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発明の名称 通信経路網最適化方法及びそれを用いた通信経路網最適化装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−69616(P2003−69616A)
公開日 平成15年3月7日(2003.3.7)
出願番号 特願2001−254155(P2001−254155)
出願日 平成13年8月24日(2001.8.24)
代理人 【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳 (外1名)
【テーマコード(参考)】
5K030
5K067
5K072
【Fターム(参考)】
5K030 JA11 JL01 KA07 LB08 
5K067 AA01 AA33 BB02 BB21 DD41 DD44 DD46 EE06 EE12 EE32 FF02 LL01
5K072 AA01 AA24 BB02 BB11 CC31 DD11 DD15 EE20 FF10 GG14 HH02
発明者 横田 善郎 / 綾田 正徳 / 熊野 信太郎
要約 課題
情報送信装置と情報受信装置間に冗長性及び信頼性のある通信経路網を構築するために、中継装置の配置の最適化を迅速に実行することのできる通信経路網最適化方法及びそれを用いた通信経路網最適化装置を提供する。

解決手段
情報送信装置と情報受信装置間における複数の中継装置の最適配置を決定する際に、コンピュータシステムにより、複数存在する中継装置の配置案毎に、その場所が使用不能になった場合に所定の評価値が最も小さくなってしまう最重要配置場所と、その最重要配置場所を除いた場合の前記評価値に基づくその配置案の性能評価値を求め、その性能評価値に基づいて最適な配置案を決定する。
特許請求の範囲
【請求項1】情報送信装置と情報受信装置の間に配置する複数の中継装置の最適な配置場所を選択することにより、前記情報送信装置と前記情報受信装置間の最適な通信経路網を決定する処理を、前記中継装置の配置候補場所に関する情報を格納した記憶手段と制御手段を有するコンピュータシステムにより実行する通信経路網最適化方法であって、前記制御手段が、前記記憶手段に格納された情報に基づいて、前記中継装置の数に等しい数の配置場所のデータから成る一つの配置案に対し、当該配置案を構成する前記複数の配置場所の中から一つの配置場所を除いた場合の所定の評価値が最小となるような前記一つの配置場所を求め、当該一つの配置場所を当該配置案についての最重要配置場所とする第一のステップと、前記制御手段が、当該最重要配置場所を除いた場合の前記評価値に基づいて、当該配置案の性能評価値を決定する第二のステップと、前記制御手段が、複数の前記配置案に対して前記第一及び第二のステップを繰返し実行する第三のステップと、前記制御手段が、前記複数の配置案の中から、前記性能評価値が最大となる配置案を、前記中継装置の最適な配置場所として選択する第四のステップを有することを特徴とする通信経路網最適化方法。
【請求項2】請求項1において、前記性能評価値が、通信信頼性と、前記中継装置の前記配置場所への展開容易性と、前記中継装置の故障率を考慮した残存性に基づいて決定されることを特徴とする通信経路網最適化方法。
【請求項3】情報送信装置と情報受信装置の間に配置する複数の中継装置の最適な配置場所を選択することにより、前記情報送信装置と前記情報受信装置間の最適な通信経路網を決定する通信経路網最適化方法であって、前記中継装置の配置場所を含む地域の地図データを格納した記憶手段と、前記情報送信装置と前記情報受信装置と前記中継装置に関する前提条件を入力するための入力手段と、前記最適な通信経路網を決定するための処理を実行する制御手段とが備えられ、前記制御手段が、記憶手段に格納された前記地図データに基づいて、前記中継装置の配置場所を含む地域の各地点に関して、複数の指標に対するそれぞれの評価値を求めるステップと、前記制御手段が、求められた前記各地点に関する複数の評価値と、前記入力手段により入力された前記前提条件に基づいて、前記中継装置の複数の配置案に対する性能評価値をそれぞれ求めるステップと、前記制御手段が、求められた前記性能評価値に基づいて、一つの前記配置案を選択し、当該配置案を前記中継装置の最適な配置場所とするステップを有することを特徴とする通信経路網最適化方法。
【請求項4】請求項3において、前記複数の指標が、通信信頼性と、前記中継装置の前記配置場所への展開容易性と、前記中継装置の故障率を考慮した残存性を含むことを特徴とする通信経路網最適化方法。
【請求項5】情報送信装置と情報受信装置の間に配置する複数の中継装置の最適な配置場所を選択することにより、前記情報送信装置と前記情報受信装置間の最適な通信経路網を決定する通信経路網最適化装置であって、少なくとも、前記中継装置の配置場所を含む地域の地図データを格納する記憶手段と、前記情報送信装置と前記情報受信装置と前記中継装置に関する前提条件を入力するための入力手段と、前記記憶手段に格納された前記地図データに基づいて、前記中継装置の配置場所を含む地域の各地点に関して、複数の指標に対するそれぞれの評価値を求め、当該求められた各地点に関する複数の評価値と、前記入力手段により入力された前記前提条件に基づいて、前記中継装置の複数の配置案に対する性能評価値をそれぞれ求め、当該求められた性能評価値に基づいて一つの配置案を選択し、当該選択した配置案を前記中継装置の最適な配置場所とする制御手段と、当該中継装置の最適な配置場所に関する情報を出力するための出力手段とを有することを特徴とする通信経路網最適化装置。
【請求項6】請求項5において、前記複数の指標が、通信信頼性と、前記中継装置の前記配置場所への展開容易性と、前記中継装置の故障率を考慮した残存性を含むことを特徴とする通信経路網最適化装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報送信装置と情報受信装置間で最適な通信経路網を構築するための通信経路網最適化方法に関し、特に、冗長性のある通信経路網が構築される様に、情報送信装置と情報受信装置間に配置される複数の中継装置の最適な展開場所を決定することのできる通信経路網最適化方法及び通信経路網最適化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】大規模な災害が発生した際などには、広域にわたる災害の状況を早期かつ正確に把握するための通信手段の確保が、災害への対応や社会への正確な情報伝達という意味で重要となる。近年では、かかる通信手段として、電話、ファックス、インターネットなど様々なメディアが活用され得るが、災害発生時の基本的な通信方法として、災害現地に派遣した観測車と対策本部の間を複数の中継車で結び、防災無線帯域の周波数帯を活用する無線通信方式がある。
【0003】かかる通信方式においては、前記複数の中継車をどこに配置(展開)し、どのような通信経路網を構築するかを迅速に決定する必要がある。また、その際には、通信の信頼性、中継車の展開容易性、混信の防止などが考慮され、最適な通信経路網が決定されなければならないが、特に、災害時においては、2次災害の発生により中継車が破壊される場合や、中継車の展開候補地へのルートが不通となる場合などが想定されるため、単一の故障で通信手段全体の機能が喪失されない様に、通信経路網の冗長性が十分に考慮されなければならない。
【0004】図10は、かかる通信経路網の決定の問題を具体的に例示した図である。図に示した例では、情報送信装置a1から5つの中継装置r1〜r5を利用して情報受信装置b1及びb2に情報伝達を行う場合を想定しており、この場合の通信経路網の決定とは、用意された9つの展開候補地(図中の○)のどの位置に前記5つの中継装置を配置し(図中の●)、どのような経路(図中の実線)で通信を行うかを決定することである。
【0005】図11は、かかる通信経路網の決定を行うための従来装置20の一例を示した図である。従来は、通信経路網を決定する際には、人が地図記憶手段21に記憶された地形データを基に通信区間の見通しや通信品質を計算手段22を用いて計算し、その結果を表示・入力手段23に表示させた後に、それらを見ながら、人の判断により中継装置の配置位置及び通信経路を決定していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の人の判断による通信経路網の決定方法では、中継装置の数が多い場合には、多大な労力と時間を要し、また、複数の要素を考慮した最適な通信経路網を構築するという点で限界があった。更に、災害時においては、前述の通り、中継装置が故障する可能性も高く、その際には、再度最適な通信経路網を決定する必要があり、人手による方法では、迅速な対応が困難であった。
【0007】そこで、本発明の目的は、情報送信装置と情報受信装置間に冗長性及び信頼性のある通信経路網を構築するために、中継装置の配置の最適化を迅速に実行することのできる通信経路網最適化方法及びそれを用いた通信経路網最適化装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明の一つの側面は、情報送信装置と情報受信装置間における複数の中継装置の最適配置を決定する際に、コンピュータシステムにより、複数存在する中継装置の配置案毎に、その場所が使用不能になった場合に、所定の評価値が最も小さくなってしまう最重要配置場所と、その最重要配置場所を除いた場合の前記評価値に基づくその配置案の性能評価値を求め、その性能評価値に基づいて最適な配置案を決定することである。従って、本発明によれば、複数の指標を考慮した中継装置の配置の最適化を迅速に行うことが可能になり、特に、災害時などの通信手段に必要な冗長性の高い通信経路網を決定することができる。また、通信経路網を構築後に中継装置が使用不能になるなど、通信経路網の再構築が必要な際にも迅速に最適な配置を決定することができる。
【0009】上記の目的を達成するために、本発明の別の側面は、情報送信装置と情報受信装置の間に配置する複数の中継装置の最適な配置場所を選択することにより、前記情報送信装置と前記情報受信装置間の最適な通信経路網を決定する処理を、前記中継装置の配置候補場所に関する情報を格納した記憶手段と制御手段を有するコンピュータシステムにより実行する通信経路網最適化方法であって、前記制御手段が、前記記憶手段に格納された情報に基づいて、前記中継装置の数に等しい数の配置場所のデータから成る一つの配置案に対し、当該配置案を構成する前記複数の配置場所の中から一つの配置場所を除いた場合の所定の評価値が最小となるような前記一つの配置場所を求め、当該一つの配置場所を当該配置案についての最重要配置場所とする第一のステップと、前記制御手段が、当該最重要配置場所を除いた場合の前記評価値に基づいて、当該配置案の性能評価値を決定する第二のステップと、前記制御手段が、複数の前記配置案に対して前記第一及び第二のステップを繰返し実行する第三のステップと、前記制御手段が、前記複数の配置案の中から、前記性能評価値が最大となる配置案を、前記中継装置の最適な配置場所として選択する第四のステップを有することを特徴とする。
【0010】更に、上記の発明において、その好ましい態様は、前記性能評価値が、通信信頼性と、前記中継装置の前記配置場所への展開容易性と、前記中継装置の故障率を考慮した残存性に基づいて決定されることを特徴とする。
【0011】上記の目的を達成するために、本発明の別の側面は、情報送信装置と情報受信装置の間に配置する複数の中継装置の最適な配置場所を選択することにより、前記情報送信装置と前記情報受信装置間の最適な通信経路網を決定する通信経路網最適化方法であって、前記中継装置の配置場所を含む地域の地図データを格納した記憶手段と、前記情報送信装置と前記情報受信装置と前記中継装置に関する前提条件を入力するための入力手段と、前記最適な通信経路網を決定するための処理を実行する制御手段とが備えられ、前記制御手段が、記憶手段に格納された前記地図データに基づいて、前記中継装置の配置場所を含む地域の各地点に関して、複数の指標に対するそれぞれの評価値を求めるステップと、前記制御手段が、求められた前記各地点に関する複数の評価値と、前記入力手段により入力された前記前提条件に基づいて、前記中継装置の複数の配置案に対する性能評価値をそれぞれ求めるステップと、前記制御手段が、求められた前記性能評価値に基づいて、一つの前記配置案を選択し、当該配置案を前記中継装置の最適な配置場所とするステップを有することを特徴とする。
【0012】更に、上記の発明において、その好ましい態様は、前記複数の指標が、通信信頼性と、前記中継装置の前記配置場所への展開容易性と、前記中継装置の故障率を考慮した残存性を含むことを特徴とする。
【0013】上記の目的を達成するために、本発明の別の側面は、情報送信装置と情報受信装置の間に配置する複数の中継装置の最適な配置場所を選択することにより、前記情報送信装置と前記情報受信装置間の最適な通信経路網を決定する通信経路網最適化装置であって、少なくとも、前記中継装置の配置場所を含む地域の地図データを格納する記憶手段と、前記情報送信装置と前記情報受信装置と前記中継装置に関する前提条件を入力するための入力手段と、前記記憶手段に格納された前記地図データに基づいて、前記中継装置の配置場所を含む地域の各地点に関して、複数の指標に対するそれぞれの評価値を求め、当該求められた各地点に関する複数の評価値と、前記入力手段により入力された前記前提条件に基づいて、前記中継装置の複数の配置案に対する性能評価値をそれぞれ求め、当該求められた性能評価値に基づいて一つの配置案を選択し、当該選択した配置案を前記中継装置の最適な配置場所とする制御手段と、当該中継装置の最適な配置場所に関する情報を出力するための出力手段とを有することを特徴とする。
【0014】更に、上記の発明において、その好ましい態様は、前記複数の指標が、通信信頼性と、前記中継装置の前記配置場所への展開容易性と、前記中継装置の故障率を考慮した残存性を含むことを特徴とする。
【0015】本発明の更なる目的及び、特徴は、以下に説明する発明の実施の形態から明らかになる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、図において、同一又は類似のものには同一の参照番号又は参照記号を付して説明する。
【0017】図1は、本発明を適用した通信経路網最適化装置の実施の形態例に係る構成図である。図1の通信経路網最適化装置1は、情報送信装置と情報受信装置間に通信経路網を構築する必要がある際に、複数の中継装置の最適な配置と最適な通信経路を迅速に決定する装置であり、図に示すような各手段(2〜7)によって構成される。具体的には、通信経路網最適化装置1は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータシステムで構築され、後述する方法を用いた数値計算により、前記決定を迅速に行う。
【0018】図1に示す地図記憶手段2は、通信経路網を構築する範囲を含む地域の電子化された地図データ8を記憶する部分であり、森林、畑、荒れ地、市街地等の土地利用状況、高度、及び市街地、河川、道路、建築物等の地物の情報等が含まれている。かかる地図記憶手段2は、例えば、ハードディスクに格納されたデータベース等により実装される。
【0019】次に、情報記憶手段3は、評価値データ9、装置故障率データ10、情報受信装置展開場所データ11、情報送信装置展開場所データ12、及び中継装置展開場所データ13を格納する記憶手段である。情報受信装置展開場所データ11、情報送信装置展開場所データ12、及び中継装置展開場所データ13には、各装置の展開場所に関するデータが収められている。また、装置故障率データ10とは、中継装置等の故障率をMTBF(Mean Time Between Failures)等で表したものである。
【0020】また、評価値データ9は、中継装置の配置及び通信経路の性能を評価するための基準となるデータである。本実施の形態例においては、通信信頼性評価値、残存性評価値、及び展開容易性評価値という三つの指標に基づいて、前記中継装置の配置及び通信経路の性能を評価するため、この評価値データ9には、前記三つの評価値を決定するための基準となるデータが含まれている。図2、3及び4は、それらの一例を示した図である。図2には、展開候補地2点間の通信信頼性評価値を決めるためのデータを例示しており、通信見通し受信電波強度等の通信信頼性評価値を決めるための条件項目、それらの評価値、及びそれらの評価値の算出法が示されている。
【0021】図3には、同様に展開容易性評価値を決めるためのデータが例示されている。また、図4の(a)、(b)、及び(c)には、それぞれ残存性評価値を決定するために必要な隠蔽性評価値、被発見性評価値、及び故障率評価値のデータが例示されている。
【0022】以上説明したようなデータを格納する情報記憶手段3は、例えば、ハードディスクに収められた前記各種データを格納するデータベース等により実装される。
【0023】次に、計算手段4は、前記地図記憶手段2に収められた地図データ8及び前記情報記憶手段3に収められた評価値データ9に基づいて、対象としている領域の各地点における前記三つの評価値、即ち通信信頼性評価値、残存性評価値、及び展開容易性評価値を計算する部分である。計算手段4は、例えば、前記各評価値を計算するための手順を記述したコンピュータプログラムとそれに基づいて計算を実行する制御装置から構成される。
【0024】次に、通信最適化手段5は、前記計算手段4において計算された各地点の通信信頼性評価値、残存性評価値、及び展開容易性評価値と、前記情報記憶手段3に収められた情報受信装置展開場所データ11、情報送信装置展開場所データ12、及び中継装置展開場所データ13に基づいて、中継装置の最適な配置とその場合の最適経路を決定する部分である。ここで行われる最適化の手法が、本発明の主要な特徴であり、その内容については後述する。また、通信最適化手段5も、処理の手順を記述したコンピュータプログラムとそれに基づいて計算を実行する制御装置等で構成することができる。
【0025】通信手段6は、中継装置が使用不可になったという情報(図5の中継装置使用不可情報14)や装置が移動されたという情報(図5の装置移動データ15)などを、無線あるいは有線で現地等から収集するための手段であり、収集された情報は、一度決定された通信経路の再最適化等に用いられる。
【0026】次に、表示・入出力手段7は、本通信経路網最適化装置1を操作する人とのインターフェースを構成する部分であり、前記地図記憶手段2及び情報記憶手段3に収められるデータの入力、通信経路網の最適化処理を行う際の中継装置の台数や使用可能周波数等の初期値の入力、及び各種処理結果の出力等が行われる。かかる表示・入出力手段7は、具体的には、コンピュータシステムのCRTやキーボード等で構成することができる。
【0027】図5は、本実施の形態例に係る通信経路網最適化装置1において行われる処理の一例を示したフローチャートである。以下、図5等に基づいて、通信経路網最適化装置1における処理の内容を説明する。まず、前述した計算手段4が、前記地図記憶手段2の地図データ8に基づいて、対象としている範囲内の各地点について、2地点間の距離、通信見通し、受信強度、ビット誤り率などの計算又は判定を行う(図5のステップS1)。次に、計算手段4は、その計算/判定結果と、前記情報記憶手段3に収められた評価値データ9及び装置故障率データ10に基づいて、前述した三つの評価値である通信信頼性評価値、残存性評価値、及び展開容易性評価値を計算する(図5のステップS2)。
【0028】通信信頼性評価値については、具体的には、下記(1)式を用いて計算する。
【0029】
通信信頼性評価値= 通信見通し評価値×装置間距離評価値×受信電波強度評 価値×ビット誤り率評価値 (1)
上記(1)式の右辺における各評価値は、前述した評価値データ9によって決定され(図2を参照)、例えば、通信見通しが無い場合には、通信信頼性評価値は0となり、通信見通しがあり、装置間距離が25kmの場合には、通信信頼性評価値は1となる。また、通信見通しがあり、装置間距離が25kmを越え、受信電波強度が予め設定されたしきい値より大きく、かつビット誤り率が10-4の場合には、通信信頼性評価値は0.75となる。
【0030】また、展開容易性評価値については、具体的には、下記(2)式を用いて計算する。
【0031】
展開容易性評価値= 展開場所への進入路の道路幅評価値×展開場所への進入 路の道路傾斜評価値×展開場所までの距離評価値×展開 場所の土地利用状況評価値 (2)
上記(2)式の右辺における各評価値は、前述した評価値データ9によって決定され(図3を参照)、例えば、展開場所への道路幅が1.5m未満の場合には、展開容易性評価値は0となり、展開場所への道路幅が1.5m以上で、道路傾斜評価値が0.7°未満で、展開場所までの距離が10kmで、展開場所が荒れ地の場合には、展開容易性評価値が1となる。
【0032】また、同様に、残存性評価値は、具体的には、下記(3)式を用いて計算する。
【0033】
残存性評価値= 展開場所での隠蔽性評価値×展開場所での被発見性評価 値×装置故障率評価値 (3)
上記(3)式の右辺における各評価値は、前述した評価値データ9によって決定され(図4を参照)、例えば、展開場所が市街地で、相手に対して電波的見通しが無く、装置のMTBFが500時間以上の場合には、残存性評価値は0.75となり、また、展開場所が荒れ地で、相手に対して電波的見通しがあり、無線機の送信電力が大きく、装置のMTBFが500時間未満の場合には、残存性評価値は0.1875となる。なお、上記の各式は一例であり、異なる式を用いることもできる。
【0034】次に、前記情報記憶手段3に収められた情報受信装置展開場所データ11、情報送信装置展開場所データ12、及び中継装置展開場所データ13に基づいて、今回の最適化処理の前提条件となる情報送信装置及び情報受信装置の位置と台数、中継装置の台数と周波数使用数、及び中継装置の展開候補地が、通信経路網最適化装置1の操作者の指示によって設定される(図5のステップS3及びS4)。前記設定には、前述した表示・入出力手段7が用いられる。
【0035】以上計算手段4で計算された各地点に関する三つの評価値と、前記設定された前提条件が、前記通信最適化手段5に送られ、ここで中継装置の最適な配置と最適な通信経路を決定する最適化の処理が行われる(図5のステップS5)。かかる処理において、前記与えられた前提条件から冗長性と信頼性のある最適な中継装置の配置を決定する(図5のステップS6の初期中継装置配置)ことがその主要な処理内容であり、以下、その内容について説明する。
【0036】図6は、本通信経路網最適化装置1が実行する中継装置の配置の決定処理について、その処理手順の一例を示したフローチャートである。まず、多数考えられる配置案の中から一つの配置案{rj}を選択する(図6のステップS61)。ここで、rは中継装置の展開場所(配置場所)を表し、{rj}は、中継装置の配置をすることにした展開場所の集合を表す。例えば、中継装置を5台配置する場合には、{rj}は、5つの展開場所のデータによって構成される。
【0037】次に、前記選択した配置案{rj}に対して、下記(4)式及び(5)式を用いて性能評価値を求めていく。
【0038】
A = F({rj}) + G({rj}) +H({rj}−r*) (4)
【0039】
【数1】

【0040】但し、【0041】
【表1】

【0042】まず、前記選択した配置案{rj}に対して、前記計算手段4で計算された各地点に関する評価値等に基づいて、残存性F({rj})と展開容易性G({rj})を求める(図6のステップS62)。次に、前記(5)式に基づいて、r*を求める(図6のステップS63)。具体的には、{rj}に含まれる各配置場所をrlとして、それぞれ【0043】
【数2】

【0044】の{}内の値を計算し、その値が最小となる配置場所rlをr*とする。即ち、r*とは、その配置場所を除いた場合に、あるいはその配置場所が使用不可能になった場合に、構築される通信経路網の性能が最も低くなるような最重要展開場所を意味する。
【0045】次に、{rj}からr*を除いた場合の通信信頼性H({rj}−r*)を求める(図6のステップS64)。ここでは、前記計算手段4で計算された各地点に関する通信信頼性評価値等が利用される。以上求められた、残存性F({rj})、展開容易性G({rj})及び通信信頼性H({rj}−r*)から、前記(4)式に示される評価式Aを計算し、その値を選択された配置案{rj}に対する性能評価値とする(図6のステップS65)。このように、本通信経路網最適化装置1では、中継装置を配置した結果構築される通信経路網の性能を、最重要展開場所が使用不可能になった場合の通信信頼性に基づいて定めている。
【0046】以上の処理(ステップS62〜S65)により、前記選択した{rj}に対する処理が終了し、次に、別の配置案{rj}の選択(生成)を行う(図6のステップS61へ)。ここで、新しい{rj}を選択(生成)する際には、{rj}が離散的な変数であるため、組み合わせ最適化の手法として一般的に知られているSA(Simulated Annealing)やGA(Genetic Algorithms)等の方法を用いる。
【0047】新しい配置案{rj}が選択(生成)されれば、その{rj}に対して、前述した性能評価値を求めるまでの処理(ステップS62〜S65)を同様に行う。以降、同様に、新しい配置案{rj}の選択(生成)とそれに対する性能評価値の算出を繰返し行い、予め定めた所定数(例えば30万)の配置案{rj}について処理が終了した時点で(図6のステップS66のYes)、前記算出した性能評価値が最大となる配置案{rj}を選択する(図6のステップS67)。そして、この選択された{rj}を中継装置の最適配置として決定する。
【0048】以上、図6に基づいて説明したとおり、本通信経路網最適化装置1では、中継装置の最適配置を決定する問題をいわゆるミニマックス問題としてモデル化し、最重要展開場所が使用不可能になった場合の性能に基づいて最適な配置を決定する。従って、災害時などに構築される通信経路網に必要な冗長性が高く、故障やトラブルに強い通信経路網が決定される。また、コンピュータによる組み合わせ最適化手法を用いた演算処理で、数多くの配置案の中から最適なものが選択されるため、従来の如く人手で行う場合よりも格段に精度の高い配置が決定され、その処理スピードも速い。
【0049】なお、前記(4)式及び(5)式は、多少一般化された表現の式となっているが、その具体的な例を図7に示す。図7の(a)〜(e)に五つの具体例が記載されており、前記配置案{rj}の性能評価値をこのような式で算出することができる。但し、ここに示されたもの以外の式を用いることもできる。
【0050】次に、図8及び図9は、本通信経路網最適化装置1によって冗長性が高い通信経路網が構築されることを説明するための図である。ここでは、情報送信装置a1から二つの情報受信装置b1及びb2に送信する際に、5つの中継装置r1〜r5を、9つの展開候補地の何処に配置するかを決定することとしている。図8の(a)は、前述した最重要展開場所を考慮しない、本通信経路網最適化装置1と異なる方法で通信経路網を決定した場合の例を示しており、(b)は、最重要展開場所に展開されたと考えられる中継装置r1が使用不可能になった場合を示している。
【0051】一方、図9の(a)は、最重要展開場所を考慮した本通信経路網最適化装置1により通信経路網を決定した場合の例を示しており、(b)は、同様に、最重要展開場所に展開されたと考えられる中継装置r1が使用不可能になった場合を示している。両図の(a)に示す状態においては、構築された通信経路網の全体としての性能は、図8に示す場合の方が高い可能性がある。しかし、両図の(b)に示す状態においては、図8に示す場合には、全く通信ができないのに対し、図9に示す場合には、最重要展開場所が使用不可になった場合の性能に基づいて配置が決定されているため、中継装置r1を使用しない経路が確保されており通信が可能である。従って、最重要展開場所が使用不可になった場合など故障、トラブルが発生した場合には、本通信経路網最適化装置1で決定した図9に示す通信経路網の方が性能が高いことがわかる。このように、本通信経路網最適化装置1によれば、冗長性の高い通信経路網が構築される。
【0052】次に、図5に戻って、以上決定された中継装置の最適配置から最も伝送品質の高い通信経路が具体的に求められ、経路最適化結果(図5のa)として表示・入出力手段7に表示される(図5のステップS9)。本通信経路網最適化装置1の操作者は、表示された経路最適化結果を確認・評価し、通信経路網構築の最終判断を行う(図5のステップS10)。
【0053】なお、上記通信経路網の決定の後に、いくつかの中継装置が使用不可能になった場合には、通信手段6等から中継装置使用不可情報14が通信最適化手段5に渡され、経路再選択の処理が行われる(図5のステップS7)。ここでは、使用不可となった中継装置を除いた通信経路網の中から最も伝送品質の高い通信経路が求め直される。その結果は、同様に、経路最適化結果(図5のb)として表示・入出力手段7に表示される(図5のステップS9)。
【0054】また、通信経路網の決定の後に、情報受信装置又は情報送信装置が移動した場合や、中継装置の展開候補地が変更された場合には、それらの情報(装置移動データ15)が通信最適化手段5に渡され、配置の再最適化の処理が行われる(図5のステップS8)。ここでは、情報受信装置、情報送信装置、あるいは中継装置の展開候補地に関する新しい前提条件に基づいて、図5のステップS6で行われた最適な中継装置の配置の決定処理が再度行われる。そして、その結果に基づいて、同様に、最も伝送品質の高い通信経路が求められ、経路最適化結果(図5のc)として表示・入出力手段7に表示される(図5のステップS9)。
【0055】以上説明したように、本実施の形態例に係る通信経路網最適化装置1を用いることにより、最重要展開場所を考慮した最適な中継装置の配置が決定され、情報送信装置と情報受信装置間に冗長性のある通信経路網を構築することができる。また、最適な中継装置の配置の決定が、複数の指標を考慮した性能評価に基づいて行われ、かつ、コンピュータによって処理されるので、信頼性の高い通信経路網を迅速に構築することが可能となり、通信経路網を構築した後に中継装置が使用不能になるなど、通信経路網の再構築が必要な際にも迅速に最適な配置を決定することができる。
【0056】なお、本実施の形態例においては、構築される通信経路網の評価に通信信頼性、残存性、及び展開容易性の三つの指標を用いたが、通信経路網の使用用途等に応じて、これらとは異なる指標を用いるようにしてもよい。
【0057】本発明の保護範囲は、上記の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【0058】
【発明の効果】以上、本発明によれば、複数の指標を考慮した信頼性の高い中継装置の配置の最適化を迅速に行うことが可能になり、特に、災害時などの通信手段に必要な冗長性の高い通信経路網を決定することができる。また、通信経路網を構築後に中継装置が使用不能になるなど、通信経路網の再構築が必要な際にも迅速に最適な配置を決定することができる。




 

 


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