのコンピュータ4から送信されたデータを入力する。次のステップS32では、事故損傷情報の入力があるかどうかを判定し、この判定が入力なしのNOのときにはステップS31に戻るが、判定が入力有りのYESのときには、ステップS33に進んでその事故損傷情報を表示器に出力して表示する。
【0041】この実施形態では、上記ステップS22〜S26により、車両Aの仮想的な力学モデルA1と、負傷者Eの仮想的な力学モデルE1と、車両Aからの事故情報とに基づいて負傷者Eの損傷度を判定する判定手段41が構成されている。
【0042】次に、この実施形態の作用について説明すると、車両Aの走行中に急ブレーキ操作があって車両Aが急制動された後に一定時間以上に亘り停車状態が継続すると、車両Aが車外の人間(歩行者、自転車や自動二輪車に乗った人)と衝突して人間が負傷したか、或いは車内の乗員が車両Aと衝突して負傷したかした事故の発生状態と判定され、この判定時には、車両Aと負傷者Eとの衝突状態又は車両Aと負傷者Eとの間に働く衝撃力発生状態に関する事故情報が自動的に車両Aから管理センタDに送信される。
【0043】また、車両Aの乗員等の事故関係者や救急車Bの救急隊員等が負傷者Eの外見の損傷状態等の身体的特徴による事故情報をマニュアルで入力して送信操作したときには、その事故情報も送信される。こうして、事故の現場で事故関係者や救急隊員等の事故処理関係者が負傷者Eの外見の損傷状態をマニュアルで入力することができるので、負傷者Eのより一層具体的な損傷状態を入力して、その損傷状態の判定を確実に行うことができる。
【0044】これに対し、管理センタDでは、上記車両Aのコンピュータ1からのモニタ7,8による画像情報から負傷者Eの情報が解析されて身体的特徴が推定された後、事故再現シミュレーション部20により、バーチャルテスティング用データベース14に記憶されている車両Aの3次元の設計図面データ及びバーチャルテスティング用車両力学モデルデータによる車両Aの仮想的な力学モデルA1と、バーチャルテスティング用負傷者力学モデルデータからによる傷者Eの仮想的な力学モデルE1とに基づいて車両Aと負傷者Eとの衝突状態がシミュレーションにより再現されるとともに、負傷者損傷度判定部21において、事故再現シミュレーション部20により再現された仮想力学モデルA1,E1同士の衝突状態と、過去事故情報データベース15に記憶されている過去の事故情報及びそれに対応する負傷者の損傷度とから、実際の負傷者Eの損傷度が判定される。
【0045】そのとき、上記負傷者Eの力学モデルE1は、年齢、身長、体重、過去の病歴や負傷歴等、負傷者Eの身体的特徴に応じて設定されているので、望ましい負傷者力学モデルE1が設定されて、負傷者Eの損傷度の判定を確実に行うことができる。
【0046】そして、上記負傷者損傷度判定部21による負傷者Eの損傷度の判定結果は表示器16に出力されて表示される(図7参照)とともに、同じ判定結果の情報が救急車B及び救急医療機関Cの各コンピュータ2,3に出力される。これら救急車B及び救急医療機関Cでは、上記管理センタDのコンピュータ4から送信されたデータが表示器に表示され、以上により事故発生後の対応が支援される。
【0047】したがって、この実施形態においては、上記の如く、車両Aの事故により負傷者Eが発生したとき、その車両Aの力学モデルA1及び負傷者Eの力学モデルE1と事故情報とにより、その事故を車両A及び負傷者Eの力学モデルA1,E1同士が仮想的に衝突したとしてシミュレーションにより再現するので、このシミュレーションにより負傷者Eの損傷度の判定を的確に行うことができる。
【0048】また、上記車両Aのコンピュータ1から管理センタDのコンピュータ4に送信される事故情報は、事故発生時の車外及び車室内の画像情報、車両Aに作用する加速度等の衝撃力情報、並びに車速等の車両Aの走行情報であるので、負傷者Eの損傷判定に用いるのに好適な事故情報が得られ、その負傷者Eの損傷度の判定を確実に行うことができる。
【0049】さらに、上記車両A及び負傷者Eの各力学モデルA1,E1を予めデータベースとして管理センタDに記録しておき、この管理センタDに対し事故情報を、事故を起こした車両A(事故関係者)のコンピュータ1(又は事故処理機関として救急車Bのコンピュータ2)から送信して入力させ、この管理センタDで負傷者Eの損傷度を判定するので、管理センタDでは、車両A及び負傷者Eの各力学モデルA1,E1を予めデータベースとして一括して記録し管理できるとともに、この管理センタDに個々の事故情報を車両Aのコンピュータ1(又は救急車Bのコンピュータ2)を介して入力させるだけで、その事故に対応する負傷者Eの損傷度を、データベースによる車両A及び負傷者Eの力学モデルA1,E1と入力された事故情報とにより判定でき、負傷者Eに対する早急な対応が可能となる。
【0050】また、管理センタDにおいて判定された負傷者Eの損傷度の判定結果の情報が、救急車B(事故処理機関側)及び負傷者Eの搬送先の救急医療機関C側の各コンピュータ2,3に送信されるので、負傷者Eに対するより一層の早急な対応を行うことができる。
【0051】(他の実施形態)尚、上記実施形態では、管理センタDにおいて負傷者Eの損傷度を判定した結果を救急車B(事故処理機関側)及び負傷者Eの搬送先の救急医療機関Cの各コンピュータ2,3に送信するようにしているが、負傷者Eの損傷度に対する医療処置方法を予めデータベースとして記憶させておき、上記負傷者Eの損傷度の判定結果に基づいて負傷者Eに対する医療処置方法をデータベースのデータの中から選択して、その医療処置方法を損傷度の判定結果と共に送信する出力手段を設けてもよい。こうすれば、この医療処置方法を受けた救急医療機関Cでは、提示された医療処置方法を参考にすることで、負傷者Eに対するより迅速な処置が可能となる。
【0052】また、上記実施形態では、管理センタDで判定した負傷者Eの損傷度を救急車B(事故処理機関側)及び負傷者Eの搬送先の救急医療機関Cの各コンピュータ2,3のみに送信するようにしているが、これらに加えて、同じ判定結果の情報を事故車両A(事故関係者側)のコンピュータ1に送信するようにしてもよく、同様の作用効果が得られる。また、負傷者Eの損傷度の判定結果を事故車両A(事故関係者側)、救急車B(事故処理機関側)又は負傷者Eの搬送先の救急医療機関Cのコンピュータ1〜3のいずれか1つに送信するようにすることもできる。
【0053】さらに、救急医療機関Cにおいて負傷者Eに対する医療処置が完了した後、管理センタDにおいて、上記負傷者Eに対して施した実際の医療処置情報を求め、この医療処置情報と事故情報とを対応させたデータを入力してデータベース化するようにしてもよい。
【0054】また、上記実施形態では、車両Aから管理センタDに送信する事故情報として、事故発生時の車外及び車室内の画像情報、車両に作用する衝撃力情報並びに車両の走行情報の全てを送信するようにしているが、これらの少なくとも1つであればよい。
【0055】また、車両Aが車外の人間と衝突した事故の発生により該車外の人間が負傷したときの車両Aと負傷者Eとの衝突状態に関する事故情報と、車両Aの事故発生時に車内の乗員が車両Aとの衝突により負傷したときの車両Aと負傷者Eとの間に働く衝撃力発生状態に関する事故情報との双方を入力させるようにしているが、これら事故情報の少なくとも一方を入力させるようにすることもできる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1、6又は9の発明によると、車両が車外の人間と衝突して人間が負傷したときの車両と負傷者との衝突状態、及び/又は車両の事故発生時に車内の乗員が車両との衝突により負傷したときの車両と負傷者との間に働く衝撃力発生状態に関する事故情報に基づいて事故発生後の対応を支援するに当たり、予め設定された車両及び負傷者の仮想的な力学モデルと、事故情報とに基づいて負傷者の損傷度を判定するようにしたことにより、事故を車両及び負傷者の力学モデル同士が仮想的に衝突した状態として再現でき、負傷者の損傷度の判定を的確に行うことができる。
【0057】請求項2の発明によると、事故情報は、事故発生時の車外もしくは車室内の画像情報、車両に作用する衝撃力情報又は車両の走行情報の少なくとも1つとしたことにより、負傷者の損傷度の判定を確実に行うことができる。
【0058】請求項3の発明によると、負傷者の力学モデルは、負傷者の身体的特徴に応じて設定されているものとしたことにより、負傷者の損傷度の判定を確実に行うことができる。
【0059】請求項4の発明によると、負傷者の外見の損傷状態に基づいてマニュアルにより事故情報を入力可能としたことにより、事故現場で負傷者の外見の損傷状態をマニュアルで入力することができ、負傷者のより一層具体的な損傷状態を入力して、その損傷度の判定を確実に行うことができる。
【0060】請求項5の発明によると、上記負傷者の損傷度の判定結果に基づいてその医療処置方法を出力するようにしたことにより、この医療処置方法を例えば救急医療機関に提示して、より迅速な処置を行うことができる。
【0061】請求項7の発明によると、車両及び負傷者の各力学モデルを予めデータベースとして所定の管理センタに記録しておき、この管理センタにおいて、事故情報を事故関係者側又は事故処理機関側から管理センタに入力させて、負傷者の損傷度を判定することにより、車両及び負傷者の各力学モデルを予めデータベースとして一括して管理できるとともに、この管理センタに個々の事故情報を入力させるだけで、負傷者の損傷度を判定でき、負傷者に対する早急な対応を行うことができる。
【0062】請求項8の発明では、負傷者の損傷度の判定結果を事故関係者側のコンピュータ、事故処理機関側のコンピュータ、及び/又は負傷者の搬送先の救急医療機関側のコンピュータに送信することにより、負傷者に対する早急な対応を行うことができる。




 

 


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