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無線通信方法、受信状況推定方法、送信装置、および、受信装置 - 独立行政法人通信総合研究所
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発明の名称 無線通信方法、受信状況推定方法、送信装置、および、受信装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−87343(P2003−87343A)
公開日 平成15年3月20日(2003.3.20)
出願番号 特願2001−281445(P2001−281445)
出願日 平成13年9月17日(2001.9.17)
代理人 【識別番号】100105500
【弁理士】
【氏名又は名称】武山 吉孝 (外2名)
【テーマコード(参考)】
5K004
5K014
5K022
5K067
【Fターム(参考)】
5K004 AA05 FA05 FE10 FG02 
5K014 AA01 BA10 EA07 FA16 HA06
5K022 EE04 EE21 EE31
5K067 AA03 AA23 BB04 CC10 DD25 DD48 EE02 EE10 EE23 EE72 HH26
発明者 守山 栄松
要約 課題
希望信号電力/干渉信号電力、等を正しく推定でき、誤り訂正復号能力の劣化を防止する無線通信方法を提供する。

解決手段
周波数ホッピング方式における受信装置において、周波数チャネルは、ガードスペース期間中においてホッピングする。図1(b)のベースバンド信号31,32,33は位相がずれている。これは、送信装置側において、予めシンボルタイミング位相を時間軸に沿ってずらせているためである。シンボルタイミングは、シンボルタイミングシフト量を、周波数スロット毎に変化させている。シンボルタイミングシフト量は、基地局毎に、互いに異なるパターンで変化させる。その結果、近接する基地局からの干渉信号が雑音化されるので、干渉信号を希望信号と見誤ることがない。
特許請求の範囲
【請求項1】 第1の送信装置と第1の受信装置との間の第1の通信と、第2の送信装置と第2の受信装置との間の第2の通信とが、少なくとも1つの共通の周波数チャネルを用いて、誤り訂正符号化されたデータを送受信する無線通信方法であって、前記第1,第2の送信装置は、シンボルタイミングの位相を、少なくとも一部において、該第1,第2の送信装置間で異ならせて、送信シンボルを送信し、前記第1,第2の受信装置は、それぞれ、対応する前記第1,第2の送信装置の前記シンボルタイミングに位相同期して受信シンボルをサンプリングし、受信状況を示す値として、希望信号電力と雑音信号電力、または、希望信号電力対雑音信号電力比を推定し、推定された前記受信状況を示す値を、前記誤り訂正符号化されたデータを誤り訂正復号するための重み付け係数とする、ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項2】 第1の送信装置と第1の受信装置との間の第1の通信と、第2の送信装置と第2の受信装置との間の第2の通信とが、少なくとも1つの共通の周波数チャネルを用いて、誤り訂正符号化されたデータを送受信する無線通信方法における前記第1の送信装置または前記第2の送信装置である送信装置であって、前記送信装置は、シンボルタイミングの位相を、少なくとも一部において、前記第1,第2の送信装置間で異ならせて、送信シンボルを送信する、ことを特徴とする送信装置。
【請求項3】 第1の送信装置と第1の受信装置との間の第1の通信と、第2の送信装置と第2の受信装置との間の第2の通信とが、少なくとも1つの共通の周波数チャネルを用いて、誤り訂正符号化されたデータを送受信し、かつ、前記第1,第2の送信装置は、シンボルタイミングの位相を、少なくとも一部において、該第1,第2の送信装置間で異ならせて、送信シンボルを送信する無線通信方法における、前記第1の受信装置または前記第2の受信装置である受信装置であって、前記受信装置は、対応する前記第1の送信装置または前記第2の送信装置の前記シンボルタイミングに位相同期して受信シンボルをサンプリングし、受信状況を示す値として、希望信号電力と雑音信号電力、または、希望信号電力対雑音信号電力比を推定し、推定された前記受信状況を示す値を、前記誤り訂正符号化されたデータを誤り訂正復号するための重み付け係数とする、ことを特徴とする受信装置。
【請求項4】 前記第1,第2の送信装置は、前記シンボルタイミングの位相を、互いに異なるパターンで変化させて、前記送信シンボルを送信する、ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項5】 前記第1の通信は、第1のセルの基地局と該第1のセルに在圏する移動局との間の通信であり、前記第2の通信は、第2のセルの基地局と該第2のセルに在圏する移動局との間の第2の通信である、ことを特徴とする請求項1または4に記載の無線通信方法。
【請求項6】 前記第1,第2の通信は、周波数ホッピング方式で前記送信シンボルを拡散して送信する、ことを特徴とする請求項1または4または5に記載の無線通信方法。
【請求項7】 第1の送信装置と第1の受信装置との間の第1の通信と、第2の送信装置と第2の受信装置との間の第2の通信とが、少なくとも1つの共通の周波数チャネルを用いて、データを送受信する無線通信方法における受信状況推定方法であって、前記第1,第2の送信装置は、シンボルタイミングの位相を、少なくとも一部において、該第1,第2の送信装置間で異ならせて、送信シンボルを送信し、前記第1,第2の受信装置は、それぞれ、対応する前記第1,第2の送信装置の前記シンボルタイミングに位相同期して受信シンボルをサンプリングし、受信状況を示す値として、希望信号電力と雑音信号電力、または、希望信号電力対雑音信号電力比を推定する、ことを特徴とする受信状況推定方法。
【請求項8】 第1の送信装置と第1の受信装置との間の第1の通信と、第2の送信装置と第2の受信装置との間の第2の通信とが、少なくとも1つの共通の周波数チャネルを用いて、データを送受信する無線通信方法における前記第1の送信装置または前記第2の送信装置である送信装置であって、前記送信装置は、シンボルタイミングの位相を、少なくとも一部において、該第1,第2の送信装置間で異ならせて、送信シンボルを送信する、ことを特徴とする送信装置。
【請求項9】 第1の送信装置と第1の受信装置との間の第1の通信と、第2の送信装置と第2の受信装置との間の第2の通信とが、少なくとも1つの共通の周波数チャネルを用いて、データを送受信し、かつ、前記第1,第2の送信装置は、シンボルタイミングの位相を、少なくとも一部において、該第1,第2の送信装置間で異ならせて、送信シンボルを送信する無線通信方法における、前記第1の受信装置または前記第2の受信装置である受信装置であって、前記受信装置は、対応する前記第1の送信装置または前記第2の送信装置のシンボルタイミングに位相同期して受信シンボルをサンプリングし、受信状況を示す値として、希望信号電力と雑音信号電力、または、希望信号電力対雑音信号電力比を推定する、ことを特徴とする受信装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルラ移動通信ネットワークシステムなどの無線通信システムにおける、無線通信方法、受信状況推定方法、送信装置、および、受信装置に関するものである。特に、周波数ホッピング方式、以下FH(Frequency Hopping)方式と略記する、を用いたセルラ移動通信システムにおける、隣接セル干渉信号の推定およびこの隣接セル干渉信号の影響を低減した誤り訂正復号を行う場合に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】携帯電話やPHSのように複数のセルから構成される移動通信ネットワークシステムにおいては、複数のセルに同一周波数チャネルを再配置するために、近隣のセルからの干渉波の影響がある。図7は、移動通信ネットワークシステムの構成例を簡略化して示すシステム構成図である。図示の移動通信ネットワークシステムは、基地局74と、基地局74との通信を行う移動局76、および、基地局75と、基地局75との通信を行う移動局77からなる。基地局74の電波によるサービスエリア(セル)71と、基地局75の電波によるサービスエリア(セル)73とは異なるが、一部が重なっていてもよい。移動局76は、サービスエリア73には在圏しないが、基地局75からの電波は受ける。すなわち、基地局74と基地局75とから、同一の周波数チャネルの信号を送信した場合、移動局76が存在する場所によっては、基地局75からの電波が幾分か到達する。そのため、移動局76が基地局74からの希望波を受けるときの干渉波として作用するには充分である状況が起こりうる。
【0003】これに対して、従来のデジタル自動車電話システムであるPDC(Personal Digital Cellularと略記する、電波産業会「デジタル方式自動車電話システム」RCRSTD-27F)や、第二世代コードレス電話システムである、PHS(Personal Handy-phone Systemと略記する、電波産業会「第二世代コードレス電話システム」RCR STD-28 Version 3)では、同一周波数の繰り返し距離を離す方法や、誤り訂正符号化等により同一チャネル干渉の低減を図っている。この同一チャネル干渉に対する耐性を強化するため、FH(周波数ホッピング)方式が有効であることが示されており、公衆電気通信業務用では欧州のデジタル移動通信規格であるGSM方式は、オプションとして導入している。また、業務用では、米国のジオテック社がFHMA(Frequency Hopping MultipleAccess)方式としてFH方式を用いている。ISM(Industrial Science Medial:産業科学医療用)バンドの無線LAN(Local Area Network)として注目を浴びているBlue toothでも、干渉の影響を避けるためFH方式を用いている。
【0004】図8は、FH方式をセルラ移動通信ネットワークシステムに用いた例を示す概念図である。1フレームを繰り返し周期としてホッピングし、1フレームあたり周波数スロット数が5スロットある例を示す。基地局75と基地局74との間で相互のフレームの同期をとっているので、基地局75と基地局74との間で、ホッピングパターンについても同期がとられている。図中、ハッチングを施した位置が、所定のホッピングパターンにしたがって各周波数スロットにおいて設定される周波数チャネルである。基地局75のホッピングパターンと基地局74のホッピングパターンとは異なる。サービスエリア71内で、複数の移動局は、例えば、基地局74のホッピングパターンを周波数スロット単位で時間シフトしたものを使用する。およびまたは、時分割多元接続(TDMA)として、異なる時分割フレームを使用する。したがって、サービスエリア71内での基地局移動局間通信は相互に干渉波とならない。
【0005】しかし、図示の例では、基地局75のホッピングパターンと基地局74のホッピングパターンとは、クロスハッチングを施した1つの周波数スロットで一致している。そのため、移動局76で受信した場合、基地局74からの希望波と基地局75からの干渉波とは、この一致周波数スロットにおいて衝突している。通常、FH方式では送信データを誤り訂正符号化しているため、1スロットのみの衝突では受信データが誤らないようになされているが、干渉波のレベルが大きい場合には、誤りを訂正しきれなくなる。そこで、干渉波の大きい周波数スロットの受信信号が、誤り訂正復号に与える影響を低減するため、(希望信号電力)/(干渉信号電力)等、受信状況に応じた値を計算し、誤り検出訂正復号時の重み付け係数として用いて、誤り率特性の改善が可能である。
【0006】図9は、FH方式を用いた従来の送信装置および受信装置のブロック構成図である。図9(a)は送信装置、図9(b)は受信装置のブロック構成図である。1次変調として差動QPSKを採用した場合について例示する。図9(a)において、誤り訂正符号化部31において入力データを誤り訂正符号化した後、インターリーブ部32において、複数の周波数スロットの範囲、例えば1フレームにわたってデータを並べ替えるインターリーブを行う。次に、QPSKシンボルマッピング部33において、一次変調のためのマッピングを行って、シンボルを表す複素信号を出力したあと、プリアンブル,ガードタイミング挿入部34において、周波数スロットを単位とするフレーム化を行い、差動符号化部35において、送信シンボルの差動符号化を行う。なお、この差動符号化は、1次変調としてQPSK、π/4シフトQPSKのときに行い、16QAMのような直交多値変調の場合は行わない。
【0007】差動符号化部35の出力は、フィルタ(ルートナイキストフィルタ)部36においてロールオフを行い、D/A変換器40において、これまでのデジタル信号をI相のアナログ信号、Q相のアナログ信号に変換し、直交変調部41において、I相のための基準周波数信号、および、Q相のための基準周波数信号とをそれぞれ変調し合成することにより1次変調信号を生成する。この1次変調信号は、拡散変調部42において、ホッピングシンセサイザ43から出力される高周波発振信号で拡散変調(二次変調)を行うことにより、送信信号が生成され、電力増幅部44を経てアンテナ45から送信される。ここで、ホッピングシンセサイザ43は、ホッピングパターン発生器46から出力されるホッピングパターンにしたがって、ホッピング周波数を周波数スロット毎に変化させる。このホッピングパターン発生器46はクロック発生器47から出力される動作クロックに基づいて、ホッピング周波数の切り替えを行う。
【0008】一方、図9(b)において、アンテナ51で受信された受信信号は、高周波増幅部52を経て、逆拡散部53において、ホッピングシンセサイザ54からの高周波発振信号で逆拡散される。このホッピングパターンは、送信装置で用いたホッピングパターンと同一であって、ホッピングパターン発生器55から出力される。ホッピングパターン発生器55は、クロック発生器56から出力される動作クロックに基づいて、ホッピング周波数の切り替えを行い、かつ、後述する同期初期接続・同期保持部57によって、受信装置でのホッピングタイミングとホッピングパターンを送信装置のそれに合わせる操作を行う。
【0009】逆拡散された信号は、準同期検波部58において、送信装置側の直交変調部41において用いたI相のための基準周波数信号、および、Q相のための基準周波数信号と同じものと乗算されることによって準同期検波されて複素ベースバンド信号に変換され、A/D変換器59において、多値のデジタル信号に変換される。A/D変換器59の出力は、フィルタ(ルートナイキストフィルタ)部60においてロールオフされた後、差動復号(遅延検波)器61、同期初期接続・同期保持部57、受信状況検出部65に出力される。
【0010】同期初期接続・同期保持部57は、先に触れたように、受信装置でのホッピングシンセサイザのホッピングタイミングとホッピングパターンを送信装置のそれに合わせる操作を行う。FH方式の受信装置では、受信信号を周波数ホッピングシンセサイザからの信号と混合することにより逆拡散し、元の一次変調信号に戻す。その際、受信側で用いるホッピングシンセサイザの信号は、送信装置で拡散変調に用いたホッピングシンセサイザからの信号とタイミングとパターンが一致している必要がある。タイミングとパターンを一致させる方法が同期の初期接続であり、一度一致したタイミングがずれないように継続する操作が同期保持である。
【0011】初期同期および同期保持に関する一般技術については、笹岡秀一編著「移動通信」オーム社 第7章第3節(平成10年)で知られている。また、FH方式の初期同期および同期保持については、守山栄松 他、「陸上移動用周波数ホッピング方式通信実験装置の同期捕捉特性」通信総合研究所季報、(1986年9月)で知られている。上記文献に記載された方法以外にも、同期の初期接続及び同期保持のための方法については現在まで多種多様な方法が提案・検討されている。これらの方法を用いて、同期の初期接続及び同期保持が可能である。また、現在までの実験されたシステム及び実用化されたシステムにおいても、同期の初期接続及び同期保持が行われている。
【0012】再び、図9(b)の差動復号(遅延検波)器61に戻って説明する。図示の差動復号(遅延検波)器61においては、多値デジタル信号となっている複素ベースバンド信号のシンボルを遅延検波して硬判定を行うことにより、1次復調して1シンボルあたり2ビットの2値化データを出力する。その際、送信側の差動符号化が元に戻される。シンボルタイミングは一定であり、その間隔(サンプリング周期Δ)は一定で動作している。2値化データは、デ・インターリーブ部64、受信状況検出部65に出力される。まず、デ・インターリーブ部64は、2値化データの並べ替えを行い、送信装置側のインターリーブ部32の入力側に対応するデータを出力して、誤り訂正復号器66に出力される。
【0013】一方、受信状況検出部65は、「受信状況を示す値」として、例えば、受信信号レベル(包絡線)を検出して受信信号電力を計算し、デ・インターリーブ部66に出力する。デ・インターリーブ部66は、「受信状況を示す値」に関して、デ・インターリーブ部64における2値化データと全く同じ並べ替えを行った後に、誤り訂正復号部67に出力される。
【0014】誤り訂正復号部67においては、「受信状況を示す値」を重み付け係数として誤り訂正復号を行う。次に、その簡単な一例について、原理的な説明を行う。所定ビットの入力データは誤り訂正符号部31でNビットの誤り訂正符号化データとなる。Nビットの2値データ系列のうち、この誤り訂正符号化データがとりうる全ての2値データ系列を、それぞれ候補として選定する。各候補に対して、評価用の次のような変数Mkを定義する。diはk番目の候補のi番目の2値データである。2値データは、1と−1で表す。
k=Σ[{(デ・インターリーブされた2値データのうち、k番目の候補のdiに対応するビット位置の2値データ)×(この2値データが、デ・インターリーブされる前に差動復号された時点の受信状況を示す値)−(k番目の候補のdiの値)×(差動復号された2値データのうち、k番目の候補のdiに対応するビット位置の2値データが差動復号された時の受信状況を示す値)}2なお、「この2値データが、デ・インターリーブされる前に差動復号された時点」と「差動復号された2値データのうち、k番目の候補のdiに対応するビット位置の2値データが差動復号された時」とは等しいので、これを単に(k番目の候補のdiに対応する受信状況を示す値)と名付けると、次式のように表現することもできる。
k=Σ(k番目の候補のdiに対応する受信状況を示す値)2×{(デ・インターリーブされた2値データのうち、k番目の候補のdiに対応するビット位置の出力)−(k番目の候補のdiの値)}2【0015】上述した変数を、全ての候補kについて計算し、Mkが最小となる時の候補の2値データ系列が、送信装置側で生成された誤り訂正符号化データであると推定する。次に、この推定された誤り訂正符号化データを、元の入力データに変換する。誤り訂正符号がブロック符号の場合は、ブロック単位にデータを区切り、ブロック単位の変換テーブルを用いて元の入力データに変換できる。一方、誤り訂正符号が畳み込み符号の場合は、終結させた畳み込み符号化データの全てを1つのブロックとして、上述した計算を行う必要があるので、計算量が膨大になる。そのため、畳み込み符号の場合は、軟判定ビタビ復号などの手法で、計算量を減らすが、このような場合でも、トレリスに沿ったメトリック計算に同様な変数を用いて「受信状況を示す値」で重み付けすることができる。例えば、笹岡秀一編著「移動通信」オーム社 第10章第4節(平成10年)p.232で知られている。
【0016】具体例を説明する。誤り訂正符号化部31への入力データが(0,0),(0,1),(1,0),(1,1)までのk=1〜4のいずれか1つであったとする。誤り訂正符号化部31で冗長度を付加して、上述したk=2の(0,1)が、仮に(1,1,1,-1,-1,-1)に変換されたとする。他の(0,0),(1,0),(1,1)については変換後の出力の記載を省略する。変換後の出力は、誤り訂正復号時の候補系列となる。なお、候補系列k=1〜4は、誤り訂正復号部67に予め記憶される。説明を簡略化するためインターリーブ部32はないものとする。QPSKシンボルマッピング部33では、上述した(1,1,1,-1,-1,-1)が、{(1,-1),(1,-1),(1,-1)}にマッピングされる。なお、マッピングは、(A,B,C,D,E,F)をQPSKのシンボル系列{(A,D),(B,E),(C,F)}にマッピングされるものとする。
【0017】今、差動復号部61の出力が{(1,1),(1,1),(-1,-1)}であったとし、受信状況を示す値が(1.0,0.2,0.0)であったとする。デ・インターリーブ部64,66はないものとするので、誤り訂正復号部67には、2値データ系列(1,1,1,1,-1,-1)と受信状況を示す値(1.1,0.2,0.0)とが入力される。2番目の候補系列(1,1,1,-1,-1,-1)に対する変数M2を計算すると、次式の通りとなる。
2=(1.1×1−1.1×1)2+(0.2×1−0.2×1)2+(0.0×1−0.0×1)2+(1.1×1−1.1×(-1))2+(0.2×(-1)−0.2×(-1))2+(0.0×(-1)−0.0×(-1))2他の変数Mk(k=1,3,4)についても同様な計算を行い、変数Mk(k=1〜4)のうち、最小値を与えるk番目の候補系列を、誤り訂正符号化部31から出力された2値データの推定値とする。次に、誤り訂正符号化部31の変換規則に従って、この推定したk番目の候補系列から、誤り訂正符号化部31への入力データの推定値に逆変換する。
【0018】上述したように、「受信状況を示す値」に応じて重み付けを行うことにより、受信品質の良くない周波数スロットのシンボルと、受信品質の良い周波数スロットのシンボルについて、誤り訂正復号に与える影響評価を異ならせることにより、誤り訂正能力が向上する。このように、「受信状況を示す値」を抽出し、デ・インターリーブした値を誤り訂正復号の際に用いることにより、陸上移動通信環境におけるフェージング下においては誤り訂正の効果を増加できる。
【0019】ここで、重み付け係数とするための「受信状況を示す値」としては、種々のものがある。また、誤り訂正復号をどのように行うかについても、種々の方法がある。そこで、FH方式を用いたセルラ移動通信において、希望信号電力をC、干渉信号電力をIとして、CとI、または、C/Iを重み付けに用いることにより、耐干渉性を向上させる第1,第2の従来技術を説明する。本明細書では、干渉波を問題としているので、雑音信号電力は干渉信号電力に含めている。
【0020】FH方式をセルラ移動通信に用いる場合、「干渉ダイバーシチ」効果により周波数有効利用が可能であるとされている。この干渉ダイバーシチ効果を大きくするため、受信側で誤り訂正復号に希望信号電力(推定値)(C)と干渉信号電力(推定値)(I)を用いる方法が提案され、実験により、干渉波の影響を低減し周波数利用効率の向上に有効であることが、浜口清 他「耐干渉復号を適用した直交FH/16QAM方式の特性」電子情報通信学会論文誌、Vol.J78-B-II, No.6, pp.445-453, 1995年 6月に示されている。
【0021】この第1の従来技術によれば、干渉信号電力を推定するために、専用のスペースシンボルを新たに追加している。しかし、スペースシンボルの部分ではデータを伝送できない。このためスペースシンボルを入れることによるフレーム効率の劣化がある。なお、この第1の従来技術では、重み付け係数として、パイロット信号から自動的に得られる包絡線変動の推定値の自乗値、および、スペースシンボルを用いて推定される干渉信号電力を個別に用いている。ここでいう包絡線変動の推定値の自乗値は、希望信号電力に対応する。
【0022】一方、第2の従来技術として、迫田和之 他 「ホッピング毎の重みづけによるSFH-TDMAセルラシステムの等価的干渉電力低減法」電子情報通信学会技術報告 DSP98-146(1999-01)1〜7ページによれば、遅延検波を行う場合、雑音電力の測定法として、以下の手順による方法が用いられている。今、k番目の送信装置への入力シンボルをxk(複素数)、k番目の送信シンボルをyk(複素数)とする。送信側で行われる差動符号化により、yk=xk×yk-1となる。図9(a)においては、差動符号化部35において実行される。一方受信信号rkは、フェージング変動をfk、雑音をσnkとすると、rk=fk×xk×yk-1+σnkとなる。ここで、σは雑音の電圧値を示し、nkは分散1のガウス雑音の時刻kにおける標本値を示す。
【0023】受信装置では、送信装置への入力シンボルxkの推定値x^kを、以下の手順で求める。
x^k=yk/yk-1特に、送信されるシンボルの信号点が原点から等距離(例えば、単位円上)に配置されている場合、例えば、BPSK、QPSK、π/4シフトQPSKなどの通信方式では、x^k=yk×(yk-1*によりx^kを求めることができる。(yk-1*はyk-1の複素共役を示す。上述したx^kの計算は、図9(b)において、差動復号(遅延検波)部61において実行される。ここで、x^kは硬判定された2値データであるが、yk,yk-1はアナログレベルを表す多値デジタルデータである。なお、通常、最初の送信シンボルは既知のシンボルであるプリアンブルシンボルが挿入されているので、雑音やフェージングの影響がなければ、最初の送信信号入力データシンボルから誤りなく復調できる(電波産業会「デジタル方式自動車電話システム」RCR STD-27F参照)。
【0024】図9(b)の受信状況検出部65において、Σ絶対値(rk−rk-1×x^k2を求める。
Σ絶対値(rk−rk-1×x^k2=Σ絶対値{(fk×yk+σnk)−(fk-1×yk-1+σnk-1)×x^k)}2ここで、「絶対値()」とは、()内の絶対値をとることを示し、「Σ()」は()内について、kに関する和をとり平均化することを示す。ここで、x^k=xkすなわち、xkの推定値x^kがxkと等しく判定に誤りがないと仮定する。また、fk=fk-1すなわち、フェージング変動が緩慢で、fkとfk-1で変化が少ないと仮定する。したがって、上式は、=Σ絶対値{(σnk)−(σnk-1)×x^k)}2となり、変調信号をQPSKとすると、絶対値(x^k)=1であるので、雑音信号電力の2倍に等しいことがわかる。この雑音信号電力には干渉信号電力(I)が含まれている。ガウス雑音を無視すれば、干渉信号電力(I)の2倍に等しいと見なすことができる。
【0025】一方、希望信号電力(C)の推定値は、受信信号の包絡線から求まる受信信号電力から、上述した雑音信号電力(干渉信号電力)の推定値を引くことにより、希望信号電力の推定値=Σ絶対値{rk2−Σ絶対値(rk−rk-1×x^k2/2として求めることができる。なお、この第2の従来技術では、重み付け係数として、希望信号電力対非希望信号電力比(SINR)を用いているが、本明細書では、雑音信号と干渉信号を区別しないで、干渉信号として取り扱っているので、SINRはC/Iに対応する。
【0026】さて、上述した第2の従来技術によって干渉信号電力を検出する方法は、(希望信号電力)/(干渉信号電力)が大きいときには、その値を正確に推定できる。しかし、この方法は干渉信号がガウス雑音になっていることを前提とした方法である。干渉信号がガウス雑音でない場合、例えば干渉信号が希望信号と同一の一次変調方式を用いる同一周波数チャネルの干渉信号の場合には、正確に干渉信号電力を検出することができない。言い換えれば、希望信号と同一周波数チャネルの干渉信号とは、同一のコンスタレーション(信号点配置)であるため、希望信号が干渉信号よりも充分に大きいときには、希望信号のレベルを正確に求めることができるが、干渉信号が希望信号よりも大きいときには、干渉信号のレベルを希望信号のレベルと間違える問題が生じる。すなわち、干渉信号が大きく、(希望信号電力)/(干渉信号電力)の値が小さいほど、(希望信号電力)/(干渉信号電力)の値が大きいと判断される。この問題は、希望信号と干渉信号の信号点配置が同一である場合には避けることが困難である。
【0027】これを防止するため、上述した第2の従来技術では、同一周波数チャネル信号のコンスタレーションを、希望信号と干渉信号とで異なるものにしている。そこでは、QPSKの信号点を、送信されるシンボル毎に、振幅方向と位相方向とに、ある周期で疑似ランダムに変化させている。その周期は、通常、FH方式の周波数スロット単位であり、振幅と位相とを疑似ランダムに変化させる前のQPSK信号に対して正規直交変換を施した信号を送信する。すなわち、振幅と位相とを疑似ランダムに変化させる前のQPSK 信号Yを、Y=(y0,y1,,,,yn-1Tとし、Ξをn行n列の変換行列とすると、疑似ランダムに変化させた後の系列Tは、T=Ξ×Yで与えられる。疑似ランダム化するための行列Ξは、受信側で予め既知であるので、予めΞの逆行列Ξ-1を作成しておくことができる。受信側では受信信号にこの逆行列Ξ-1を掛けることにより、Yの推定値Y^を得ることができる。
【0028】しかし、この方式では送信信号Tの振幅と位相とは、もはやQPSKのそれではない。すなわち、QPSKではQPSKの4つ信号点から原点までの距離が同一であるため、変調された信号の時間的変動が少ない信号となっている。一方、上述した疑似ランダム化した信号は、振幅方向にも疑似ランダム化されるため、送信電力の変動があり、送信信号のピーク電力/送信信号の平均電力の値が大きくなる。ピーク電力が大きくなるため、この方式では、送信装置の電力増幅部44に要求される直線性が、QPSK方式よりも大きくなる欠点がある。このため終段電力増幅器が大型化し、また大きなバックオフが必要となるため終段電力増幅器の効率が低下し、これに伴い消費電力が増加する。なお、上述した従来技術では、QPSKの信号点を、送信されるシンボル毎に位相方向にのみ、ある周期で疑似ランダムに変化させる方法も示されている。この場合は、送信電力の変動がないものの、位相方向にしかランダム化できない。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した問題点を解決するためになされたもので、干渉信号を希望信号と間違えることなく、受信状況を示す値として、希望信号電力と干渉信号電力、あるいは、希望信号電力/干渉信号電力を正しく推定でき、正しい重み付けを行うことによって、誤り訂正復号能力の劣化を防止する無線通信方法、送信装置、および、受信装置を提供することを目的とするものである。また、干渉信号を希望信号と間違えることなく、受信状況を示す値として、希望信号電力と干渉信号電力、あるいは、希望信号電力/干渉信号電力を正しく推定できる受信状況推定方法、送信装置、および、受信装置を提供することを目的とするものである。
【0030】
【課題を解決するための手段】本発明は、請求項1に記載の発明においては、第1の送信装置と第1の受信装置との間の第1の通信と、第2の送信装置と第2の受信装置との間の第2の通信とが、少なくとも1つの共通の周波数チャネルを用いて、誤り訂正符号化されたデータを送受信する無線通信方法であって、前記第1,第2の送信装置は、シンボルタイミングの位相を、少なくとも一部において、該第1,第2の送信装置間で異ならせて、送信シンボルを送信し、前記第1,第2の受信装置は、それぞれ、対応する前記第1,第2の送信装置の前記シンボルタイミングに位相同期して受信シンボルをサンプリングし、受信状況を示す値として、希望信号電力と雑音信号電力、または、希望信号電力対雑音信号電力比を推定し、推定された前記受信状況を示す値を、前記誤り訂正符号化されたデータを誤り訂正復号するための重み付け係数とするものである。したがって、干渉信号が雑音化されるので、同一周波数チャネル干渉に起因する干渉信号を希望信号と間違えることなく、受信状況を示す値として、希望信号電力と干渉信号電力、あるいは、希望信号電力/干渉信号電力を正しく推定でき、正しい重み付けを行うことによって、誤り訂正復号能力の劣化を防止することができる。
【0031】請求項2に記載の発明においては、第1の送信装置と第1の受信装置との間の第1の通信と、第2の送信装置と第2の受信装置との間の第2の通信とが、少なくとも1つの共通の周波数チャネルを用いて、誤り訂正符号化されたデータを送受信する無線通信方法における前記第1の送信装置または前記第2の送信装置である送信装置であって、前記送信装置は、シンボルタイミングの位相を、少なくとも一部において、前記第1,第2の送信装置間で異ならせて、送信シンボルを送信するものである。したがって、請求項1に記載の無線通信方法のための送信装置を実現できる。
【0032】請求項3に記載の発明においては、第1の送信装置と第1の受信装置との間の第1の通信と、第2の送信装置と第2の受信装置との間の第2の通信とが、少なくとも1つの共通の周波数チャネルを用いて、誤り訂正符号化されたデータを送受信し、かつ、前記第1,第2の送信装置は、シンボルタイミングの位相を、少なくとも一部において、該第1,第2の送信装置間で異ならせて、送信シンボルを送信する無線通信方法における、前記第1の受信装置または前記第2の受信装置である受信装置であって、前記受信装置は、対応する前記第1の送信装置または前記第2の送信装置の前記シンボルタイミングに位相同期して受信シンボルをサンプリングし、受信状況を示す値として、希望信号電力と雑音信号電力、または、希望信号電力対雑音信号電力比を推定し、推定された前記受信状況を示す値を、前記誤り訂正符号化されたデータを誤り訂正復号するための重み付け係数とするものである。したがって、請求項1に記載の無線通信方法のための受信装置を実現できる。
【0033】請求項4に記載の発明においては、請求項1に記載の無線通信方法において、前記第1,第2の送信装置は、前記シンボルタイミングの位相を、互いに異なるパターンで変化させて、前記送信シンボルを送信するものである。したがって、第1、第2の通信装置間でシンボルタイミングの位相が、常時接近している状態をとるおそれがないので、干渉信号を雑音化する能力が高い。
【0034】請求項5に記載の発明においては、請求項1または4に記載の無線通信方法において、前記第1の通信は、第1のセルの基地局と該第1のセルに在圏する移動局との間の通信であり、前記第2の通信は、第2のセルの基地局と該第2のセルに在圏する移動局との間の第2の通信である。したがって、セルラ移動通信システムにおける近接セルからの同一周波数チャネル干渉による受信品質劣化を防止することができる。そのため、限られた周波数チャネルの有効利用が図れる。
【0035】請求項6に記載に発明においては、請求項1または4または5に記載の無線通信方法において、前記第1,第2の通信は、周波数ホッピング方式で前記送信シンボルを拡散して送信するものである。したがって、同一チャネル干渉に対する耐性が高まる。
【0036】請求項7に記載の発明においては、第1の送信装置と第1の受信装置との間の第1の通信と、第2の送信装置と第2の受信装置との間の第2の通信とが、少なくとも1つの共通の周波数チャネルを用いて、データを送受信する無線通信方法における受信状況推定方法であって、前記第1,第2の送信装置は、シンボルタイミングの位相を、少なくとも一部において、該第1,第2の送信装置間で異ならせて、送信シンボルを送信し、前記第1,第2の受信装置は、それぞれ、対応する前記第1,第2の送信装置の前記シンボルタイミングに位相同期して受信シンボルをサンプリングし、受信状況を示す値として、希望信号電力と雑音信号電力、または、希望信号電力対雑音信号電力比を推定するものである。したがって、干渉信号が雑音化されるので、同一周波数チャネル干渉に起因する干渉信号を希望信号と間違えることなく、受信状況を示す値を正しく推定できる。その結果、通信サービス中にサービス品質を監視することができる。
【0037】請求項8に記載の発明においては、第1の送信装置と第1の受信装置との間の第1の通信と、第2の送信装置と第2の受信装置との間の第2の通信とが、少なくとも1つの共通の周波数チャネルを用いて、データを送受信する無線通信方法における前記第1の送信装置または前記第2の送信装置である送信装置であって、前記送信装置は、シンボルタイミングの位相を、少なくとも一部において、該第1,第2の送信装置間で異ならせて、送信シンボルを送信するものである。したがって、請求項7に記載の干渉信号電力推定方法のための送信装置を実現することができる。
【0038】請求項9に記載の発明においては、第1の送信装置と第1の受信装置との間の第1の通信と、第2の送信装置と第2の受信装置との間の第2の通信とが、少なくとも1つの共通の周波数チャネルを用いて、データを送受信し、かつ、前記第1,第2の送信装置は、シンボルタイミングの位相を、少なくとも一部において、該第1,第2の送信装置間で異ならせて、送信シンボルを送信する無線通信方法における、前記第1の受信装置または前記第2の受信装置である受信装置であって、前記受信装置は、対応する前記第1の送信装置または前記第2の送信装置のシンボルタイミングに位相同期して受信シンボルをサンプリングし、受信状況を示す値として、希望信号電力と雑音信号電力、または、希望信号電力対雑音信号電力比を推定するものである。したがって、請求項7に記載の干渉信号電力推定方法のための送信装置を実現することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の動作原理を説明するためのシンボルタイミングの説明図である。周波数ホッピング方式における受信装置において、受信信号が逆拡散部で逆拡散され準同期検波された後のベースバンド信号の状態を模式的に、シンボルを+1,−1として示している。1つの周波数スロットが4シンボルから構成される場合の例示であって、第1〜第3スロットについて図示する。1つの周波数スロット中においては、周波数チャネルが固定され、周波数スロットの間に設けられたガードスペース期間中において、異なる周波数チャネルにホッピングする。複数の周波数スロットで1フレームを構成し、ホッピングパターンは例えば1フレームを周期として繰り返す。このフレームは、時分割多元接続(TDMA)の1つのフレームとなる場合もある。
【0040】図1(a)はシンボルタイミングシフトがない場合、図1(b)はシンボルタイミングシフトがある場合を示す説明図である。図1(a)において、1はベースバンド信号、2はシンボルタイミングである。図1(b)において、31〜33は第1〜第3スロットにおけるベースバンド信号、41〜43は第1〜第3スロットにおけるシンボルタイミングである。図1(a)と図1(b)とを比較すると、ベースバンド信号1は、ベースバンド信号31と一致する。しかし、ベースバンド信号32,33とは位相がずれている。これは、送信装置側において、直交変調する段階で、予め、図1(b)に示すようにシンボルタイミング位相を時間軸に沿ってずらせているためである。シンボルのサンプリングは、シンボルの変化点の中央でシンボルタイミングを用いて行うものとしている。また、ガードスペース区間ではサンプリングを行わない。
【0041】図1(a)において、シンボルタイミング2は、時間幅Δで一定であり、スロット内だけでなく、次のスロットに移ってもそのままの位相で一定である。一方、図1(b)においては、シンボルタイミングは、スロット内では時間幅Δで一定である。しかし、図1(a)の場合を基準として、スロット間でシンボルタイミング位相がシフトしている。図示の例では、第1スロットでは、シンボルタイミングシフト量■は0であるが、第2スロットではシンボルタイミングシフト量■、第3スロットではシンボルタイミングシフト量■だけシフトしている。図示の例では、基準より進む場合しか示されていないが、基準より遅れる場合が含まれていてもあってよい。
【0042】従来技術においては、図1(a)に示すように、いずれの基地局も、シンボルタイミングをシフトさせずに各セル内の移動局に送信し、移動局では、同じシンボルタイミングでシンボルをサンプリングして復調する。これに対し、本発明においては、各基地局間で、フレームやホッピングパターンについて互いに同期させているが、シンボルタイミングに関しては、図1(a)に示すシンボルタイミング2を基準として、図1(b)に示したように、シンボルタイミングの位相シフト量を、周波数スロット毎に変化させた上で、位相同期させている。シンボルタイミングシフト量は、基地局毎に、互いに異なるパターンで変化させる。したがって、基地局間で、シンボルタイミングの位相差がランダム化される。さらに、シンボルタイミングシフト量のパターンをランダムにすれば、異なる基地局が、同じ周波数スロットにおいて同じ周波数チャネルを用い、かつ、シンボルタイミングシフト量も同じになる確率が小さくなる。
【0043】次に、一般論として、受信側でサンプルタイミングがシフトしていると、信号空間ダイアグラム(I,Q位相平面)上のコンスタレーション(信号点配置)が、どのようになるかを説明する。図2は、ベースバンド信号のアイパターンと、シンボルタイミングでサンプルされたシンボルのコンスタレーションを示す説明図である。1次変調としてQPSK変調を用いた場合を示す。図2(a)はアイパターンの最適位置でサンプリングした場合であって、シンボルタイミング12がアイパターン11に合っているので、QPSKでは、4点の信号点13が正確に現れる。一方、図2(b)はアイパターンの最適位置を外れた位置でサンプリングした場合であって、シンボルタイミング12が合っていないので、コンスタレーションが雑音状に乱れる。
【0044】本発明は、図2(b)のように、シンボルタイミングを最適位置からシフトさせることによって、コンスタレーションが、雑音のように分散することに着目したものである。すなわち、基地局でシンボルタイミングの位相を基地局毎に異なるシンボルタイミング位相で送信する。これに対応する移動局において、この位相ずれに同期して、シンボルタイミングをずらせた場合、図2(a)に示したような、正しいシンボルタイミングで希望信号をサンプリングできる。一方、干渉信号となる他の基地局からの送信信号に関しては、図2(b)に示したように、シンボルタイミング12が最適な点からシフトすることになる。その結果、希望信号に関しては、図2(a)に示したコンスタレーションとなり、干渉信号に関しては、図2(b)に示したコンスタレーションとなる。
【0045】実際には、対応する基地局からの希望信号と、他の基地局からの干渉信号とが重畳して受信されることになる。図3は、希望信号と干渉信号とが重畳して受信されるときのコンスタレーションの概念的説明図である。希望信号と干渉信号が、ともにQPSK信号である例について説明する。希望信号電力をC、干渉信号電力をIとして、希望信号に干渉信号が重畳したときの受信信号のコンスタレーションを示す。ガウス雑音については無視している。
【0046】図3(a)はシンボルタイミングシフトさせない従来方式において、C/I>1のときのコンスタレーションである。希望信号の信号点は4点、干渉信号の信号点も4点であり、かつ、希望信号と干渉信号のシンボルタイミングが合っている。したがって、干渉信号が乗畳した信号のコンスタレーションは、4×4=16点の信号点として観測される。ハッチングを施した丸印は、干渉がないときの希望信号の信号点21である。黒丸印は、希望信号に干渉信号が重畳した信号の信号点22である。希望信号と干渉信号とが重畳されている場合に、信号点21は観測されず、信号点22のみが観測される。各象限において、信号点21を原点とした4つの信号点22までのベクトルが干渉信号を表している。
【0047】一方、図3(b)はシンボルタイミングシフトさせない従来方式において、C/I<1のときのコンスタレーションである。図3(a)の場合と、希望信号、干渉信号、および、受信装置におけるシンボルタイミングは同一の条件にして、希望信号と干渉信号の大きさのみを変えているので、希望信号と干渉信号の立場が入れ替わる。ハッチングを施した丸印は、希望信号がないときの干渉信号の信号点23である。白丸印は、干渉信号に希望信号が重畳した信号の信号点24である。希望信号と干渉信号とが重畳されている場合に、信号点23は観測されず、信号点24のみが実際に観測される。図3(a),図3(b)を比べると、希望信号と干渉信号の立場が入れ替わっても、希望信号と干渉信号は同一の変調方式で同一の信号点配置であるため、C/I<1の場合とC/I>1の場合との区別がつかない。その結果、干渉信号が大きくなると、干渉信号を希望信号と誤って判定される。
【0048】図3(c)はシンボルタイミングシフトさせる本発明の方式において、C/I>1のときのコンスタレーションである。ハッチングを施した丸印は、干渉信号がないときの希望信号の信号点25である。黒丸印は、希望信号に干渉信号が重畳した信号の信号点26である。希望信号と干渉信号とが重畳されている場合に、実際に観測されるのは信号点26のみである。各象限において、信号点25を原点とした信号点26までのベクトルが干渉信号を表している。希望信号にシンボルタイミングが合っているが、干渉信号にはシンボルタイミングが合っていないため、C/I>1の状態であっても、信号点26は16点にならない。
【0049】図3(d)はシンボルタイミングシフトさせる本発明の方式において、C/I<1のときのコンスタレーションである。本来は、図3(c)の場合から、希望信号と干渉信号の大きさのみを変えて、他は同一条件にて図示すべきであるが、作図が困難であるので概念的に図示している。ハッチングを施した丸印は、干渉信号がないときの希望信号の信号点27である。白丸印は、希望信号に干渉信号が重畳した信号の信号点28である。希望信号と干渉信号とが重畳している場合に、実際に観測されるのは信号点28のみである。C/I<1になると、干渉信号Iが大きいため信号点28は散らばり、コンスタレーションが雑音状となる。たとえ希望信号と干渉信号がともに同じ変調方式で変調されており、なおかつC/I<1の場合であったとしても、干渉信号を希望信号と間違うことはない。隣接セルからの干渉信号が雑音化されるので、通常の雑音信号電力の推定方法を用いるだけで、干渉信号電力(I)、希望信号電力(C)を測定することができる。
【0050】雑音信号電力および希望信号電力の推定方法としては、例えば、従来技術の項で説明した第2の従来技術(迫田和之 他 「ホッピング毎の重みづけによるSFH-TDMAセルラシステムの等価的干渉電力低減法」電子情報通信学会技術報告 DSP98-146(1999-01)1〜7ページ)に記載された、遅延検波を行う場合の雑音電力の測定方法を採用すればよい。ただし、シンボルが正しく判定されるわけではないので干渉信号自体が軽減されるのではない。しかし、誤り訂正復号において用いる「重み付け係数」を計算するための、干渉信号電力(I)と希望信号電力(C)、あるいは、これらの比(C/I)の推定が正確にできることにより、結果として、誤り訂正復号後のBER(BitError Ratio)を低減させることが可能となる。
【0051】図4は、本発明の、FH方式を用いた実施の一形態における送信装置および受信装置のブロック構成図である。図4(a)は送信装置、図4(b)は受信装置のブロック構成図である。図中、図9と同様なブロックについては同じ符号を付して説明を省略する。送信装置側においては、バッファ37、読み出しタイミング発生部38、シンボルタイミングシフトROM39が新たに加えられている。フィルタ部36から出力されるベースバンド信号は、バッファ37に一時記憶される。バッファ37からの読み出しは、読み出しタイミング発生部38から出力されるタイミングで行われ、D/A変換器40に出力される。読み出しタイミングは、シンボルタイミングシフトROM39から出力される各基地局に固有のシフトパターンで基準のタイミングからスロット単位でシフトする。図1(a)に示したシンボルタイミング2を基準のタイミングとすると、ある基地局送信装置では、図1(b)に示したシンボルタイミング41,42,43のようにシフトする。近接するセルの基地局では、固有のシフトパターンが異なる。なお、図1(a)の基準のタイミングを用いるものを固有のシフトパターンとする基地局があってもよい。
【0052】図4(b)に示す受信装置においては、シンボルタイミング発生器62,シンボルタイミングシフトROM63を新たに加えている。A/D変換器59、フィルタ60、差動復号部61は、シンボルタイミング発生器62から出力されるシンボルタイミングによって信号処理される。このシンボルタイミングは、シンボルタイミングシフトROM39から出力される基地局に固有のシフトパターンと同一のシフトパターンで制御される。同一のこのシフトパターンは、シンボルタイミングシフトROM63から出力される。
【0053】シンボルタイミングをシフト制御する具体的な方法として、2例を示す。第1のシフト制御方法としては、差動復号部61において、ベースバンド波形をサンプリングするのに必要な、1シンボルにつき1つのシンボルタイミングを、上述したシンボルタイミング発生器62から発生させる。このシンボルタイミングは、送信装置側のシンボルタイミングシフトROM39によって制御されるシフトパターンと同じシフトパターンを発生するシンボルタイミングシフトROM63によってシフト量が制御される。なお、A/D変換器59、フィルタ60に対しても、同じシンボルタイミングあるいはこれより高速のサンプリングクロックで信号処理を行わせる。A/D変換器59に対して同じシンボルタイミングを用いる場合には、低速のA/D変換器59の利用が可能である。
【0054】第2のシフト制御方法を用いる場合には、図4(b)の差動復号部61とデ・インターリーブ部64との間に、図示しないバッファを設ける。シンボルタイミングよりも数倍高速のサンプリングクロックを発生させて、準同期検波部58からのベースバンド信号をオーバーサンプリングし、1シンボル周期につき複数のサンプル値を上述したバッファに順次記憶する。記憶した複数のサンプル値から、シンボルタイミングのシフトパターンに整合したタイミング位置のサンプル値を抜き出すように、シンボルタイミング発生部62から出力されるシンボル読み出しクロックを制御する。シンボルタイミング発生器62から出力されるタイミング信号は、シンボルタイミングシフトROM63から出力される固有のシフトパターンで制御される。オーバーサンプリングの倍数は、(シンボル間隔)/(タイミングシフト量の最小ステップ幅)にすることで、最適なシンボルタイミング位置におけるサンプル値を含む複数のサンプル値を得ることができる。
【0055】上述したように、シンボルタイミングの位相が変化するため、このシンボルタイミングの位相変化を考慮に入れた上で、シンボルタイミングの同期をとる必要がある。1周波数スロット中のシンボル数はさほど多くないので、1フレーム中のシンボル全体を用い、かつ、1フレーム中の各周波数スロットにおけるシンボルタイミングの位相変化を考慮に入れてシンボル同期をとる必要がある。また、シンボルタイミングの位相変化によって基準よりも前後に大きくシフトしてガードスペースが狭くなる場合がある。このような場合を考慮して、周波数チャネルを切り替えるタイミングについて、前後の周波数スロットにおけるシンボルタイミングの位相変化を考慮に入れて基準からシフトさせるようにしてもよい。
【0056】なお、受信状況検出部65として、一例として、従来技術の項で説明した第2の従来技術に示されているような方法で、「希望信号電力C」、「干渉信号電力I」を推定し、C/Iを「受信状況を示す値」として出力し、デ・インターリーブ部66を経て、誤り訂正復号部67に出力する。一方、差動復号部61で硬判定され、デ・インターリーブ部64でデ・インターリーブされた信号は、誤り訂正復号部67に出力される。誤り訂正復号部67においては、重み付けが反映された誤り訂正復号を行い、受信データを出力する。
【0057】どのような誤り訂正符号化方式を用いるか、また、誤り訂正復号部67においてどのような方法で誤り訂正を行うかは任意である。これと関連して、受信状況検出部65においてどのような値を「受信状況を示す値」として重み付け係数とするかは任意である。ただし、何らかの形で「希望信号電力C」から分離されて区別される「干渉信号電力I」の推定値が含まれる。従来技術で参照した第1の従来技術では、「疑巡回ブロック符号」を用いて、復号には「ユークリッド距離最小復号」を実行している。重み付け係数としては、「希望信号電力C」の推定値と「干渉信号電力I」の推定値を独立させた形で使用している。これに対し、従来技術で参照した第2の従来技術では、「畳み込み符号」を用いて、復号には「軟判定ビタビ復号」を実行している。重み付け係数としては、希望信号対比希望電力比(SINR)、本明細書でいう(希望信号電力C)/(干渉信号電力I)を使用している。
【0058】次に、本発明の実施の一形態について、レイリーフェージング下でのシミュレーション結果を示す。1周波数スロット当たりのシンボル数は33シンボル、1フレームの周波数スロット数は6、フレーム長80ms、TDMA多重数は4(4フレーム)、ロールオフ率は0.3、変調方式は差動符号化QPSK、受信装置での検波は差動復号(遅延検波)、1ユーザのビットレート3.2kbps、誤り訂正符号は符号化率1/2で拘束長3の畳み込み符号、復号は軟判定ビタビ復号である。シンボルタイミングのシフト量のパターンは、1フレームを繰り返し周期とし、そのシフト量が1/6シンボルを単位としてランダムにシフトするパターンとした。
【0059】図5は、本発明の実施の一形態について、そのシミュレーション結果を示す第1の線図である。図5(a)は比較例としてシンボルタイミングシフトがない場合の、C/Nの真の値に対するC/Nの推定値を示す線図である。このC/Nは、1周波数スロット毎の値である。図5(b)はシンボルタイミングシフトがある場合の、C/Nの真の値に対するC/Nの推定値を示す線図である。同様に、1周波数スロット毎の値である。図5(a)では、真のC/Iが1、すなわち0dBを境に真のC/Iが小さくなっても、C/Iの推定値は大きくなる。これは、干渉信号を希望信号と見誤った結果である。これに対し、シンボルタイミングシフトがある図5(b)では、真のC/Iが1、すなわち0dBを境にC/Iが小さくなると、真のC/Iの推定はできなくなるものの、干渉波信号を希望波信号と見誤ることはない。
【0060】図6は、本発明の実施の一形態についてそのシミュレーション結果を示す第2の線図である。図中、横軸は平均C/I(1フレーム6スロットにわたるC/I真値の平均値)、縦軸はBER(Bit Error Ratio)である。上から順に、(1)包絡線電力に比例した重み付け(C+I)、(2)検波出力の分散によりIの量を推定してC/Iで重み付け(C/I)、(3)シンボルタイミング#を周波数スロット毎にシフトさせ、検波出力の分散によりIの量を推定し、C/Iで重み付ける本発明による方式(C/I+s.t.s)の誤り率特性を示す。「検波出力の分散」とは、具体的には、従来技術の文献2で採用している干渉信号の推定方法であり、既に説明したΣ絶対値{(σnk)−(σnk-1)×x^k)}2/2である。
【0061】受信状況は、周波数選択性フェージングによって、各周波数スロットの周波数チャネルによって大きく変動する。したがって、受信状況によっては、この線図に示されている平均C/Iが0dB以上の範囲であっても、個々の周波数スロットの中には、C/Iが0dB未満になるものがある。このような場合に、図5に示したように、従来技術では干渉信号を希望信号と間違えて誤った重み付け係数を計算してしまう。そのため、平均C/Iが0dB以上の範囲においても、誤り訂正復号部の訂正能力が劣化し、上述した(1),(2)の場合は、本発明の(3)よりもBERが悪くなっている。したがって、本発明による方式の効果が確認できる。
【0062】上述した説明では、図7に示したような、セルラ移動通信ネットワークシステムにおいて、送信シンボルをFH方式で拡散させ、かつその周波数スロット毎に、前記送信シンボルタイミングを、その位相を所定のシンボルタイミングシフト量パターンで変化させるとともに、前記所定のシンボルタイミングシフト量パターンを通信間で相互に異ならせたものを具体例として説明した。図示の例では、セル数が2であるが、セルラ方式移動通信システムでは、より多数のセルで構成されている。そのため、基地局毎に異なるシンボルタイミングシフト量のパターンを割り当てると、パターン総数が足りなくなる。そこで、基地局毎に各周波数スロット毎に用いるシンボルタイミングのタイミングシフト量のパターンについてグループを構成し、同一シンボルタイミングシフト量パターンのグループに属する基地局が近接して配置されないようにすればよい。
【0063】これは、従来のセルに対する固定周波数割り当てで、周波数をグループに分けてセル繰り返しパターンを構成し、このセル繰り返しパターン単位で基地局に対する周波数の割り当てを行っていることに相当する(笹岡秀一編著「移動通信」オーム社 第7章第3節、平成10年、129ページ参照)すなわち、従来の周波数割り当て方式と同様に、グループ単位でタイミングシフト量パターンを割り当てることで、同一シンボルタイミングシフト量パターンを用いる希望局の基地局が近傍に配置されないようにすることが可能である。
【0064】なお、実際には、FHパターンによる1つの周波数チャネルとシンボルタイミングシフト量パターンのシフト量の両者がある周波数スロットにおいて一致したときにのみ、問題となる。したがって、FHパターンとシンボルタイミングシフト量パターンの両者を組み合わせてグループを構成してもよい。また、FHパターンの繰り返し周期とシンボルタイミングシフト量パターンの繰り返し周期とは、必ずしも一致させる必要はないが、一致していれば、同期などが容易になる。
【0065】上述したセルラ方式移動通信システムにおいて、基地局同士は、シンボルタイミングの基準位相を合わせることが可能であるので、基地局毎に互いに異なるシンボルタイミングシフト量パターンを設定することができる。基地局は下りチャネルでの送信時にこのシンボルタイミングシフト量パターンに応じて送信シンボルタイミングを設定する。移動局は、この送信シンボルを受信して、シンボルタイミングシフト量パターンを同期させて受信シンボルタイミングを設定する。移動局は、予め複数のシンボルタイミングシフト量パターンを保持しており、在圏する基地局との接続開始時に、予め制御チャネルを用いてどのシンボルタイミングシフト量パターンであるかの通知を受ければよい。あるいは、十分な同期捕捉期間を設けることができる場合は、次々に、シンボルタイミングシフト量パターンを切り替えて、有意受信データが得られるかどうかを試すことによって、在圏する基地局のシンボルタイミングシフト量パターンを検出するようにしてもよい。
【0066】移動局から基地局に対して送信する上りチャネルの場合には、下り信号の受信時に設定されたシンボルタイミングシフト量パターンそのものか、これに対応して送信用に設けたシンボルタイミングシフト量パターンを用いて送信シンボルをシフトして送信すればよい。シンボルタイミングの基準(シフト量0)は、基地局から送信された下り信号から得るか、別途、基地局からシンボルタイミングの基準(シフト量0)タイミングを送信して、移動局はこれを受信して基準とすればよい。あるいは、GPS(Global Positioning Systems)などからの時刻情報に基づいてシンボルタイミングの基準(シフト量0)を設定してもよい。
【0067】また、各セルの基地局相互には、ホッピングパターンとシンボルタイミングシフトパターンは異なるが、基地局から送信する場合と移動局から送信する場合とで同一のホッピングパターンとシンボルタイミングシフトパターンを用いることにしてもよい。すなわち、あるホッピングパターンとシンボルタイミングシフトパターンを用いて移動局に対して信号を送信する基地局と、この基地局に対して信号を送信する移動局が用いるホッピングパターンとシンボルタイミングシフトパターンを等しくする。これにより基地局および移動局では送信と受信に用いるホッピングシンセサイザとシンボルタイミングシフトパターン発生器を共通化できる。
【0068】なお、上述したように、シンボルタイミングが、所定のシンボルタイミングシフト量のパターンに従って、周波数数スロット毎に変化するようにすれば好ましい。しかし、第1,第2の通信間で、送信シンボルタイミングの位相が相互に異なる周波数スロットを少なくとも1フレーム内に少なくとも1スロット含めばよい。この場合、第1,第2の通信間で、相異なるシンボルタイミングの位相オフセットを設けるだけで、シンボルタイミングの位相を時間的に変化させなくても構わない。もっとも、この場合は、より多数の通信が同時に行われている場合において、オフセット差によって干渉信号の影響が異なるし、多数の周波数スロットにおいて大きな干渉が生じるおそれもあるので、一般的には、所定のパターンで時間的にシンボルタイミングの位相を変化させることが望ましい。
【0069】また、上述した説明では、セルラ方式移動通信システムについて説明したが、必ずしもセルラ移動通信システムに限定されるものではない。1つの基地局と複数の移動局とがFH方式で通信を行うような場合にも、本発明を適用できる。その際、複数の通信間でホッピングパターンが同期するように、複数の通信間でフレームの同期をとる。同様に、複数の移動局同士がFH方式で通信を行う場合にも、本発明を適用できる。この場合、フレーム同期およびシンボルタイミングの基準は、専用の制御局から送信したり、各移動局でGPSなどを用いて時刻に合わせたりして作成したりすればよい。あるいは、グループ内の移動局のうち一局が主局となって、その送信データ信号によって他の移動局にフレーム同期およびシンボルタイミングの基準を与えてもよい。2つの移動局のうち一局が主局となり、その送信データ信号によって他方の従局に対してレーム同期およびシンボルタイミングの基準を与え、この従局が、さらに他の移動局に対して主局となって、順次、グループ内の移動局間でフレーム同期およびシンボルタイミングの基準を合わせるようにしてもよい。
【0070】上述した説明では、FH方式で拡散することを前提として説明したが、本発明は、FH方式で拡散させることも必ずしも必須とするものではない。すなわち、第1の送信機と第1の受信機との間の第1の通信と、第2の送信機と第2の受信機との間の第2の通信とで、第1,第2の通信間でフレームの同期をとり、かつ、少なくとも1つの共通の周波数チャネルを用いて、データを送受信する無線通信システムに適用することもできる。
【0071】例えば、第1の通信が、第1のセルの基地局と該第1のセルに在圏する移動局との間の通信であり、第2の通信が、第2のセルの基地局と該第2のセルに在圏する移動局との間の第2の通信であれば、セル毎に周波数チャネルを割り当てる従来型のセルラ移動通信システムにおける、周波数チャネルの再利用が図られた2つのセルにおける通信に相当する。あるいは、第1の通信が、基地局とこの基地局のセルに在圏する第1の移動局との間の通信であり、第2の通信が、同じ基地局とこの基地局の同じセルに在圏する第2の移動局との間の通信である場合もある。あるいは、第1の通信が、第1の移動局と第2の移動局との間の通信であり、第2の通信が、第3の移動局と第4の移動局との間の通信である場合もある。
【0072】上述した第1の通信の第1の送信装置と、第2の通信の第2の送信装置が、シンボルタイミングの位相を、フレーム内の少なくとも一部において、第1,第2の送信装置間で異ならせて、送信シンボルを送信する。例えば、フレーム内の少なくとも一部において異なる位相オフセットを与えたり、シンボルタイミングの位相を、第1,第2の送信装置間で互いに異なるパターンで変化させたりする。より具体的には、フレームを複数のサブフレーム(FH方式における周波数スロットに対応)に分割して、少なくとも1部のサブフレームにおいて、シンボルタイミングの位相オフセットを、第1,第2の送信装置間で異ならせる。あるいは、サブフレームを単位としてシンボルタイミングの位相を、第1,第2の送信装置間で互いに異なるパターンで変化させたりする。
【0073】受信装置側においては、対応する送信装置側の送信シンボルタイミングに位相同期して受信信号をサンプリングし、受信状況を示す値として、C,Iまたは、C/Iを計算して、誤り検出訂正復号化に用いる重み付け係数を計算する。これにより希望信号に対して同一チャネル干渉として寄与する影響が大きいセルからの干渉波が雑音化され、受信装置ではC/Iを正確に推定することが可能となる。フェージング変動によって、受信状況が刻々と変化して、C/Iの値が変化する。このC/Iを重み付け係数とすることにより、受信状況の良好なときの受信シンボルを有効に用い、受信状況が悪いときの受信シンボルの影響を少なくして、誤り訂正復号の復号誤りの劣化を防止する。この作用を、本発明の適用により強化することができる。
【0074】なお、一般的に、第1の通信と、第2の通信とは、第1,第2の通信間で、互いのフレームの同期をとって、互いのフレームを合わせる場合が多いと考えられる。例えば、周波数ホッピングパターンの同期をとったり、時分割多元接続(TDMA)をしたり、第1の通信と第2の通信とを含むネットワーク全体にわたる制御をするために同期をとる。そのような場合でも、本発明を適用する場合には、あえて、シンボルタイミングの位相に関しては、フレーム内の少なくとも一部において、第1,第2の送信装置間で異ならせて、送信シンボルを送信させるところに特徴がある。特殊な例として、第1の通信と、第2の通信とは、第1,第2の通信間で、全く同期をとらないようにしてもよい。このような場合は、そのままでも、シンボルタイミングの位相が、フレーム内の少なくとも一部において、第1,第2の送信装置間で異なるようになる確率が高い。しかし、場合によっては、シンボルタイミングの位相が同一になることもある。そこで、本発明では、さらに、シンボルタイミングの位相を、フレーム内の少なくとも一部において、第1,第2の送信装置間で異ならせるので、シンボルタイミングの位相差を確実に異ならせることができる。特に、第1,第2の送信装置が、シンボルタイミングの位相を、互いに異なるパターンで変化させれば、一層、シンボルタイミングの位相を確実に異ならせることができる。
【0075】上述した説明では、受信状況を示す値を、誤り検出訂正復号化に用いる重み付け係数に用いたが、目的によっては、誤り訂正復号化を行わなくてもよい。さらに、誤り訂正符号化を行わなくてもよい。希望信号電力と干渉信号電力、あるいは、希望信号電力/干渉信号電力等を正確に推定して、通信サービス品質を監視することができる。
【0076】
【発明の効果】上述した説明から明らかように、本発明によれば、例えば、複数の周波数チャネルを共通して用いる周波数ホッピング方式を用いたセルラ移動通信システムにおける、同一チャネル干渉に起因する伝送信号品質の劣化防止において、スペースシンボルを用いる場合のようにフレーム効率の低下が問題とならない。また、送信信号の信号点配置を変える場合のように、信号点の変更に伴う信号の包絡線変動が増加することによる送信装置の終段電力増幅器に対する高い直線性が要求されない。
【0077】本発明では従来技術のような不都合を生じることなく、受信状況を示す値として、希望信号電力と干渉信号電力、あるいは、希望信号電力/干渉信号電力を正確に推定できる。さらに、希望信号電力と干渉信号電力、あるいは、希望信号電力/干渉信号電力を推定した結果を、誤り検出復号のための重み付け係数に用いることにより、信号伝送の誤り率を低減できるという効果がある。その結果、周波数の有効利用、無線通信回線の高信頼化と伝送信号品質の向上が可能となる。




 

 


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