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発明の名称 符号分割多重伝送システム、送信装置、受信装置、送信方法、受信方法、符号生成装置、符号生成方法、ならびに、プログラム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−338775(P2003−338775A)
公開日 平成15年11月28日(2003.11.28)
出願番号 特願2002−145405(P2002−145405)
出願日 平成14年5月20日(2002.5.20)
代理人 【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満 (外1名)
【テーマコード(参考)】
5K014
5K022
【Fターム(参考)】
5K014 AA01 GA01 HA10 
5K022 EE02 EE13 EE14 EE22 EE25 EE32
発明者 原田 博司 / 藤瀬 雅行 / 示沢 寿之
要約 課題
巡回シフト巡回拡張符号を用いた符号分割多重伝送システム等を提供する。

解決手段
符号分割多重伝送システム101は、基本符号(以下、当該基本符号の時間的最小単位を「チップ」という。)と、当該基本符号を互いに異なる巡回シフトチップ数だけ巡回シフトした複数の巡回シフト符号と、複数の巡回シフト符号のそれぞれについて、巡回シフト符号の前方に、その末尾の前方拡張チップ数分を拡張し、巡回シフト符号の後方に、その先頭の後方拡張チップ数分を拡張した複数の巡回シフト巡回拡張符号と、を用いて、送信装置121は、複数の巡回シフト巡回拡張符号を用いて伝送信号を符号分割多重伝送によって送信し、受信装置141は、複数の巡回シフト符号と受信信号との相関をとって、その結果から、位相および振幅の変動値を推定して補償を行って伝送信号を得て、最大で基本符号のチップ長と同じ数の多重化ができるようにする。
特許請求の範囲
【請求項1】送信装置と、受信装置と、を備え、基本符号(以下、当該基本符号の時間的最小単位を「チップ」という。)と、当該基本符号を互いに異なる巡回シフトチップ数だけ巡回シフトした複数の巡回シフト符号と、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれについて、当該巡回シフト符号の前方に、当該巡回シフト符号の末尾の前方拡張チップ数分を拡張し、当該巡回シフト符号の後方に、当該巡回シフト符号の先頭の後方拡張チップ数分を拡張した複数の巡回シフト巡回拡張符号と、パイロット信号と、を用いる符号分割多重伝送システムであって、(a)前記送信装置は、巡回シフト部と、巡回拡張部と、直並列変換部と、重畳部と、加算部と、送信部と、を備え、前記直並列変換部は、当該パイロット信号を含む伝送信号を直並列変換して、複数の中間信号を生成し、前記重畳部は、当該複数の中間信号のそれぞれに、当該複数の巡回シフト巡回拡張符号のいずれかであって、他の中間信号に重畳されるものとは異なるものを重畳して、複数の重畳済信号を生成し、前記加算部は、当該複数の重畳済信号を加算して送信信号を生成し、前記送信部は、当該送信信号を、前記受信装置に送信し、(b)前記受信装置は、受信部と、相関部と、推定部と、補償部と、並直列変換部と、を備え、前記受信部は、前記送信装置から送信された送信信号を受信して、これを受信信号とし、前記相関部は、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれと、当該受信信号と、の相関をとって、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれに対応する複数の相関信号を出力し、前記推定部は、当該パイロット信号と、当該複数の相関信号と、から、位相および振幅の変動値を推定し、前記補償部は、当該位相および振幅の変動値を用いて、当該複数の相関信号を補償して、複数の補償済信号を出力し、前記並直列変換部は、当該複数の補償済信号を並直列変換して、伝送信号を得ることを特徴とするもの。
【請求項2】請求項1に記載の符号分割多重伝送システムであって、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれに対する巡回シフトチップ数同士の差の最小値は、1であることを特徴とするもの。
【請求項3】請求項1または2に記載の符号分割多重伝送システムであって、前記推定部は、当該パイロット信号と、当該複数の相関信号のうち当該パイロット信号に相当する部分と、から、位相および振幅の変動値に対応する行列を求め、前記補償部は、当該行列の逆行列を求めて、これを当該複数の相関信号に乗じて複数の補償済信号を得ることを特徴とするもの。
【請求項4】請求項1から3のいずれか1項に記載の符号分割多重伝送システムであって、前記パイロット信号は、前記伝送信号のうち、伝送すべきデータ信号の前に付加されていることを特徴とするもの。
【請求項5】請求項4に記載の符号分割多重伝送システムであって、当該伝送すべきデータ信号は、複数のデータの列からなり、前記推定部は、当該パイロット信号と、当該複数の相関信号のうちパイロット信号に係る部分と、から、最初の位相および振幅の変動値を推定し、前記補償部は、当該最初の位相および振幅の変動値を用いて、当該複数の信号のうち最初のデータに係る部分を補償し、前記並直列変換部は、当該複数の補償済信号のうち最初のデータに係る部分を並直列変換して、伝送信号のうち最初のデータを得て、前記推定部は、さらに、得られた伝送信号のうち最後に得られたデータに係る部分と、当該複数の相関信号のうち当該最後に得られたデータに係る部分と、から、次の位相および振幅の変動値を推定し、前記補償部は、当該次の位相および振幅の変動値を用いて、当該複数の相関複数の信号のうち次のデータに係る部分を補償し、前記並直列変換部は、当該複数の補償済信号のうち次のデータに係る部分を並直列変換して、伝送信号のうち次のデータを得ることを特徴とするもの。
【請求項6】請求項1から3のいずれか1項に記載の符号分割多重伝送システムであって、前記複数の中間信号の1つは、前記パイロット信号であることを特徴とするもの。
【請求項7】請求項6に記載の符号分割多重伝送システムであって、前記重畳部において、「当該パイロット信号に重畳される巡回シフト巡回拡張符号の巡回シフト数と、当該他の中間信号に重畳される巡回シフト巡回拡張符号の巡回シフト数と、の差」の最小値は、「当該他の中間信号に重畳される巡回シフト巡回拡張符号の巡回シフト数同士の差」の最小値よりも、大きいことを特徴とするもの。
【請求項8】請求項1から7のいずれか1項に記載の符号分割多重伝送システムの送信装置。
【請求項9】請求項1から7のいずれか1項に記載の符号分割多重伝送システムの受信装置。
【請求項10】基本符号(以下、当該基本符号の時間的最小単位を「チップ」という。)と、当該基本符号を互いに異なる巡回シフトチップ数だけ巡回シフトした複数の巡回シフト符号と、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれについて、当該巡回シフト符号の前方に、当該巡回シフト符号の末尾の前方拡張チップ数分を拡張し、当該巡回シフト符号の後方に、当該巡回シフト符号の先頭の後方拡張チップ数分を拡張した複数の巡回シフト巡回拡張符号と、パイロット信号と、を用いる送信方法であって、巡回シフト工程と、巡回拡張工程と、直並列変換工程と、重畳工程と、加算工程と、送信工程と、を備え、前記直並列変換工程では、当該パイロット信号を含む伝送信号を直並列変換して、複数の中間信号を生成し、前記重畳工程では、当該複数の中間信号のそれぞれに、当該複数の巡回シフト巡回拡張符号のいずれかであって、他の中間信号に重畳されるものとは異なるものを重畳して、複数の重畳済信号を生成し、前記加算工程では、当該複数の重畳済信号を加算して送信信号を生成し、前記送信工程では、当該送信信号を、送信することを特徴とする方法。
【請求項11】請求項10に記載の送信方法であって、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれに対する巡回シフトチップ数同士の差の最小値は、1であることを特徴とする方法。
【請求項12】請求項10または11に記載の送信方法であって、前記パイロット信号は、前記伝送信号のうち、伝送すべきデータ信号の前に付加されていることを特徴とする方法。
【請求項13】請求項10または11に記載の送信方法であって、前記複数の中間信号の1つは、前記パイロット信号であることを特徴とする方法。
【請求項14】請求項13に記載の送信方法であって、前記重畳工程において、「当該パイロット信号に重畳される巡回シフト巡回拡張符号の巡回シフト数と、当該他の中間信号に重畳される巡回シフト巡回拡張符号の巡回シフト数と、の差」の最小値は、「当該他の中間信号に重畳される巡回シフト巡回拡張符号の巡回シフト数同士の差」の最小値よりも、大きいことを特徴とする方法。
【請求項15】基本符号(以下、当該基本符号の時間的最小単位を「チップ」という。)と、当該基本符号を互いに異なる巡回シフトチップ数だけ巡回シフトした複数の巡回シフト符号と、パイロット信号と、を用いる受信方法であって、受信工程と、相関工程と、推定工程と、補償工程と、並直列変換工程と、を備え、前記受信工程では、信号を受信して、これを受信信号とし、前記相関工程では、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれと、当該受信信号と、の相関をとって、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれに対応する複数の相関信号を出力し、前記推定工程では、当該パイロット信号と、当該複数の相関信号と、から、位相および振幅の変動値を推定し、前記補償工程では、当該位相および振幅の変動値を用いて、当該複数の相関信号を補償して、複数の補償済信号を出力し、前記並直列変換工程では、当該複数の補償済信号を並直列変換して、伝送信号を得ることを特徴とする方法。
【請求項16】請求項15に記載の受信方法であって、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれに対する巡回シフトチップ数同士の差の最小値は、1であることを特徴とする方法。
【請求項17】請求項15または16に記載の受信方法であって、前記推定工程では、当該パイロット信号と、当該複数の相関信号のうち当該パイロット信号に相当する部分と、から、位相および振幅の変動値に対応する行列を求め、前記補償工程では、当該行列の逆行列を求めて、これを当該複数の相関信号に乗じて複数の補償済信号を得ることを特徴とする方法。
【請求項18】請求項15から17のいずれか1項に記載の受信方法であって、前記パイロット信号は、前記伝送信号のうち、伝送すべきデータ信号の前に付加されており、当該伝送すべきデータ信号は、複数のデータの列からなり、前記推定工程では、当該パイロット信号と、当該複数の相関信号のうちパイロット信号に係る部分と、から、最初の位相および振幅の変動値を推定し、前記補償工程では、当該最初の位相および振幅の変動値を用いて、当該複数の信号のうち最初のデータに係る部分を補償し、前記並直列変換工程では、当該複数の補償済信号のうち最初のデータに係る部分を並直列変換して、伝送信号のうち最初のデータを得て、前記推定工程では、さらに、得られた伝送信号のうち最後に得られたデータに係る部分と、当該複数の相関信号のうち当該最後に得られたデータに係る部分と、から、次の位相および振幅の変動値を推定し、前記補償工程では、当該次の位相および振幅の変動値を用いて、当該複数の相関複数の信号のうち次のデータに係る部分を補償し、前記並直列変換工程では、当該複数の補償済信号のうち次のデータに係る部分を並直列変換して、伝送信号のうち次のデータを得ることを特徴とする方法。
【請求項19】信号を送信可能なコンピュータ(DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含む。)を、請求項8に記載の送信装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項20】信号を受信可能なコンピュータ(DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含む。)を、請求項9に記載の受信装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項21】基本符号受付部と、巡回シフト部と、巡回拡張部と、を備える符号生成装置であって、前記基本符号受付部は、基本符号(以下、当該基本符号の時間的最小単位を「チップ」という。)の入力を受け付け、前記巡回シフト部は、当該基本符号を互いに異なる巡回シフトチップ数だけ巡回シフトした複数の巡回シフト符号を生成し、前記巡回拡張部は、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれについて、当該巡回シフト符号の前方に、当該巡回シフト符号の末尾の前方拡張チップ数分を拡張し、当該巡回シフト符号の後方に、当該巡回シフト符号の先頭の後方拡張チップ数分を拡張した複数の巡回シフト巡回拡張符号を生成し、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれに対する巡回シフトチップ数同士の差の最小値は、1であることを特徴とするもの。
【請求項22】基本符号受付工程と、巡回シフト工程と、巡回拡張工程と、を備える符号生成方法であって、前記基本符号受付工程では、基本符号(以下、当該基本符号の時間的最小単位を「チップ」という。)の入力を受け付け、前記巡回シフト工程では、当該基本符号を互いに異なる巡回シフトチップ数だけ巡回シフトした複数の巡回シフト符号を生成し、前記巡回拡張工程では、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれについて、当該巡回シフト符号の前方に、当該巡回シフト符号の末尾の前方拡張チップ数分を拡張し、当該巡回シフト符号の後方に、当該巡回シフト符号の先頭の後方拡張チップ数分を拡張した複数の巡回シフト巡回拡張符号を生成し、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれに対する巡回シフトチップ数同士の差の最小値は、1であることを特徴とする方法。
【請求項23】コンピュータ(DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含む。)を、請求項21に記載の符号生成装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項24】請求項3に記載の符号分割多重伝送システムであって、前記送信装置から送られる信号の同相成分、直交成分をそれぞれI,Qとし、前記受信装置にて受信された当該信号に相当する信号の同相成分、直交成分をそれぞれI',Q'としたときに、I' = CI - SQQ' = SI + CQの関係を見たすS,Cについて、前記推定部は、パイロット信号の直接波aに対するS,CであるSa,Ca、パイロット信号の1チップ遅延波bに対するS,CであるSb,Cb、パイロット信号の2チップ遅延波cに対するS,CであるSc,Cc、…を求め、これらから位相と振幅の変動値に対応する[数1]により定義される行列Mを求め、【数1】

前記補償部は、当該行列Mの逆行列M-1を求めることを特徴とするもの。
【請求項25】請求項24に記載の符号分割多重伝送システムの受信装置。
【請求項26】コンピュータ(DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含む。)を、請求項25に記載の受信装置として機能させることを特徴とするプログラム。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、符号分割多重伝送システム、その送信装置、受信装置、送信方法、受信方法、ならびに、これらをコンピュータにより実現するプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】符号分割多重伝送方式は、互いに異なる拡散符号を伝送すべき複数の信号に重畳して送信する一方、受信側では、当該拡散符号との相関をとることにより、それぞれの信号を復元する手法であり、信号の伝送量を飛躍的に増大させる手法として注目を集めている。
【0003】特に、伝送すべき信号を複数の中間信号に直並列変換した後、互いに異なる拡散符号を複数の中間信号のそれぞれに重畳して加算してから送信する一方で、受信側では、互いに異なる拡散符号のそれぞれと受信信号との相関をとって複数の信号を得て、これらを並直列変換して伝送信号を得る手法に対して、研究が進められている。
【0004】さて、発明者らは、互いに異なる拡散符号の一種として、特許第3200628号において、巡回拡張巡回シフト型符号(「巡回シフト巡回拡張符号」ともいう。)を提案している。これは、所定の基本符号(以下、当該基本符号の時間的最小単位を「チップ」という。)を、所定の巡回シフト数の整数倍だけ巡回させた複数の巡回シフト符号のそれぞれについて、その先頭と末尾をその末尾と先頭に付加して拡張することにより、互いに異なる複数の拡散符号を得るものである。
【0005】ここで、所定の巡回シフト数として、許容したい遅延波の最大時間に相当するチップ数に1を加算した値を選択する。
【0006】したがって、たとえば、所定の基本符号のチップ長さが31であり、許容したい遅延波の最大時間が1チップである場合、当該特許に係る手法では、巡回拡張巡回シフト型符号は、最大で15個得られることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ある基本符号から得られる巡回シフト巡回拡張符号の数を、さらに増やして、情報伝送レートをさらに向上したい、という要望は大きい。
【0008】一方で、巡回シフト巡回拡張符号の数をさらに増やしても、マルチパスフェージングによる伝送ひずみによる悪影響をできるだけ補償して、伝送特性を向上させたい、という必要性もある。
【0009】本発明は、これらの課題を解決するものであり、巡回シフト巡回拡張符号を用いた符号分割多重伝送システム、その送信装置、受信装置、送信方法、受信方法、ならびに、これらをコンピュータにより実現するプログラムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】以上の問題を解決するため、本発明の原理にしたがって、下記の発明を開示する。
【0011】本発明の第1の観点に係る符号分割多重伝送システムは、送信装置と、受信装置と、を備え、基本符号と、当該基本符号を互いに異なる巡回シフトチップ数だけ巡回シフトした複数の巡回シフト符号と、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれについて、当該巡回シフト符号の前方に、当該巡回シフト符号の末尾の前方拡張チップ数分を拡張し、当該巡回シフト符号の後方に、当該巡回シフト符号の先頭の後方拡張チップ数分を拡張した複数の巡回シフト巡回拡張符号と、パイロット信号と、を用い、以下のように構成する。
【0012】すなわち、送信装置は、巡回シフト部と、巡回拡張部と、直並列変換部と、重畳部と、加算部と、送信部と、を備える。
【0013】ここで、直並列変換部は、当該パイロット信号を含む伝送信号を直並列変換して、複数の中間信号を生成する。
【0014】一方、重畳部は、当該複数の中間信号のそれぞれに、当該複数の巡回シフト巡回拡張符号のいずれかであって、他の中間信号に重畳されるものとは異なるものを重畳して、複数の重畳済信号を生成する。
【0015】さらに、加算部は、当該複数の重畳済信号を加算して送信信号を生成する。
【0016】そして、送信部は、当該送信信号を、受信装置に送信する。
【0017】一方、受信装置は、受信部と、相関部と、推定部と、補償部と、並直列変換部と、を備える。
【0018】ここで、受信部は、送信装置から送信された送信信号を受信して、これを受信信号とする。
【0019】一方、相関部は、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれと、当該受信信号と、の相関をとって、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれに対応する複数の相関信号を出力する。
【0020】さらに、推定部は、当該パイロット信号と、当該複数の相関信号と、から、位相および振幅の変動値を推定する。
【0021】そして、補償部は、当該位相および振幅の変動値を用いて、当該複数の相関信号を補償して、複数の補償済信号を出力する。
【0022】一方、並直列変換部は、当該複数の補償済信号を並直列変換して、伝送信号を得る。
【0023】また、本発明の符号分割多重伝送システムは、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれに対する巡回シフトチップ数同士の差の最小値は、1であるように構成することができる。
【0024】また、本発明の符号分割多重伝送システムは、以下のように構成することができる。
【0025】すなわち、推定部は、当該パイロット信号と、当該複数の相関信号のうち当該パイロット信号に相当する部分と、から、位相および振幅の変動値に対応する行列を求める。
【0026】一方、補償部は、当該行列の逆行列を求めて、これを当該複数の相関信号に乗じて複数の補償済信号を得る。
【0027】また、本発明の符号分割多重伝送システムにおいて、パイロット信号は、伝送信号のうち、伝送すべきデータ信号の前に付加されているように構成することができる。
【0028】また、本発明の符号分割多重伝送システムは、以下のように構成することができる。
【0029】すなわち、当該伝送すべきデータ信号は、複数のデータの列からなる。
【0030】一方、推定部は、当該パイロット信号と、当該複数の相関信号のうちパイロット信号に係る部分と、から、最初の位相および振幅の変動値を推定する。
【0031】そして、補償部は、当該最初の位相および振幅の変動値を用いて、当該複数の信号のうち最初のデータに係る部分を補償する。
【0032】さらに、並直列変換部は、当該複数の補償済信号のうち最初のデータに係る部分を並直列変換して、伝送信号のうち最初のデータを得る。
【0033】一方、推定部は、さらに、得られた伝送信号のうち最後に得られたデータに係る部分と、当該複数の相関信号のうち当該最後に得られたデータに係る部分と、から、次の位相および振幅の変動値を推定する。
【0034】そして、補償部は、当該次の位相および振幅の変動値を用いて、当該複数の相関複数の信号のうち次のデータに係る部分を補償する。
【0035】さらに、並直列変換部は、当該複数の補償済信号のうち次のデータに係る部分を並直列変換して、伝送信号のうち次のデータを得る。
【0036】また、本発明の符号分割多重伝送システムにおいて、複数の中間信号の1つは、パイロット信号であるように構成することができる。すなわち、パイロット信号と伝送信号とが別に与えられた場合には、伝送信号を直並列変換した結果の複数の信号と、パイロット信号と、を合わせて、複数の中間信号とする。
【0037】また、本発明の符号分割多重伝送システムは、重畳部において、「当該パイロット信号に重畳される巡回シフト巡回拡張符号の巡回シフト数と、当該他の中間信号に重畳される巡回シフト巡回拡張符号の巡回シフト数と、の差」の最小値は、「当該他の中間信号に重畳される巡回シフト巡回拡張符号の巡回シフト数同士の差」の最小値よりも、大きいように構成することができる。
【0038】本発明の他の観点に係る送信装置ならびに受信装置は、上記符号分割多重伝送システムの送信装置ならびに受信装置である。
【0039】本発明の他の観点に係る送信方法は、基本符号と、当該基本符号を互いに異なる巡回シフトチップ数だけ巡回シフトした複数の巡回シフト符号と、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれについて、当該巡回シフト符号の前方に、当該巡回シフト符号の末尾の前方拡張チップ数分を拡張し、当該巡回シフト符号の後方に、当該巡回シフト符号の先頭の後方拡張チップ数分を拡張した複数の巡回シフト巡回拡張符号と、パイロット信号と、を用いる送信方法であって、巡回シフト工程と、巡回拡張工程と、直並列変換工程と、重畳工程と、加算工程と、送信工程と、を備え、以下のように構成する。
【0040】すなわち、直並列変換工程では、当該パイロット信号を含む伝送信号を直並列変換して、複数の中間信号を生成する。
【0041】一方、重畳工程では、当該複数の中間信号のそれぞれに、当該複数の巡回シフト巡回拡張符号のいずれかであって、他の中間信号に重畳されるものとは異なるものを重畳して、複数の重畳済信号を生成する。
【0042】さらに、加算工程では、当該複数の重畳済信号を加算して送信信号を生成する。
【0043】そして、送信工程では、当該送信信号を、送信する。
【0044】また、本発明の送信方法において、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれに対する巡回シフトチップ数同士の差の最小値は、1であるように構成することができる。
【0045】また、本発明の送信方法において、パイロット信号は、伝送信号のうち、伝送すべきデータ信号の前に付加されているように構成することができる。
【0046】また、本発明の送信方法において、複数の中間信号の1つは、パイロット信号であるように構成することができる。
【0047】また、本発明の送信方法において、重畳工程において、「当該パイロット信号に重畳される巡回シフト巡回拡張符号の巡回シフト数と、当該他の中間信号に重畳される巡回シフト巡回拡張符号の巡回シフト数と、の差」の最小値は、「当該他の中間信号に重畳される巡回シフト巡回拡張符号の巡回シフト数同士の差」の最小値よりも、大きいように構成することができる。
【0048】本発明の他の観点に係る受信方法は、基本符号と、当該基本符号を互いに異なる巡回シフトチップ数だけ巡回シフトした複数の巡回シフト符号と、パイロット信号と、を用いる受信方法であって、受信工程と、相関工程と、推定工程と、補償工程と、並直列変換工程と、を備え、以下のように構成する。
【0049】すなわち、受信工程では、信号を受信して、これを受信信号とする。
【0050】一方、相関工程では、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれと、当該受信信号と、の相関をとって、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれに対応する複数の相関信号を出力する。
【0051】さらに、推定工程では、当該パイロット信号と、当該複数の相関信号と、から、位相および振幅の変動値を推定する。
【0052】そして、補償工程では、当該位相および振幅の変動値を用いて、当該複数の相関信号を補償して、複数の補償済信号を出力する。
【0053】一方、並直列変換工程では、当該複数の補償済信号を並直列変換して、伝送信号を得る。
【0054】また、本発明の受信方法において、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれに対する巡回シフトチップ数同士の差の最小値は、1であるように構成することができる。
【0055】また、本発明の受信方法は、以下のように構成することができる。
【0056】すなわち、推定工程では、当該パイロット信号と、当該複数の相関信号のうち当該パイロット信号に相当する部分と、から、位相および振幅の変動値に対応する行列を求める。
【0057】一方、補償工程では、当該行列の逆行列を求めて、これを当該複数の相関信号に乗じて複数の補償済信号を得る。
【0058】また、本発明の受信方法は、以下のように構成することができる。
【0059】すなわち、パイロット信号は、伝送信号のうち、伝送すべきデータ信号の前に付加されており、当該伝送すべきデータ信号は、複数のデータの列からなる。
【0060】一方、推定工程では、当該パイロット信号と、当該複数の相関信号のうちパイロット信号に係る部分と、から、最初の位相および振幅の変動値を推定する。
【0061】さらに、補償工程では、当該最初の位相および振幅の変動値を用いて、当該複数の信号のうち最初のデータに係る部分を補償する。
【0062】そして、並直列変換工程では、当該複数の補償済信号のうち最初のデータに係る部分を並直列変換して、伝送信号のうち最初のデータを得る。
【0063】一方、推定工程では、さらに、得られた伝送信号のうち最後に得られたデータに係る部分と、当該複数の相関信号のうち当該最後に得られたデータに係る部分と、から、次の位相および振幅の変動値を推定する。
【0064】さらに、補償工程では、当該次の位相および振幅の変動値を用いて、当該複数の相関複数の信号のうち次のデータに係る部分を補償する。
【0065】そして、並直列変換工程では、当該複数の補償済信号のうち次のデータに係る部分を並直列変換して、伝送信号のうち次のデータを得る。
【0066】本発明の他の観点に係るプログラムは、信号の送信や受信が可能なコンピュータ(DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含む。)を上記の送信装置や受信装置として機能させるように構成する。
【0067】当該プログラムを当該コンピュータにて実行することにより、上記の送信装置や受信装置が実現され、上記の送信方法や受信方法が使用されることとなる。
【0068】本発明の他の観点に係る符号生成装置は、基本符号受付部と、巡回シフト部と、巡回拡張部と、を備え、以下のように構成する。
【0069】すなわち、基本符号受付部は、基本符号(以下、当該基本符号の時間的最小単位を「チップ」という。)の入力を受け付ける。
【0070】一方、巡回シフト部は、当該基本符号を互いに異なる巡回シフトチップ数だけ巡回シフトした複数の巡回シフト符号を生成する。
【0071】さらに、巡回拡張部は、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれについて、当該巡回シフト符号の前方に、当該巡回シフト符号の末尾の前方拡張チップ数分を拡張し、当該巡回シフト符号の後方に、当該巡回シフト符号の先頭の後方拡張チップ数分を拡張した複数の巡回シフト巡回拡張符号を生成する。
【0072】そして、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれに対する巡回シフトチップ数同士の差の最小値は、1である。
【0073】本発明の他の観点に係る符号生成方法は、基本符号受付工程と、巡回シフト工程と、巡回拡張工程と、を備え、以下のように構成する。
【0074】すなわち、基本符号受付工程では、基本符号(以下、当該基本符号の時間的最小単位を「チップ」という。)の入力を受け付ける。
【0075】一方、巡回シフト工程では、当該基本符号を互いに異なる巡回シフトチップ数だけ巡回シフトした複数の巡回シフト符号を生成する。
【0076】さらに、巡回拡張工程では、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれについて、当該巡回シフト符号の前方に、当該巡回シフト符号の末尾の前方拡張チップ数分を拡張し、当該巡回シフト符号の後方に、当該巡回シフト符号の先頭の後方拡張チップ数分を拡張した複数の巡回シフト巡回拡張符号を生成する。
【0077】そして、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれに対する巡回シフトチップ数同士の差の最小値は、1である。
【0078】本発明の他の観点に係るプログラムは、コンピュータ(DSP、FPGA、ASICを含む。)を上記符号生成装置として機能させるように構成する。
【0079】当該プログラムを当該コンピュータ上にて動作させることにより、上記符号生成方法が使用される。
【0080】また、これらのプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリなどのコンピュータ読取可能な情報記録媒体に記録することができ、これら情報記録媒体をコンピュータとは独立に配布・販売できるほか、無線通信網を含むコンピュータ通信網を介して当該プログラムを伝送することにより、直接配布・販売することもできる。
【0081】
【発明の実施の形態】以下に本発明の一実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、理解を容易にするために、移動端末として携帯電話を例にあげて説明するが、これらは、本発明の範囲を制限するものではない。
【0082】したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0083】(システムの全体構成)図1は、本発明の符号分割多重伝送システムの実施形態の一つの概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0084】符号分割多重伝送システム101は、送信装置121と、受信装置141と、を備え、両者は無線通信が可能となっている。送信装置121と、受信装置141とは、基本符号と、当該基本符号から生成された複数の巡回シフト符号と、パイロット信号と、を共有する。
【0085】このほか、送信装置121は、複数の巡回シフト符号のそれぞれから生成された巡回シフト巡回拡張符号を用いる。
【0086】送信装置121に与えられた伝送信号は、送信装置121の処理を受けて、送信信号となって受信装置141へ送信される。当該送信信号は、遅延波によるマルチパスフェージング等の電波伝搬路の影響を受けて、受信装置にて受信される。受信された受信信号から、受信装置141の処理により、伝送信号を復元する。
【0087】(使用される拡散符号)図2は、本実施形態で使用される基本符号と巡回シフト符号との関係を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0088】基本符号としては、M系列符号、Gold符号、ウォルシュ関数から得られる直交符号など、通常の符号分割多重伝送で用いられるような各種の拡散符号を採用することができる。この基本符号の長さをNチップであるとする。
【0089】本実施形態で使用される複数の巡回シフト符号は、この基本符号を互いに異なる巡回シフト数だけ巡回シフトしたものである。したがって、長さNチップの基本符号からは、最大でN個の巡回シフト符号が得られることとなる。
【0090】すなわち、基本符号がp1,p2,…,pN-1,pNの長さNのビット列であるとき、考えられる巡回シフト符号は、p1,p2,…,pN-1,pN
p2,p3,…,pN,p1
p3,p4,…,p1,p2
…;
pN,p1,…,pN-2,pN-1
のN種類となる。
【0091】これらをすべて利用することとすれば、得られる巡回シフト符号のそれぞれに対する巡回シフトチップ数同士の差は、1となる。
【0092】図3は、本実施形態で使用される巡回シフト符号の一つとこれから生成される巡回シフト巡回拡張符号との関係を示す説明図である。以下、上記の例にしたがい、本図を参照して説明する。
【0093】ここで考える一つの巡回シフト符号の長さはNチップであるので、これをq1,q2,…,qN-1,qN,と書くこととする。
【0094】これを巡回拡張するのであるが、巡回拡張には、「前方拡張チップ数」と「後方拡張チップ数」の2つのパラメータを考える。上述した特許においては、前方拡張チップ数は同期ずれに対する許容チップ数であり、後方拡張チップ数は許容したい遅延波の最大遅延時間に相当するチップ数と伝送クロックに合わせるために使用する冗長チップ数との和として計算された。一方、許容したい遅延波の最大遅延時間に相当するチップ数に1を加算したものが、巡回シフトチップ数の基本単位となっていた。このため、巡回シフトチップ数の基本単位に1と冗長チップ数を加算すると後方拡張チップ数となっていた。
【0095】一方、本実施形態においては、後方拡張チップ数と、巡回シフトチップ数の基本単位と、には、上記のような関係は、ない。
【0096】したがって、「前方拡張チップ数」と「後方拡張チップ数」としては、伝送クロック等を考慮して、適宜選択することができる。ここでは、前方拡張チップ数をAチップ、後方拡張チップ数をBチップとする。なお、本図では、A=2,B=3としている。
【0097】すると、上記巡回シフト符号
q1,q2,…,qN-1,qN,を前方にAチップ、後方にBチップ、巡回拡張するのであるから、得られる巡回シフト巡回拡張符号は、以下のようになる。
qN-A+1,qN-A+2,…,qN-1,qN,q1,q2,…,qN-1,qNq1,q2,…,qB-1,qB,【0098】すなわち、上記巡回シフト符号
q1,q2,…,qN-1,qN,の前方には、その末尾のqN-A+1,qN-A+2,…,qN-1,qN,からなるAチップが拡張され、後方には、その先頭のq1,q2,…,qB-1,qB,からなるBチップが拡張され、巡回シフト巡回拡張符号全体の長さはN+A+Bチップとなる。
【0099】このように、長さNの基本符号から生成される巡回シフト符号ならびに巡回シフト巡回拡張符号は、いずれもN個であり、本実施形態では、これらを拡散符号として用いて符号分割多重伝送を行う。理解を容易にするため、以下では、N個すべての巡回シフト符号ならびに巡回シフト巡回拡張符号を使用することとして説明するが、これらN個から適宜いずれかを省略して、多重度を減じた実施形態を採用することもでき、当該実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0100】(送信装置)図4は、本実施形態の送信装置121の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。なお、本送信装置121の構成は、従来の符号分割多重伝送システムの送信装置と共通する部分が多い。したがって、理解を容易にするため、本発明の原理に深く関わりのある部分を重点的に説明することとし、それ以外の部分については適宜説明を省略する。
【0101】送信装置121は、伝送すべきデータ信号を受け付けて、変調器401により変調を行い、直並列変換器402によって、この信号を直並列変換して、複数の中間信号を生成する。
【0102】図5は、本実施形態におけるデータフォーマットの概要を説明する模式図である。以下本図を参照して説明する。
【0103】伝送されるデータ信号501は、時間的に、伝送すべき複数のデータ503に先行してパイロット信号502が配置された形になっている。なお、一般的には、所定の数のデータ503が配置された後、またパイロット信号502が配置されることとなり、一定の周期でパイロット信号502が現われるようになる。
【0104】パイロット信号502の長さは、複数の中間信号の数の整数倍のチップ数であることが望ましい。これにより、各中間信号に同じチップ数のパイロット信号断片が含まれることとなるからである。また、パイロット信号は、受信装置141と共有される既知信号である。
【0105】各データ503の長さとパイロット信号の長さも、同じチップ数であることが望ましい。後述するように、このチップ長を単位に伝搬路の振幅・位相変動が推定されてその補償が行われるからである。
【0106】さて、直並列変換により生成された複数の中間信号には、重畳器403によって、それぞれ、互いに異なる巡回シフト巡回拡張符号が重畳される。
【0107】巡回シフト巡回拡張符号は、上述したような手法によって生成されたものであり、受信装置141では、これらのそれぞれに対応する巡回シフト符号が用いられる。
【0108】重畳された結果生成される複数の重畳済信号は、加算器404によって加算され、送信部405によって、無線送信される。
【0109】(受信装置)図6は、本実施形態に係る受信装置141の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。なお、本受信装置141の構成は、従来の符号分割多重伝送システムの受信装置と共通する部分が多い。したがって、理解を容易にするため、本発明の原理に深く関わりのある部分を重点的に説明することとし、それ以外の部分については適宜説明を省略する。
【0110】まず、受信部601は、送信装置121から送信された送信信号に、電波伝搬路のマルチパスフェージング等の影響が与えられたものを受信して、これを受信信号とする。
【0111】そして、相関器602は、送信装置121で用いられた複数の巡回シフト巡回拡張符号に対応する複数の巡回シフト符号のそれぞれと、受信信号と、の相関をとり、その結果を複数の相関信号として出力する。
【0112】さらに、推定器603は、複数の相関信号のそれぞれに含まれるパイロット信号断片に相当する部分と、既知のパイロット信号とを比較して、電波伝搬路により位相・振幅の変動値を求め、補償器604は、求められた位相・振幅の変動値を用いて当該複数の相関信号のそれぞれを補償して、複数の補償済信号を出力する。これらの推定および補償の手法については、後述する。
【0113】そして、並直列変換器605は、複数の補償済信号を並直列変換し、さらに、その結果を復調器606に処理させることによって、伝送信号を得ることができる。
【0114】(位相・振幅の変動値の推定)相関器602が出力する複数の相関信号は、いずれもパイロット信号の断片に相当するものであって電波伝搬路による位相・振幅の変動の影響を受けたものを含む。受信装置141で既知のパイロット信号の断片と、この断片と、を比較することにより、位相・振幅の変動値を推定することができる。
【0115】まず、得られた相関信号のそれぞれと、これに対応する既知のパイロット信号断片のそれぞれと、の相関をとることにより、当該パイロット信号の伝搬の直接波に相当する部分と遅延波に相当する部分とを得る。相関値が最も高い部分が直接波に相当する部分であり、それ以降の極大値に相当する部分が遅延波に相当する部分である。これらの直接波・遅延波の同定については、既存の技術を利用することができる。
【0116】理解を容易にするため、まず、直接波aとこれに対して1チップ遅延した遅延波bの2波が同定された場合を考える。この場合、相関器602の複数の相関信号
CC1,CC2,…,CCNには、「直接波aの相関値」と「遅延波bが巡回的にシフトした相関値」との和が出力される。直接波aならびに遅延波bの各チャネルの信号を添字で表すとすると、CC1 = a1 + bN
CC2 = a2 + b1
…;
CCN-1 = aN-1 + bN-2
CCN = aN + bN-1ということとなる。
【0117】さて、虚数単位をjと記すこととし、直接波aならびに遅延波bの各チャネルの信号の同相成分と直交成分を以下のように表すこととする。
a1 = Ia1 + jQa1
a2 = Ia2 + jQa2
…;
aN = IaN + jQaN
b1 = Ib1 + jQb1
b2 = Ib2 + jQb2
…;
bN = IbN + jQbN【0118】一般に、電波伝搬路におけるマルチパスフェージングの影響により、送信信号の同相成分Iと直交成分Qとは、位相と振幅が振動し、受信信号ではそれぞれの成分がI'とQ'となる。この関係を以下に示す。
I' = CI - SQQ' = SI + CQ【0119】これは、回転および拡大縮小がなされていることを示すものである。この式におけるSならびにCは、既知のパイロット信号と受信されたパイロット信号の成分同士を比較することにより、容易に計算することができる。ここで、直接波成分を比較した結果得られたS,CをSa,Caと、遅延波成分を比較した結果得られたS,CをSb,Cbと、それぞれ記すこととする。
【0120】これらの結果を用いると、同相成分および直交成分について、以下のような関係が得られる。
I'1 = CaI1 − SaQ1 + CbIN − SbQN
I'2 = CaI2 − SaQ2 + CbI1 − SbQ1
…I'N = CaIN − SaQN + CbIN-1 − SbQN-1
Q'1 = SaI1 + CaQ1 + SbIN + CbQN
Q'2 = SaI2 + CaQ2 + SbI1 + CbQ1
…Q'N = SaIN + CaQN + SbIN-1 + CbQN-1【0121】さて、これらをまとめて表記するために、送信信号をR、受信信号をR'とおくこととする。すなわち、R = [I1 I2 … IN Q1 Q2 … QN]TR' = [I'1 I'2 … I'N Q'1 Q'2 … Q'N]T【0122】ここで(・)Tは転置行列を表す。すると、送信信号Rと受信信号R'とは、行列Mを使って以下のように表記することができる。
R' = MR【0123】ただし、行列Mは、[数2]のように定義される。
【0124】
【数2】

【0125】ここで得られた行列Mの逆行列M-1を求めれば、受信装置141で得られた受信信号R'から、送信装置121側での送信信号Rを復元することができる。
R = M-1R'【0126】ここでは、直接波aと1チップ遅延の遅延波bについて考えたため、[数2]で表記される行列のうち、空白となっている要素は値が0である。
【0127】これをさらに拡張して、直接波aのほかに1チップ遅延の遅延波b、2チップ遅延の遅延波c、…のようにすれば、行列Mを[数3]のようにすることができる。この場合は、空白となっている要素は必ずしも値0ではない。
【0128】
【数3】

【0129】チップ数1〜N-1の遅延波のそれぞれについて、S,Cを求めれば、この行列の各要素をすべて得ることができる。すべて得られれば、上述のように、関係R = M-1R'を用いて、位相・振幅の変動値と遅延波の影響を補償することができる。
【0130】実際には、影響の大きい遅延波から所定の個数(1、2、3…個)だけを選択して、これを用いて行列Mの各要素の値を埋め、それ以外の要素は0として計算すれば十分である。
【0131】(補償の手法)さて、既知のパイロット信号と受信されたパイロット信号に相当する部分を比較して上述のように行列計算を用いることにより、補償を行うことができる。まず、最大ドップラ周波数が低い場合は、パイロット信号によって推定されたC,Sの値が、これに続くデータ部分の伝送時においてもあまり変化していないと考えられるため、このC,Sの値を用いて後続するデータ部分の補償を行えばよい。
【0132】最大ドップラ周波数が高い場合は、パイロット信号によって推定されたC,Sの値は、これに続くデータ部分の伝送時には変化すると考えられる。したがって、データ部分をd1,d2,…と考えたときに、以下のように補償を行えばよい。
(1)まず、d1部分の補償は、パイロット信号によって推定されたC,Sを用いて行う。これにより、伝送信号のd1を得ることができる。
(2)di+1については、その直前に得られた伝送信号diと、これに対応して受信された受信信号と、を比較してS,Cを求めて、これを用いて補償を行う。
【0133】図7は、この補償の処理の流れを示す模式図である。
【0134】(その他の実施形態)上記実施形態では、時間的にパイロット信号とデータとをまぜて(既知のパイロット信号をデータに先行させて)送信することによって位相・振幅の変動値を推定して、補償を行っていた。本実施形態は、パイロット信号用に、1チャネル(1つの巡回シフト巡回拡張符号の重畳)を割り当てるものである。
【0135】この際に、パイロット信号のチャネルの前後のチャネルは、データ伝送用には利用しないことが望ましい。実際の伝送誤り率に応じてデータ伝送用に利用しないチャネル数を決定することができる。
【0136】たとえば、マルチパスフェージングにおいて、遅延チップ数1の遅延波成分がほとんどであり、その他の遅延波成分の影響があまりない場合は、パイロット信号の前後1チャネルをデータ伝送には使用しないこととする。
【0137】すなわち、パイロット信号に重畳する巡回シフト巡回拡張符号の巡回シフト数がnである場合は、巡回シフト数がn-1とn+1のチャネルは、nullとして扱えばよい。
【0138】典型的には、パイロット信号には、巡回シフト数0のチャネルを使用するため、巡回シフト数が1とN-1のチャネルは、nullとする。したがって、伝送信号を直並列変換して、複数の中間信号を得る際に、データ部分は、N-3個に直並列変換することとなる。
【0139】図8は、本実施形態のデータフォーマットの例を示す模式図である。
【0140】データフォーマット801を見ればわかるように、巡回シフト巡回拡張符号1(巡回シフトチップ数1)を重畳するチャネルにはパイロット信号が、巡回シフト巡回拡張符号3〜N−2(巡回シフトチップ数3〜N−2)を重畳するチャネルにはデータ信号を直並列変換したものが与えられ、それ以外のチャネルにはnullが与えられている。
【0141】なお、上記実施形態では、パイロット信号と他の中間信号の巡回シフト数の差の最小値は2となる。パイロット信号の巡回シフト数が0であるのに対して、他の中間信号の巡回シフト数は、2〜N-2であり、巡回シフト数2、ならびに、巡回シフト数N-2と、パイロット信号の巡回シフト数0と、の差が2だからである。一方、他の中間信号同士の巡回シフト数の差の最小値は1である。隣り合うもの同士の差が1だからである。これらを比較すると、前者の方が後者よりも大きい。
【0142】また、パイロット信号と他の中間信号の巡回シフト数の差の最小値は、遅延波の状況に応じて、適宜変更することができる。
【0143】(実験結果)本手法について、2波独立レイリーフェージング環境下におけるビット誤り率特性を以下の諸元で計算機シミュレーションにより評価した。すなわち、遅延波の遅延チップ数は、1。伝送データフォーマットは、パイロット信号をデータに先行させる手法。パイロット信号と各データ信号のシンボル数は、10。最大ドップラ周波数は、100Hz,400Hz,800Hz,1000Hz。
【0144】5.8GHz帯を用いて通信した場合、移動局の移動速度が時速180kmである場合の最大ドップラ周波数は、約1000Hzである。
【0145】図9は、本実験の結果を示すグラフである。縦軸は、ビット誤り率(Bit Error Rate;BER)、横軸は、ビットあたりの信号エネルギーと雑音電力密度の比(Eb/No)である。本図を参照すると、上記のような速度で移動局が移動する場合であっても、十分な伝送品質が確保できることがわかる。
【0146】(符号生成装置)上記実施形態では、符号分割多重伝送システムで用いられる巡回シフト巡回拡張符号としてあらかじめ用意されたものを利用していた。以下では、これらの巡回シフト巡回拡張符号を基本符号から生成する符号生成装置の実施形態について説明する。
【0147】図10は、本実施形態の符号生成装置の概要構成を示す模式図である。
【0148】符号生成装置901は、基本符号受付部902と、巡回シフト部903と、巡回拡張部904と、を備える。
【0149】まず、基本符号受付部902は、基本符号(以下、当該基本符号の時間的最小単位を「チップ」という。)の入力を受け付ける。この基本符号としては、上述のようにM系列、Gold符号等、各種の符号を用いることができる。また、基本符号受付部902にこのような基本符号を生成する回路やプログラムモジュールを接続してもよい。
【0150】ついで、巡回シフト部903は、当該基本符号を互いに異なる巡回シフトチップ数だけ巡回シフトした複数の巡回シフト符号を生成する。巡回シフト符号の詳細は、上述した通りである。なお、上記のように、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれに対する巡回シフトチップ数同士の差の最小値は、1とすることができる。これにより、本実施形態において、従来よりも多数の巡回シフト巡回拡張符号を利用することができるようになる。
【0151】さらに、巡回拡張部904は、当該複数の巡回シフト符号のそれぞれについて、当該巡回シフト符号の前方に、当該巡回シフト符号の末尾の前方拡張チップ数分を拡張し、当該巡回シフト符号の後方に、当該巡回シフト符号の先頭の後方拡張チップ数分を拡張した複数の巡回シフト巡回拡張符号を生成する。
【0152】これにより、本実施形態において、従来よりも多数の巡回シフト巡回拡張符号を利用することができるようになる。
【0153】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、巡回シフト巡回拡張符号を用いた符号分割多重伝送システム、その送信装置、受信装置、送信方法、受信方法、ならびに、これらをコンピュータにより実現するプログラムを提供することができる。




 

 


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