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新型車両の企画立案支援のためのコンピュータ・プログラム - マツダ株式会社
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発明の名称 新型車両の企画立案支援のためのコンピュータ・プログラム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−99584(P2003−99584A)
公開日 平成15年4月4日(2003.4.4)
出願番号 特願2001−285866(P2001−285866)
出願日 平成13年9月19日(2001.9.19)
代理人 【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳 (外3名)
発明者 西山 晟人
要約 課題
比較対象車両に対する新型車両の商品性の構築を、ユーザが客観的な情報を利用して容易に行なうことができる新型車両の企画立案支援のためのコンピュータ・プログラムの提供。

解決手段
企画立案すべき新型車両に関する情報と、その新型車両がマークすべき比較対象車両とがユーザによって設定されると、サーバ・コンピュータは、当該新型車両と比較対象車両とを、車両単位、モジュール単位、或いは性能項目単位で容易に比較することができるグラフを表示する。
特許請求の範囲
【請求項1】 新型車両の企画立案支援のためのコンピュータ・プログラムであって、複数の比較対象車両に関する情報をデータベースに格納する情報格納機能と、企画立案すべき新型車両に関する情報を入力すると共に、その新型車両がマークすべき比較対象車両を、前記データベースを参照することにより、ユーザが前記コンピュータに設定可能な入力機能と、前記ユーザによる企画立案を支援すべく、前記入力機能により入力された前記新型車両に関する情報と、前記データベースに格納されている前記マークすべき比較対象車両に関する情報とに基づいて、前記新型車両と前記マークすべき比較対象車両とを比較可能な情報を算出し、算出結果を、前記ユーザに提供する情報提供機能と、を実現する動作指示をなすことを特徴とするコンピュータ・プログラム。
【請求項2】 前記情報格納機能により、前記データベースには、前記複数の比較対象車両に関する情報として、個々の比較対象車両の諸元情報と性能情報とが格納されており、前記入力機能は、前記新型車両に関する情報として、その新型車両の目標諸元及び目標性能を入力可能であって、前記情報提供機能は、前記新型車両の諸元情報及び性能情報と、前記マークすべき比較対象車両の諸元情報及び性能情報とに基づく演算を行なうことにより、前記新型車両と前記マークすべき比較対象車両とを、同一基軸のグラフ上で比較可能に表示することを特徴とする請求項1記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項3】 前記情報格納機能により、前記データベースには、前記複数の比較対象車両に関する情報として、個々の比較対象車両を構成する複数のモジュール毎に、個々のモジュールの性能を表わす標準化された評価値が格納されており、前記入力機能では、前記マークすべき比較対象車両を構成する複数のモジュールのうち、前記新型車両を構成するモジュールとの比較を希望するところの、モジュールの性能を表わす評価値を、デフォルト値から前記ユーザの所望の値に変更可能であり、前記情報提供機能は、変更後の評価値に基づいて、前記新型車両と前記マークすべき比較対象車両とを、モジュール単位で比較することを特徴とする請求項1記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項4】 前記情報格納機能により、前記データベースには、前記複数の比較対象車両に関する情報として、個々の比較対象車両の性能を表わす複数項目の性能情報が、それらの項目に共通の尺度である標準化された評価値として格納されており、前記入力機能は、前記新型車両の目標性能との比較を希望するところの、前記マークすべき比較対象車両の性能を表わす評価値を、デフォルト値から前記ユーザの所望の値に変更可能であり、前記情報提供機能は、変更後の評価値に基づいて、前記新型車両と前記マークすべき比較対象車両とを、性能項目単位で比較することを特徴とする請求項1記載のコンピュータ・プログラム。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータを利用したユーザの業務支援の分野に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、量産工業製品を製造する製造業においては、新製品を量産・販売するに際して、一般に、予め調査された市場動向等に基づいて新製品の仕様を企画する企画部門(企画工程)、企画された新製品の設計を行なう設計部門(設計工程)、設計された新製品を実際に量産すべく組み立てラインの設計・編成等を行なう生産技術部門(量産化工程)、設計・編成された組み立てラインにおいて実際に新製品を量産する生産部門(生産工程)等の複数の部門において、複数の作業者が協業して時系列に業務が進められてきた。
【0003】このような量産工業製品の分野のうち、自動車の分野においては、作業者の作業環境の改善と効率的な生産とを両立すべく、まず、生産部門では、生産設備への工業用ロボットや各種の組み立て支援装置等の導入が早くから進められ、現在に至っている。
【0004】更に、近年のコンピュータ技術の発達に伴う演算処理能力の飛躍的な進歩に応じて、生産技術部門の前工程を担う設計部門においては、CAD(Computer aided Design)/CAE(Computer aided Engineering)/CAM(Computer aided Manufacturing)ソフトウエアを利用した設計支援システムを活用することにより、車両設計、構造解析、性能評価、生産設備の仮想シュミレーション等をコンピュータ上で仮想的に行ない、従来は実際に(物理的に存在する)モックアップや試作車両を複数回作成して行なっていた各種の業務の効率化が図られるようになった。
【0005】そして、係る設計支援システムを活用した設計部門の業務の効率化に伴って、生産技術部門の担当者も、新型車両の設計の思案段階から製品の設計に関与することが容易となったことにより、後工程である量産化工程において、生産技術部門の担当者は、設計支援システムを利用して推考された確度の高い設計情報(3次元CAD情報等)を利用して、効率的な生産設備の編成・構築を行なえるようになった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、自動車の分野においては、上述したように設計部門(設計工程)と生産技術部門(量産化工程)とによる所謂コンカレント・エンジニアリングが比較的高いレベルで実現されており、効率的な業務が遂行されている。
【0007】このような現在の状況に対して、前工程を担う企画部門(企画工程)にて立案される新型車両の企画書(仕様書)は、一般に、その新型車両が目標とする各種の性能や諸元、コスト、並びにベンチマーク車両(比較対象車両)との性能比較等の膨大な項目が大量の書面に記載されたものである。このため、企画部門の担当者は、想定した新型車両の商品コンセプトを企画書に表現すべく、多くの時間を費やす必要がある。
【0008】また、自動車を開発・販売する企業の経営陣(所謂、部課長職を含む)は、従来、企画部門より提案された新型車両の企画書に基づいて、その新型車両の開発・販売を事業として実際に行なうか否かを判断しているが、係る大量の書面から新型車両の企画の本質を読み取ることは、ベテランの管理者にとっても容易なことではない。
【0009】また、設計部門は、一般に、企画部門において新型車両の企画書(仕様書)が上記の如く経営陣によって正式に承認されるまでは、原則として、その新型車両の量産設計に関与することが正式にはできない場合が多い。このため、設計部門は、承認がなされた新型車両の企画書を企画部門から受け取った段階から、その企画書を「 絶対的な業務指示書(マスター) 」として位置付け、具体的な設計を開始することになる。
【0010】しかしながら、設計部門が企画部門から受け取る企画書には、新型車両の市場における商品性を高めるべく、予想されるコストと目標性能とのアンバランス、車両レイアウトの成立性、或いは目標性能とは矛盾する仕様が含まれる場合がある。
【0011】或いは、設計部門における各部位の設計は辛うじて完了した場合であっても、試作部門も関与した試作車の製作段階において、例えば、思わぬところに干渉が発見される等の事情により、企画部門と設計部門とは、干渉箇所周辺のレイアウトについて現実的且つ大がかりな見直しを迫られる場合もあり、最終的な試作車が製作できるようになるまでにはかなりの時間を費やしてしまうという問題がある。
【0012】そして、これらの場合には、新型車両を市場に出すタイミングが遅れるだけでなく、新型車両の商品性が企画部門が本来目標としていたコンセプト(即ち、新型車両全体としての商品性)から外れてしまう、という切実な問題に至る。
【0013】ここで、上述した問題を招かないためには、企画部門と設計部門とによるコンカレント・エンジニアリングが可能な環境を整備することにより、既に行われている設計部門と生産技術部門とによるコンカレント・エンジニアリングと共に、新型車両の開発に携わる全部門間における総合的なコンカレント・エンジニアリング環境を実現することが考えられるが、コストパフォーマンスに優れた現実的な車両設計を行なわなければならない設計部門が、新型車両の商品性の構築を委ねられている企画部門の業務に関与することは、自動車という商品の性格上必ずしも好ましいことではない。
【0014】従って、上述した現在の状況を鑑みると、企画部門(企画工程)では、新型車両の企画に際して、商品性の高さは言うまでもなく、後工程の各部門が実現可能で、且つ完成度の高い企画書(企画情報)を、できるだけ短期間でまとめることが切望される。
【0015】また、企画部門の各担当者が後工程の各部門における十分な実務知識を有していれば、実現が困難な仕様、矛盾する仕様等が含まれる企画書が立案されることは回避されるが、企画部門の各担当者が全ての部門における実務知識を駆使できるべきであると考えるのは現実的ではない。但し、車両メーカには、既存車両の設計・量産に際して生成された膨大な情報が既に存在しており、それらの情報には、各部門の車両作りのためのノウハウが含まれるので、新型車両の企画や設計等にも有効に活用されるべきである。
【0016】本発明は、上述した課題を鑑みてなされたものであって、比較対象車両に対する新型車両の商品性の構築を、ユーザが客観的な情報を利用して容易に行なうことができる新型車両の企画立案支援のためのコンピュータ・プログラムの提供を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明に係る新型車両の企画立案支援のためのコンピュータ・プログラムは、以下の構成を特徴とする。
【0018】即ち、新型車両の企画立案支援のためのコンピュータ・プログラムであって、複数の比較対象車両に関する情報をデータベース(図3)に格納する情報格納機能と、企画立案すべき新型車両に関する情報を入力すると共に、その新型車両がマークすべき比較対象車両を、前記データベースを参照することにより、ユーザが前記コンピュータに設定可能な入力機能(図18(a)のボタン181)と、前記ユーザによる企画立案を支援すべく、前記入力機能により入力された前記新型車両に関する情報と、前記データベースに格納されている前記マークすべき比較対象車両に関する情報とに基づいて、前記新型車両と前記マークすべき比較対象車両とを比較可能な情報を算出し、算出結果(図13(a)及び(b))を、前記ユーザに提供する情報提供機能(図12ののボタン124)とを実現する動作指示をなすことを特徴とする。
【0019】好ましくは、前記情報格納機能により、前記データベースには、前記複数の比較対象車両に関する情報として、個々の比較対象車両の諸元情報と性能情報とが格納されており、前記入力機能は、前記新型車両に関する情報として、その新型車両の目標諸元及び目標性能を入力可能(図7(a)の領域71、図7(b)の領域72)であって、前記情報提供機能は、前記新型車両の諸元情報及び性能情報と、前記マークすべき比較対象車両の諸元情報及び性能情報とに基づく演算を行なうことにより、前記新型車両と前記マークすべき比較対象車両とを、同一基軸のグラフ(図13(a))上で比較可能に表示すると良い。
【0020】また、例えば前記情報格納機能により、前記データベースには、前記複数の比較対象車両に関する情報として、個々の比較対象車両を構成する複数のモジュール毎に、個々のモジュールの性能を表わす標準化された評価値が格納されており、前記入力機能では、前記マークすべき比較対象車両を構成する複数のモジュールのうち、前記新型車両を構成するモジュールとの比較を希望するところの、モジュールの性能を表わす評価値を、デフォルト値から前記ユーザの所望の値に変更可能(図8(a)の領域81、図8(b)の領域85)であり、前記情報提供機能は、変更後の評価値に基づいて、前記新型車両と前記マークすべき比較対象車両とを、モジュール単位で比較すると良い。
【0021】また、例えば前記情報格納機能により、前記データベースには、前記複数の比較対象車両に関する情報として、個々の比較対象車両の性能を表わす複数項目の性能情報が、それらの項目に共通の尺度である標準化された評価値として格納されており、前記入力機能は、前記新型車両の目標性能との比較を希望するところの、前記マークすべき比較対象車両の性能を表わす評価値を、デフォルト値から前記ユーザの所望の値に変更可能(図7(a)の領域72)であり、前記情報提供機能は、変更後の評価値に基づいて、前記新型車両と前記マークすべき比較対象車両とを、性能項目単位で比較する(図13(b))と良い。
【0022】
【発明の効果】上記の本発明によれば、比較対象車両に対する新型車両の商品性の構築を、ユーザが客観的な情報を利用して容易に行なうことができる新型車両の企画立案支援のためのコンピュータ・プログラムの提供が実現する。
【0023】即ち、請求項1の発明によれば、企画立案すべき新型車両に関する情報と、その新型車両がマークすべき比較対象車両とをコンピュータに対して設定するだけで、比較結果がユーザに提供されるので、ユーザは、比較対象車両に対する新型車両の商品性の構築を容易に行なうことができる。
【0024】また、請求項2の発明によれば、ユーザは、企画対象の新型車両と、比較対象車両との性能の比較を、同一基軸のグラフ上で客観的に行なうことができる。
【0025】また、請求項3、請求項4の発明によれば、既存車両の諸元情報及び性能情報を利用することによる企画検証の精度の高さと、企画対象の新型車両を設計部門が実際に設計開発する際に予想される技術的な進歩の度合いとを、バランス良く両立できると共に、ユーザは、企画対象の新型車両と、比較対象車両との性能の比較を、モジュール単位(請求項3)で、または性能項目単位(請求項4)でより詳細に客観的に行なうことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。はじめに、本発明を適用可能なコンピュータ・ネットワークの全体構成について説明する。
【0027】[ システム構成 ]図1は、本実施形態における新型車両の企画立案支援システムを適用可能なコンピュータ・ネットワークの構成を例示する図である。
【0028】同図において、車両メーカは、一例として、企画部門、デザイン部門、設計・解析部門、生産技術部門、並びに実験研究部門に大別される(尚、実際に車両を組み立てる生産部門は、本実施形態において特徴的なものではないので省略している)。
【0029】ここで、本実施形態における各部門の主な業務について概説する。
・企画部門:企画部門の担当者は、予め調査された市場動向等に基づいて新型車両の詳細仕様を企画し、企画の妥当性(実現性)を検討した後、企画案を車両メーカの経営陣に提案する。
・デザイン部門:デザイン部門の担当者は、企画部門によって企画された新型車両のコンセプト、性能、レイアウトが略決定された時点で、そのコンセプトの相応しい当該新型車両の形状デザインを行なう。
・設計部門:設計部門の担当者は、経営陣によって承認された新型車両の企画書(本実施形態ではデジタル化された企画情報)に基づいて、CAD/CAE/CAM等の作業支援ソフトウエア・プログラムを利用して、新型車両の具体的な設計(量産設計)を行なう。
・解析部門:解析部門の担当者は、設計部門にて設計された新型車両の設計情報を、各種のシュミレーション・ソフトウエア・プログラムを利用して仮想的に解析することにより、対象となる新型車両の性能や構造等についての検証を行なう。
・試作部門:試作部門の担当者は、設計部門において設計された設計情報に従って、試作車両を製作する。
・実験研究部門:実験部門の担当者は、試作部門によって製作された試作車に関する各種の実験を、実験装置4等を利用して行なう。
・生産技術部門:設計部門によって設計された新型車両を実際に量産できるように、組み立てラインの編成や生産設備の設計・構築等を行なう。
【0030】尚、サプライヤは、各種部品やモジュール(ユニット)を車両メーカに納入する。
【0031】上述した各部門には、パーソナル・コンピュータ等のユーザ端末2が配備されている。個々のユーザ端末2は、通信ネットワーク5によって情報の送受信が可能に接続されており、通信ネットワーク5には、更に、外部のサプライヤ(部品等の納入業者)に配備されているユーザ端末2が接続されている。
【0032】また、データベース3には、既存車両に関する各種の情報が格納されており、通信ネットワーク5を介して、各部門のユーザ端末2がアクセス可能である(詳細は後述する)。
【0033】そして、サーバ・コンピュータ1は、例えば企画部門の管理下に置かれており、当該企画部門のユーザ端末2による操作に応じて、データベース3に記憶されている各種情報を参照しならが、オペレータ(企画部門の担当者)による新型車両の企画立案を支援する(詳細は後述する)。
【0034】尚、図1に例示したシステム構成を実現する個々の装置の構成及びその通信手順自体は、現在では一般的であるため、本実施形態における詳細な説明は省略する。
【0035】[ 業務フロー ]次に、上述したシステム構成を利用して、本実施形態において実現する特徴的な業務の流れについて説明する。
【0036】図2は、本実施形態における新型車両の企画業務から生産技術業務に至る業務フローを概念的に示す図であり、本実施形態において、新型車両の企画が開始されてから、試作車両の製作及び車両評価試験を経て、量産が開始されるまでの各部門による業務は、同図に示すように、大別して、「第1ステップ」と「第2ステップ」とからなる。
【0037】<第1ステップ>まず、第1ステップにおいて、企画部門の担当者は、予め調査された市場動向等に基づいて構築した新型車両の商品コンセプトに従って、サーバ・コンピュータ1による企画立案支援処理を利用することにより、データベース3に格納されている複数種類の既存車両に関する情報を参照しながら、企画対象の新型車両の詳細仕様を企画し、企画の妥当性(実現性)を検証する。妥当性の検証業務は、サーバ・コンピュータ1による検証結果において実現可能であると判断されるまで、設定事項を調整しながら、企画部門において、再帰的に、繰り返し行なわれる(詳細は後述する)。
【0038】デザイン部門の担当者は、企画部門によって企画された新型車両のコンセプト、性能、レイアウトが概ねまとまった時点で、ユーザ端末2を利用して、そのコンセプトの相応しい当該新型車両の3次元形状デザインを開始する。
【0039】企画部門による検証によって実現性が確認された新型車両の企画情報(デジタル情報のデータファイル群)は、車両メーカの経営陣に提案される。
【0040】車両メーカの経営陣(所謂、部課長職を含む)は、企画部門から提案された新型車両の企画情報を参照すると共に、必要に応じて、データベース3に格納されている各種情報を参照しながら、当該新型車両の生産・販売を実際に行なうか否かを、商品性、スケジュール、予算、設備等の観点から総合的に判断する。判断に際しては、必要に応じて、企画部門に対する改善要求がなされ、その場合、企画部門では、その改善要求に基づく企画情報の改訂が行われ、改訂された企画情報が改めて経営陣に提案される。
【0041】このような承認業務を経て承認決定がなされた新型車両の企画情報は、「 絶対的な業務指示書(マスター) 」として位置付けられ、企画部門の後工程を担う設計部門、解析部門等の各部門に正式に配布される。
【0042】設計部門の担当者は、設計指示として受け取った企画情報に基づいて、CAD/CAE/CAM等の作業支援ソフトウエア・プログラムを利用して、新型車両の具体的な設計(量産設計)を開始する。企画情報には、データベースに既に格納されている既存車両に関する情報が含まれる、或いは関連付けされているので、設計部門では、最小限の工数で、新型車両の3次元形状を表わすソリッドモデル等の詳細設計を行なうことができる。
【0043】そして、解析部門の担当者は、設計部門における量産設計がある程度進んだ時点で、各種のシュミレーション・ソフトウエア・プログラムを利用して、対象となる新型車両の性能や構造等について仮想的な解析を行なうと共に、量産設計情報の精度の向上を図る。
【0044】また、デザイン部門にて生成された当該新型車両の形状デザインは、新型車両の企画情報とは別途、車両メーカの経営陣による承認業務を経て、承認決定がなされた新型車両の形状デザインを表わす形状情報は、デザイン部門の後工程を担う試作部門等の各部門に正式に配布される。
【0045】<第2ステップ>第2ステップにおいて、試作部門の担当者は、設計部門における量産設計が略まとまった時点で、設計部門によって設計された新型車両の設計情報(3次元CAD情報等)を利用して、試作車両を製作する。製作された試作車両には、実験研究部門の担当者により、各種の評価試験及びその試験結果の収集が行われる。試作車両の評価試験における試験結果は、設計部門によって量産車両の設計情報に反映される。
【0046】また、生産技術部門の担当者は、設計部門における量産設計が略まとまった時点で、設計部門によって設計された新型車両の設計情報(3次元CAD情報)に従って、CAD/CAE/CAM等の作業支援ソフトウエア・プログラムを利用して、組み立てラインにおける生産の作業性、作業能力、作業編成のシュミレーション等を開始する。
【0047】このとき、設計・解析部門、生産技術部門、並びに試作・実験研究部門では、各種の作業支援ソフトウエア・プログラム及びシュミレーション・ソフトウエア・プログラムを利用して業務が行われるので、設計部門から後工程(生産技術部門)に当初渡される設計情報は、細部の寸法設計等の作り込み(コンフィグレーション)が行われていない暫定的な情報であったとしても、係る後工程の部門は、担当業務の検討を開始することができ、必要に応じて、設計部門に対する改善を要求することもできる。改善要求がなされた場合、設計部門では、その改善要求に基づく設計情報の改訂が行われ、改訂された設計情報が改めて後工程の各部門に渡される。
【0048】本実施形態において、企画部門から提供された企画情報は、データベース3に格納されている既存車両に関する各種の情報に基づく確度の高い情報である(詳細は後述する)。このため、第2ステップにおいては、図2に概念的に示すように、設計・解析部門、生産技術部門、並びに試作・実験研究部門の協業(コラボレーション)により、量産設計の最適化が行なわれるが、この間、企画部門(第1ステップ)にて先に生成された企画情報が実質的に変更されることは無い。
【0049】そして、第2ステップにおいて最適化された新型車両の設計情報(ソリッドモデル等の3次元CAD情報)は、量産用のプロダクト・モデルとして扱われ、図2には不図示の後工程(生産工程)では、この最終的な設計情報に従って、実際の量産が開始される。
【0050】尚、第2ステップにおけるコラボレーションを実現する具体的な手段については、一般的な設計技術手法やシュミレーション技術を採用するものとし、本実施形態における詳細な説明は省略する。
【0051】また、第2ステップにおいては、新型車両の量産設計情報、各種の解析結果、車両評価試験の結果等の各種情報が、設計部門、解析部門、試作・実験研究部門、並びに生産技術部門によってデータベース3に登録され、これにより、データベース3は、現実の最新情報によって更新される。更に、データベース3には、外部のサプライヤに配置されたユーザ端末2により、車両メーカに納入すべき部品またはモジュールの納期、生産ロット、コスト(金額)等の情報が登録される。
【0052】[ データベース3 ]次に、データベース3に格納される複数の既存車両に関する情報について具体的に説明する。
【0053】図3は、本実施形態においてデータベース3に格納される各種の情報を概念的に例示した図である。
【0054】同図に示すように、データベース3の内部には、・複数種類の既存車両に関して、車両レベルの諸元情報及び性能情報、・個々の既存車両を構成する複数種類のモジュールレベル(例えば、パワートレーンモジュール、シャシー等)の諸元情報及び性能情報、・個々の既存モジュールを構成する複数種類の部品レベルの諸元情報及び性能情報、・既存車両、既存モジュール、並びに既存部品のコスト情報、・既存車両、既存モジュール、並びに既存部品の3次元設計情報(3次元形状及びその寸法情報、並びに各種の属性情報等が含まれるソリッドモデル等の3次元CAD情報)、・既存車両を購入した顧客に関する情報、・既存車両を購入した顧客からの意見や苦情等の評価情報、・同業他社メーカが販売している既存車両としてのベンチマーク車両(比較対象車両)に関する車両レベルの諸元情報及び性能情報、等の各種項目の情報(レコード)が互いに関連付けされた状態で格納されている。これらの各種情報は、参照(再利用)を効率良く且つ容易にすべく、車両レベル、モジュールレベル、部品レベルなる3階層の分類によって体系立てられた状態で管理される。ここで、諸元とは、寸法や性能を表わす数値情報である。
【0055】上述した各種項目の情報が格納されているデータベース3には、SQL(Structured Query Language)等で記述された一般的なリレーショナル・データベース(RDB)を採用することができる。
【0056】本実施形態において、データベース3に格納された車両に関する各種の情報は、図2を参照して説明したように、その車両の開発時に、設計部門、解析部門、試作・実験研究部門、並びに生産技術部門によって登録された情報、外部のサプライヤによって登録された情報であり、顧客に関する情報、並びに顧客からの評価情報は、販売店やユーザによって登録されたものである。より具体的には、各部門やサプライヤに配置されたユーザ端末2において設定された情報は、通信ネットワーク5を介して、データベース3に格納される。データベース3は、例えばサーバ・コンピュータ1の管理下にあり、その場合、外部より受信した情報の格納動作は、サーバ・コンピュータ1によって制御される。
【0057】図4は、本実施形態においてデータベース3に格納される個々のレコードのデータフォーマットを例示する図であり、車両レベル、モジュールレベル、部品レベルの3階層の分類のうち、最小単位である部品レベルの情報を例示している。
【0058】即ち、同図には、既存部品に関する複数のレコードのうち、複数種類の既存車両に既に採用されている、或いは採用可能な複数種類のタイヤのレコードとして、そのタイヤが採用される車両の「ジャンル」及び「セグメント」、「シャーシ系」、「配置規制条件」、「生産・納期情報」、並びに諸元情報として「サイズ」及び「規格」、性能情報として「乗り心地」及び「操縦安定性(操安性)」の評価点が示されている。
【0059】ここで、「ジャンル」は、車両の用途や運動性能を表し、本実施形態では、セダン、ワゴン、クーペ等の分類がある。「セグメント」は、車両の大きさと、エンジンの排気量(電動機を使用する車両における当該電動機の出力を含む)とを含む車格を表し、本実施形態では、A,B,C等の記号で表される。
【0060】また、「配置規制条件」は、後述するレイアウトの検討段階において既存部品を配置する際の配置場所の規制条件を示す情報である。「生産・納期情報」は、既存部品の生産ロットや納入期日等の情報である。
【0061】図4に示す各タイヤについての上記の各情報項目のうち、「ジャンル」及び「セグメント」は、対象であるタイヤが採用されている既存車両との車両レベルの関連付けを表わす情報である。「シャーシ系」は、対象であるタイヤが採用されている既存モジュールとのモジュールレベルの関連付けを表わす情報であり、型式XX、型式YY、・・・は、その識別情報である。尚、車両レベルの関連付けを表わす情報には、個々の既存車両を特定する車両型式を利用または併用しても良い。
【0062】従って、データベース3をモジュールレベルで参照する際には、ある既存モジュールを特定する識別情報(型式等)を検索キーとして、その既存モジュールを構成する複数種類の既存部品のレコードが抽出される。また、データベース3を車両レベルで参照する際には、ある既存車両を特定する識別情報(ジャンル及びセグメント、或いは車両型式)を検索キーとして、その既存車両を構成する複数種類の既存モジュール、及びそれら既存モジュールに関連付けされている複数種類の既存部品のレコードが抽出される。
【0063】本実施形態において、性能情報の評価単位は、データベース3の3階層の管理体系に対応して、車両レベル(車両全体)、その車両を構成するモジュールレベル、並びに1つのモジュールを構成する部品の3つの階層に分類されている。それらレベルに属する各種項目の性能情報には、共通の尺度である標準化された評価点(評価値)が予め格納されており、本実施形態では、一例として、最も一般的な10点満点(0点〜10点)で表されている。本実施形態では、複数種類の既存車両の設計・解析・車両評価試験・生産に際して生成された膨大な情報を、このような体系でデータベース3に格納しておき、それらの情報に有形無形に含まれる各部門の車両作りのためのノウハウを、新型車両の企画立案作業に有効に活用する。
【0064】サーバ・コンピュータ1は、新型車両の企画支援を実行するに際して、予めメモリに格納されているソフトウエア・プログラムに従って、データベース3にアクセス可能である。また、各部門(サプライヤを含む)に配置されたユーザ端末2のオペレータ(ユーザ)は、予め設定されている許容範囲内で、データベース3に格納されている情報の追加、更新、或いは削除等のメンテナンスを行なうことができる。
【0065】[ 新型車両の企画立案支援処理 ]次に、企画部門の担当者が新型車両の企画立案に際して利用する企画立案支援処理について具体的に説明する。この支援処理は、ユーザ端末2におけるオペレータの操作に応じて、サーバ・コンピュータ1のCPU(不図示)が記憶媒体(ハードディスク装置等)に予め記憶されているプログラムを実行することにより、上述したデータベース3を参照しながら実現される。
【0066】図26は、本実施形態においてサーバ・コンピュータ1が行なう新型車両の企画立案支援処理の概要を示すフローチャートであり、所定の識別情報(ID)を有する企画部門の担当者がユーザ端末2にログインすることによって開始される。
【0067】尚、以下の説明においては、サーバ・コンピュータ1により、ユーザ端末2のディスプレイに所定の入力項目を有する各種の画面を表示する機能、表示された画面の入力項目に設定された情報をユーザ端末2から取得する機能、並びに所定の検索キーによってデータベース3を検索し、必要な情報を取得する機能等は、一般的な手順を採用するものとし、本実施形態における詳細な説明は省略する。
【0068】図26において、ステップS1:図5(a)に示すメニュー画面がユーザ端末2のディスプレイに表示され、このメニュー画面において、「各種データ参照」のソフトウエア・ボタン(以下、ボタンと略称する)53が選択された場合には、データベース3に格納されている各種の情報を、ログイン中のユーザ端末2(以下、単にユーザ端末2と記載する)において参照することができる。
【0069】また、図5(a)に示すメニュー画面において、「新規に企画」のボタン51が選択された場合には、図5(b)に示すメニュー画面が表示され、「企画車両のファイル」のボタン52が選択された場合には、既にサーバ・コンピュータ1に記憶されている新型車両の企画情報を選択することができ、選択が行なわれると、図5(b)に示すメニュー画面が表示される。
【0070】次に、図5(b)に示すメニュー画面において、「企画開始」のボタン55が選択された場合には後述するステップS3に進み、「性能特化車両の企画検索」のボタン56が選択された場合には後述するステップS4に進み、「規制上下限設定」のボタン58が選択された場合には後述するステップS2に進む。尚、このメニュー画面においても、「各種データ参照」のボタン57が選択された場合には、データベース3に格納されている各種の情報を、ユーザ端末2において参照することができる。
【0071】ステップS2:図5(b)に示すメニュー画面において「規制上下限設定」のボタン58が選択された場合には、規制上下限設定処理が起動し、この処理によって、まず、図6(a)に示すメニュー画面が表示される。
【0072】表示されたメニュー画面では、ユーザ端末2のオペレータにより、新型車両の企画立案を行なうに際して、その新型車両が絶対に満足しなければならない必須条件の設定が行われる。
【0073】図6(a)に示すメニュー画面の領域61には、企画を立案しようとしている新型車両の車両レベルの必須条件として、車両サイズ、エンジン性能、部材費(積算値)、重量、並びに車両形状等の項目が表示されており、オペレータは、必須条件を設定しようとする項目の選択操作を行なうことによってその項目に関する条件設定画面用のサブ画面(不図示)を展開し、対応する必須条件を設定する。
【0074】また、オペレータが新型車両の車両レベルの必須条件だけではなく、その新型車両を構成するモジュールレベルの必須条件の設定を希望する場合には、図6(a)に示すメニュー画面において、「モジュールレベル設定」のボタン63が選択されることにより、図6(b)に例示するようなメニュー画面が表示される。同図に例示する領域62には、モジュールの一例として、サスペンションについての部材費と重量、他部品との干渉余裕量等がオペレータによって設定された状態が表示されている。
【0075】ユーザ端末2のオペレータは、少なくとも新たな新型車両の企画立案を開始する際には、ステップS3またはステップS4の企画処理によって実際に企画立案を開始するのに先立って、上記の如く企画対象の新型車両に関する必須条件をステップS2にて設定する必要がある。
【0076】ステップS3:目標性能及び目標諸元に基づく新型車両の企画処理では、ユーザ端末2を介してオペレータによって設定された企画対象の新型車両に関する目標性能及び目標諸元に基づいて、データベース3に格納されている既存車両に関する情報を参照しながら、それら目標性能及び目標諸元を満足する新型車両の企画(仕様)が立案される(詳細は図27を参照して後述する)。ユーザ端末2のオペレータは、予め立案した商品コンセプトに合致する新型車両の企画が得られるまで、入力情報を適宜調整しながら、サーバ・コンピュータ1に対して、係る企画処理を繰り返し実行させる。
【0077】ステップS4:性能特化車両の企画処理では、複数の性能項目のうち、ある性能項目についてオペレータによって設定された所望の目標性能を満足する性能特化車両を実現するための車両全体の企画(仕様)が立案される(詳細は図28を参照して後述する)。ユーザ端末2のオペレータは、予め立案した商品コンセプトに合う性能特化車両の企画が得られるまで、入力情報を適宜調整しながら、サーバ・コンピュータ1に対して、係る企画処理を繰り返し実行させる。
【0078】このように、図26に示す企画立案支援処理は、大別して、規制上下限設定処理(ステップS2)、目標性能及び目標諸元に基づく新型車両の企画処理(ステップS3)、並びに性能特化車両の企画処理(ステップS4)の3種類の処理によって構成さており、オペレータは、設定を適宜変えながら、所望の処理を繰り返し行なうことができる。
【0079】以下、上記の如く概説したステップS3及びステップS4の処理について詳細に説明する。
【0080】<目標性能及び目標諸元に基づく新型車両の企画処理>目標性能及び目標諸元に基づく新型車両の企画処理について、図7乃至図21、並びに図27を参照して説明する。
【0081】図27は、本実施形態においてサーバ・コンピュータ1が行なう新型車両の企画立案支援処理のうち、目標性能及び目標諸元に基づく新型車両の企画処理(ステップS3)の詳細を示すフローチャートである。
【0082】同図において、ステップS21:図18(a)に示すメニュー画面が表示され、本ステップでは、新型車両が成立するか否かを検証する際に参照されるべき各種の検証条件を、オペレータが、必要に応じてサーバ・コンピュータ1に対して設定する。図18(a)に示すメニュー画面において、「関連付け・プライオリティ評価基準・調整」のボタン183が選択された場合には、図18(b)に示すメニュー画面が表示される。
【0083】そして、図18(b)に示すメニュー画面において、「関連付け設定」のボタン184が選択された場合には、更に、図19(a)に示す関連付け設定のためのメニュー画面が表示され、このメニュー画面に表示された複数種類の性能項目に関して、オペレータは、関連付けの設定状態を変更することができる。
【0084】例えば、図19(a)に示すメニュー画面において、「操縦安定性」のボタン191が選択された場合には、図19(b)に例示するような画面が表示される。この画面の領域195には、サーバ・コンピュータ1がデータベース3を検索する際の現時点における関連付けの設定状態として、選択された性能項目である「操縦安定性(操安性)」に関して、その操安性を司る複数の性能項目及び諸元項目が表示されている。これら複数の性能項目及び諸元項目は、上述した如く車両レベル、モジュールレベル、並びに部品レベルでデータベース3に格納されている各レコードに含まれる情報項目である。オペレータは、「追加と削除」のボタン196を操作することにより、このとき表示される複数の性能項目及び諸元項目の編集が可能である。
【0085】また、図18(b)に示すメニュー画面において、「プライオリティ設定」のボタン185が選択され、図20(a)に示すプライオリティ設定のためのメニュー画面が表示された場合には、このメニュー画面の領域201に表示された複数種類の性能項目に関して、オペレータは、プライオリティの設定状態を変更することができる。
【0086】そして、図20(a)に示すメニュー画面において、例えば「操縦安定性」のボタンが選択された場合には、図20(b)に例示するような画面が表示される。
【0087】図20(b)に例示する画面の領域205には、選択された性能項目である操安性に関して、その操安性を司る複数の性能項目及び諸元項目毎に、サーバ・コンピュータ1がデータベース3を検索する際の現時点におけるプライオリティの設定状態が表示されており、オペレータは、表示されたプライオリティの設定を、プライオリティの重複を許容して変更可能である。
【0088】図20(b)に示す設定画面において設定された優先順位は、図7(a)及び図7(b)に示す設定画面においてオペレータが性能項目及び諸元項目毎に設定可能な許容値(許容範囲)と共に、新型車両が成立する可能性を表わす情報の演算に際してサーバ・コンピュータ1によって考慮される。これにより、検証結果の演算にユーザの希望を反映することができると共に、ユーザに対する検証結果の提供が不能になることを最小限にすることができる(詳細は後述する)。
【0089】また、図20(b)に示す詳細設定の欄206には、操安性を司る複数の性能項目及び諸元項目毎に、後述する検証結果算出のためのゲイン(係数)が表示され、オペレータは、表示されたゲインを変更することができる。
【0090】上述したように、本実施形態において、データベース3に格納されている各項目の性能情報は、評価点(評価値)として格納されており、検証結果の算出に際しては、必要な項目の性能情報を、個々の評価点として扱う。しかしながら、各項目の性能情報がされた評価点は、性能項目によって車両全体の性能に寄与する度合いが大きく異なる。そこで、本実施形態では、検証結果算出のためのゲインを、図20(a)及び図20(b)に例示する画面においてオペレータが調整可能に構成している。これにより、例えば、性能項目の一例として操安性の総合評価点TEを、その操安性を司る複数項目の評価点Enの加算によって算出する場合に、ゲイン調整が行なえない場合にはTE=E1+E2+・・・+Enとなるところ、評価点Enに対するゲインKnを利用して、TE=K1×E1+K2×E2+・・・+Kn×Enなる演算とすることができるので、現実的な検証が行なえる。
【0091】また、図18(b)に示す設定画面において、「評価指標設定」のボタン186が選択された場合には、更に、図21に示す評価指標の設定画面が表示され、このメニュー画面に表示された既存部品または既存モジュールに関する複数の性能項目の評価点及び諸元項目の数値の編集が可能である。図21に示す例では、データベース3に登録されている既存部品のうち、オペレータの選択操作に応じて、あるタイヤに関する画面が表示されており、同画面に含まれる左右の矢印がオペレータによって操作されるのに応じて、表示中のタイヤとは異なる他のタイヤの評価指標が表示される。
【0092】また、図18(a)に示すメニュー画面において、「比較対象車両設定」のボタン181が選択された場合には、更に、企画検証時にデータベース3から参照される比較対象車両の設定のための選択画面(不図示)が表示され、この選択画面に表示された複数種類の比較対象車両の中から、オペレータは、所望の比較対象車両を設定することができる。
【0093】また、図18(a)に示すメニュー画面において、「生産ライン」のボタン182が選択された場合に、オペレータは、企画対象の新型車両が実際に生産(量産)される際に利用される生産ラインを選択することができる。サーバ・コンピュータ1は、企画検証のための演算を実行するに際してデータベース3を参照する場合に、オペレータによって選択された生産ラインでは実現できない既存モジュールや既存部品は参照範囲から除外する。
【0094】ステップS22:図7(a)に示す設定画面の領域71において、企画対象の新型車両において車両レベルで実現したいと考えている各種の目標諸元がオペレータによって入力される。本ステップにおいて入力されるべき目標諸元の項目としては、同図に例示されている駆動方式、ジャンル、セグメント、サイズ(全長、全幅、全高)、重量等の他に、室内長、室内幅、室内高、最低地上高、乗車人員、最小回転半径、ホイールベース、トレッド等の項目を設定する必要がある。
【0095】個々の項目に目標諸元を入力する際には、目標値及びその許容値(許容範囲)を、目標評価点(10点満点)にて設定する必要がある。本実施形態において、オペレータによって許容値が設定されない、或いは0(ゼロ)が設定された場合、サーバ・コンピュータ1は、対応する項目の目標値がオペレータにとって絶対的な位置付けがあると判断し、後述するステップS26における演算処理では、その目標値には許容範囲を与えることなく、その目標値のままで演算を行なう。このように、ユーザ自身が任意に許容範囲を設定することができるので、サーバ・コンピュータ1の画一的な自動計算による支援処理に融通をきかせることができるので、利便性が向上する。
【0096】また、図7(a)に示す設定画面の領域71において、オペレータは、目標値に対する所望の許容値を具体的に設定する代わりに、プライオリティランクを設定することができる。プライオリティランクには、数種類(A、B、C等)が予め用意されており、オペレータは、各項目について何れかを選択することができる。サーバ・コンピュータ1の内部において、個々のプライオリティランクには、対応する許容範囲が予め設定されており、例えば、ある目標値を中心とする+方向及び−方向の許容範囲の幅は、A<B<C<・・・なる関係に設定されている。
【0097】ステップS23:図7(b)に示す設定画面の領域72において、企画対象の新型車両において車両レベルで実現したいと考える複数項目の目標性能がオペレータによって入力される。本ステップにおいて入力されるべき目標性能の項目としては、同図に例示されている操安性、乗り心地、動力性能、燃費等がある。個々の項目に目標性能を入力する際には、上述したデータベース3に評価点にて格納されている各種の性能項目に合わせて、新型車両において実現しようとする目標性能を表わす値として、目標点数及びその許容値(許容範囲)を、上述した図7(a)の場合と同様に、目標評価点(10点満点)にて設定する必要がある。また、ターゲット欄には、各目標性能を複数の既存車両(比較対象車両を含む)の集団の中でもトップクラスに位置付ける「リーダ」、または複数の既存車両集団の中で平均的なクラスに位置付ける「アマング」を設定することができる。例えば「リーダ」は、概ね8点以上の評価点であり、「アマング」は、6点乃至7点程度の評価点に相当する。
【0098】ステップS24:図7(b)に示す設定画面において、「詳細入力(モジュールレベル)」のボタン73が選択された場合は、図8(a)に示すモジュールレベルの目標性能設定画面が表示される。この画面では、企画対象の新型車両を構成する複数種類のモジュールのうち、「シャシー関連」のモジュールに目標性能を設定する際の状態が例示されており、フロント&リアサスペンションとして、オペレータの入力操作により、データベース3に格納されている評価点6.5点の既存部品が、キャリオーバ部品として設定され、その6.5点の評価点に対する改善目標として、領域81には、操安性に+1点、乗り心地に+0.5点が入力されいる(キャリオーバ部品の選択操作についてはステップS25として後述する)。
【0099】但し、このとき、その変更後の評価値の妥当性が、データベース3に記憶されているところの、対応する項目の過去の評価値の改善度合いに基づいて判断され、妥当でないと判断された場合には、その旨がオペレータに報知される。例えば、過去の複数回の設計更新が行われる度に、平均して+0.5点の評価点の改善がなされていた事実に対して、企画対象の新型車両では、現在の評価点に対して、+1.5点という改善目標が設定された場合は、一般的には実現が困難であると予想されるので、係る場合には、その旨がオペレータに報知される。
【0100】このように、本実施形態では、後工程を担う設計部門の担当者が実現することが困難な評価値をユーザ(企画部門の担当者)が設定した場合には、その旨が報知されるので、非現実的な新型車両の企画が立案されることを未然に防止することができるので、既存車両の諸元情報及び性能情報を利用することによる企画検証の精度の高さと、企画対象の新型車両を設計部門が実際に設計開発する際に予想される技術的な進歩の度合いとを、バランス良く両立できる。
【0101】ここで、キャリオーバ(carry-over)部品とは、企画対象である新型車両においても採用を希望する既存部品であって、3次元形状及びその寸法情報、並びに各種の属性情報等が含まれるソリッドモデル等の3次元CAD情報が既にデータベース3に格納されている。複数のキャリオーバ部品(既存部品)によって構成される一機能単位は、キャリオーバ・モジュールと称する。
【0102】また、図8(a)に示すモジュールレベルの目標性能設定画面では、オペレータの入力操作により、上記のフロント&リアサスペンションと共に使用されるタイヤが設定されている。更にこの画面では、4WS、パワーステアリング、ABS等の設定の要否も設定することができる。
【0103】また、ステップS24では、図8(b)に示す設定画面において、複数種類のモジュールに関する目標項目の中でも新型車両の運動性能を決定付ける重要なモジュールとして、パワートレーンに対する目標性能の設定が可能である。この設定画面において、オペレータは、既存部品(既存モジュール)としてデータベース3に登録されている複数種類のエンジン及び変速機等の中から所望のものを選択することができる。
【0104】データベース3に記憶されている既存部品(既存モジュール)のレコードには、現時点における能力(実力)を示す情報として、性能項目の評価点或いは諸元項目の実力値が関連付けされている。そこで、本ステップにおいて、オペレータは、選択したエンジン及び変速機等の所望の既存部品(既存モジュール)に対して、設計部門による新型車両の設計において達成を希望する評価値の改善目標(既存部品等の現在の能力から改善を希望する程度)を、図8(b)に示す設定画面の領域85において設定することができる。但し、このとき、その変更後の評価値の妥当性が、データベース3に記憶されているところの、対応する項目の過去の評価値の改善度合いに基づいて判断され、妥当でないと判断された場合には、その旨がオペレータに報知される。これにより、既存車両の諸元情報及び性能情報を利用することによる企画検証の精度の高さと、企画対象の新型車両を設計部門が実際に設計開発する際に予想される技術的な進歩の度合いとを、バランス良く両立できる。
【0105】ステップS25:ステップS24においてモジュールレベルで目標性能を設定する際には、図9に示すキャリオーバ設定画面の領域91において、企画対象の新型車両に採用を希望する既存部品または既存モジュールを選択することができる。即ち、この画面において、「既存車両の選択」ボタンの操作によってデータベース3に登録されている何れかの既存車両がオペレータによって選択されると、対応する既存車両の設計情報であるソリッドモデル等を利用して、その既存車両の3次元形状のモデルがユーザ端末2のディスプレイに表示される。オペレータは、ディスプレイに表示された3次元形状のモデルの中から、その既存車両を構成する既存部品または既存モジュールを、図10及び図11に例示するように、例えばマウス等のポインティングデバイスを用いた選択操作により、新型車両にて採用するキャリオーバ部品またはキャリオーバモジュールとして選択することができる。
【0106】図10及び図11は、オペレータによってキャリオーバ設定がなされた状態の既存車両の3次元形状のモデルを例示する図であり、同図では、キャリオーバ設定がなされなかった部分がハッチングで、同設定がなされた部分が白抜きで表示されている。
【0107】図9に示すキャリオーバ設定画面において選択された既存部品または既存モジュールは、企画対象の新型車両に採用された場合にも、そのままの状態(設計)で流用されることが前提となるので、本システムにおいても、図8(a)に例示したように少々の改善目標のマニュアル設定は許容されるものの、原則として、キャリオーバ設定された既存部品または既存モジュールの性能情報や諸元情報が、オペレータによる操作または企画検証のための演算に際して大きく更新されることは制限される。
【0108】ステップS26:企画対象の新型車両についての車両レベル及びモジュールレベルの目標性能及び目標諸元が上述した各ステップにおいて設定された段階で、オペレータは、図12に示す表示画面を利用して、新型車両の企画検証を行なうことができる。設定された目標性能及び目標諸元に基づいて算出された検証結果は、ユーザ端末2のオペレータに提示される。
【0109】図12に示す表示画面において、「企画車両イメージ」のボタン121が操作された場合には、上述した各ステップにて設定された目標性能及び目標諸元に基づいて、企画対象の新型車両を表わすグラフィックが、ユーザ端末2のディスプレイに表示される。
【0110】但し、このとき表示される車両の形状には、その車両特有の意匠(形状デザイン)が施されている訳ではなく、図7(a)の設定画面において設定された当該新型車両のジャンル及びセグメントによって概ね決定される占有空間の形状に対して、同設定画面において設定されたサイズ情報が反映された車両形状がベースとなり、そのベースとなる車両形状(簡易ボディ)に対して、選択された既存モジュール(キャリオーバモジュールを含む)や既存部品等が配置された程度のグラフィックである。ベースとなる車両形状に対する既存モジュールや既存部品の配置に際しては、図4に例示する如くデータベース3に記憶されているところの、個々の既存部品及び既存モジュールで関連付けされている配置規制条件が参照される。
【0111】より具体的には、先に設定された車両のジャンル、セグメント、並びにサイズに基づいて決定される簡易ボディに対して、各種の既存モジュールの3次元設計情報を利用して、同一の座標空間上に、車両を構成する主なコンポーネントが、データベース3に関連付けされた状態で記憶されている配置規制条件に従って自動的に配置される。このとき、各種の既存モジュールの3次元設計情報は、そのまま利用されるのではなく、例えば個々のコンポーネントを立方体や円筒等の3次元の箱レベルで配置・移動すべく、係る設計情報に含まれる外形寸法(縦、横、高さ)、並びに重心位置の情報が利用される程度であり、例えばソリッドモデル等として表現された各部位の詳細な設計形状、属性情報等は使用されることはない。
【0112】但し、既存モジュールがキャリオーバモジュールとして利用される場合には、企画対象の新型車両においても現在の設計のままで流用されることが前提なので、その既存モジュールの3次元設計情報をそのまま利用し、配置変更を規制することにより、経済性の高い新型車両の企画を容易に行なうことができるように構成すると良い。
【0113】簡易ボディに自動的に配置されるコンポーネントは、タイヤ、サスペンションモジュール、エンジンモジュール、ステアリングホイール、シート、計器パネル、燃料タンク等の主要なコンポーネントであり、それらに関連付けされている配置規制条件に従って、簡易ボディに対して自動的に配置される。
【0114】例えば、簡易ボディに対する自動的な配置に際して、タイヤであれば、タイヤハウスの中心位置に、そのタイヤの重心が位置することが配置規制条件となり、エンジンモジュールであれば、第nフロントメンバから**mm後方の位置に配置すること等が配置規制条件となる。この場合に表示されるグラフィックは、企画部門の担当者であるオペレータが、企画の妥当性を判断するためのものなので、係る配置規制条件を満足することができる場合には、個々の既存モジュールや既存部品が少々干渉することは許容して、配置が行われる。
【0115】これにより、必要最小限のレイアウトの成立性をユーザが検証するための表示画面が、個々の既存モジュール及び/または既存部品は、干渉することは許容して配置が行われるので、各コンポーネントのレイアウトに要する処理を迅速にすることができる。また、オペレータは、新型車両の物理的なレイアウトの成立性を容易に検証することができる。
【0116】図12に示す表示画面において、「企画車両の妥当性確認」のボタン123が操作された場合には、図14(a)に示すメニュー画面が表示される。このメニュー画面には、企画対象の新型車両について妥当性の評価が可能な複数の項目が表示されて、これらの項目のうち、上述した各ステップにおいてオペレータが所定の必要項目について目標性能及び目標諸元を全て設定しているものは白抜きで表示され、何等かの情報の設定が不足しているものはハッチングで表示されることにより、その旨がオペレータに報知される。
【0117】情報の設定が不足している項目については、「データ入力画面へ」のボタン142がオペレータによって操作された場合、オペレータは、上述した各ステップにて説明した各設定画面に戻って、所望の値を個別に入力することができる。
【0118】また、情報の設定が不足している項目については、図14(a)に示すメニュー画面において「サンプル入力による検証へ」のボタン143がオペレータによって操作された場合に、図14(b)に示す選択画面において、データベース3に記憶されている既存車両に関する性能情報及び諸元情報をサンプルとして選択することにより、係る項目の妥当性評価について必要な目標性能及び目標諸元を、サーバ・コンピュータ1の内部に一括して設定することができ、ユーザによる入力操作を簡略化することができる。
【0119】また、図14(b)に示す画面では、「詳細個別設定」のボタンがオペレータによって操作された場合には、前記の如くある項目に関して一括して設定された性能情報及び諸元情報が一覧表示され、その一覧表示された各項目の情報を、オペレータはマニュアルで個別に調整(変更)することができる。
【0120】このように、本実施形態では、新型車両の目標諸元及び目標性能をサーバ・コンピュータ1にオペレータが設定するに際して、各項目に入力すべき情報として、確定的な扱いを所望する確定情報、不確定な扱いを所望する不確定情報、或いは、データベース3に格納されている何れかの既存車両の諸元情報及び性能情報の中から容易に選択可能であるので、選択した情報を利用すれば、個々の確定情報が揃わない場合であっても、新型車両の企画検証を暫定的に行なうことができ、合理的な企画立案作業を実現することができる。
【0121】一方、図14(a)に示すメニュー画面の領域141において白抜きで表示された項目であって、所定の必要項目について目標性能及び目標諸元が全て設定されている場合は、その目標性能及び目標諸元に基づく予想される評価値が算出され、ユーザ端末2には、算出した結果に応じた検証結果が提供される。
【0122】ステップS26において、サーバ・コンピュータ1は、図7(a)及び図7(b)に示す設定画面においてオペレータによって設定された各項目の目標諸元及び目標性能に対する目標点数できる限り満足する検証結果を模索する。演算に際しては、各項目の目標諸元及び目標性能に対応して設定された許容値(または許容値の代わりに設定されたプライオリティランク)と、図20に示す設定画面においてオペレータによって設定された各項目のプライオリティとが考慮される。
【0123】即ち、本ステップでは、オペレータによって設定された目標諸元及び/または目標性能に許容範囲が設定された状態で、その許容範囲内で前記目標諸元及び/または目標性能を満足する新型車両が成立するか否かが、データベース3に格納された各項目の情報に基づいて算出される。
【0124】より具体的に、本実施形態において、サーバ・コンピュータ1は、設定された目標諸元及び/または目標性能の目標点そのままの状態では新型車両の企画が成立しない場合には、例えば、その目標点を中心とする許容範囲内で演算に使用する目標値を適宜増減して演算を行なうことにより、その新型車両の企画が成立する可能性を模索する。係る演算に際して、各項目の目標点(目標評価点)の許容範囲内における設定変更は、図20の設定画面にて設定された各項目のプライオリティに従って、図7(a)及び図7(b)の設定画面にて設定された各項目の許容値(許容範囲)内で自動的に変更される。このとき、同設定画面の許容値の欄にオペレータによって0(ゼロ)或いは許容値無しを示す設定がなされている場合には、対応する項目に関しては目標評価値の変更は行われずに、演算が行われる。
【0125】また、図7(a)のステップS26において、設定画面において各項目にユーザ所望の許容値が個別に設定される代わりに、ユーザの操作負担を軽減すべく、プライオリティランクが設定されている場合、或いは図7(b)の設定画面において各項目の許容値が設定される代わりに、ターゲットが設定されている場合には、オペレータによって設定されたプライオリティランクまたはターゲットの位置付けが低いほど、対応する情報項目には自動的に大きな許容範囲が設定されるように構成しても良い。
【0126】但し、ステップS26において企画検証が行われるに際しては、大前提として、ステップS1にて設定した上下限値が満足される範囲内で演算が行われる。
【0127】図15は、図14(a)の領域141において「乗り心地」の項目が選択された場合における企画対象の新型車両についての検証結果を例示する図である。
【0128】図15(a)に示す例では、新型車両が成立する可能性を表わす情報として、先にオペレータが設定した目標性能及び目標諸元によっては、企画が不成立であることと、その度合いを表わす数値とが領域151に示されており、同図の領域152には、目標評価点に対する算出された予想評価値が対比して表示されると共に、その目標評価点を満足させるための改善策と、その改善策を実行した場合の他の部分への影響がガイダンスされている。このように、本実施形態では、オペレータが設定した目標諸元及び/または目標性能に対する達成度合いに関する情報が検証結果と共に提供されるので、ユーザは、自分の設定した事項の妥当性を客観的に認識することができる。
【0129】また、同表示画面に表示される検証結果には、企画対象の新型車両を実現するためのコストに関する情報が含まれている。このコストに関する情報は、データベース3に記憶されている現実のコスト情報を利用して高確度で算出されるので、オペレータは、現実的な新型車両の企画を容易に行なうことができる。
【0130】図15(b)に示す例では、新型車両が成立する可能性を表わす情報として、先にオペレータが設定した目標性能及び目標諸元による企画が成立することが示されており、領域155には、目標評価値に対する達成の度合いを報知すべく、目標評価点に対する算出された予想評価値が対比して表示され、領域156には、その目標評価点を満足した場合の他の性能項目への影響の度合いがガイダンスされている。これにより、複数種類の性能項目のうち、他の性能項目に及ぶ影響を考慮しながら、検証対象の性能項目に設定した目標性能を満足する新型車両の企画立案を、容易に且つ迅速に行なうことができる。
【0131】好適な実施形態において、ステップS26では、検証対象としてオペレータによって選択された性能項目以外の他の性能項目が基準を超えて悪化する場合には、図7(a)または図7(b)にて入力された目標評価値について、オペレータに対して警告が与えられるように構成すると良い。この場合の基準とは、図6の設定画面において設定した各種の上下限値、並びに当該他の性能項目の許容範囲である。これにより、特定の性能項目の実力に劣るアンバランスな新型車両を企画立案することを防止することができる。
【0132】このように、本実施形態では、オペレータが設定した目標諸元及び/または目標性能を実現可能な新型車両が成立する可能性が低い場合、或いは成立しない場合であっても、係る結果の改善案が検証結果と共に提供されるので、ユーザは、自分の設定した事項の妥当性と、実現のための指標(何がネックになっているのか等)を得ることができ、新型車両の企画立案業務の効率化を図ることができる。
【0133】また、図16は、図14(a)に示す領域141において「エンジン」の項目が選択された場合における企画対象の新型車両についての検証結果を例示する図であり、新型車両が成立する可能性を表わす情報として、先にオペレータが設定した目標性能及び目標諸元によっては企画が不成立であることが、不成立の度合いを表わす値(領域161)と、目標性能を達成するための方策(領域162:但し、同図では適当な方策が無かった場合なのでその理由)とがガイダンスされている。このように、本実施形態では、車両レベルでの検証結果の提供だけではなく、エンジンというモジュール単位での検証結果の算出結果がモジュール単位で提供されるので、ユーザは、より詳細な検討を行なうことができる。
【0134】係る検証結果として算出される予想評価値(実力予想値)は、上述したゲイン調整(図20)において説明したように、注目している性能項目(ここでは「乗り心地」)を司る複数項目の評価点EnとゲインKnとを利用して、例えば、TE=K1×E1+K2×E2+・・・+Kn×Enなる演算によって算出される。尚、総合評価点TEの算出方法は限定されるものではなく、どのような方法を採用しても良い。ここで、図15(a)及び図15(b)に示す如く改善策や他の部分への影響の度合いについてガイダンスできるのは、上述したように、図19に示す関連付け設定画面や図20に示すプライオリティ設定画面において、各項目の関連付けや満足すべき項目の順位を予め設定しているためである。
【0135】尚、図15及び図16の検証結果表示画面からは、サーバ・コンピュータ1に設定されている情報の調整を行なうべく、上述した各設定画面に戻ることができる。
【0136】図17は、図14(a)に示す領域141において「レイアウト」の項目が選択された場合における企画対象の新型車両についてのレイアウト検証結果を例示する図であり、図12に示す表示画面において、「企画車両イメージ」のボタン121が操作された場合にユーザ端末2のディスプレイに表示されるグラフィックのうち、一例として、エンジンルームを上から見た状態を示す。
【0137】レイアウト検証では、サーバ・コンピュータ1によって上述した如く簡易ボディに自動的に設定された各コンポーネントを、例えばマウス等のポインティングデバイスを用いた選択操作により、オペレータが適宜移動させながら、レイアウトを検討することが可能である。
【0138】次に、図12に示す表示画面において、「企画車両の性能比較」のボタン124が操作された場合には、上述した各ステップにて設定された目標性能及び目標諸元に基づいて、上記の如く企画対象の新型車両の予想評価値が算出され、データベース3に登録されている既存車両のうち、比較対象車両の実力を示す評価値との比較が、車両単位、性能項目単位、或いはモジュール単位で、ユーザ端末2のディスプレイに表示される。
【0139】図13は、検証結果として、企画対象の新型車両の予想評価値と、比較対象車両の実力を示す評価値とを比較する表示画面を例示する図であり、図13(a)には車両単位での比較結果が表示され、図13(b)には性能項目単位の一例として操安性の比較結果が表示されている。何れの表示例においても、企画対象の新型車両に関してオペレータが設定した目標評価値よりも、本ステップにおいてサーバ・コンピュータ1が算出した予想評価値の方が低いので、この場合、オペレータは、ステップS27として、上述した各ステップにて設定した目標性能及び目標諸元を調整することにより、適当な予想評価値が得られるまで妥当評価を繰り返す必要がある。このように、本実施形態では、企画立案すべき新型車両に関する情報と、その新型車両がマークすべき比較対象車両とをサーバ・コンピュータ1に対して設定するだけで、比較結果が同一基軸のグラフにより、車両単位(図13(a))、モジュール単位、または性能項目単位(図13(b))でユーザに提供されるので、ユーザは、比較対象車両に対する新型車両の商品性の構築を容易に且つ客観的に行なうことができる。
【0140】このように、上述した目標性能及び目標諸元に基づく新型車両の企画処理によれば、ユーザは、企画立案すべき新型車両の目標諸元と目標性能とが図7に示す設定画面を利用してサーバ・コンピュータ1に設定すれば、その新型車両が実際に成立する可能性を表わす情報が既存車両に関する情報を参照して自動的に算出されるので、現実的で確度が高い新型車両の企画を迅速且つ容易に行なうことができる。これにより、新型車両の企画から量産開始までの全体の期間も短縮することができる。
【0141】また、新型車両を企画する際にはよく行われるキャリオーバ部品及び/またはキャリオーバモジュールを、オペレータは、図9乃至図11に例示するような設定画面を利用して、サーバ・コンピュータ1に容易に設定することができ、設定したキャリオーバ部品及び/またはキャリオーバモジュールが考慮された状態で新型車両が成立する可能性を表わす情報が算出されるので、経済性の高い新型車両の企画を容易に行なうことができる。
【0142】<性能特化車両の企画処理>性能特化車両の企画処理について、図22乃至図25、並びに図28を参照して説明する。
【0143】図28は、本実施形態においてサーバ・コンピュータ1が行なう新型車両の企画立案支援処理のうち、性能特化車両の企画処理(ステップS4)の詳細を示すフローチャートである。
【0144】同図において、ステップS31:上述した目標性能及び目標諸元に基づく新型車両の企画処理(ステップS3)の詳細説明におけるステップS21(図27)の場合と同様に、図18(a)及び図18(b)に示すメニュー画面を利用して、新型車両が成立するか否かを検証する際に参照されるべき各種の条件を、オペレータが、必要に応じてサーバ・コンピュータ1に対して設定する。
【0145】ステップS32:図22(a)に示すメニュー画面の領域221には、新型車両における車両レベルの各種の性能項目が表示される。オペレータは、このメニュー画面において、企画対象の新型車両において車両レベルで特化させようと考えている性能項目を選択する。オペレータによって何れかの性能項目が選択された場合には、ステップS33に進む。
【0146】ステップS33:図22(b)に示すメニュー画面において、オペレータは、図22(a)に示すメニュー画面において選択された性能項目を、どのようなアプローチ手順で特化させるかを選択する必要がある。
【0147】本実施形態において、オペレータ所望の性能項目を特化させるためのアプローチ手順としては、図22(b)に示すメニュー画面に示すように、車両のジャンル及びセグメントに基づく手順(アプローチ1)と、目標評価点に基づく手順(アプローチ2)とが用意されており、同画面においてアプローチ1(ボタン225)が選択された場合にはステップS34に進み、アプローチ2(ボタン226)が選択された場合にはステップS35に進む。
【0148】ステップS34:ステップS33においてオペレータによってアプローチ1が選択されたので、本ステップでは、図23(a)に示す設定画面が表示される。オペレータは、この設定画面において、図22(a)のメニュー画面において先に選択した性能項目について所定事項の入力を行なう必要がある。
【0149】より具体的に、図23(a)に示す設定画面の領域231には、企画対象の新型車両のジャンル及びセグメント、キャリオーバ部品及び/またはキャリオーバモジュールの要否、並びに新型車両の企画検索に際して参照するデータベース3の範囲(抽出するデータの条件)を設定する必要がある。ここで、ジャンル及びセグメントは、運動性能や車両の性格が近い複数種類を敢えて設定することもできる。
【0150】尚、ステップS34におけるキャリオーバ部品及び/またはキャリオーバモジュールの選択は、図9乃至図11を参照して上述したマンマシン・インタフェースと同様な画面展開によって行われる。また、企画検索に際してのデータベース3の参照範囲の設定には、比較対象車両を選択することができる。
【0151】このように、本実施形態では、データベース3の参照範囲がユーザによって設定可能に構成されているので、コンピュータによる企画検証に際して、データベースの参照範囲がユーザ所望の設定範囲に限定されるので、ユーザの意向が反映された現実的且つ効率的な企画検証が実現する。
【0152】ステップS35:ステップS33においてオペレータによってアプローチ2が選択されたので、本ステップでは、図24(a)に示す設定画面が表示される。オペレータは、この設定画面の領域241において、図22(a)のメニュー画面において先に選択した性能項目について、先に選択した性能項目についての目標評価点、並びに企画検索に際して参照するデータベース3の範囲(抽出するデータの条件)を設定する必要がある。
【0153】より具体的に、図24(a)に示す設定画面の領域241において、オペレータは、企画対象の新型車両(この場合は性能特化車両)において特化させようとする性能項目(同図に示す例では、操安性)について、達成しようとする目標評価点を、データベース3に記憶されている各種性能項目の評価点と同様の尺度で、10点満点で設定すると共に、その性能項目を司る大きな要素(ファクター)となる部品またはモジュールを設定する必要がある。
【0154】また、同設定画面では、企画検索に際してサーバ・コンピュータ1によって参照されるデータベース3の範囲を規制すべく、車両の重量等の各種項目が設定可能であると共に、上述したアプローチ1の場合と同様に、キャリオーバ部品及び/またはキャリオーバモジュール、既存車両のジャンルやセグメント、並びに比較対象車両を選択することができる。ここで、既存車両のジャンルやセグメントは、運動性能や車両の性格が近い複数種類を敢えて設定することもできる。
【0155】ステップS36:図23(a)または図24(a)に示す設定画面において、オペレータによって「検索」ボタン232、242が操作された場合には、ステップS37に進む。
【0156】ステップS37:アプローチ1が選択されている場合は、ステップS34において図23(a)の設定画面を利用して設定された条件に基づいて、その条件を満足する新型車両の企画が検索される。一方、アプローチ2が選択されている場合は、ステップS35において図24(a)の設定画面を利用して設定された条件に基づいて、その条件を満足する新型車両の企画が検索される。検索に際しては、データベース3に格納されている各種項目の情報が、オペレータによって設定された参照範囲の制限の範囲内で参照され、性能項目の評価点の演算は、上述した目標性能及び目標諸元に基づく新型車両の企画処理における総合評価点と同様の手順で行われる。
【0157】図23(b)は、アプローチ1が選択されている場合における新型車両の企画検索の結果を例示する図であり、同図に示す検索結果の領域234には、先に選択された目標項目(この場合は操安性)を満足する新型車両を実現するための既存部品及び/または既存モジュールの最良の組み合わせ(詳細欄の表示項目に相当)、その組み合わせによって実現される性能項目の予想評価点(予想実力値)、並びにその予想評価点を達成可能な最良の組み合わせに必要なコストが表示される。尚、コストは、データベース3に部品レベル及びモジュールレベルで記憶されているコスト情報を、前記の最良の組み合わせを構成するために選択された既存部品及び/または既存モジュールについて積算することによって得られる。
【0158】図23(b)の画面に表示される既存部品及び/または既存モジュールの最良の組み合わせは、データベース3に格納されている既存車両に関する各種項目の情報を利用して算出された情報であるから、係る最良の組み合わせは、換言すれば、本システムを運営する車両メーカの現在の生産能力及び実力等の現実の状況下において、オペレータ所望の性能項目に関して実現可能な新型車両の性能を示す情報である。
【0159】図24(b)は、アプローチ2が選択されている場合における新型車両の企画検索の結果を例示する図であり、同図の領域244に示す検索結果には、図22(a)において選択された目標項目(この場合は操安性)について、図24(a)において設定された目標評価点を満足する部品またはモジュール(この場合は、2種類のタイヤ)が表示される。
【0160】ステップS38:ステップS37において表示された図23(b)または図24(b)において、「諸元検討」ボタン235、245が操作された場合には、図25に例示するような画面が表示され、この画面において、オペレータは、検索結果についての検討が可能である。
【0161】図25は、オペレータによって選択された性能項目についてサーバ・コンピュータ1によって演算された検索結果を検討・編集するために表示されるツリー構成図を例示する図である。
【0162】同図に示すツリー構成には、オペレータによって先に選択された性能項目について、サーバ・コンピュータ1によって算出された最良の組み合わせを構成する既存部品及び/または既存モジュールの代わりに、その性能項目を司る既存モジュール及び既存部品の構成が、大別して、車両レベル、モジュールレベル、並びに部品レベルの3階層に分類されて表示される。ここで、モジュールレベルの表示項目は、注目すべき性能項目の種類に応じて、モジュールレベルが更に複数階層のサブモジュールに分類される場合もある。この場合は、オペレータ所望の性能項目として、車両レベルでは「燃費」が選択されている場合を示しており、その「燃費」を達成するために必要な性能要素として、モジュールレベル1には「エンジン性能」、「駆動系性能」、「車両重量」、「空力性能」、「転がり抵抗」の各項目が関連付けされており、更にそれらモジュールレベル1の性能要素には、個々の性能要素を構成するモジュールレベル2のサブ性能要素が関連付けされている。そして、個々のサブ性能要素には、そのサブ性能要素を司る少なくとも1つの部品が関連付けされている。
【0163】尚、オペレータ所望の性能項目として、車両レベルでは「操安性」が選択されている場合には、その「操安性」を達成するために必要な性能要素として、モジュールレベル(モジュールレベル1)には「タイヤ・サスペンション特性」、「エンジン性能」、「駆動系性能」、「重量」、「重量配分」、「ステアリングギヤ比」の各項目が含まれる。
【0164】この画面において、オペレータは、検討を希望するモジュールレベルまたは部品レベルの所望項目の選択操作を行なうことによって表示される詳細画面(不図示)において、その選択した所望項目に対応する既存部品または既存モジュールの諸元情報の編集(変更)が可能である。更に、オペレータは、検討を希望するモジュールレベルまたは部品レベルの所望項目の選択操作を行ない、その選択した所望項目に対応する既存部品または既存モジュールを、他の既存モジュールまたは既存部品に設定変更することも可能である。
【0165】ステップS39:ステップS38における検討・編集の後、図23(a)または図24(a)に示す設定画面に戻って、オペレータによって再び「検索」ボタンが操作された場合には、選択されているアプローチ1またはアプローチ2の手順に従って、ステップS38にて変更された情報が反映された状態で、ステップS37において新型車両の企画が再検索される。
【0166】このように、上述した性能特化車両の企画処理によれば、新型車両において特化させようとする特定の性能項目について、アプローチ1またはアプローチ2における簡単な設定操作を行なうだけで、その新型車両に採用すべき車両構成が自動的に算出されるので、ユーザ所望の性能項目が特化した新型車両を、容易に企画することができる。
【0167】また、上述した性能特化車両の企画処理において、オペレータによってアプローチ2が選択された場合には、新型車両において特化させようとする特定の性能項目について目標評価値が設定されるだけで、その新型車両に採用すべき車両構成が自動的に算出されるので、ユーザ所望の性能項目が特化した新型車両を、容易に企画することができる。
【0168】また、上述した性能特化車両の企画処理において、オペレータは、表示されたツリー構成図を、容易な操作によって変更しながら、目標性能を満足する新型車両の企画が得られるまで、ステップS37乃至ステップS39の処理をサーバ・コンピュータ1に実行させることにより、最良の車両構成を効率良く推敲することができる。
【0169】以上説明した本実施形態の如く、企画部門においてサーバ・コンピュータ1を利用して作成された新型車両の企画情報は、設計・解析・車両評価試験等の各工程にて従来車両において既に実現された現実の情報に基づいて作成された情報である。このため、従来の企画書に記載された仕様と比較して確度の高い情報であり、その企画情報を受け取った設計部門では、その企画情報を本来の位置付け通り「 絶対的な業務指示書 」として、具体的な量産設計を、直ちに開始することができる。
【0170】また、新型車両を開発・販売するか否かを判断しなければならない企業の経営陣にとっても、設計部門による量産設計に先立って、企画部門から提案された新型車両の企画を判断するに際して、上述した本実施形態の如くまとめられた企画情報を参照することができれば、その企画情報は、従来車両において既に実現された現実の情報に基づく体系付けられた情報であり、且つ必要に応じてグラフィカルに表示可能であるため、判断対象の新型車両の商品性や妥当性等の検討項目を、従来のように書面を参照する場合と比較して具体的且つ容易に想像することができ、より的確な判断を迅速に下すことができる。




 

 


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