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発明の名称 通信ネットワークにおけるルーティング方法及びそれを用いた通信システム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−87310(P2003−87310A)
公開日 平成15年3月20日(2003.3.20)
出願番号 特願2001−269875(P2001−269875)
出願日 平成13年9月6日(2001.9.6)
代理人 【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳 (外1名)
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030 HA08 JA11 JL01 KA05 LB05 MB04 
発明者 綾田 正徳 / 溝口 正信
要約 課題
通信状況の変化する通信ネットワークにおける適正なルーティングを、装置間の交信回数を抑制して実施することのできるルーティング方法及びそれを用いた通信システムを提供する。

解決手段
情報送信装置が情報受信装置に情報を送信する前に、前記情報送信装置が、予め計算し、設定した、あるいは最新の通信状況により設定した所定の評価指標に基づき、前記情報送信装置と前記情報受信装置間の複数の通信経路を計算し、それに基づいて各中継装置のルーティングテーブルを作成し、情報送信時に、前記各中継装置が、前記ルーティングテーブルに基づいて情報の中継を実施する。
特許請求の範囲
【請求項1】情報送信装置と複数の中継装置と情報受信装置によって構成される通信ネットワークにおけるルーティング方法であって、前記情報送信装置から前記情報受信装置に情報を送信する前に、前記情報送信装置が、所定の評価指標に基づいて前記通信ネットワークに存在する通信経路の中から複数の通信経路を選択すると共に前記選択した通信経路の優先順位を決定し、前記優先順位を含む前記選択した通信経路に関する情報をルーティングテーブルとして前記各中継装置に送信する第一のステップと、前記情報送信装置から前記情報受信装置に情報を送信する際に、当該送信する送信情報を受信した前記各中継装置が、前記送信されたルーティングテーブルに基づいて通信経路を決定し、当該決定した通信経路上の次の前記中継装置あるいは前記情報受信装置に前記受信した送信情報を送信する第二のステップを有することを特徴とするルーティング方法。
【請求項2】請求項1において、前記情報送信装置が前記各中継装置に送信するルーティングテーブルが、適宜前記各中継装置で取得される通信状態に関する情報に基づいて、前記情報送信装置あるいは前記各中継装置において更新されることを特徴とするルーティング方法。
【請求項3】請求項1あるいは請求項2において、前記中継装置による前記優先順位に基づいた通信経路の決定が、当該決定の時に使用可能な通信経路の中で前記優先順位が最も高い通信経路を選択することで行われることを特徴とするルーティング方法。
【請求項4】請求項1乃至請求項3のいずれかにおいて、前記所定の評価指標に、前記各通信経路の通信信頼性及び/又は残存性を含むことを特徴とするルーティング方法。
【請求項5】請求項4において、前記各通信経路の通信信頼性が、当該通信経路を構成する2装置間の経路のそれぞれに対する通信信頼性に基づいて求められることを特徴とするルーティング方法。
【請求項6】請求項4において、前記各通信経路の残存性が、当該通信経路上にある前記中継装置のそれぞれに対する残存性に基づいて求められることを特徴とするルーティング方法。
【請求項7】請求項1乃至請求項6のいずれかにおいて、更に、前記送信情報を受信した受信装置が、前記送信装置に情報を返信する際に、当該受信装置を前記第一及び第二のステップにおける送信装置とし、かつ、前記送信装置を前記第一及び第二のステップにおける受信装置として、前記第一及び第二のステップを実行する、あるいは、前記送信情報が送信された通信経路により、前記情報の返信を実行するステップを有することを特徴とするルーティング方法。
【請求項8】情報の送信元である情報送信装置と、前記情報の中継を行う複数の中継装置と、前記情報の送信先である情報受信装置とを有し、通信ネットワークを構築する通信システムであって、前記情報送信装置から前記情報受信装置に情報を送信する前に、前記情報送信装置が、所定の評価指標に基づいて前記通信ネットワークに存在する通信経路の中から複数の通信経路を選択すると共に前記選択した通信経路の優先順位を決定し、前記優先順位を含む前記選択した通信経路に関する情報をルーティングテーブルとして前記各中継装置に送信し、前記情報送信装置から前記情報受信装置に情報を送信する際に、当該送信する送信情報を受信した前記各中継装置が、前記送信されたルーティングテーブルに基づいて通信経路を決定し、当該決定した通信経路上の次の前記中継装置あるいは前記情報受信装置に前記受信した送信情報を送信することにより、前記情報の中継を実施することを特徴とする通信システム。
【請求項9】請求項8において、前記情報送信装置が前記各中継装置に送信するルーティングテーブルが、適宜前記各中継装置で取得される通信状態に関する情報に基づいて、前記情報送信装置あるいは前記各中継装置において更新されることを特徴とする通信システム。
【請求項10】請求項8あるいは請求項9において、前記中継装置による前記優先順位に基づいた通信経路の決定が、当該決定の時に使用可能な通信経路の中で前記優先順位が最も高い通信経路を選択することで行われることを特徴とする通信システム。
【請求項11】複数の中継装置を利用して情報受信装置に情報を送信する情報送信装置であって、前記情報受信装置に情報を送信する前に、所定の評価指標に基づいて前記情報の送信時に使用する通信経路の候補として複数の通信経路を選択すると共に前記選択した通信経路の使用する際の優先順位を決定し、前記優先順位を含む前記選択した通信経路に関する情報をルーティングテーブルとして前記各中継装置に送信することを特徴とする情報送信装置。
【請求項12】請求項11において、前記各中継装置に送信するルーティングテーブルが、適宜前記各中継装置から送信される通信状態に関する情報に基づいて更新されることを特徴とする情報送信装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報送信装置と複数の中継装置と情報受信装置とを繋ぐ通信ネットワークにおけるルーティング方法に関し、特に、通信状況が変化する環境においても、装置間の交信回数を抑制して、適正なルーティングをすることのできるルーティング方法及びそれを用いた通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、通信ネットワークにおけるルーティング(中継経路設定)には、スタティック・ルーティングとダイナミック・ルーティングの2通りがある。前者のスタティック・ルーティングは、ユーザが予め通信経路を固定的に設定する方式であり、通信ネットワークの規模が比較的小さくユーザ側で通信経路の管理が可能である場合に向いている。
【0003】一方、後者のダイナミック・ルーティングは、情報を中継する装置間で随時情報のやり取りを行い、その時の状況に合わせて最適な通信経路を設定する方式であり、通信ネットワークの規模が比較的大きく、通信状況が随時変化する環境においては効果的である。かかるルーティングのための経路制御プロトコルとしては、RIP(Routing Information Protocol)、OSPF(Open Shortest PathFirst)等がよく用いられている。
【0004】図10は、従来の通信システムの構成の一例を示した図である。通常、通信ネットワークを構築する通信システムは、情報を送信する情報送信装置5と、送信された情報を中継する複数の中継装置6と、情報の送り先である情報受信装置7によって構成され、図には、それら各装置内の構成例が示されている。図に示されるとおり、各装置は、通信制御手段(51、61、71)、記憶手段(52、62、72)、通信手段(53、63、73)、及び表示・入出力手段(54、64、74)を同様に有し、通信制御手段(51、61、71)において、前述したRIP、OSPF等が利用されている。
【0005】かかる従来の通信システムでは、ルーティングに際し、各装置の通信制御手段が、自立的にかつ定期的に自分以外の周りの装置の通信制御手段と頻繁に交信を行うことで、状況が変化するような環境においても、目的地までの予め決められた評価関数を最大化する経路設定を確立している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来のルーティング方法では、前述のように、装置間の交信を頻繁に行う必要があり、通信量、通信回数が多い。従って、戦時下の戦地などに構築する、あるいは他の無線に通信障害を起こす恐れがあるが、緊急性の高い無線による通信システム、通信ネットワークにおいては、環境が変化しやすいためダイナミックなルーティングが必要となるが、上述した方法では、電波放射が頻繁に行われることになり、装置が相手側に見つかりやすい、あるいは相手の無線を妨害するという弊害がある。このような通信システムにおいては、装置間の交信回数を抑制したルーティング方法が望まれる。
【0007】そこで、本発明の目的は、通信状況の変化する通信ネットワークにおける適正なルーティングを、装置間の交信回数を抑制して実施することのできるルーティング方法及びそれを用いた通信システムを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明の一つの側面は、情報送信の前に、情報送信装置が、最新の通信状況に基づき、優先順位の付いた複数の通信経路を示すルーティングテーブルを作成し、情報送信時に、各中継装置が、前記ルーティングテーブルに基づいて情報の中継を実施することである。従って、本発明によれば、各装置が随時他の装置と交信を繰返す従来方式と比べて交信回数を抑制することができ、一方、最新の情報でルーティングテーブルが作成あるいは更新され、また、優先順位の付いた複数の経路が確保されているので、通信状況が変化する環境下においても適正な通信経路で情報の送信を行うことができる。
【0009】上記の目的を達成するために、本発明の別の側面は、情報送信装置と複数の中継装置と情報受信装置によって構成される通信ネットワークにおけるルーティング方法であって、前記情報送信装置から前記情報受信装置に情報を送信する前に、前記情報送信装置が、所定の評価指標に基づいて前記通信ネットワークに存在する通信経路の中から複数の通信経路を選択すると共に前記選択した通信経路の優先順位を決定し、前記優先順位を含む前記選択した通信経路に関する情報をルーティングテーブルとして前記各中継装置に送信する第一のステップと、前記情報送信装置から前記情報受信装置に情報を送信する際に、当該送信する送信情報を受信した前記各中継装置が、前記送信されたルーティングテーブルに基づいて通信経路を決定し、当該決定した通信経路上の次の前記中継装置あるいは前記情報受信装置に前記受信した送信情報を送信する第二のステップを有することを特徴とする。
【0010】更に、上記の発明において、その好ましい態様は、前記情報送信装置が前記各中継装置に送信するルーティングテーブルが、適宜前記各中継装置で取得される通信状態に関する情報に基づいて、前記情報送信装置あるいは前記各中継装置において更新されることを特徴とする。
【0011】更に、上記の発明において、別の態様は、前記中継装置による前記優先順位に基づいた通信経路の決定が、当該決定の時に使用可能な通信経路の中で前記優先順位が最も高い通信経路を選択することで行われることを特徴とする。
【0012】更にまた、上記の発明において、別の態様は、前記所定の評価指標に、前記各通信経路の通信信頼性及び/又は残存性を含むことを特徴とする。
【0013】更に、上記の発明において、別の態様は、前記各通信経路の通信信頼性が、当該通信経路を構成する2装置間の経路のそれぞれに対する通信信頼性に基づいて求められることを特徴とする。
【0014】また、上記の発明において、別の態様は、前記各通信経路の残存性が、当該通信経路上にある前記中継装置のそれぞれに対する残存性に基づいて求められることを特徴とする。
【0015】また、上記の発明において、別の態様は、更に、前記送信情報を受信した受信装置が、前記送信装置に情報を返信する際に、当該受信装置を前記第一及び第二のステップにおける送信装置とし、かつ、前記送信装置を前記第一及び第二のステップにおける受信装置として、前記第一及び第二のステップを実行する、あるいは、前記送信情報が送信された通信経路により、前記情報の返信を実行するステップを有することを特徴とする。
【0016】更に、本発明により、各中継装置が通信する相手を限定することができるため、RIP(Routing Information Protocol)、OSPF(Open Shortest Path First)等のダイナミック・ルーティング・プロトコル等と合わせて使用することで、ダイナミック・ルーティングの通信量、通信回線を低減することも可能である。
【0017】上記の目的を達成するために、本発明の別の側面は、情報の送信元である情報送信装置と、前記情報の中継を行う複数の中継装置と、前記情報の送信先である情報受信装置とを有し、通信ネットワークを構築する通信システムであって、前記情報送信装置から前記情報受信装置に情報を送信する前に、前記情報送信装置が、所定の評価指標に基づいて前記通信ネットワークに存在する通信経路の中から複数の通信経路を選択すると共に前記選択した通信経路の優先順位を決定し、前記優先順位を含む前記選択した通信経路に関する情報をルーティングテーブルとして前記各中継装置に送信し、前記情報送信装置から前記情報受信装置に情報を送信する際に、当該送信する送信情報を受信した前記各中継装置が、前記送信されたルーティングテーブルに基づいて通信経路を決定し、当該決定した通信経路上の次の前記中継装置あるいは前記情報受信装置に前記受信した送信情報を送信することにより、前記情報の中継を実施することを特徴とする。
【0018】更に、上記の発明において、その好ましい態様は、前記情報送信装置が前記各中継装置に送信するルーティングテーブルが、適宜前記各中継装置で取得される通信状態に関する情報に基づいて、前記情報送信装置あるいは前記各中継装置において更新されることを特徴とする。
【0019】更に、上記の発明において、別の態様は、前記中継装置による前記優先順位に基づいた通信経路の決定が、当該決定の時に使用可能な通信経路の中で前記優先順位が最も高い通信経路を選択することで行われることを特徴とする。
【0020】上記の目的を達成するために、本発明の別の側面は、複数の中継装置を利用して情報受信装置に情報を送信する情報送信装置であって、前記情報受信装置に情報を送信する前に、所定の評価指標に基づいて前記情報の送信時に使用する通信経路の候補として複数の通信経路を選択すると共に前記選択した通信経路の使用する際の優先順位を決定し、前記優先順位を含む前記選択した通信経路に関する情報をルーティングテーブルとして前記各中継装置に送信することを特徴とする。
【0021】更に、上記の発明において、その好ましい態様は、前記各中継装置に送信するルーティングテーブルが、適宜前記各中継装置から送信される通信状態に関する情報に基づいて更新されることを特徴とする。
【0022】本発明の更なる目的及び、特徴は、以下に説明する発明の実施の形態から明らかになる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、図において、同一又は類似のものには同一の参照番号又は参照記号を付して説明する。
【0024】図1は、本発明を適用した通信システムの実施の形態例に係る装置構成図の一例を示した図である。図に示すように、本通信システム1は、情報の送信元である複数の情報送信装置2と、送信された情報の中継を行う複数の中継装置3と、情報の送り先である複数の情報受信装置4から構成され、情報送信の際には、複数存在する通信経路の中から最もふさわしい経路が選択される。また、本実施の形態例においては、通信手段としては無線通信を用い、通信の状況が随時変化する環境であると想定する。なお、図1に示した各装置の数は、一例であって、異なる数の装置が存在してもよいし、情報受信装置から情報送信装置へ情報が送信されてもよい。
【0025】図2は、本実施の形態例の通信システム1を構成する各装置内の構成を示した図である。情報送信装置2は、図に示す各手段から構成され、まず、通信経路網最適化手段21は、通信信頼性や残存性などの観点から各情報受信装置4への最適な複数の通信経路を選択し、各中継装置3へ配布するルーティングテーブルを作成する部分である。また、記憶手段22は、送信する情報や前記通信経路網最適化手段21において最適な通信経路を選択するために必要な情報等、各種情報を記憶する部分であり、通信制御手段23は、通信手段24を介して他の装置と交信する際の制御を行う部分である。また、通信手段24は、実際に他の装置と情報の送受信を行う部分であり、表示・入出力手段25は、情報送信装置2の操作者とのインターフェースを成し、当該手段により、操作者に対する情報の表示や装置の配置場所に関する情報等の入力が行われる。
【0026】次に、中継装置3と情報受信装置4は、図に示すように、同様の構成を有し、記憶手段31、41は、各種情報を記憶する部分であるが、中継装置3の記憶手段31は、前記情報送信装置2から送信されるルーティングテーブルを格納する。また、通信制御手段32、42は、情報送信装置2の場合と同様、他の装置と交信する際の制御を行うが、中継装置3の通信制御手段32は、特に、情報送信装置2から情報受信装置4への情報送信の際に、前記ルーティングテーブルに従った情報の中継を制御する。なお、通信手段33、43及び表示・入出力手段34、44は、情報送信装置2の相当する部分と同様の機能を有する。
【0027】以上のような構成を有する本実施の形態例に係る通信システム1は、通信状況が変化する環境下においても、装置間の交信回数を極力抑制した方法により、適正なルーティングを行おうとするものである。
【0028】図3は、本実施の形態例に係る通信システム1で行われるルーティング及びそれに基づく情報送信の手順を例示したフローチャートである。まず、情報送信装置2に対して、情報送信装置2、情報受信装置4の配置場所、及び中継装置3の配置候補場所に関する情報が入力される(図3のステップS1)。当該入力操作は、通常、操作者が、前記記憶手段22に予め格納された地図データを前記表示・入出力手段25に表示させ、その上に前記装置の場所を指定する方法で行われる。
【0029】次に、情報送信装置2の通信経路網最適化手段21において、所定の最適化方法により、前記入力された中継装置3の配置候補場所の中から実際に中継装置3を配置する場所が決定される(図3のステップS2)。かかる配置場所の決定は、構築する通信ネットワークの用途等に応じて最適な配置になるように行われるのが好ましく、例えば、前述した戦地における通信においては、通信の信頼性、相手に対する被発見性や装置の故障率が考慮された中継装置(場所)の残存性等を評価指標とした最適化が行われる。決定された中継装置3の最適配置場所は、情報送信装置2の表示・入出力手段25により出力・表示される(図3のステップS3)。なお、以上のステップS1からS3までの手順は、必ずしも情報送信装置2内で行われる必要はなく、外部の装置によって行われ、その結果を情報送信装置2が受け取るようにしてもよい。
【0030】次に、情報送信装置2の通信経路網最適化手段21は、前記決定された中継装置3の配置場所等の情報に基づいて、情報受信装置4へ情報を送信する際の通信経路を示したルーティングテーブルを各中継装置3毎に作成する(図3のステップS4)。かかるルーティングテーブルの作成が、本通信システム1におけるルーティングの主要な部分であり、以下、その手順を説明する。
【0031】図4は、情報送信装置2で行われるルーティングテーブル作成の手順の一例を示した図である。まず、情報の送信先である複数の情報受信装置4が指定される(図4のステップS21)。次に、通信経路網最適化手段21は、前記配置が決定した複数の中継装置3を介して、当該情報送信装置2と前記指定された全情報受信装置4との間に構築され得る全ての通信経路を算出する(図4のステップS22)。
【0032】そして、算出した各通信経路毎にその通信経路の通信信頼性評価値を計算する(図4のステップS23)。かかる通信経路の通信信頼性評価値は、当該通信経路を構成する複数の2装置間の経路に対する通信信頼性評価値から求められる。例えば、情報送信装置2から二つの中継装置3を介して情報受信装置4へ至る通信経路では、2装置間を繋ぐ3つの経路から構成され、それらの経路の各通信信頼性評価値をX1、X2、X3とすると、当該通信経路の通信信頼性評価値は、X1×X2×X3で求められる。
【0033】また、上記2装置間の経路に対する通信信頼性評価値は、下記(1)式によって求められる。
【0034】
通信信頼性評価値=見通し評価値×受信電波強度評価値 ×ビット誤り率評価値 (1)
但し、上記(1)式の右辺の各項目は、図5に示す評価値算出法に基づいてそれぞれ求められる。なお、上述した通信経路全体の通信信頼性評価値を各経路の評価値の積で求める方法、及び上記(1)式は、一例であって、他の式で通信信頼性評価値を求めるようにしても良い。
【0035】次に、同様に、各通信経路毎にその通信経路の残存性評価値を計算する(図4のステップS24)。かかる残存性評価値は、通信経路上に存在する複数の中継装置3の各残存性評価値から、下記(2)式によって算出する。
【0036】
【数1】

【0037】但し、fk:通信経路におけるk番目の中継装置3の残存性評価値また、各中継装置3の残存性評価値は、下記(3)式によって求める。
【0038】
残存性評価値=隠蔽性評価値×被発見性評価値×装置故障率評価値 (3)
但し、上記(3)式の右辺の各項目は、図6の(a)、(b)、及び(c)に示す評価値算出法に基づいてそれぞれ求められる。なお、上記(2)式及び(3)式は、一例であって、他の式で残存性評価値を求めるようにしても良い。
【0039】以上のように、各通信経路の通信信頼性評価値と残存性評価値が算出されると、次に、通信経路網最適化手段21は、それらの評価値に基づいて、全通信経路の中から情報送信に使用する通信経路の選択を行う。具体的には、各通信経路の通信信頼性評価値、残存性評価値、及び中継数を、それぞれについて予め定められたしきい値と比較し、通信信頼性評価値と残存性評価値がそれぞれのしきい値よりも大きく、かつ中継数がそのしきい値より小さい場合には、その通信経路を選択する(図4のステップS25、S26、及びS27)。
【0040】一方、そうでない場合には、その通信経路は選択されず、削除される(図4のステップS28)。なお、中継数とは、情報送信装置2から情報受信装置4に至るまでに中継される装置の情報受信装置4を含めた数であり、例えば、2つの中継装置3を経由する場合には、中継数は3となる。また、本実施の形態例においては、適正な通信経路の選択に上記三つの指標を用いたが、構築する通信ネットワークによっては、その用途に応じて異なる指標を用いて通信経路を選択することができる。
【0041】次に、通信経路網最適化手段21は、上記選択された通信経路群において、いずれか一つの中継装置3が故障した場合に代替の通信経路が確保できなくなる事態になってしまうか否かをチェックする。チェックの結果、代替の通信経路が確保できない場合には、前記通信経路の選択を、前記しきい値を変更するなどしてやり直し、代替の通信経路が確保できるようにする(図4のステップS29)。これは、選択した通信経路群にいわゆる冗長性を持たせ、一つの中継装置3が使用不可能になるなど状況が変化する環境下においても通信を可能にできる頑強なルーティングを行うためである。
【0042】次に、通信経路網最適化手段21は、選択された通信経路に対し、優先順位を付ける(図4のステップS30)。優先順位は、まず各通信経路の通信信頼性評価値の大きい順に行われ、通信信頼性評価値が同じ場合には残存性評価値の大きい順に行われ、更に残存性評価値も同じ場合には、中継数の少ない順に行われる。なお、上記順位付けの方法は、一例であって、図4のステップS29とS30を統合し、信頼性評価値、残存性評価値及び中継数に重み付けし、組合せ最適化処理により、優先順位を付ける等、必要に応じて変更しても構わない。
【0043】選択された通信経路に優先順位が付されると、通信経路網最適化手段21は、その情報に基づいて、各中継装置3毎に、各情報受信装置4毎のルーティングテーブルを作成する(図4のステップS31)。具体的には、後で説明する図9の(b)に示すようなテーブルが作成される。ルーティングテーブルには、その中継装置3を経由する通信経路の情報が優先順位付きで示され、各通信経路の情報には、次の中継相手が示されている。
【0044】以上説明したように、通信経路網最適化手段21におけるルーティングテーブルの作成が終了すると、図3に戻って、前記決定された中継装置3の最適配置に従って、中継装置3等が実際に配置される(図3のステップS5)。中継装置3が配置されると、情報送信装置2は、各中継装置3に対して、情報送信装置2が予め指定した周辺装置との通信信頼性を確認すべき旨の通信信頼性確認要求を、通信手段24を介して行う(図3のステップS6)。
【0045】前記要求を受信した各中継装置3は、前記指定された周辺装置と交信を行い、ビット誤り率等の通信状態の確認を行う(図3のステップS7)。そして、確認した通信状態を情報送信装置2へ返信する(図3のステップS8)。情報送信装置2では、通信が可能であった全ての中継装置3から返信される通信状態の情報を収集し(図3のステップS9)、その内容を通信経路網最適化手段21において解析する(図3のステップS10)。解析の結果、現在の通信状況による各通信経路の通信信頼性や残存性の評価値が、前記ルーティングテーブル作成時(ステップS4)に用いた評価値と異なる場合には、その最新の評価値を用いて、ルーティングテーブルの更新を行う(図3のステップS11)。更新は、図4に示した前記ルーティングテーブルの作成手順に準じた手順で行われる。
【0046】更新されたルーティングテーブルは、情報送信装置2から各中継装置3へ送信され(図3のステップS12)、各中継装置3は、自己用のルーティングテーブルを前記記憶手段31に記憶する(図3のステップS13)。
【0047】以上により、情報受信装置4への情報の送信準備が完了するので、情報送信装置2から情報受信装置4へ情報の送信を行う(図3のステップS14)。具体的には、情報を送信しようとする情報受信装置4への最も優先順位の高い通信経路に従って、情報送信装置2の次の中継装置3へ当該情報を送信する。
【0048】情報を中継する各中継装置3では、前記記憶したルーティングテーブルに基づき、優先順位に従って、次の装置への情報送信を行い、情報の中継を実施する(図3のステップS15)。図7は、各中継装置3で行われる情報の中継処理の具体的な手順例を示したフローチャートである。中継装置3は、前の装置から送信すべき情報を受信すると、通信制御手段32が、どの情報受信装置4へ送信する情報かを識別する(図7のステップS41)。
【0049】次に、通信制御手段32は、その情報受信装置4用のルーティングテーブルを記憶手段31から取り出し、そこに示されている通信経路の中から最も優先順位の高い経路を選択して、その経路上の次の中継装置3へ電波を放射する指示を行う(図7のステップS42)。なお、次の中継装置3が情報送信先の情報受信装置4である場合もある。
【0050】前記電波放射後、所定の時間にセットされたタイマが作動し(図7のステップS43)、そのタイマ時間内に電波を放射した中継装置3から返信があれば(図7のステップS44の有り)、正常に情報が伝達されたと判断し、当該中継装置3における中継が終了する(図7のステップS45)。
【0051】一方、タイマ時間内に前記返信が無ければ(図7のステップS44の無し)、その通信経路は使用不可能と判断し、前記ルーティングテーブルに次の優先順位の通信経路が有るか否かをチェックする。次の優先順位の通信経路が無い場合には(図7のステップS46の無し)、通信が不可能である旨を通信経路の手前の装置に返信し、情報の中継を終了する(図7のステップS48)。
【0052】次の優先順位の通信経路が有る場合には(図7のステップS46の有り)、その通信経路を選択し、その経路上の次の中継装置3へ電波を放射する(図7のステップS47)。電波放射後は、図7に示すように、前述したステップS43からの手順を、タイマ時間内に電波放射先から返信が有るか(図7のステップS44の有り)、またはルーティングテーブルに優先順位が設定された通信経路が無くなる(図7のステップS46の無し)まで、繰返し実施し、当該中継装置3における中継処理を終了する。
【0053】以上説明したような各中継装置3における中継処理が実施されて、最終的に情報送信装置2から送信された前記情報が送信先の情報受信装置4へ伝達される。情報送信後は、必要に応じ、あるいは所定の時間間隔で、図3のステップS6からの処理が繰返され、即ち、通信状態の確認とそれに基づくルーティングテーブルの更新が繰返され、情報受信装置4へ情報を送信する際には、新たらしい通信状態に関する情報が反映された最新のルーティングテーブルに基づく通信経路で情報の伝達が行われる。なお、更新されたルーティングテーブルについては、その更新部分のみを中継装置3に送るようにしてもよい。また、ルーティングテーブルの更新の際には、ルーティングテーブルがマニュアル操作で書き換えられてもよい。
【0054】また、前記通信状態の確認中などに、中継装置3が故障等により使用不可能になったことが確認された場合などには(図3のステップS16)、必要に応じて、中継装置3の最適配置の処理(図3のステップS2)から再度やり直すようにしても良い。
【0055】図8は、本通信システム1を用いた一つの実施例を示した図である。図に示す実施例では、1つの情報送信装置Cから9つの中継装置R1〜R9を利用して3つの情報受信装置S1〜S3へ情報を送信する場合を想定しており、図には、各中継装置における残存性評価値と各2装置間のビット誤り率が示されている。図9の(a)は、かかる実施例における各中継装置の残存性評価値を示しており、また、(b)は、かかる実施例における中継装置R2のルーティングテーブルを示している。
【0056】図の(a)では、前記(3)式と図6に例示した評価値算出法に基づいて各残存性評価値が計算されている。また、図の(b)では、情報の送信先が情報受信装置S1である場合のルーティングテーブルが示されており、存在する通信経路毎に優先順位、次の中継装置、中継数、通信信頼性評価値、残存性評価値等の情報が含まれている。ここで示された例では、通信経路の順位付けに、前述した図4のステップS30による方法が取られている。従って、図中のNo1とNo7の通信経路が、まず通信信頼性評価値(1)により優先され、残存性評価値により、No7が優先順位1、No1が優先順位2とされ、No2とNo8の通信経路については、共に同じ通信信頼性評価値(0.5)と残存性評価値(0.5)を有するが、中継数により、No8の経路が優先順位3とされている。
【0057】また、中継装置R2のルーティングテーブルは、回りの中継装置と通信を行った際に、設定により、その通信状態に基づいて、自動的に信頼性評価値等を変更することができ、その変更された評価値に基づいて自動的に優先順位を変更することも可能である。このように、中継装置3が、得られた通信状態の情報に基づいて、自らルーティングテーブルを更新するようにしてもよい。
【0058】また、情報を受信した受信装置から情報を返信する際には、同様のルーティング方法により返信を行ってもよいし、情報送信時に使われた通信経路を優先的に選択して返信するようにしてもよい。
【0059】以上説明したように、本実施の形態例に係る通信システム1では、必要に応じて情報送信装置2の指定に基づいた通信状態の確認のための交信が行われるだけであり、従来のように各装置が随時他の装置と交信を繰返すことがないため、交信回数を抑制することができ、戦地における無線通信など被発見性が重要視される場合には有効である。また、一方で、最新の通信状態によって見直されたルーティングテーブルに基づいて情報が送信され、また、ルーティングテーブル更新後に状況が変化した場合にも、各中継装置において複数の通信経路の中から優先順位に従った経路の選択がなされるので、通信状況が変化する環境下においても概ね適正な経路選択が可能で、本実施の形態例の場合には、通信信頼性と残存性の高い通信が実施できる。
【0060】なお、本実施の形態例では、無線による通信手段を想定していたが、本発明の内容は、有線による、あるいは無線と有線の混合による通信システムにも適用することができる。
【0061】本発明の保護範囲は、上記の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【0062】
【発明の効果】以上、本発明によれば、各装置が随時他の装置と交信を繰返す従来方式と比べて交信回数を抑制することができ、一方、最新の情報でルーティングテーブルが作成され、また、優先順位の付いた複数の経路が確保されているので、通信状況が変化する環境下においても適正な通信経路で情報の送信を行うことができる。




 

 


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