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無線通信システムにおける地上側設備、端末局及び無線通信システム - 株式会社デンソー
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発明の名称 無線通信システムにおける地上側設備、端末局及び無線通信システム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−229801(P2003−229801A)
公開日 平成15年8月15日(2003.8.15)
出願番号 特願2002−28352(P2002−28352)
出願日 平成14年2月5日(2002.2.5)
代理人 【識別番号】100082500
【弁理士】
【氏名又は名称】足立 勉
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067 AA15 AA34 BB21 CC08 DD17 DD51 EE02 EE10 EE16 EE57 EE62 FF02 HH23 JJ53 
発明者 青木 豊 / 岡田 実 / 原田 博司 / 藤瀬 雅行
要約 課題
スポットアクセス方式を前提しながらネットワークトラフィックの問題解決に有効な技術を提案する。

解決手段
検知局pdと局地基地局p1との間隔は、車載端末h…が検知局pdにて検知されてから局地基地局p1の通信エリアに到達する間に、局地基地局p1から車載端末h…への情報伝送が準備可能なように設定されている。また、各局地基地局p1…は、通信エリアの所定距離手前において車載端末h…の端末局IDを第一のトリガとして検知し、また通信エリアの境界において車載端末h…が通信エリアへ到来したことを第二のトリガとして検知する。これら両トリガの検知位置間隔は、複数の車載端末h…が存在する場合であっても、検知する車載端末h…の順番の入れ替わりが発生しないような近接状態にされている。そのため、第一のトリガで要求された情報の伝送準備をした後、第二のトリガで単にその情報を伝送するだけでよい。
特許請求の範囲
【請求項1】端末局を搭載した移動体の移動経路に沿って所定の間隔にて配置され、自局の通信エリアに進入した端末局との間で無線通信を行う局地基地局と、前記局地基地局が一つの場合には当該局地基地局よりも前記移動体の移動経路として手前の位置に、また前記局地基地局が複数の場合には当該複数の局地基地局で構成される局地基地局群よりも前記移動体の移動経路として手前の位置に配置され、自局の通信エリアに進入した端末局との間で無線通信を行って通過する端末局のIDを検知する検知局と、前記局地基地局及び前記検知局と通信可能であり、両局を統括する統合基地局とを備える無線通信システムにおける地上側設備であって、前記局地基地局の通信エリアは、同時に複数の端末局が存在し得ない大きさであると共に、前記局地基地局が複数の場合には前記通信エリア同士がオーバーラップしないよう構成されており、前記検知局と前記局地基地局と間には分岐経路がなく、前記検知局の通信エリアを通過した前記端末局は必ず前記局地基地局の通信エリアを通過するようにされていると共に、前記端末局が前記検知局の通信エリアを通過して前記基地局の通信エリアに到達するのに要する時間が、前記検知局にて検知された端末局IDに基づいて前記局地基地局から当該端末局への情報伝送がなされる場合の準備に要する時間以上となるよう、両者の間隔が設定されており、前記局地基地局は、前記端末局と無線通信を行う前記通信エリアよりも前記端末局の進行方向手前側において、到来する前記端末局のIDを検知する第一の端末検知手段と、前記端末局と無線通信を行う前記通信エリアの境界の内、前記端末局が最初に通過する位置において、前記端末局の到来の有無を検知する第二の端末検知手段と、を備えると共に、これら両端末検知手段による検知位置の間隔は、複数の端末局が存在する場合であっても、前記第一の端末検知手段及び第二の端末検知手段がそれぞれ検知する端末局の順番の入れ替わりが発生しないような近接状態にされていることを特徴とする無線通信システムにおける地上側設備。
【請求項2】請求項1記載の無線通信システムにおける地上側設備において、前記局地基地局は複数存在して局地基地局群を構成しており、さらに、前記統合基地局と通信可能であり且つ外部の通信回線網と接続された制御局を備え、前記制御局は、前記端末局からアップロードされた、少なくとも端末局ID及び配信を要求するコンテンツを特定する情報を含むリクエスト信号を受け付け、当該リクエスト信号に含まれる前記コンテンツ特定情報に対応するコンテンツを前記通信回線網を介してコンテンツサーバからダウンロードして記憶手段に一時的に記憶しておき、前記検知局から自局を示す検知局ID及び検知した端末局IDを受信した場合には、当該受信した端末局IDに対応するコンテンツを前記記憶手段から取り出し、対応する端末局IDと共に当該検知局を統括する前記統合基地局へ転送し、当該転送された端末局ID及びコンテンツを前記制御局から受信した前記統合基地局は、当該受信した端末局ID及びコンテンツを記憶手段に一時的に記憶し、当該コンテンツを必要に応じて分割した後、当該コンテンツ又は分割したコンテンツを一つの又は分割数分の前記局地基地局へ転送し、当該転送された前記コンテンツ又は分割したコンテンツを前記統合基地局から受信した前記局地基地局は、当該受信したコンテンツ又は分割したコンテンツを記憶手段に一時的に記憶しておき、前記第一の端末検知手段によって前記端末局IDを検知した場合には、当該検知した端末局IDに対応するコンテンツ又は分割したコンテンツの伝送準備を行い、前記第二の端末検知手段によって前記端末局の到来を検知した場合には、前記伝送準備をしたコンテンツ又は分割したコンテンツを前記端末局へ伝送することを特徴とする無線通信システムにおける地上側設備。
【請求項3】請求項1記載の無線通信システムにおける地上側設備において、前記局地基地局は複数存在して局地基地局群を構成しており、さらに、前記統合基地局と通信可能であり且つ外部の通信回線網と接続された制御局を備え、前記制御局は、前記端末局からアップロードされた、少なくとも端末局ID及び配信を要求するコンテンツを特定する情報を含むリクエスト信号を受け付け、当該リクエスト信号に含まれる前記コンテンツ特定情報に対応するコンテンツを前記通信回線網を介してコンテンツサーバからダウンロードして記憶手段に一時的に記憶しておき、前記検知局から自局を示す検知局ID及び検知した端末局IDを受信した場合には、当該受信した端末局IDに対応するコンテンツを前記記憶手段から取り出し、対応する端末局IDと共に当該検知局を統括する前記統合基地局へ転送し、当該転送された端末局ID及びコンテンツを前記制御局から受信した前記統合基地局は、当該受信した端末局ID及びコンテンツを記憶手段に一時的に記憶し、当該コンテンツを必要に応じて分割し、分割した場合には前記記憶手段の有する記憶領域のうちで伝送予定の前記局地基地局に対応した領域に各分割コンテンツを一時的に記憶しておき、前記第一の端末検知手段によって前記端末局IDを検知したことが前記局地基地局から通知された場合には、当該検知した端末局IDに対応するコンテンツ又は分割したコンテンツの伝送準備を行い、前記第二の端末検知手段によって前記端末局の到来を検知したことが前記局地基地局から通知された場合には、前記伝送準備をしたコンテンツ又は分割したコンテンツを前記局地基地局を介して前記端末局へ伝送することを特徴とする無線通信システムにおける地上側設備。
【請求項4】請求項1又は3に記載の無線通信システムにおける地上側設備において、前記局地基地局は複数存在して局地基地局群を構成し、それら各局地基地局は前記統合基地局と光伝送線路を介して接続されており、前記統合基地局は、外部から前記端末局宛の有線用信号を受け取り、その有線用信号を変換してベースバンド信号を生成し、そのベースバンド信号を高周波信号に変換した後に光信号に変調して前記局地基地局へ伝送し、当該局地基地局では、前記統合基地局から伝送された光信号を電気信号に変換して前記高周波信号を取り出し、その取り出した高周波信号を前記端末局へ伝送することを特徴とする無線通信システムにおける地上側設備。
【請求項5】請求項1又は3に記載の無線通信システムにおける地上側設備において、前記局地基地局は複数存在して局地基地局群を構成し、それら各局地基地局は前記統合基地局と光伝送線路を介して接続されており、前記局地基地局は複数存在して局地基地局群を構成しており、前記統合基地局は、外部から前記端末局宛の有線用信号を受け取り、その有線用信号を変換してベースバンド信号を生成し、そのベースバンド信号を中間周波信号に変換した後に光信号に変調して前記局地基地局へ伝送し、当該局地基地局では、前記統合基地局から伝送された光信号を電気信号に変換して前記中間周波信号を取り出し、その取り出した中間周波信号を高周波信号に変換し、その変換した高周波信号を前記端末局へ伝送することを特徴とする無線通信システムにおける地上側設備。
【請求項6】請求項1又は3に記載の無線通信システムにおける地上側設備において、前記局地基地局は複数存在して局地基地局群を構成し、それら各局地基地局は前記統合基地局と光伝送線路を介して接続されており、前記統合基地局は、外部から前記端末局宛の有線用信号を受け取り、その有線用信号を変換してベースバンド信号を生成し、そのベースバンド信号を光信号に変調して前記局地基地局へ伝送し、当該局地基地局では、前記統合基地局から伝送された光信号を電気信号に変換して前記ベースバンド信号を取り出し、その取り出したベースバンド信号を高周波信号に変換し、その変換した高周波信号を前記端末局へ伝送することを特徴とする無線通信システムにおける地上側設備。
【請求項7】請求項1又は3に記載の無線通信システムにおける地上側設備において、前記局地基地局は複数存在して局地基地局群を構成し、それら各局地基地局は前記統合基地局と光伝送線路を介して接続されており、前記局地基地局は、前記端末局から伝送された高周波信号を光信号に変換して前記統合基地局へ伝送し、当該統合基地局では、前記局地基地局から伝送された光信号から元の高周波信号を取り出し、その取り出した高周波信号を有線用の信号に変換して外部へ伝送することを特徴とする無線通信システムにおける地上側設備。
【請求項8】請求項1又は3に記載の無線通信システムにおける地上側設備において、前記局地基地局は複数存在して局地基地局群を構成し、それら各局地基地局は前記統合基地局と光伝送線路を介して接続されており、前記局地基地局は、前記端末局から伝送された高周波信号を中間周波信号に変換し、さらにその中間周波信号を光信号に変換して前記統合基地局へ伝送し、当該統合基地局では、前記局地基地局から伝送された光信号から元の中間周波信号を取り出し、その取り出した中間周波信号を有線用の信号に変換して外部へ伝送することを特徴とする無線通信システムにおける地上側設備。
【請求項9】請求項1又は3に記載の無線通信システムにおける地上側設備において、前記局地基地局は複数存在して局地基地局群を構成し、それら各局地基地局は前記統合基地局と光伝送線路を介して接続されており、前記局地基地局は、前記端末局から伝送された高周波信号をベースバンド信号に変換し、さらにそのベースバンド信号を光信号に変換して前記統合基地局へ伝送し、当該統合基地局では、前記局地基地局から伝送された光信号から元のベースバンド信号を取り出し、その取り出したベースバンド信号を有線用の信号に変換して外部へ伝送することを特徴とする無線通信システムにおける地上側設備。
【請求項10】請求項1〜9の何れか記載の無線通信システムにおける地上側設備において、前記局地基地局の通信エリアは、同時に複数の端末局が存在し得ない大きさであるという条件を満たしながら、取り得る最大の大きさであることを特徴とする無線通信システムにおける地上側設備。
【請求項11】移動体に搭載されており、請求項1〜10の何れか記載の地上側設備との間で無線通信を行う端末局であって、自己の端末局IDを前記検知局、前記第1及び第二の端末検知手段によって検知可能な形態で保持しており、前記検知局、前記第1及び第二の端末検知手段からのID要求に対して前記端末局IDを応答することを特徴とする無線通信システムにおける端末局。
【請求項12】移動体に搭載されており、請求項1〜10の何れか記載の地上側設備との間で無線通信を行う端末局であって、自己の端末局IDを前記検知局、前記第1及び第二の端末検知手段によって検知可能な形態で保持しており、前記検知局、前記第1及び第二の端末検知手段が検知可能なように所定の無線形式で前記端末局IDを自発的に送信することを特徴とする無線通信システムにおける端末局。
【請求項13】請求項1〜10の何れか記載の地上側設備と請求項11又は12に記載の端末局とを備える無線通信システム。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば路車間など、移動体に搭載された端末局と移動体の移動経路に沿って設置された基地局との間における大容量のデータ伝送が可能な無線通信技術に関する。
【0002】
【従来の技術】ITS(Intelligent Transport Systems )路車間通信の大容量化のニーズに応えるため、ミリ波マルチメディアレーン&ステーションシステムの研究がなされている。例えば図12(a)に示すように、マルチメディアステーションは静止中の車両に対してマルチメディア情報を高速に伝送するシステムであり、高速道路のパーキングエリアやサービスエリアでの利用が検討されている。またマルチメディアレーンは走行中の車両に対してマルチメディア情報を伝送するシステムであり、例えば高速道路上の複数個所にアクセスポイントを設置した利用が検討されている。
【0003】移動体通信分野における無線通信技術としてPDC(Personal Digital Cellular )等のセルラー通信が既に実現されている。PDCではサービスエリアを多数のマクロセルに分割し、各セルの中心に無線基地局を設置する。このマクロセルは、各セルが隣接セルと重なる部分を持つため、混信を防止するには隣接セルと搬送周波数を変える必要が生じる。このためサービス(PDC)に与えられた全周波数領域を分割して各セルに割り当てる必要があり、ユーザ1台あたりが使用できる帯域が全帯域に対して小さくなり、伝送できるデータ速度が制限されるという問題が生じる。さらに、1つのセルを相対的に広域としたことによって、セル内に複数のユーザ端末が存在する状況への対応として多元接続としているため、アクセス時間を分割して各ユーザに割り当てる必要がある(時間分割多重:TDMA)。このことによって、平均データ伝送速度が低下するという問題もある。
【0004】このように、セルラー方式を路車間通信に適用するとユーザ1台あたりが使用できる帯域、通信時間が少なくなり、大容量通信の実現は困難であった。そのため、本願発明者らは特開2001−268625号公報に開示されるように、大容量の路車間通信の実現に有効な通信システムであって、セルラー通信などの通信方式に対してデータ伝送速度を大きくでき、また基地局の設置密度も低くできる技術を提案した。これをスポットアクセス方式と称する。このスポットアクセス方式は以下の2点で定義される(図12(b)参照)。
■一つのセル(スポットセル)の大きさは車載端末が高々一台入れる程度(例えば直径4mの円形領域など)の狭域である。
■一つのセルと隣接セルとが重ならない(セル間相互作用なし)。
【0005】このスポットアクセス方式の利点のひとつとして、狭域セルの採用により高い伝搬電力密度が得られることが挙げられる。高い電力密度により周波数偏移変調(FSK)のようなシンプルな変調方式で156Mbit/sの伝送が可能となる。これによって路側器、車載端末の無線発振器に位相雑音の大きなものが採用可能となり、システムの低廉化が可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、一方で狭域セルを用いるため移動体速度が速くなると一つのセルあたりの通信可能時間は短くなる。ETC等で保証されている最高速度180km/hの場合で、例えば進行方向4mのセル領域内に滞在する時間は80msとなる。従って、車載端末からの位置通報からダウンロード開始までの時間がセル滞在時間を超えるとダウンロードができなくなる。そのため、位置通報からダウンロードまでの遅延がなく、ダウンロードに要する時間がゼロという理想条件下であっても車載端末の位置通報の周期は80ms以下とする必要がある。一方、スポットアクセス方式では先に述べたように通信エリアを散在させるため、通信エリア密度が連続的な通信エリアをもつPDC等の従来の方式に対して低い。このためスポットアクセス方式の通信エリアだけで車載端末位置情報を80ms以下の周期で通報し続けることは困難である。そこでPDC等の他の無線システムで位置情報を通知する方式とすることが考えられるが、この場合でも車載端末数は膨大であるため、全車載端末が80ms以下の周期で位置情報を通報すると地上のネットワークの通信トラフィックは膨大となる。
【0007】このスポットアクセス方式における位置情報管理方式の問題点をさらに詳しく説明する。まず、PDCのような連続的な無線エリア位置情報の管理方式は以下のようであった。基地局と車載端末との通信チャネルを制御チャネルと通信チャネルとに2分する。制御チャネルは基地局と常時接続し、発信要求や着信待受け,車載端末の位置把握に用いる。その上で基地局あるいは車載端末で常時信号品質を監視し、周囲の基地局と比較して良好な基地局に切換え、ネットワーク上の位置情報管理サーバの位置登録ファイルに所轄の基地局を登録する。地上局側が車載端末に接続する場合は,位置情報管理サーバの位置登録ファイルを参照して所轄基地局をみつけ、その基地局の通信エリア内の車載端末を呼び出す。車載端末が所轄基地局を移動(ハンドオフ)した際は新たな所轄基地局を同様の手順で登録ファイルを自動更新する。即ち、車載端末の位置は基地局の形成する無線セルを単位としてネットワーク上の位置情報管理サーバに管理される。これによるとPDCでは一つの基地局の通信エリアが隣接セルとオーバーラップし連続的に通信エリアが形成されているため、車載端末の位置は連続的に把握される。且つ一つの通信エリアの半径が1〜10数kmと非常に広域であるため、車載端末の移動速度が180km/hと速い場合であっても通信エリア滞在時間に対してハンドオーバー処理時間が充分短くなり、車載端末が任意の通信エリアに入りハンドオーバー処理を完了し伝送が可能である。
【0008】ところがこの方法をスポットアクセス方式で用いた場合には、以下の問題が生じる。即ち、任意の通信エリアと隣接する通信エリアは散在しており、車載端末が通信エリアを移動する際に無線の届かない通信不可能エリアが存在する。このため常時接続の制御チャネルを確保することができない。そしてまた、一つの通信エリアは車載端末の進行方向に4mと短く、車載端末が180km/hで進んだ場合、一つの通信エリア滞在時間が80msであって広域エリアの場合に対して短い。この2点の理由で、車載端末が任意の通信エリアに入ったのちにハンドオーバー処理を開始すると、ハンドオーバー処理が完了するまでに車載端末が通信エリアを離脱し、伝送時間の確保が困難となる。
【0009】この困難を回避するための方法として制御チャネルを別の連続通信システムに分担させることが考えられる。即ち、PDC等、一つの通信エリアが広域で且つ連続的な通信エリアを形成するシステムを媒介とし、スポットアクセス路車間通信用の位置情報管理サーバに位置を登録する。車載端末がスポットアクセス通信エリアに入る前に車載端末へ伝送する情報を基地局まで配信し、スポットアクセス通信エリアに入ると同時に伝送を開始するという方法である。この方法によると、予め基地局まで伝送情報を配信しているため、80msと短いセル滞在時間を伝送のみに使用することができる。
【0010】しかしながら、この方法でも以下のような問題が残る。即ち、スポットセル滞在時間は80msと非常に短いため、車載端末からの位置通報からダウンロード開始までの遅延時間がセル滞在時間(80ms)超えるとダウンロードができなくなる。この遅延時間の要因としては位置通報に要する通報遅延、ダウンロードに要する伝送遅延、位置検知の周期に要する検知周期遅延が考えられる。この中で検知周期遅延について考察すると、地上ネットワークの伝送速度が充分高く通報遅延・伝送遅延ががゼロという理想条件を仮定しても車載端末の位置通報の周期は80ms以下とする必要がある。この理想条件に基づき4mのセル滞在時間80msの90%(3.6m,72ms)を有効にするためには、位置通報周期は10%の8ms(距離で0.4m=40cm)以下にする必要がある。このように8msごとに位置管理サーバーに位置情報を通報する場合、全国の車載端末全てから8ms(180km/hで4.0×10-1m)ごとに位置情報が位置管理サーバーに通報されることとなり、ネットワークトラフィックの混雑が問題となる。そのトラフィックを以下のように見積もった。
【0011】まず通報するべき位置情報として必要なものは車載端末の位置情報、車載端末のID、位置管理サーバのアドレスである。車載端末ID,位置管理サーバのアドレスはIPv6を適用するべきであるので各々128[bit]必要である。また車載端末の位置情報を以下の様に見積もる。
【0012】TPEG(Transport Protocol Experts Group)の検討によると位置情報は経度と緯度に基づく方法が合理的とされる。そこで位置情報は地球の全地域を緯度と経度で切り出すメッシュで分割することとなる。スポットアクセス方式の通信エリア4mを10%(4.0×10-1m)以下のメッシュで表現すると、地球の半径は6.3×106m、表面積は5.0×10142となる。そのため、5.0×1014 2 の地球表面を(4.0×10-1m)×(4.0×10-1m)=1.6×10-12 以下の平方メッシュで表現するためには、5.0×1014 [m2]/1.6×10-1[[m2]=3.1×1015以上のパターンが必要である。これには52bit、即ち252=4.5×1015パターン以上が必要であり、下記に示すように、少なくとも308bit必要となる。
[通報する位置情報の容量]
・車載端末の位置 … 52[bit]
・車載端末ID …128[bit]
・位置管理サーバーのアドレス…128[bit]
合計 …308[bit]
そのため、例えばその308bitを8msごとに送信すると車載端末1台あたりでは、3.9×104 bit/sのトラフィックが発生する。
【0013】次に、車載端末の台数を見積もる。例えば財団法人道路交通情報通信システムセンターの報告によると、1996年に出荷が開始されてから2001年6月末(出荷から5年)までのVICSユニット出荷台数は3.2×106台である。また国土交通省の報告によると、1999年度の全国の車両台数は7.4×107台である。仮に2001年6月の車両台数を1999年度の車両台数と同一と仮定すると、VICSの装着率c%は下記のようになる。
c=(3.2×106/7.4×107 )×100=4.3[%]
スポットアクセスの車載端末装着率を2001年度のVICS装着率と一致すると仮定し、また、車両台数を1999年から横ばいと仮定して考える。すると3.2×106 台のミリ波スポットアクセス路車間通信システム車載端末が存在することになる.よって、全車載端末からの位置情報通報トラフィックtrc[bit/s]は、trc=3.9×104 [bit/s]×3.2×106 台=1.2×1011 [bit/s]となり0.1テラビットのトラフィックが位置情報通報だけで発生することとなる。これは通信ネットワークを大きく圧迫する原因となる。
【0014】そこで本発明は、スポットアクセス方式を前提し、上述したネットワークトラフィックの問題解決に有効な技術を提案することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】(1)請求項1記載の無線通信システムの地上側設備は、局地基地局、検知局及びそれらを統括する統合基地局とを備えている。局地基地局の通信エリアは、同時に複数の端末局が存在し得ない大きさであるため、一の通信エリアには同時に複数の端末局が存在することがない。したがって、通信エリア内で時間分割や周波数分割などの多元アクセスを施す必要が無く、一の端末局に対して一の通信エリアに与えられた全帯域と全通信時間を与えることができるため、高速通信が可能となる。また、局地基地局が複数の場合には通信エリア同士がオーバーラップしないよう構成されているため、全ての通信エリアで本システムに与えられた全周波数帯域を使用でき、高速通信が可能となる。上述したセルラー方式の場合と具体的な数値で比較してみる。上述した具体例では、1つのセル(通信エリア)にはシステムに与えられた全周波数帯域を7分割しており、さらに、1つのセル内に存在するnの端末局に対応するため時間分割などによってアクセス時間をn分割している。したがって、一の端末局が使用できる分量は、実質的に全周波数帯域の1/(7n)となり、n=10でも1/70という小さな値となってしまう。したがって、本発明のように、一の端末局が全周波数帯域を占有してアクセスできることが非常に有利であることが判る。なお、通信エリアが相対的に小さいが、一の端末局が全周波数帯域を占有してアクセスできるようにしたことから、一の通信エリアに端末局が居る間に大容量のデータを通信することができる。したがって、結果として通信エリア同士をある程度離間させても問題なく、基地局の設置密度の低減にも寄与することとなる。
【0016】このような構成に加えて、検知局と局地基地局と間には分岐経路がなく、検知局の通信エリアを通過した端末局は必ず局地基地局の通信エリアを通過するようにされている。そのため、検知局にて検知した端末IDを有する端末局との通信準備をしておいても問題ない。つまり、分岐経路があると、別の経路に進行することも予想されるため、せっかく通信準備をしておいても実際に通信がなされないことも考えられ、余分な処理となってしまうからである。また、端末局が検知局の通信エリアを通過して基地局の通信エリアに到達するのに要する時間が、検知局にて検知された端末局IDに基づいて局地基地局から当該端末局への情報伝送がなされる場合の準備に要する時間以上となるよう、両者の間隔が設定されている。したがって、伝送準備が完了していない内に通信エリアに端末局が進入し情報伝送が適切に実行されないという不都合も生じない、なお、「端末局が検知局の通信エリアを通過して基地局の通信エリアに到達するのに要する時間」については、ダウンロードを保証する移動体の最高速度を基準にして算出すれば、それ以下の速度で移動する場合には対応可能である。
【0017】さらに、局地基地局においては、第一の端末検知手段が、通信エリアよりも端末局の進行方向手前側において、到来する端末局のIDを検知し、第二の端末検知手段が、通信エリアの境界の内、端末局が最初に通過する位置において、端末局の到来の有無を検知する。これら両端末検知手段による検知位置の間隔は、複数の端末局が存在する場合であっても、第一の端末検知手段及び第二の端末検知手段がそれぞれ検知する端末局の順番の入れ替わりが発生しないような近接状態にされている。例えば移動体の例として自動車を想定すると、第一の端末検知手段と第二の端末検知手段とが離れすぎている場合には、追い越し等によって、第一の端末検知手段では先に自動車Aが検知されたのに、同じ局地基地局の第二の端末検知手段では先に自動車Bが検知されるという状況も生じてしまう。このような状況が生じないような程度の近接状態にしておく。なお、第1及び第二の端末検知手段による検知方式は、端末局IDや端末局の到来を検知できれば特に限定されず、例えば光や電波など種々の無線形式を用いることができる。
【0018】このような構成のため、第一の端末検知手段にて検知した端末局IDを有する端末局はその後、順番の入れ変わりなく第二の端末検知手段にてその存在が検知されるはずである。したがって、第一の端末検知手段にて検知した時点で、その検知した端末局IDへの情報伝送の直前準備を行い、第二の端末検知手段にて端末局の到来を検知したら(そこでは端末局IDの確認等をすることなく)直ちに予め準備した情報の伝送を開始することができる。
【0019】このように本発明の地上側設備によれば、端末局が将来(必ず)局地基地局側へ到来することを検知局によって検知することができるため、例えば端末局向けの大容量の情報を予め準備しておくことができる。さらに、局地基地局においては、通信エリアにまもなく到来する端末局のIDを第一の端末検知手段にて検知できるためその時点で情報伝送の準備を開始でき、その後、通信エリアに端末局が到来したことを第二の端末検知手段にて検知したら直ちに情報伝送を開始することができるため、従来問題であったネットワークトラフィックの問題を改善できる。なお、従来例で示した具体的数値との対比については、後述の発明の実施の形態の欄において具体的数値を用いて説明するので、そちらを参照されたい。
【0020】(2)また、例えば地上側設備が端末局からのリクエストに応じて、外部のコンテンツサーバから音楽・画像などの大容量データとなるコンテンツをダウンロードし、局地基地局から端末局へ伝送する場合には、一の局地基地局からの情報伝送では伝送が完了しないことも想定される。そのような状況に対応するためには、例えば請求項2や請求項3に係る地上側設備が有効である。
【0021】これらはいずれも、局地基地局が複数存在して局地基地局群を構成しており、さらに、その局地基地局群(及び検知局)を統括する統合基地局と通信可能であり且つ外部の通信回線網と接続された制御局を備えている。そして、制御局は、端末局からアップロードされたリクエスト信号を受け付け、そのリクエスト信号に含まれるコンテンツ特定情報に対応するコンテンツを通信回線網を介してコンテンツサーバからダウンロードして記憶手段に一時的に記憶する。そして、検知局から検知局ID及び検知した端末局IDを(統合基地局を介して)受信した場合には、その受信した端末局IDに対応するコンテンツを記憶手段から取り出し、対応する端末局IDと共に(対応する)統合基地局へ転送する。なお、当然ながら、統合基地局が複数の場合には、受信した検知局IDの検知局を統括する統合基地局へ転送する。
【0022】ここまでの動作は請求項2及び3はいずれも同じであるが、それ以降の動作が異なるため、順次説明する。まず、請求項2に係る地上側設備の場合、統合基地局は、転送された端末局ID及びコンテンツを記憶手段に一時的に記憶し、そのコンテンツを必要に応じて分割した後、コンテンツ又は分割したコンテンツを一つの又は分割数分の局地基地局へ転送する。この「必要に応じて」とは、例えばコンテンツのデータ容量が大きいため、移動体の想定移動速度から決まる「端末局の通信エリア滞在時間」と局地基地局からのデータ伝送所要時間とを考慮すると一の局地基地局からの情報伝送では伝送が完了しないような場合である。
【0023】局地基地局では、統合基地局から転送されたコンテンツ又は分割したコンテンツを記憶手段に一時的に記憶しておく。そして、第一の端末検知手段によって端末局IDを検知すると、その検知した端末局IDに対応するコンテンツ又は分割したコンテンツの伝送準備を行い、第二の端末検知手段によって端末局の到来を検知すると、伝送準備をしたコンテンツ又は分割したコンテンツを端末局へ伝送する。
【0024】一方、請求項3に係る地上側設備の場合、統合基地局は、転送された端末局ID及びコンテンツを記憶手段に一時的に記憶し、そのコンテンツを必要に応じて分割し、分割した場合には記憶手段の有する記憶領域のうちで伝送予定の局地基地局に対応した領域に各分割コンテンツを一時的に記憶しておく。そして、第一の端末検知手段によって端末局IDを検知したことが局地基地局から通知された場合には、その検知した端末局IDに対応するコンテンツ又は分割したコンテンツの伝送準備を(統合基地局が)行い、第二の端末検知手段によって端末局の到来を検知したことが局地基地局から通知された場合には、伝送準備をしたコンテンツ又は分割したコンテンツを(統合基地局が)局地基地局を介して端末局へ伝送する。
【0025】これらの構成による効果の差異を簡単に説明する。請求項2の構成の場合、統合基地局は制御局から転送されたコンテンツを必要に応じて分割するだけですぐに局地基地局へ転送してしまえる。そのため、統合基地局が有する記憶手段は相対的に容量が小さなもので対応できる。また、局地基地局がいわゆるインテリジェント化されているため、端末局の検知タイミングに応じた情報伝送の準備や伝送に関する処理は局地基地局が担当し、統合基地局ではそれらに関する処理を実行する必要がなく、処理負荷が軽減される。
【0026】一方、請求項3の構成の場合は、逆に局地基地局をインテリジェント化することなく、局地基地局を「電波の噴出し口」として複数の局地基地局の制御を1台の統合基地局にて受け持つことができるため、コスト的に有利である。そして、このような、局地基地局をノンインテリジェント化する構成を前提とした場合には、インフラコスト低減の観点からも請求項4〜9に示す構成を採用することができる。この構成では、局地基地局を「電波の噴出し口」とし、複数の局地基地局の制御を1台の統合基地局が受け持っており、各局地基地局に局部発振器やミキサを設ける必要がない。つまり、ミリ波デバイスを最小限に抑えることができるため、局地基地局の構成が非常に簡素なものとなり、局地基地局を小型に構成できる。これらの詳細については後述の「発明の実施の形態」の欄において具体的に説明する。
【0027】(3)なお、通信エリアに関しては、「同時に複数の端末局が存在し得ない大きさである」という条件を上述したが、請求項10に示すように、この条件を満たしながら、取り得る最大の大きさであることが好ましい。請求項1に示した条件は、通信エリアのサイズの上限を規定しているので、それよりも小さければ上述した「多元接続が不要」といった効果が得られる。但し、高速通信(大容量通信)の実現という目的からは、通信エリアは大きいほどよい。そこで、同時に複数の端末局が存在し得ないという条件を満たしながら、取り得る最大の大きさの通信エリアとして設定すれば、移動体が当該通信エリアに存在する時間が極力長くなる。つまり、上述した一の端末局が全周波数帯域を占有してアクセスできる時間を極力長くすれば、高速通信の実現の面でさらに有利となる。この「取り得る最大の大きさ」とは、例えば路車間通信を想定すれば、「車1台収容できる」程度のエリアを確保することが考えられる。具体的には車長及び車幅にほぼ近い値である4m×3mというようなサイズである。なお、「同時に複数の端末局が存在し得ない」ことが前提条件であるので、車両が所定速度以上でしか移動しない状況が想定されるのであれば、例えば車間距離も加味して、10m×3mといったエリアあるいはそれよりも広いエリアであっても、採用し得る。逆に、渋滞などで車間距離が非常に短くなるような状況が想定される場合には、やはり上述の4m×3m程度を採用すべきである。また、上述の4m×3mなどは、移動体の具体例として車両、特に乗用車を想定したものであり、例えば大型車しか走行できない移動経路であれば、よりエリアを大きくできることは当然である。
【0028】(4)なお、以上の説明は地上側設備として実現した場合について説明したが、このような地上側設備との間で無線通信を行う端末局については、例えば請求項11、12に示す構成を採用できる。請求項11に係る端末局は、いわゆるパッシブ形式を採用しており、自己の端末局IDを検知局、第1及び第二の端末検知手段によって検知可能な形態で保持し、検知局、第1及び第二の端末検知手段からのID要求に対して端末局IDを応答する。
【0029】一方、請求項12に係る端末局は、いわゆるアクティブ形式を採用しており、自己の端末局IDを検知局、第1及び第二の端末検知手段によって検知可能な形態で保持し、検知局、第1及び第二の端末検知手段が検知可能なように所定の無線形式で端末局IDを自発的に送信する。
【0030】また、上述した地上側設備と端末局とを備える無線通信システムとして実現することもできる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明が適用された実施例について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0032】図1は、上述した発明が適用された路車間通信システムの概略構成を表す説明図である。図1に示すように、本システムは、移動経路(道路)を走行する「移動体」としての車両に搭載された「端末局」としての車載端末h,i,jと、地上側設備とから構成されている。
【0033】この内、車載端末h,i,jは、車両の上部に設置されたアンテナ(図示せず)と、その端末局アンテナを介して無線通信を行う端末局本体(図示せず)とを備えている。一方、地上側設備は、複数の局地基地局からなる局地基地局群、検知局及びそれらを統括する統合基地局を1グループとし、各グループの統合基地局をさらに統括する上位の制御局Sとを備えている。例えば途中で分岐のない経路pにおいては、進行方向手前側から順に、検知局pd、局地基地局群を構成する3つの局地基地局p1,p2,p3が経路に沿って配置されている。これらの位置関係については後述する。そして、これら検知局pd及び3つの局地基地局p1,p2,p3を統括する統合基地局pは別に経路沿いでなくてもよい。本実施例では、1本の経路が分岐して経路pと経路qに分かれており、その経路qも途中で分岐はなく、やはり進行方向手前側から順に、検知局qd、3つの局地基地局q1,q2,q3が経路に沿って配置されている。これら各グループの構成は基本的に同じであるため、以下の説明では、各グループを区別して説明する必要がない限り、経路pに対して設置された地上側設備を取り上げて説明する。
【0034】検知局pdは、道路上方に設けられた検知局アンテナ(図示せず)と、その検知局アンテナを介して無線送受を行う検知局本体(図示せず)とを備えている。また、検知局本体は伝送線路を介して統合基地局p…と接続されている。なお、この伝送線路には例えば同軸線路、光ファイバーなどを用いることができる。
【0035】ここで、検知局pdとその検知局pdに最も近い局地基地局p1との間隔は次のような観点で定められている。つまり、車載端末h…が検知局pdの通信エリアを通過して局地基地局p1の通信エリアに到達するのに要する時間が、検知局pdにて検知された端末局IDに基づいて局地基地局p1から(その検知された端末局IDを有する)車載端末h…への情報伝送がなされる場合の準備に要する時間以上となるよう、両者の間隔が設定されている。この「車載端末h…が検知局pdの通信エリアを通過して局地基地局p1の通信エリアに到達するのに要する時間」については、例えば経路pにてダウンロードを保証する車両の最高速度を基準にして算出すれば、それ以下の速度で移動する場合には対応可能である。
【0036】一方、局地基地局p1…は、道路上方に設けられた基地局アンテナ(図示せず)と、その基地局アンテナを介して無線送受を行う基地局本体(図示せず)とを備えている。また、基地局本体は、光ファイバを介して統合基地局pと接続されている。この統合基地局pと局地基地局p1…との関係については後述する。
【0037】局地基地局p1…は、基地局アンテナから搬送波ビームを放射して所定の通信エリアを形成し、その通信エリア内に進入した車載端末h…との間で無線通信を行う。つまり、車両に搭載された車載端末h…が車両の移動に伴って間欠的に通信エリアに入出し、その通信エリアに滞在中の車載端末h…が局地基地局p1…との間でデータ通信を行う。ここで、局地基地局p1…による通信エリアについては、次の2つの条件を満たすように設定されている。
【0038】[条件■]…同時に複数の車載端末h…が存在し得ない大きさである。具体的には、車載端末h…を搭載した車両が高々一台入れる程度のサイズのエリア(パーソナルエリアと称す。)である。
[条件■]…通信エリア同士がオーバーラップしないよう構成されている。
【0039】このような2条件を満たすように設定された通信エリアにて、車載端末h…と局地基地局p1…とが通信する。これをスポットアクセス方式の通信と呼ぶ。このスポットアクセス方式にて通信することで、次のような効果が発揮される。まず、上述した条件■によって通信エリア内で時間分割や周波数分割等の多元アクセスを施す必要が無くなる。このため一つの車載端末h…に対して一つの通信エリアに与えられた全帯域と全通信時間を与えることができ高速通信が可能となる。また、条件■によって全ての通信エリアが同一の周波数帯域を使用することができ、一つのサービスに与えられた全周波数帯域を全ての通信エリアで使用することができる。このため各ユーザー端末はサービスに与えられた全周波数帯域を使用することができより高速な通信が可能となる。なお、通信エリアの大きさや形成方法、搬送波周波数などについては、従来技術でも示した本願発明者らによる特開2001−268625号公報に具体的に開示されているので、ここでは簡単に開示するにとどめる。
【0040】(1)まず、条件■を満たす通信エリアの具体的な大きさに関しては、路車間通信の対象とする車両が大型トラックから普通車、軽自動車まで様々であることに鑑み、その内の車両サイズが小さい普通車や軽自動車を基準にして、例えば車両進行方向の長さは4m程度とする。また、車両幅方向の長さは、車幅自体は2m程度であるが車両が必ずしも車線中央を走行するとは限らないことから通信エリアの車両幅方向の長さは幅員程度(3.5m)とすることが望ましい。なお、ここでいう4m×3.5mは、車両上部に取り付けられた端末局アンテナの位置においてそのサイズになるように設定されている。
【0041】また、通信エリアの形状(ここでは断面形状を意味する)に関しては、略楕円形状が形成し易いが、通信対象が車両であるため、長方形状にすると次の利点が得られる。つまり、端末局アンテナが縦方向の4m分に存在する時間が、車両の車線内の走行位置に関係なく同じだけ確保できることとなる。
【0042】(2)次に、搬送波周波数については、一般に、搬送波周波数を高くするとビームの指向性が高くなり絞りやすいのでパーソナル通信エリアを形成する場合は搬送波周波数は高いほうが望ましい。また、条件■を満たすようにする場合、周波数がマイクロ波程度に低いと、路面、車両による回折、散乱で干渉が生じると考える。そこで指向性が十分高く、かつ大気中での減衰が大きいミリ波を用いることが望ましい。
【0043】(3)続いて、アンテナ位置に関しは、搬送波として直進性が高いミリ波を用いる場合には、自車近傍の(例えば隣のレーンを走行中の)大型車両や標識などによるシャドウイング防止の観点から、道路幅方向に関しては、車両上部に取り付けられた端末局アンテナに対して、ほぼ真上から搬送波ビームを放射することが望ましい。また、車両進行方向についても同様に車両直上から放射することが望ましいが、基地局アンテナ直下から道路上の車両の前後方向に対称にビームを形成すると、ドップラー現象により、車両の移動に伴って端末局アンテナが基地局アンテナ直下を通過する前後で搬送波周波数が不連続に変化する。そのため、例えば基地局アンテナ直下から後側(車両の進行方向とは反対側)にのみビームを形成させることも好ましい。
【0044】また、各局地基地局p1…は2種類の検知器(図示せず)を有している。第一の検知器は「第一の端末検知手段」に相当し、車載端末h,i,jが持つID(端末局ID)を検知して局地基地局p1…へ通報するためのものであって、スポットアクセス通信エリアの所定距離手前において端末局IDを検知する。第二の検知器は「第二の端末検知手段」に相当し、車載端末h,i,jがスポットアクセス通信エリアへ到来したことを検知し局地基地局p1…へ通報するためのものであって、スポットアクセス通信エリアの境界において検知する。なお、第一の検知器による通報を「第一のトリガ」と称し、第二の検知器による通報を「第二のトリガ」と称する。
【0045】これら両検知器による検知位置の間隔(つまり第一のトリガが発生する位置と第二のトリガが発生する位置の間隔)は、複数の車載端末h…が存在する場合であっても、第一の検知器及び第二の検知器がそれぞれ検知する車載端末h…の順番の入れ替わりが発生しないような近接状態にされている。本実施例では移動体として車両(自動車)を想定しているので、第一の検知器と第二の検知器とによる検知位置同士が離れすぎている場合には、追い越し等によって、第一の検知器では先に自動車Aが検知されたのに、同じ局地基地局p1…第二の検知器では先に自動車Bが検知されるという状況も生じてしまう。このような状況が生じないような程度の近接状態にしておく。例えば車長程度であれば確実ではあるが、120km/hといった相対的に高速走行しながらの通信を想定する場合には、車長の数倍程度でも十分である。
【0046】なお、第一及び第二の検知器による検知方式は、端末局IDや車載端末h…の到来を検知できるのであれば特に限定されず、例えば光や電波など種々の無線形式を用いることができる。一方、制御局Sは、各統合基地局p,q…と公衆網との間のインタフェースを行うものであり、コンテンツ情報を格納するコンテンツサーバと公衆網(インターネット等)を介して接続されている。
【0047】次に、車載端末h,i,jからの要求に応じたコンテンツをダウンロードする場合の通信手順を説明する。車載端末h,i,jは、各ユーザからなされたコンテンツ要求指示に従って車載端末、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話等が要求信号を制御局Sに伝送する。この要求から通信手順が開始される。図1においては広域の通信エリアを有する携帯電話を通して要求信号が送信される場合を示している。
【0048】ユーザからの要求信号を受信した制御局Sは、コンテンツサーバから該当するコンテンツ情報をダウンロードして制御局スプールサーバ(図2参照)に格納しておく。なお、コンテンツサーバは、音楽・映画等のコンテンツを格納しておく機能や、制御局Sからの要求に従ってコンテンツを制御局Sに転送する機能を有している。
【0049】制御局Sは、車載端末h,i,jを使用するユーザの指示に基づく要求信号を各々受信し、各々の要求するコンテンツをコンテンツサーバからダウンロードし、制御局スプールサーバに格納する。図3には、制御局スプールサーバに格納された情報は、車載端末hのユーザが要求した情報、車載端末iを所有するユーザが要求した情報、車載端末jを所有するユーザが要求した情報を、それぞれ区別可能なような表している。
【0050】それでは、以下、順番に通信手順を説明していく図1に示すように、分岐の手前における要求時点では、車載端末h,i,jが経路pを通るのか経路qを通るのかが不明であるため、制御局Sはこの状態で待機する。次に、車載端末h,i,jが分岐を通過して経路pに入り、統合基地局pに接続されている検知局pdの検知エリアを通過する(図4)。検知局pdが形成する検知エリアと統合基地局pに属する局地基地局p1〜p3の形成するスポットアクセス通信エリアとの間には分岐がない配置であるため、検知局pdを通過した車載端末h,i,jは必ず局地基地局p1〜p3の形成するスポットアクセス通信エリアを通過する。
【0051】検知局pdは通過する車載端末のIDを検知して所轄の統合基地局pへ通報する。この通報を受けた統合基地局pは、検知局pdから通報された端末局IDに加えて自局のID(統合基地局ID)を制御局Sへ通報する。したがって、例えば車載端末hが検知局pdを通過することの通報を受けた制御局Sは、車載端末hが統合基地局pの管轄する局地基地局p1…をまもなく通過することを判断し、制御局スプールサーバからhが要求したコンテンツを読み出して統合基地局pに転送する。統合基地局pは転送されたコンテンツを受信して統合基地局スプールサーバに格納する(図4)。車載端末i,jのユーザが要求する情報についても同様に、統合基地局pのス統合基地局プールサーバに順次格納する。
【0052】統合基地局pは、車載端末hから要求のあったコンテンツが一つの局地基地局p1…だけでは伝送が完了しないようなデータサイズであった場合、このコンテンツを複数の局地基地局p1…から分割して伝送する。このため、統合基地局pはコンテンツのデータサイズに応じてコンテンツを分割する(図5)。なお、分割方法については、例えば想定される最高速度に応じた局地基地局p1…における滞在想定時間中に伝送できるデータ量に基づいて一律に分割してもよいが、例えば実際の車載端末h…の移動速度に応じた工夫をしてもよい。
【0053】この工夫を簡単に説明する。このようなデータの分割伝送を考えた場合、一つの無線パケットの大きさは、一つの通信エリアで伝達が完了する程度に小さくする必要がある。しかし、車載端末h…車両に搭載されているため、渋滞時と平常時とでは車両の移動速度が大きく変化し、局地基地局p1…の通信エリア内の滞在時間が大きく変化してしまう。このとき、各通信エリアにて伝送するパケットの長さを渋滞時に走行する速度に基づく滞在時間を基準として設定すると、平常走行時の滞在時間が相対的に短い。そのため、そのパケット長のデータ伝送が完了しなくなるため、このような設定は採用できない。一方、車両が平常時に走行する速度に基づいて得た滞在時間内にデータ伝送が完了するようなパケット長に固定しておくと、渋滞時には滞在時間が長いため、そのパケット長のデータ伝送が完了しても時間的に余裕があり、その時間が無駄になってしまう。また、平常時といっても、車両の走行速度には差があるため、パケット長を固定にするのであれば取り得る最高車速を基準にせざるを得ず、その最高車速よりも低速で走行する場合にやはり時間が無駄が生じることとなる。そこで、例えば検知局pdにおいて車載端末h…の移動速度(つまり車両の走行速度)を検出し、その移動速度で各局地基地局p1の通信エリア(スポットアクセス通信エリア)も通過すると考え、車載端末h…が通信エリア内に滞在する時間、さらに詳しく言えば、端末局アンテナが通信エリア内のデータ伝送のために有効な区間内に滞在する時間を検出し、その時間内に収まるような極力長いパケット長とする。
【0054】なお、検知局pdと局地基地局p1との間隔は「車載端末h…が検知局pdの通信エリアを通過して局地基地局p1の通信エリアに到達するのに要する時間が、検知局pdにて検知された端末局IDに基づいて局地基地局p1から車載端末h…への情報伝送がなされる場合の準備に要する時間以上となるよう」設定されていると説明したが、このような制御局Sから統合基地局pへのコンテンツの転送、統合基地局pでのコンテンツの分割等の処理に要する時間も含めて、上述の「準備に要する時間」が定まる。
【0055】統合基地局pは、他の車載端末i,jについても、それぞれ検知局pdによって検知された端末局IDに基づいて制御局Sから転送されたコンテンツに対しても、必要であれば順次分割の処理を実施する(図5)。次に、統合基地局pは、コンテンツ分割片を複数の局地基地局p1…から車載端末h…へ伝送するために、各コンテンツ分割片をそれぞれ対応する局地基地局p1…へ転送する。なお、コンテンツ分割片を最終的に受け取る車載端末h…ではそれらを統合して元のコンテンツに復元する。その統合時に問題がなければ、どのような順番でコンテンツ分割片を受け取ってもよいので、どのコンテンツ分割片をどの局地基地局p1…へ転送してもよい。一般的には、分割した順番に各局地基地局p1→p2→p3へ転送すればよい。
【0056】コンテンツ分割片が転送された各局地基地局p1…では、そのコンテンツ分割片を自局内の情報記憶領域に格納する(図6)。ここで、図7(a)に示すように、各局地基地局p1…では、情報記憶領域を2種類に分け、各局地基地局p1…における第一、第二のトリガと対応させる。上述の統合基地局pから転送された分割コンテンツは、局地基地局p1…においてまず第一の記憶領域に格納され、第一のトリガによって得られた端末局IDに対応するコンテンツ分割片を第二の記憶領域に状態遷移させる。上述のように、スポットアクセス通信エリアの所定距離手前に検知された端末局IDが第一のトリガとして通報されるため、その直後に同じ端末局IDを持つ車載端末h…がスポットアクセス通信エリアに到来したことをそのエリア境界にて第二のトリガとして通報することとなる。したがって、その後に第二のトリガによって車載端末h…が到来したことを把握すると、局地基地局p1…は直ちに第二の記憶領域から格納されている情報(コンテンツ分割片)をミリ波信号に変調して通信エリア内に存在する車載端末h…へ送信する。
【0057】このような伝送の具体例を説明する。ここでは、検知局pdにて検知された時点では車載端末h→車載端末i→車載端末jの順番で経路を走行していたが、例えば図7(b)に示すように、車両の追い抜きで車載端末hと車載端末iの順番が入れ替わった場合を想定して説明を進める。この状態で車載端末iが局地基地局p1の第一の検知器の検知範囲に入ると端末局IDが第一のトリガによって通報されるため、図8(a)に示すように、局地基地局p1の情報記憶領域の第一の記憶領域に格納されていた車載端末i用の情報(コンテンツ分割片)を第二の記憶領域へ状態遷移させる。
【0058】その後、車載端末iが局地基地局p1の第二の検知器の検知範囲に入ると車載端末が到来したことを第二のトリガによって把握した局地基地局p1は、図8(b)に示すように、第二の記憶領域へ状態遷移させられていた車載端末i用の情報(コンテンツ分割片)を通信エリア内に存在する(と想定される)車載端末iへ伝送する。
【0059】その後、図8(c)に示すように、車載端末iが次の局地基地局p2の第一の検知器の検知範囲に入ると端末局IDが第一のトリガによって通報されるため、局地基地局p2は、情報記憶領域の第一の記憶領域に格納されていた車載端末i用の2番目の情報(2番目のコンテンツ分割片)を第二の記憶領域へ状態遷移させる。一方、局地基地局p1では、上述の局地基地局p2での処理タイミングとは関係なく、自局の第一の検知器の検知範囲に車載端末hが入ると端末局IDが第一のトリガによって通報されるため、局地基地局p1は、情報記憶領域の第一の記憶領域に格納されていた車載端末h用の最初の情報(最初のコンテンツ分割片)を第二の記憶領域に状態遷移させる。
【0060】その後、図9(a)に示すように、局地基地局p2では、車載端末iが第二の検知器の検知範囲に入って車載端末の到来したことを第二のトリガによって把握し、第二の記憶領域へ状態遷移させられていた車載端末i用の2番目情報(2番目のコンテンツ分割片)を車載端末iへ伝送する。一方、局地基地局p1では、車載端末hが第二の検知器の検知範囲に入って車載端末の到来したことを第二のトリガによって把握し、第二の記憶領域へ状態遷移させられていた車載端末h用の最初の情報(最初のコンテンツ分割片)を車載端末hへ伝送する。
【0061】同様に、その後、図9(b)に示すように、車載端末iが次の局地基地局p3の第一の検知器の検知範囲に入ると端末局IDが第一のトリガによって通報されるため、局地基地局p3は、情報記憶領域の第一の記憶領域に格納されていた車載端末i用の3番目の情報(3番目のコンテンツ分割片)を第二の記憶領域へ状態遷移させる。また、局地基地局p2では、自局の第一の検知器の検知範囲に車載端末hが入ると端末局IDが第一のトリガによって通報されるため、局地基地局p2は、情報記憶領域の第一の記憶領域に格納されていた車載端末h用の2番目の情報(2番目のコンテンツ分割片)を第二の記憶領域に状態遷移させる。さらに、局地基地局p1では、自局の第一の検知器の検知範囲に車載端末jが入ると端末局IDが第一のトリガによって通報されるため、局地基地局p1は、情報記憶領域の第一の記憶領域に格納されていた車載端末j用の最初の情報(最初のコンテンツ分割片)を第二の記憶領域に状態遷移させる。
【0062】その後、図9(c)に示すように、局地基地局p3では、車載端末iが第二の検知器の検知範囲に入って車載端末の到来したことを第二のトリガによって把握し、第二の記憶領域へ状態遷移させられていた車載端末i用の3番目情報(3番目のコンテンツ分割片)を車載端末iへ伝送する。また、局地基地局p2では、車載端末hが第二の検知器の検知範囲に入って車載端末の到来したことを第二のトリガによって把握し、第二の記憶領域へ状態遷移させられていた車載端末i用の2番目情報(2番目のコンテンツ分割片)を車載端末hへ伝送する。さらに、局地基地局p1では、車載端末jが第二の検知器の検知範囲に入って車載端末の到来したことを第二のトリガによって把握し、第二の記憶領域へ状態遷移させられていた車載端末j用の最初の情報(最初のコンテンツ分割片)を車載端末jへ伝送する。
【0063】このようにして、車載端末iについては、3つのコンテンツ分割片を全て受信できたので、それらを統合して元のコンテンツに復元する。また、その後、車載端末hは局地基地局p3から3番目のコンテンツ分割片を、車載端末jは局地基地局p2,p3から2,3番目のコンテンツ分割片を順次受け取り、元のコンテンツに復元する。
【0064】このように、検知局pdにて検知された順番がその後入れ替わったとしても、各局地基地局p1…においては、第一の検知器にて検知した端末局IDを有する車載端末h…はその後、順番の入れ替わりなく第二の検知器にてその存在が検知される。したがって、第一のトリガによって得た端末局IDの車載端末h…へ伝送すべき情報(上述の場合はコンテンツ分割片)を第二の記憶領域へ遷移させ、第二のトリガによって車載端末h…の到来を把握すると直ちに第二の記憶領域に遷移させておいた情報を伝送する。したがって、第二のトリガによって車載端末h…の到来を把握した後には端末局IDの判定等の演算を実施しなくても伝送対象の車載端末h…を誤ることなく、例えば進行方向4mといった非常に短いスポットアクセス通信エリア内の滞在時間(「発明が解決しようとする課題」の欄にて記載したように、180km/hで80ms)を情報伝送のために有効に用いることができる。
【0065】このため、種々の点で有利なスポットアクセス方式を前提としながら、ネットワークトラフィックの混雑を回避できる。ここで、そのトラフィック改善効果を具体的な数値を想定して説明する。本実施例方式による検知局pd…から統合基地局p…を介して制御局Sへの位置情報通報で発生するネットワークトラフィックtrを次のように見積もる。
【0066】まず、国土交通省の発表による日本の高速道路における平均交通量m[台/s]は下記のようである。
m=29,093[台/24h]=3.4×10-1 [台/s]従って、高速道路上に設置した任意の検知局pdを1秒あたりに通過する車両の数は3.4×10-1 [台/s]となる。ミリ波マルチメディアレーン&ステーションシステムの車載端末装着率c%を、上記「発明が解決しようとする課題」の欄にて記載した見積もりに基づいて4.3%と仮定すると、高速道路上に設置した任意の検知局を1秒あたりに通過する車載端末の数mt[台/s]は、下記のようになる。
mt=3.4×10-1×4.3×10-2 =1.5×10-2 [台/s]また、全国のミリ波マルチメディアレーン&ステーションシステムの検知局pd…の数は統合基地局p…の数と一致する。この統合基地局p…を例えば高速道路10[km]=1.0×104 [m]につき1箇所設置すると仮定すると、全国の高速道路の総延長が7.8×106 [m]であることから統合基地局数mb[台]は、下記のようになる。
mb=(7.8×106 )/(1.0×104 )=7.8×102 [台]よって全国のミリ波マルチメディアレーン&ステーションシステムの検知局を1秒あたりに通過する車載端末の数はmbt[台/s]は、mbt=1.5×10-2 ×7.8×102 =1.1×101 [台/s]となり、検知局pd…から統合基地局p…を介して制御局Sに伝送される位置情報通報頻度ft[回/s]はmbtと一致し、下記のようになる。
ft=1.1×101 [回/s]1回の通報あたりのデータ量は、上記「発明が解決しようとする課題」の欄にて記載したように308[bit]である。ゆえに全国のミリ波マルチメディアレーン&ステーションシステムで検知局pd…から統合基地局p…を介して制御局Sに伝送される位置情報通報トラフィックtr[bit/s]は、下記のようになる。
tr=ft×308=3.5×103 [bit/s]そのため、上記「発明が解決しようとする課題」の欄にて記載した従来方式におけるトラフィックtrc=1.2×1011 [bit/s]からの改善効果effは、eff=tr/trc=3.5×103 /1.2×1011 =2.9×10-8となり、8桁の低減を見積もることができた。このような大幅なトラフィック改善効果を得られれば、「狭域セルの採用により高い伝搬電力密度が得られる」という利点を持つスポットアクセス方式を採用し易くなる。このことにより、高い電力密度により周波数偏移変調(FSK)のようなシンプルな変調方式で大容量の情報伝送が可能となり、局地基地局p1…や車載端末h…の無線発振器に位相雑音の大きなものが採用可能となり、システムの低廉化が可能となる。
【0067】また、本実施例の場合には、制御局Sから転送されたコンテンツを統合基地局p…が必要に応じて分割するだけですぐに局地基地局p1…へ転送してしまえるため、統合基地局p…の統合基地局スプールサーバの有する記憶手段は相対的に記憶容量が小さなもので対応できる。また、局地基地局p1…がいわゆるインテリジェント化されているため、車載端末h…の検知タイミングに応じた情報伝送の準備や伝送に関する処理は局地基地局p1…が担当し、統合基地局pではそれらに関する処理を実行する必要がなく、処理負荷が軽減される。
【0068】但し、本実施例システムはスポットアクセス方式を前提とするため、路車間通信に有利であるが、その一方、パーソナル通信エリアを多数配置することで通常のセルラー方式を用いる場合に対してインフラコストが大きくなる可能性がある。したがって、統合基地局p…と局地基地局p1…との間の伝送路に対して以下に示す光電波融合技術を導入することがインフラコスト削減に寄与すると考えられる。この光電波融合技術は局地基地局p1…をインテリジェント化することなく、「電波の噴出し口」とし、複数の局地基地局p1…の制御を1台の統合基地局p…が受け持つ。そのため、各局地基地局p1…に局部発振器やミキサを設ける必要がない。つまり、ミリ波デバイスを最小限に抑えることができるため、局地基地局p1…の構成が非常に簡素なものとなり、局地基地局p1…を小型且つ低廉に実現できる。
【0069】その構成については、本願発明者らによる特開2001−268625号公報に開示されているが、簡単に説明しておく。光電波融合技術には代表的な3つのパターンとして■高周波信号を光伝送、■中間周波信号を光伝送、■ベースバンド信号を光伝送がある。そして、上り・下りを同じパターンで実現してもよいし、異なるパターンで実現してもよい。ここでは、その場合も含めて、■〜■のパターンに対応する概略構成及び上り・下り方向の流れの概略を整理して説明することとする。
【0070】■[高周波信号の光伝送の場合]
この場合は、図10(a)に示す構成が考えられる。図中LDはレーザ光源、MODは光を電気信号で強度変調する光変調器、PDは強度変調された光信号から電気信号を取り出すフォトダイオードなどの光−電気(O/E)変換器である。この構成に於ける信号の流れを説明する。
【0071】まず、下り方向については、外部通信網から伝送された有線信号は統合基地局p…内のインターフェース部で無線伝送用のデータ処理を施した後に無線変調してベースバンド信号を生成する。このベースバンド信号を中間周波数(例えば1GHz)にアップコンバートした後に、高周波(例えば37GHz,60GHz)にアップコンバートする。そして、光源から発生された光を、その高周波信号で光変調器を用いて強度変調を施し、その変調された光信号を光ファイバーを介して局地基地局p1…へ向けて伝送する。局地基地局p1…では、統合基地局p…から伝送された光信号をO/E変換器で光信号から高周波信号を取り出し、その取り出した高周波信号を高周波増幅器で増幅した後に、アンテナを介して空中に放射して車載端末h…へ伝送する。
【0072】一方、上り方向については、車載端末h…から放射された高周波信号をアンテナを介して受信した局地基地局p1…は、光変調器を用いて光を強度変調し、光ファイバーを介して統合基地局p…へ伝送する。統合基地局p…では、O/E変換器で光信号から高周波信号を取り出し、高周波から中間周波を介してベースバンド信号にダウンコンバートする。このベースバンド信号をインタフェース部で無線復調・データ変換して有線信号を取り出し、外部通信網に接続する。
【0073】この構成の場合の特徴としては、局地基地局p1…の構成が非常に簡素化されることである。
■[中間周波信号の光伝送の場合この場合は、図10(b)に示す構成が考えられる。まず、下り方向については、外部通信網から伝送された有線信号は統合基地局p…内のインターフェース部で無線伝送用のデータ処理を施した後に無線変調してベースバンド信号を生成する。このベースバンド信号を中間周波数にアップコンバートする。そして、光源から発生された光をその中間周波信号で光変調器を用いて強度変調を施し、その変調された光信号を光ファイバーを介して局地基地局p1…へ向けて伝送する。局地基地局p1…では、統合基地局p…から伝送された光信号をO/E変換器で光信号から中間周波信号を取り出し、高周波信号にアップコンバートした後、高周波増幅器で増幅し、アンテナを介して空中に放射して車載端末h…へ伝送する。
【0074】一方、 上り方向については、車載端末h…から放射された高周波信号をアンテナを介して受信した局地基地局p1…は、その受信した高周波信号を中間周波信号にダウンコンバートし、この中間周波信号で光変調器を用いて光を強度変調し、光ファイバーを介して統合基地局p…へ伝送する。統合基地局p…では、O/E変換器で光信号から中間周波信号を取り出し、ベースバンド信号にダウンコンバートする。このベースバンド信号をインタフェース部で無線復調・データ変換して有線信号を取り出し、外部通信網に接続する。
【0075】この構成の場合は、光変調器の高周波動作特性が中間周波数程度で可能なため、より廉価なものを採用でき、全体のコストダウンにつながる。
■[ベースバンド信号の光伝送の場合]
この場合は、図11(a)に示す構成が考えられる。まず、下り方向については、外部通信網から伝送された有線信号は統合基地局p…内のインターフェース部で無線伝送用のデータ処理を施した後に無線変調してベースバンド信号を生成する。そして、光源から発生された光を、そのベースバンド信号で光変調器を用いて強度変調を施し、その変調された光信号を光ファイバーを介して局地基地局p1…へ向けて伝送する。局地基地局p1…では、統合基地局p…から伝送された光信号をO/E変換器で光信号からベースバンド信号を取り出し、中間周波を介して高周波にアップコンバートした後、高周波増幅器で増幅し、アンテナを介して空中に放射して車載端末h…へ伝送する。
【0076】一方、 上り方向については、車載端末h…から放射された高周波信号をアンテナを介して受信した局地基地局p1…は、その受信した高周波信号を中間周波を介してベースバンド信号にダウンコンバートし、このベースバンド信号で光変調器を用いて光を強度変調し、光ファイバーを介して統合基地局p…へ伝送する。統合基地局p…では、O/E変換器で光信号からベースバンド信号を取り出し、インタフェース部で無線復調・データ変換して有線信号を取り出し、外部通信網に接続する。
【0077】この構成の場合は、光変調器の高周波動作特性がベースバンド信号程度で可能なため、より廉価なものを採用でき、全体のコストダウンにつながる。また、変調機能付きのLDを用いると光変調器なしでも実現可能となる。その場合の構成を図11(b)に示す。
【0078】なお、このように局地基地局p1…をインテリジェント化しない場合、統合基地局p…の統合基地局スプールサーバは、制御局Sから転送されたコンテンツをに一時的に記憶すると共に、図7に示すような第一の記憶領域と第二の記憶領域を持つ必要がある。そして、上記実施例で局地基地局p1…が実行していた伝送情報の準備及び伝送処理を実行する必要がある。つまり、第一のトリガが局地基地局p1…からあった場合、通知された端末局IDに対応するコンテンツ(分割片)を第二の記憶領域へ状態遷移させて伝送準備を行い、第二のトリガが局地基地局p1…からあった場合、伝送準備をしたコンテンツ(分割片)をその第二のトリガがあった局地基地局p1…を介して伝送させる。
【0079】[その他]
(1)車載端末h…に関しては、いわゆるパッシブ形式、アクティブ形式いずれの通信方式でも採用できる。いずれの形式の場合にも検知局pdや局地基地局p…の第一及び第二の検知器によって検知可能な形態で端末局IDを保持しておく。そして、パッシブ形式の場合にはそれら検知局pdや局地基地局p…の第一及び第二の検知器からのID要求に対して端末局IDを応答し、一方、アクティブ形式の場合には、検知局pdや局地基地局p…の第一及び第二の検知器が検知可能なように所定の無線形式で端末局IDを自発的に送信する。
【0080】なお、第一及び第二の検知器による検知方式は、端末局IDや車載端末h…の到来を検知できるのであれば特に限定されず、例えば光や電波など種々の無線形式を用いることができると説明した。したがって当然であるが、車載端末h…もこれらに合わせた光・電波などの無線形式を採用する必要がある。
【0081】(2)統合基地局p…と局地基地局p1…との接続形態については、例えば図11(c)に示すように、統合基地局p…を中心とする「ツリー型」であってもよいし、図11(d)に示すように、各局地基地局p1…をシリアルに接続した「バス型」を用いてもよい。このバス型の場合には、各局地基地局p1…には上述した光電波融合技術を用い、且つ各局地基地局p1…に無線を伝送する光キャリアは、各局地基地局p1…に応じて光波長を異ならしめる波長分割多重(WDM)を用いることで構成できる。ツリー型の場合には、全ての局地基地局p1…に伝送する光の波長は同一で済むが、敷設する光ファイバーの系統が増加し、インフラコストが相対的に高くなる可能性がある。これに対してバス型の場合には光ファイバーは1系統で済む。
【0082】(3)上記実施例では、例えば図1に示すように、検知局pd及び局地基地局h…と統合基地局pとを別個に存在するものとして考えたが、例えば存在場所としては検知局pd、局地基地局h…のいずれか一つの局と同じ場所に存在してもよい。また、制御局Sもいずれか一の統合基地局p…と同じ場所に存在してもよい。
【0083】さらに、上記実施例では複数の局地基地局p1…からなる局地基地局群を想定したが、地上側設備として、検知局、局地基地局、統合基地局をそれぞれ一つずつで1グループを構成するようにしてもよい。この場合は、情報の分割配信はできないが、分割配信の必要がない状況での適用であれば、そのような実施形態も採用できる。
【0084】(4)上記実施例では、無線通信システムの一例として路車間通信システムを挙げ、移動体の例として車両、移動経路の例として道路を想定して説明した。しかし、車両以外の移動体であっても、車両に対する道路と同じような役割を果たすものが存在すれば、同様に本発明システムへの適用は可能である。
【0085】(5)上記実施例においては、統合基地局p…と局地基地局p1…との間の伝送に光ファイバーを用いた。この効果についてはすでに詳細に説明してきた通りである。しかし、光ファイバー伝送の効果を割愛するならば、電気ケーブル、例えば同軸ケーブルやシールドなしツイストペアケーブルを適用しても良い。さらには、統合基地局p…と局地基地局p1…との間の伝送に無線を用いてもよい。




 

 


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